JP2917840B2 - コンクリート構造物の構築方法 - Google Patents

コンクリート構造物の構築方法

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知也 安尾
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンクリート構造物
の構築方法に関し、特に、吹付コンクリートの吹付け作
業により所定の肉厚を有するコンクリート構造を構築す
るコンクリート構造物の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリートを打設してコンクリート構
造物を構築する方法として、一般に、木製の合板や鋼製
の型枠部材等を用いて所望の形状に型枠を組立て、この
組立てた型枠内にコンクリートを流し込んで硬化させた
後、型枠を解体する方法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の型枠を組立て、コンクリートを流し込んでコンクリ
ート構造物を構築する方法では、型枠部材の製作及び組
立て作業に多くの労力と手間を必要とするため、構造物
の完成までの工期が長くなるとともに、施工コストも増
大する傾向があるという課題があり、かかる傾向は、特
に、薄肉のコンクリート構造物や、型枠の製作及び組み
立てが困難な曲面等の複雑な形状を有するコンクリート
構造物を構築する場合に顕著である。
【0004】また、上記従来の方法では、コンクリート
の打込み作業時に、手間のかかる締固め作業を行なう必
要があり、かかる締固め作業に多くの労力を必要とする
という課題がある。
【0005】さらに、上記従来の方法では、コンクリー
トの硬化後に型枠を解体撤去する必要があり、かかる解
体作業にも多くの労力を必要とするという課題がある。
【0006】そこで、この発明は、このような課題に着
目してなされたもので、特に、薄肉のコンクリート構造
物や複雑な形状を有するコンクリート構造物を構築する
際に、型枠の製作及び組立て作業ないしは解体作業を大
幅に低減することができるコンクリート構造物の構築方
法を提供することを目的とするものである。
【0007】また、この発明は、締固め作業に要する労
力を低減しつつコンクリートを十分に充填して、品質の
良い構造物を得ることのできるコンクリート構造物の構
築方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するためになされたもので、その要旨は、吹付コン
クリートの吹付け作業により所定の肉厚を有するコンク
リート構造物を構築する方法であって、鉄筋、繊維強化
樹脂等からなる芯材を前記構造物の形状に沿って配設
し、しかる後に前記吹付けコンクリートを、所定の厚さ
で前記芯材を覆って吹付け、上方に向かって順次充填積
層して行くことにより、前記芯材に沿った所定形状の構
造物を構築することを特徴とするコンクリート構造物の
構築方法にある。
【0009】また、この発明の他の要旨は、吹付コンク
リートの吹付け作業により所定の肉厚を有するコンクリ
ート構造を構築する方法であって、鉄筋、繊維強化樹脂
等からなる芯材を構造物の形状に沿って少なくとも2重
に配設し、しかる後に前記吹付コンクリートを、前記少
なくとも2重に配設した芯材の間に吹付け、上方に向か
って順次充填積層し、かかる芯材間の吹付け作業に後続
して、芯材の外側には当該芯材を所定の厚さで覆いつつ
吹付コンクリートを吹付けて行くことにより、前記芯材
に沿った所定形状の構造物を構築することを特徴とする
コンクリート構造物の構築方法にある。
【0010】さらに、この発明の他の要旨は、吹付コン
クリートの吹付作業により所定の肉厚を有するコンクリ
ート構造を構築する方法であって、前記構造物の一方の
側面部には、前記構造物の形状に沿って、前記吹付コン
クリートの粗骨材の大きさより小さいメッシュの金網を
配設するとともに、該金網に隣接して、鉄筋、繊維強化
樹脂等からなる芯材を構造物の形状に沿って配設し、し
かる後に前記吹付コンクリートを、前記芯材を所定の厚
さで覆って前記金網の一方の側面に吹付け、上方に向か
って充填積層して行くことにより、前記金網及び芯材に
沿った所定形状の構造物を構築することを特徴とするコ
ンクリート構造物の構築方法にある。
【0011】そして、この発明のコンクリート構造物の
構築方法は、前記吹付け作業に用いる吹付コンクリート
として、増粘剤と、高性能AE減水剤や流動化剤等の高
性能減水剤とを含み、かつそのフレッシュコンクリート
が、10〜25cmのスランプ試験値、及び400〜6
50mmのスプレッド試験値の範囲の物性を備えるもの
を使用することが好ましい。
【0012】また、この発明のコンクリート構造物の構
築方法は、前記増粘剤として、β−1,3グルカンを用
いることが好ましい。
【0013】さらに、この発明のコンクリート構造物の
構築方法は、前記贈粘剤として、水中不分離性混和剤を
用いることもできる。
【0014】
【作用】そして、この発明のコンクリート構造物の構築
方法によれば、構築すべき構造物の形状に沿って配設さ
れた、鉄筋や繊維強化樹脂等からなる芯材に向けて、当
該芯材を覆うように吹付コンクリートを吹付ける作業に
より、吹付けられたコンクリートは、その粘性によって
鉄筋等の芯材に付着するとともに、芯材を覆う所定の厚
さで上方に向かって順次充填積層され、これによって、
コンクリートを流し込むための型枠を組み立てることな
く、芯材に沿った所定の形状のコンクリート構造物が形
成される。
【0015】なお、鉄筋や繊維強化樹脂等からなる芯材
を構造物の形状に沿って少なくとも2重に配設する場合
には、構造物の断面を、吹付コンクリートによって充填
しにくい少なくとも2重に配設した芯材の内側と、吹付
け作業を行ない易い芯材の外側の部分に分け、内側部分
を先行して吹付け作業を行なった後、これに後続して外
側部分の吹付け作業を行なうことにより、コンクリート
を十分に充填しつつ構造物の表面の仕上げをスムースに
行なうことができる。
【0016】また、構築すべきコンクリート構造物の一
方の側面が、表面に露出するものでない場合には、当該
一方の側面に、吹付コンクリートの粗骨材の大きさより
小さいメッシュの金網を配設し、これに沿って吹付作業
を行なうことにより、かかる吹付け作業の迅速化あるい
は容易化を図ることができる。
【0017】そして、この発明のコンクリート構造物の
構築方法は、前記吹付け作業に用いる吹付コンクリート
として、増粘剤と、高性能AE減水剤や流動化剤等の高
性能減水剤とを含み、かつそのフレッシュコンクリート
の物性が、10〜25cmのスランプ試験値、及び40
0〜650mmのスプレッド試験値の範囲にあるものを
使用すれば、かかる物性を有するコンクリートは、粘性
と流動性に富むため、締固め作業を行わなくても、当該
吹付コンクリートを芯材を覆って所定の厚さに十分に充
填することができ、これによって品質の良いコンクリー
ト構造物を容易に得ることが出来る。
【0018】また、この発明のコンクリート構造物の構
築方法によれば、吹付け作業後のコンクリート構造物
は、しばらくの間まだ固まらない未硬化の状態でその表
面を露出していることになるため、当該表面をコテ仕上
げなどで容易に整形することができる。
【0019】
【実施例】次に、この発明の実施例を添付図面を参照し
つつ詳細に説明するが、この発明は、かかる実施の態様
に限定されるものではない。
【0020】この実施例は、一例として、図1に示すよ
うに、薄肉の曲面形状を有する構造物である、ボブスレ
ーやリージュのコースを造成するための湾曲鉄筋コンク
リート構造物10を、この発明に係るコンクリート構造
物の構築方法により構築するものである。すなわち、か
かる冬季のスポーツとしてのボブスレーやリージュのコ
ースは、複雑な曲面状の断面を有するとともにその形状
が一定ではないため、型枠を製作し、組立ててコンクリ
ートを打設することが困難である。従って、型枠を必要
としないこの実施例にかかるコンクリート構造物の構築
方法により構築することとしたものである。
【0021】そして、この実施例にかかるコンクリート
構造物の構築方法は、コースの両側部分に位置する湾曲
立上げ部分11及び垂直立上げ部分12を形成する際の
構築方法として特に有効である。すなわち、この構築方
法では、まず、図2(a)に拡大して示すように、コー
スを構成するコンクリート構造物10の形状に沿って2
重に配設した芯材としての鉄筋13の内側部分14に、
通常の吹付コンクリート工法に用いる吹付装置、すなわ
ち圧送ポンプや圧送管、吹付ノズル等からなる吹付装置
20を用いて、吹付コンクリート用のコンクリート15
を吹付ける作業を行なうことにより、当該内側部分14
に吹付コンクリート15を、上方に向かって順次充填積
層して行く作業を行う。
【0022】なお、芯材としての鉄筋13は、かかるコ
ンクリート15の吹付け作業に先立って、コースの底版
部分16の鉄筋とともに、コースの形状に沿って2重配
筋として予め配設されたものである(図1参照)。
【0023】そして、鉄筋13の内側部分14に吹付コ
ンクリート15を充填積層したら、かかる作業に後続し
て、図2(b)に示すように、鉄筋13の外側に、これ
らの鉄筋13を所定の厚さで覆いつつ、吹付コンクリー
ト15を吹き付けて行く作業を行なう。かかる作業もま
た、通常の吹付コンクリート工法に用いる吹付装置20
を用いて容易に行なうことができる。なお、かかる鉄筋
13の外側部分17のコンクリート15の吹付け作業
は、内側部分14の吹付け作業箇所の下方位置におい
て、当該内側部分14の吹付け作業と併行して行なうこ
とができる。
【0024】コンクリート構造物10の外側部分17の
コンクリート15の吹付け作業が終了したら、吹付けた
コンクリート15の表面を、例えばコテを用いて仕上げ
る作業を行なう。そして、かかる表面仕上げの作業は、
まだ硬化していない状態で露出しているコンクリート1
5の表面を均すことにより、容易に行なうことができ
る。なお、この仕上方法によれば、従来の、硬化してか
ら型枠を外すことにより露出する、型枠を用いたコンク
リート構造物の表面より、美観に富んだ状態でその表面
を形成することができる。
【0025】そして、この実施例のコンクリート構造物
の構築方法では、前記吹付け作業に用いる吹付コンクリ
ートとして、増粘剤と、高性能AE減水剤や流動化剤等
の高性能減水剤とを含み、かつそのフレッシュコンクリ
ートの物性が、10〜25cmのスランプ試験値、及び
400〜650mmのスプレッド試験値の範囲にあるコ
ンクリートを使用する。
【0026】ここで、この実施例において用いられる前
記増粘剤は、水中不分離性混和剤や、高流動コンクリー
トに用いる混和材であるβ−1,3グルカンの他、キサ
ンタンガム、ウェランガム、ラムザンガム、プルランな
どの微生物産生多糖類、サイリウムシードガム、グアガ
ム、ローカストビーンガムなどの植物性多糖類等、増粘
剤として知られる種々の混和剤を用いることができる
が、β−1,3グルカン、あるいは水中不分離性混和剤
を用いることが好ましい。
【0027】そして、β−1,3グルカンは、グルコー
スが主にβ−1,3結合によって結合されている多糖類
であって、コンクリート中にあって分離低減剤として作
用するとともにコンクリートの粘性を増大し、水と骨材
の分離及び流動性の低下を防止するものである。そし
て、このβ−1,3グルカンとしては、具体的には、例
えば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログ
ルカン、ラミナラン、酵母グルカン等を用いることがで
きる。
【0028】また、上記水中不分離性混和剤は、コンク
リートに添加することにより、コンクリートに粘稠性を
与えて水中分離抵抗性を発揮させる基本的な材料として
従来より公知の添加剤で、例えばセルロース系とアクリ
ル系のものがあり、現在多数の製品が市販されている。
そして、より具体的には、セルロース系の水中不分離性
混和剤として、例えば化学式中にセルロース系の骨格を
持ち、OH基のHの一部又は全部がアルキル基などで置
換されたセルロースエーテル類を用いることができ、ま
たアクリル系の水中不分離性混和剤として、例えばアク
リルアミドを主体とした重合体又は共重合体を用いるこ
とができる。
【0029】一方、高性能減水剤は、β−1,3グルカ
ンや水中不分離性混和剤等の増粘剤の添加により粘性の
増大したコンクリートの流動性ならびに充填性を改善す
るために用いるもので、通常の減水剤の2倍程度の減水
機能を有するものである。そして、この高性能減水剤と
しては、例えば高性能AE減水剤や流動化剤等のコンク
リートに使用する減水剤として公知の種々のものを用い
ることができ、より具体的には、例えばナフタリンスル
ホン酸ホルマリン高縮合物で代表されるナフタリン系の
ものや、スルホン化メラミンホルマリン縮合物であるメ
ラミン系のもの、あるいは、カルボン酸系やリグニン酸
系のものを用いることができる。
【0030】そして、この実施例のコンクリート構造物
の構築方法では、前記吹付け作業に用いる吹付コンクリ
ートが、そのフレッシュコンクリートの物性として、1
0〜25cmの範囲のスランプ試験値、及び400〜6
50mmの範囲のスプレッド試験値を示す。
【0031】ここで、スランプ試験値とは、JIS A
1101に規定する試験方法により得られたスランプ
の大きさをいい、主としてコンクリートの流動性を評価
するために用いられるものである。
【0032】そして、この実施例に用いる吹付コンクリ
ートは、フレッシュコンクリートが10〜25cmのス
ランプ試験値を有する。すなわち、スランプが10cm
より小さいと、ポンプによる圧送性が低下して吹付コン
クリートの圧送中に閉塞を生じやすく、また流動性が低
下して2重に配設した鉄筋13の内側部分14に吹付コ
ンクリート15を十分に充填できなくなる場合があると
いう不都合が生じ、一方25cmより大きいと、吹付け
たコンクリート15が自立せず、吹付位置から流出して
その形状を保つことが出来なくなるという不都合が生じ
る場合がある。
【0033】また、この発明の吹付コンクリート15
は、特に、フレッシュコンクリートのスランプを15〜
20cmとすることが好ましい。フレッシュコンクリー
トのスランプをこの範囲にすることにより、さらに、圧
送性、充填性、及び自立性(付着性)を確保しつつ、コ
ンクリート構造物10の表面仕上げを容易に行なうこと
ができるという利点を得ることができる。
【0034】一方、スプレッド試験値とは、DIN(ド
イツ工業規格)1048に規定する、下記の要領のスプ
レッド試験により得られたスプレッドの大きさをいい、
主としてコンクリートの粘性を評価するために用いられ
るものである。
【0035】スプレッド試験要領: a.試験器具 図4に示す形状の試験台30、コーン31、及び突き棒
32を使用する。試験台30は2枚の板33,33から
なり、板33の広さは70cm×70cmである。2枚
の板33,33は一辺が蝶番36によって互いにつなが
れており、上の板33の上面は2mm厚の鉄板で、中央
に直径20cmmの円34が描いてある。また、上の板
33の重量は16kgであり、ストッパー35を上限と
して4cm持ち上げられるように、蝶番36のある辺と
反対側の辺に把手37がついている。コーン31の内側
の直径は上端が13cm、底部が20cmで、また高さ
は20cmであり、側面には把手38が取り付けられて
いる。突き棒32は、断面が4cm×4cmのものを使
用する。
【0036】b.試験方法 試験台30の上面およびコーン31の内側を湿布でふ
き、試験台30の中央にコーン31を据える。コーン3
1の中にフレッシュコンクリートを高さのほぼ等しい2
層にわけて詰める。2層を突き棒32でそれぞれ10回
ずつ突く。上面を均した後、コーン31を静かに引き上
げる。コーン31を引き上げてフレッシュコンクリート
の流動による変形が止まるのを待ち、次に試験台30の
上の板33の把手37側を4cm持ち上げ、手を放して
自然落下させる。これを15秒間に15回繰り返す。そ
の後、試験台30の辺に平行で互いに直交する2方向で
のフレッシュコンクリートの直径を測定し、2つの値を
平均したものをスプレッドとする。スプレッドの単位は
cmである。
【0037】そして、この実施例に用いる吹付コンクリ
ート15は、フレッシュコンクリートが400〜650
mmのスプレッド試験値を有する。すなわち、スプレッ
ドが400mmより小さいと、粘性が多きくなりすぎ、
圧送性が悪くなったり充填性が悪くなったりするため、
コンクリート15が吹付装置の圧送管内で閉塞したり、
所定の位置にコンクリート15を十分に充填させること
ができなくなる場合があり、一方650mmより大きい
と、粘性が低下して充填後のコンクリート15が流出し
たり、ダレが生じる場合がある。
【0038】また、この実施例に用いる吹付コンクリー
ト15は、特に、フレッシュコンクリートのスプレッド
を450〜550cmとすることが好ましい。フレッシ
ュコンクリートのスプレッドをこの範囲にすることによ
り、鉄筋13を覆って吹き付けたコンクリート15のダ
レをさらに効果的に抑制することができ、また表面仕上
げを容易に行うことができる。
【0039】そして、この実施例に用いる吹付コンクリ
ート15は、使用する骨材の最大寸法すなわちGmax
20mm以下とすることが好ましい。骨材の最大寸法が
20mmを越えると、通常使用される吹付コンクリート
用のポンプや圧送管(直径50mm以下)を用いた場
合、圧送抵抗が高くなり、閉塞しやすくなったり吹付に
よる充填が不十分になるという不都合が生じる場合があ
る。
【0040】また、この実施例に用いる吹付コンクリー
ト15は、細骨材率すなわちs/aを60〜100%
(100%の場合はモルタルとなる。)とすることが好
ましい。細骨材率が60%より小さいと、通常使用され
る吹付コンクリート用のポンプや圧送管(直径50mm
以下)を用いた場合、圧送抵抗が高くなり、閉塞しやす
くなったり吹付による充填が不十分になるという不都合
が生じる場合がある。
【0041】さらに、この実施例に用いる吹付コンクリ
ート15は、セメントすなわちCの配合量を、コンクリ
ート1m3 に対し300〜700kgとすることが好ま
しい。セメントの配合量が300kg/m3 より小さい
と、モルタルと粗骨材が分離し、圧送時に閉塞したり、
吹き付けによる充填時に材料の分離が生じ、コンクリー
ト15の自立性が悪くなったり充填後に流出するという
不都合が生じる場合があり、またセメントの配合量が7
00kg/m3 より大きいと、セメントの水和熱による
発熱が大きくなり、硬化時にひび割れが発生する惧れが
ある。
【0042】そして、この実施例に用いる吹付コンクリ
ート15は、β−1,3グルカンや水中不分離性混和剤
等の増粘剤の配合量を、コンクリート1m3 に対し30
〜1000gとすることが好ましく、またコンクリート
1m3 に対し100〜500gとすることがさらに好ま
しい。すなわち、かかる増粘剤の配合量が30gより少
ないと、コンクリート15の粘性が小さく、充填後のコ
ンクリート15が流出しあるいはダレが生じ、また鉄筋
13の周囲に空隙が生じる惧れがあるという不都合が生
じる場合があり、また1000gより多いと、コンクリ
ート15の粘性が増加し過ぎて圧送抵抗が大きくなり、
圧送が出来ないかあるいは充填が不十分になりやすいと
いう不都合が生じる場合がある。なお、増粘剤の配合量
を100〜500gとすると、特に、鉄筋13を覆って
吹き付けられたコンクリート15のダレを少なくするこ
とができ、表面の仕上げを容易に行なうことができると
いう利点を得ることができる。
【0043】また、この実施例に用いる吹付コンクリー
ト15は、高性能減水剤の配合量を、コンクリート1m
3 に対しセメントCの0.5〜4.0%とすることが好
ましく、またコンクリート1m3 に対しセメントCの
1.5〜3.5%とすることがさらに好ましい。すなわ
ち、かかる高性能減水剤の配合量がセメントCの0.5
%より少ないと、単位水量が多くなり、乾燥収縮による
ひび割れが生じたり、所定の強度を得るための単位セメ
ント量が増大し、また水和熱によるひび割れが生じた
り、スランプを保持できる時間が短くなって施工可能な
時間が制限されるという不都合が生じる場合があり、ま
たセメントCの4.0%より多いと、凝結時間が短くな
ったり十分な初期強度を得ることができないという不都
合が生じる場合がある。また、高性能減水剤の配合量を
セメントCの1.5〜3.5%とすると、特に、スラン
プを保持することのできる時間を十分に確保することが
でき、しかも凝結時間を極端に遅くすることなく必要な
初期強度を得ることができるという利点が得られる。
【0044】なお、この実施例に用いる吹付コンクリー
ト15の好ましい配合の一例を表1に示す。
【0045】
【表1】 また、図3は、この実施例における吹付け作業の他の実
施の態様を示すものである。すなわち、図3に示す吹付
け作業によれば、コースを構成する鉄筋コンクリート構
造物10の外周部分は、コースの慣性後にその表面が露
出するものでないため、当該外側の表面には、吹付コン
クリート15の粗骨材の大きさより小さいメッシュの金
網18を配設し、この金網18を外枠としてこれに沿っ
て吹付作業を行なうようにしたものである。そして、こ
の方法によれば、構造物10の一方の表面が金網18に
よって支持画定されて吹付コンクリートの流出が抑制さ
れるので、金網18に対向して吹付け作業を行なうこと
ができ、これによって当該吹付け作業をさらに迅速ある
いは容易に行なうことができる。
【0046】なお、上記実施例では、芯材としての鉄筋
を2重に配設した場合について記載したが、この発明は
これに限定されるものではなく、鉄筋等の芯材が、吹付
けられて付着したコンクリートの形状を保持することの
できる強度及び構成を有するものであば、1重に配設し
たものでもよく、また3重以上に配設することもでき
る。
【0047】また、上記実施例では、吹付コンクリート
として、増粘剤と、高性能AE減水剤や流動化剤等の高
性能減水剤とを含み、かつそのフレッシュコンクリート
の物性が、10〜25cmのスランプ試験値、及び40
0〜650mmのスプレッド試験値の範囲にあるものを
使用したが、この発明に用いる吹付コンクリートはこれ
に限定されるものではなく、鉄筋等の芯材に付着してそ
の形状を保持できる物性を有するものであれば、種々の
コンクリートを用いることができる。
【0048】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の
コンクリート構造物の構築方法によれば、構築すべき構
造物の形状に沿って配設された、鉄筋や繊維強化樹脂等
からなる芯材に向けて、当該芯材を覆うように吹付コン
クリートを吹付ける作業により、吹付けられたコンクリ
ートは、その粘性によって鉄筋等の芯材に付着するとと
もに、芯材を覆う所定の厚さで上方に向かって順次充填
積層され、これによって、コンクリートを流し込むため
の型枠を組み立てることなく、芯材に沿った所定の形状
のコンクリート構造物が形成される。したがって、特
に、薄肉のコンクリート構造物や複雑な形状を有するコ
ンクリート構造物を構築する際に、型枠の製作及び組立
て作業ないしは解体作業を大幅に低減して、省力化、工
期の短縮化、施工コストの低減を容易に図ることができ
る。
【0049】また、吹付け作業に用いる吹付コンクリー
トとして、増粘剤と、高性能AE減水剤や流動化剤等の
高性能減水剤とを含み、かつそのフレッシュコンクリー
トの物性が、10〜25cmのスランプ試験値、及び4
00〜650mmのスプレッド試験値の範囲にあるもの
を使用すれば、かかる物性を有するコンクリートは、粘
性と流動性に富むため、締固め作業を行わなくても、当
該吹付コンクリートを芯材を覆って所定の厚さに十分に
充填することができ、これによって品質の良いコンクリ
ート構造物を容易に得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るコンクリート構造物
の構築方法により構築されるコンクリート構造物として
のボブスレーのコースを示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、この発明の一実施例に係
るコンクリート構造物の構築方法における吹付作業の一
実施態様を示す説明図である。
【図3】この発明の一実施例に係るコンクリート構造物
の構築方法における吹付け作業の他の実施態様を示す説
明図である。
【図4】スプレッド試験に用いる試験器具を示す説明図
で、(a)は試験台の平面図及び側面図、(b)はコー
ンの側面図、(c)は突き棒の側面図及び断面図であ
る。
【符号の説明】
10 湾曲鉄筋コンクリート構造物 13 鉄筋 14 内側部分(芯材の間) 15 吹付コンクリート 17 外側部分(芯材の外側) 18 金網 20 吹付装置
フロントページの続き (72)発明者 安尾 知也 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株式会社大林組東京本社内 (72)発明者 武藤 賢一 新潟県新潟市東大通2−3−28 株式会 社大林組北陸支店内 (72)発明者 石原 孝和 新潟県新潟市東大通2−3−28 株式会 社大林組北陸支店内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 21/02 103 A63C 19/10 A63K 1/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吹付コンクリートの吹付け作業により所
    定の肉厚を有するコンクリート構造物を構築する方法で
    あって、鉄筋、繊維強化樹脂等からなる芯材を前記構造
    物の形状に沿って配設し、しかる後に前記吹付けコンク
    リートを、所定の厚さで前記芯材を覆って吹付け、上方
    に向かって順次充填積層して行くことにより、前記芯材
    に沿った所定形状の構造物を構築することを特徴とする
    コンクリート構造物の構築方法。
  2. 【請求項2】 吹付コンクリートの吹付け作業により所
    定の肉厚を有するコンクリート構造を構築する方法であ
    って、鉄筋、繊維強化樹脂等からなる芯材を構造物の形
    状に沿って少なくとも2重に配設し、しかる後に前記吹
    付コンクリートを、前記少なくとも2重に配設した芯材
    の間に吹付け、上方に向かって順次充填積層し、かかる
    芯材間の吹付け作業に後続して、芯材の外側には当該芯
    材を所定の厚さで覆いつつ吹付コンクリートを吹付けて
    行くことにより、前記芯材に沿った所定形状の構造物を
    構築することを特徴とするコンクリート構造物の構築方
    法。
  3. 【請求項3】 吹付コンクリートの吹付け作業により所
    定の肉厚を有するコンクリート構造を構築する方法であ
    って、前記構造物の一方の側面部には、前記構造物の形
    状に沿って、前記吹付コンクリートの粗骨材の大きさよ
    り小さいメッシュの金網を配設するとともに、該金網に
    隣接して、鉄筋、繊維強化樹脂等からなる芯材を構造物
    の形状に沿って配設し、しかる後に前記吹付コンクリー
    トを、前記芯材を所定の厚さで覆って前記金網の一方の
    側面に吹付け、上方に向かって順次充填積層して行くこ
    とにより、前記金網及び芯材に沿った所定形状の構造物
    を構築することを特徴とするコンクリート構造物の構築
    方法。
  4. 【請求項4】 前記吹付作業に用いる吹付コンクリート
    が、増粘剤と、高性能AE減水剤や流動化剤等の高性能
    減水剤とを含み、かつそのフレッシュコンクリートの物
    性が、10〜25cmのスランプ試験値、及び400〜
    650mmのスプレッド試験値の範囲にあることを特徴
    とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコンクリ
    ート構造物の構築方法。
  5. 【請求項5】 前記増粘剤として、β−1,3グルカン
    を用いることを特徴とする請求項4に記載のコンクリー
    ト構造物の構築方法。
  6. 【請求項6】 前記贈粘剤として、水中不分離性混和剤
    を用いることを特徴とする請求項4に記載のコンクリー
    ト構造物の構築方法。
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