JP2925835B2 - レーザ加工装置用手首構造 - Google Patents

レーザ加工装置用手首構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザ加工機やレー
ザロボットなどのレーザ加工装置に用いられるレーザ加
工装置用手首構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は例えば特公昭62−45033号
公報に示された従来のレーザ加工装置用手首構造を示す
断面図である。図において、1はレーザ光線Lを照射す
る集光ヘッドであり、2はそのレーザ光線集光用の集光
レンズ、3はその焦点位置である。4は当該手首構造の
支持枠、5はこの支持枠4に固定されたモータであり、
6はモータ5の出力を直動に変換するねじ軸、7は前記
集光ヘッド1を支持してねじ軸6による直動をガイドす
る案内ロッドである。8はこのように構成された手首構
造を持つレーザ加工装置によって加工されるワークであ
る。
【0003】次に動作について説明する。従来のレーザ
加工装置用手首は上記のように構成され、ワーク8の高
さを計測する図示を省略した変位計の出力に応じて、モ
ータ5を正逆転させ、このモータ5の回転をねじ軸6に
よって直動に変換し、集光ヘッド1を高さ方向に動かす
ことにより焦点位置3をワーク高さに応じて調整するよ
うになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーザ加工装置
用手首構造は以上のように構成されているので、レーザ
加工装置の先端部分にモータ5、直動変換用ねじ軸6や
歯車、プーリ、ベルトなどの伝達機構、案内ロッド7な
どの直動ガイド機構が配置されることとなり、この構造
を放物面鏡により集光を行う大出力のレーザ加工装置に
用いると、レーザ加工装置先端の重量や形状が大きくな
って、ベース側のアクチュエータの負荷が大きくなって
しまうばかりか、ワーク8と干渉しやすく、また、この
ようなレーザ加工装置を用いて突合せ溶接を行う場合、
ワーク8のばらつきによるギャップの許容値が極めて小
さくなるなどの問題点があった。
【0005】請求項1および2に記載の発明は、以上の
問題点を解消するためになされたものであり、放物面鏡
集光方式のレーザ加工装置に使用する、小形・軽量な焦
点位置高さ調整用ハイト軸が構成できるレーザ加工装置
用手首構造を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係るレーザ加工装置用手首構造は、レーザ光線の進路を
変更させて放物面鏡に導くベンドミラーを揺動させる第
1のアクチュエータ、そのレーザ光線をワーク上に集光
させる前記放物面鏡を揺動させる第2のアクチュエー
タ、および、これら第1のアクチュエータと第2のアク
チュエータとを協調して動作させ、前記レーザ光線の焦
点を高さ方向に調整自在にするコントローラを設けたも
のである。
【0007】また、請求項2に記載の発明に係るレーザ
加工装置用手首構造は、第1および第2のアクチュエー
タ中の一方を直交した2軸のまわりに揺動する2自由度
構成とし、他方を1軸のまわりに揺動する1自由度構成
としたものである。
【0008】
【作用】請求項1に記載の発明における第1および第2
のアクチュエータは、コントローラによって制御され
て、レーザ光線の進路を変更させて放物面鏡に導くベン
ドミラー、およびそのレーザ光線をワーク上に集光させ
る前記放物面鏡を協調して揺動させることにより、小形
・軽量な焦点位置高さ調整用ハイト軸が構成できるレー
ザ加工装置用手首構造を実現する。
【0009】また、請求項2に記載の発明における第1
および第2のアクチュエータは、その一方を直交した2
軸のまわりに揺動する2自由度構成、他方を1軸のまわ
りに揺動する1自由度構成とすることにより、小形・軽
量な焦点位置高さ調整用ハイト軸が構成できるレーザ加
工装置用手首構造を実現する。
【0010】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の実施例1を図について説明する。図1
はこの発明の一実施例によるレーザ加工装置用手首構造
を示す断面図であり、図2はそこで用いられる第1のア
クチュエータの構成を示す断面図、図3は同じく第2の
アクチュエータの構成を示す断面図である。図におい
て、1は集光ヘッド、3はレーザ光線Lの焦点位置、8
はワークであり、図9に同一符号を付した従来のそれら
と同一、あるいは相当部分であるため詳細な説明は省略
する。
【0011】また、11はレーザ光線Lの進行方向を変
えるベンドミラーであり、12はベンドミラー11にて
進行方向が変更されたレーザ光線Lを焦点位置3に集光
させる放物面鏡である。13は前記ベンドミラー11を
揺動させる第1のアクチュエータであり、14は放物面
鏡12を揺動させる第2のアクチュエータである。15
は当該手首構造のアーム、16はその手首回転入力軸で
あり、17はこの手首回転入力軸16とともに回転する
第1のベベルギア、18は第1のベベルギア17とかみ
合う第2のベベルギア、19はこれら第1および第2の
ベベルギア17,18のベアリングである。
【0012】20は第1のアクチュエータ13内のY軸
まわりの弾性支軸、21および22はY軸まわりの揺動
用電磁石であり、23および24はこの電磁石21ある
いは22に吸引される鉄片である。25はベンドミラー
11のY軸まわりの傾きを検出する変位センサ、26は
ベンドミラー11が取り付けられて、弾性支軸20で支
持されたベンドミラー揺動板、27はこれらを収納した
第1のアクチュエータ13の支持枠体である。
【0013】28は第2のアクチュエータ14内のY軸
まわりの弾性支軸、29は同じくX軸まわりの弾性支軸
であり、30および31はY軸まわりの揺動用電磁石、
32および33はX軸まわりの揺動用電磁石である。3
4および35は電磁石30あるいは31によって吸引さ
れる鉄片、36および37は電磁石32あるいは33に
よって吸引される鉄片であり、38は放物面鏡12のY
軸まわりの傾きを検出する変位センサ、39は同じくX
軸まわりの傾きを検出する変位センサである。40は放
物面鏡12が取り付けられて弾性軸28および29で支
持された放物面鏡揺動板であり、41はこれらを収納し
た第2のアクチュエータ14の支持枠体である。
【0014】また、42は第1のアクチュエータ13の
電磁石21,22への通電と、第2のアクチュエータ1
4の電磁石30,31および32,33への通電を制御
して、ベンドミラー11と放物面鏡12とを協調して揺
動させるコントローラである。
【0015】次に動作について説明する。レーザ光線L
はベンドミラー11により進行方向を変えられ、放物面
鏡12に入射し、焦点位置3に集光される。手首回転入
力軸16の回転は第1のベベルギア17、第2のベベル
ギア18により集光ヘッド1に伝達され、集光ヘッド1
はA軸まわりに回転する。第1のアクチュエータ13ま
わりについて見ると、ベンドミラー11は第1のアクチ
ュエータ13のベンドミラー揺動板26に固定され、ベ
ンドミラー揺動板26はその中央で弾性支軸20により
支持されて、第1のアクチュエータ13の支持枠体27
に対してY軸まわりに揺動可能に懸架されている。この
支持枠体27には電磁石21および電磁石22が固定さ
れており、ベンドミラー揺動板26に取り付けられた鉄
片23あるいは鉄片24と間隙を隔てて対向している。
従って、コントローラ42より電磁石21に通電すれ
ば、対向して配置された鉄片23が吸引されて、ベンド
ミラー揺動板26に固定されたベンドミラー11が、Y
軸の正方向から見て時計まわりに回動する。同様にし
て、電磁石22の通電により、ベンドミラー11がY軸
の正方向から見て反時計まわりに回動する。以上の動作
によるベンドミラー揺動板26の傾きを変位センサ25
によって検出し、コントローラ42から各電磁石21,
22への印加電流を制御する。
【0016】次に第2のアクチュエータ14まわりにつ
いて見ると、放物面鏡12は第2のアクチュエータ14
の放物面鏡揺動板40に固定され、放物面鏡揺動板40
はその中央で弾性支軸28によりY軸まわりに、弾性支
軸29によりX軸まわりに、ジンバル状に支持されて、
第2のアクチュエータ14の支持枠体41に対して揺動
自在に懸架されている。この放物面鏡揺動板40は正方
形をしており、その4辺には、それぞれ鉄片34〜37
が固定されており、第2のアクチュエータ14の支持枠
体41には、電磁石30〜33がそれぞれ鉄片34〜3
7と間隙を隔てて対向している。従って、コントローラ
42より電磁石30に通電すれば、鉄片34が吸引され
て、放物面鏡揺動板40に固定された放物面鏡12が、
Y軸の正方向から見て時計まわりに回動する。同様にし
て、電磁石31の通電により、放物面鏡12がY軸の正
方向から見て反時計まわりに回動する。また、電磁石3
2および33への通電によって、放物面鏡12は同様に
してX軸まわりに回動する。以上の動作による放物面鏡
揺動板40の傾きを、変位センサ38と39によって検
出し、コントローラ42から各電磁石30〜33への印
加電流を制御する。
【0017】ここで、放物面鏡12の性質について説明
しておく、図4に示すように、レーザ光線Lが放物面鏡
12に入射する場合を、説明の簡単化のために2次元で
考える。放物面鏡12の放物面の方程式はfを焦点距離
とすると、次式で与えられる。
【0018】 X=Z2 /2f
【0019】また、反射光の方程式は次式のように与え
られ、レーザ光線Lが図中の一点鎖線から実線のように
平行にずれても焦点位置3が変わることはない。
【0020】 X=a1 Z+b11 =tan{2・tan-1(Z/f)−(π/2)} b1 =(Z2 /2f)−a1
【0021】次に、レーザ光線Lの角度ずれについて、
図5を基に検討する。レーザ光線Lが図中の一点鎖線か
ら実線のように角度θずれて放物面鏡12に入射する場
合について考える。この場合の実線のレーザ光線の反射
光の方程式は次式で与えられる。
【0022】 X=a2 Z+b22 =tan{2・tan-1(Z/f)−(π/2)−θ} b2 =(Z2 /2f)−a2
【0023】このように、放物面鏡12に入射するレー
ザ光線Lが傾くと、焦点位置3は傾き角に応じて変化す
る。図6に、焦点距離fが254mmの場合について、
入射するレーザ光線Lの傾き角θとX方向の焦点位置3
の変化量ΔXおよびZ方向の焦点位置3の変化量ΔZと
の関係を示す。このように焦点位置3の変化量ΔXおよ
びΔZは、入射するレーザ光線Lの傾き角θと比例関係
にあることがわかる。
【0024】次に、このような放物面鏡12の性質を利
用して、焦点位置高さを調整する方法について説明す
る。その概念図を図7に示す。図7(a)に示すよう
に、第1のアクチュエータ13を制御して、ベンドミラ
ー11をY軸の正方向から見て反時計方向にθ傾ける
と、ベンドミラー11で反射されたレーザ光線LはY軸
の正方向から見て反時計方向に2θ傾く。このベンドミ
ラー11で反射されたレーザ光線Lが放物面鏡12に入
射するわけであるが、放物面鏡12を第2のアクチュエ
ータ14を制御することにより、ベンドミラー11に同
期させてY軸の正方向から見て反時計方向にθ傾ける
と、焦点位置3の変化はX方向にはキャンセルされて無
くなり、Z座標の負方向にのみ移動する。
【0025】これは、次のように考えることができる。
すなわち、ベンドミラー11で反射されたレーザ光線L
はY軸の正方向から見て反時計方向に2θ傾いており、
これに対して放物面鏡12をY軸の正方向から見て反時
計方向にθ傾けるわけであるから、放物面鏡12に対す
る入射レーザ光線Lの相対的な傾き角はY軸の正方向か
ら見て反時計方向にθとなる。したがって、まず放物面
鏡12を固定して入射レーザ光線がY軸の正方向から見
て反時計方向にθ傾く場合について考え、最後に放物面
鏡12をY軸の正方向から見て反時計方向にθ傾ける場
合について考えれば良い。放物面鏡12を固定して入射
レーザ光線がY軸の正方向から見て反時計方向にθ傾く
場合は、焦点位置3は図5および図6に示したように変
化する。次に、放物面鏡12をY軸の正方向から見て反
時計方向にθ傾けると、焦点位置3はX方向の変化がキ
ャンセルされて無くなるため、高さ方向(Z方向)にの
み変化する。
【0026】同様に、図7(b)に示すように、ベンド
ミラー11をY軸の正方向から見て時計方向にθ傾け、
放物面鏡12をベンドミラー11に同期させてY軸の正
方向から見て時計方向にθ傾けると、焦点位置3はZ座
標の正方向にのみ移動する。以上のような方法により、
焦点位置高さを調整することが可能となる。
【0027】手首回転入力軸16の回転が、第1のベベ
ルギア17および第二のベベルギア18を介して集光ヘ
ッド1に伝達され、集光ヘッド1がA軸まわりに回動す
る場合は、第2のアクチュエータ14は2自由度構成で
あるため、このA軸まわりの回転に同期して、ベンドミ
ラー11の傾き方向と同じ方向に放物面鏡12を傾けれ
ばよい。
【0028】次に、図1に示すように構成されたレーザ
加工装置用手首構造を用いて、2つのワークの突合せ溶
接などを行うのに適したレーザ加工方法について説明す
る。レーザ光線Lを用いた溶接は、集光したときのビー
ムスポット径が小さくエネルギー密度が高いためにビー
ド幅が狭く、深溶け込みが可能という特長を持つ反面、
高い位置精度が必要であり、前にも説明したように、突
合せ溶接の際に生じるワークのばらつきによるギャップ
の許容値が小さいという欠点がある。図8はそのような
突合せ溶接などに用いて有効なレーザ加工方法を示す説
明図である。図において、44は突合せ溶接が行われる
加工部としての、2つのワーク8の突合せ部であり、4
5は加工方向、46はレーザ光線Lの焦点位置3の軌跡
である。2つのワーク8の突合せ部44は各ワーク8の
ばらつきによるギャップを持つため、突合せ部44に沿
ってレーザ光線を移動させるだけでは溶接しにくい。そ
こで、たとえばレーザ光線Lの焦点位置3が図8に46
で示す軌跡上を移動するように、加工方向45に対して
レーザ光線Lを微小に振れば、効率的に溶接を行うこと
ができる。そのためには、図1および図3に示した第2
のアクチュエータ14をコントローラ42で制御して、
放物面鏡12を2自由度に揺動させればよい。
【0029】実施例2. なお、上記実施例ではアクチュエータに電磁石を用いた
ものを示したが、圧電素子、磁歪素子、リニアモータ、
サーボモータなど、ベンドミラーおよび放物面鏡を揺動
できるメカニズムを有するものであれば、他のものを用
いてもよく、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0030】実施例3. また、上記実施例では第1のアクチュエータとして1自
由度構成のものを、第2のアクチュエータとして2自由
度構成のものを用いた場合について述べたが、これらを
入れ換えてもよく、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0031】実施例4. さらに、上記実施例では、突合せ溶接時にレーザ光線の
焦点を微小に振るために第2のアクチュエータを制御す
るものについて説明したが、第1のアクチュエータを制
御するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明に
よれば、ベンドミラーを揺動させる第1のアクチュエー
タと、放物面鏡を揺動させる第2のアクチュエータとを
コントローラの制御で協調して作動させるように構成し
たので、放物面鏡集光方式によるレーザ加工装置に使用
する、小形・軽量な焦点位置高さ調整用ハイト軸が構成
できるレーザ加工装置用手首構造が得られる。
【0033】また、請求項2に記載の発明によれば、前
記2つのアクチュエータ中の一方を2自由度構成、他方
を1自由度構成とするように構成したので、放物面鏡集
光方式によるレーザ加工装置に使用する、小形・軽量な
焦点位置高さ調整用ハイト軸が構成できるレーザ加工装
置用手首構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1によるレーザ加工装置用手
首構造を示す断面図である。
【図2】上記実施例における第1のアクチュエータの構
成を示す断面図である。
【図3】上記実施例における第2のアクチュエータの構
成を示す断面図である。
【図4】放物面鏡への入射レーザ光線が平行にずれた場
合の反射光線を示す説明図である。
【図5】放物面鏡への入射レーザが傾いた場合の反射光
線を示す説明図である。
【図6】放物面鏡への入射レーザ光線の傾き角と焦点位
置の変化量との関係を示す説明図である。
【図7】焦点位置高さの調整を示す説明図である。
【図8】突合せ溶接などに適したレーザ加工方法を示す
説明図である。
【図9】従来のレーザ加工装置用手首構造を示す断面図
である。
【符号の説明】 3 焦点位置 8 ワーク 11 ベンドミラー 12 放物面鏡 13 第一のアクチュエータ 14 第二のアクチュエータ 42 コントローラ 44 突合せ部(加工部) L レーザ光線

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光線の進路をベンドミラーにより
    変更して放物面鏡に導き、前記放物面鏡によってワーク
    上に前記レーザ光線を集光させて、前記ワークを加工す
    るレーザ加工装置に用いられるレーザ加工装置用手首構
    造において、前記ベンドミラーを揺動させる第1のアク
    チュエータと前記放物面鏡を揺動させる第2のアクチュ
    エータと、前記第1のアクチュエータと第2のアクチュ
    エータとを協調して動作させ、前記レーザ光線の焦点を
    高さ方向に調整自在にするコントローラとを設けたこと
    を特徴とするレーザ加工装置用手首構造。
  2. 【請求項2】 前記第1のアクチュエータと第2のアク
    チュエータのいずれか一方が、直交した2軸のまわりに
    揺動する2自由度構成であり、他方が1軸のまわりに揺
    動する1自由度構成であることを特徴とする請求項1に
    記載のレーザ加工装置用手首構造。
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