JP2919414B2 - 多重伝搬路特性測定方法および受信装置 - Google Patents

多重伝搬路特性測定方法および受信装置

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信也 関澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陸上移動通信等に
おいて、反射や回折等の影響を受けた受信波の到来方向
等を推定する多重伝搬路特性測定方法および多重伝搬路
特性測定用受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】陸上移動通信において、将来のマルチメ
ディア化に伴い伝送情報の高速化および高品質化が要求
されている。ところが、高速のデータ伝送を行うとマル
チパスフェージングによって符号間干渉が起こり受信波
形が大きく歪む。また、伝送速度が高速になるほど符号
間干渉も大きくなる。所定の通信品質を確保するために
は、アダプティブアレーアンテナ等の選択性フェージン
グ対策を講じる必要がある。
【0003】アダプティブアレーアンテナの検討におい
て、アレーアンテナのアンテナ素子数やアルゴリズムな
どを検討するためには、多重波を構成する到来波の数お
よびその到来方向等を考慮する必要がある。マルチパス
の遅延時間については、これまでに、例えば、関澤ほか
1名、「都市内における1.5GHz帯多重路伝搬特
性」、電子情報通信学会論文誌B−II、Vol.J72
−B−II、No.9、(1989−9)、pp.499
−501に記載されているように、伝搬路の遅延プロフ
ァイルを測定することにより解明されてきた。しかし、
多重波を構成する到来波の数およびその到来方向,振
幅,位相,遅延時間等を考慮した一般性のある多重伝搬
路特性についてはこれまでにほとんど報告されていな
い。
【0004】従来、到来方向の測定には、例えば、古賀
ほか1名「市街地低アンテナ高伝搬における伝搬経路同
定」、電子情報通信学会技報RCS95−126、(1
996−1)pp.9−16などで知られているよう
に、一般に受信局のパラボラアンテナを角度的に走査、
すなわち、回転させながら多重波を構成する到来波の到
来方向を測定する方法がある。多重波に含まれる各到来
波の到来方向,振幅,位相,遅延時間は、正確に推定を
行う必要があるだけでなく、これらは、移動局の位置の
違いによって値が大きく変化するため、多重伝搬路特性
の短区間変動特性および長区間変動特性を解明するため
には、これらの値の位置的な変化を測定する必要があ
る。
【0005】図11は、複数の地点で到来方向を測定す
る従来の一般的な方法を説明するための概要構成図であ
る。図中、1は送信機、2は無指向性アンテナ、3は受
信機、6は直接到来波、7は建物、8は遅延到来波、1
01は指向性アンテナである。移動局の指向性アンテナ
101として、パラボラアンテナ,八木アンテナ等の指
向性の鋭いものを用いた場合を考える。
【0006】基地局の送信機1は、無指向性アンテナ2
から連続波(CW,Continuous wave)
を送信し、移動局は、この連続波を指向性アンテナ10
1で受けて受信機3で受信する。受信機3は、直接到来
波6だけではなく建物7で反射した遅延到来波8を含む
多重波を受信することになる。
【0007】複数の地点で到来方向を測定するこの従来
の方法では、移動局を測定点に静止させて1地点で指向
性アンテナ101を回転させ、水平方向の角度を少しず
つ変えて360度の方向について多重波を構成する到来
波の到来方向等を求めることができる。しかし、連続波
の送信では、直接到来波6および遅延到来波8などの到
来波を分離することはできない。連続波を送受信する送
受信機の代わりに、遅延プロファイルを測定する多重伝
搬路特性測定装置を用いることによって、多重波の遅延
時間の測定もでき、さらに、各遅延波の到来方向の測定
が可能になる。
【0008】しかし、1つの測定点A1 において移動局
を静止させた状態で指向性アンテナを1回転させて測定
し、さらに移動局を距離dy (一般に0.1波長〜数1
0波長)だけ変化させて測定点A2 ,A3 …において同
様の測定を行い、これらの動作を何度も繰り返す必要が
ある。
【0009】例えば、3GHz帯では、波長が10cm
であるから、波長の長さだけ位置がずれれば伝搬路の状
況が変わってしまう(短区間変動特性)。このため、測
定間隔は、波長よりも十分細かくする必要がある。ま
た、波長よりも十分大きく離れると、今度は周囲の建物
などの環境の変化によって伝搬路の状況が変化する(長
区間変動特性)。そのため、測定範囲は、波長に比べて
十分長い距離にわたって測定する必要がある。
【0010】このように、実際に多重波を構成する各到
来波の遅延時間、到来方向および振幅,位相等の位置的
な変化を測定するためには、波長が短くなればなるほ
ど、測定点の数が極めて多くなるため、膨大な労力を必
要とするという問題があったため、このような従来の測
定は、限定された一部の場所でしか行われていない。
【0011】また、従来の到来方向測定では、到来方向
の角度分解能を向上させるため、実効開口面積の大きな
指向性アンテナや、アンテナを角度走査させるための駆
動装置が必要になるため、測定装置が大規模になるとい
う欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多重波を構
成する到来波の到来方向等の多重伝搬路特性を測定する
のに必要な装置の小規模化と測定の効率化をはかること
ができる多重伝搬路特性測定方法および多重伝搬路特性
測定用受信装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
おいては、多重伝搬路特性測定方法において、連続波を
送信し、前記連続波を複数のアンテナ素子を有するリニ
アアレーアンテナで受信するとともに、前記リニアアレ
ーアンテナを空間的に移動させ、複数の位置において前
記複数のアンテナ素子で受信した受信信号を共通の参照
信号を用いて直交復調して個別に複素振幅を出力し、前
記複素振幅を信号処理することにより受信した前記連続
波を構成する到来波の少なくとも到来方向を推定するも
のである。
【0014】請求項2に記載の発明においては、請求項
1に記載の多重伝搬路特性測定方法において、前記連続
波は、拡散符号で拡散変調されたものであり、前記個別
の複素振幅を、前記拡散符号と同一で共通の拡散符号と
の相関をとった後に信号処理することにより前記到来波
の遅延時間別に前記到来方向を推定するものである。
【0015】請求項3に記載の発明においては、多重伝
搬路特性測定用受信装置において、複数のアンテナ素子
を有するリニアアレーアンテナと、該リニアアレーアン
テナを空間的に移動させる手段と、複数の位置において
前記複数のアンテナ素子で受信した受信信号を共通の参
照信号発生器の出力により直交復調して個別に複素振幅
を出力する直交復調手段を有するものである。また、請
求項4に記載の発明においては、多重伝搬路特性測定用
受信装置において、複数のアンテナ素子を有し空間的に
移動されるリニアアレーアンテナの、複数の位置におい
て前記複数のアンテナ素子で受信した受信信号を、共通
の参照信号発生器の出力により直交復調することによ
り、前記各アンテナ素子の複数の位置における複素振幅
を個別に出力する直交復調手段を有するものである。
【0016】請求項に記載の発明においては、請求項
または4に記載の多重伝搬路特性測定用受信装置にお
いて、前記直交復調手段から出力された個別の前記複素
振幅を、送信側の拡散符号と同一で共通の拡散符号と相
関をとることにより、到来波の遅延時間別に前記個別の
複素振幅を出力する逆拡散手段を有するものである。
【0017】請求項6に記載の発明においては、請求項
3または4に記載の多重伝搬路特性測定用受信装置にお
いて、前記直交復調手段は、複数の位置において前記複
数のアンテナ素子で受信した受信信号をそれぞれ受信
し、前記共通の参照信号発生器の出力により直交復調し
て個別に前記複素振幅を出力する複数の直交復調器を有
するものである。請求項に記載の発明においては、請
求項3ないし5のいずれか1項に記載の多重伝搬路特性
測定用受信装置において、前記複数のアンテナ素子で受
信した受信信号を順次切り換えて前記直交復調手段に出
力するスイッチ手段を有するものである。請求項8に記
載の発明においては、多重伝搬路特性測定用受信装置に
おいて、複数のアンテナ素子を有し空間的に移動される
リニアアレーアンテナの、複数の位置において前記複数
のアンテナ素子で受信した受信信号をそれぞれ受信し、
共通の参照信号発生器の出力により直交復調することに
より、前記各アンテナ素子の複数の位置における複素振
幅を個別に出力する複数の直交復調器と、該複数の直交
復調器の各出力を入力し、送信側の拡散符号と同一で共
通の拡散符号と相関をとることにより、到来波の遅延時
間別に個別の前記複素振幅を出力する複数の相関器を有
するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の多重伝搬路特性
測定方法を実現するための概要構成図である。図中、図
11と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。4はリニアアレーアンテナ、5はアンテナ素子であ
る。この実施の形態では、移動局は、複数の無指向性の
アンテナ素子5が直線上に配置されたリニアアレーアン
テナ4を用いている。リニアアレーアンテナ4をアンテ
ナ素子5が配置されている方向に対し直角の方向に移動
させながら、各アンテナ素子5で多重波を受信し、各受
信機3で受信信号を直交復調して複素振幅を測定し、所
定の距離dyごとに同様の測定を繰り返し行い、測定値
に対して信号処理を行うことにより多重波を構成する直
接到来波6,遅延到来波8などの到来波の到来方向と複
素振幅を推定するものである。
【0019】図示の例では移動局が移動中に測定を行っ
ているが、測定点間の距離dyが一定であればよい。し
たがって、各測定点で移動を一旦停止して測定を行うこ
とも可能である。本発明における「リニアアレーアンテ
ナを空間的に移動」とは、このように、各測定点で移動
を一旦停止して測定を行う場合を含む。なお、移動局か
ら基地局に到来する多重波の到来方向の推定は、移動局
側に送信機と無指向性アンテナ、基地局側にリニアアレ
ーアンテナと受信機を用い、同様の測定および信号処理
を行うことによって可能である。
【0020】図2は、本発明の多重伝搬路特性測定方法
の第1の実施の形態を実現する構成の説明図である。図
11,図1と同様な部分には同じ符号を用いて説明を省
略する。移動局のリニアアレーアンテナ4は、#0から
#(N1 −1)までの計N1本の無指向性のアンテナ素
子5がx軸方向にdx の間隔で配置されたものであり、
各アンテナ素子5のそれぞれに対し、直交復調器を備え
た受信機3が#0から#(N1 −1)まで接続された構
成になっている。
【0021】各受信機3は、Y軸方向に移動中の複数の
位置において、前記複数のアンテナ素子5で受信した受
信信号を共通の参照信号を用いて直交復調して個別に複
素振幅を出力する。この出力を信号処理することにより
到来波の到来方向と大きさを出力する。簡単のため、送
信機および受信機に周波数変換段がないものとして説明
する。
【0022】送信機1では、連続波発生器11により角
周波数ωc の無変調の連続波(CW)を発生させて無指
向性アンテナ2から送信する。各受信機3は、各アンテ
ナ素子5で受信した受信信号を、上述した連続波と同じ
角周波数ωc の参照信号の同相出力およびπ/2移相器
を通した直交出力と乗算器でそれぞれ乗算しローパスフ
ィルタを通すことにより直交復調する。同相チャネル
(Iチャネル),直交チャネル(Qチャネル)別に出力
が得られ、これを複素振幅で表すことができる。
【0023】上述した参照信号は、共通の参照信号発生
器から供給され、#0〜#(N1 −1)の受信機3は、
振幅,角周波数ωc ,位相が同一の参照信号を用いて受
信信号を直交復調する。リニアアレーアンテナ4をアン
テナ素子5が配置されているx軸方向に対して直角のy
軸方向に移動させながら間隔dy 毎に、受信機3から複
素振幅を出力する処理をNms回繰り返すことにより、次
に説明するように、多重波を構成する到来波の到来方向
等が推定できる。#n1 のアンテナ素子5に接続された
受信機3の、y軸方向のn2 y の位置における複素振
幅は、x(n1,n2 )と表すことができる。説明をわ
かりやすくするため、最初に1次元配置のリニアアレー
アンテナを移動させずに測定する場合について説明す
る。
【0024】図3は、1次元配置のリニアアレーアンテ
ナを移動させずに到来波の到来方向を推定する場合の説
明図である。図3(A)は1次元配置のリニアアレーア
ンテナを示す図であり、図3(B)は到来波の波長とx
軸方向の空間周波数との関係を示す図である。図中、1
1は測定点、12は到来波である。測定点11は、アン
テナ素子の位置である。図2に示した、n1 =0,1,
2,・・・,N1 −1番目までのN1 個のアンテナ素子
5からなる1次元配置のリニアアレーアンテナ4を考え
る。ただし、記号表示を簡単にするため、n1 をn、N
1 をN、dx をdに置き換えて説明する。また、到来波
の波長をλとする。各アンテナ素子の指向性は等方性と
し、測定点11の間隔、すなわち、アンテナ素子の間隔
dはd<λ/2とする。
【0025】図3(A)において、このアレーアンテナ
には、m=1,2,3,・・・M番目までのM波の到来
波Sm (t)12がX軸に対する到来角αm で入射した
と仮定する。また、到来波Sm (t)12は、平面波で
xy平面方向から到来し、全ての測定点についてS
m (t)のそれぞれの到来方向は変化しないと仮定す
る。
【0026】n=0番目のアンテナ素子の測定点を位相
基準としたとき、到来波Sm (t)12がn番目のアン
テナ素子に入射したときの位相差Δm (n)は、次式で
表される。
【数1】 また、M波の到来波Sm (t)12をn番目のアンテナ
素子の測定点11で受信したときの受信信号x(n,
t)は、次式で表される。
【数2】
【0027】t=t0 で時間的にサンプリングしたとき
の受信信号x(n,t0 )を便宜上x(n)=x(n,
0 )で表現することにする。x(n)を、x軸に沿っ
た距離方向に離散フーリエ変換(DFT)する。なお、
この場合の離散フーリエ変換は、x軸の距離上の信号に
ついて行っている。普通、離散フーリエ変換は、時間軸
上の信号について行われる場合が多いが、数学的には同
じものである。x(n)を、離散フーリエ変換(DF
T)したとき、離散スペクトルX(k)は、次式で表さ
れる。
【数3】 ただし、kは0≦k≦N−1の整数とする。kに対応す
る空間周波数fs (k)は、次式で表される。
【数4】
【0028】空間周波数fs (k)は、x軸方向に沿っ
た単位距離あたりの到来波Sm (t)12の周期数であ
る。この逆数1/fs (k)は、x軸方向に沿った見か
け上の波長であり、図3(B)に示すように、波長λと
の間には、(1/fs (k))cosα(k)=λの関
係がある。空間周波数fs (k)の最大値fsmaxは、f
smax=(1/λ)であるから、この関係を用いると、f
s (k)から到来波Sm (t)12のx軸に対する角度
α(k)を、次式のように推定することができる。
【数5】
【0029】式(4)からわかるように、kは、距離N
dあたりの到来波Sm (t)の周期数に対応している。
空間周波数fs (k)および角度α(k)は、離散的な
値として推定される。式(5)からもわかるように、角
度α(k)がπ/2<α(k)<3π/2の範囲のとき
には、空間周波数fs (k)は、マイナスの値を取る。
このとき、到来波Sm (t)12は、x軸の逆方向から
入射する。
【0030】上述した式(4)において、N/2≦k≦
N−1の範囲内において、空間周波数fs (k)がマイ
ナスのときのkとの関係を示している。一般の離散フー
リエ変換は、0≦k≦N−1のような定義域で変換され
る。式(3)のX(k)の定義域を拡張し、−N/2≦
k≦N/2−1の範囲のものとし、かつ、式(3)のX
(k)が周期Nの周期性を有することから、N/2≦k
≦N−1のkにおけるX(k)の値をkを、Nだけ負方
向にシフトさせた−N/2≦k≦−1の範囲のkに対す
るX(k)の値とすることができる。
【0031】図4は、図3において、到来方向と空間周
波数との関係の具体例を示す説明図である。式(2)に
示したx(n,t )を表すx(n)の実部について図
示する。31はx軸方向(αm =0[rad])からの
到来波のx(n)の実部、33は真横(αm =±π/2
[rad])からの到来波の実部、32は到来波がαm
=0〜±π/2[rad]の角度から来るときの実部で
ある。簡単のため、d=λ/2で図示している。
【0032】x軸方向(αm =0[rad])から到来
波が来たときの到来波の実部31には、x軸方向の波長
がλ=2dとなる出力変化が表れている。真横(αm
±π/2[rad])から到来波が来たときの到来波の
実部33には、x軸方向の波長がλ=∞となり出力変化
がない。中間の角度から到来波が来たときの到来波の実
部32には、見かけ上の波長が2d〜∞となる出力変化
が表れる。例えば、αm =2π/3[rad]から到来
波が来たときの見かけ上の到来波の実部32には、見か
け上の波長が4dとなる出力変化が表れる。このように
到来波の到来方向αm によって直交復調出力には波長が
異なる正弦波状の出力変化が表れる。空間周波数は、上
述したx軸方向(αm =0[rad])からの到来波に
対して、1/(2d)、真横(αm =±π/2[ra
d])からの到来波に対して0、図示のαm =0〜±π
/2[rad]の到来波に対して0〜1/(2d)とな
る。
【0033】図5は、図3に示した1次元配置のリニア
アレーアンテナで到来波の到来方向を推定する場合に検
出される到来角αm の説明図である。図中、図3と同様
な部分には同じ符号を付して説明を省略する。41は円
錐である。図3に示した推定方法では、到来波S
m (t)12がxy平面に対して仰角をもって到来する
場合には、推定する角度αm は、x軸に対しての到来角
であり、x軸に対して角度αm をなす円錐41上であれ
ば、どの方向からの到来波であるかを判別することがで
きず、到来波の2,3次元的な方向を推定できない。到
来波Sm (t)12がxy平面上を伝搬して来ることが
あらかじめわかっている場合にも、図中に×印を付した
点を通る2つの到来角+αm と−αm のいずれであるか
は識別できない。また、リニアアレーアンテナの並んで
いる方向(αm =0,π[rad])ほど角度分解能が
悪い。
【0034】図6は、2次元配置のアレーアンテナを移
動させずに到来波の到来方向を推定する場合の説明図で
ある。図中、図3と同様な部分には同じ符号を付して説
明を省略する。51は電波の偽の到来方向である。N1
・N2 個のアンテナ素子からなる2次元配置のアレーア
ンテナを考える。n1 およびn2 は、n1 =0,1,
2,・・・N1 −1,n2 =0,1,2,・・・N2
1である。アンテナ素子の位置が測定点11である。測
定点11は、x軸方向に原点から間隔dx で距離(N1
−1)・dx までの点、y軸方向に原点から間隔dy
距離(N2 −1)・dy までである。各アンテナ素子の
指向性は等方性で、dx ,dy <λ/2とする。アレー
アンテナにはm=1,2,3,・・・,M番目までの到
来波Sm (t)12がx軸に対する角度αm ,y軸に対
する角度βm で入射したと仮定する。
【0035】(n1 ,n2 )=(0,0)番目のアンテ
ナ素子を位相基準としたとき、到来波Sm (t)12が
(n1 ,n2 )番目のアンテナ素子に入射したときの位
相差Δm (n1 ,n2 とすると、各アンテナ素子の
位置の測定点11の受信信号x(n1 ,n2 ,t)は、
次式の通りとなる。
【数8】
【0036】t=t0 で時間的にサンプリングしたとき
の受信信号x(n1 ,n2 ,t0 )を便宜上x(n1
2 )=x(n1 ,n2 ,t0 )で表現すると、x(n
1 ,n2 )の離散フーリエ変換は次式で示される。
【数9】 ただし、0≦k1 ≦N1 −1,0≦k2 ≦N2 −1とす
る。
【0037】k1 およびk2 に対応する空間周波数fsk
(k1 )およびfsy(k2 )は、次式で表される。
【数10】
【数11】 1 およびk2 に対応する最大の空間周波数fsmaxは、
ともにfsmax=1/λであるから、空間周波数fsk(k
1 )およびfsy(k2 )から、x軸に対する角度α(k
1 ),y軸に対する角度β(k2 )を推定すると、次式
のようになる。
【数12】
【数13】
【0038】また、次式に示すように、α(k1 ),β
(k2 )からγ(k1 ,k2 )を推定することも可能で
ある。
【数14】 また、α(k1 ),β(k2 ),γ(k1 ,k2 )か
ら、y軸に対する方位角Φdi(k1 ,k2 )は、次式の
通りとなる。
【数15】 なお、xy平面に対する仰角Φel(k1 ,k2 )につい
ては、単に、π/2からγ(k1 ,k2 )を引いた値に
なる。しかし、γ(k1 ,k2 )には解が2つにあり、
到来波Sm (t)12の仰角Φel(k1 ,k2 )も正負
の値があるため、xy平面に対して上下方向の分離がで
きず、電波の偽の到来方向51と識別できない。これを
識別するためには3次元空間上の測定を行う必要があ
る。しかし、2次元空間上の測定において、到来波Sm
(t)12の仰角Φel(k1 ,k2)が正であるという
前提条件があれば、3次元の到来方向の測定が可能にな
る。
【0039】上述した2次元配置のアレーアンテナによ
る測定では、仰角Φel(k1 ,k2)が0[rad]に
近づくほど角度分解能が悪いが、方位角Φdi(k1 ,k
2 )の角度分解能については、どの角度についても良好
な結果が得られる。測定に用いるリニアアレーアンテナ
のアンテナ高が地面に近い場合は到来波の仰角はほとん
ど正の値になるので、例えば、陸上移動局や低アンテナ
基地局における到来波の方位角および仰角方向の推定に
適する。
【0040】しかし、2次元配列のアレーアンテナを構
成するためにxy平面上にN1 ・N2 個のアンテナ素子
を配置する必要があるため、アンテナ素子数が多くな
り、それに応じて受信機の数もアンテナ素子と同じ数だ
け必要になるので装置規模がかなり大きなものとなり、
あまり現実的ではない。もちろん、3次元配列のアレー
アンテナを構成して3次元空間上の測定をする場合に
は、さらにアンテナ素子数が多くなる。
【0041】再び、図1,図2に戻る。リニアアレーア
ンテナ4をアンテナ素子5が配置されているx軸方向に
対して直角のy軸方向に移動させながら間隔dy 毎に、
受信機3から複素振幅を出力する処理をNms回繰り返す
ことにより、複数の地点で多重波を構成する到来波の到
来方向を推定する原理について説明する。
【0042】図7は、図1,図2に示した多重伝搬路特
性測定方法の測定点を説明するxy平面図である。図
中、11は図3に示した11と同様に測定点であるが、
アンテナ素子は常時この位置にあるわけではない。61
は図1,図2に示したリニアアレーアンテナ4で一度に
測定できる測定点の範囲、62は信号処理の1回毎の処
理範囲である。移動測定により、y軸方向に離散的に配
置された測定点11でも、順次、受信信号を直交復調し
た複素振幅を出力する。測定点11は、マトリクス状で
あり、図示のx,y軸平面上の2次元位置(n1
2 )で表すことができる。リニアアレーアンテナ4で
一度に測定できる測定点の範囲61は、x軸に平行なN
1 個の点である。
【0043】1回毎の処理範囲62は、例えば、測定点
(0,0),(0,N2 −1),(N1 −1,N2
1),(N1 −1,0)で囲まれた合計N1 ×N2 個の
測定点である。各測定点における連続波の受信信号につ
いて、測定点11間の相対的な振幅および位相が直交復
調器を用いて測定される。各測定点11に到来する到来
波Sm (t)12は、次のように表すことができる。
【数16】 ただし、Am はm番目の到来波Sm (t)の振幅、ωc
は送信機の参照信号(ローカル信号)の角周波数、θm
は送信アンテナと位相基準点(n1 ,n2 )=(0,
0)の間における、到来波Sm (t)12の伝搬通路差
等による位相差である。また、ある期間内でAm および
θm が一定であるような伝搬路が時間変化しない状況下
を考える。このとき、リニアアレーアンテナ4のy軸の
位置n2 におけるアンテナ素子n1 の受信信号r
(n1 ,n2 ,t)は、次式で表される。
【数17】 ここで、Mは到来波の数、Δm (n1 ,n2 )は、(
1 ,n2 )=(0,0)の位置を位相基準としたときの
測定点11間の位相差である。
【0044】送信機の連続波の角周波数と受信機の参照
信号の角周波数を同じωc にし、送信機の連続波の角周
波数を基準にして直交復調するとき、受信信号r
(n1 ,n2 ,t)を直交復調すると次式で示す同相成
分I(n1 ,n2 ,t)および直交成分Q(n1
2 ,t)が得られる。
【数18】
【数19】 ただし、θa は、送信機に対する受信機の参照信号の位
相差であり、θm は式(16)に示したように、到来波
間の位相差を表す。式(8)の受信信号x(n1
2 ,t)と同様に複素数で表すことができる。Kは定
数である。
【数20】
【0045】t=t0 でサンプリングしたときのI(n
1 ,n2 ,t)およびQ(n1 ,n2 ,t)は、I(n
1 ,n2 ,t0 )およびQ(n1 ,n2 ,t0 )とな
り、便宜上I(n1 ,n2 )=I(n1 ,n2 ,t)お
よびQ(n1 ,n2 )=Q(n 1 ,n2 ,t)で表現す
ることにすると、受信信号は、次式のように表現され
る。
【数21】
【0046】送受信機のキャリアの位相や伝搬路が時間
的に変化しない期間中であれば、t≠t0 においても式
(21)は成り立つ。すなわち、測定点11のアンテナ
素子5で受信した信号に対して直交復調を行うことによ
り、式(18),(19)で表わされるI(n1
2 ,t)およびQ(n1 ,n2 ,t)には、到来波S
m(t)12の角周波数ωc での位相回転がなくなり、
角周波数ωc に対する相対的な位相差Δm (n1
2 )とθa ,θm だけが残り、これらが時間的に変動
しない限り時間的に変化しない。
【0047】また、この位相差Δm (n1 ,n2 )は、
各測定点(n1 ,n2 )11のx軸方向,y軸方向の位
置の差に由来する連続波の空間上の位相差によるもので
あり、これは、式(2)の位相差Δm (n)や式(8)
の位相差Δm (n1 ,n2 )と同様である。式(21)
を式(9)に代入して離散フーリエ変換を行うことによ
って、t=t0 における到来波Sm (t)12の到来方
向の推定が可能となる。
【0048】式(21)のθa は、送信機の連続波に対
する受信機の参照信号の位相差であり定数である。ま
た、θm についても、m番目の到来波ごとに伝搬通路差
の違いによって値が異なるが、すべての測定点に対して
同じ値である。このため、式(21)のx(n1
2 )について離散フーリエ変換を行った場合、離散ス
ペクトルX(n1 ,n2 )は、一定の位相差が生じるだ
けで到来方向推定に問題はない。
【0049】上述した式を用いた到来波の到来方向推定
では、アンテナ素子で測定する到来波の振幅および位相
について、同一のサンプリング時点での絶対的な値を測
定する必要はなく、相対的な値を測定すればよい。した
がって、全てのアンテナ素子5において複数の到来波の
振幅および位相を同時刻で測定する必要がない。したが
って、1次元配置のリニアアレーアンテナを移動させる
ことによっても、アンテナ素子を2次元配置した場合と
同様に到来方向を推定することができる。もちろん、送
信機の連続波発生器と受信機の参照信号発生器とは同一
の発振器を用いるか、または、周波数の確度および安定
度の高い発振器を用いる必要がある。
【0050】上述したように、直交復調した複素数出力
である、式(21)のx(n1 ,n2 )を用いて離散フ
ーリエ変換を行い、空間周波数fsx,fsyごとに到来波
を分離し、次に、空間周波数fsx,fsyと到来角との関
係から、到来角で決まる到来方向別に到来波を分離する
ことができる。図7に示したように、1回毎の処理範囲
62を順次y軸方向にずらせていけば、異なる測定地点
の1回毎の処理範囲62においても同様に多重波を構成
する到来波の到来方向およびその複素振幅を順次推定す
ることができる。
【0051】なお、離散フーリエ変換は、移動局におい
て実時間で処理を行ってもよいが、直交復調出力および
測定時点の時刻データ等、その他処理に必要なデータを
一旦記憶装置に蓄積した上で、後日、記憶装置からこれ
らのデータを読み出して離散フーリエ変換を行うように
して多重波を構成する到来波の到来方向および複素振幅
を推定してもよい。
【0052】1次元配列のリニアアレーアンテナ4を用
いた移動測定では、アンテナ素子5の数が少なくてす
む。例えば、周波数3GHz帯の測定を行う場合、直径
1mのパラボラアンテナと同じ実効開口面積の2次元配
置のリニアアレーアンテナ4を素子間隔をλ/2(約5
cm)で実現するとすれば、素子数は約400本とな
り、さらにそれぞれに個別に受信機を設けることは容易
ではない。これに対し、1次元配列のリニアアレーアン
テナ4を移動させて測定すれば、素子数は約20本です
む。しかし、正確な距離情報(間隔dy )が取り出せる
車両または台車等にリニアアレーアンテナ4を搭載して
測定を行う必要がある。また、リニアアレーアンテナ4
が1度の測定に要する時間をtm 、波長をλとすると、
移動速度vはv<<λ/tm の条件を満たす必要があ
る。
【0053】なお、アンテナ素子5を2次元平面上の全
ての測定点または、1回毎の処理範囲62に配置するこ
とは現実的でない。しかし、リニアアレーアンテナをy
軸方向に複数本配置して移動測定することも可能であ
る。また、アンテナ素子5は必ずしも、移動方向に直交
する方向に配置する必要はない。例えば、移動方向に対
して斜めに、例えば、45度ずらせて配置し、所定距離
移動した後には、マトリクス状の測定点が得られる。こ
の場合、アンテナ素子5の間の間隔を拡げても測定点の
間隔を同じにすることができる。したがって、アンテナ
素子5間の相互結合の影響を軽減することができる。
【0054】図8は、本発明の多重伝搬路特性測定方法
の第2の実施の形態の説明図である。図中、図11、図
1,図2と同様な部分には、同じ符号を付して説明を省
略する。71は送信機、72は受信機である。概要構成
は、図1に示したものとほぼ同様であるが、図1,図2
に示した連続波(CW)の送受信機に代えて、遅延プロ
ファイル測定用の送受信機71,72を用いる。
【0055】基地局においては、遅延プロファイル測定
用の送信機71に無指向性アンテナ2が接続され、PN
符号発生器81から出力された拡散符号で搬送波を拡散
変調した連続波を送信する。移動局においては、各アン
テナ素子5の#0〜#(N1−1)のそれぞれに対して
遅延プロファイル測定用の受信機72の#0〜#(N1
−1)が接続されている。リニアアレーアンテナ4をア
ンテナ素子5が配置されているx軸方向に対して直角の
y軸方向に移動させながら、間隔dy 毎に遅延プロファ
イルの測定をNms回繰り返して行う。
【0056】各アンテナ素子5で受信した受信信号を直
交復調して得た個別の複素振幅を、送信側の拡散符号と
同一の共通の拡散符号と相関をとって逆拡散することに
より、多重波を到来波の遅延時間別に分離した複素振幅
を出力する。この出力を遅延時間別に離散フーリエ変換
することにより到来波の遅延時間別に到来波の到来方向
とその複素振幅(振幅および位相)を出力する。
【0057】具体的には、図2を参照して説明した第一
の実施の形態とほぼ同様に、各受信機3は、各アンテナ
素子5で受信した受信信号を、上述した搬送波と同じ角
周波数ωc の参照信号(ローカル信号)を出力する参照
信号発生器の同相および直交出力と乗算器でそれぞれ乗
算しローパスフィルタを通すことにより直交復調する。
直交復調出力は、さらに、同相出力、直交出力別に、送
信側のPN符号発生器81と同一のPN符号を発生する
PN符号発生器からの逆拡散符号と相関器で相関がとら
れ相関が検出される。
【0058】図11で説明したように、多重波には、直
接到来波6に対して遅延時間の異なる複数の遅延到来波
8が含まれている。遅延到来波8は、それぞれの遅延時
間に応じて、PN符号の符号位相が遅れた状態で受信さ
れる。PN符号発生器から出力されるPN符号の符号位
相を1/2チップずつシフトさせながら相関器で相関を
検出して行くことにより、直接到来波6および複数の遅
延到来波8のPN符号の符号位相とPN符号発生器の位
相とが一致するごとに出力に大きな相関値のピークが得
られる。このときの符号位相によって到来波の遅延時間
がわかる。したがって、直交復調して得た複素振幅を、
相関値のピークごとに、言い換えれば、直接到来波6お
よび複数の遅延到来波8の遅延時間別に分離することが
できる。
【0059】遅延時間τに対する同相出力,直交出力の
それぞれの相関出力は、一般にI,Qチャネル成分の遅
延プロファイル、あるいは、複素遅延プロファイルと呼
ぶ。図7に示した測定点(n1 ,n2 )11における受
信信号がM波の到来波の合成信号であって、m(m=
1,2,3,・・・・,M)番目の到来波の遅延時間を
τm とする。測定点(n1 ,n2 )11における受信信
号に対して、到来波の遅延時間τm ごとに複素振幅のの
同相出力,直交出力のそれぞれの相関出力を分離したも
のを、簡単に複素数でρ(n1 ,n2 ,τm )と表す。
【0060】ここで、PN符号と相関をとる前の直交復
調出力x(n1 ,n2 )は、離散フーリエ変換により、
空間周波数スペクトルが求められ、到来方向別に複素振
幅が得られた。この直交復調出力x(n1 ,n2 )の同
相成分、直交成分の大きさは、直交復調出力x(n1
2 )をPN符号と相関をとって遅延時間τm ごとに分
離した相関出力であるρ(n1 ,n2 ,τm )の同相成
分、直交成分の大きさにも反映されている。したがっ
て、遅延時間τk 別に分離したρ(n1 ,n2 ,τm
からも、遅延時間τm ごとに、到来波の空間周波数別の
振幅が得られ、到来波の到来方向および複素振幅を推定
することができる。
【0061】図9は、本発明の第2の実施の形態の多重
伝搬路特性測定方法で得られる出力結果を簡単に説明す
るための模式的な線図である。図9(A)は、本発明の
第2の実施の形態の多重伝搬路特性測定方法で得られる
出力結果の例であり、図9(B)は、比較例として、従
来の遅延プロファイル測定装置で得られる出力結果の例
である。図中、81,82,83は、従来の遅延プロフ
ァイル測定装置で得られた遅延時間τk 別の到来波の出
力レベルである。81a〜81c,82a〜82b,8
3a〜83cは、遅延時間τk 別の到来波を、さらに方
向角などの到来角θ別に分離したときの到来波である。
【0062】図9(B)に示すように、従来の遅延プロ
ファイル測定装置においては、PN符号で搬送波を変調
して送信し、受信機では、受信信号とPN符号との相関
をとることにより等価的に伝搬路のインパルス応答とな
る相関出力の掃引出力が得られる。図示の例では、到来
波81は、適宜決められた基準時刻0から時間τ1 だけ
遅れていることがわかり、到来波82,83は、時間τ
2 ,時間τ3 だけ遅れていることがわかる。
【0063】これに対し、図9(A)に示すように、本
発明の第2の実施の形態においては、到来波81は、さ
らに方向角などの到来角θが異なる到来波81a,81
b,81cがある場合これらを知ることができる。到来
波82,83についても同様に、到来角θが異なる複数
の到来波からなる場合でも分離して出力することができ
る。このような測定結果が、図7に示した1回毎の処理
範囲62での受信波の測定および信号処理からわかり、
y軸方向の間隔dy毎にずらせた1回毎の処理範囲62
ごとに得られる。なお、図では、到来波の受信レベルの
みを図示しているが、到来波は、到来方向別に複素振幅
が出力されるため、位相も同時に出力することができ
る。
【0064】したがって、移動測定によって平面上の離
散的な測定点における複素遅延プロファイルを測定し、
1回毎の処理範囲62内において、到来波に対して遅延
時間別に個別にそれらの複素振幅に基づいて離散フーリ
エ変換を行うことにより、到来波の遅延時間τk 別に空
間周波数が求められ、これから到来波の到来方向および
複素振幅を推定できる。遅延プロファイル測定装置自体
は、従来のものと同様な装置を用いることができるが、
遅延プロファイル測定用の受信機は、複数台設けられ、
各アンテナ素子5ごとに接続される。第1の実施の形態
の場合と同様に、このような移動測定を行う場合、リニ
アアレーアンテナ4を正確な距離情報が取り出せる車両
または台車等に搭載して測定を行う必要がある。図7に
示したリニアアレーアンテナ4で一度に測定できる測定
点の範囲61での測定に要する時間をtm 、波長をλと
すると、移動速度vはv<<λ/tm の条件を満たす必
要がある。
【0065】図10は、本発明の多重伝搬路特性測定方
法の第3の実施の形態の説明図である。図中、図11,
図1,図2,図8と同様な部分には、同じ符号を付して
説明を省略する。91は高速切り換えスイッチである。
図8に示した第2の実施の形態と比較して、遅延プロフ
ァイル測定用の受信機72を削減して1つにしたもので
ある。そのため、複数のアンテナ素子5と受信機72と
の間に高速切り換えスイッチ91が設けられている。複
数のアンテナ素子5の出力を、順次、高速切り換えスイ
ッチ91で選択して受信機72に出力し、受信機72
は、各アンテナ素子の遅延プロファイルを時分割処理に
より測定する。第2の実施の形態と同様に、リニアアレ
ーアンテナ4をY軸方向に移動させながら、間隔dy毎
に同様の測定をNms回繰り返して行う。
【0066】この実施の形態の場合、リニアアレーアン
テナ4の全てのアンテナ素子5の測定に要する時間が、
第2の実施の形態の場合と比べて、アンテナ素子5の数
(N1 )倍だけ大きくなる。したがって、移動速度v
は、v<<λ/(N×tm)の条件を満たす必要があ
る。しかし、測定条件として周波数が3GHz(波長λ
=0.1m)、1点の遅延プロファイルの測定に要する
時間を20μsecとすると、アンテナ素子5の数が数
10本で、10km/h程度の移動速度であれば、実用
上差し支えない程度の誤差ですむ。
【0067】上述した説明では、受信機72は1つしか
用いなかったが、アンテナ素子5の数よりも少なくする
ものの、受信機72を2台以上用い、さらに、高速切り
換えスイッチ91も2個以上用いて、異なる複数のアン
テナ素子5について同時に受信信号を並行処理すれば、
処理速度を上げることができる。また、上述した説明で
は、第2の実施の形態を前提として遅延プロファイル測
定用の受信機72の数を削減したものであるが、同様に
して、第1の実施の形態を前提とした場合には、受信機
3の数を削減することもできる。
【0068】なお、到来方向を推定するのに、第1の実
施の形態において、無変調の連続波を用いたが、第2の
実施の形態と同様なPN符号で拡散変調された連続波を
用いて、到来方向のみを推定してもよい。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
リニアアレーアンテナで2次元平面空間上の測定が可能
になるため、アンテナ素子数が大幅に削減できること、
アンテナ駆動装置を必要としないこと、さらには、リニ
アアレーアンテナに対して少ない数の受信機で測定する
ことも可能となることから、到来する多重波の到来波の
到来方向と複素振幅、あるいは、遅延時間を含めた多重
伝搬路特性を、規模が小さな測定装置で容易に測定でき
るという効果がある。これまでにほとんど解明されてい
なかった、測定位置の変化に対する到来方向特性等の測
定が可能になるため、陸上移動伝搬の解明や高度な移動
無線技術の研究・開発に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多重伝搬路特性測定方法を実現するた
めの概要構成図である。
【図2】本発明の多重伝搬路特性測定方法の第1の実施
の形態を実現する構成の説明図である。
【図3】1次元配置のリニアアレーアンテナを移動させ
ずに到来波の到来方向を推定する場合の説明図である。
【図4】図3において、到来方向と空間周波数との関係
の具体例を示す説明図である。
【図5】図3に示した1次元配置のリニアアレーアンテ
ナで到来波の到来方向を推定する場合に検出される到来
角αm の説明図である。
【図6】2次元配置のアレーアンテナを移動させずに到
来波の到来方向を推定する場合の説明図である。
【図7】図1,図2に示した多重伝搬路特性測定方法の
測定点を説明するxy平面図である。
【図8】本発明の多重伝搬路特性測定方法の第2の実施
の形態の説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の多重伝搬路特性測
定方法で得られる出力結果を簡単に説明するための模式
的な線図である。
【図10】本発明の多重伝搬路特性測定方法の第3の実
施の形態の説明図である。
【図11】複数の地点で到来方向を測定する従来の一般
的な方法を説明するための概要構成図である。
【符号の説明】
1,71 送信機、2 無指向性アンテナ、3,72
受信機、4 リニアアレーアンテナ、5 アンテナ素
子、6 直接到来波、8 遅延到来波、11 測定点、
12 到来方向、61 リニアアレーアンテナで一度に
測定できる測定点の範囲、62 信号処理の1回毎の処
理範囲、91 高速切り換えスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // G01S 7/32 G01S 7/32 E H04B 7/26 H04B 7/26 K

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続波を送信し、前記連続波を複数のア
    ンテナ素子を有するリニアアレーアンテナで受信すると
    ともに、前記リニアアレーアンテナを空間的に移動さ
    せ、複数の位置において前記複数のアンテナ素子で受信
    した受信信号を共通の参照信号を用いて直交復調して個
    別に複素振幅を出力し、前記複素振幅を信号処理するこ
    とにより受信した前記連続波を構成する到来波の少なく
    とも到来方向を推定することを特徴とする多重伝搬路特
    性測定方法。
  2. 【請求項2】 前記連続波は、拡散符号で拡散変調され
    たものであり、前記個別の複素振幅を、前記拡散符号と
    同一で共通の拡散符号との相関をとった後に信号処理す
    ることにより前記到来波の遅延時間別に前記到来方向を
    推定することを特徴とする請求項1に記載の多重伝搬路
    特性測定方法。
  3. 【請求項3】 複数のアンテナ素子を有するリニアアレ
    ーアンテナと、該リニアアレーアンテナを空間的に移動
    させる手段と、複数の位置において前記複数のアンテナ
    素子で受信した受信信号を共通の参照信号発生器の出力
    により直交復調して個別に複素振幅を出力する直交復調
    手段を有することを特徴とする多重伝搬路特性測定用受
    信装置。
  4. 【請求項4】 複数のアンテナ素子を有し空間的に移動
    されるリニアアレーアンテナの、複数の位置において前
    記複数のアンテナ素子で受信した受信信号を、共通の参
    照信号発生器の出力により直交復調することにより、前
    記各アンテナ素子の複数の位置における複素振幅を個別
    に出力する直交復調手段を有することを特徴とする多重
    伝搬路特性測定用受信装置。
  5. 【請求項5】 前記直交復調手段から出力された個別の
    前記複素振幅を、送信側の拡散符号と同一で共通の拡散
    符号と相関をとることにより、到来波の遅延時間別に前
    記個別の複素振幅を出力する逆拡散手段を有することを
    特徴とする請求項3または4に記載の多重伝搬路特性測
    定用受信装置。
  6. 【請求項6】 前記直交復調手段は、複数の位置におい
    て前記複数のアンテナ素子で受信した受信信号をそれぞ
    れ受信し、前記共通の参照信号発生器の出力により直交
    復調して個別に前記複素振幅を出力する複数の直交復調
    器を有することを特徴とする請求項3または4に記載の
    多重伝搬路特性測定用受信装置。
  7. 【請求項7】 前記複数のアンテナ素子で受信した受信
    信号を順次切り換えて前記直交復調手段に出力するスイ
    ッチ手段を有することを特徴とする請求項3ないし5の
    いずれか1項に記載の多重伝搬路特性測定用受信装置。
  8. 【請求項8】 複数のアンテナ素子を有し空間的に移動
    されるリニアアレーアンテナの、複数の位置において前
    記複数のアンテナ素子で受信した受信信号をそれぞれ受
    信し、共通の参照信号発生器の出力により直交復調する
    ことにより、前記各アンテナ素子の複数の位置における
    複素振幅を個別に出力する複数の直交復調器と、該複数
    の直交復調器の各出力を入力し、送信側の拡散符号と同
    一で共通の拡散符号と相関をとることにより、到来波の
    遅延時間別に個別の前記複素振幅を出力する複数の相関
    器を有することを特徴とする多重伝搬路特性測定用受信
    装置。
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