JP2915220B2 - プロセス制御装置 - Google Patents

プロセス制御装置

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JP2915220B2 JP23876692A JP23876692A JP2915220B2 JP 2915220 B2 JP2915220 B2 JP 2915220B2 JP 23876692 A JP23876692 A JP 23876692A JP 23876692 A JP23876692 A JP 23876692A JP 2915220 B2 JP2915220 B2 JP 2915220B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は複数の制御目的が存在
するプロセス制御装置に関し、広く温度調節器や流量制
御器などに適用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来広く用いられているPID制御を用
いたプロセス制御装置、たとえばディジタル調節計は、
ある対象を制御するのに一組のPID定数を用いてい
る。この場合その一組のPID定数で、設定値変更時の
制御、すなわち偏差が大きいときの制御と、外乱に対す
る制御すなわち偏差の小さいときの制御を行なわなくて
はならない。しかし、このような設定値変更時と外乱発
生時に対応する最適なPID定数はほとんどのばあい異
なっている。当然2組の異なるPIDを設定することが
できないので、いずれか一方に重点を置いた設定あるい
は中間的な値を設定せざるを得なかった。このため立ち
上がり時はオーバーシュートが少ないが、外乱に対して
整定時間が長くなったり、あるいは立ち上がり時はオー
バーシュートは多いが、外乱に対して整定時間が短くな
ったり、さらにどちらの特性もある程度満たすものの、
どちらも満足できる値ではないといった結果しか得られ
ないばあいがあった。
【0003】またこの種プロセス制御装置として、図
7に示すように、目標値フィルタ形2自由度PID制御
等が提案されている。この手法は一組のPIDで制御系
の立ち上がり特性と外乱の両方に対応できるように考慮
されたものである。しかしその図中に置ける各パラメー
タα、β、γの値を設定しなければならない。この値は
広く知られた値ではなく、設計者あるいは使用者が試行
錯誤的に決定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は立ち上がり時のオーバーシュートの多少に
よって、外乱に対する整定時間に長短があること、およ
びPID制御値を中間的な値に設定することによる中途
半端な制御である。また一意的に決定することができな
い制御用パラメータゆえにその設定が極めて複雑なこと
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、制御対象に
適したPID定数として追値制御用PID定数を設定す
る第一のPID設定部と、制御対象に適したPID定数
として外乱用PID定数を設定する第二のPID設定部
と、設定値に対する制御量の偏差の絶対値が小さい領域
においては外乱用PID定数の適合度が大きく、該絶対
値が大きい領域においては追値制御用PID定数の適合
度が大きいメンバーシップ関数と、制御量の変化量の絶
対値が小さい領域においては外乱用PID定数の適合度
が大きく、該絶対値が大きい領域においては追値制御用
PID定数の適合度が大きいメンバーシップ関数とから
ファジー演算を行って最適なPID定数を演算するファ
ジー演算部と、このファジ−演算部で得られる最適なP
ID定数をもとに操作量を決定するPID演算部とを有
するものである。
【0006】
【作用】2つの異なるPID定数は限界感度法等で知る
ことができ、制御が開始されるとファジー演算部では、
設定値に対する制御量の偏差に基づくメンバーシップ関
数と制御量の変化量に基づくメンバーシップ関数とから
ファジー演算が行われ、PID演算部では、このファジ
−演算部で得られる最適なPID定数をもとに操作量を
決定される。特に、PID設定部では、追値制御用PI
D定数及び外乱用PID定数が設定され、ファジー演算
部では設定値に対する制御量の偏差の絶対値が小さい領
域においては外乱用PID定数の適合度が大きくなり、
該絶対値が大きい領域においては追値制御用PID定数
の適合度が大きくなり、制御量の変化量の絶対値が小さ
い領域においては外乱用PID定数の適合度が大きくな
り、該絶対値が大きい領域においては追値制御用PID
定数の適合度が大きくなるようにファジー演算が行わ
れ、最適なPID定数が演算される。
【0007】
【実施例】以下図によってこの発明の一実施例について
説明する。すなわち図1において、2つのPID設定部
1、2は制御対象に適した2つの異なるPID定数をあ
らかじめ設定するもので、このうち第1のPID設定部
1は制御対象6のステップ応答用(追値制御用)であ
り、また第2のPID設定部2は外乱用である。これら
2つのPID設定部1、2の出力端は、ファジー演算部
3の入力端に接続される。そしてこのファジー演算部
は設定値と制御量から最適なPID定数を演算する。こ
のファジー演算部の入力端には目標値設定部4の出力
端が接続される。この目標値設定部およびファジー演算
部3の出力端はPID演算部5に接続される。このPI
D演算部はファジー演算部3で得られる最適なPID
定数をもとに操作量を決定する。さらにPID演算部5
の出力端は制御対象6に接続される。そして制御対象6
の出力端とファジー演算部3間、および制御対象6の出
力端と、目標値設定部4とPID演算部5の接続部間に
フィードバック回路が形成される。
【0008】図2に示す制御例において、その制御特性
曲線B上のある点Aに、この発明における制御装置の計
算例を適用したばあいについて説明する。
【0009】今、図2の点Aにおいて、偏差がenr、
制御量PVの単位時間あたりの制御量PVの変化量すな
わち傾きがPVDrであったとする。そこで、仮に、追
値制御用PID定数PID1と外乱用PID定数PID
の適合度を制御する変数すなわちパラメータに偏差e
nとPVの傾きPVDを設定する。そして偏差enとP
Vの傾きPVDの大きさの絶対値によって、図3および
図4に示すようなメンバーシップ関数を作成しておく。
なお図3、図4において、PSはポジティブスモール、
すなわち偏差の大きさが正で小さい量を表し、またPL
はポジティブラージ、すなわち偏差の大きさが正で大き
い量を意味する。このようなメンバーシップ関数を用
い、設定値に対する制御量の偏差の絶対値が小さい領域
においては外乱用PID定数の適合度が大きくなり、該
絶対値が大きい領域においては追値制御用PID定数の
適合度が大きくなり、制御量の変化量の絶対値が小さい
領域においては外乱用PID定数の適合度が大きくな
り、該絶対値が大きい領域においては追値制御用PID
定数の適合度が大きくなるように、最適なPID定数
演算する。その一般式は次のとおりである。
【0010】
【数1】
【0011】そこで一般に広く知られているPID定数
の決定法の中からチエン・フロネス・レスウイック(C
hien Hrones Reswick)法を用い
て、実際の数値を演算してみる。そこで、比例帯をP、
積分時間をI微分時間をD、制御対象の時定数をT、制
御対象の時定数のむだ時間をLとする。
【0012】まず、追値制御、すなわちPID1におい
て、最短応答すなわちオーバーシュートなしのばあいは
P1=0.6T/L I1=T D1=0.5Lとな
る。
【0013】またステップ状外乱に対する最短応答、す
なわちPID2のばあいにはP2=0.9T/L I2
=2.4L D2=0.4Lとなる。
【0014】このときある系G(s)= -10s /(50
s+1)の積分時間を例にとると、I1=50秒、I2
=24秒となる。このとき点Aにおける各ファジー変数
は図3および図4に示したようにfen2=0.
8.....となる。よってこの瞬間において求める積
分値はこれを数1に当てはめるとInow=1*(0.
2*50*+0.8*24)+1*(0.7*50+
0.3*24)/(1+1)=35.7[秒]となる。
そこでこの値を実際のPID制御の積分時間として用い
る。
【0015】図5に示す実際の制御例において、時点t
1で設定値を変更してから時点t3において整定するま
での制御特性Cが改善されていることが理解されよう。
【0016】一方、同図の時点t2において、外乱が発
生し、これが時点t4において整定するまでの外乱応答
特性Nが改善されていることが理解されよう。
【0017】なお、上記実施例においては積分時間を例
にとって説明したが、同様の手法によって比例帯および
微分時間をも変化させることが望ましい。
【0018】
【発明の効果】この発明によれば、上述のように、制御
対象に適したPID定数として追値制御用PID定数を
設定する第一のPID設定部と、制御対象に適したPI
D定数として外乱用PID定数を設定する第二のPID
設定部と、設定値に対する制御量の偏差の絶対値が小さ
い領域においては外乱用PID定数の適合度が大きく、
該絶対値が大きい領域においては追値制御用PID定数
の適合度が大きいメンバーシップ関数と、制御量の変化
量の絶対値が小さい領域においては外乱用PID定数の
適合度が大きく、該絶対値が大きい領域においては追値
制御用PID定数の適合度が大きいメンバーシップ関数
とからファジー演算を行って最適なPID定数を演算す
るファジー演算部と、このファジ−演算部で得られる最
適なPID定数をもとに操作量を決定するPID演算部
とを有するので、複雑な演算が不要となって簡単な演算
によって最適なPID定数を演算することができ、しか
も、立ち上がりに要する時間が短くなり、またオーバー
シュートが減少し、さらに外乱に対して、整定時間が短
くなる。したがって、制御対象を目的の値に素早く整定
させることができる。また複雑な操作を必要とすること
なく、簡単に最適な制御結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明におけるプロセス制御装置の一実施例
を示すブロック回路図である。
【図2】この発明におけるプロセス制御装置の制御例を
示す特性図である。
【図3】この発明におけるプロセス制御装置の偏差の絶
対値のメンバーシップ関数図である。
【図4】この発明におけるプロセス制御装置の制御量の
絶対値のメンバーシップ関数図である。
【図5】この発明におけるプロセス制御装置における制
御特性図である。
【図6】従来の制御装置における制御特性図である。
【図7】従来の制御装置の目標値フィルタ2自由度PI
D制御方式の機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 第1のPID設定部 2 第2のPID設定部 3 ファジー演算部 4 目標値設定部 5 PID演算部 6 制御対象
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−47802(JP,A) 特開 昭59−223803(JP,A) 特開 昭62−111311(JP,A) 特開 平1−258003(JP,A) 特開 平2−259904(JP,A) 実開 昭61−35599(JP,U) 実開 昭61−89903(JP,U) 広井和男、「汎用型2自由度PID制 御方式」、計装、工業技術社、昭和63年 11月、第31巻、第11号、P.66−71 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 13/00 - 13/04 G05B 11/42 G05B 7/00 - 7/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象に適したPID定数として追値
    制御用PID定数を設定する第一のPID設定部と、 制御対象に適したPID定数として外乱用PID定数を
    設定する第二のPID設定部と、 設定値に対する制御量の偏差の絶対値が小さい領域にお
    いては外乱用PID定数の適合度が大きく、該絶対値が
    大きい領域においては追値制御用PID定数の適合度が
    大きいメンバーシップ関数と、制御量の変化量の絶対値
    が小さい領域においては外乱用PID定数の適合度が大
    きく、該絶対値が大きい領域においては追値制御用PI
    D定数の適合度が大きいメンバーシップ関数と からファ
    ジー演算を行って最適なPID定数を演算するファジー
    演算部と、 このファジー演算部で得られる最適なPID定数をもと
    に操作量を決定するPID演算部とを有することを特徴
    とするプロセス制御装置。
JP23876692A 1992-07-24 1992-07-24 プロセス制御装置 Expired - Lifetime JP2915220B2 (ja)

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JPH0643908A JPH0643908A (ja) 1994-02-18
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
広井和男、「汎用型2自由度PID制御方式」、計装、工業技術社、昭和63年11月、第31巻、第11号、P.66−71

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