JP2932914B2 - (α+β)型Ti 合金鍛造材の製造方法 - Google Patents
(α+β)型Ti 合金鍛造材の製造方法Info
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Description
法に関し、特に強度および延性が共に優れ、かつ均質度
の高い(α+β) 型Ti 合金鍛造材の製造方法に関す
る。
いかし宇宙航空機器用の材料に多用されているが、近年
では各種機器部品も大型化し、厚物部品へのニーズが高
まっている。Ti 合金の場合、厚物部品は型鍛造法によ
り製造されているが、高強度部材が得られない 均
質部材が得られない、という問題があった。
Al-4 V合金に代表される(α+β) 型Ti 合金は、強
度・延性等の機械的性質に優れ、溶接性や加工性にも優
れた用途の広いTi 合金である。鍛造材としても種々利
用されているが、溶体化時効により高強度を実現してい
るため、溶体化後の冷却条件の制限から、厚物部品にお
ける高強度化は未だ実現していない。従来の(α+β)
型合金の場合、高強度化には溶体化後に水冷のような冷
却速度の速い冷却が必要であり、他方、厚物部品におい
ては、水冷によっても部品中心部まで急冷することが難
しいためである。
造材においては、以下の理由により、鍛造後の部材のミ
クロ組織や歪み分布、機械的性質に内部バラツキが生じ
る。 (1) 加熱した素材を型にセットして鍛造する際に、接
触する型あるいは雰囲気を介して抜熱が起こる。このた
め素材温度が均一に保てず、鍛造後の歪み分布やミクロ
組織が不均一になる。この問題は、鍛造工程が複雑で鍛
造開始から鍛造終了までの時間が部位により大幅に異な
る場合に、特に顕著となる。
は、部品形状によって大きく左右される。形状が複雑に
なるに従い、ミクロ組織や機械的性質の不均質度も高く
なる。 (3) 鍛造中の素材温度は、加工発熱により著しく上昇
する。発熱量は素材自体の温度と加工量によって異なる
が、(1) および(2)の問題と相まって、厚物部品の
各部は、その形状や部位により著しく異なる熱履歴を受
ける。
が種々提案されているが、強度の問題()について
は、溶体化処理とそれに続く急冷処理を回避する目的
で、(α+β)型に代えてβ型Ti合金を用い、これを
650〜1200℃の温度域で鍛造した後、350 〜650 ℃の温
度域で直接時効することによって高強度のTi 合金を得
る方法が、特開平4-63239号公報に開示されている。
は時効温度が低いため、鍛造時に生じた加工歪みやミク
ロ組織の部材内部における不均質が時効後の素材に残る
ことになり、部位によって機械的性質にバラツキを生じ
る問題は解消できない。
明に用いる合金と同じ組成を有する合金を(β変態点−
150 ℃) 〜β変態点の範囲の温度に加熱した後、0.5 〜
10℃/secの冷却速度で冷却して溶体化処理を施し、さら
に400 〜600 ℃の範囲の温度で時効処理を施すことによ
り1105MPa 以上の高い引張強度を得る技術が開示されて
いる。しかし、ここに開示された技術は鍛造材に関する
ものではなく、したがって、本願発明で問題としている
鍛造材特有の機械的性質のバラツキを制御することにつ
いては、何ら言及されていない。
()に関しては、特開昭63-157846号公報に、Ti-6
Al-4 V合金を(α+β) 鍛造した後、(β変態点−18
0 ℃)〜β変態点の温度域で焼鈍し、空冷以下の冷却速
度で冷却することにより、内部バラツキの小さい鍛造部
材を得る技術が開示されている。実施例として、酸素含
有量が0.20%(重量%、以下同じ)のTi-6 Al-4 V合
金について、(α+β)鍛造に続く900 ℃×2時間の焼
鈍とその後の炉冷により、バラツキが小さく、しかも強
度の高い鍛造部材が得られたとの記載がある。
値と較べてみると、バラツキ自体は確かに小さくなって
いるものの、強度および延性のいずれについても実施例
の最低値は比較例の最低値を下回っており、また、伸び
の最低値は12.4%であって、部材全体として見た場合に
は、機械的性質はむしろ低下していると言わざるを得な
い。
鍛造Ti 合金の鍛造材としては比較的高い引張強度(928
〜956MPa)が得られているが、これは実施合金の酸素含
有量が高いことによる。AMS規格4928Kによれば、0.
20%という数値は酸素の許容最大値に相当し、これ以上
の量は延性との関係から規格外とされている。ちなみ
に、十分な延性を確保するため酸素量を0.08%程度に抑
えた場合の引張強度は、上記実施例と同じ再結晶焼鈍の
条件で、900 〜930MPa程度というのが実状である。(例
えば、AEROSPACE STRUCTURAL METALS HANDBOOK, Vol.
4, code 3707, p.10, Army Materials and Mechanics R
eserch Center, U.S.A., 1980)
合金ならびにその鍛造材に関しては合金組成や熱処理条
件について種々検討されているにも拘らず、各合金組成
本来の強度・延性を確保しつつ、同時にミクロ組織や機
械的性質の内部バラツキを小さく抑えた均質度の高い厚
物鍛造材を得る技術については、未だに知られていな
い。
うな現状に鑑み、本願発明では、厚物鍛造材のように熱
処理後の冷却において部材内部の冷却速度が遅い場合に
あっても十分な高強度化が達成でき、しかも加工歪みや
ミクロ組織をコントロールすることで機械的性質につい
ても高い均質度を有する鍛造材の得られるTi 合金鍛造
材の製造方法、特にそのための最適な合金組成と熱処理
条件を明らかにすることを目的とする。
うな2段の熱処理でなく、焼鈍のみというような単純な
熱処理で高強度化と均質化が同時に達成できれば望まし
いことはいうまでもない。
これらの問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、前
記特開平5-59510号公報に記載の合金組成の一部が、鍛
造材における強度・延性の確保と機械的性質の内部バラ
ツキの制御という上記二課題を同時に解決するに際して
最適な組成であり、この組成を有する合金に適切な熱処
理を施せば、所望の材料特性を有するTi 合金鍛造材が
得られることを見出した。
Al :3.0 〜5.0 %、V:2.1 〜3.7 %、Mo :0.85〜
3.15%、Fe :0.85〜3.15%、O:0.06〜0.20%(いず
れも重量%、以下同じ)を含有し、残部Ti および不可
避的不純物からなる(α+β) 型Ti 合金を用い、これ
を(α+β) 域の温度に加熱して鍛造した後、Tβ−75
℃≦T<Tβ(Tβ:β変態点,℃)なる温度T℃に加
熱保持し、引続き冷却する工程からなる(α+β) 型T
i 合金鍛造材の製造方法であって、これにより、強度お
よび延性に優れ、かつ均質度も高い(α+β) 型Ti 合
金鍛造材の製造を可能にしたものである。
空冷であっても水冷であってもよく、冷却速度について
特に限定されるものではないが、表現を簡単にするため
に、以下の第1発明に関する説明では、この熱処理が1
段の焼鈍である場合について説明する。
明と同一の組成範囲にある(α+β) 型Ti 合金を用
い、これを(α+β) 域の温度に加熱して鍛造した後、
Tβ−100 ℃≦T≦Tβ−25℃(Tβ: β変態点,℃)
なる温度T℃で溶体化処理し、引続き400 〜600 ℃の温
度域で時効処理する工程からなる(α+β) 型Ti 合金
鍛造材の製造方法であって、第1発明と同じく、強度お
よび延性に優れ、かつ均質度も高い(α+β) 型Ti 合
金鍛造材の製造を可能にしたものである。
第1発明における冷却速度と同様に、特に制限はない。
なお、上記合金の代表的組成として、本願実施例に記載
したAl :4.5 %、V:3.0 %、Mo :2.0 %、Fe :
2.0 %、O:0.08%、残部Ti および不可避的不純物か
らなる合金をあげることができる。この代表組成のβ変
態点は900 ℃、再結晶温度は800 ℃である。
ついて説明する。Ti-6Al-4V合金の場合、高温安定の
β相から低温安定のα相への変態が比較的容易に生ずる
ため、空冷のように冷却速度が遅い場合には、溶体化処
理後の冷却中に初析α相の粗大化や新規なα相の多量な
変態析出が生じてしまい、その後の時効において、強度
上昇に寄与するに十分なα相の生成が得られない点に問
題がある。
の安定度を増大させて溶体化処理後のα相の急速な生成
・増加を抑制し、かつ時効処理時にβ相中に適度な量の
α相を微細に析出させることで、空冷のような冷却速度
が遅い条件であっても高い材料強度が得られる点で大き
く異なる。これにより、厚物部品に特有の冷却速度の問
題が解決されている。
載されているようにそもそも超塑性成形能に優れた合金
であるが、β相の安定化元素であるV、Mo およびFe
を所定量含有し、β相の安定性が極めて高いという特徴
を有している。これらのβ型安定化元素が、溶体化処理
後の冷却過程においてα相が急速かつ多量に析出するの
を抑制する働きをしている。また、このうちのMo は他
の添加元素と異なりTi 中における拡散速度が遅く、組
織全体を微細化する効果を有し、またβ相中に析出する
α相の冷却過程における粗大化を防止する。これらの作
用により組織が全体にわたって微細化され、材料として
の高強度化が達成されている。
は、Ti-6 Al-4 V合金の場合と異なり、鍛造材に対し
ても溶体化時効処理による高強度化が可能となる(第2
発明)。さらに、溶体化時効処理そのものを省略し、鍛
造後の熱処理は焼鈍のみという極めて簡単な熱処理で、
十分な強度と延性を確保することも可能となる(第1発
明)。
ラツキの制御について説明する。厚物鍛造材の内部にお
いて、加工歪みやミクロ組織に不均質が生じ、その結果
として機械的性質に部位によるバラツキが生じるのは、
鍛造という加工工程を経る以上は避けられない問題であ
って、鍛造の後工程で熱処理を施すことで除去する以外
に、このバラツキを解決する手段はないと考えられる。
材の熱処理温度のみを Tβ−75℃≦T<Tβの範囲に
限定した簡単な熱処理、例えば焼鈍により解決してい
る。すなわち、前述の組成を有する合金を再結晶温度以
上の特定温度域で熱処理することにより、加工歪みを解
放し同時にミクロ組織をコントロールして、部材内部に
おける機械的性質のバラツキ低減を実現している。
℃≦T≦Tβ−25℃という限定された温度範囲で溶体化
処理し、引続き400 〜600 ℃の温度域で時効処理するこ
とにより、高強度化を図りつつ、第1発明の場合と同
様、部材内部における機械的性質のバラツキ低減を実現
している。
冷却速度が遅い場合であっても、加工歪みやミクロ組織
のコントロールに何ら支障はない。また、第2発明にお
いて溶体化後の冷却速度についても同じことがいえる。
このような熱処理を可能にした点に関して本願発明の合
金組成が大きな役割を果たしていることは、材料の高強
度化達成に合金組成の役割が大きいことと併せて、本願
発明の核心となる知見である。
囲に限定される理由、すなわち、合金中で各成分の果た
す役割は以下の通りである。 Al :代表的なα安定化元素で、(α+β) 型Ti 合金
には必須の添加元素である。Al 量が3.0 %未満では
(α+β) 型合金になりにくく、材料として十分な強度
が得られない。一方、Al 量が5.0 %を越えると、金属
間化合物のTi3Al が生成し、靭性が著しく低下する。
従って、Al 量は3.0 〜5.0 %に限定される。
を低化させる重要な添加元素である。焼鈍後あるいは溶
体化処理後のα相の急速な生成および増大を抑制し、α
相を微細に析出させる効果がある。V含有量が2.1%未
満では、β変態点を十分に低下させることができず、ま
たβ相を安定化する効果も小さくなるので、焼鈍中また
は溶体化後にα相の生成を抑制する効果が得られない。
一方、V含有量が3.7%を越えるとβ相の安定度が大き
くなりすぎ、(α+β) の好ましい2相組織が得られな
いので、強度の点で不十分なものとなる。したがって、
V含有量は2.1〜3.7 %の範囲内に限定される。
抑制する効果を有する。従って、Vと同様に、焼鈍後あ
るいは溶体化後のα相の急速な生成および増大を抑制
し、α相を微細に析出させるために重要であるだけでな
く、組織全体を微細化する効果があり、高強度化の上で
重要な位置を占める添加成分である。Mo 含有量が0.85
%未満では焼鈍中あるいは溶体化後に結晶粒が粗大化
し、上述した所望の効果が得られない。一方、Mo 含有
量が3.15%を越えると、β相が安定化し過ぎて好ましい
2相組織が得られないので、強度の上昇が望めない。し
たがって、Mo 含有量は0.85〜3.15%の範囲に限定され
る。
添加成分である。V、Mo の効果と相まって焼鈍後ある
いは溶体化後のα相の急速な生成および増大を抑制する
とともに、冷却段階でβ相中に微細な針状α相を析出さ
せる。
定度が十分でなく、焼鈍後あるいは溶体化後の冷却中に
α相の生成および増大を抑制することができず、焼鈍ま
たは溶体化時効処理によって高強度化を図ることができ
ない。また、含有量が3.15%を越えると、Fe とTi と
の間で脆い金属間化合物が生成したり、あるいはβフレ
ックと呼ばれる偏析相が生成したりして、合金の機械的
性質が低下する。したがって、Fe の含有量は0.85〜3.
15%の範囲に限定される。
合金と同程度の量とする。O量が0.06%未満では強度面
に問題を生じ、0.20%を越えると延性が急激に低下す
る。従って、O量は0.06〜0.20%の範囲に限定される。
強度- 延性バランスの立場からは、さらに0.08〜0.1%
の範囲に限定することが望ましい。
表成分の場合を例にとって説明する。第1発明の熱処理
については、以下の通りである。先ず、本願発明に用い
た代表合金について焼鈍温度と機械的性質の関係を調査
した結果、再結晶温度以上の温度で熱処理を施せば、部
位による機械的性質のバラツキは除去できることが分っ
た。しかし、その一方で、加工歪みが解放されることに
より強度が低下し、AMS4928Kに規定されている直径
100mm 品の強度規格値(895MPa)を下回る場合もある。し
たがって、加工歪みを除きつつ強度も確保するために
は、前述した温度範囲における熱処理が必要となる。
が、再結晶温度である800 ℃からTβまでの範囲で焼鈍
温度を変化させると、焼鈍過程で熱的平衡に存在するβ
相の体積率が温度の上昇につれて増加する。(α+β)
型Ti 合金における強度の向上は冷却中にβ相中に微細
に析出する針状のα相が担っているが、焼鈍中のβ相の
体積率が増加すれば、結果として冷却中に析出する微細
な針状α相の体積率も増加し、高い強度を確保すること
ができる。しかも、(α+β) 2相域での熱処理である
ため、αとβの両相がバランスして共存するので、組織
は微細に保たれる。
℃) である825 ℃から現れ始め、900℃のβ変態点直下
まで強度の上昇が見られる。さらに、焼鈍温度を上げて
Tβを越える温度になると、結晶粒の急激な粗大化をと
もないながら全面β組織となる。このため、針状の微細
α相の析出により強度は維持されるが、延性は急激に低
下する。したがって、焼鈍温度は(Tβ−75) ℃以上で
Tβ未満とすべきである。
る。溶体化時効処理による高強度化について種々条件を
検討した結果、第1発明と同一組成の合金に対し再結晶
温度〜(β変態点−25℃) の温度範囲で溶体化処理を施
し、引続き400 〜600 ℃の温度範囲で時効すれば、高強
度化が可能であることを見出した。この場合、溶体化処
理温度が再結晶温度未満では時効後の機械的性質に内部
バラツキが残り、一方、(β変態点−25℃) を超えると
延性の低下が問題となるので、ともに好ましくない。ま
た、時効温度が400 ℃未満では時効後の強度上昇が期待
できず、600 ℃以上では強度が上昇してもすぐに軟化し
てしまい、強度のコントロールが困難となる。以上の理
由により、溶体化時効処理の条件は前記所定の温度範囲
に限定される。
型Ti 合金鍛造材の製造方法においては、焼鈍のみのよ
うに単純な熱処理の工程を選択することも、また、さら
なる高強度化を指向して溶体化時効処理を選択すること
もできる。
度のコントロールが難しい厚物鍛造材を炉冷や炉外放冷
のような比較的遅い速度で冷却した場合でも、部材とし
て十分な強度・延性の確保ができ、同時に内部バラツキ
の制御も可能であることがあげられる。したがって、焼
鈍後または溶体化処理後の冷却において水冷のような冷
却速度の速い冷却方法を用いても何ら差支えはなく、冷
却速度は特に限定されるものではない。
%、Fe :2.0 %、O:0.08%、C:0.02%、N:0.01
%、H:0.01%を含有し、残部がTi からなる(α+
β) 型Ti 合金〔β変態点:900 ℃,再結晶温度:800
℃〕のインゴットを、β域の1100℃に加熱して鍛造し、
直径220mm の丸ビレットを得た。この丸ビレットを(α
+β) 域である800 ℃に加熱して、直径152mm の丸ビレ
ットに鍛造した後、長さ方向の中央部で切断し、直径15
2mm 、長さ1200mmの丸ビレット2本を得た。(以下、こ
の一方を#1ビレット、他方を#2ビレットと呼ぶ) 。
℃に加熱し、長さ方向に垂直な面内の4方向から加工を
加えて、トップ側から1/2の長さまでを鍛造し、この部
分の直径を94mmとした。その後、ビレット全体を加熱炉
内に戻して、再度800℃に加熱した後、ボトム側から1/
2長さの部分を同様に直径94mmまで鍛造し、長さ3000m
m、外径94mmのビレットに仕上げた。
直径94mm、長さ3000mmのビレットに仕上げた。ただし、
#2の場合には1ヒートのみとし、760 ℃に加熱後、ト
ップ側から1/2 長さ、ボトム側から1/2 長さの順に鍛造
した。以上のビレット製造工程を図1にまとめて示す。
金であるTi-6 Al-4 V合金についても同様の方法によ
り鍛造し、直径94mm、長さ3000mmの丸ビレット(#3ビ
レット) を得た。用いたTi-6 Al-4 V合金の組成は、
Al :6.15%、V:4.02%、Fe :0.17%、O:0.09
%、C:0.02%、N:0.01%、H:0.01%、残部がTi
である〔β変態点:1000℃,再結晶温度:870 ℃〕。T
i-6 Al-4 V合金の場合、本発明に用いる合金とはβ変
態点や再結晶温度が異なるので、加熱温度は930℃とし
た。また、ヒート数は#2ビレットと同じ1ヒートとし
た。このTi-6Al-4 V合金の製造工程も図1に併せて
示した。
トム側から長さ70mmの円柱状試験体を切りだし、表1に
示すような種々の温度で2時間焼鈍した後、空冷した。
このとき試験体の中心部に直径2mmの穴を開けて熱電対
を挿入し、冷却速度を測定したところ、中心部の冷却速
度は0.5 ℃/secであった。
ら、平行部直径6.25mm、ゲージ長さ25mmの引張試験片を
切り出し、クロスヘッドスピード0.15mm/minの条件で常
温引張試験を実施した。試験結果を表2および図2に示
す。
いては、酸素含有量がほぼ等しいTi-6 Al-4 V合金の
比較例の場合と比べて、はるかに優れた強度- 延性バラ
ンスを示している。これは、本発明に用いるTi 合金が
Ti-6 Al-4 V合金と比べてβ相が安定なため、本実施
例のような遅い冷却速度でも、初析α相の冷却中の粗大
化が抑制されると共に、冷却過程でβ相中にTi-6Al-4
V合金では見られない微細な針状α相が生成し、さらに
Mo の効果により、組織全体の平均結晶粒径を小さくコ
ントロールできることによるものである。
場合は、同じ熱処理条件でも円柱状試験体の採取位置に
より機械的性質に大きなバラツキが認められる。これ
は、鍛造中に蓄えられる歪エネルギーが、熱履歴の差異
のためビレット各部で異なり、焼鈍後もこの歪みエネル
ギーが完全に解放されていないためである。これに対
し、本発明例においてほとんど差異が認められないの
は、特定の温度範囲で焼鈍するという条件さえ満たして
いれば、鍛造で導入された歪みは他の熱履歴とは関係な
く解放され、焼鈍温度のみによって部材としての機械的
性質が決まるためである。
で、#1〜#3の鍛造ビレットを得た。#1および#2
のビレットのトップ側およびボトム側から、長さ70mmの
円柱状試験体を切りだし、表3に示すような種々の温度
で溶体化(1時間均熱) 後、空冷し、引続き510 ℃にて
6時間時効後、空冷する溶体化時効処理を施した。#3
ビレットからも同様の円柱状試験体を切りだし、こちら
は950 ℃で溶体化(1時間均熱) 後、水冷し、#1およ
び#2と同じ条件で時効および冷却して溶体化時効処理
を施した。
部から、実施例1と同様に引張試験片を切り出し、実施
例1と同一の条件で常温引張試験を実施した。試験結果
を表3、表4および図4に示す。
合には時効処理により高強度化が達成され、酸素含有量
がほぼ等しいTi-6 Al-4 V合金の比較例と比べ、はる
かに優れた強度- 延性特性を示している。これは、本発
明実施例のTi 合金がTi-6Al-4 V合金に比べてβ相
が安定なため、空冷のように冷却速度が遅い場合におい
ても、初析α相の粗大化が抑制され、またTi-6Al-4V
合金では見られない微細な針状α相がβ相中に生成さ
れ、さらにMo の効果により、組織全体の平均結晶粒径
を小さくコントロールできることによるものである。
でも、部位によって機械的性質に大きなバラツキが生じ
ている。これは、鍛造中に蓄えられた歪みエネルギーの
差異が時効後も受け継がれているためと考えられる。
械的性質が均一で、しかも優れた強度- 延性バランスを
有する(α+β) 型Ti 合金鍛造材の製造が可能とな
る。また、その製造に際しては、焼鈍のみのような単純
な熱処理工程を選択することも、あるいは高強度化を指
向して溶体化時効処理を選択することもできる。この方
法により製造されたTi 鍛造材は、高い信頼度を要求さ
れるタービンブレードなどの厚物部品用として広く利用
することができる。
図である。
示す図である。
関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Al :3.0 〜5.0 %、V:2.1 〜3.7
%、Mo :0.85〜3.15%、Fe :0.85〜3.15%、O:0.
06〜0.20%(いずれも重量%)を含有し、残部がTi お
よび不可避的不純物からなる(α+β) 型Ti 合金を
(α+β) 域の温度に加熱して鍛造した後、 Tβ−75℃ ≦ T < Tβ (Tβ:β変態点,℃) なる温度T℃に加熱保持し、引続き冷却する工程からな
る(α+β) 型Ti 合金鍛造材の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載された合金と同一の組成
範囲にある(α+β) 型Ti 合金を(α+β) 域の温度
に加熱して鍛造した後、 Tβ−100 ℃ ≦ T ≦ Tβ−25℃ (Tβ:β変態点,℃) なる温度T℃で溶体化処理し、引続き400 〜600 ℃の温
度範囲において時効処理する工程からなる(α+β) 型
Ti 合金鍛造材の製造方法。
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