JP2926984B2 - 抗血栓性血液処理システム - Google Patents

抗血栓性血液処理システム

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良蔵 寺田
和実 田中
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は抗血栓性に優れた医療用材料と抗血栓性かつ
耐汚染性および溶質透過性に優れた選択透過性中空糸膜
人工腎臓を組合わせた新規な抗血栓性血液処理システム
に関するものである。
背景技術 近年、CAVHを始めとして比較的長時間にわたる体外循
環を用いた血液浄化療法が行われるようになり、使用さ
れる医療材料も抗血栓性材料が数多くの開発がなされて
いるが、いまだヘパリンなどの抗凝固剤を全身投与し、
血液を非凝血性にすることによって血栓形成を防止して
いる。しかしながらヘパリンなどを全身投与すると出血
の危険性が著しく高くなるという大きな欠点があり、い
まだ安全に体外循環を行うシステムは存在しない。
また、特開昭60−22901号公報において親水性高分子
材料としてポリエチレンオキサイド単位を有する共重合
体を用いることが提案され、さらに特開昭57−14358号
公報においては塩化ビニルを主構成成分とするヘパリン
化親水性共重合体が,特開昭58−5320号公報においては
重合度5以上のポリエチレンオキサイド単位を含むポリ
塩化ビニル共重合体からなるグラフト共重合体が医療用
抗血栓性材料として開示されている。
しかしながら、かかる従来技術においては、個々の材
料の抗血栓性は大きく向上したものの、体外循環システ
ムとしての実用的な抗血栓性血液処理システムとしては
不十分であり、実際の体外循環においてはヘパリンなど
の抗凝固剤の使用は依然として不可欠であった。
本発明の目的は上記従来技術の欠点を鑑み、ヘパリン
などの抗凝固剤を使用せずに体外循環可能な完全な抗血
栓性体外循環システムを提供することにある。
発明の開示 本発明はポリエチレンオキサイド単位を有する共重合
体を含む選択透過性中空糸膜と、塩化ビニルを構成成分
として含むヘパリン化親水性共重合体またはポリエチレ
ンオキサイド単位を有する親水性共重合体を血液接触表
面に被覆したヘッダー、カテーテルおよび回路とを組合
わせてなる抗血栓性血液処理システムである。
図面の簡単な説明 第1図は本発明の血液処理システムの全体図、第2図
はカテーテルチューブとコネクターの接合部の断面図、
第3図は入口側ヘッダーの断面図である。
1,1′ :カテーテルチューブ 2,2′ :ねじ付きカテーテルコネクター 3 :コネクター 4,4′ :ねじ付きコネクター固定用キャップ 5,5′ :血液回路 6,6′ :採血部 7,7′ :コネクター 8 :血液導入口 8′ :血液導出口 9 :入口側ヘッダー 10,10′:シリコンパッキング 11 :内部空間 12,12′:シール材 13 :中空糸膜端面 14,14′:濾液排出口 15 :モジュールケース 16 :中空糸 17 :出口側ヘッダー 18 :輸液回路 a :血液回路入口 b :血液回路出口 c :カテーテルチューブ−コネクタ接着面 d :親水性共重合体被覆層 e :カテーテルコネクター−回路コネクター密着
箇所 f :被覆膜 g :中空糸内部空間 発明を実施するための最良の形態 本発明の選択的透過性中空糸膜とは抗血栓性を付与す
るためにポリエチレンオキサイド単位を有する共重合体
を含む必要があり、好ましくは重合度5以上のポリエチ
レンオキサイド単位と重合性炭素一炭素二重結合とを同
一分子内に有する重合性単量体(成分I)および重合性
炭素一炭素二重結合を有する単量体(成分II)からなる
共重合体を少なくとも構成成分とする選択透過性中空糸
膜である。
ここで成分Iとは、例ば一般式(1) (ここでn≧5、R1はH、CH3、R2は水酸基、C1〜C4
アルコキシ基またはOCHφ2で(φはフエニル基)であ
る)であらわされるアクリル酸、またはメタクリル酸エ
ステル類、 あるいは一般式(2) (n≧5、R1はHまたはCH3)であらわされるビニル単
量体などである。
成分IIとは成分Iと共重合可能な炭素−炭素二重結合
を含む単量体であり、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、酢酸ビ
ニル、塩化ビニル、スチレン、塩化ビニリデン、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリド
ン、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチ
レン、プロピレン、ブタジエンが挙げられる。
ここで特に成分Iとしてメトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、成分IIとしてアクリロニトリ
ルあるいはメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
ここで、成分IとIIの共重合体は任意の共重合形態を
とりうる。また得られた選択的透過性中空糸膜が各種成
分の付着抑制、優れた物質透過性などの特徴を持つため
には、選択透過性中空糸膜を構成する重合体中に、成分
I中に含有されるn≧5のポリエチレンオキサイド単位
が少なくとも1重量%以上含まれることが必要である。
好ましいポリエチレンオキサイド単位の含有率は3〜90
重量%である。
またポリエチレンオキサイド単位の重合度n<5では
紡糸の安定性が悪く、得られた膜は機械的強度が不十分
で使用することができない。好ましいポリエチレンオキ
サイド単位の重合度は9〜300、特に好ましくは20〜100
である。
本発明で用いられるヘッダー、カテーテル及び回路は
ポリウレタンを主成分(成分1)あるいはポリ塩化ビニ
ルを主成分(成分2)に代表される通常用いられる材料
からなるものが使用される。
成分1としてはポリウレタンの他に他ポリマー(例え
ばポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリジ
メチルシロキサンなど)とのブレンド物あるいはグラフ
ト、ブロック共重合体組成物がある。
また成分2ではポリ塩化ビニルの他に、塩化ビニルと
他のビニルモノマー、例えばエチレン、酢酸ビニル、塩
化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロ酸誘導体
などとの共重合体、またはポリ塩化ビニルおよびその共
重合体と他ポリマー(例えばポリウレタン、ポリメチル
メタクリレートなど)とのブレンド物、あるいは上記ポ
リマーとジオクチルフタレート、ジオクチルアセテート
などの直鎖二塩基酸エステル類あるいはリン酸エステル
類などの可塑剤とからなる軟質ポリ塩化ビニル組成物な
どがある。
この医療用成形物はその機械的性質、成形性などから
ポリウレタン(成分1)あるいはポリ塩化ビニル(成分
2)を30重量%以上含む組成物が好ましい。
前記成分1,2に代表される化合物からなる医療用成形
物は、少なくともその血液接触表面に塩化ビニルを構成
成分として含むヘパリン化親水性共重合体(A)層また
はポリエチレンオキサイド単位を有する親水性共重合体
(B)層を形成する必要がある。
塩化ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水性共
重合体(A)層は塩化ビニルと親水性成分とからなる共
重合体をヘパリン化することにより得られる。
ここでいう親水性成分についてさらに詳しく述べる
と、その単独重合により水溶性ポリマを与えるビニルモ
ノマであり、その代表的なものとしてはアクリルアミ
ド、メタクリルアミドおよびその誘導体、N−ビニルピ
ロリドン、グリセリンあるいはポリエチレングリコー
ル、メトキシポリエチレングリコールのメタクリル酸エ
ステル類、酢酸ビニル(重合後加水分解して水溶性のポ
リビニルアルコールとなる)およびこれらの共重合体な
どがあるが特にポリマ層内部にまでもヘパリンを均一に
含有し、また生理的条件下でも簡単にヘパリンが溶出し
て、血液性状に変化を生ぜしめたりせず、かつ長期間抗
血栓性を維持するためには親水性成分として3級アミノ
基あるいはその4級塩を側鎖に有するモノマを含んでい
ることが好ましい。その例としては、一般式 (R1はHまたはCH3、R2,R3はCH3またはC2H5、nは1〜
3)等で表されるアクリル酸またはメタクリル酸誘導体
およびその4級塩、さらに2−または4−ビニルピリジ
ンおよびその誘導体およびその4級塩などがある。
これらの成分を含む共重合体は任意の共重合形態を取
り得る。例えばランダム共重合体、グラフト、ブロック
共重合体等であるが、基材との接着性、抗血栓性と機械
的性質のバランス等からポリ塩化ビニルを幹ポリマとす
るグラフト共重合体が好ましく用いられる。
塩化ビニルと親水性成分は、基材との接着性、ヘパリ
ン化後のヘパリン含有量などからその比率(親水性成分
/塩化ビニル:重量比)が1/9〜8/2、好ましくは2/8〜7
/3の共重合体層を被コーティング基材上に共通溶媒を用
いて塗布することにより形成し、ついでヘパリン溶液と
接触させることで得られる。
塩化ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水性共
重合体(A)の医療用成形物への塗布方法はポリウレタ
ンおよび塩化ビニルを主成分とする被コーティング表面
に該共重合体を共通溶媒を用いて塗布し、コーティング
した共重合体層が所定の厚さになるまで塗布・乾燥工程
を繰返して行う。ここで基材と共重合体の共通溶媒とし
ては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、テトラハイドロフラン、
ジオキサンおよびこれらの混合溶媒が用いられるが成形
の容易さなどの点で沸点が30〜80℃のもの、たとえばテ
トラハイドロフランなどが好ましい。
ヘパリン化の条件は、ヘパリン濃度が0.5〜5重量%
のヘパリン水溶液中に好ましくは50〜80℃で数時間〜5
日間浸漬する。この場合、ヘパリン水溶液は0〜0.3Nの
NaClを含むことが好ましい。
ヘパリン化終了後、常温で1〜3日間真空乾燥し、所
定の滅菌操作を経て抗血栓性医療材料の製造を完了す
る。
ポリエチレンオキサイド単位を有する親水性共重合体
(B)とはポリエチレンオキサイド単位を含んでいれば
良いが、好ましくは (式中R1はHまたはCH3、R2はH、CH3またはC2H5、n≧
5の整数) で示される成分(a成分)5重量%以上と、塩化ビニル
単位を含むビニル重合体成分(b成分)95重量%以下と
からなる相対粘度0.2以上、さらに好ましくは0.5以上の
共重合体である。ここでnは十分な抗血栓性を得るため
に5以上とするのが好ましく、より好ましくは5〜30
0、さらに好ましくは10〜150である。また相対粘度と
は、N、N−ジメチルホルムアミドを溶媒として上記の
重合体を1g/100mlの濃度で溶解した溶液を25℃において
測定した相対粘度をいう。
ポリエチレンオキサイド単位を有する親水性共重合体
(B)は任意の共重合形態をとりうるが、a成分をb成
分にグラフトさせることよりなるグラフト共重合体が好
ましく用いられる。ここで、a成分として例えばポリエ
チレングリコールモノアクリル酸あるいはメタクリル酸
エステルが好ましく用いられる。b成分としては塩化ビ
ニル単位を含むビニル重合体ならいずれでも良く、例え
ば塩化ビニルホモポリマの他に塩化ビニルと酢酸ビニル
の共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびエチレンの
三元共重合体などがあるが、共重合体の場合にはポリ塩
化ビニルの有する多くの特色を生かすため,特に塩化ビ
ニル単位を10重量%以上含むことが好ましい。
かくして得られたアクリル酸、メタクリル酸エステル
単量体aを成分bにグラフトする方法としては、例えば
ベンゾイルパーオキシドなどの水素引き抜き型ラジカル
開始剤を用い、b成分存在下にaを熱重合し連鎖移動に
より、グラフト重合体を得る方法なども用いることが出
来るが、b成分に光官能基を導入し、その光分解から生
成するラジカルによりa成分をb成分にグラフトするい
わゆる光グラフト重合が活性点の量、構造、位置などを
規定することが出来、また高グラフト率のグラフト重合
体を得ることが出来るため好ましい方法である。
この様な光官能基としてはN,N−ジアルキルジチオカ
ルバメート基が好ましく、特にジエチルジチオカルバメ
ート基(DTC基)が導入の容易さ、生成物の安定性など
から好ましく用いられる。例えばN,N−ジメチルホルム
アミド中で塩化ビニル単位を含む重合体成分とジエチル
ジチオカルバミン酸ナトリウム塩を混合し、50〜60℃に
加熱することにより容易にDTC基を含有する光官能性幹
ポリマbを得ることができる。
b成分に対するモノマaの光グラフト重合はaとbを
テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、シクロヘ
キサノンなどの溶媒に溶解し、不活性ガス気流下で高圧
水銀灯等を用い紫外部の波長を有する光を照射すること
により容易におこなわれる。
a成分とb成分のグラフト共重合体は比率は任意の割
合で重合し得るが、前者が5重量%以上で共重合の効果
が出現しはじめて好ましく、さらに好ましくは10重量%
以上である。この条件を満たす範囲で、さらにa成分と
共重合可能なビニル単量体(c成分)を加えることがで
きる。
c成分としては例えばメタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど
のメタクリル酸エステル類、スチレン、酢酸ビニルなど
がある。
上記のようにして得られるポリエチレンオキサイド単
位を有する親水性共重合体(B)のポリウレタンあるい
は塩化ビニルを主成分とする医療用基材への塗布方法
は、塩化ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水性
共重合体(A)の場合と同様に行われる。
本システムにおいて、選択的透過性中空糸膜以外のシ
ステムを構成する各部材は各部材ごとに親水性重合体
(A)、(B)を選び塗布することもできるが、
(A)、(B)どちらか一方に統一して用いた方が好ま
しい。
塩化ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水性共
重合体(A)層あるいはポリエチレンオキサイド単位を
有する親水性共重合体(B)層の厚みは、塗布液中の共
重合体濃度(1〜50重量%が好ましい。)および塗布回
数により規定されるが、長期間、少なくとも1日以上、
体内で有効な抗血栓性を発揮するためには、1μm以上
好ましくは5μm以上の厚みがよい。
塗布後の乾燥工程は空気、窒素あるいはアルゴン雰囲
気中で好ましく行われ、乾燥温度は用いる溶媒の種類に
よって異なり、室温〜100℃の範囲である。
次いで共重合体層が塗布された医療用成形物は、残留
溶媒、未反応モノマー、触媒、重合禁止剤などの不純物
を除去するために水、メタノールなどの中で常温〜沸点
の温度範囲で抽出される。基材として可塑剤を含む軟質
ポリ塩化ビニル成形品を用いる場合には、上記不純物除
去効果と可塑剤溶出防止効果の点から水を50%以上含む
抽出媒体、例えば水/メタノール=2/1(容量比)など
が好ましい。
有機媒体として、ポリ塩化ビニルに対しメタノールよ
り親和性の大きな媒体、例えばアセトンなどを用いる場
合、好ましい比率は、より水分の多い方へ移行すること
はいうまでもない。
かくして得られた親水性共重合体(A)、(B)を用
いて、成形物の形状を変えることなく抗血栓性を付与す
ることにより、始めてヘパリンを使用しなくても長時間
体外循環が可能な抗血栓性血液処理システムを提供する
ものである。
以下に図を用いて本発明を説明する。しかし本発明は
これによって限定されるものではない。
抗血栓性血液処理システムを第1図に示す。
本発明の抗血栓性血液処理システムは大きく分けてカ
テーテル部、回路部、モジュール部、の区分から成立っ
ている。
本システムのカテーテル部はポリウレタンを主成分と
する医療用成型カテーテルチューブ1,1′とポリ塩化ビ
ニルを主成分とするカテーテルコネクター2,2′からな
る。カテーテルチューブとコネクターの接着部(第2図
において)はカテーテルチューブ1,1′と同一内部空間
を有するところの雄型コネクター2,2′からなり、更に
コネクター2,2′はカテーテルとの接着面cから血液回
路5の内部空間に同じになるようテーパー角を有し、そ
の角度は、0〜45度好ましくは0〜15度である。またカ
テーテルコネクター2,2′は接合を完全にするためコネ
クター固定用キャップ4,4′を併用するのが好ましく、
さらに該コネクターおよびコネクターキャップはねじ部
を有しているものが好ましく用いられる。
さらに親水性高分子共重合体(A)または(B)を連
続した被覆でカテーテルチューブ1,1′の内外面に被覆
dされ、さらにカテーテルコネクター2,2′の内面から
外面部に連続した被覆dを形成し従来のカテーテルに見
られる不連続突起を無くした、すなわち接合部分の段差
を無くした血液接触表面をもつ抗血栓性カテーテルを提
供する。
本システムの回路部はポリ塩化ビニルを主成分とする
血液導入側回路3〜7と血液返却側回路3′〜7′およ
び輸液回路18を有する。血液導入側および返却側回路
は、回路の接着などによる表面突起のない血液接触表面
を有するため血液導入口aから出口bまで一本のチュー
ブ5,5′を用い、さらにカテーテル、モジュールのヘッ
ダーに接続する雌型コネクター3,7,3′,7′を有する。
血液回路およびコネクターの内面を、親水性高分子材料
である塩化ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水
性共重合体(A)またはポリエチレンオキサイド単位を
有する親水性共重合体(B)で連続した被覆dを形成さ
せた。
なお血液回路5,5′には採血部6,6′を、返血血液回路
5′には親水性共重合体(A)または(B)で被覆した
輸液回路18を設けるのが好ましい。
本システムの第三はポリ塩化ビニルを主成分とする血
液入口側の横入型ヘッダー9と血液出口側のヘッダーは
円錐型ヘッダー17または血液入口側と同型の横入型ヘッ
ダー9からなる人工腎臓モジュール部である。血液横入
型ヘッダー9は滞留を防ぐため入口側内部空間11の接線
方向に開口した血液導入口8を有するものが用いられ
る。この接線方向とは中空糸膜束の端面13に対し、ある
程度の角度を持つことが許容される。すなわち端面13に
対し0〜50度、好ましくは0〜30度の導入角度を有する
ものである。さらに入口側内部空間11の高さは血液導入
口8の孔径によって決まるが、血液導入口8の内径に対
し入口側内部空間11の高さは1〜5倍長、さらに1〜2
倍長の高さを有するのが好ましい。該内部空間の内径が
該中空糸膜束の外径より0〜2mm、より好ましくは内部
空間の内径が中空糸膜束の外径と等しいものが好まし
い。
血液導入口8は中空糸膜の全体に均一な流れを得るた
め、横入型ヘッダ9の入口側内部空間11の上部に接する
のが好ましく、さらに該内部空間は中空糸の開口端面13
に向かって中央部に円錐状の張出しを設けるのがさらに
好ましい。
さらにこのヘッダーの血液接触面は親水性高分子材料
である塩化ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水
性共重合体(A)またはポリエチレンオキサイド単位を
有する親水性共重合体(B)で、第3図に示すようにヘ
ッダーの内面を連続した被覆膜dを形成させてなり、血
液が常に流動状態を維持できる形態を得て血栓形成の抑
制に大きな効果を得る。さらに第3図に示す如く該中空
糸膜束の端面13より中空糸内部空間gに導く該中空糸膜
束の入口側の端面13と該中空糸膜束の出口側の端面13′
に、端面から中空糸膜外壁接合部分の中空糸膜内壁部に
連通した被覆処理fを殆ど形状を変えることなく、抗血
栓性材料を中空糸膜束端面にスプレーで噴霧しながら同
時に逆側の端面より乾いた空気または窒素を吸込んで中
空糸を閉塞させることなく均一で自由な厚みの被覆処理
を行うことが好ましい。該抗血栓性材料とは通常の抗血
栓性材料、例えば医療用架橋シリコーン、または親水性
共重合体(A)または(B)が用いられ、0.2〜5μ、
好ましくは0.2〜2μの厚さで行なうのが好ましい。さ
らに抗血栓性の面から、親水性高分子材料である塩化ビ
ニルを構成成分として含むヘパリン化親水性共重合体
(A)またはポリエチレンオキサイド単位を有する親水
性共重合体(B)で中空糸膜束端面に連通した被覆膜f
を形成するのが好ましい。
本発明ではカテーテル、回路、ヘッダーの接合内面が
不連続突起を持たないことが好ましい。すなわち、カテ
ーテルチューブ、コネクターおよびカ血液回路の接合
は、第2図に示したごとく内表面の接合部分に段差がな
く、血液接触表面は親水性共重合体(A)または(B)
で被覆dしておくのが好ましい。すなわちカテーテルチ
ューブ1,1′とテーパーを有するカテーテルコネクター
2,2′はその接合部において同一半径を有し、またカテ
ーテルコネクター2,2′、回路コネクター3,3′と血液回
路5,5′はその接合部において同一半径を有し、さらに
血液回路5,5′とヘッダー血液導入口8、血液導入出口
8′がその接合部において同一半径を有するのが好まし
い。
さらに親水性重合体(A),(B)による血液接触面
への被覆は第2図に示すごとく、接合による密着箇所e
まで被覆dすることで、より安全な抗血栓性血液回路を
提供するものである。
これらの抗血栓性カテーテル、回路、ヘッダー、選択
透過性中空糸モジュールを組合わせることにより、全て
の血液接触表面が優れた抗血栓性医療用材料で被覆され
てなる本発明の抗血栓性血液処理システムが完成する。
このような医療材料の抗血栓性は、in vitro、in viv
o、ex vivoなど、その用途に応じた各種評価方法で評価
されるが、これらの評価の結果、本発明による医療材料
は、長時間、極めてすぐれた抗血栓性を有することが明
らかとなった。
[実施例] 以下に実施例によって本発明を説明する。
なお主要部材は下記のサイズのものを用いた。
内径2.7mm、長さ150mmのカテーテルチューブ1,1′,
内径4mm、長さ60cmの血液回路5,5′,長さ17mmのカテー
テルコネクター2,2′,内径25mm、張り出しの高さ5.5m
m、内径4mmの血液導入口を持ったヘッダー9 実施例1 光グラフト活性ポリ塩化ビニル(DTC化ポリ塩化ビニ
ル)30g、エチレングリコール部分の重合度20〜23のメ
トキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステ
ル40g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル20gを1の
テトラヒドロフランを溶媒として内部浸漬型光反応装置
を用いて100Wの高圧水銀灯で6時間照射し光グラフト重
合を行ない、グラフトポリマーを得た。
本発明の血液処理システム用ポリウレタン製カテーテ
ルおよび血液処理システム用ポリ塩化ビニル製血液回路
(いずれも接続コネクターも含む)と血液処理システム
用モジュール(選択透過性中空糸膜を有する)を構成す
る部材であるところのポリ塩化ビニル製ヘッダーのう
ち、とくに生体や血液に接触する表面に第1〜3図に示
すように、このポリマー溶液を溶媒としてテトラヒドロ
フランを用いてコーティングした。
コーティング回数は2回で、乾燥は常温(22℃)の窒
素気流中で行われた。コーティング層の厚みは15μmで
あった。
乾燥終了後60℃の水/メタノール(2/1:容量cc1)混
合媒体を用いて、残存モノマー、溶媒などを1日抽出
後、2重量%のヘパリンを含有するNaCl 0.1N水溶液に
浸漬し、60℃で3日間ヘパリン化を行った。次いでイオ
ン交換水により、未結合ヘパリンおよび残留塩を除去
し、常温(22℃)で2昼夜真空乾燥した。ヘパリン化層
のヘパリン含有量をX線マイクロアナライザーによるヘ
パリンに含有されるイオウ原子の定量より測定したとこ
ろ21重量%であった。
血液処理システム用モジュールの選択透過性中空糸膜
はアクリルニトリル154重量部とポリエチレンオキサイ
ド単位の重合度90からなるメトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート“M900G"32重量部をジメチルス
ルホキシド(DMSO)828重量部に加え、重合開始剤とし
て2.2′−アゾビス−2.4−ジメチルバレロニトリル(以
下ADVNと略)1.4重量部を添加し、41℃で8時間重合し
た後、水/メタノールで再沈、精製して“M−900G"共
重合ポリアクリルニトリルを得た。該共重合体中のポリ
エチレンオキサイド単位含有量は30wt%であった。
該共重合体84.8gにポリアクリルニトリル75.2gをブレ
ンドしDMSO840gに100℃で16時間撹拌溶解して均一透明
な紡糸原液を得た。この紡糸原液の粘度は70℃で824ポ
イズであった。
この紡糸原液を紡糸装置の原液貯槽に移した後、85
℃、15時間の静置、脱泡を行った。
該紡糸装置は貯槽の他、ギアポンプ、吐出部からな
る。
この紡糸装置に外径0.6mm、内径0.3mmの環状オリフィ
スからなる口金孔内に中空細管を有する口金を装着し、
中空細管から窒素ガスを注入しつつギアポンプにより紡
糸原液を1.2g/minの割合いで空中に吐出した。口金面か
ら乾式部分の長さは7mmで37℃、9%DMSO水溶液からな
る凝固浴に通過させた後、水洗、熱処理を施して20m/mi
nの速度で巻取った。
このようにして得られたポリエチレンオキサイド単位
を有する選択透過性中空糸膜をプラスチック製のモジュ
ールに挿入し、ポリウレタン系のポッティング剤を用い
て、中空糸内径300μ、有効長140mm、有効膜面積が0.25
m2の血液処理システム用モジュールを作製した。
重合度1100のポリ塩化ビニル36gと重合度100のポリエ
チレングリコール単位を有するメトキシポリエチレング
リコールモノメタリレート(M−100G)400gを1のテ
トラハイドロフランに溶解し光源外部型光重合装置中で
高圧水銀灯を用いて、30℃で8時間アルゴン気流下に光
照射し、ポリ塩化ビニルにM100Gがグラフトしたグラフ
ト共重合体を得た。これを水/メタノール中に再沈し、
更にメタノール中で抽出、精製を行い残存モノマ、不純
物を除去した後、風乾した。このようにして得られたグ
ラフト共重合体ポリマをテトラハイドロフランでポリマ
濃度が2wt%になるよう調整し、40℃で一晩の撹拌溶解
を行い、遠心で精製し室温の窒素下で成膜したところ、
含水率63%であった。このようにして得られたグラフト
共重合体ポリマをモジュール端面の抗血栓化に用いた。
抗血栓化処理方法は端面にスプレーでグラフト共重合体
ポリマ溶液を噴霧した後、モジュールの逆側より乾燥窒
素あるいは酸素を吹込み中空糸の連通部を確保した。こ
の操作をモジュールの逆側の端面にも行い、ヘパリン化
処理したヘッダーを端面に被覆したポリマ溶液が乾く前
に溶着させ入側ヘッダーから出側ヘッダーまで抗血栓性
が連通してなる血液処理システム用モジュールを得た。
ここで得られた血液処理システム用モジュールに上記
でのヘパリンを付与したカテーテル、回路を接続し、血
液処理システムとした。
上記血液処理システムを用いて、成犬(12kg前後)17
匹を用いて、ペントバルビタールソーダを静注すること
によって麻酔を行ない、大腿動静脈の露出切開を行な
い、入側のカテーテルは動脈に、出側のカテーテルは静
脈に血管を切開し、約10cm挿入した。カテーテルを挿入
後、直ちに回路、モジュールを接続し、回路に超音波血
流計を装着して、血液の体外循環を開始した。体外循環
中でのヘパリン使用は行わず、システム全体の血栓形成
や、血栓等による血液循環不良までの時間(血流量が80
ml/min以下)を測定した。
また血液循環の停止と同時に、入側のカテーテルを動
脈から取出し生食水(80ml/min)でシステム全体の血液
を洗浄した。
その後、血栓付着状況の観察や血栓の付着していない
部分を採取してアミノ酸分析により付着蛋白量を測定し
た。
この結果、体外循環時間において24症例(17匹)の
内、17症例に6時間以上(最長24時間)のヘパリンを使
用しない系での循環が可能であった。
血液成分(蛋白量)の付着量は表1に示すごとく平均
30μg/cm2である。また血球成分(血小板、白血球、赤
血球など)の付着はカテーテルと回路、ヘッダーに血小
板がわずか付着しているのみであり、優れた生体適合性
を示した。
比較例1 実施例1で用いたポリウレタンカテーテルとポリ塩化
ビニルからなる回路、ヘッダーに塩化ビニルを構成成分
として含むヘパリン化親水性共重合体をコーティングせ
ず、またポリメチルメタクリレート系ポリマーに親水性
共重合体を含まない中空糸膜束からなる、モジュールを
組合わせて血液処理システムを得た。
この血液処理システムを用いて実施例1と同様に成犬
7匹(10症例)で血液体外循環を行なったこの結果10症
例のいずれの場合も、血栓形成は肉眼で進行状態が判断
可能なほど速く、15分〜60分で血流量が停止した。また
血栓が形成されていない部分の材料表面にも血小板、白
血球、赤血球の粘着や付着が観察された。蛋白付着量も
180μg/cm2であった。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明の血液処理システムは血液接触
表面全体に抗血栓性を付与するものであり、本発明によ
り、はじめてヘパリンを体内に投与せず長時間体外循環
が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61M 1/18 517 A61M 1/14 530 A61L 33/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレンオキサイド単位を有する共重
    合体を含む組成物から成る選択透過性中空糸膜と、塩化
    ビニルを構成成分として含むヘパリン化親水性共重合体
    またはポリエチレンオキサイド単位を有する親水性共重
    合体を血液接触表面に被覆したヘッダー、カテーテルお
    よび回路とを組み合わせてなる抗血栓性血液処理システ
    ム。
  2. 【請求項2】ヘッダー、カテーテルおよび回路の接合内
    面が不連続突起を持たないことを特徴とする請求の範囲
    第1項記載の抗血栓性血液処理システム。
  3. 【請求項3】選択透過性中空糸膜が重合度5以上のポリ
    エチレンオキサイド単位と重合性炭素−炭素二重結合と
    を同一分子内に有する単量体および重合性炭素−炭素二
    重結合を有する単量体からなる共重合体を含む組成物か
    らなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の抗血栓
    性血液処理システム。
  4. 【請求項4】内表面に塩化ビニルを構成成分として含む
    ヘパリン化親水性共重合体層またはポリエチレンオキサ
    イド単位を有する親水性共重合体層を形成してなる抗血
    栓性ヘッダーであって、該ヘッダーの内部空間の接線方
    向に開口した血液導入口を有し、さらに開口した血液導
    入口の内径に対し入口側内部空間の高さは1〜5倍長の
    高さを有し、該内部空間の内径が該中空糸膜束の外径よ
    り0〜2mm大きく、該血液導入口が該ヘッダー内部空間
    の上部に接し、かつ該内部空間が中空糸の開口端面に向
    かって中央部に円錐状の張出しを有することを特徴とす
    る抗血栓性ヘッダー。
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