JP2925565B2

JP2925565B2 - 無煙たばこ

Info

Publication number: JP2925565B2
Application number: JP1008576A
Authority: JP
Inventors: 昭道玉置; 静雄須原; 盛太近藤
Original assignee: Japan Tobacco Inc
Current assignee: Japan Tobacco Inc
Priority date: 1989-01-19
Filing date: 1989-01-19
Publication date: 1999-07-28
Anticipated expiration: 2014-07-28
Also published as: JPH02190178A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は煙を生じることなく、たばこを賞味できる無
煙たばこに関する。

〔従来の技術〕

社会的な問題になっているたばこの副流煙を軽減する
ために、例えばシガレットの巻紙を改良する等、種々の
提案がなされている。しかし、たばこを燃焼させてその
エアロゾルを吸入する賞味方法（喫煙）をとる限り、副
流煙を完全になくすことはできない。

一方、例えばドーム球場の例にみられるように、喫煙
が禁止されざるを得ない建築物も増大することが予想さ
れる。従って、愛煙家の間には、このような場所でも賞
味できる無煙たばこの出現を待望する声も大きい。

〔発明が解決しようする課題〕

上記事情に鑑み、本発明の課題は、副流煙を全く生じ
ることなく賞味できる無煙たばこを提供することであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を達成するために、本発明ではたばこを賞
味するための手段として、エアロゾル吸入ではなく、た
ばこ乾留香料を気化させて吸入する方法を採用した。ま
た、たばこ成分の気化を促進し、また現在のシガレット
と同様の形態で賞味するための形態を工夫した。

即ち、本発明による無煙たばこは、液密性を有する管
状の可撓性ケーシングと、該ケーシングの一端に設けら
れた吸い口と、前記ケーシングの内部に配置された弾性
変形可能な円筒形状のプラスチック容器と、該プラスチ
ック容器内に収容された、たばこ香料溶液と、前記プラ
スチック容器が前記ケーシングの外側から印加された力
で弾性変形されたときに、その少なくとも一端壁を破断
して前記たばこ香料溶液の流出を可能とするために該端
壁に形成された肉薄部と、該肉薄部が形成された端壁に
隣接して設けられ、前記プラスチック容器から流出した
たばこ香料溶液を保持する繊維層とを具備し、前記たば
こ香料溶液はたばこ乾留香料を含有し、且つpH7.2〜pH
8.6に調節されていることを特徴とするものである。

本発明に用いるたばこ乾留香料は、次のようにして製
造される。即ち、たばこ葉を粉砕機で粉砕して乾留釜に
入れ、空気の通気下で加熱して乾留を行なう。粗タール
の流出が終了したら加熱を止め、流出液中に含まれる水
分を除去して乾固することにより、目的の乾留香料が得
られる。このたばこ乾留香料の含有量は、溶媒等を含ま
ない正味の量で20〜50mg/本が好ましい。

本発明におけるたばこ乾留香料溶液は、上記のたばこ
乾留香料を適当な溶媒に溶解することにより調製する。
この溶媒としては、例えば水、エチルアルコール、、プ
ロピレングリコール、グリセリン等、身体に害のない溶
媒を単独または混合して用いることができる。

本発明において、たばこ乾留香料溶液を上記のpH値に
調節するためのpH調節剤としては、例えばキト酸、リン
ゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコル酸、ビン酸、リン
酸、およびこれらの酸のナトリウム塩、カリウム塩、或
いは水酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等から任意に
選択したものを用いることができる。

〔作用〕

本発明の無煙たばこは、たばこ乾留香料溶液からたば
こ成分を気化させ、これを吸入することで賞味する。従
って煙は全く発生せず、副流煙の問題は完全に解決され
る。また、たばこ乾留香料溶液は容易に破壊可能なプラ
スチック容器に収納したから、賞味時まで品質を保持す
ると共に、極めて容易な操作外で容器外に流出させて賞
味することができる。

また、本発明におけるたばこ乾留香料溶液はpH7.2〜p
H8.6に調節されているため、多くはアミン類であるたば
こ成分、特にニコチンの気化が促進される。ニコチンは
たばこに特有の生理的満足感喫味感を生じさせる上で大
きく影響する成分であるから、このpH調節の要件は本発
明において重要な意味を有する。

更に、本発明では快適な喫味感を生じ得る量のたばこ
乾留香料を使用しているから、エアロゾル吸入の形態を
とってはいないが、充分に満足できるたばこ賞味感を得
ることができる。

〔実施例〕

第１図は、本発明による無煙たばこの一実施例を示す
斜視図である。この実施例は、例えば第３図に示すよう
に、キセル又はパイプ等のホルダを用いて吸入するカー
ドリッジタイプのものである。

第１図において、１はフィルター、２はプラスチック
容器、３はたばこ刻み、４はフィルター巻紙、５はたば
こ巻紙、６は樹脂コーティングにより液密性を付与した
ケーシング巻紙、７はチップペーパである。

図示のように、プラスチック容器２は円筒状で、その
内部には所定量のたばこ乾留香料溶液が充填されてい
る。プラスチック容器２の一端に隣接して、巻紙４で巻
き取られたシガレット用のフィルター１が吸い口として
配置されている。該フィルター１にはアセテート繊維や
パルプ繊維等、シガレット用フィルターとして通常使用
されている材料を用いることができる。なかでも、疎水
性の熱融着性複合繊維が好ましい。また、プラスチック
容器２の他端に隣接して、巻紙５で巻き取られたたばこ
刻み３が隣接して配置されている。たばこ刻み３の他端
には、巻紙４で巻き取られたもう一つのシガレット用フ
ィルター１′が隣接して配置されている。こうして配列
されたフィルター1,1′、プラスチック容器２、たばこ
刻み３の外周には共通のケーシング巻紙６およびチップ
ペーパ７が巻回されており、これによって全体が一体的
な円筒形状を維持している。即ち、ケーシング巻紙６お
よびチップペーパ７は、液密性を有する管状の可撓性ケ
ーシングを形成している。そして、該ケーシングとプラ
スチック容器２との間には、フィルター１または１′を
通して吸引を可能とする程度の所定の隙間が設けられて
いる。

上記プラスチック容器２は、第２図Ａ〜Ｃに示す構造
を有している。同図Ａは縦断面図、同図Ｂは横断面図、
同図Ｃ−Ｃ線に沿う断面図である。図示のように、この
プラスチック容器は一端が開口した円筒状の容器本体21
と、該開口端を液密に閉塞するシールフィルム22からな
り、内部には150μ〜300μのたばこ乾留香料溶液を
充填できるようになっている。容器本体21は容易に弾性
変形可能な樹脂、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル
等の熱可塑性樹脂、又はこれらの混合樹脂から形成する
ことができる。特に、低密度ポリエチレンが好ましい。
シールフィルム22は熱可塑性樹脂をラミネート又はコー
ティングしたアルミ箔からなり、容器本体21の開口端に
熱融着されている。熱可塑性樹脂シートのみからなるシ
ールフィルム22を用いてもよい。

プラスチック容器本体21の閉塞端壁21aには、肉薄部
を形成する複数の溝23が形成されている。これら溝は、
第２図Ｂに示されるように、中央に設けた凸部24から放
射状に形成されている。また、第２図Ｃに示されるよう
に、溝23の断面形状は面角θのＶ字形である。溝23の底
には、幅Ｗの平坦部が溝方向に形成されている。また、
溝23を形成したことにより、溝底の肉厚Ｔは溝外の肉厚
Ｓよりも小さくなっている。この溝23によって、容器21
が外部からのお力で弾性変形されたときに、その閉塞端
壁21aが破壊され易くなっている。閉塞端壁21aの破壊を
確実にするためには、θ＝35〜60゜、Ｗ＝0.2mm、Ｔ＝
0.06〜0.15mm、Ｓ＝0.3〜0.6mmが好ましい。より好まし
くは、Ｔ＝0.15mm、Ｓ＝0.5mmとする。

上記構成からなる無煙たばこを賞味するに際しては、
ケーシング巻紙６およびチップペーパ７を巻回して構成
されたケーシングの外側から指で押圧することにより、
プラスチック容器２を弾性変形させる。これにより、容
器21の閉塞端壁21が破れ、内部に充填されているたばこ
乾留香料溶液が流出する。こうしてプラスチック容器２
を破壊した後、第３図に示すように、このカートリッジ
タイプと無煙たばこを管状ホルダー10に収納する。該ホ
ルダ10は、例えば塩化ビニル樹脂等の可撓性樹脂からな
り、一端部の径を細く絞ることによって吸入口11が形成
されている。また、管状ホルダ10の他端開口部にはホル
ダーキャップ８が被冠され、該ホルダーキャップには空
気孔９が穿設されている。

既述のようにしてプラスチック容器２から流出したた
ばこ乾留香料溶液は、隣接して配置されているたばこ刻
み３を濡らして付着し、一部はたばこ刻み３に吸収され
て保持される。この流出した乾留香料溶液からはニコチ
ン等のたばこ成分が気化するから、これをフィルター１
を通して吸入口11から吸入することにより、たばこの喫
味感を得ることができる。従って、煙を全く発生させる
ことなく、たばこを賞味することができる。また、たば
こ刻み３が濡らされることにより、該たばこ刻み３に含
まれている成分も揮散し易くなる。こうして、たばこ刻
み３からの香喫味成分が加わることによって、より満足
できる賞味感が得られる。なお、一般的にはたばこ刻み
３の反対側のフィルター１から吸入するが、より強い香
喫味を賞味したいときには、タバコ刻み３側のフィルタ
ー１′から吸入してもよい。なお、普通のシガレットの
場合、フィルターの通気抵抗は火をつけないときで90〜
110mmHg、火をつけたときで130〜160mmHgであるが、本
発明の無煙たばこは普通のシガレットの火をつけないと
きのの通気抵抗とするのが好ましい。これは、エアロゾ
ル吸入に比べると、満足度を得るために必要な吸入量が
多いためである。より好適な吸入のためのフィルター１
の通気抵抗は、10〜60mmHgである。

第４図は、本発明の他の実施例になるシガレットタイ
プの無煙たばこを示す図である。同図において、第１図
と同じ部分には同一の参照番号を付して示した。この実
施例は、通常のシガレットと同一の寸法とするために、
たばこ刻み３に隣接するフィルター１′を長くし、支持
体としての機能をもたせてある。従って、第３図に示し
たようなホルダ10を用いなくとも、そのままの状態で通
常のシガレットと同様、フィルター１′を指で挟持して
吸引することができる。その他の構成、作用および効果
は第１図の実施例と同じであるから、説明は省略する。

以上の説明から明らかなように、本発明の無煙たばこ
によって得られる喫味感は、プラスチック容器２内のた
ばこ乾留香料溶液に由来する。従って、満足できる賞味
感を得るためには、香料溶液中に含まれるたばこ乾留香
料の量が重要である。この観点から、好適な賞味感を得
るために必要なたばこ乾留香料の含有量を調べた。

また、満足できる賞味感を得るためには、たばこ乾留
香料溶液からニコチン等のたばこ成分を揮散し易くする
ことが重要である。一方、ニコチン等の主なたばこ成分
の多くはアミン類であるから、pH値をアルカリ側に調節
することにより、これら成分を揮散し易くできると考え
られる。そこで、たばこ喫味感を生じる上で最も影響の
大きいニコチンについて、好適な揮散が得られるpH値を
調べた。

以下、上記の目的で行なった試験例を説明する。

試験例１（たばこ乾留香料の含有量）＜たばこ乾留香料の製造＞原料の葉たばことして、米国産バーレイ種（KDL）お
よび米国産黄色種（OCL）を用いた。この原料葉たばこ
（KDL30％＋OCL70％）を乾留し、留出液を乾固した後、
これをエタノール中に加温しながら溶解した。得られた
エタノール溶液を室温にまで冷却し、生じた析出物を濾
過することにより、50重量％のたばこ乾留香料溶液を調
製した。このたばこ乾留香料溶液には、保湿剤としてプ
ロピレングリコール12重量％を添加した。これによっ
て、吸入による喫味持続時間が延長される効果が得られ
る。なお、プロリレングリコールの添加量は、一般的に
10〜20重量％が好ましい。

上記たばこ乾留香料溶液を、プラスチック溶器２に種
々の量で充填し、実施例２の無煙たばこを製造した。

＜官能テスト＞上記で製造された、種々の量のたばこ乾留香料を含む
無煙たばこを50人のパネラーに吸入させることにより、
官能評価を行なった。その結果を下記の第１表に示す。
なお、表中の乾留香料使用量は、溶媒等の他の成分を含
まない正味の値を示している。この結果から、たばこ乾
留香料の好ましい含有量は、たばこらしさの強弱で好み
が分れるが、正味の量で20〜50mg/本であることが分
る。

試験例２（ニコチン揮発のpH依存性）試験例１と同様にして、無煙たばこを製造した。その
際、たばこ乾留香料の充填量は、一本当りのニコチン含
有量が5mgとなるように調節した。また、水酸化ナトリ
ウム溶液の添加により種々のpH値に調節したたばこ乾留
香料溶液を用いた。

この無煙たばこを吸引したとき、口中へのニコチンの
移行量が香料溶液のpHによってどのように変化するか
を、次の方法により調べた。

通常のシガレットの場合と同様の喫煙標準条件で、パ
ネラーに喫煙器を用いて50回パフさせた。このとき吸引
されたガスをトラップし、ガスクロマトグラフィーによ
るニコチンの定量分析を行なった。その結果を下記第２
表に示す。

上記の結果から、pH値の増加に伴ってニコチンの移行
量も増大することが分る。また、合せて行なった官能テ
ストの結果、pH6.8のものでは喫煙に特有の生理的満足
が得られず、またpH9.4のものでは香喫味が劣るという
結果が得られた。

従って、本発明では、たばこ乾留香料溶液をpH7.2〜p
H8.6の範囲に調節する。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明したように、本発明の無煙たばこは副
流煙を全く生じることなく賞味でき、且つ喫煙同様の生
理的満足をも充分に得ることができる等、顕著な効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】第１図は本発明の一実施例になる無煙たばこを部分的に
分解して示す斜視図、第２図Ａ〜第２図Ｃは第１図の実
施例に用いられているプラスチック容器の説明図、、第
３図は第１図の実施例になる無煙たばこの使用状態を示
す断面図、第４図は本発明の他の実施例になる無煙たば
こを一部分解した状態で示す斜視図である。 1,1′……フィルター、２……プラスチック容器、３…
…たばこ刻み、４……フィルター巻紙、５……たばこ巻
紙、６……ケーシング巻紙、７……チップペーパ、８…
…ホルダキャップ、９……空気孔、10……ホルダ、11…
…吸入口、21……容器本体、21a……閉塞端壁、22……
シールフィルム

フロントページの続き (56)参考文献特開昭63−185361（ＪＰ，Ａ) 特開昭64−60364（ＪＰ，Ａ) 特開平２−2331（ＪＰ，Ａ) 特開平１−281071（ＪＰ，Ａ) 実開昭63−26298（ＪＰ，Ｕ) 実開昭62−202848（ＪＰ，Ｕ) 特表昭62−501050（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A24F 47/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】液密性を有する管状の可撓性ケーシング
と、該ケーシングの一端に設けられた吸い口と、前記ケ
ーシングの内部に配置された弾性変形可能な円筒形状の
プラスチック容器と、該プラスチック容器内に収容され
たたばこ香料溶液と、前記プラスチック容器が前記ケー
シングの外側から印加された力で弾性変形されたとき
に、その少なくとも一端壁を破断して前記たばこ香料溶
液の流出を可能とするために該端壁に形成された肉薄部
と、該肉薄部が形成された端壁に隣接して設けられ、前
記プラスチック容器から流出したたばこ香料溶液を保持
する繊維層とを具備し、前記たばこ香料溶液はたばこ乾
留香料を含有し、且つpH7.2〜pH8.6に調節されているこ
とを特徴とする無煙たばこ。
【請求項２】前記繊維層として、たばこ刻みを用いる請
求項１に記載の無煙たばこ。
【請求項３】前記たばこ香料溶液中に保湿剤が含有され
る請求項１または２に記載の無煙たばこ。
【請求項４】前記たばこ香料溶液が、20mg〜50mg/本の
たばこ乾留香料を含有していることを特徴とする請求項
１〜３の何れか１項に記載の無煙たばこ。