JP2921869B2 - 均一なポリマー粒子の製造方法 - Google Patents

均一なポリマー粒子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は吸着剤やクロマトグラフィーの充填剤などに
利用できる均一な粒径を有するポリマー粒子(以下、均
一ポリマー粒子という)の製法に関する。
[従来の技術] 一定周期の機械的な振動を加えながら液体をノズルか
ら気体中または分散媒中に噴出させると、振動数と同期
した数の均一な液滴が形成されることを利用して、従来
から均一ポリマー粒子が製造されている。
この方法で、均一な液滴が形成される振動数は、液体
の粘性、表面張力、ノズル径、噴出流速、振動の振幅な
どによって規定され、特定の範囲の値になる。一般に、
液滴径を小さくするためには振動数を大きくしなければ
ならないが、同期した状態にするためにはノズル径を小
さくし、噴出流速を大きくする必要がある。
たとえば特開昭57-102095号公報には、重合性モノマ
ーを機械的な振動を加えながら液体分散媒中に噴出させ
て均一な液滴にしたのち、重合させて均一ポリマー粒子
を製造することが記載されている。しかしながら、前述
のように、小さい液滴を作ろうとすれば噴出流速を大き
くしなければならないが、いたずらに噴出流速を大きく
すると分散媒との摩擦で噴出流が破砕される。したがっ
て、この方法は、粒径約500μm以上の粒子をうるのに
適用できる。
さらに小さい粒子を製造するために、特開昭61-83202
号公報には重合性モノマーを機械的な振動を加えながら
気体中に噴出させて液滴にしたのちに重合させることが
記載されている。しかしながら、液滴径が小さくなると
ともに液滴が気体中に長時間浮遊するようになり、あと
から噴出した液滴と衝突して合体した液滴が多数発生す
る。したがって、この方法で製造したポリマー粒子は大
きい粒径の粒子を多数含んでいる。また浮遊した液滴は
ノズルなどに付着して安定な製造を妨げる。
本発明者らは、特開昭63-117039号公報に記載したよ
うに、直流電圧を与えたポリマー溶液に一定の機械的な
振動を加えながら同符号の電荷を帯びた液滴として気体
中に噴出させたのち、凝固液に侵入させて均一ポリマー
粒子を製造する方法をすでに見出している。
しかし、この方法でも液滴が小さくなると長時間気体
中に浮遊し、ノズルや電極に付着して安定な製造が妨げ
られるばあいのあることがわかった。
[発明が解決しようとする課題] 前記のように従来技術で粒径の小さい均一ポリマー粒
子を製造しようとすれば、まず気体中にその前駆体にな
る液体の微小な液滴を形成させなければならないが、こ
のような液滴は気体中に長時間浮遊し、合体した液滴が
多数できる原因になったり、ノズルや電極に付着して安
定な製造を妨げる原因になったりする。
また、従来の技術では振動源として機械的な振動が用
いられているが、そのため大きな騒音を発生するので特
別な防音対策が必要である。また振動部は一般に力学的
な同調構造になっており、荷重の変化や温度変化に対し
て敏感で一定の振動数を長時間保つのはきわめて難し
い。振動数が変われば当然粒子径も変わる。
このような問題点は、機械的ではない、より安定な振
動源を利用して、ポリマー粒子の前駆体となる均一な液
滴を直接その分散媒の中に形成することができれば解決
される。
ところで、第一の液体を、この液体と溶け合わない第
二の液体中に設置したノズルから、ノズルの近傍の第二
の液体中に設けた電極とノズルとの間に一定周期の交流
電圧を加えながら噴出させると、その周期と同期して第
一の液体の液滴が形成されることはすでに特開昭58-175
668号公報に記載されている。しかしながらこの技術を
均一ポリマー粒子の製造のために利用することは誰も試
みてはいない。前記公報にもこのような利用方法は全く
示唆されていないし、第一の液体および第二の液体が保
有すべき特性、ノズルの口径、第一の液体の噴出速度、
これらの特性と交流の電圧と周期の関係などに関する充
分な記載がなく、この方法が実際に均一ポリマー粒子の
製造に応用できるかどうかは全く予想できないことであ
る。
本発明者は、この方法がポリマー粒子の製造に応用で
きるかどうか改めて見直し、さらに検討を重ねた結果、
本発明に到達した。
[課題を解決するための手段] 本発明は、 粘度が50cps以下の粒子形成用高分子物質を含む溶液
を、この溶液の分散媒中に設置したノズルから、ノズル
の近傍の分散媒中に設けた電極とノズルとの間に一定周
期の交流電圧を加えながら噴出させることによって、交
流電圧の周期と同期した数の前記溶液の液滴を前記分散
媒中に生成させたのち、加熱によりこの液滴中の溶剤を
揮発させる、冷却によってゲル化させる、またはこの分
散液にゲル化促進剤を添加することによって前記液滴を
凝固させることを特徴とする均一ポリマー粒子の製法に
関する。
[実施例] まず、本発明の均一ポリマー粒子の製法(以下、第1
の製法ともいう)を具体的に説明する。
第1の製法には、粒子形成用高分子物質を含む溶液が
使用される。
この高分子物質には、一般に溶剤に可溶な任意のもの
が使用できるので、利用目的に適したものを選べばよ
い。該高分子物質は、天然高分子物質であってもよく、
合成高分子物質であってもよい。
前記天然高分子物質の具体例としては、たとえば、セ
ルロース、アガロース、カラゲーナン、アルギン酸塩、
絹フィブロイン、コラーゲン、キチンなどの天然高分子
物質やそれらの誘導体があげられ、これらから製造した
粒子は優れた機能性吸着剤や担体として有用である。
前記合成高分子物質としては、たとえばポリビニルア
ルコール、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート、メチ
ルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート共
重合体などがあげられ、これらも機能性吸着剤や担体と
して適した粒子となる。また、スチレン/ブタジエン共
重合体、スチレン/クロロメチル化スチレン共重合体の
ように架橋構造とイオン交換基を導入することができる
ポリマーは、イオン交換樹脂の母材としても有用であ
る。
これらの高分子物質は疎水性または親水性の溶剤に溶
解して本発明に使用される。該溶剤には、後述する分散
媒と非相溶ないし貧相溶性の液体が選ばれる。
天然高分子物質およびその誘導体の溶剤は、高分子学
会高分子実験学編集委員会編、「天然高分子」(1984)
共立出版(株)や、サミュエル エム ハドソン(Samu
el M.Hudson)、ジョン エイ キュキュロ(John A.Cu
culo)、「ジャーナル オブ マクロモレキュラー サ
イエンス−レビュズ イン マクロモレキュラー ケミ
ストリー アンド フィジクス(Journal of Macromole
cular Science-Reviews in Macromolecular Chemistry
and Physics)」(1980)C18(1)、1〜82などを参照
して選ぶことができる。また合成高分子物質の溶剤は、
ジェイ ブランドラップ(J.Brandrup)、「ポリマー
ハンドブック セカンド エディション(Polymer Hand
book,2nd edition)」(1975)、ジョン ウイリー ア
ンド サンス インコーポレーテッド(John Wi1ey and
Sons Inc.)などを参考にして選ぶことができる。
該溶剤の具体例としては、疎水性の溶剤としてはたと
えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ト
リクロロエタンなどの塩素化炭化水素が単独または2種
類以上混合して通常用いられる。これらの溶剤に凝固促
進剤として少量のメタノール、エタノールなどの低級ア
ルコールを添加することができる。さらに、ポリマー粒
子を多孔質にするために炭素数が4〜12の脂肪族アルコ
ールを加えることもできる。親水性の溶剤としては、た
とえば水溶液、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンな
どの水溶性溶剤が通常用いられる。これらに凝固促進の
ため、またはポリマー粒子を多孔質にするために水溶性
低級アルコール、水溶性多価アルコール、無機塩類など
を加えることもできる。
前記粒子形成用高分子物質を含む溶液の粘度は、30℃
で50cps以下、好ましくは20cps以下である。粘度が50cp
sよりも大きくなると交流周期と同期した液滴にはなり
にくい。また、この溶液の電気伝導度にはとくに制限は
ない。
本発明においては、前記粒子形成用高分子物質を含む
溶液を、後述のごとくノズルから該溶液と非相溶性ない
し貧相溶性の分散媒中に噴出させることにより、液滴が
形成される。
該分散媒は、高分子物質の溶剤が疎水性のばあいには
O/W型の分散液ができるように非イオン性の界面活性
剤、たとえばゼラチン、メチルセルロース、ポリビニル
アルコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
ート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノステアレートなどを0.2〜5%(重
量%、以下同様)添加した水溶液が通常使用される。逆
に、高分子物質の溶剤が親水性のばあいには分散媒とし
て疎水性の有機液体が用いられる。有機液体の具体例と
しては、たとえば流動パラフィン、リグロイン、テトラ
リンなどの炭化水素系液体、なたね油、綿実油などの植
物油、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど
のハロゲン化炭化水素系溶剤などが用いられる。これら
にはW/O型の分散液ができるようにHLB(Hydrophilic-Li
pophilic-Balance)(堀口 博、「新界面活性剤」(19
81)三共出版(株)p.63〜70参照)が3〜7の界面活性
剤、たとえばグリセロールモノステアレート、グリセロ
ールモノオレエート、ソルビタンモノオレエートなどが
0.5〜5%程度添加される。
分散媒の粘度は小さい方が好ましく、30℃で50cps以
下が好ましく、20cps以下がさらに好ましく、5cps以下
がとくに好ましい。粘度が大きくなるとノズルから高流
速で液体を噴出させたとき粘性抵抗によって噴流が破壊
され、均一な液滴ができにくくなる傾向がある。
分散媒の電気伝導度は10-10〜10μs/cm、さらには10
-7〜10-0μs/cmであるのが好ましい。また誘電率は大き
いほうが好ましい。電気伝導度が大きすぎても小さすぎ
ても均一な液滴はできにくくなる傾向がある。その理由
は充分解明されていないが、おそらく電気伝導度が大き
すぎると液滴になる直前のノズルにある液体の電荷が直
ちに中和され、電極とその液体との間に引力が働かなく
なるからだと思われる。また電気伝導度が小さく、誘電
率も小さいばあいには、ノズルのまわりの分散媒に多量
の電荷が誘発されず、ノズル口にある同じ符号の液体と
の間に大きな反発力が働かなくなるからだと思われる。
前記噴出は、粒子形成用高分子物質を含む溶液を、分
散媒中に設置したノズルから、ノズルの近傍の分散媒中
に設けた電極とノズルとの間に一定周期の交流電圧を加
えながら噴出するという方法で行なわれる。
本発明では、このように噴出が分散媒中で行なわれる
ため、液滴に空中を経由させる方法のようにあとから噴
出した液滴と合体して粒径が大きくなったり、液滴がノ
ズルや電極に付着することがほとんど生じなくなる。ま
た液滴が交流電圧の周期により形成され、機械的振動に
よらないため、噴出流速をそれほど大きくしなくても粒
径を小さくすることができ、騒音の問題がなく、しかも
周期が安定しているので、液滴の粒径が一定化する。
つぎに前記噴出により液滴を形成する方法を、第1図
に基づいて説明する。
第1図は、本発明に使用しうる装置の一例を示す一部
断面図である。第1図に示される分散装置(1)では、
液滴にすべき高分子物質の溶液は矢印で示すようにノズ
ル(2)の入口(3)から分散槽(10)の中に一定流量
で噴出せしめられる。
ノズル(2)は一般に金属製のものが用いられ、図示
したように分散媒と接する部分(4)は針状の先端を除
いて電気絶縁被覆が施されている。第1図の装置では、
第2図(ノズル先端部の断面の拡大図)に示すような単
孔のノズルを使用しているが、多孔ノズルを使用するこ
とも勿論可能である。またノズルの液体噴出口(14)の
口径は通常20〜250μmであるが、250μm以下の比較的
粒径の小さい液滴を作るためには口径は200μm以下が
好ましく、ノズルの目詰りをさけるためには40μm以上
が好ましい。
分散媒は矢印で示すように入口(5)から電気絶縁体
製の整流板(6)を経て分散槽(10)内に送り込まれ
る。(8)は電極であり、たとえばステンレススチール
などの金属製で内径10〜20mm程度のリング状であり、ノ
ズル(2)の近傍、好ましくはノズル(2)の先端から
10〜50mm程度離れた位置に、ノズル(2)から噴出する
高分子物質の溶液がリング内を通過するように設置され
ている。電極(8)からのリード線は、分散槽(10)の
壁面から電気絶縁的に引出口(9)を経て、取り出さ
れ、交流電源(7)に接続されている。交流電源(7)
からのリード線のもう一端はノズル(2)に接続され
る。移動槽(11)には分散液の温度を調節するためのジ
ャケット(12)が付されている。
ノズル(2)からの高分子物質を含む溶液の吐出量は
レイノルズ数に換算したとき10〜1000の範囲であること
が好ましく、さらに好ましくは20〜500である。レイノ
ルズ数が10以下では液滴の生産量が少なくなり、一方10
00をこえると同期状態に達する交流の電圧と周期が数k
V、10kHzをこえ、安定した状態を維持することが難しく
なる傾向がある。
交流の電圧と周期はそれぞれ数kVおよび10kHz以下で
あることが好ましい。しかしながら、同期状態がえられ
る電圧と周期は独立には設定できないため、通常300〜5
000V、500〜10000Hzの範囲で比例的に設定される。
分散媒の流量は分散液中の液滴の濃度が5容量%以下
になるようにするのが好ましく、さらに好ましくは3容
量%以下である。このような流量で分散媒を流すことに
より電極のまわりに液滴が滞留して液滴同士の再結合や
電極への付着が生じることなく液滴が分散媒で流し去ら
れる。
以上のようにして噴出せしめられた高分子物質を含む
溶液は、交流の周期と同期した均一な粒径を有する液滴
状(すでに凝固粒子になっているばあいもある)となっ
て分散媒中に分散し、矢印で示すように分散液流出口
(13)から取り出され、追加処理槽(図示せず)に送ら
れる。
ついで、たとえば加熱によって液滴中の溶剤を揮発さ
せる、冷却によってゲル化させる、この分散液にゲル化
促進剤を添加するなどの方法によって凝固させることに
より、目的の均一ポリマー粒子が製造される。これらの
うちのいずれを用いて液滴を凝固するかは主にその溶液
特性によって決めればよい。
たとえば、溶剤として高分子物質の揮発性の良溶剤と
難揮発性の非溶剤との混合溶剤を使用した液滴は、加熱
して分散媒中で良溶剤を揮発させることにより凝固させ
うる。
また高分子物質を含む溶液としてある温度以下でゾル
からゲルへ転移する溶液を用いるばあい、ゾル状態の溶
液から液滴を作り、温度を下げてその液滴をゲル化させ
ることにより凝固させうる。
このような方法では液滴を凝固させることができない
ばあいには、ゲル化促進剤を徐々に添加してその液滴を
凝固させることができる。ゲル化促進剤としては、液滴
の溶剤とはよく溶け合うが、高分子物質の非溶剤である
液体、たとえば溶剤として前記の疎水性の溶剤を使用す
るばあいには、ゲル化促進剤として炭素数が1〜4の一
価もしくは多価アルコールなどを用いることができる。
その他、高分子物質間の架橋剤を含む液体、加水分解な
どの化学変化をもたらして溶解性を失わせる試薬を含む
液体などがあげられる。
ポリマー粒子の微細構造も種々の方法で調整しうる
が、一般に、稀薄な溶液状態で液滴を凝固させると多孔
質になり、逆に濃厚な溶液にしてから凝固させると緻密
な構造になる。たとえば揮発性の溶剤だけに高分子物質
を溶かしてなる液滴を、この溶剤を揮発させることによ
って凝固させるときわめて緻密なポリマー粒子がえられ
る。しかし、この溶液に高分子物質の難揮発性の非溶剤
を多量に加えることによって、良溶剤が少量揮発するだ
けで液滴がゲル化するようにするときわめて多孔質な構
造のポリマー粒子になる。その他の凝固方法を採用する
ばあいにも基本的には同様な考え方によってポリマー粒
子の構造は調整できる。
前記のようにして分散媒中で凝固した液滴には、一般
に、さらに強度を上げるために架橋反応させたり、加水
分解処理したり、イオン交換基や抗体などの生理活性物
質などを導入したりして使用目的に滴した処理が加えら
れる。
つぎに本発明の均一ポリマー粒子の製法とは異なる製
法ではあるが、別の均一ポリマー粒子の製法(以下、第
2の製法ともいう)について説明する。
第2の製法には、高分子物質の溶液ではなく、ビニル
重合性モノマー液が使用される。該ビニル重合性モノマ
ー液は、後述のごとくモノマー液と非相溶性ないし貧相
溶性の分散媒中に均一液滴状に分散させたのち、公知の
懸濁重合法によって重合させて均一ポリマー粒子とされ
る。該分散液はO/W型でもよいためモノマーは疎水性で
あってもよく、W/O型でもよいためモノマーは親水性で
あってもよい。またビニル重合性モノマーは単独で用い
てもよいし二種類以上併用してもよい。またビニル基を
二つ以上有するモノマーを加えてもよい。このようなモ
ノマーからなるビニル重合性モノマー液には、えられる
ポリマー粒子の構造を調整するために非反応性の希釈剤
を加えてもよい。希釈剤の具体例としては、たとえばベ
ンゼン、ジエチルベンゼン、キシレン、トルエンなど、
炭素数が5〜12の脂肪族飽和炭化水素、炭素数が5〜12
の脂肪族低級アルコールなどがあげられる。
前記疎水性モノマーの具体例としては、たとえばスチ
レン、エチルスチレン、クロロメチル化スチレン、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリ
ル、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのモノビニルモノ
マー、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
フタル酸ジアリルなどのポリビニルモノマーなどがあげ
られる。これらのうちで、スチレン−ジビニルベンゼ
ン、クロロメチル化スチレン−ジビニルベンゼン、スチ
レン−無水マレイン酸−ジビニルベンゼン、メタクリル
酸メチル−ジビニルベンゼン、メタクリル酸メチル−エ
チレングリコールジメタクリレートなどの組合わせはと
くに好ましい。これらの疎水性モノマー液には、たとえ
ば過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなど
の紫外線照射や加熱によってフリーラジカルを生成させ
うる重合開始剤が添加される。
前記親水性モノマーの具体例としては、たとえばアク
リルアミド、種々のアルキルアクリルアミド、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、アクリル酸、ビニルスルホン
酸、N−ビニルピロリドンなどがあげられる。これらの
ポリマーは水溶性であるので通常架橋剤と共重合させて
不溶化するために架橋剤が併用される。架橋剤には、た
とえばメチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリ
コールジメタクリレートなどが用いられる。さらに重合
開始剤として、たとえば親水性の加硫酸アンモニウムな
どが添加される。
前記ビニルモノマー液の粘度は、前述の高分子物質を
含む液と同様に30℃で50cps以下、好ましくは20cps以下
である。また、この液の電気伝導度にはとくに制限はな
い。
前記分散媒としては、疎水性モノマーを用いるばあ
い、第1の製法と同じように通常ゼラチン、メチルセル
ロース、ポリビニルアルコールはどの非イオン性の界面
活性剤を(0.2〜5%程度)添加した水溶液が用いられ
る。
また、親水性モノマーを用いるばあい、たとえばトル
エン、キシレン、テトラリン、リグロイン、流動パラフ
ィンなどの炭化水素系溶剤、四塩化炭素、トリクロロエ
チレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベン
ゼンなどのハロゲン化物、ひまし油、綿実油などの植物
油、シリコーンオイルなどが用いられ、これらにHLB値
が3〜6の界面活性剤、たとえばソルビタンモノオレエ
ート、グリセロールモノステアレートなどが0.5〜5%
程度添加される。
このような分散媒の物性(粘度、電気伝導度、誘導率
など)は、第1の製法に用いる分散媒と同様でよい。
第2の製法においては、前記ビニルモノマー液および
分散媒を用い、たとえば第1図に示されるような装置を
用いて第1の製法と同様にして交流の周期と同期した液
滴が形成される。このような方法で液滴を形成させるこ
とにより、ノズルや電極に液滴が付着することなく、粒
径の小さい均一な液滴を安定して製造することができ
る。
このようにして生成した液滴は、分散媒とともに分散
液流出口(13)から取り出され、追加処理槽に送られ
る。ついで加熱や紫外線照射によって重合させることに
より、目的の均一ポリマーが製造される。
前記のようにしてえられた粒子は、使用目的によって
はさらに親水基、イオン交換基、さらには抗体などの生
理活性物質などを導入する処理が加えられる。
以上のごとき第1および第2の製法により、容積平均
粒子径(前記特開昭63-117039号公報参照)が20〜250μ
mの微小なポリマー粒子であるにもかかわらず、全粒子
容積の95%以上が該平均粒子径の±20%以内であるとい
うきわめて均一なポリマー粒子がえられる。
以下に本発明の方法を実施例によってさらに具体的に
説明する。
実施例1 セルローストリアセテート5部(重量部、以下同様)
を、n−ブタノール20部と塩化メチレン75部の混合溶剤
に溶かした。この溶液の粘度は30℃で5cpsであった。分
散媒としてポリビニルアルコールの1%水溶液を使用し
た。この水溶液の電気伝導度は0.6μs/cmであった。
これらの分散液を、第1図に示す分散装置(1)を用
いて以下のようにして製造した。
分散装置(1)は内径約60mm、長さ約1000mmの円筒状
であり、ノズル(2)には口径100μmのステンレスス
チール製のものを使用した。電極(8)にはステンレス
スチール製で内径20mmのリング状のものを使用した。ノ
ズルと定量ポンプ(図示せず)との間はステンレススチ
ール製パイプで接続した、ただし、ポンプとの接続部に
は絶縁性材料を使用した。すなわち、ポンプ以前の配管
部材はノズルとは電気的に絶縁した。
セルローストリアセテートの溶液、分散媒の流量をそ
れぞれ0.2ml/分(レイノルズ数に換算すると11に相当す
る)および50ml/分にした。また、温度はともに30℃に
保持した。
電極はノズルの上方20mmの位置に固定し、4000Hz、70
0Vの交流電圧をノズルと電極との間に印加した。
この状態で、交流の周期に同期した液滴が形成され
た。なお、移動槽(11)内は、30℃になるようにジャケ
ット(12)により調節されている。
この分散液を流出口(13)からゆっくり回転する撹拌
機の付いたタンクに移し、35℃、5時間で塩化メチレン
を揮発させて液滴を凝固させた。この粒子を20℃で0.6
%のカ性ソーダ水溶液に20時間分散させたのち水洗して
セルロース粒子をえた。この粒子は、容積平均粒子径が
90μmの真球状で、少なくとも99%の粒子が容積平均粒
子径の±20%以内であるきわめて均一性の高いものであ
った。
この粒子の製造を8時間連続して行なったが、ノズル
(2)や電極(8)に粒子の付着は認められなかった。
参考例1 セルローストリアセテート溶液の代りに、スチレン、
ジビニルベンゼン、希釈剤のトルエン/ヘプタン(容量
比3/1)混合液および重合開始剤の過酸化ベンゾイル
が、それぞれ75部、25部、100部および1部からなる溶
液を用いた。この溶液の粘度は30℃で約0.7cpsであっ
た。また分散媒には実施例1と同じポリビニルアルコー
ルの1%水溶液を使用した。
前記のモノマー液および分散媒を用い、実施例1と同
じ条件で交流電圧の周期と同期した液滴を形成させた。
えられた分散液を移動槽(11)で75℃まで加熱してから
流出口(13)から撹拌機の付いたタンクに移し、この温
度でさらに10時間保持した。重合終了後、粒子を集めて
アセトンで洗って溶剤を除いた。
この粒子もまた真球状で、容積平均粒子径が110μm
で少なくとも99%の粒子が容積平均粒子径の±20%以内
にあるきわめて均一性の高いものであった。
この粒子の製造を8時間連続して行なったが、ノズル
(2)や電極(8)に粒子の付着は認められなかった。
[発明の効果] 本発明の製法では微小な液滴が直接その分散媒の中に
形成されるので、気体中に形成させていた従来の方法の
問題であった浮遊液滴のノズルや電極への付着または液
滴同士の衝突による合体が避けられるだけでなく、機械
的な振動に伴う騒音の発生もなく、微小なポリマー粒子
を長時間安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例で使用した均一な液滴の製造装
置(分散装置)の一部断面図、第2図はノズル先端部の
断面の拡大図である。 (図面の主要符号) (2):ノズル (7):交流電源 (8):電極

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘度が50cps以下の粒子形成用高分子物質
    を含む溶液を、この溶液の分散媒中に設置したノズルか
    ら、ノズルの近傍の分散媒中に設けた電極とノズルとの
    間に一定周期の交流電圧を加えながら噴出させることに
    よって、交流電圧の周期と同期した数の前記溶液の液滴
    を前記分散媒中に生成させたのち、加熱により液滴中の
    溶剤を揮発させる、冷却によってゲル化させる、または
    分散液にゲル化促進剤を添加することによって前記液滴
    を凝固させることを特徴とする均一なポリマー粒子の製
    造方法。
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