JP2932791B2 - 微生物好気培養における炭素源濃度の制御方法及び装置 - Google Patents

微生物好気培養における炭素源濃度の制御方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物好気培養におけ
る炭素源濃度の制御方法、更に詳しくは、炭素源フィー
ド液を断続的に培養槽に添加する微生物の好気的流加培
養、連続培養及び菌体再利用連続培養においてフィード
培養中培養槽内の基質炭素源をコンピュータを使用して
低濃度に自動制御する方法、及びそのような方法を実施
するのに好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物の使用による種々の物質の発酵生
産(例えば、各種アミノ酸、核酸関連物質の発酵)や微
生物菌体そのものの生産(例えば、酵母菌体の生産)な
どの目的で微生物が好気培養される。そして、微生物の
好気培養は工業的には、糖などの炭素源を主原料として
いわゆる流加培養、連続培養又は菌体再利用連続培養に
よって行なわれている。
【0003】ところで、このような培養方法において
は、原料炭素源による基質阻害効果を防止し、或いは原
料を有効に培養に利用して培養終了液内の糖などの残炭
素源を可及的低レベルに押えることにより原料炭素源の
ロスを少なくし、最終培養終了液からの生産物の分離を
容易にし、又生産物分離後の廃液中に含まれる残炭素源
による環境汚染を防止するなどの目的のために、フィー
ド培養中の培養槽内炭素源(基質)濃度を低レベルに抑
えることが必要で、特に連続培養及び菌体再利用連続培
養においては、フィード培養中にも連続的に排出される
培養液からの生産物の分離が行なわれるが、この分離工
程への糖などの炭素源の流出を最低限に抑え、分離工程
への炭素源の影響をほとんどゼロにすることが出来るこ
とが必要であるとともに原料のロスを防ぐことが必要で
ある。又、このような培養法において炭素源濃度の分析
作業を皆無にすることができ、全く人の監視無しで、安
定に炭素源濃度の自動制御が出来ることが強く望まれて
いる。
【0004】従来、糖などの炭素源をフィード培養中低
濃度に維持する方法としては、酸素消費量、排出炭酸ガ
ス量、 pH、副生成物の生成量、添加アンモニア量など
をそれぞれ単独の指標とし、それらに予め求めておいた
比例係数を掛けた量の糖などの炭素源を添加しながら、
炭素源濃度を制御する方法があるが、これらの方法で
は、培養中の微生物活性を精度良く推定することができ
ないため、活性が異常変化した場合などにうまく制御で
きない場合がある。そのため、培養中の炭素源濃度を低
く(例えば、3g/l以下に)制御することがうまくで
きない。
【0005】又、培養中の培養槽内炭素源の枯渇を溶存
酸素濃度のみで検出する方法があるが、この方法は、
(イ)センサーの信頼性が低い、(ロ)通気攪拌状態
(攪拌数、通気量)を変更すると溶存酸素濃度状態が大
きく変動し、炭素源の枯渇を誤検出する場合があり、や
はり培養槽内炭素源濃度をうまく制御することが出来な
くなる、などの理由により実用的ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微生
物の好気的流加培養、連続培養及び菌体再利用連続培養
において、フィード培養中の微生物の糖などの炭素源資
化速度を精度良く推定し、適切な炭素源フィード液のフ
ィード速度で培養槽内培養液の炭素源濃度を制御するこ
とができ、信頼性良く確実に炭素源の枯渇を検出するこ
とができ、しかも通気攪拌状態の影響を受けずに炭素源
の枯渇を検出することができ、及びその他のメリットも
有する方法、及びそのための装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決を目指して鋭意研究の結果、流加培養、連続培養又
は菌体再利用連続培養による微生物の好気培養におい
て、糖などの炭素源を断続的に培養槽に添加するとき、
ある添加期とその次の添加期との間の添加停止期に槽内
培養液中の炭素源が枯渇するときに生ずるpHの上昇及
び溶存酸素濃度の上昇を指標として、該その次の添加期
の炭素源フィード液のフィード速度を決めることにより
しかもこれをコンピュータを利用して行なうことにより
前記課題が解決されることを見出し、このような知見に
基いて本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、炭素源フィード液を
断続的に培養槽に添加する微生物の好気的流加培養、連
続培養又は菌体再利用連続培養において、フィード培養
におけるフィード液の初回添加は予め求めておいたフィ
ード速度でフィード液を一定時間添加することによって
行ない、第2回目以降の添加はある添加期に先行する添
加停止期において培養槽内炭素源(基質)が枯渇すると
きに生ずる pHの上昇又は溶存酸素濃度の上昇がコンピ
ュータで検出されるときに開始しかつ該添加停止期の時
間と該添加停止期に先行する添加期のフィード液のフィ
ード速度とから該添加停止期の時間が長ければより小さ
くそして短ければより大きくなるように該コンピュータ
で算出されるフィード速度で一定時間添加することによ
って行なうことを特徴とする微生物好気培養において培
養槽内基質濃度を常に自動的に低レベルに維持するよう
に制御する方法、及び(i) 槽内培養液の pH及び溶存酸
素濃度をそれぞれ検出するセンサー及び通気攪拌装置を
具備しフィード液を流量制御装置を介して受け入れるよ
うにした培養槽及び(ii)2個の信号変換機を具備するコ
ンピュータを含みかつ(a) pHセンサー及び溶存酸素濃
度センサーによる pH及び溶存酸素濃度の検出値がそれ
ぞれ一方の信号変換機を介してコンピュータに入力され
るようにセンサーが接続されており及び(b) コンピュー
タの算出したフィード液フィード速度設定値が他方の信
号変換機を介して流量制御装置に伝送されるように接続
されていることを特徴とする上記の方法を実施するため
の装置に関する。
【0009】以下、本発明を逐次説明する。
【0010】(方法の説明)先ず、本発明に係わる方法
について説明する。
【0011】種々の物質の発酵生産や微生物菌体そのも
のの生産の目的で、糖などの基質炭素源を含有するフィ
ード液を連続的に(ここに、“連続的に”は広義のもの
で“断続的に”を含む)培養槽へ添加しつつ微生物を好
気的に流加培養、連続培養又は菌体再利用連続培養する
ことは周知である。本発明における流加培養、連続培養
及び菌体再利用連続培養も、後述するフィード培養期に
おけるフィード液の添加方法を除いては、周知の流加方
法、連続培養及び菌体再利用連続培養に準じて行なうこ
とができる。
【0012】フィード培養期における初回のフィード液
の添加は、フィード培養に先行するメイン培養における
培養液内の糖などの基質炭素源の濃度がある低いレベル
に達したときに開始されるのが通常である。予め求めて
おいたフィード液のフィード速度とは、予備実験を通し
て予め求めておいたもので、フィード培養開始時すなわ
ちフィード培養における初回フィード開始時のメイン培
養における基質の消費速度に等しくするのが通常であ
る。フィード液の添加における一定時間は、微生物の糖
などの炭素源消費活性が大きくは変らない時間の範囲
(通常は10分〜24時間の範囲)内において選ばれる任意
の時間である。
【0013】さて、初回添加終了後培養液の基質が枯渇
すると培養液の pH及び溶存酸素濃度が共に上昇する。
この上昇を培養槽の具備する pHセンサー及び溶存酸素
濃度センサーを介してコンピュータが検出すると、それ
を介して基質フィード液が培養槽に添加されるフィード
液の流量制御装置へコンピュータからフィード液添加の
指示が行き、フィード液の第2回目の添加が開始され
る。 pHの上昇と溶存酸素濃度の上昇とは常に同時に起
るとは限らない。両上昇に時間的に差のあるときは、い
ずれか早く検出された上昇のときに第2回目の添加が開
始される。 pHセンサーと溶存酸素濃度センサーはれぞ
れ頻繁に故障したり、キャリブレーションしたりしなけ
ればならない。そのため、それぞれのセンサーを単独で
使用するのではなく、同時に使用することによって、基
質の枯渇の検出信頼性を著しく向上させることができる
のである。
【0014】第2回目のフィード液の添加におけるフィ
ード速度は、初回添加と第2回目添加との間の添加停止
期の長さ(期間)及び初回添加のフィード速度から、該
添加停止期の期間が長ければより小さくそして短かけれ
ばより大きくなるように、換言すれば、基質のフィード
速度と基質の消費速度とを均衡させて培養槽内培養液の
基質濃度を所望の低レベルに維持できるように算出して
得られる速度である。この計算はコンピュータによって
行なうが、このような計算のプログラムは当業者であれ
ば容易に作成することができる。後記実施例1にそのよ
うなプログラムの1例を示す。
【0015】第2回目の添加の行なわれる一定時間は、
初回添加の一定時間と同様にして定められる。初回添加
の期間と第2回添加期間とは、微生物の糖などの炭素源
(基質)消費活性が大きくは変らない時間の範囲内にお
いて選ばれる限り、同長の時間とする必要はない。各回
の添加期間は、微生物の基質消費活性が大きくは変わら
ず、かつ培養中の培養槽内基質濃度を低レベルに維持で
きるような時間から選ばれる。
【0016】第3回目以降のフィード液添加の開始時
期、フィード速度及び添加期間は、第2回目添加のそれ
らと同様にして定める。
【0017】かくして、第2回以降の添加はある添加期
に先行する添加停止期において培養槽内炭素源(基質)
が枯渇するときに生ずる pHの上昇又は溶存酸素濃度の
上昇がコンピュータで検出されるときに開始しかつ該添
加停止期の時間と該添加停止期に先行する添加期のフィ
ード液のフィード速度とから該添加停止期の時間が長け
ればより小さくそして短ければより大きくなるように該
コンピュータで算出されるフィード速度で一定時間添加
することによって行なわれる。
【0018】このようにして、微生物の活性を逐次チェ
ックしながら糖などの基質炭素源のフィード液のフィー
ド速度その他の添加条件を設定することが可能となり、
培養槽内基質濃度を容易に5g/l以下更には3g/l
以下にも及ぶ低レベルに抑えることが可能となる。
【0019】(装置の説明)次に、本発明に係わる装置
について説明する。
【0020】本発明の装置は、換言すれば、培養槽に取
り付けられた pH電極などの pHセンサーと溶存酸素電
極などの溶存酸素センサーからコンピュータに伝送され
る信号を基に、コンピュータ内部にて糖などの基質炭素
源枯渇の検出と炭素源フィード液のフィード速度を計算
し、計算されたフィード速度値を培養槽の炭素源添加ラ
インに設置されたフィード液の流量制御装置に伝送する
機能を有する装置である。
【0021】周知のごとく、 pH計及び溶存酸素濃度計
は頻繁に故障しやすく、又頻繁にキャリブレーションし
たりしなければならない。本発明によれば、それぞれの
センサーを単独に使用するのではなく、併用することに
よって糖などの炭素源の枯渇の検出信頼性を著しく向上
させることができる。もちろん、各センサーを単独で用
いても信頼性は落ちるが効果は発揮される。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0023】なお、各実施例において使用した装置は第
2図に示すもので、これは第1図に示す装置において、
培養槽を小型硝子製培養槽とし、この培養槽における p
Hセンサーを pH電極としてそして溶存酸素濃度センサ
ーを溶存酸素電極とし、コンピュータをパーソナルコン
ピュータとし、このコンピュータにおける信号変換機
(1) をA/Dコンバータとしてそして信号変換機(2) を
D/Aコンバータとし、及び流量制御装置をフィードポ
ンプとしたものである。
【0024】実施例1(菌体再利用連続培養によるL−
グルタミン酸の発酵生産) グルコース30g/l、KH2 PO4 1g/l、MgSO
4 ・7aq 0.4g/l、尿素4g/l、FeSO4 ・7
aq20mg/l、MnSO4 ・4aq20mg/l、大豆蛋白
酸加水分解物5ml/l、ビオチン 300μg/lを含む水
性培地30mlを 500ml容振盪フラスコに入れ、 115℃で10
分間加熱滅菌した。これを室温まで冷やし、ブレビバク
テリウム・ラクトフェルメンタム(Brevibacterium lact
ofermentum)ATCC 13869を接種して30℃にて24時間
種培養した。
【0025】この種培養液30mlと甘蔗糖密を糖として80
g/l、KH2 PO4 を1g/l、大豆蛋白酸加水分解
物を10ml/lを含む水性主培養培地 270mlを予め滅菌し
た1l容小型硝子製培養槽に入れ、30℃に保温し、除菌
空気を毎分 300ml通気し、 pHをNH3 ガスにて 7.5に
保ちつつ攪拌を開始した(主培養開始)。
【0026】小型硝子製培養槽は、第2図に示すように
16ビットパーソナルコンピュータに接続した。培養槽に
挿入された pH電極及び溶存酸素電極で検出された pH
および溶存酸素濃度のアナログ信号は、パーソナルコン
ピュータに内蔵のA/Dコンバータを介してパーソナル
コンピュータに取り込まれる。パーソナルコンピュータ
で設定計算された後の水性フィード培地(フィード液)
のフィード速度は、パーソナルコンピュータ内蔵のD/
Aコンバータを介してアナログ信号としてフィードポン
プへ送られる。
【0027】主培養開始と同時にパーソナルコンピュー
タに初回(第1回目)のフィード液のフィード速度30ml
/h 、 pHの上昇による糖基質枯渇検出値 7.7、溶存酸
素濃度の上昇による糖基質枯渇検出値20%(溶存酸素濃
度の通常値は1〜10%)、フィード液フィード時間3時
間を条件設定した。
【0028】主培養開始後5時間目に菌の増殖を阻害し
てグルタミン酸を産出させる目的でポリオキシエチレン
ソルビタンモノパルミテートを 0.2重量%の濃度になる
ように添加し、さらに5時間主培養を続けた後パーソナ
ルコンピュータを制御可能状態(自動運転状態)にし、
初回のフィード液の添加を予め設定したフィード速度30
ml/h にて開始した。培養槽へ添加したフィード液は甘
蔗糖密を糖として 180g/l、大豆蛋白酸加水分解物 5
ml/l、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテー
トを 0.2重量%を含む。
【0029】同時に培養液を毎時(フィード液フィード
速度+20)mlずつ、予め加熱殺菌した平膜ミクロフィル
ターに通して菌体含有液20mlと濾液に分別した。菌体含
有液は培養槽に戻した。菌体を含まない濾液より晶析法
によりL−グルタミン酸を得た。
【0030】初回のフィード液の添加を開始した後、コ
ンピュータは自動運転状態に入り、予め設定したフィー
ド液添加時間(3時間)を経過したところで一度フィー
ド液の添加を設定条件に従い自動的に中断した。添加の
中断とともに培養槽内の糖濃度は第4図のA部のごとく
減少し、ほぼ0g/lになったところでpHの上昇と溶
存酸素濃度の上昇とがほぼ同時に起る。
【0031】コンピュータは pH又は溶存酸素濃度のい
ずれかが先に基質枯渇検出値に達した時点で直ちに第2
回目添加のフィード液のフィード速度設定値を計算し、
その設定値をフィードポンプへ出力し、再びその設定速
度で3時間フィード液の添加が実施される。以後、この
動作を繰り返すことによって培養槽内糖濃度が0〜2g
/lに精度良く制御された。
【0032】第2回目添加以降のフィード液フィード速
度設定値は、フィード液の添加が停止していた時間
(τ)とフィード液の添加が停止する直前のフィード速
度設定値(υ)から以下のルールによって設定した。
【0033】・もしもτ≦10分ならば新たなフィード液
のフィード速度を1.1 υに設定せよ。ここに、υは直前
回添加期のフィード速度である。
【0034】・もしも10分<τ≦30分ならば新たなフィ
ード速度をυに設定せよ。
【0035】・もしも30分<τ≦1時間ならば新たなフ
ィード液フィード速度を0.9 υに設定せよ。
【0036】・もしも1時間<τ≦2時間ならば新たな
フィード液フィード速度を0.8 υに設定せよ。
【0037】ただし、ここでυの係数及びτは、培養の
方式や基質の種類などの培養条件、使用菌株の性能など
により異なる場合もある。又、ルールの数は適宜増減し
てもなんらさしさわりはない。因みに、本実施例におけ
る培養では、予備実験によりτ>2時間となることはな
いことを確認済みであった。又、本実施例では毎回のフ
ィード液の添加時間を3時間にしたが、前述のごとく、
菌の活性が大きく変らない時間内であれば、この添加時
間を一定にする必要はない。
【0038】この培養を80時間続けることにより、L−
グルタミン酸を132g得た。また、自動運転開始後は第
5図に示すように、完全に自動で糖濃度を 2g/l以内
に安定に制御することができた。
【0039】比較例1(従来法) (従来法の要点は、 pHの調節にNH3 を使用し、これ
に比例させて糖(フィード液)を添加する方法であ
る。)実施例1におけると同様にして得た種培養液と実
施例1におけると同じ主培養培地 270mlとを予め滅菌し
た1l容小型硝子製培養槽に入れ、30℃に保温し、除菌
空気を毎分 300ml通気し、 pHをNH3 ガスにて 7.5に
保ちつつ攪拌を開始した。(主培養開始)。
【0040】小型硝子製培養槽は、第3図に示すように
16ビットパーソナルコンピュータに接続した。
【0041】主培養開始後5時間目にポリオキシエチレ
ンソルビタンモノパルミテートを 0.2%の濃度になるよ
うに添加し、さらに5時間主培養を続けた後パーソナル
コンピュータを制御可能状態にした。
【0042】NH3 ガスラインに接続されたマスフロー
メータからアナログ信号を、パーソナルコンピュータ内
蔵のA/Dコンバータを介してパーソナルコンピュータ
に取り込み、パーソナルコンピュータ内部で1時間毎の
NH3 添加量に比例した量のフィード液フィード速度を
計算したあと、パーソナルコンピュータ内蔵のD/Aコ
ンバータを介してアナログ信号としてフィードポンプへ
送るようにプログラムした。
【0043】その結果、第6図のAに示すように、培養
途中で菌体増殖期からグルタミン酸産生期に入ったとこ
ろでNH3 のフィード速度とフィード液のフィード速度
との比率がかわり、糖濃度の制御性が悪くなったため、
13時間目に比例係数を変更した。又、変更した後にもこ
の比例係数が不安定なため、培養槽内糖濃度の制御性も
第5図に比べて良くなく、残糖濃度(培養槽内糖濃度)
のチェックを5回行った。さらに、このような不安定さ
があるため、培養途中にて残糖濃度が0g/lになるの
をさけるように残糖濃度をあまり低くすることができな
かった。
【0044】又、この培養を80時間続けることにより得
たL−グルタミン酸生産量 120gは実施例1の生産量 1
32gより低かった。
【0045】第1表に実施例1と比較例1との比較をま
とめて示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例2(流加培養によるL−フェニルア
ラニンの発酵生産) 菌体再利用連続培養を流加培養に変えた以外は実施例1
に準じてブレビバクテリウム・ラクトフェニルメンタム
(Brev.lactofermentum)FERM BP−1071を使用し
てL−フェニルアラニンを発酵生産した。
【0048】ただし、培地、培養器、培養方法、培養タ
イムコース、フィード液のフィード速度制御方法は次の
通りであった。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】(2) 培養器、培養方法; (a) 種培養: 500ml容フラスコに種培養培地30mlを入
れ、30℃で振盪培養した。
【0052】(b) 主培養:1l容小型硝子製培養槽に
種培養液30mlと主培養培地270mlとを入れ、30℃で通気
培養した(通気量は毎分 150ml)。なお、 pHはNH3
にて 7.5に制御した。
【0053】(3) 培養時間; (a) 種培養:48時間 (b) 主培養:96時間 (c) フィード開始時期:主培養開始後35時間 (4) フィード液のフィード速度制御方法;実施例1に
おけると同じ方法であったが、初回フィード速度を10ml
/h とした。
【0054】比較例2(従来法) pHの調節をNH3 を使用して行ない、 pHを指標とし
てフィード液のフィード速度を制御した。すなわち、 p
Hが設定値より上昇したらフィード速度を5%上げ、 p
Hの上昇が5時間なければフィード速度を10%落した。
【0055】第2表に実施例2と比較例2との比較をま
とめて示す。
【0056】
【表4】
【0057】実施例3(流加培養による酵母菌体の生
産) 菌体再利用連続培養を流加培養に変えた以外は実施例1
に準じてサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae)CBS1523を使用して酵母菌体を生産し
た。
【0058】ただし、培地、培養器、培養方法、フィー
ド液のフィード速度制御方法は次の通りであった。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】(2) 培養器、培養方法; (a) 種培養: 500ml容フラスコに種培養培地30mlを入
れ、30℃で24時間振盪培養した。
【0062】(b) 主培養:1l容小型硝子製培養槽に
種培養液30mlと主培養培地 270mlとを入れ、30℃で10
時間通気培養した(通気量は毎分 150ml)。なお、 pH
はNH3 にて 6.5に制御した。また、主培養開始後10時
間目よりフィード液(培地)の添加を開始した。
【0063】(3) フィード液のフィード速度制御方
法;実施例1におけると同じ方法であったが、初回フィ
ード速度を5ml/h とした。
【0064】比較例3(従来法) フィード液のフィード速度を副生物であるエタノール生
成速度(排気中のエタノールガスを測定)を指標として
制御した。すなわち、エタノール生成速度が設定値より
上昇したらフィード速度を下げ、設定値より下がったら
フィード速度を上げた。
【0065】第3表に実施例3と比較例3との比較をま
とめて示す。
【0066】
【表7】
【0067】実施例4(流加培養によるL−スレオニン
の発酵生産) 菌体再利用連続培養を流加培養に変えた以外は実施例1
に準じてブレビバクテリウム・フラバム(Brev. favum)
FERM BP−1173を使用してL−スレオニンを発酵
生産した。
【0068】ただし、培地、培養器、培養方法、培養タ
イムコース、フィード液のフィード速度制御方法は次の
通りであった。
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】(2) 培養器、培養方法; (a) 種培養: 500ml容フラスコに種培養培地30mlを入
れ、30℃で振蘯培養した。
【0072】(b) 主培養:1l容小型硝子製培養槽に
種培養液30mlと主培養培地 270mlとを入れ、30℃で通
気培養した(通気量は毎分 150ml)。なお、 pHはNH
3 にて7.5に制御した。
【0073】(3) 培養時間; (a) 種培養:40時間 (b) 主培養: 100時間 (c) フィード開始時期:主培養開始後20時間 (4) フィード液のフィード速度制御方法;実施例1に
おけると同じ方法であったが、初回フィード速度を 1.5
ml/hとした。
【0074】比較例4(従来法) pHを指標としてフィード液のフィードを制御した。す
なわち、 pHが設定値より上昇したらフィード液を0.5m
l/min の速度でオン・オフタイマーを用いて一定時間づ
つ添加した。
【0075】第4表に実施例4と比較例4との比較をま
とめ示す。
【0076】
【表10】
【0077】実施例5(流加培養によるグアノシンの発
酵生産) 菌体再利用連続培養を流加培養に変えた以外は実施例1
に準じてバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis) F
ERM BP−3601を使用してグアノシンを発酵生産し
た。
【0078】ただし、培地、培養器、培養方法、培養タ
イムコース、フィード液のフィード速度制御方法は次の
通りであった。
【0079】
【表11】
【0080】
【表12】
【0081】(2) 培養器、培養方法; (a) 種培養: 500ml容フラスコに種培養培地30mlを入
れ、30℃で振蘯培養した。
【0082】(b) 主培養:1l容小型硝子製培養槽に
種培養液30mlと主培養培地 270mlとを入れ、30℃で通
気培養した(通気量は毎分 200ml)。なお、 pHはNH
3 にて6.5に制御した。
【0083】(3) 培養時間; (a) 種培養:30時間 (b) 主培養: 150時間 (c) フィード開始時期:主培養開始後50時間 (4) フィード液のフィード速度制御方法;実施例1に
おけると同じ方法であったが、初回フィード速度を1ml
/hとした。
【0084】比較例5(従来法) pHの調節をNH3 を使用して行ない、 pHを指標とし
てフィード液のフィード速度を制御した。すなわち、 p
Hが設定値より上昇したらフィード速度を5%上げ、 p
Hの上昇が5時間なければフィード速度を10%落した。
【0085】第5表に実施例5と比較例5との比較をま
とめて示す。
【0086】
【表13】
【0087】
【発明の効果】本発明により、培養槽内の炭素源(基
質)濃度を低く(例えば、糖(炭素源)濃度を容易に5
g/l以下に更には3g/l以下にさえも)制御するこ
とができ、惹いては基質阻害効果を防止することがで
き、特に連続培養及び菌体再利用連続培養においては原
料の系外への流出を防ぐことができ、収率及び生産速度
を向上させ得る(それぞれ、1〜30%及び1〜30%)、
連続培養及び菌体再利用連続培養においては、生産物分
離工程への糖などの基質の流出を最低限に抑えることが
でき、分離工程への影響を殆んどゼロにし得る、基質濃
度の分析作業を皆無にし得る、全く人の監視無しで安定
に基質濃度の自動制御をし得る、などのメリットを得る
ことができるところとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の1例を示す。
【図2】実施例1に使用の装置を示す。
【図3】比較例1に使用の装置を示す。
【図4】実施例1におけるフィード培養の状況を示す。
【図5】同じく実施例1における糖濃度の制御状況を示
す。
【図6】比較例1における培養状況を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島崎 敬士 佐賀県佐賀郡諸富町大字諸富津450 味 の素株式会社 九州工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/00 C12M 1/36 C12Q 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素源フィード液を断続的に培養槽に添
    加する微生物の好気的流加培養、連続培養又は菌体再利
    用連続培養において、フィード液の初回添加は予め求め
    ておいたフィード速度でフィード液を一定時間添加する
    ことによって行ない、第2回目以降の添加はある添加期
    に先行する添加停止期において培養槽内炭素源(基質)
    が枯渇するときに生ずる pHの上昇又は溶存酸素濃度の
    上昇がコンピュータで検出されるときに開始しかつ該添
    加停止期の時間と該添加停止期に先行する添加期のフィ
    ード液のフィード速度とから該添加停止期の時間が長け
    ればより小さくそして短ければより大きくなるように該
    コンピュータで算出されるフィード速度で一定時間添加
    することによって行なうことを特徴とする微生物好気培
    養において培養槽内基質濃度を常に自動的に低レベルに
    維持するように制御する方法。
  2. 【請求項2】 (i) 槽内培養液の pH及び溶存酸素濃度
    をそれぞれ検出するセンサー及び通気攪拌装置を具備し
    フィード液を流量制御装置を介して受入れるようにした
    培養槽及び(ii)2個の信号変換機を具備するコンピュー
    タを含みかつ(a) pHセンサー及び溶存酸素濃度センサ
    ーによる pH及び溶存酸素濃度の検出値がそれぞれ一方
    の信号変換機を介してコンピュータに入力されるように
    センサーが接続されており及び(b) コンピュータの算出
    したフィード液フィード速度設定値が他方の信号変換機
    を介して流量制御装置に伝送されるように接続されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の方法を実施するため
    の装置。
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