JP2935822B2 - 同時に不溶性固体を含まないタールを製造しながら液状タールの不溶性固体濃度を増大させる連続法 - Google Patents

同時に不溶性固体を含まないタールを製造しながら液状タールの不溶性固体濃度を増大させる連続法

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  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
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  • Filtering Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Q.I.濃度を増大さ
れた液状タール製品と同時に無Q.I.液状タール製品
を製造するようにQ.I.固体分を含有する液状タール
を連続的に処理する方法に関するものである。本発明の
方法は交差流フィルタ膜を使用する。
【0002】
【従来の技術】黒鉛電極などの炭素製品の製造に際して
は、石油コークスなどの炭素質充填剤をコールタールピ
ッチ結合剤と混合し、次に成形し、炭化し、黒鉛化して
黒鉛製品を製造する。最大の製品強度を得るためには、
コールタールピッチ結合剤が炭化後に高い炭素収率を与
える事が重要である。比較的多量の不溶性炭素固体分、
すなわち一般にQ.I.(キノリン インソリュブル)
と呼ばれる微粒子の存在が、コーキング収率を増大する
ためまた黒鉛製品強度を改良する炭素微粒子の供給源と
して、効率的結合剤にとって望ましい。市販のコールタ
ール結合剤ピッチは主として小粒径(ミクロンサイズ)
の球形炭素粒子の形の約8−20重量%のQ.I.を含
有する。天然Q.I.と呼ばれるこれらの炭素粒子は結
合剤ピッチの製造に使用されるタール前駆体の調製に際
して生成される。またピッチ中のQ.I.はセノスフィ
アと呼ばれる大粒径の炭素質粒子、炭化石炭粒子および
無機灰分を含有する場合がある。これらの成分もタール
前駆体の調製に際して発生し、これらの成分は一般にピ
ッチを結合剤として使用する場合に有用でない。二次
Q.I.または中間相と呼ばれる他の形の成分は、ター
ルをピッチに変換する際の熱処理によって形成される。
【0003】非常に多くの場合、炭素製品はその強度を
増大するために、焼成後にしかし黒鉛化処理前に溶融ピ
ッチを含浸される。溶融ピッチ含浸剤は炭素製品の初期
焼成中に発生した気孔を充填し、製品の最終強度と密度
を増大する。結合剤ピッチと相違し、含浸ピッチは非常
に低いまたは好ましくはゼロの固体(Q.I.)含有量
を有しなければならない。溶融ピッチと混和性でない固
体粒子の存在は炭素粒子の気孔を閉塞させ製品中へのピ
ッチの完全含浸を妨げる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、無固体のすなわ
ち無Q.I.の含浸用ピッチの製造は困難である。ピッ
チへの変換に先だってQ.I.粒子を除去するため、前
駆体コールタールの通常のろ過または遠心分離を使用す
る事ができる。しかしこれらの操作はバッチ操作であり
高温で実施しなければならないのでコスト高である。さ
らにQ.I.粒子を無固体タールから分離し次に処分し
なければならない。現在、無固体のコールタール含浸ピ
ッチの国内の、すなわち米国の供給源が存在しない。無
固体の含浸ピッチを製造するためコールタールからQ.
I.を除去するバッチプロセスが日本において開発され
(米国特許第4,127,472号)、この方法はター
ルをアンチ溶剤によって処理してQ.I.を沈澱させ、
次にろ過または遠心分離によってQ.I.を分離させ
る。分離されたQ.I.を次に処分しなければならな
い。日本特願平1(1989)−305,640号は膜
フィルタを使用してバッチ型手順でコールタールまたは
コールタールピッチからQ.I.固体を除去する方法を
開示している。
【0005】また結合剤ピッチに適した高Q.I.含有
タールを得る事も困難である。環境保全管理が進展する
に従って、タールの製造に使用されるコーキング操作が
厳しく制御され、その結果としてタール中のQ.I.レ
ベルが低下した。従って誘導されたピッチのQ.I.含
有量が低下し、結合剤ピッチと使用される際に黒鉛製品
の強度の低下を生じた。欧州では、結合剤ピッチのQ.
I.レベルは一般に所望最小限レベル8%以下である。
Q.I.含有量を増大させるために、人工的炭素粉末を
タールまたはピッチに添加する方法が開発された(米国
特許第4,177,132号)。
【0006】これらの理由から、ピッチ含浸のために
Q.I.0%のタールを製造すると同時に結合剤ピッチ
のために高Q.I.タールを製造する事のできる連続法
を開発する事が望ましい。
【0007】過去10年ぐらいの間に、改良型セラミッ
ク膜技術が商業化されている。このテクノロジーは交差
流フィルタとして知られるセラミックモノリットを使用
し、そのチャンネル壁体が慎重に制御された気孔サイズ
を有する。気孔サイズは約1ミクロン以上から50オン
グストロームまで変動する事ができる。
【0008】これらの膜は通常のデッドエンドフィルタ
とは基本的に異なる方式で作用する。デッドエンドフィ
ルタの場合のように固体成分をフィルタ媒体上に堆積さ
せるのでなく、フィードが膜の表面にそって流れ固体成
分は液体中に懸濁状態にとどまる。浸透液またはろ液が
膜を通過し捕集される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、無Q.
I.タールを生産しながら高Q.I.レベルを有する
Q.I.含有濃縮物を製造するため、不溶性固体(Q.
I.)を含有する液状タール中のQ.I.濃度を所望レ
ベルまで増大させる連続法において、既知のQ.I.濃
度を有するQ.I.含有液状タールフィードを、タール
フィード入口、交差流ろ過膜フィルタ、循環され捕集さ
れるQ.I.含有濃縮物の出口、ポンプおよび流量制御
器を直列に含む循環ループの中に連続的に導入して前記
フィードを前記循環ループの中で連続的に循環させ、所
望の浸透液流量で前記交差流フィルタを通して循環ルー
プから出る無Q.I.浸透液状タールと、前記交差流フ
ィルタを通過し循環ループ中を循環する所望のQ.I.
濃度を増大されたQ.I.含有液状濃縮物とを得る段階
と、その後連続的に、前記循環ループ中に追加タールフ
ィードを導入しながら、循環ループからQ.I.含有液
状濃縮物の一部を前記Q.I.含有濃縮物の前記出口か
ら抽出する方法が提供される。
【0010】
【実施例】図1に概略図示の交差流ろ過システムで使用
される市販の管状U.S.Filterセラミック膜を
使用してタールのろ過テストを実施した。3で表示され
た多孔性膜は代表的にはアルファアルミナ担体上に堆積
されたアルファアルミナ、ジルコニアまたはガンマアル
ミナの選択層から成る。これらの物質によって与えられ
る実質的化学的安定性はセラミック膜を、コールタール
中に存在する芳香族を含めて各種の有機物に対して耐性
とする。さらにセラミック膜は比較的高温においても安
定である。未希釈タールを使用する場合、実際的ろ過流
量(すなわち浸透流量)を得るようにタール粘度を低下
させるため高温操作(すなわち>80℃)が必要とされ
る。
【0011】図1に概略図示された交差流ろ過に際し
て、フィード5は膜3の表面に対して(垂直ではなく)
平行に流れる。フィード流5は、浸透液の交差流が膜3
の気孔を通過するように、浸透液(すなわちろ液)より
高い圧力に保持される。膜気孔より大きな粒子は膜を通
過せず従って拒絶される。拒絶された粒子8は膜表面に
薄い層を成しこの層が浸透流に対する抵抗を増大する。
しかし、管中を流れる平行流が剪断力を生じて、この層
を薄く保持する。このようにしてデッドエンドろ過の場
合のようにフィルタケークが時間と共に継続的に増大す
る事なく、浸透流量は実質的に一定値に達する。実際
上、浸透流量は長時間後にさらに低減するが、この低減
はケークの形成と気孔の閉塞による初期浸透流量の低下
よりはるかに遅い。
【0012】またセラミック膜は、化学的および熱的安
定性のほか、高強度を有しまた膜を構成する層間に比較
的強い結合を有する。これらの特性の故に、浸透流量を
回復するためセラミック膜を定期的にバックフラッシュ
する事ができる。このバックフラッシュは膜気孔を通る
浸透液流を逆転させ、膜表面に堆積した粒子層を本質的
に除去する事ができる。
【0013】コールタールからのQ.I.粒子の除去を
調査するための実験装置を図2に概略図示する。Q.
I.粒子を含有する液状コールタールまたはコールター
ル/トルエン混合物をセラミック膜フィルタ20に送る
ためにロータリローブ容積式ポンプ10(Jabsco
Pureflo Model A1)を使用した。膜
への流量を調整するために、弁85を含むバイパスライ
ン83を使用した。この調査に際して、40乃至60p
sigの範囲内の供給圧と、3乃至7gpm(毎分ガロ
ン)の範囲内のフィード流量を使用した。膜20に送ら
れたフィード量がこの膜によって二つの流れに分割され
る。すなわち、Q.I.含有量を増大された濃縮物40
とQ.I.を含有しない浸透液30とに分割される。濃
縮流40は図示のように供給タンク50に戻され、また
は弁65を通して抽出される。管状膜20中の軸方向圧
力降下の故に、膜20の出口における濃縮流の圧力は代
表的には膜20の入口の供給圧より10−30psi低
い。浸透流30の圧力は0psigに保持されるので、
供給タンク50に戻されまたは55に図示のようにシス
テムから除去する事ができる。濃縮液40と浸透液30
の両方を循環させる事により、テスト中にフィード中の
粒子濃度を一定に保持する事ができ、また浸透液30の
一部の除去の結果、濃縮液中のQ.I.粒子の濃度を増
大させる事ができる。
【0014】システムに対して熱を加えるため、供給タ
ンク50、供給タンクと膜20の間の管53、ポンプ1
0、濃縮物ライン43および浸透液ライン33が先行技
術のように電気加熱テープ(図示されていない)を備え
絶縁される。タンク中の温度はAthena温度調節装
置(図示されていない)によって制御された。ポンプ1
0およびプロセスラインに対する熱入力は加熱テープに
対する電圧をVariac(図示されていない)によっ
て変動させる事によって制御された。温度は、供給タン
ク、濃縮液流および浸透液ライン中の熱電対によってモ
ニタされた。膜20上に堆積した固体を除去するための
バックフラッシングは下記の2つの手順によって実施さ
れた。1つの手順においては、弁45を閉じ、弁95を
開き、ライン70から15秒間窒素パルスを供給圧より
20psi高い圧で加え、タンク90から純粋トルエン
を流出させて膜ハウジング25の内部23を満たし、膜
20を通して流し、膜の内側面27上に堆積した粒子を
除去する。他の手順においては、弁45を閉じ、弁10
5を開き、ライン70から15秒間窒素パルスを供給圧
より20psi高い圧で加えて浸透液を膜20を通して
流し、その内側面27上に堆積した粒子を除去する。
【0015】図2に図示のシステムを使用した各テスト
において、3乃至5ガロンのフィード35がシステムに
装入された。これらのテストに際して4種の相異なるフ
ィードが使用された。すなわち、2.4重量%のQ.
I.を含有する市販のコールタール(A)、5.0重量
%のQ.I.を含有する市販のコールタール(B)、コ
ールタール(A)のトルエン中の1:1重量配合物、コ
ールタール(B)のトルエン中の1:1重量配合物。
【0016】さらにコールタール(A)と(B)はQ.
I.含有量のほか粘度においても相違する。下記の実施
例1−4は調査結果を示す。
【0017】実施例 1 − テスト材料(タール) a)コールタールA − 下記の特性を有する石炭コー
キング工程から誘導された市販のタール。
【0018】Q.I.=2.4重量% コーキング収率=25.7重量% 灰分=0.10重量% 相異なる温度における粘度: 55℃で746cps 80℃で101cps 105℃で27cps ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定された平
均分子量は316であった。
【0019】SEMによって観察され光散乱によって測
定されたQ.I.粒径は約0.3乃至10ミクロンの範
囲内にあり、垂直粒径は2.7ミクロンであった。
【0020】b)コールタールB − 下記の特性を有
する石炭コーキング工程から誘導された市販のタール。
【0021】Q.I.=5.0重量% コーキング収率=27.1重量% 灰分=0.13重量% 相異なる温度における粘度: 55℃=117cps 80℃= 32cps 105℃= 13cps 130℃= 7cps 平均分子量=345 Q.I.粒径範囲=0.1−3ミクロン Q.I.の平均粒径=0.8ミクロン実施例 2 0.2ミクロン膜を使用した希釈コールタールのろ過 5.0重量%Q.I.を含有する市販コールタールBを
トルエンと配合して、コールタール/トルエンの50/
50重量%混合物を製造した。この配合物約12,00
0グラムを68℃で作動する図2のシステムに装入し
た。配合物のQ.I.含有量は2.5重量%であった。
500オングストローム(0.05ミクロン)の平均気
孔サイズを有するセラミック膜をろ過のために使用し
た。膜を通してコールタールを循環させ、可変量の無固
体浸透液を除去した。タール/トルエン混合物のQ.
I.レベルを除去された浸透液の量の関数として測定し
た。その結果を図3に示す。この図3は、2100ml
の浸透液(約20重量%)を除去する事によりQ.I.
が2.5重量%から3.1重量%まで濃縮された事を示
す。浸透液の分析結果はこの浸透液が0.0重量%の
Q.I.を含有する事を示す。
【0022】濃縮されたQ.I.レベルは除去された浸
透流の量から下記の式によって予測された。
【0023】2.5重量%/0.80=3.1重量%実施例 3 0.2および0.1ミクロン気孔サイズの膜を使用する
トルエン希釈タール(A)および(B)のろ過 図2のシステムを使用しまたそれぞれ0.2および0.
1ミクロン気孔サイズの膜を使用してろ過テストを実施
した。0.2ミクロン以上の気孔を有する膜を使用して
無固体浸透液を製造する事ができるが、これらの膜は
Q.I.の濃縮のために連続フロー/バックフラッシン
グ態様で満足に作動させる事ができなかった。
【0024】この実施例の場合、2.4重量%のQ.
I.を含有するコールタール「A」をトルエンで50/
50重量%に希釈し、80℃で作動する0.2ミクロン
気孔サイズを通して3.9gpmの流量をもってろ過し
た。得られた結果を他の作動パラメータと共に図4に示
す。初期浸透液流は300gfdの高さであったが、2
時間後に37gfd(ガロン/ft2 /日)に落ちた
(1/8の低下)。
【0025】図4に示す第1データ点はフィードに対し
て清浄膜を露出した直後にとられた。この図は運転初期
における浸透液流の急激な減少と、その後の運転に際し
ての浸透液流の緩徐な減少(すなわちレベルオフ)とを
示す。浸透液の初期の急激な減少は交差流ろ過プロセス
において代表的なものであって、通常、フィードと接触
する膜表面における粒子の堆積によるものとされる。堆
積固体層が一定厚さに達すると、浸透液流は徐々にレベ
ルオフする。膜表面上の粒子堆積が浸透流の減少の原因
であるとすれば、バックフラッシングは浸透流を一時的
に増大させるに相違ない。しかし図4に図示のように、
トルエンによるバックフラッシングは測定された浸透流
に対して僅少な効果を示すにすぎない。この場合バック
フラッシングの効果のない事に対して2つの説明が可能
である。第1は、バックフラッシング圧が相当量の堆積
固体を除去するには小さすぎる。第2は、膜の不可逆的
内部汚染が生じた。膜の内部汚染が十分に大であれば、
その膜は浸透流に対してフィルタケークよりはるかに大
きな抵抗を示しまたバックフラッシングは浸透流測定値
に対して僅少な効果を示すであろう。
【0026】0.1ミクロン気孔サイズのカラムについ
て同様のテストランを実施し、その結果を図5に示す。
初期浸透流は771gfdの高いgfdを示した。10
0分後に浸透流は約54gfdに落ちた。この膜をトル
エンでバックフラッシングすると、浸透流は419gf
dまで増大した。次の100分後に、浸透流は45gf
dに落ちたが、バックフラッシングによって428gf
dに回復した。これらのデータは、0.2ミクロン膜と
相違し、0.1ミクロン膜は固体によって不可逆的に閉
塞されず、このシステムは定期的バックフラッシングに
よって連続的に作動される事を示す。それぞれの場合
に、除去された浸透流は0重量%の固体を含有してい
た。これらのテスト結果は、気孔中への固体の捕捉を防
止しバックフラッシングを使用して連続操作を可能とす
るためには0.1ミクロンまたはこれ以下のサイズが必
要である事を示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】 実施例 4 0.1ミクロン膜と浸透流によるバックフラッシングと
を使用するろ過 フィードと異なる組成を有する流体によるバックフラッ
シングを避けるため、バックフラッシング流体として浸
透流を使用して数回のテストを実施した。このテストラ
ンの浸透流:時間プロットを図6に示す。このテストラ
ンは、タール(B)とトルエンとの50/50重量%混
合物と1000オングストローム(0.1ミクロン)膜
とを使用して実施された。
【0029】図6に示す結果は、このテストランの初期
にこのようなバックフラッシングメカニズムが1000
オングストローム(0.1ミクロン)膜を通しての浸透
流の大きな増大を生じた事を示す。しかしテストランが
進行するに従って、バックフラッシングは滲透率に対す
る効果が減少する。これはテストラン中に膜の不可逆的
汚染の生じた事を示す。
【0030】実施例 5 0.05ミクロン気孔サイズ膜を使用する非希釈コール
タールのろ過 純粋な非希釈タールを使用してQ.I.濃縮/除去を実
施する方が経済的であると思われるので、純粋タール
(B)によって0.05ミクロン(500オングストロ
ーム)セラミックフィルタを使用してテストを実施し
た。この気孔サイズのフィルタはQ.I.粒子による気
孔閉塞の可能性が低いと思われる。テストは80乃至9
0℃の温度で実施された。この温度範囲においてはター
ルは32cpsまたはこれ以下の粘度を有するであろ
う。その結果を表IIIに示す。
【0031】表IIIに示された浸透流の値は1つのラ
ン中の平均値である。テストランの初期に浸透流が高く
ランの進行に伴なってレベルオフされる実施例3に見ら
れたようなトレンドは非希釈タールの場合には見られな
かった。すなわち、浸透流はラン中に近似的に一定にと
どまった。従って表IIIに示す浸透流値は定常状態値
とみなされなければならない。
【0032】表IIIに表示の結果は、500オングス
トローム膜がすべてのランに際して無固体浸透流を製造
する事ができ、また浸透流を供給タンクに戻すのでなく
システムから除去する事によってフィード中において
Q.I.粒子を濃縮できた事を示す。またこの表III
は浸透流に対する種々の操作条件の効果を示す。例え
ば、ラン3−GLG−X−13と3−GLG−X−14
とを比較すれば明かなように、フィード量の増大が膜を
通る浸透流量の増大を生じる。このような結果は、高流
量が膜表面において生じるフィルタケークの薄い事から
予想される結果である。
【0033】非希釈タール(B)によるランのほか、非
希釈タール(A)によるランも実施した。このタールは
より高い粘度を有する。表IVは非希釈タール(A)を
用いて実施されたランの結果を表示する。またこの表I
Vには非希釈タール(B)の結果およびタール(A)と
トルエンとの50/50重量%混合物の結果も示されて
いる。タール(A)について測定された浸透流値は非希
釈タール(B)またはタール(A)とトルエンとの50
/50混合物の浸透流測定値よりも小である。これらの
結果は粘度に対する浸透流の強い依存関係を示す。ター
ル(A)/トルエン混合物について測定された浸透流は
25.5gfdの値を有し、またタールが混合物の50
重量%を成すのであるから、タール(A)の浸透流は全
浸透流の約半分である。従ってフィードが希釈された場
合に、より高いコールタール浸透流が得られる。
【0034】本発明の方法は500cpsもの高い粘度
を有するタールについて操作する事ができるが、生産量
を増大させるためにこのタール粘度は50cpsまたは
これ以下である。このような低粘度はタールをそれぞれ
のタールに適した温度まで加熱する事によって得られ
る。あるいは本明細書に記載のようにタールに対して溶
剤を20乃至80重量%添加する事ができる。
【0035】トルエン、ベンゼン、ピリジン、クロルベ
ンゼン、トリクロルベンゼン、コールタール石油留分
油、アントラセン油などのような適当な溶剤によってコ
ールタールを希釈する事により、室温程度の温度でこの
方法を実施する事ができる。
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】 図7について述べれば、Q.I.含有液状タールの連続
Q.I.粒子ろ過および濃縮ユニットを100で示す。
ユニット100は予熱器102を含み、この予熱器は
Q.I.含有タールフィード104を収容する。タール
フィード104は、タールの揮発または化学反応を生じ
る事なく粘度を最小値に減少させるため、80−320
℃の温度に加熱される。(タール(A)と(B)につい
て実施例1を参照)。それぞれのタールの最小粘度を得
るための特定温度は相違し、この温度は通常の測定によ
って決定される。弁106が開くと、タールフィード1
04がポンプ108と流量制御器110によってループ
入口114を通して循環ループ112の中に入る。この
ようにして循環ループ112の中に導入された新しい
Q.I.含有タールフィードが導管111を通して膜フ
ィルタ115の入口129の中に入り、無Q.I.液状
タール浸透流116が118からフィルタ115を出る
のに対して、Q.I.含有濃縮液が125からフィルタ
115を出る。流量制御器120を調整し、同時にこれ
に対応してループ112中を循環するタールの量が実質
的に一定にとどまり同時に高圧ポンプ122と流量制御
器123によって113で示すようにループ112中を
高流量で繰り返し循環するように114において循環ル
ープ112の中へのタールフィード量を調節する事によ
り、所望の無Q.I.液状タール浸透流の流量が決定さ
れる。ループ112の中を液状タールが繰り返し循環す
る際に、ループ112から浸透流が除去されるのでこの
循環液状タール中のQ.I.濃度が増大する。導管11
9の116において所望の無Q.I.浸透流量が確定さ
れた時に、弁124を開き、液状タール濃縮物128、
すなわちフィード104より高いQ.I.濃度のタール
流が循環ループ112の出口126から抽出される。従
って、フィルタ115の出口125とフィード入口11
4との間のループ112の部分中を循環する液状タール
のQ.I.濃度Clは液状タール濃縮物128のQ.
I.濃度Ccと同一である。液状タール濃縮物流(高
「Q.I.」流)128は流量制御器130において調
整され、これに対応してフィルタ115の手前で114
においてループ112の中に導入されるフィードの流量
が増大される。
【0038】126において循環ループから抽出される
タール濃縮物のQ.I.濃度と流量は下記の式によって
求められる。
【0039】
【化1】 ここに、Cc=タール濃縮物(128)中のQ.I.濃
度重量%、Cf=タールフィード(104)中のQ.
I.濃度重量%、Ff=タールフィード(104)の流
量、Fp=無Q.I.浸透流(116)がフィルタおよ
び循環ループを出る流量、Fc=タール濃縮物(12
8)が循環ループから抽出される流量。
【0040】実施例6は図7の好ましい実施態様をさら
に説明するためのものである。
【0041】実施例 6(仮定的実施例) 連続Q.I.濃縮法 液状タール中のQ.I.を濃縮し同時的に無Q.I.タ
ールを製造するための連続マイクロろ過プラントを図7
において100で示す。セラミック膜フィルタ115
(U.S.Filter)をステンレス鋼ケースの中に
格納し、このフィルタは500オングストロームの名目
気孔直径と75ft2 の全表面積とを有する。コールタ
ール104の新フィードは粘度低下のために80乃至3
50℃の温度に予熱され、「循環」処理ループ112の
中にポンプ輸送される。この循環ループは大型のWAU
KESHA容積式ポンプ122と、U.S.Filte
rセラミック膜モジュール115と、MICRO MO
TION流量制御器123とを含む。また循環処理ルー
プの温度はホット・オイル・トレーシングを使用して8
0乃至320℃の最低粘度温度に保持される。
【0042】新フィード104、浸透流116、濃縮物
128および循環流113の流量はそれぞれMICRO
MOTION 流量制御器110、120、130お
よび123によって制御される。新フィード104およ
び濃縮物128の流量は、新コールタールフィード10
4中の初期Q.I.レベル、濃縮物128の所望のQ.
I.レベルおよび浸透流116の流量に従って制御され
る。循環ループ112中のコールタール111の流量
は、管状セラミック膜の内部に乱流を生じて保持するた
め、非常に高く、新フィード104の流量の102 −1
4 倍に保持される。
【0043】膜フィルタから浸透流を無Q.I.浸透流
として生産するこのシステムの物質収支は下記の式を与
える。
【0044】 F=F+F (1) F×C=F×C+F×C=F×C(C=O) (2) ここに、Ff、FpおよびFcはそれぞれ新フィード、
浸透流および濃縮流の流量、またCf、CpおよびCc
は対応の固体重量%である。交差フィルタに関する先の
実施例において述べたように、Cpはゼロである。すな
わち浸透流は無Q.I.である。
【0045】表IIIについて述べたように、非希釈コ
ールタール(B)をろ過するために500オングストロ
ーム膜を使用する際にろ過率、すなわち浸透流量は近似
的に10ガロン/ft2 /日(gfd)である。定常状
態の浸透流量Fpは下記のようにして求められる。
【0046】Fp=(浸透流)×(フィルタ表面積) Fp=10ガロン/ft2 /日×75ft2 Fp=750ガロン浸透流/日=31.3ガロン浸透流
/時 新フィードが1重量%固体(Q.I.)Cfを有すれ
ば、それぞれ3、4および5重量%のQ.I.固体を含
有するタール濃縮物の製造は下記の条件でシステムを作
動する事によって実施できる。
【0047】
【表6】 同様に1.5重量%固体フィードを濃縮してそれぞれ
3、4および5重量%のタール濃縮物を製造するには下
記の操作条件を必要とする。
【0048】
【表7】 前記の実施例において弁124を閉じれば、浸透流量F
p(=Ff)が31.3ガロン/時に達するまで新フィ
ード量Ffが調整され、ループ112中の循環流量は約
100,000-300,000 ガロン/時となる。弁124が閉じて
いるのであるから、循環ループ112からの濃縮物のフ
ローは存在しない。31.3ガロンの一定浸透流量Fp
に達した時に、弁124を開き、流量制御器130の操
作によって所望Q.I.濃度Ccに対応する流量Fcで
循環ループ112からタール濃縮物を抽出する。同時に
新フィード量Ffが抽出されたタール濃縮物の量Fcだ
け増大される。
【図面の簡単な説明】
【図1】交差流セラミック膜フィルタの概略断面図
【図2】交差流セラミック膜を使用する実験システムの
フローチャート
【図3】図2の実験システムを使用して得られた実験結
果のグラフ
【図4】図2の実験システムを使用して得られた実験結
果のグラフ
【図5】図2の実験システムを使用して得られた実験結
果のグラフ
【図6】図2の実験システムを使用して得られた実験結
果のグラフ
【図7】Q.I.含有タールを連続濃縮し同時に無Q.
I.タールを製造する本発明のシステムのフローチャー
【符号の説明】
100 本発明によるシステム 102 タール予熱器 104 フィード 112 循環ループ 113 循環流 115 交差膜ろ過膜フィルタ 116 浸透流 122 ポンプ 123 流量制御器 125 Q.I.含有液状濃縮物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョージ、アーネスト、ケラー、ザ、セ カンド アメリカ合衆国ウエストバージニア州、 サウス、チャールストン、エレン、ドラ イブ、1207 (72)発明者 ゲアリ、ルーイス、ジレスピ アメリカ合衆国ウエストバージニア州、 ダンバー、オウク、ドライブ、118エフ (72)発明者 リチャード、リーチャン、シャオ アメリカ合衆国オハイオ州、ノース、ロ イアルトン、ノース、スター、ドライ ブ、12731 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10C 1/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性固体(Q.I.)を含有する液状タ
    ール中のQ.I.濃度を所望レベルまで増大させる連続
    法において、既知のQ.I.濃度を有するQ.I.含有
    液状タールフィードを、交差流ろ過膜フィルタ、ポンプ
    および流量制御器を直列に含む循環ループの中に連続的
    に導入して前記フィードを前記循環ループの中で連続的
    に循環させ、(i)所望の既知の浸透液流量で前記交差
    流フィルタを通して循環ループから出る無Q.I.浸透
    流液と、(ii)前記交差流フィルタを通過し循環ルー
    プ中を循環するQ.I.濃度を増大されたQ.I.含有
    液状濃縮物とを得、その後連続的に、前記循環ループ中
    に追加のタールフィードを導入しながら、循環ループか
    らQ.I.含有液状濃縮物の一部を抽出しそしてQ.
    I.濃度と流量との関係を下記のように保持することを
    含む事を特徴とする方法。 【表1】
  2. 【請求項2】循環ループ中の液状タールフィード、浸透
    液および液状濃縮物が80乃至320℃の温度範囲内に
    保持される事を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】循環ループ中に乱流を生じるため、循環ル
    ープ中の液状濃縮物は液状タールフィードの流量の10
    2 −104 倍の流量で循環される事を特徴とする請求項
    1に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記膜フィルタは0.1ミクロンまたはこ
    れ以下の気孔サイズを有するセラミック膜フィルタであ
    る事を特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記タールフィードは、その粘度を低下さ
    せて常温で本発明の方法を実施できるように溶剤によっ
    て希釈される事を特徴とする請求項1に記載の方法。
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