JP2916595B2 - ニューマチックケーソン工法における排水排土方法 - Google Patents

ニューマチックケーソン工法における排水排土方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニューマチックケ
ーソン工法において、特に岩盤に沈設する場合の排水排
土方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ニューマチックケーソン工法は、周知の
ように函体底部に床板を設け、床板下を気密の作業室と
して、ここに圧搾空気を送りながら床板下方を掘削し、
ニューマチックケーソン躯体を自重や積載荷重により沈
下させるものであるが、ニューマチックケーソン躯体を
岩盤中に沈設する場合は、岩盤の透水係数が小さいので
理論気圧まで作業気圧を上げなくても、掘削排土作業を
行えることが多い。
【0003】しかし、そのような場合でも地下水は少量
ずつ作業室内に浸入してくるので、作業性を確保するた
め水中ポンプで排水を行っている。図12はその一例を示
し、ケーソン躯体18の床板である天井スラブ18aに掘削
機械として天井走行式のケーソンショベル15を取り付
け、下方の作業室16内には、周囲の作業盤より一段低く
掘削した釜場23に水中ポンプ24を設置している。図中25
は水中ポンプ24に接続した排水管である。
【0004】また、岩盤1の掘削は発破により行うが、
発破は、装薬孔2を削孔し、この装薬孔2に装薬した爆
薬を爆発して行い、発破の結果生じるズリは、シャフト
26を介して地上から吊り下ろした排土バケツ22を使用し
て行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】釜場23に設置した水中
ポンプ24による排水方法では、釜場23付近の水は排除で
きても、釜場23から離れた場所の浸透水の排除はでき
ず、このような場所に溜まった浸透水が発破のための装
薬孔2の削孔作業等函内作業の障害となる。
【0006】また、ズリ出しには排土バケツ22を転倒し
ないように据える、いわゆるバケツ押しという人力作業
が必要である。バケツ押しも、据えたバケツにズリを投
入する作業も、熟練を要するのみならず、熟練工が行っ
ても時間の掛かるものであり、作業性がよくない。
【0007】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、岩盤等の低透水層中にニューマチックケーソンを沈
設する場合、理論気圧まで作業気圧を上げなくても作業
室内への浸透水を作業室全域にわたって排除でき、作業
気圧を低減できて作業時間を長く確保でき、削孔、装薬
等の函内作業をドライな条件下で行え、排土バケツへの
ズリ投入も容易に行えて、作業効率が向上するニューマ
チックケーソンの沈設工法における排水排土方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、岩盤等の低透水層中にニューマチックケーソ
ンを沈設する場合、ニューマチックケーソン躯体の構築
に先立ち、ディープウェルとして機能させ、また、ズリ
ピットとして機能させる縦穴を削孔することを要旨とす
るものてある。
【0009】請求項1記載の本発明によれば、ニューマ
チックケーソン躯体の構築に先立ち、岩盤等の低透水層
を削孔して築造した縦穴がディープウェルとして機能さ
せることで、理論気圧まで作業気圧を上げなくても作業
室内への浸透水を作業室全域にわたって排除できて地下
水位を低下でき、作業気圧を低減できて作業時間を長く
確保できる。
【0010】また、縦穴をズリピットとして機能させ、
排土バケツへのズリ投入が容易となり、作業効率が向上
する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1〜図4は本発明のニュー
マチックケーソン工法における排水排土方法の縦穴の構
築の工程図を示し、本発明方法は、ニューマチックケー
ソン沈設に先行して縦穴を構築するものである。図1に
示すように本発明は普通土層3の下方に岩盤などの確実
な低透水層5の存在する地盤にニューマチックケーソン
を沈設する場合で、第1工程としてケーソン沈設に先行
して、まず、ケーソン刃口を設置した場合にその直下と
なる位置を先行削孔し、ここに粘土モルタルの止水壁6
を構築する。
【0012】この止水壁6は、ケーソンの周囲の地盤か
らケーソンの作業室内に供給される地下水の量を低減す
る。
【0013】次に、マテリアルシャフトと同じ平面位置
にケーシング回転掘削工法により先行ピットを削孔す
る。図6〜図8はこの先行ピットの削孔工程図で、図5
に示すような全旋回大口径削孔機7とクローラクレーン
8を使用して例えば直径3mのケーシング9を所定位置
に挿入し(図6参照)、全旋回大口径削孔機7でケーシ
ング9を連続回転させて削孔しながらこれを押し込む
(図7参照)。
【0014】ケーシング9を所定深度まで押し込んだな
らば、図8のようにケーシング9を連続回転させながら
ケーシング9内の掘削と排土を行う。こうして図1に示
すように普通土層3及び低透水層5に削孔する。その
後、ケーシング内に砕石を投入してからケーシングを抜
去すれば、削孔位置に、あたかもサンドドレーン工法に
おける砂杭のような、先行ピットができる。
【0015】低透水層が自立する場合は、以下のように
して先行ピットを構築することもできる。すなわち、例
えば直径3mのケーシング9を所定深度まで押し込んだ
ならば、図8のようにケーシング9を連続回転させなが
らケーシング9内の掘削と排土を行う。このようにし
て、普通土層3に削孔する。
【0016】その後、第2工程として図2に示すよう
に、ライナープレート10を挿入し、ケーシングとライナ
ープレート10の間隙に低強度モルタル11を打設して縦穴
である直径2.5mの先行ピットの仮壁を構築する(図
2参照)。低強度モルタル11の打設後ケーシングは抜去
する。
【0017】さらに、第3工程として図3に示すよう
に、普通土層3に築造した前記先行ピット12を貫通させ
てこれよりも一回り小さい直径2mのケーシング13を使
用して低透水層5にも先行ピット14を削孔する。
【0018】以上のようにしてケーソンの沈設に先行し
て止水壁6と縦穴である先行ピット14を構築したなら
ば、図示は省略するがケーソンの刃口金物を据付け、セ
ントルを構築する。
【0019】鉄筋、型枠を刃口金物の上部に組み立て、
ケーソン躯体の刃口を形成する1ロット、その上部の2
ロットを構築し、さらにシャフト26、ロックの艤装を行
い、ケーソン躯体の作業室内に掘削機械として天井走行
式のケーソンショベルを取付ける。
【0020】次に図9に示すようにして普通土層3を作
業室16内のケーソンショベル15で掘削し、刃口17で止水
壁6の粘土モルタルを掘削しながらケーソン躯体18を沈
下させる。
【0021】低強度モルタルで仮壁を作った場合は、こ
の間、先行ピット14の仮壁が作業室16内に現れるが、こ
の先行ピット14の仮壁はケーソン躯体18の沈設にともな
いケーソンショベル15で撤去する。
【0022】ケーソンの周囲の地盤から作業室16内に浸
入してくる地下水は縦穴である先行ピット14内に流れ込
み、先行ピット14がディープウェルとして機能する。よ
って、図10に示すように先行ピット14内に水中ポンプ24
を設置すれば、作業室16内に浸入してくる地下水を先行
ピット14から作業室16の全域にわたって効率よく排水管
25を介して排水できる。
【0023】また、先行ピット14がディープウェルとし
て機能する結果、作業室16内の地下水面28が低下し、作
業気圧を理論気圧より低減でき、これにより、作業時間
も長く確保できる。さらに、作業室16内で削孔、装薬な
どの作業を行う場合もドライな条件で行えるので、作業
性がよくなる。
【0024】先行ピット14内の砕石あるいは、先行ピッ
ト14内に落下した掘削土あるいは発破ズリ27は、図11に
示すようにシャフト26から吊り下ろした排土バケツ22が
収まる高さだけ、つねに掘削しておく。掘削したところ
へ排土バケツを据えれば、大まかに先行ピットの方へズ
リを掻き寄せて投入するだけで自然に排土バケツにズリ
が入る。このようにすれば、前述のバケツ押しを行う必
要がないうえ、排土バケツ22へのズリの投入が容易に行
える。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように本発明のニューマチッ
クケーソン工法における排水排土方法は、ニューマチッ
クケーソン躯体の構築に先立ち、ケーソン直下の地盤に
削孔して築造した縦穴がディープウェルとして機能する
ことで、理論気圧まで作業気圧を上げなくても作業室内
への浸透水を作業室全域にわたって排除できて地下水位
を低下でき、作業気圧を低減できて作業時間を長く確保
できるとともに、削孔や装薬などの作業がドライな条件
で行え、作業性がよくなる。
【0026】また、縦穴がズリピットとして機能し、こ
こに排土バケツが収納されるから、排土バケツへのズリ
投入も容易になり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のニューマチックケーソン工法における
排水排土方法の先行ピットの構築の第1工程を示す縦断
正面図である。
【図2】本発明のニューマチックケーソン工法における
排水排土方法の先行ピットの構築の第2工程を示す縦断
正面図である。
【図3】本発明のニューマチックケーソン工法における
排水排土方法の先行ピットの構築の第3工程を示す縦断
正面図である。
【図4】本発明のニューマチックケーソン工法における
排水排土方法の先行ピットの構築の第4工程を示す縦断
正面図である。
【図5】本発明のニューマチックケーソン工法における
岩盤掘削機械の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明のニューマチックケーソン工法における
岩盤掘削の第1工程を示す縦断正面図である。
【図7】本発明のニューマチックケーソン工法における
岩盤掘削の第2工程を示す縦断正面図である。
【図8】本発明のニューマチックケーソン工法における
岩盤掘削の第3工程を示す縦断正面図である。
【図9】本発明のニューマチックケーソン工法における
ケンソン沈設の状態を示す縦断正面図である。
【図10】本発明のニューマチックケーソン工法におけ
るディープウェルとして機能する要部である先行ピット
の部分の縦断正面図である。
【図11】本発明のニューマチックケーソン工法におけ
るズリビットとして機能する要部である先行ピットの部
分の縦断正面図である。
【図12】従来のニューマチックケーソン工法における
排水排土方法を示す作業室の部分の縦断正面図である。
【符号の説明】
1…岩盤 2…装薬孔 3…普通土層 4…風化岩 5…低透水層 6…止水壁 7…大口径岩盤削孔機 8…クローラク
レーン 9…ケーシング 10…ライナープ
レート 11…モルタル 12…先行ピット 13…ケーシング 14…先行ピット 15…ケーソンショベル 16…作業室 17…刃口 18…ケーソン躯
体 18a…天井スラブ 22…排土バケツ 23…釜場 24…水中ポンプ 25…排水管 26…シャフト 27…ズリ 28…地下水面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−296237(JP,A) 特公 昭55−48139(JP,B2) 実公 昭60−5093(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 23/04 E02D 23/06 E02D 23/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 岩盤等の低透水層中にニューマチックケ
    ーソンを沈設する場合、ニューマチックケーソン躯体の
    構築に先立ち、ディープウェルとして機能させ、また、
    ズリピットとして機能させる縦穴を削孔することを特徴
    とするニューマチックケーソン工法における排水排土方
    法。
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