JP2919961B2 - 扁平上皮癌の抗原分化のためのモノクローナル抗体および同抗体の使用法 - Google Patents

扁平上皮癌の抗原分化のためのモノクローナル抗体および同抗体の使用法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 1.発明の分野 本発明は扁平上皮癌の抗原分化のための特異的結合抗
体、およびそのモノクローナル抗体の使用法に関する。
特に、分子量48〜50キロダルトンおよび57キロダルトン
の細胞骨格タンパク質の扁平上皮癌抗原の分化のための
マウスモノクローナル抗体、およびそのモノクローナル
抗体の使用法に関する。
2.従来技術に関する記述 G.KohlerとC.Milsteinは、“Continuous Culture of
Fused Cells Secretin Antibodies of Preferred Speci
ficity"と題するNature 265:495(1975)の論文でリン
パ球融合法について報告している。彼らは、前以て抗原
に免疫させたマウスから取り出したひ臓細胞にマウスの
骨髄腫腫瘍細胞を融合することによってモノクローナル
抗体を産生した。この抗体産生法の発見は、純粋な抗体
および抗原試薬の無限な供給法を呈示することであっ
た。これら抗体は癌の診断上、治療上において有効な道
具となる。
形層上皮が、表皮、口や口腔、食道、喉頭蓋、喉頭、
咽頭、ちつ、および子宮頚管にある。これらは扁平上皮
癌やその形質転換過程での前駆体細胞が存在する場所で
ある。前駆体細胞は、形質転換のどの段階にあろうと、
扁平上皮細胞であって侵襲性の扁平上皮癌になる準備を
する。この「扁平上皮癌の予備段階」は「真の悪性」状
態の細胞の前段階に生ずる段階(癌的細胞)である。扁
平上皮癌の予備段階は形態学的に正常な扁平上皮細胞、
異型(過形成、化生、過角化)、著しい異型、異形成
[ディスプラジー](穏やかなディスプラジー−CIN I,
中程度のディスプラジーCIN II、重度のディスプラジー
−CIN III)、あるいは上皮内癌(CIS)である。扁平上
皮癌の予備段階にある良性の扁平上皮細胞は侵襲性扁平
上皮癌に貢献することはない。
扁平上皮癌(以下「SCC」と言うことがある)は、
頭、首、肺、口腔、または子宮頚管の癌の昔からの通常
のタイプである。扁平上皮癌に関係する分子標識の同定
および特性は、扁平上皮癌のいち早い診断法および治療
法を可能にする。扁平上皮癌の標識に関する機能的研究
は、この種の癌の生物学についての理解を深めるのに役
立つ。
モノクローナル抗体(MAbs)は腫瘍関連の抗原を研究
するのに分子的、機能的なプローブとして有効な道具で
ある。扁平上皮癌に対して発生するモノクローナル抗体
の大多数は扁平上皮癌の細胞系を免疫原として用いるこ
とにより産生される。かかるモノクローナル抗体により
規定される抗原分子は、フィブロネクチン[cell−suur
face protein]や細胞骨格化合物を含む。扁平上皮癌に
反応するいくつかのモノクローナル抗体がこれまでに報
告されているが、これら抗体の多くはその他の癌にも交
差反応するか、あるいはその反応性は一定組織の扁平上
皮癌だけに限定されたものである。
抗体は表皮ケラチン細胞上に発生するが、その扁平上
皮癌への反応性は評価されている。ヒト表皮ケラチン細
胞に発生したモノクローナル抗体、VM−2は、扁平上皮
癌や基底細胞癌は勿論、表皮の基底層に選択的に結合す
ることが報告されている。この抗体は次の2つの文献に
述べれられている。即ち、Morhenn等の“A Monoclonal
Antibody Against Basal Cell of Human Epidermis:Pot
ential Use in the Diagnosis of Cervical Neoplasis"
J.Clin.Invest.,76:1978−1983,1985、およびOseroff等
の“Use of Murine Monoclonal Antibody Which Binds
to Malignant Keratinocytes to Detect Tumor Cells i
n Microscoopically Controlled Surgery"J.Am.Acad.De
rmatol..8:616−619.1983である。
サイトケラチン[cytokeratins]に発生したモノクロ
ーナル抗体は正常上皮および悪性上皮におけるケラチン
発現の研究用プローブとして利用されている。サイトケ
ラチンは形層上皮の異なる層では分配の分化特異的パタ
ーンを示す。特定のケラチンポリペプチドもまた扁平上
皮癌の分子メーカーであると報告されている。抗ケラチ
ンMAbsは扁平上皮癌を含む腫瘍の治療用ツールとして報
告されている。
扁平上皮癌の抗原に反応するものとして知られている
抗体としては、MAbs AE1,AE3,MAb 17.13,MAbs,PKK1,及
びPKK2がある。これらの抗体は下記の文献等、多くの文
献に記載されている。しかしこれらの抗体は、約48から
50キロダルトンおよび57キロダルトンの分子量の細胞骨
格タンパク質を分化することができない。
MAbs AE1およびAE3はT.T.Sun等のJ.Invest.Dermato
l.,81:1095(1983);W.G.Nelson等のCancer Res.44:160
0(1984);Hybritech,Inc.(Hybritech)のMAbs AE1お
よびAE3の入った製品;J.Reibel等のActa Path.Microbio
l.Immunol.Scand.Sect.A 93:323(1985)MAb AE1の組織
特異性は上皮基底層と殆ど全ての上皮組織である。MAb
AE3の組織特異性は表皮全体と全ての上皮組織である。M
Ab AE1は非扁平上皮癌(例えば腺癌)は勿論、扁平上皮
癌にも結合する。MAb AE3のみを用いて扁平上皮癌を染
色する方法についてはまだ情報がない。MAb AE1は酸性
のケラチン(Mr 40,50および56.5キロダルトン)を認識
するが、MAb AE3は塩基性のケラチン(58,52および65−
67キロダルトン)を認識する。Hybritechは「これら2
つの抗体のコンビネーションが殆ど全ての既知のヒト上
皮ケラチンを認識する」と主張している。これらの抗体
はケラチンに対して広い反応域を持っているので、上皮
組織ならびにその新生物[neoplasm]を非上皮組織およ
びその新生物から識別するのに有効である。しかしこれ
ら抗体のいずれも「形層扁平上皮組織」およびそれから
派生する新生物を、ほかの種類の上皮組織(例えば単純
な上皮組織)やその他の上皮組織起源の腫瘍から識別す
ることができない。
MAb 17.13についてはR.Rankin等がCancer Res.47:568
4(1987)に、また欧州特許出願第87311402.0号(Intek
Diagnostic)に記載している。(後者は多数の抗扁平
上皮癌抗体の特性について要約している)この抗体に認
識された抗原の特徴については何も報告されていない。
抗原は電子顕微鏡のデータに基づき中間型のフィラメン
トであろうと推測されている。上記欧州特許出願は抗原
がサイトケラチンではない、と述べている。この抗原は
形層扁平上皮組織の基底層に特異性である。CIN(I−I
II段階)の前癌病変に対するその反応性は約30%強であ
る。MAb 17.13抗原の分子量その他の特徴についてはま
だ報告されていない。MAb 17.13の扁平上皮癌に対する
反応性は一様である。MAb 17.13の動物組織に対する反
応性は知られていない。
MAbs PKK1とPKK2はHolfhofer等によりLab.Invest.49:
317(1983)に記述されている。また、MAbs PKK1および
PKK2のためのLabSystems.Inc.(Chicago,Illinois)の
製品がある。これらの抗原は各々サイトケラチン(Mr 4
1キロダルトン,45キロダルトン,48キロダルトンおよび5
6キロダルトン)であるPKK1抗原およびまだよく知られ
ていないPKK2抗原を認識する。MAb PKK1は形層上皮組織
の全層に結合する。PKK2は、正常肺の円柱上皮は勿論、
形層扁平上皮組織の基底層ならびに準基底層に結合す
る。MAb PKK2は扁平上皮癌に結合するが、細気管支肺胞
上皮癌にも結合する。MAb PKK1は形層上皮組織の全層に
結合し、広範囲のサイトケラチンに反応する。MAb PKK2
もまた形層上皮組織は勿論、正常の円柱上皮(肺)に反
応する点で広い反応性を示す。このようにそれは、ほか
の種類の上皮組織から形層扁平上皮組織を識別すること
ができない。一方、その腫瘍の反応性もまた非扁平上皮
癌型の肺腫瘍に反応するという点で特異性を欠く。
従来、多くの器官中の扁平上皮癌抗原に特異性で、診
断薬、治療薬として有用な抗体剤は存在しない。
発明の概要 本発明は、扁平上皮癌(以下、SCCと言うことがあ
る)および形層上皮組織の幹細胞集団に結合する抗原だ
けを必須に認識する抗体製剤に関する。好ましくはこの
製剤は、モノクローナル抗体MAb 174H.64またはその特
異結合フラグメントを包含する。MAb 174H.64に認識さ
れる抗原には、約48から50キロダルトンおよび57キロダ
ルトンの分子量の細胞骨格タンパク質を含む。
本発明は免疫組織学によって扁平上皮癌腫瘍の治療用
に使う方法、血清中の循環する扁平上皮癌抗原の免疫シ
ンチグラフィ、非侵襲性診断の免疫画像処理によるイン
ビボでの処置、細胞障害薬に結合されているかまたはラ
ジオアイソトープで標識された抗体を用いた扁平上皮癌
腫瘍の処置、および形層扁平上皮組織の正常および病的
状態の研究手段としての使用法もある。
本発明は抗体、抗体製剤、または本発明の方法が使用
されるキットも含む。
図面の簡単な説明 第1図は扁平上皮癌組織に結合するMAb 174H.64の状
態を示す。ヒトの肛門と直腸の扁平上皮癌の末梢層が免
疫過酸化酵素で選択的に染色される。
第2図はDM(ダウノマイシン)単独の場合と比較して
種々の抗体および抗原抱合体の細胞殺傷の特異性を示
す。
第3図は125I−IUDRの取り込みを接種したSCC細胞に
対し示すものである。
第4図は、いろいろに前処理されたSCC細胞の結果と
して取り込みが減少したことを示す。
第5図は、SCC細胞をマウスに注射後、それらマウス
がDM,MAb 174H.64またはMAb 174H.64−DM抱合体で処理
されたときの取り込みを示す。
第6図は、腫瘍のあるマウスの生存率についてのMAb
174H.64−DM効果を示す。
第7図は、174H.64−DM抱合体によって胸上部へ転移
した頸部扁平上皮癌を持つ一患者の肺のスキャン写真で
ある。
発明の詳細な説明 本発明の中には抗体製剤が含まれる。“抗体製剤”と
いう言葉は本発明によるすべての抗体ならびにこれら抗
体の特異結合フラグメントを包含する。本発明に基づく
抗体あるいは抗体フラグメントは他の物質と抱合させる
ことができる。このような抱合する物質にはラベル体
(制限なしに、放射性同位元素、酵素、補酵素、酵素阻
害剤、蛍光団と蛍光消光剤を含む)、ダウノマイシンの
ような細胞毒薬剤および高分子クロマトグラフ支持体が
ある。抗体製剤はモノクローナルでもポリクローナルで
もよいが、もしポリクローナルの場合、それは本質的に
扁平上皮癌と扁平上皮の基底細胞集団に対して単一特異
的であることが必要である。できればモノクローナル抗
体の使用が好ましい。
本発明は扁平上皮癌抗原を区別するためのマウスモノ
クローナル抗体と、そのモノクローナル抗体の使用法を
含む。この発明によるモノクローナル抗体は、選択的に
かあるいは本質的に、扁平上皮癌と関連する抗原と形層
上皮[stratified epithelium]の基底細胞集団だけを
認識する。この抗体は、よく分化した扁平上皮癌腫瘍中
で、その腫瘍の末梢増殖区分と優先的に結合する。本発
明のモノクローナル抗体によって認識される抗原は、分
子量が約48から50キロダルトンと57キロダルトンのタン
パク質を含んでいる。この抗体の応用の可能性としては
免疫組織学的による扁平上皮癌腫瘍の診断、放射性核種
や細胞毒薬剤とモノクローナル抗体の抱合体を用いて
の、扁平上皮癌腫瘍細胞の非侵襲性診断的画像処理によ
るin vivoでの処置、および研究手段として形層扁平上
皮の正常と病的状態を調べることなどがある。モノクロ
ーナル抗体は、Tn−HSAに対して働かせても、この非−S
CC免疫原にはなんらの反応性を示さず、扁平上皮癌組織
に対して高度の選択性を示す。
本発明の好ましいモノクローナル抗体はMAb 175H.64
と呼ばれるものである。本発明の記載は主としてこの好
ましいモノクローナル抗体に関するものとなる。本記載
における発明の好ましい具体例に対する引用に際して
は、本発明による好ましいモノクローナル抗体と本質的
に同じ偏位を除外するつもりはない。原発臓器としては
口と口腔、食道、喉頭蓋、喉頭、咽頭、腔および頚部が
可能なものとして含まれる。
MAb 174H.64は原発臓器のいかんにかかわらず、ヒト
扁平上皮細胞癌(発明者の研究では100%)と選択的に
結合する。この抗体は単純上皮由来の腫瘍や非上皮原発
の腫瘍とは結合しない。この抗体の扁平上皮細胞癌に対
する特異的反応性は、雌牛、イヌおよびネコを含むヒト
以外の哺乳動物の偶発SCC様腫瘍にまで及ぶ。MAb 17.13
およびVM−2と動物腫瘍との反応性についてのデータは
得られていない。
MAb 174H.64は正常なヒトの形層扁平上皮の幹細胞集
団(基底および準基底層)と選択的に結合する。当抗体
はまた脾臓上皮や胸管の筋上皮細胞とも選択的に結合す
る。当抗体は単純上皮や非上皮組織とは結合しない。こ
のことは、MAb 174H.64が形層扁平上皮の基底細胞集団
に特徴的な分化抗原を認識することを示唆する。MAb 1
7.13とVM−2も形層扁平上皮の基底層に対して選択性を
示す。MAb 17.13はまたヒト胸管の筋上皮細胞とも反応
することが報告されている。これら2つの抗体と胸腺上
皮との反応性およびVM−2と筋上皮細胞との反応性に関
するデータはない。
高度に分化した扁平上皮細胞癌腫瘍は増殖速度の速い
原始細胞を含む腫瘍の末梢層で優先的に結合する。腫瘍
の中心方向にある、より分化した細胞は抗体とはほとん
ど結合せず染色されない。この事実は、MAb 174H.64に
より認識されるエピトープは扁平上皮細胞癌の増殖区画
に特異性をもち、より分化した扁平上皮細胞癌腫瘍の細
胞によっては発現されないことを示唆している。他のど
んなモノクローナル抗体も、扁平上皮細胞癌の増殖区画
に対してこのような選択的反応性をもたないと思われて
いることからみて、このことは驚くべきことである。こ
の特性の故に本発明は、診断上ならびに治療上、貴重な
有用性を提供することができる。
MAb 174.64は正常ヒト頚部とユニークな染色パターン
を示す。MAb 174H.64と成熟扁平上皮の基底層および準
基底層との反応性はそれぞれ97%と81%であり、未成熟
扁平上皮については反応性がそれぞれ73%と59%に低下
する。頚部の柱下(予備)細胞70%の反応性を示す。こ
れらの結果から、MAb 174H.64により認識された分化抗
原はまた頚部における上皮の成熟についてのマーカーで
もあることを示唆する。
MAb 174H.64は前悪性化病変[premalignant lesion]
と結合することがわかる。頚部の上皮内腫瘍(CIN)に
おいて、症例の69%が基底層と反応し、症例の54%が準
基底層と反応した。キロサイトティック(kilocytoti
c)異型性(KA)では、テストした症例のすべてが抗体
との反応性を示した。
MAb 174H.64により認識される抗原は、分子量が約48
から50キロダルトンと57キロダルトンの二つの細胞骨格
タンパク質である。これらの分子量から、非ケラチン化
形層扁平上皮のマーカーであるヒトサイトケラチン#14
と#5が示唆されるけれども、それらとは異なる。とい
うのは、サイトケラチン#14と#5は超基底層にも分布
しているからである。
本発明のモノクローナル抗体は、診断上の試薬、扁平
上皮細胞癌組織の治療薬、それに研究手段として用いる
ことができる、MAb 174H.64の高い選択的反応性の故
に、原発組織が何であるかにかかわらず、扁平上皮細胞
癌の確定診断のための試薬として用いることができる。
この診断上の有用性の中には免疫組織学的診断、診断的
画像処理および血清診断が可能なものとして含まれる。
治療においてては標的細胞毒薬剤としての使用がありう
る。研究上の用途としては細胞研究や細胞治療に関する
多くのものがある。この抗体はまたSCC−関連抗原の免
疫精製にも使用できるかもしれない。ここで述べた使用
法に関して、モノクローナル抗体やポリクローナル抗体
を得るために精製抗原が使用されるであろう。
MAb 174H.64は凍結切片中での腫瘍の組織学的分類の
ための試薬として使用できる。たとえば、頚部の腺扁平
上皮癌の診断は、未分化領域が扁平上皮か腺由来かをは
っきりさせる点で難しいことがある。電子顕微鏡によっ
てすら難しいこの問題はMAb 174H.64による陽性染色に
よって解決できる。このような診断上の目的のために、
組織学的使用に適した標識法はどんなものでも用いら
れ、それらのものとしては放射性標識、蛍光団、酵素お
よびフェリチンなどが含まれるが、これらのものに限定
されるわけではない。標識には直接あるいは間接(たと
えばアビディン−ビオチンによる、タンパクA−Fc、あ
るいは抗体−Fcブリッジ)がある。
MAb 174H.64は扁平上皮細胞癌の診断画像処理に使用
することができる。放射性標識したMAb 174H.64がin vi
voで選択的に局在することを基礎にした扁平上皮腫瘍の
確定診断は、以下の応用のためにとくに価値がある。こ
の方法により原発腫瘍の場所、大きさ、および浸潤の程
度を決めることができる。それは腫瘍の転移による拡が
りを追跡したり、リンパ節や臓器中の小さな転移領域を
検出することができ、それよって診査手術の必要がなく
なる。この方法で腫瘍の組織発生が非侵襲的に決められ
る。この方法はまた、治療に対する腫瘍の応答を非侵襲
的にモニターすることも可能にする。診断画像処理への
使用にとって必要な、腫瘍中でのモノクローナル抗体の
局在の様子を表1に示す。腫瘍の実際の画像は実施例3
に示してある。
もしMAb 174H.64で検出された抗原が血清中に流入し
ていれば血清診断を実施できる。その場合、ELISA,RIA
あるいはその他の免疫検定法を用いて、血清がモノクロ
ーナル抗体と結合する能力を用いて検出できる。この原
理は、診断手段として、膀胱扁平上皮細胞癌において尿
中へ流入した抗原、あるいは、生物学的液中に適当量流
入した抗原の検出にも拡張できる。
本発明のモノクローナル抗体は、扁平上皮細胞癌に対
する特異的治療を可能にする。このような治療における
モノクローナル抗体は、単独で使用することもできる
し、あるいは標的SCC細胞に対して細胞毒性や放射性標
識抱合体を与える形で使用できる。この抗体とダウノマ
イシンとの抱合体に関する研究によって、マウス扁平上
皮細胞癌細胞株を選択的に殺す能力が抱合体にあること
が証明された。表2と3はこのような治療上の有用性を
示したものである。
1×106個のDBA2J骨髄細胞と1×106個のKLN−205細
胞の混合物をin vitroで4℃2時間処理、洗浄して各85
0ラド照射したレシピエントに接種した。25日後、2μC
iの125I−IUdRを注入し、14時間後に肺中の125I−IUdR
の取り込みをカウントした。免疫抱合体の濃度はダウノ
マイシン(DM)の含量が10μg/mlになるように調整し
た。
ダウノマイシンが好ましいけれども、本発明は特定の
細胞毒薬の使用に限定されるものではない。癌細胞に対
して効果的なことが知られている他の薬剤としてはシリ
ンがある。また、細胞毒薬剤を抗体に抱合するのに酸感
受性のシス−アコニチルスペーサーの使用が好ましいけ
れども、なんらかの特定の抱合法に限定されるものでは
ない。
MAb 174H.64は131I,125I,90Y,211At,67Cuおよび186Re
のような放射性核種で標識することができ、扁平上皮細
胞癌腫瘍組織に対して選択的に治療量の放射線を出すの
に用いられる。特許請求範囲の追加の目的で、細胞毒薬
と包合した抗体を引用したのは、治療用放射性核種で標
識した抗体を含める意図による。MAb 174H.64は99Tc,11
1In,69Gaのような放射性核種で標識した場合には画像処
理用として用いることができる。本発明は特定の放射性
核種あるいは特定の放射性標識法の使用に限定されるも
のではない。
本発明のモノクローナル抗体は以下のような研究手段
として使用することができる。細胞骨格タンパク質の発
現は正常形層上皮の分化の間にMAb 174H.64によって検
出し得るし、その機能的意味をはっきりさせるのに用い
られる。また、CINやKAのような子宮頚部の前悪性化病
変の判定を行うこともできる。このモノクローナル抗体
は基底CINの69%と、またテストしたKA組織試料のすべ
てと結合する。陽性と陰性の臨床的ならびに治療上の意
義は、注意深く臨床的ならびに病理学的に追跡すること
によって決定できる。病変の予後はこの抗体の陰性ある
いは陽性の程度で定めることができる。モノクローナル
抗体は、トランスフォーメーションの間での抗原の発
現、進行および腫瘍の分化に関して扁平上皮細胞癌の生
物学を研究するのに用いることができる。
本発明のモノクローナル抗体は、以下の実施例に従っ
て作られ使用することができる。MAb 174H.64を分泌す
るハイブリドーマ細胞株は、1989年4月18日のブタペス
ト条約下にMaryland州Rockville市のAmerian Type Cult
ure Collection(ATCC)に寄託され、ATCC HB 10105と
命名された。この細胞株を送って貰って所有するとして
も、その受領者にその細胞株を使用する認可を与えたも
のと解釈されるものではない。
実施例1:MAb 174H.64の調整と特性についての記載 この実施例は本発明の好ましい具体例からのものであ
る。本発明の好ましい具体例はMAb 174H.64と名づけら
れたモノクローナル抗体である。以下の手順は本発明の
モノクローナル抗体をいかにして得、いかにテストする
かについての最良のやり方を示す。本発明の思いがけな
い、そして好ましい物性を示すために比較データが提供
される。
免疫およびハイブリドーマー生成 RBF/Dnマウスを一週間隔で2種の連続腹腔内注射、す
なわちヒトのコリオゴナドトロフィン(HCG,50μg)
と、ヒト血清アルブミンと抱合した合成炭水化物の投与
で免疫する。ヒト血清アルブミンと合成炭水化物の抱合
体(Tn−HSA)はN−アセチルガラクトサミンが完全フ
レンドアジュバント中の担体(50μg)分子あたり40残
基の割合でヒト血清アルブミンにα−結合したものであ
る。12日目にマウスに対してリン酸緩衝食塩水(PBS)
中でHCG(400μg)とTn−HSA(400μg)を混合したも
のを腹腔内注射する(PBSは140mM NaCl,2.68mM KCl,8.1
mM Na2HPO4・2H2O.1.4mM KH2PO4,PH7.2)。13日目に、
それぞれHCGとTn−HSA(各200μg)の混合液を静脈内
注射と腹腔内注射することによって免疫する。この操作
を14日目にもくり返す。15日目にHCGとTn−HSAに対して
高い抗血清力価をもってマウスからの脾細胞をFOX−NY
細胞(H−yclone Lab.,YN)と融合させる。Tn−HSAに
対する陽性活性のハイブリッドとHSAと陰性活性のハイ
ブリドーマを選択し再クローン化する。再クローン化細
胞の上清を免疫組織学的染色法により、腫瘍組織に対す
る反応性をテストする。174H.64と名づけられた再クロ
ーンは、Tn−HSAとは何らの反応性も示さないけれど
も、ヒト扁平上皮細胞癌とは強力かつ選択的な反応性を
示した。このハイブリドーマ(二重に再クローン化され
た)を扁平上皮癌組織との選択的反応性に基づくより一
層の研究のために選んだ。
アイソタイピング MAb 174H.64をMouse Type Isotyping Kit(Biorad La
boratories,Mississauga,Ontarioo,Canada)を用い、酵
素免疫検定法(EIA)法によりアイソタイプ化した。微
小力価プレートを、無血清培地中で生長したハイブリド
ーマの培養上清を4℃で一晩インキュベートすることに
より抗体でコートする。マイクロ力価ウエルを順次に、
37℃30分間PBS中でウシ血清アルブミン(1%)、室温
で2時間アイソタイプ試薬(ウサギ抗マウスIgサブタイ
プ)と、そして西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と
抱合したヤギ抗ウサギIgGと室温で1時間インキュベー
トした。上記各ステップのあと、プレートはPBSで洗浄
した。前後に、マイクロ力価ウエルを室温で30分間HRP
基質とインユベートし、EIA読取器で吸先度を読んだ。
174H.64.R24の精製:放射性標識とビオチニル化 プリスタン感作(Pristane−Primed)Balb/Cマウスに
ハイブリドーマ174H.64細胞(2×105)を腹腔内注射し
て腹水液を生成させた。抗体を硫酸アンモニウム(50
%)沈澱とタンパク質Aセファロースカラムクロマトグ
ラフ法の二つのステップからなる手順で精製した。精製
した抗体画分はセルロースアセテート電気泳動上で単一
タンパク質バンドを含有し、免疫ペルオキシダーゼ染色
によって示されるように扁平上皮細胞癌凍結切片上で免
疫的に活性であった。
抗体はヨードゲンによって放射性ヨードを標識した。
リン酸緩衝食塩水(PBS,50μg)中の精製MAb 174H.64.
R24(50μg)をPBS(10μl)中の“担体無添加”Na
125I(500Ci)と混合し、ついでヨードゲン(2μg)
でコートした珪硼酸ガラス管中に移した。室温で2分間
反応を進行させた後、その溶液をPBS(100/μl)中0.0
5%KIを含む他の管に移し、3分間平衡させ、Biogel P
−100スパンカラムを用いて無機ヨードから抗体を分離
した。
MAb 174H.64を既知の、すでに報告されている方法に
従ってビオチニル化した。すなわち、MAb 174H.64(2m
g)のPBS(400μl)溶液を0.15M塩化カリウムPH8.1を
含む0.2Mの重炭酸ナトリウム溶液と混合した。これにビ
オチン−LC−NHS(125μg,Pierce)のPBS(25μl)溶
液を加えて室温で20分間インキュベートした。反応を1M
塩化アンモニウム溶液PH6.0(50μg)を加えてストッ
プさせ、ついでその溶液をPBSに対して十分に透析し
た。
細胞株 すべての扁平上皮細胞癌細胞株はAmerican Type Cult
ure Collection,Rockville,Marylandから入手し、10%
のウシ胎児血清(FCS)とゲンタマイシン(40単位/ml)
を含むRPMI中で生育させた。正常ヒトケラチン細胞はCl
onetics Corporation,San, Diego,CAから入手し、無血
清ケラチン細胞生育培地(Clonetics Corporation)中
で培養した。
マウス表皮ケラチン細胞の分離 表皮ケラチン細胞を、既知の、すでに報告された方法
に従ってICRマウスの新生児(生後1日)から分離し
た。簡単に述べると、マウスを断頭死させ、皮膚を取除
き、ついでハンクス液(HBSS)中で洗浄した。ついでト
リプシン(0.025%)、EDTA(0.02%)を含むHBSS中に
表皮を下にして皮膚を置き、37℃1時間インキュベート
した。トリプシンEDTA溶液を吸引し、10%FCSをもつRPM
Iで置換した。ついで鉗子を用いて真皮から表皮を分離
し、培地中でゆるやかに撹拌した。ついで、得られた細
胞懸濁液を表皮と真皮層から分離し、RPMIで2回洗浄
し、ついでPBSで洗浄した。この細胞懸濁液を免疫ペル
オキシダーゼ染色のために使用した。
免疫組織学 免疫組織学的研究のための腫瘍組織はOCT中に包埋
し、イソペンタン中で凍結して−70℃で貯蔵した。凍結
切片あるいは細胞塗抹標本の免疫ペルオキシダーゼ染色
は、その方法が知られているアビディン−ビオチンペル
オキシダーゼ複合体(ABC)法に従って行った。8μm
の凍結切片をクリオスタット上で切り、ポリL−リジン
(PLL)でコートしたガラススライド上に置いた。細胞
塗抹標本はPLLでコートしたプレートを用いて細胞の単
一細胞懸濁液から調整して風乾した。ついで、順次ガラ
ススライドを一次抗体(174H.64)と15分間、0.02%グ
ルタルアルデヒドと4℃で5分間、ビオチニル化二次抗
体(抗マウスIgG)と30分間、そしてABC試薬と20分間イ
ンキュベートした。上記の各ステップのあと、0.5%過
酸化水素を含むスライド溶液を水中で洗浄し、ヘマトキ
シリンで逆染色し[counterstained]、パーマウント中
に装着した。細胞中の褪色は抗体との陽性反応に対応す
る。マウス組織が上記方法で染色されるときはいつで
も、ビオチニル化された一次抗体を用い、抗マウスIgG
によるステップは省略した。アイソタイプにマッチした
マウス骨髄腫タンパク質(MOPC−21)をすべての免疫ペ
ルオキシダーゼ染色における陰性対照抗体として使用し
た。
MAb 174H.64と癌組織との反応性 種々の起源のヒト癌組織の凍結切片を、MAb 174H.64
との反応性に関してABC法による免疫ペルオキシダーゼ
染色法でテストした。アイソタイプマッチした対照抗体
(MOPC−21)を陰性対照として用いた。これらの研究の
結果は表4に要約されている。
MAb 174H.64は、臓器や原発のいかんにかかわらず、
テストしたすべてのヒト扁平上皮細胞癌と選択的に結合
し、組織学的に異なる他の各種の腫瘍についても結合が
みられた。図1はMAb 174H.64が腫瘍の末梢層に優先的
に結合しながら扁平上皮細胞癌組織と結合する様子を示
す。腫瘍のすぐ近くの正常組織は抗体と全く結合してい
ないことがわかる。他の哺乳動物にできたいくつかの偶
発腫瘍についてもMAb 174H.64に対する反応性をしら
べ、その結果を表5に示した。
イヌの扁平上皮細胞ならびに基底細胞癌組織もこの抗
体と選択的に結合したが、他の癌腫および間葉原発の腫
瘍はなんらの反応性も示さなかった。この抗体の反応性
はウシおよびネコの扁平上皮細胞癌についてもみられ
た。よく分化した転移ウシ肺扁平上皮癌の染色で、末梢
腫瘍細胞への抗体の結合増大が観察された。イヌの良性
上皮腫瘍に関しては、基底細胞腫瘍は均質に染色された
が、パピローマと肛門周囲腫瘍の場合には染色は基底細
胞のみに限られた。
正常組織に対するMAb 174H.64の反応性 正常組織についてMAb 174H.64との反応性について調
べ、結果を表6に要約した。形層上皮の基底細胞、胸腺
上皮および胸管周囲の筋上皮細胞に関して高い選択性反
応性が観察された。非形層上皮(たとえば結腸)や非上
皮性由来の組織については反応性がみられなかった。
形層上皮の基底層に対する抗体の反応性はウシおよび
マウス皮膚についても証明されている。基底細胞の豊富
なマウスのケラチン細胞懸濁液を新生仔マウスの皮膚を
トリプシン分解して調製した。この懸濁液の細胞塗抹標
本は免疫ペルオキシダーゼ染色において、細胞の30−50
%が抗体との反応性に関して陽性を示した。基底細胞特
性をもつ正常ヒトケラチン細胞培養は全細胞が抗体との
反応性に関して陽性を示した。
SCC細胞株に対するMAb 174H.64の反応性 前に述べられたようにMAb 174H.64はテストしたすべ
てのSCC組織と反応したが、一方いくつかのヒト扁平上
皮癌細胞株(SCL−1,SIHAA,ME180,C−33A)は細胞塗抹
標本免疫ペルオキシダーゼ染色で抗体との反応性をテス
トしたが結果は陰性であった。反対に、マウスの転移肺
扁平上皮癌細胞株(KLN−205)は抗体と反応した。
扁平上皮癌動物モデルとMAb 174H.64との反応性 KLN−205細胞(106)を標準の方法で8週令の雄DBA/Z
マウスに静脈内注射した。21日後にこれらのマウスから
切り取った肺には大きな腫瘍コロニー形成がみられた。
免疫ペルオキシダーゼ染色でこの腫瘍は抗体と強い反応
性を示し、腫瘍周辺の細胞が優先的に染色された。近接
する正常組織は正常マウスから取った肺組織とはじく抗
体とはなんの反応性も示さなかった。
抗原の特性 以下に示す方法で、ウシ転移肺扁平上皮癌腫瘍、ヒト
肺扁平上皮癌腫瘍、ヒト卵巣腺癌腫瘍およびin vitroで
増殖した正常ヒト上皮ケラチン細胞からタンパク質抽出
物を調製した。組織試料すなわち細胞ペレットを10倍容
量のNonidet P−40(NP−40,Sigma Chemical Company)
抽出緩衝液(50mMトリスHCl緩衝液pH7.5中、1%NP−4
0,2mM EDTA,1mMフェニルメチルスルホニルフルオライ
ド,2mMペプスタチン10mM O−フェナンスロリンおよび15
0mM NaCl)中で4℃,30分間ホモジナイズし、ついで10
0,000gで1時間遠心した。残渣を再び10倍容量のドデシ
ル硫酸ナトリウム(SDS)抽出緩衝液(10mMトリスHCl緩
衝液PH7.5中2%SDSと10mM 2メルカプトエアタノール)
を用いて室温で10分間抽出し、100℃10分煮沸し、つい
で10,000gで15分間遠心した。これら抽出物中のタンパ
ク質を標準還元条件下で非連結グラジエントSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(4%スタッキングゲルと
4%から15%のグラジエントレゾルビングゲル)上で分
離した。電気泳動のあと、ゲルを200のタンパク質再生
緩衝液(4M尿素,2mM EDTA,50mM Nacl,トリスHCl PH7.5
中0.1mMジチオスレイトール)中、室温で1回緩衝液を
換えて18時間インキュベートし、ついで転移緩衝液(25
mMトリスHCl PH8.8中190mMグリシン)中、4℃で1時間
平衡化させた。これらのタンパク質を電気泳動的にゲル
からニトロセルロース膜(Biorad)に180mA,定常電流で
18時間移動させた。ニトロセルロースシートを取り除
き、PBS中3%ゼラチンを含むブロッキング緩衝液中で
1時間インキュベートし、TPBS(0.05%Tween20を含むP
BS)中で5分間2回にわたり洗浄した。ついで抗体緩衝
液(1%ゼラチン含有TPBS)中で125I標識した抗体(5
×105cpm/ml)と2時間インキュベートし、1回ごと5
分間で6回TPBS中で洗浄した。ニトロセルロースシート
を風乾し−70℃でX線フィルムで感光した。上記組織の
NP−40抽出物と腺癌のSDS抽出物のイムノブロツト[imm
unoblots]は125I標識MAb 174H.64と全く結合しなかっ
たのに対して、ウシ扁平上皮癌、ヒト扁平上皮癌および
ヒトケラチン細胞のSDS抽出物は125IMAb 174H.64と特異
なタンパク質バンドを有する選択的結合を示した。ケラ
チン細胞SDS抽出物中の免疫活性タンパク質バンドは分
子量が約48から50キロダルトン(おそらくダブレット)
と57キロダルトンであった。ウシおよびヒト扁平上皮癌
SDS抽出物はただ1個のはっきりしたバンドを示し、分
子量は前者が約48から50キロダルトン、後者が約57キロ
ダルトオンであった。対照抗体(155H.7)は上記腫瘍抽
出物のいずれとも結合しなかった。
正常および頚部の前悪性上皮に対する174H.64との反応
性 頚部の正常および前悪性上皮の凍結切片についてMAb
174H.64との結合をしらべた。結果を表7と表8に要約
して示す。
正常頚部の成熟および未成熟扁平上皮では染色は基底
層と準基底層にみに限られた。成熟上皮では実際上基底
および準基底層の100%が染色されたのに対して、未成
熟上皮での染色は71から73%の間に限られた。症例の70
%の柱状下上皮で染色は予備細胞に関して観察された。
これらの結果から、この抗原の発現は上皮の成熟過程中
に獲得され、成熟上皮の幹細胞が分化する間に失われる
ことが示される。予備細胞の染色パターンは、予備細胞
が形層上皮の幹細胞になるような症例の割合を反映す
る。
実施例2:MAb 174H.64の免疫療法的使用 哺乳動物の扁平上皮癌(以下Sq Caということがあ
る)の増殖細胞上に発現されたエピトープを選択的に認
識するMAb 174H.64、酸感受性リンカーでダウノマイシ
ン(DM)に共有結合させてSq Caに対する選択的細胞毒
性をテストした。MAb 174H.64−DM抱合体を用いて化学
免疫療法に関するマウス肺Sq Caモデルを開発した。こ
のモデルは、静脈内注射のあと肺へ転移するKLN−205 S
q Ca細胞株を用いて、中心(174H.64と反応しない)に
向うケラチン化した分化細胞を有する腫瘍(174H.64と
反応する)の周辺部で高度に増殖する細胞で特徴づけら
れるところの偶発Sq Caの増殖パターンと同じパターン
を示す。MAb 174H.64−DM抱合体はKLN−205細胞に対し
てin vitroでも、また肺転移を有するマウスへの静脈内
注射でもいずれも著しい、そして特異な細胞毒性を示し
た。抱合体はKLN−205とin vitroでインキュベートした
ときはDM単独とほとんど同じ効果を示したが、in vivo
ではDM単独よりもはるかに効果があった。最後に、抱合
しない174H.64MAbはKLN−205転移を有するマウスの生存
時間を有意に増大させたが、明らかに長期間生存(>10
0H)を示したいくらかのマウスで174H.64−DM免疫抱合
体を与えたときによりずっと長い生存がみられた。MAb
174H.64はSq caに対しておそらく治療上の利益をもつも
のと結論する。
材料と方法 実験動物:8−12週令のDBA/2雄マウスをMedical Scien
ce Animal Center,University of Albertaから購入し
た。
細胞株:マウスSq Ca株、KLN−205(Kaneko,et al.,1
978),マウス白血病細胞株、SL2R5.Wolcsin,et al.,In
t.J.Cancer,23:519(1979).およびヒト骨髄白血病
株、HL60−2,Gallagher,et al.,Blood,54:713(1979)
をAmerican Type Culture Collection,Rockville,MDか
ら入手した。すべての細胞株は10%FCSを加えたRPMI 16
40培地中で継代した。KLN−205は静脈内注射により肺へ
転移するマウス肺Sq Ca細胞株である。Kaneko,et al.,C
ancer Res.,28:2084(1978)。肺にできた転移はMAb 17
4H.64と反応し、この場合それぞれの腫瘍の周辺の増殖
する細胞と選択的に反応することが示された。Samuel,e
t al.,Cancer Res.,49:2465(1989),Williams,et al.,
J.Nat.Cance.Inst.51:1513(1973)。
免疫抱合体の調製:免疫抱合体は細胞毒成分であるダ
ウノマイシン(DM)を酸感受性のシス−アコニチルスペ
ーサー(CA)を通じて標的特異性の抱合体に付着させて
作られている。Shen,et al.,Biochem.Biophys.Res.Com
m.,102:1048(1981)。これらのダウノマイシン免疫抱
合体は標的細胞に高い特異的細胞毒性を示し、骨髄から
腫瘍細胞と機能性T細胞を排除するのに用いることがで
きる。当研究で意図したのは、MAb 174H.64−ダウノマ
イシン免疫抱合体のKLN−205 Sq Ca肺腫瘍に対する標的
治療への可能性をテストすることであった。免疫抱合体
は以下の文献の記載に従って調製した:Diener,et al.,i
n Antibody−Mediated Delivery System,P.1(Marcel D
ekker,Inc.,N.Y.1988)and Xie,et al.,Transplantaio
n,44:770(1987),according to the method of shen,e
t al.,(1981).MAbは腹水液を40%(NH4)2SO4でタン
パク質を沈澱させ、ついで4℃24時間リン酸緩衝食塩水
で透析して得た。このタンパク質分画をさらにタンパク
A−セファロースカラム(Pharmacia)上でアフィニテ
ィクロマトグラフで精製した。ダウノマイシンとシス−
アコニット無水物はSigma Chemical Co.,St.Louis,MOか
ら購入した。精製モノクローナル抗体174H.64は上に述
べた方法で得た。MAb抗−Thy1,2はNENから得、ヒト骨髄
細胞と反応するMAb 86H.1(See Janowska−Wieczorek,e
t al.,in Leukocyte Typing II,Vol.3),ヒト骨髄およ
び造血細胞P.171(Springer Verlag,N.Y.1986)はHL−6
0細胞を含めてわれわれの研究室で作られた。
細胞毒免疫抱合体その他の作用物質による細胞の処
理:リン酸緩衝食塩水(PBS)中の細胞に対して免疫抱
合体や他の作用物質を氷上で2時間半作用させた。その
あと細胞を3回洗浄し、レシピエントのマウスに静脈内
注射するか、37℃で24時間インキュベートし、そのあと
細胞による3H−チミジンの取り込みを測定した。
3H−チミジンの取り込み:細胞培養液を0.5μCi/well
の3H−チミジン(比活性2.0μCi/mmol)(NEN)で4時
間パルスした。細胞をTitertek半自動多重試料収集器
(Flow Laboratories,Mississauga,Ontario)を用いて
ガラスファイバー中に採取した。チミジン取り込みを液
体シンチレーション分光光度計で定量した。
扁平上皮癌動物モデル:KLN−205細胞(Kaneko,et a
l.,1978)を用い、前に述べた方法(Samuel,et al.,198
9)による。
125I−IUDRの取り込み:マウスに1匹当り2μCiの12
5I−IUDR(Edmonton Radiopharmaceutical Center,Edmo
nton,Alberta,Canada)を注射し、4時間後に肺を切除
し、これを細片に切り、3日間10%のトリクロロ酢酸
(TCA)で3回洗浄してγ−カウンターを用いて放射活
性含量を測った。
統計的解析:ほとんどのデータはStudentのt−検定
法で評価した。生存データは修正Wilcoxon法で評価し
た。
結果 MAb 174H.64−DMによるKLN−205細胞のin vitroでの
増殖の阻害:前にわれわれはKLN−205マウス肺扁平上皮
癌細胞株を含めて、テストしたすべての哺乳動物Sq Ca
に対してMAb 174H.64が選択的に反応することを記述し
た(Samuel,et al.,1989)。免疫抱合体の特異的細胞毒
性をしらべるために、KLN−205細胞株、SL2R5細胞株お
よびHL60−2細胞株を氷上で2時間、MAb 174H.64−DM,
MAb86H.1−DM,MAb抗−Thy1.2−DM,抱合しないDM,MAb 17
4H.64,MAb抗−Thy1.2あるいはMAb 86H.1で処理し、洗浄
ののち、細胞を24時間培養した。図2はダウノマイシン
単独の場合と比較して、種々の抗体の細胞殺傷の特異性
を示す。HL−60細胞とSL2R5細胞はそれぞれそれらに対
応するMAbsで阻害されたが、KLN−205細胞だけはMAb 17
4H.64−DM抱合体で阻害された。MAb 174H.64−DM抱合体
によるKLN−205細胞のin vitroでの増殖の阻害はダウノ
マイシンのみの場合とほぼ同程度の効果があったことは
注目すべきである。
In vitroでKLN−205細胞をMAb 174H.64−DMで処理す
ると静脈内注射したマウスの肺の中での腫瘍細胞の増殖
が阻害された:この実験のために、肺中でのKLN−205腫
瘍細胞の増殖の尺度として125I−IUDRの取り込み検定法
を用いた。まず最初に、肺中での125I−IUDRの取り込み
は少なくとも105〜106細胞の範囲内では静脈内注射した
KLN−205細胞の数に直接比例することを確かめた(図
3)。
ついでKLN−205細胞を氷上で2時間、MAb 174H.64−D
M抱合体あるいはPBS.MAb 174H.64単独ないし抱合しない
DMを含めた種々の対照で処理した。そのあと細胞を3回
洗浄しDBA/2マウスに接種した(1匹あたり106細胞)。
接種後23日目に125I−IUDR取り込みを用いて肺中の腫瘍
増殖をモニターした。図4の結果は、MAb 174H.64−DM
による前処理によって肺腫瘍の増殖を有意に約85%減少
させ、それはDM単独で細胞とインキュベートしたときと
同程度に効果があった。
静脈内注射したMAb 174H.64−DMはin vivoで確立され
た肺転移KLN−205細胞の増殖を阻害する:当実験の目的
はin vivoでのMAb 174H.64−DMの特異的細胞毒性をしら
べることであった。106個のKLN−205細胞をDBA/2マウス
に接種した。3日後MAb 174H.64−DMを10日間にわたり
2日毎に静脈内注射した(5回注射)。腫瘍細胞を接種
後23日目に肺中での125I−IUDR取り込みをしらべること
によって腫瘍増殖を測定した。図5の結果は、MAb 174
H.64−DMが125I−IUDR取り込みを有意に(P<0.001)
約80%減少させるのに対して、MAb 86H.1−DMは有意な
効果のないことを示している。ダウノマイシン単独では
いくらか効果があったが有意ではなかった。しかしMAb
174.64単独の場合腫瘍細胞の増殖を約42%減少させた
(P<0.001)。
MAb 174H.64−DM療法をうけたマウスの生存率:上の
実験はくり返されたが、肺中のKLN−205細胞の増殖をモ
ニターするためマウスを殺すかわりにマウスの生存率だ
けをモニターした。図2の結果は、MAb 174H.64−DM投
与マウスは非投与あるいは抗体投与マウスよりも有意に
長期間(P<0.001)生存したことを示す。MAb 174H.64
単独も腫瘍をもつマウスの生存率を改善した(P<0.00
1)。
考察 当研究は扁平上皮癌の増殖(STEM)細胞区分に指向性
をもつMAbは治療能力をもつという仮説をテストするた
めに計画された。われわれは新しいMAb 174H.64を用い
たが、これは正常形層扁平上皮と扁平上皮癌中の幹細胞
集団に関するマーカーとして働く細胞骨格タンパク質上
のユニークなエピトープを検出するようにみえる(Samu
el,et al.,1981)。MAb 174H.64は、組織学的な起源の
いかんにかかわらず、テストしたすべてのSq Caと反応
するし(Idem)、また同じようにヒト(テストした>6
2)、イヌ(テストした10)、ウシ(テストした40)お
よびネコ(テストした2)を含めてテストしたすべての
Sq Caについても反応する。当研究でわれわれはMAb 174
H.64がマウス転移肺Sq Ca,KLN−205と反応するという利
点を生かしてMAb 174H.64とダウノマイシンとの抱合体
(MAb 174H.64−DM)による化学免疫療法に関する動物
モデルを開発した。KLN−205細胞株を用いた以前の研究
によって、肺転移結節の腫瘍周辺は腫瘍の中心部分にあ
る、より分化した細胞の子孫である高い増殖能をもつ細
胞から成っていることが示された。われわれはMAb 174
H.64はヒトおよびウシSq Caと同じようにKLN−205肺腫
瘍の周辺層を選択的に染色することを示した。このこと
はKLN−205モデルを用いて腫瘍の“幹”細胞に対する選
択的な標的療法を試みることに対する理論的根拠を与え
た。というのは内部にある、より分化した細胞はもはや
悪性増殖をする能力はないからである。
ダウノマイシンについて広範な経験をもっていたの
で、免疫抱合体の細胞毒成分としてわれわれはダウノマ
イシンを選んだ。Diener,et al.,Science,231:148(198
6);Diener,et al.,in Cellular Basisof Immune Modul
ation,P.509(Alan R.Liss,Inc.,N.Y.1988);Diener,et
all.,(1988)(Marcel Dekker);xie,et al.,(198
7)。われわれは前に抗−Thy1.2MAbとダウノマイシンの
免疫抱合体が標的細胞に対して高い特異的細胞毒活性を
有すること、そして骨髄からThy1.2+腫瘍細胞とマウス
の機能性T細胞を特異的に排除するのに使用しうること
を示した。われわれはMAb 174H.64とダウノマイシンと
の免疫抱合体も、関連する抱合体、フリーのモノクロー
ナル抗体あるいは抱合しないダウノマイシンと比較し
て、in vitroでもin vivoでもKLN−205マウス扁平上皮
癌の増殖を、顕著にそして特異的に阻害することを見出
した。
最初の実験でわれわれは免疫抱合体がin vitroで特異
的に細胞を殺すことを証明しようと計画した。このため
に3つの細胞株と3つの免疫抱合体で交差実験を行った
が、これらのものは免疫蛍光および/または免疫酵素テ
スト法に基づいて、それらに特異的な細胞株に対して特
異的であるべきである。それぞれのケースについて非常
に強い特異性とすぐれた細胞殺傷作用が認められた:MAb
86H.1−DMはHL−60細胞だけを、MAb抗−Thy1,2−DMはS
L2−R5細胞だけを、そしてMAb 174H.64はKLN−205細胞
だけを殺した。面白いことに、174H.64免疫抱合体によ
るKLN−205細胞の殺傷効果は培養系に加えた抱合しない
フリーのダウノマイシンとほぼ同程度であった。
つぎにin vitro実験の拡張として、KLN−205細胞をin
vitroで免疫抱合体、フリーの抗体あるいはフリーのダ
ウノマイシンと一緒に培養、洗浄、静脈内接種して肺中
での転移増殖をモニターする実験を実施した。この場
合、MAb 174H.64−DM抱合体とのプレインキュベーショ
ンによって肺中のKLN−205細胞の転移増殖を著しく減少
させることができた。ここでもまた、免疫抱合体で達成
された増殖の減少はフリーのダウノマイシンによる減少
と大体同じ程度であった。非抱合MAb 174H.64とのin vi
troインキュベーションによって肺中のKLN−205細胞の
増殖についてわずかな、しかし統計的には有意でない減
少がみられた。
ついで、MAb 174H.64−DM抱合体のin vivo治療能力を
直接テストする2つの実験を計画した。免疫療法は106
個のkLN−205細胞の静脈内接種後3日目、すなわち肺転
移細胞が十分に確立されたときにスタートした(Kanek
o,et al.,1981;Williams,et al.,1973)。MAb 174H.64
−DMを10日間にわたり、2日間隔で5回静脈内注射し
た。肺中のKLN−205細胞の増殖を125I−IUDRの取り込み
検定法を用いて23日目にモニターし、生存率は100日目
以降にモニターした。種々の化合物の治療能力について
の2つの評価は非常に似た結果を与えた。MAb 86H.1−D
Mを注射したマウスでは治療による好結果はなく、腫瘍
増殖と生存率についてPBSを注射したマウスと同じであ
った。ダウノマイシン単独では増殖がわずかに減少し、
生存率はわずかに増加した。むしろ、より大きな治療利
益が非抱合MAb 174H.64についてみられた。しかしなが
ら、最良の治療はMAb 174H.64−DM免疫抱合体を静脈注
射した後に達成され、その場合肺中の腫瘍細胞増殖が80
%以上減少し、生存期間の延長もみられた。100日以上
生存したマウスの20%(5匹のマウス)について大きな
生存期間の延長がみられた。174H.64免疫抱合体の治療
利益は、当実験で用いた治療方式が最良なものとは限ら
ないだろうことを考えたときより印象的である。
MAb 174H.64−DMが有効なのは、多分それが標的細胞
の表面に特異的に結合し、標的細胞の内部に薬剤が蓄積
することによる。Borxterman,e al.,Biochem.Pharmaco
l.,37:2389(1988);Di−llman,et al.,Cancer.,48:609
7(1988);Pimm,et al.,Cancer Immunol Immunother.,2
7:267(1988).Pimmと共同研究者達はダウノマイシン免
疫抱合体を注射したヌードマウスにおけるヒト腫瘍の増
殖について研究した。その結果、薬剤と抗体の両者が腫
瘍のところに局在し、解析の時点(注射後3日目)で腫
瘍内のダウウノマイシン濃度はフリーのダウノマイシン
を注射したマウスの場合の100倍以上であることを見出
した。免疫抱合体のエンドサイトーシスにひき続いて、
細胞毒性能をもつ成分はリソソーム中の酸感受性スペー
サーから遊離されて完全な薬理活性を取り出すようにみ
える(Dillman,et al.,1988)。これらの結果は、同じ
ダウノマイシン濃度でも、免疫抱合体MAb 174H.64−DM
はin vivoでKLN−205細胞の増殖を顕著に抑えるのに、
フリーのダウノマイシンは抑えないというわれわれの観
察と矛盾しない。ただし、フリーのダウノマイシンはin
vitroでインキュベートしたときは免疫抱合体と同程度
かより大きな細胞毒活性を示した。
Gallego et al.(1984)はダウノマイシンを抗体にカ
ップルさせるための4つの異なるリンケージ基を研究し
た。かれらは当研究で用いたのと同じく、シス−アコニ
チル結合で作られた抱合体が腫瘍細胞に対して最大の選
択的細胞毒性を現すことを見出した。われわれの研究結
果は、シス−アコニチル結合基で作られたダウノマイシ
ン免疫抱合体の有効性を実証したように思われる。
MAb 174H.64は正常および悪性の形層扁平上皮の幹細
胞集団のみに発現されたいくつかの細胞骨格タンパク質
上に発現された新しいエピソープを検出するようにみえ
る。以前の観察ならびに当実験からMAb 174H.64で検出
されるエピソープはKLN−205細胞の表面にも発現される
ことが示唆される。ある細胞骨格タンパク質に関しては
その他の細胞表面抗原法定基が報告されている:Diaz,et
al.,J.Invest.Dermarol.,89:287(1987);Zimmerman e
t al.,J.Cell.Biol.,95:237a(1982).174H.64エピトー
プは形層扁平上皮の基底細胞表面にも存在すると思われ
るので、当実験においてもいくらかの皮膚毒性が期待さ
れるかもしれない。しかしながら、長期(100日以上)
生存マウスを含めて、フリーの174H.64MAbあるいはMAb
174H.64−DM抱合体のいずれかを複数回注射した100匹以
上のマウスについて、なんらの皮膚傷害の証拠もない
し、その他の明かな肉眼的病変もみられなかった。
マウスについての研究を基礎にして、われわれはMAb
174H.64は扁平上皮細胞癌の患者に対する有望な治癒能
力をもつだろうと結論する。放射性標識MAb 174H.64を
用いた予備的な放射免疫画像処理研究で、このMAbがin
vivoでヒト扁平上皮癌中に非常によく局在することが観
察された。
実施例3:MAb 174H.64を用いた画像処理 MAb 174H.64の臨床的有用性 In vivoでの腫瘍局在物質としての放射性標識MAb 174
H.64の臨床的有用さをテストするために、精製した抗体
全体をテクネチューム−99mで標識し、扁平上皮癌の患
者何人かに注射した。
標識は以下の手順で行った: 酒石酸ナトリウムカリウム(0.282g)とフタール酸カ
リウム(0.817g)の混合物を100mlの滅菌水に溶解し、
常時撹拌しながら発熱物質のないビーカー中に注入した
(“緩衝液”)。乾いた、そして微粒子を含まない窒素
を溶液に通じてこれを蒸発除去した。窒素は微量に存在
する酸素を除去するために前もって窒素精製器を通し、
ついでどんな痕跡量の粒子不純物をも除去するために0.
02μフィルターを通した。つぎに20mlの濃塩酸に1.896g
の無水塩化第1錫を溶かして0.5Mの塩化第1錫(Snc1
2)溶液を得た。この溶液1mlを直ちに前もって調製した
緩衝液に加え、この最終混合液のPHを10Nの水酸化ナト
リウム溶液を用いて注意深く5.6±0.05に調整した。そ
の混合液を窒素ガスで除去し、0.22μフィルターに通し
た。これを還元溶液と呼ぶ。リン酸緩衝液中のMAb 174
H.64 1mgをフィルターに通した還元溶液0.67mlと混合
し、混合液が1mlあたり1mgの抗体を含むようにMAbの最
終濃度を調整した。混合後、抗体と還元溶液を含むバイ
アルに数分間窒素を通して液っを除去し、室温で21時間
窒素気流下においた。インキュベーション終了後、処置
したその抗体溶液を0.22μフィルターに通した。このフ
ィルターはタンパク質含量、発熱物質、純度(大きさで
除去するカラムクロマトグラフィを用いて)および免疫
反応性に関して検定した。もとの処理しない全抗体と上
記のような処理を施した抗体との間には免疫反応性や分
子量について差はなかった。つぎに調製した抗体の溶液
を臨床的に使用時まで凍結させた。使用時に、凍結した
還元抗体を含むバイアルを室温で解氷し、、TC−99mパ
ーテクネートナトリウム溶液(50mCiまで)の必要量を
加え、その溶液を室温で1時間インキュベートした。イ
ンキュベーションが終わった時点で、アセトンを展開溶
媒として厚層クロマトグラフィでなにか非結合のTC−99
mがないかをテストした。放射性標識の有効度は95%で
あった。
臨床結果 頭部とくび、頚部および肺に転移扁平上皮癌をもつ11
名の患者についての臨床研究を実施し、99mTC−標識MAb
174H.64を静脈注射してのちの取り込みをしらべた。2m
g(約50mCi)の量の抗体を100mlの正常食塩水で希釈
し、30分間かけて注入した。どんな異常な取り込みも、
注入後に何回も平面単一フォトン発光コンピュータトモ
グラフィで測定した。24時間以内に得られた結果から、
2名の患者では見かけ上負の取り込みであったのに対し
て9名については実際陽の取り込みがみられた。胸上部
へ転移した頚部扁平上皮癌をもつ1人の患者で観察され
たこのようなスキャンを図7に示す。そこには直径2−
4mmの病変部中の抗体の取り込みが示されている(図7
参照)。
標識全抗体の薬動力学は、フラグメントのすでに知ら
れている挙動と実際同じであるという異常さを見出し
た。血液クリアランスは迅速で、取り込みは注入後早く
も3時間でみられた。患者の尿中の放射活性の分析によ
って分泌された放射活性は遊離のパーテクネクテートに
よるのではなく、むしろ結合放射活性によることが証明
された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/574 A 33/574 33/577 B 33/577 C12N 15/00 C (72)発明者 ロンジェネッカー、ビィ.ミッチェル カナダ ティ6ジィ 1ティ3、アルバ ータ州、エドモントン、118 ストリー ト 8412 (72)発明者 スタンクズィク―ブルゼジンスカ、グラ ズィーナ カナダ ティ6エッチ 5エィ1、アル バータ州、エドモントン、ミッチェナー パーク 601ディ (72)発明者 ウィランズ、デービッド カナダ ティ6エッチ 5エックス4、 アルバータ州、エドモントン、ホワイト マッド プレイス 7 (72)発明者 オノレ、ルイス エッチ. カナダ ティ6ジェイ 0エヌ2、アル バータ州、エドモントン、39 アベニュ ー 12204 (72)発明者 ヘイネス、デボラ エム. カナダ エス7エヌ 0ジェイ9、サス カチワン州、サスカツーン、ユニバーシ ティ ドライブ 901 (72)発明者 ディーナー、アーウィン カナダ ティ6ジィ 1ティ7、アルバ ータ州、エドモントン、118 ストリー ト 9120 (72)発明者 ディング、レイ カナダ ティ6エッチ 3シィ8、アル バータ州、エドモントン、110 ストリ ート 5123

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ATCC受託番号HB 10105のハイブリドーマ細
    胞系またはその再クローンによって分泌されるモノクロ
    ーナル抗体174H.64と結合する扁平上皮癌関連抗原また
    はそのエピトープに結合し、且つ、扁平上皮癌ならびに
    重層扁平上皮の基底層および準基底層のみと本質的に結
    合することを特徴とするモノクローナル抗体またはその
    フラグメント。
  2. 【請求項2】前記モノクローナル抗体またはそのフラグ
    メントと前記抗体174H.64とが前記抗原の同一のエピト
    ープに結合する請求項1に記載のモノクローナル抗体ま
    たはそのフラグメント。
  3. 【請求項3】扁平上皮癌ならびに重層扁平上皮の基底層
    および準基底層に関連する抗原に優先的に結合し、且
    つ、扁平上皮癌においてその増殖区画と強く反応する請
    求項1または2に記載のモノクローナル抗体またはその
    フラグメント。
  4. 【請求項4】モノクローナル抗体174H.64と結合する扁
    平上皮癌関連抗原またはそのエピトープに結合するモノ
    クローナル抗体またはそのフラグメント、および、抗体
    174H.64またはそのフラグメントから選ばれる請求項1
    または2に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグ
    メント。
  5. 【請求項5】前記エピトープがモノクローナル抗体17.1
    3と結合しないものである請求項1または2に記載のモ
    ノクローナル抗体またはそのフラグメント。
  6. 【請求項6】扁平上皮癌関連抗原に結合し、且つ、モノ
    クローナル抗体174H.64と同じ抗原特異性および結合特
    性を有するか、またはモノクローナル抗体174H.64であ
    る請求項1または2に記載のモノクローナル抗体または
    そのフラグメント。
  7. 【請求項7】ATCC受託番号HB 10105のハイブリドーマ細
    胞系またはその再クローンによって分泌される抗体由来
    である請求項1または2に記載のモノクローナル抗体ま
    たはそのフラグメント。
  8. 【請求項8】結合する抗原が約48〜50キロダルトンおよ
    び57キロダルトンの細胞骨格蛋白質である請求項1〜7
    のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその
    フラグメント。
  9. 【請求項9】ヒト扁平上皮癌の増殖区画と反応する請求
    項1および4〜7のいずれか1項に記載のモノクローナ
    ル抗体またはそのフラグメント。
  10. 【請求項10】その起源の組織に関わらず、ヒト扁平上
    皮癌と選択的に結合する請求項1〜9のいずれか1項に
    記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
  11. 【請求項11】扁平上皮の前悪性病巣と反応する請求項
    1〜10のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体また
    はそのフラグメント。
  12. 【請求項12】標識され、または、可溶化形態にある請
    求項1〜11のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体
    またはそのフラグメント。
  13. 【請求項13】放射性標識された請求項1〜11のいずれ
    か1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメ
    ントを含む、前記放射性標識されたモノクローナル抗体
    またはそのフラグメントの免疫造影による患者における
    扁平上皮癌の位置決定用組成物。
  14. 【請求項14】請求項1〜11のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体またはそのフラグメントを治療的に有
    効量含む扁平上皮癌治療用組成物。
  15. 【請求項15】前記モノクローナル抗体またはそのフラ
    グメントが細胞毒性物質とその特異性を維持するように
    結合している請求項14に記載の組成物。
  16. 【請求項16】試料中の扁平上皮癌関連抗原の有無の検
    出方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の
    モノクローナル抗体またはそのフラグメントを試料と共
    に、前記抗体の少なくとも一部が抗原と結合するのに十
    分な時間インキュベートし、結合した抗体を検出するこ
    とを特徴とする該方法。
  17. 【請求項17】請求項1〜11のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体またはそのフラグメントに結合する抗
    原の単離方法であって、前記抗体またはそのフラグメン
    トを固体支持体に固定化し、前記固体支持体を生物学的
    試料と接触させ、非結合不純物を前記固体支持体から分
    離し、精製形態の前記抗原を固定化した抗体またはその
    フラグメントから溶離することを特徴とする該方法。
  18. 【請求項18】組織試料中の扁平上皮の前悪性病巣の検
    出方法であって、前記試料を請求項1〜11のいずれか1
    項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント
    と反応させることを特徴とする該方法。
  19. 【請求項19】請求項1〜10のいずれか1項に記載のモ
    ノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み、前記
    抗体またはそのフラグメントは細胞毒性物質と結合して
    いると共にその特性を本質的に維持している扁平上皮癌
    治療物質。
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