JP2913836B2 - 多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置

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JP2913836B2
JP2913836B2 JP9526735A JP52673597A JP2913836B2 JP 2913836 B2 JP2913836 B2 JP 2913836B2 JP 9526735 A JP9526735 A JP 9526735A JP 52673597 A JP52673597 A JP 52673597A JP 2913836 B2 JP2913836 B2 JP 2913836B2
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昭憲 長内
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置に関し、
特に蒸発燃料の気筒分配を均一にすべくパージ制御する
ことにより内燃機関の空燃比の変動を抑制して排気の浄
化性を向上する多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置に関
する。
背景技術 一般的に多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置は、燃料
タンクから発生する蒸発燃料を一時的に貯蔵するキャニ
スタと内燃機関(以下単に機関と記す)の吸気通路とを
連通するパージ通路と、パージ通路内に設けられるパー
ジ制御弁とを備える。パージ制御弁は機関の運転状態に
応じて所定の周期とデューティ比で開閉するよう駆動制
御される。機関の回転周期とパージ制御弁の駆動周期が
略同期すると、キャニスタから吸気通路へパージされた
パージガスは特定の気筒に吸引されその気筒の空燃比は
リッチとなり、パージガスが吸引されない気筒の空燃比
はリーンとなり、機関の空燃比が変動する。またリーン
となった気筒は失火する恐れがある。上記問題を解決す
るため、機関の回転周期とパージ制御弁の駆動周期が略
同期する機関の回転数領域においてパージ制御弁の駆動
周期を他の駆動周期に切り換える技術が開示されている
(特開平6−241129号公報参照)。
しかしながら、上記特開平6−241129号公報に開示さ
れた技術は、機関の回転周期とパージ制御弁の駆動周期
が略同期する機関の回転数領域の境界付近での機関の回
転数が増減されるときにパージ制御弁の駆動周期を急に
切り換えるので、例えばデューティ比の0%および100
%付近でパージガスの流量が急に変化し空燃比が変動す
る。上記技術はこのパージガスの流量の急変により変動
した空燃比を目標空燃比とするように燃料噴射量を補正
するが、機関の空燃比が目標空燃比に安定するまでには
時間を要し、その間機関の空燃比が変動し、あるいはエ
ミッションが悪化するという問題を生じる。
発明の開示 それゆえ本発明は上記問題を解決し機関の回転周期と
パージ制御弁の駆動周期が略同期しても機関の空燃比の
変動を抑制して排気の浄化性を向上するとともにリーン
失火を防止する多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置を提
供することを目的とする。
図1は本発明の基本構成図である。前記問題を解決す
る本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置は、
燃料タンク15から発生する蒸発燃料を一時的に貯蔵する
キャニスタ37と、キャニスタ37と機関1の吸気通路とを
連通するパージ通路39と、パージ通路39内に設けられ所
定の駆動周期で開閉することで、キャニスタ37から機関
1の吸気通路内に吸引されるパージガスの量を制御する
パージ制御弁41と、を備えた多気筒内燃機関の蒸発燃料
処理装置において、機関1の運転状態(例えば回転数)
を検出する運転状態検出手段Aと、運転状態検出手段A
により検出された運転状態に応じてパージ制御弁41の駆
動周期における開弁開始時期をその駆動周期の開始から
遅延させる遅延時間を設定する遅延時間設定手段Bと、
遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間に従って
パージ制御弁41を駆動するパージ制御弁駆動手段Cと、
を備えたことを特徴とする。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、運転状態検出手段Aは、機関1の吸気弁の開閉周
期を検出し、検出した吸気弁の開閉周期とパージ制御弁
41の駆動周期とからパージガスが機関1の各気筒へ均一
に分配されるか否かを判断する均一分配判断手段を備
え、遅延時間設定手段Bは、均一分配判断手段によりパ
ージガスが各気筒へ不均一に分配されると判断されたと
き、気筒分配が均一となるように前記遅延させるように
遅延時間を設定する。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、運転状態検出手段Aは、機関1の回転数を検出す
る回転数検出手段を備え、遅延時間設定手段Bは、回転
数検出手段により検出された回転数に応じて遅延時間を
設定する。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
ける運転状態検出手段Aにより検出された機関の運転状
態、例えば機関の回転周期とパージ制御弁の駆動周期と
が略同期する機関の回転数領域において、駆動周期毎に
連続的に特定気筒にパージガスが流入しないように遅延
時間設定手段Bによりパージ制御弁の開弁開始時期を駆
動周期の開始から遅延させる遅延時間を設定し、設定し
た遅延時間に従ってパージ制御弁駆動手段Cによりパー
ジ制御弁を駆動するのでパージガスの気筒分配が均等化
され空燃比の変動が抑制される。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、例えばパージ制御弁41の駆動周期における開弁時
間を定めるデューティ比に応じて遅延時間を補正する。
上記遅延時間補正手段Dは、デューティ比に応じて、
例えばデューティ比が極めて小さい間欠流の少ないとき
(パージペーパ量が少ないとき)には遅延時間を設け
ず、不必要な制御を中止し、一方、デューティ比が極め
て大きい(間欠流が少ないとき)ときには駆動周期内に
開弁時間が確保できるように遅延時間を補正してパージ
ガスの流量の不足を補う。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、例えばパージ制御弁41の駆動周期における開弁時
間の終了時期に基づいて遅延時間を補正する。
上記遅延時間補正手段Dは、パージ制御弁41の駆動周
期における開弁時間の終了時期に基づいて、例えば一つ
の駆動周期内にパージ制御弁が閉弁完了できるように遅
延時間を補正する。それゆえ、パージ制御弁が確実に開
閉できるとともに所定量のパージガスを過不足すること
なく吸気通路内へ供給できる。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、例えば機関1の吸気通路内におけるパージガスの
移動速度を検出する移動速度検出手段を備え、検出した
移動速度に応じて遅延時間を補正する。
上記吸気通路内のパージガスの移動速度に応じて遅延
時間を補正するので、機関の過渡時におけるパージガス
の吸気管内の移動時間を考慮してパージされる。すなわ
ち、加速時はパージガスの流速が速くなるので遅延時間
を長くし、減速時はパージガスの流速が遅くなるので遅
延時間を短くし、これによりパージガスの吸気管内の移
動時間を考慮してパージされ、気筒分配を良好にする。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、例えばパージ制御弁41を駆動する駆動周期を複数
設け、所定の順序でその複数の駆動周期を切り換える周
期切換手段を備え、周期切換手段により切り換えられた
駆動周期に応じて遅延時間を補正する。
上記周期切換手段によりパージ制御弁を駆動する複数
の周期を所定の順序で切り換え、かつ遅延時間補正手段
Dは各周期に応じて遅延時間を補正するので、パージガ
スの流量の変化が抑制されるとともに駆動周期毎に特定
気筒にパージガスが流入することなく、パージガスの気
筒分配が均等化され空燃比の変動が抑制される。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、例えばパージ制御弁41の開弁開始から開弁終了ま
での開弁時間中における中央を基準として遅延時間を補
正する。
上記遅延時間設定手段Bは、パージ制御弁41の開弁時
間の中央を基準として遅延時間を増減するよう設定する
ので、特に加減束時のデューティ比が急変する過渡時
に、パージ制御弁41の開弁直後にパージされたパージガ
スが気筒へ到達する直前に吸気弁を閉じる気筒に対して
もパージガスを流入させることによりパージガスの気筒
分散を促進し、空燃比の変動を抑制する。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、運転状態検出手段Aは、パージ制御弁41の今回駆
動周期の開弁時間中に吸気行程である今回吸気気筒を検
出する気筒検出手段を備え、遅延時間設定手段Bは、パ
ージ制御弁41の次回駆動周期に吸気行程となる次回吸気
気筒が気筒検出手段により検出された今回吸気気筒と異
なるように遅延時間を設定する。
上記遅延時間設定手段Bは、パーィ制御弁の次回駆動
周期に吸気行程となる次回吸気気筒が気筒検出手段によ
り検出された今回駆動周期の開弁時間中に吸気行程であ
る今回吸気気筒と異なるように遅延時間を設定するの
で、パージガスの気筒分配が均等化され、空燃比の変動
が抑制される。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、パージ制御弁41の今回の駆動周期の際に今回の駆
動周期に連続する次回の駆動周期における内燃機関の負
荷を予測する負荷予測手段を備え、遅延時間補正手段D
は、負荷予測手段により予測された次回の駆動周期の負
荷に基づいて遅延時間を補正する。
上記遅延時間設定手段Bは、負荷予測手段により予測
された次回の駆動周期における内燃機関の負荷またはそ
の増減の予測に基づいて遅延時間を補正するので、特に
加減速時のデューティ比が急変する過渡時に、機関の負
荷(負荷の変化)に対する遅延時間が適切に設定され、
パージガスの応答性(パージガスの吸気管内の移動時
間)を考慮した制御ができるとともにパージガスの気筒
分配の均等化を確保でき、空燃比の変動が抑制される。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、遅延時間設定手段Bにより設定された遅延時間を
補正する遅延時間補正手段Dを備え、遅延時間補正手段
Dは、パージ制御弁41の今回の駆動周期の際に今回の駆
動周期に連続する次回の駆動周期における内燃機関の回
転数を予測する回転数予測手段を備え、遅延時間補正手
段Dは、回転数予測手段により予測された次回の駆動周
期の回転数に基づいて遅延時間を補正する。
上記遅延時間設定手段Bは、回転数予測手段により予
測された次回の駆動周期における内燃機関の回転数(回
転数の変化)またはその増減の予測に基づいて遅延時間
を補正するので、特に加減速時のデューティ比が急変す
る過渡時に、機関の回転数に対する遅延時間が適切に設
定され、パージガスの応答性(パージガスの吸気管内の
移動時間)を考慮した制御ができるとともにパージガス
の気筒分配の均等化を確保でき、空燃比の変動が抑制さ
れる。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、運転状態検出手段Aは、パージ制御弁41の駆動周
期毎の開弁開始期間におけるクランク角を検出するクラ
ンク角検出手段を備え、遅延時間設定手段Bは、クラン
ク角検出手段により検出された今回駆動周期の第1クラ
ンク角から次回駆動周期の開弁開始時期が第1クランク
角と異なる第2クランク角、好ましくは第1クランク角
と反対位相の(360゜CA位相のずれた)クランク角にく
るように、前記遅延時間を設定する。上記第2クランク
角は120゜CA、180゜CA等適宜変更可能である。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、運転状態検出手段Aは、パージ制御弁41の駆動周
期毎の開弁開始時期における吸気弁のバルブタイミング
角を検出するバルブタイミング角検出手段を備え、遅延
時間設定手段Bは、バルブタイミング角検出手段により
検出された今回駆動周期の第1バルブタイミング角から
次回駆動周期の開弁開始時期が第1バルブタイミング角
と異なる第2バルブタイミング角、好ましくは第1バル
ブタイミング角と反対位相の(360゜vvt位相のずれた)
バルブタイミング角にくるように、前記遅延時間を設定
する。上記第2バルブタイミング角は120゜vvt、180゜v
vt等適宜変更可能である。ここで、バルブタイミング角
の単位゜vvtは、クランク角の単位゜CAに相当する。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、運転状態検出手段Aは、パージ制御弁41の今回駆
動周期における燃料噴射の回数から今回駆動周期の機関
の吸気回数を算出し、該吸気回数と吸気ベスト回数との
差を算出する吸気回数算出手段を備え、遅延時間設定手
段Bは、前記吸気回数算出手段により算出された吸気回
数と吸気ベスト回数とから、今回駆動周期の開弁開始時
期にパージされたパージガスを吸引する今回吸気気筒と
次回駆動周期の開弁開始時期にパージされるパージガス
を吸引する次回吸気気筒とが異なるように前記遅延時間
を設定する。ここで、上記吸気ベスト回数とは、今回駆
動周期における開弁によりパージされたパージガスを吸
引する今回吸気気筒に対して反対位相(クランク角に換
算して360゜CAずれた位相)にある次回吸気気筒へ次回
駆動周期における開弁によりパージされたパージガスが
吸引されるように吸気回数をいう。また、上記反対位相
に代えて120゜CA、180゜CA等に位相をずらすよう適宜変
更してもよい。
また、本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装
置において、運転状態検出手段Aは、パージ制御弁41の
今回駆動周期における点火の回数から今回駆動周期の機
関の吸気回数を算出し、該吸気回数と吸気ベスト回数と
の差を算出する吸気回数算出手段を備え、遅延時間設定
手段Bは、前記吸気回数算出手段により算出された吸気
回数と吸気ベスト回数とから、今回駆動周期の開弁開始
時期にパージされたパージガスを吸引する今回吸気気筒
と次回駆動周期の開弁開始時期にパージされるパージガ
スを吸引する次回吸気気筒とが異なるように前記遅延時
間を設定する。
また、本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装
置において、前記状態検出手段Aは、機関の吸気管内に
おける圧力の脈動から今回駆動周期の機関の吸気回数の
算出し、該吸気回数と吸気ベスト回数との差を算出する
吸気回数算出手段を備え、遅延時間設定手段Bは、前記
吸気回数算出手段により算出された吸気回数と吸気ベス
ト回数とから、今回駆動周期の開弁開始時期にパージさ
れたパージガスを吸引する今回吸気気筒と次回駆動周期
の開弁開始時期にパージされるパージガスを吸引する次
回吸気気筒とが異なるように前記遅延時間を設定する。
本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置にお
いて、内燃機関へパージガスを供給することにより機関
が空燃比変動を生じない条件下で、遅延時間設定手段B
による遅延時間の設定を中断する遅延制御中断手段Eを
備える。
上記遅延制御手段手段Eは、例えばデューティ比80%
以上のパージガスの間欠流の度合いの小さい実質的連続
流のようにパージによる空燃比の変動が発生しない条件
では、遅延時間設定手段Bによる遅延時間の設定を中断
することにより、CPUによる不必要な処置の実行を回避
しCPUの負荷を軽減する。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の基本構成図であり、 図2は、本発明の一実施例に係る多気筒内燃機関の蒸
発燃料処理装置の全体構成図であり、 図3は、本発明の一実施例に係る機関の制御処理の基
本的手順を説明するための概略フローチャートであり、 図4は、本発明の一実施例に係る空燃比フィードバッ
ク制御の処理手順を示す概略フローチャートであり、 図5は、本発明の一実施例に係る空燃比学習制御の処
理手順を示す概略フローチャートであり、 図6は、本発明の一実施例に係るペーパ濃度学習制御
の処理手順を示す概略フローチャートであり、 図7は、本発明の一実施例に係る燃料噴射時間算出制
御の処理手順を示す概略フローチャートであり、 図8Aおよび8Bは、本発明の一実施例に係るパージ率算
出制御の処理手順を示す概略フローチャートであり、 図9は、本発明の一実施例に係る遅延時間設定の処理
手順を示す概略フローチャートであり、 図10は、本発明の一実施例に係るD−VSV制御の処理
手順を示すフローチャートであり、 図11は、吸気管圧力と全開パージガス量との関係を示
す特性図であり、 図12は、パージ実行時間と最大目標パージ率との関係
を示す特性図であり、 図13は、D−VSVの駆動タイミングの説明図であり、
上段(a)は本発明の実施例によるD−VSVを駆動タイ
ミングを示す図であり、中段(b)は吸気行程中の気筒
の番号を示す図であり、下段(c)は従来技術によるD
−VSVの駆動タイミングを示す図であり、 図14は、従来技術と本発明のパージ制御による空燃比
変動の差異を示す図であり、 図15は、本発明の第1実施例に係る図9のステップ63
0の詳細処理手順を示すフローチャートであり、 図16は、本発明の第2実施例に係る図9のステップ63
0の詳細処理手順を示すフローチャートであり、 図17は、本発明の第3実施例に係る遅延時間設定の処
理手順を示す概略フローチャートであり、 図18は、図17のステップ651の詳細処理手順を示すフ
ローチャートであり、 図19は、図17のステップ656の詳細処理手順を示すフ
ローチャートであり、 図20は、2つのデューティ周期のデューティ比と流量
の関係を示す図であり、 図21は、本発明の第4実施例に係る図9のステップ63
0の詳細処理手順を示すフローチャートであり、 図22は、デューティ周期の中心時期に基づく遅延処理
の説明図であり、(a)はデューティ周期の2周期毎に
開弁開始時期が遅延されることを示す図であり、(b)
は図21のステップ634〜636の説明図であり、 図23は、本発明の第5実施例に係る遅延時間設定の詳
細処理手順を示すフローチャートであり、 図24は、本発明の第6実施例に係る遅延時間設定の詳
細処理手順を示すフローチャートであり、 図25は、図24のステップ710に係る詳細処理手順を示
すフローチャートであり、 図26は、本発明の第7実施例に係る遅延時間設定の詳
細処理手順を示すフローチャートであり、 図27は、本発明の第8実施例に係る遅延時間設定の詳
細処理手順を示すフローチャートであり、 図28は、本発明の第9実施例に係る遅延時間設定の処
理手順を示すフローチャートであり、 図29は、本発明の第9実施例による遅延処理の説明図
であり、 図30は、本発明の遅延処理による第1デューティ周期
を用いたときの空燃比変動を示す図であり、 図31は、本発明の遅延処理による第2デューティ周期
を用いたときの空燃比変動を示す図であり、 図32は、本発明の第10実施例の運転状態検出処理によ
る遅延時間設定ルーチンのフローチャートであり、 図33は、図32のフローチャートにおけるステップ803
の処理を示す図であり、 図34は、本発明の第10実施例の補足説明図であり、 図35は、本発明の第11実施例の運転状態検出処理によ
る遅延時間設定ルーチンのフローチャートであり、 図36は、図35のフローチャートにおけるステップ903
の処理を示す図であり、 図37は、本発明の第12実施例の運転状態検出処理によ
る遅延時間設定ルーチンのフローチャートであり、 図38は、図37のフローチャートにおける燃料噴射間隔
時間の計算処理を示すフローチャートであり、 図39は、燃料噴射タイミングとオンディレイ時間との
関係の説明図であり、 図40は、本発明の第13実施例の運転状態検出処理によ
る遅延時間設定ルーチンのフローチャートであり、 図41は、点火間隔時間の測定例を示す図であり、 図42は、本発明の運転状態検出手段として吸気管内圧
力を検出する第14実施例を示す図であり、 図43は、本発明の第15実施例による遅延時間補正処理
のフローチャートであり、そして 図44は、吸気管内圧力変化の測定例を示す図である。
発明を実施するための最良の形態 以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施例を詳細に
説明する。
図2は、本発明の一実施例に係る多気筒(例えば、4
気筒)内燃機関の蒸発燃料処理装置の全体構成図であ
る。機関1の燃焼に必要な空気は、エアクリーナ2で濾
過され、スロットルボデー5を通ってサージタンク11で
各気筒の吸気管13に分配される。なお、その吸入空気量
は、スロットルボデー5に設けられたスロットル弁7に
より調節されるとともに、エアフローメータ4により計
測される。そのスロットル弁7の開度は、スロットル開
度センサ9により検出される。また、吸入空気温度は、
吸気温センサ3により検出される。さらに、吸気管圧力
は、バキュームセンサ12によって検出される。
一方、燃料タンク15に貯蔵された燃料は、燃料ポンプ
17により汲み上げられ、燃料配管19を経て燃料噴射弁21
により吸気管13に噴射される。吸気管13内ではそのよう
な空気と燃料とが混合され、その混合気は、吸気弁23を
介して機関本体すなわち気筒(シリンダ)1に吸入され
る。気筒1において、混合気は、ピストンにより圧縮さ
れた後、イグナイタ及びスパークプラグにより点火され
て爆発・燃焼し、動力を発生する。
なお、点火ィストリビュータ43には、クランク軸が例
えばクランク角(CA)に換算して720゜CAごとに基準位
置検出用パルスを発生する基準位置検出センサ45、及び
30゜CAごとに位置検出用パルスを発生するクランク角セ
ンサ47が設けられている。また、機関1は、冷却水通路
49に導かれた冷却水により冷却され、その冷却水温度
は、水温センサ51によって検出される。
燃焼した混合気は、排気ガスとして排気弁25を介して
排気マニホルド27に放出され、次いで排気管29に導かれ
る。なお、排気管29には、排気ガス中の酸素濃度を検出
する空燃比センサ31が設けられている。さらにそれより
下流の排気系には、触媒コンバータ33が設けられてお
り、その触媒コンバータ33には、排気ガス中の未燃成分
HC及び一酸化炭素COの酸素と窒素酸化物Noxの還元とを
同時に促進する三元触媒が収容されている。こうして触
媒コンバータ33において浄化された排気ガスが大気中に
排出される。
また、この内燃機関は、活性炭(吸着剤)36を内蔵し
たキャニスタ37を具備する。このキャニスタ37は、活性
炭36の両側にそれぞれ燃料蒸気室38aと大気室38bとを有
する。燃料蒸気室38aは、一方ではべーパ捕集管35を介
して燃料タンク15に連結され、他方ではパージ通路39を
介してスロットル弁7より下流側の吸気通路すなわちサ
ージタンク11に連結される。そのパージ通路39には、パ
ージガス量を制御するため、所定の駆動周期でデューテ
ィ制御されるD−VSVと称するパージ制御弁41が設置さ
れている。このような構成において、燃料タンク15で発
生する燃料蒸気すなわちベーパは、ベーパ捕集管35を通
ってキャニスタ37に導かれ、キャニスタ37内の活性炭
(吸着剤)36に吸着されることにより一時的に貯蔵され
る。パージ制御弁41が開弁すると、吸気管圧力は負圧の
ため、空気が大気室38bから活性炭36内を通ってパージ
通路39に送り込まれる。空気が活性炭36内を通過する際
には、活性炭36に吸着されている燃料蒸気が活性炭36か
ら離脱される。かくして、燃料蒸気を含んだ空気すなわ
ちベーパが、パージ通路39を介してサージタンク11に導
かれ、燃料噴射弁21から噴射された燃料とともに気筒1
内で燃料として使用されることとなる。なお、パージ通
路39に導かれるベーパには、上述のように活性炭36に一
旦貯蔵された後にパージ通路39に導かれるものの他に、
燃料タンク15から直接パージ通路39に導かれるものも存
在する。
機関1の電子制御ユニット(以下ECUと記す)60は、
後に詳細に説明する燃料噴射制御、並びに、機関回転数
及び各センサからの信号により、機関の状態を総合的に
判定し、最適な点火時期を決定して、イグナイタに点火
信号を送るための点火時期制御などを実行するマイクロ
コンピュータシステムである。ROM62に格納されたプロ
グラムに従って、CPU61は、各種センサからの入力信号
をA/D変換回路64又は入力インタフェース回路65を介し
て入力し、その入力信号に基づいて演算処理を実行し、
その演算結果に基づいて出力インタフェース回路66を介
して各種アクチュエータに制御信号を出力する。RAM63
は、その演算・制御処理過程における一時的なデータ記
憶場所として使用される。また、これらのECU60内の各
構成要素は、システムバス(アドレスバス、データバス
及びコントロールバスからなる。)69によって接続され
ている。次にECU60の制御について説明する。
図3は本発明の一実施例に係る機関の制御処理の基本
的手順を説明するための概略フローチャートである。EC
U60は、ベースルーチンに従ってループ動作するが、そ
のようなベースルーチンの処理中に、入力信号の変化、
機関回転、又は時間に同期した処理を割り込み処理とし
て実行する。すなわち、図3に示すように、ECU60は、
パワーオンされると、まず、所定のイニシャライズ処理
(ステップ102)を実行した後、センサ信号及びスイッ
チ信号の入力(ステップ104)、機関回転数の計算(ス
テップ106)、アイドル回転数の計算(ステップ108)、
並びに自己故障診断(ステップ110)を常時繰り返して
実行する。また、A/D変換回路(ADC)又は一部のセンサ
若しくはスイッチからの出力信号の取り込みは、割り込
み処理として実行される(ステップ122)。また、各気
筒への燃料噴射時期の計算および点火時期の計算結果
は、回転に同期したタイミングで対応するアクチュエー
タへ出力する必要があるためクランク角センサ47からの
信号による割り込み処理として実行される。その他一定
周期ごとに実行されるべき処理は、タイマー割り込みル
ーチンとして実行される。
燃料噴射制御は、基本的には、エアフローメータ4に
より計測される吸入空気量とクランク角センサ47から得
られる機関回転速度とに基づいて、燃料噴射量すなわち
燃料噴射弁21の噴射時間を演算し、所定のクランク角に
達した時点で燃料を噴射するものである。そして、かか
る演算の際、スロットル開度センサ9、水温センサ51、
吸気温センサ3等の各センサからの信号に基づく基本的
な補正、空燃比センサ31からの信号に基づく空燃比フィ
ードバック補正、そのフィードバック補正値の中央値が
理論空燃比となるようにする空燃比学習補正、及びキャ
ニスタパージに基づく補正を加える。本発明は、特にキ
ャニスタパージとそれに基づく燃料噴射量補正に関連す
るものである。以下、本発明に係る蒸発燃料処理制御に
関連する燃料噴射量計算ルーチン及びパージ制御ルーチ
ン(タイマー割り込みにより実行される。)について詳
細に説明する。
図4〜図7は、本発明の一実施例に係る燃料噴射量計
算の処理手順を示す概略フローチャートである。この燃
料噴射量計算ルーチンは、所定の時間周期(例えば1m
s)ごとに発生するタイマー割り込みにより起動される
ルーチンであり、空燃比(A/F)フィードバック(F/B)
制御(図4)、空燃比(A/F)学習制御(図5)、ベー
パ濃度学習制御(図6)、及び燃料噴射時間(TAU)算
出制御(図7)から構成される。以下、空燃比F/B制御
から順次説明する。
空燃比F/B制御ではまず空燃比F/B条件が成立するか否
か、すなわち、 (1) 機関始動時でない、 (2) 燃料カット(F/C)中でない、 (3) 冷却水温度≧40℃ (4) A/Fセンサ(空燃比センサ)活性化完了、 の全てが成立か否かを判定する(ステップ202)。その
判定結果がYESのときには、空燃比(A/F)がリッチか否
か、すなわち空燃比センサ31の出力電圧が基準電圧(例
えば0.45V)以上か否かを判定する(ステップ208)。
ステップ208の半定結果がYESすなわちA/Fがリッチの
ときには、前回もリッチであったか否かを、空燃比リッ
チフラグXOXが1であるか否かに基づいて判定する(ス
テップ210)。その判定結果がNOのとき、すなわち前回
はリーンであり、今回リッチに反転したときには、スキ
ップフラグXSKIPを1にセットし(ステップ212)、前回
のスキップにおける直前の空燃比フィードバック補正係
数FAFと今回のスキップにおける直前のFAFとの平均FAFA
Vを算出し(ステップ214)、所定のスキップ量RSLだけ
空燃比フィードバック補正係数FAFを減量する(ステッ
プ216)。また、ステップ210の判定結果がYESのとき、
すなわち前回もリッチであったときには、所定の積分量
KIL(<<RSL)だけ空燃比フィードバック補正係数FAF
を減量する(ステップ218)。ステップ216又は218の実
行後は、空燃比リッチフラグXOXを1にセットして(ス
テップ220)、F/B制御を終え、次のA/F学習制御(ステ
ップ302)へ進む。
ステップ208の判定結果がNOすなわちA/Fがリーンのと
きには、前回もリーンであったか否かを、空燃比リッチ
フラグXOXが0であるか否かに基づいて判定する(ステ
ップ222)。その判定結果がNOのとき、すなわち前回は
リッチであり、今回リーンに反転したときには、ステッ
プフラグXSKIPを1にセットし(ステップ224)、前回の
スキップにおける直前の空燃比フィードバック補正係数
FAFと今回のスキップにおける直前のFAFとの平均FAFAV
を算出し(ステップ226)、所定のスキップ量RSRだけ空
燃比フィードバック補正係数FAFを増量する(ステップ2
28)。また、ステップ222の判定結果がYESのとき、すな
わち前回もリーンであったときには、所定の積分量KIR
(<<RSR)だけ空燃比フィードバック補正係数FAFを増
量する(ステップ230)。ステップ228又は230の実行後
は、空燃比リッチフラグXOXを0にリセットして(ステ
ップ232)、F/B制御を終え、次のA/F学習制御(ステッ
プ302)へ進む。
なお、ステップ202の判定結果がNOのとき、すなわちF
/B条件が成立しなかったときには、FAFAV及びFAFをそれ
ぞれ基準値1.0に設定して(ステップ204,206)、F/B制
御を終え、次のA/F学習制御(ステップ302)へ進む。
次に、A/F学習制御(図5)について説明する。ま
ず、吸気管圧力で分けられたA/F学習領域1〜7の内の
いずれの学習領域j(j=1〜7)に現在あるかを、現
在の吸気管圧力に基づいて算出し、それをtj(j=1〜
7)とする(ステップ302)。なお、吸気管圧力は、バ
キュームセンサ12によって検出される。次いで、求めら
れた今回の学習領域tjが前回の学習領域jと一致するか
を判定する(ステップ304)。一致せず、学習領域が変
わったときには、今回の学習領域tjをjに代入し(ステ
ップ306)、スキップ数CSKIPをクリアして(ステップ31
0)、A/F学習制御を終え、ベーパ濃度学習制御(ステッ
プ402)へ進む。
ステップ304の判定結果がYESすなわち今回の学習領域
が前回の学習領域と一致するときは、A/F学習条件が成
立するか否か、すなわち、 (1) 空燃比F/B中である、 (2) 始動後増量及び暖機増量の各増量がない、 (3) 冷却水温度≧80℃ 等の各条件が全て成立するか否かを判定する(ステップ
308)。成立しないときには、スキップ数CSKIPをクリア
して(ステップ310)、A/F学習制御を終え、ベーパ濃度
学習制御(ステップ402)へ進む。
ステップ308の判定結果がYESすなわちA/F学習条件が
成立するときには、スキップフラグXSKIPが1であるか
否か、すなわちスキップ直後であるか否かを判定する
(ステップ312)。その判定結果がNOのとき、すなわち
スキップ直後でないときには、A/F学習制御を終え、ベ
ーパ濃度学習制御(ステップ402)へ進む。その判定結
果がYESのとき、すなわちスキップ直後であるときは、
スキップフラグXSKIPを0クリアし(ステップ314)、ス
キップ数CSKIPをインクリメントする(ステップ316)。
次いで、そのスキップ数CSKIPが所定値KCSKIP(例え
ば、3)以上であるか否かを判定する(ステップ31
8)。その判定結果がNOのときには、A/F学習制御を終
え、ベーパ濃度学習制御(ステップ402)へ進む。
また、ステップ318の判定結果がYESのときには、後に
説明するパージ制御ルーチンで算出されたパージ率PGR
が0であるか否かを判定する(ステップ320)。その判
定結果がNOのとき、すなわちパージ実行中であれば、A/
F学習制御を終え、ベーパ濃度学習制御(ステップ410)
へ進む。他方、PGRが0のとき、すなわちパージ実行中
でなければ、F/B制御のステップ204、214又は226にて設
定されたFAFAVが所定値(例えば2%)以上ずれている
か否かに基づいて、当該学習領域jの学習値KGj(j=
1〜7)を変更する。すなわち、FAFAVが1.02以上であ
れば(ステップ322でYES)、学習値KGjを所定値xだけ
アップし(ステップ324)、FAFAVが0.98以下であれば
(ステップ326でYES)、学習値KGjを所定値xだけダウ
ンする(ステップ328)。また、それ以外のときは、当
該学習領域jのA/F学習完了フラグXKGjを1とする(ス
テップ330)。こうしてA/F学習制御を終えた後は、ベー
パ濃度学習制御(ステップ402)へ進む。上記パージ率P
GRは、吸入空気量に対するパージガス量の比で表され
る。
次に、ベーパ濃度学習濃度(図6)について説明す
る。まず、ステップ402では、機関が始動中か否かを判
定する。すなわち機関のイグニッションキーをオンにし
た後機関の回転数がクランキング回転数であるか否かを
判別する。始動中でなければ、ベーパ濃度学習制御を終
え、TAU算出制御(ステップ452)へ進む。始動中であれ
ば、ベーパ濃度FGPGを基準値1.0に設定し、またベーパ
濃度更新回数CFGPGを0クリアする(ステップ404)。次
いで、その他の初期化処理を実行して、例えば前回のデ
ューティ比DPGOと前回のパージ率PGROを0にして(ステ
ップ406)、ベーパ濃度学習濃度を終える。
また、A/F学習制御のステップ320の判定結果がNOのと
き、すなわちA/F学習条件が成立しかつパージ中のとき
に実行されるステップ410では、パージ率PGRが所定値
(例えば0.5%)以上であるか否かを判定する。その判
定結果がYESのときには、FAFAVが基準値1.0に対して所
定値(±2%)以内にあるか否かを判定する(ステップ
412)。そのような範囲内にあるときには、パージ率当
たりのベーパ濃度更新値tFGを0に設定し(ステップ41
4)、その範囲内になければ、次式、 tFG←(1−FAFAV)/(PGR*a) ここで a=所定値(例えば、2) に基づいて、パージ率当たりのベーパ濃度更新値tFGを
求める(ステップ416)。次いで、ベーパ濃度更新回数C
FGPGをインクリメントし(ステップ418)、ステップ428
に進む。
ステップ410の判定結果がNOのとき、すなわちパージ
率PGRが0.5%より小さいときには、ベーパ濃度更新精度
が悪いと判断されるため、空燃比フィードバック補正係
数FAFのずれが大きいか(例えば、基準値1.0に対して±
10%以上のずれがあるか)否かを判定する。すなわち、
FAFが1.1より大きいときには(ステップ420でYES)、ベ
ーパ濃度更新値tFGを所定値Yだけ減少させ(ステップ4
22)、FAFが0.9より小さいときには(ステップ420でNO
でかつステップ424でYES)、ベーパ濃度更新値tFGを所
定値Yだけ増大させる(ステップ426)。最後に、ステ
ップ428において、以上の処理で求められたベーパ濃度
更新値tFGだけベーパ濃度FGPGを修正して、ベーパ濃度
学習制御を終え、TAU算出制御(ステップ452)へ進む。
次に、TAU(燃料噴射時間)算出制御(図7)につい
て説明する。まず、ROM62にマップとして格納されてい
るデータを参照し、機関回転数と機関負荷(機関1回転
当たりの吸入空気量)とに基づいて基本燃料噴射時間TP
を求めるとともに、スロットル開度センサ9、水温セン
サ51、吸気温センサ3等の各センサからの信号に基づく
基本補正係数FWを算出する(ステップ452)。なお、機
関負荷は、吸気管圧力と機関回転数とによって推定して
もよい。次いで、現在の吸気管圧力に対応するA/F学習
補正量KGXを、隣接する学習領域のA/F学習値KGjから補
間により算出する(ステップ454)。
次いで、ベーパ濃度FGPG及びパージ率PGRより、パー
ジA/F補正量FPGを、次式、 FPG←(FGPG−1)*PGR に基づいて算出する(ステップ456)。最後に、燃料噴
射時間TAUを、 TAU←TP*FWK(FAF+KGX+FPG) に基づいて算出する(ステップ458)。以上で、燃料噴
射量計算ルーチンが終了する。なお各気筒1に対応する
各燃料噴射弁21は、このように算出された燃料噴射時間
TAUだけ別途のルーチンで算出される燃料噴射時期の計
算結果に基づき所定のクランク角度から開弁するように
制御される。
図8A、図8B、図9及び図10は、本発明の一実施例に係
るパージ制御の処理手順を示す概略フローチャートであ
る。このパージ制御ルーチンは、所定の時間周期(例え
ば1ms)ごとに発生するタイマー割り込みにより起動さ
れるルーチンまで、パージガス量を制御するパージ制御
弁41(以下、D−VSVと記す)の開度を制御するための
パルス信号のデューティ比(パルス信号のON時間の割
合)を決定し、そのパルス信号によってD−VSVを駆動
制御する。本ルーチンは、パージ率(PGR)算出制御
(図8Aおよび図8B)、本発明の遅延時間設定手段Bを遂
行する遅延時間設定制御(図9)、及び本発明のパージ
制御弁制御手段Cを遂行するD−VSV駆動制御(図10)
から構成され、1msecの処理周期で実行される。以下、
パージ率算出制御から説明する。
パージ率算出制御(図8Aおよび図8B)では、まず、今
回の本ルーチンの走行がD−VSVの制御用パルス信号を
立ち上げる(ONする)ことができる時期に当たるか、す
なわち所定の駆動周期(以下、デューティ周期と記す)
に当たるかを、例えばD−VSVの駆動周波数が10Hzのと
きは100msに当たるかにより判定する(ステップ502)。
デューティ周期であれば、パージ条件1が成立するか、
すなわち燃料カット中でないという条件を除いてA/F学
習条件が成立するかを判定する(ステップ504)。パー
ジ条件1が成立する場合には、さらにパージ条件2が成
立するか、すなわち燃料カット中でなくかつ当該学習領
域jのA/F学習完了フラグXKGj=1となっているかを判
定する(ステップ506)。
パージ条件2も成立する場合には、まず、パージ実行
タイマーCPGRをインクリメントする(ステップ512)。
次いで、現在の吸気管圧力をキーとして図11に示すマッ
プ(ROM62に格納されている。)を参照することによ
り、D−VSV全開時におけるパージガス量PGQを求め、そ
のパージガス量PGQと吸入空気量QAとの比をとって、D
−VSV全開時のパージ率PG100を算出する(ステップ51
4)。次に、空燃比フィードバック補正係数FAFが所定の
範囲(定数KFAF85より大きく定数KFAF15より小さい範
囲)にあるか否かを判定する(ステップ516)。
空燃比フィードバック補正係数FAFが±15%未満で、
ステップ516の判定結果がYESの場合には、目標パージ率
tPGRを所定量KPGRuだけアップするとともに、求められ
たtPGRが、パージ実行時間CPGRに基づいて決定される最
大目標パージ率P%(図12に示すマップより求められ
る。)以下となるように制限する(ステップ518)。空
燃比フィードバック補正係数FAFが±15%以上で、ステ
ップ516の判定結果がNOの場合には、目標パージ率tPGR
を所定量KPGRdだけ下げるとともに、ステップ518と同様
に、求められたtPGRが、最小目標パージ率S%、例えば
S=0%(あるいは0.5%)以上となるように制限する
(ステップ520)。このようにして、パージに伴うA/F荒
れを防止する。
次いで、こうして求められた目標パージ率tPGRとVSV
全開時のパージ率PG100とに基づいて、デューティ比DPG
を次の式により算出する(ステップ522)。
DPG←(tPGR/PG100)*100≦100 なお、DPGは最大流量の100%以下に制限される。
次に、実際のパージ率PGRを次式より算出する(ステ
ップ526)。
PGR←PG100*(DPG/100) 最後に、以上の処理で求められたデューティ比DPG及
びパージ率PGRに基づいて、前回のデューティ比及びパ
ージ率を記憶するためのDPGO及びPGROを更新し(ステッ
プ528)、図9の遅延時間設定制御のステップ610へ進
む。
一方、ステップ502でデューティ周期でないと判定さ
れた場合も、図9の遅延時間設定設定制御のステップ61
0へ進む。また、デューティ周期ではあるがステップ504
でパージ条件1が設立しなかった場合には、関係するRA
Mのデータ、例えば前回のデューティ比DPGOと前回のパ
ージ率PGROを0にして初期化する(ステップ508)。さ
らに、ステップ508実行後、又はステップ506でパージ条
件2が成立しなかった場合には、デューティ比DPG及び
パージ率PGRを0クリアして(ステップ510)、図9の遅
延時間設定制御のステップ610へ進む。次に、本発明の
遅延時間設定手段Bを遂行する遅延時間設定制御(図
9)の処理手順について説明する。
図9は本発明の一実施例に係る遅延時間設定の処理手
順を示す概略フローチャートである。まず、ステップ61
0では、今回周期のカウンタectevp2をインクリメントす
る。すなわち、ectevp2を1つカウントアップする。次
いでステップ620ではD−VSVを駆動するタイミングか否
かを判別し、その判別結果がYESのときはステップ630へ
進み、NOのときはステップ780へ進む。ステップ630では
D−VSVの開弁をデューティ周期の開始から遅延させる
遅延時間(オンディレイ時間)dpgdlyを算出する。ステ
ップ740では、遅延時間dpgdlyが0が否かを判別し、dpg
dly=0のときはステップ750へ進み、D−VSVを開弁す
る時期を設定するD−VSVの駆動処理を実行し、ステッ
プ740でdpgdly≠0のときはステップ770へ進み、ディレ
イ制御中すなわち遅延時間設定処理中を示すフラグexdp
gdlyを1(on)にセットし本ルーチンを終了する。
次いでステップ760ではディレイ制御中フラグexdpgdl
yを0(off)にリセットし、次いでステップ761ではD
−VSVのオン時の機関回転数NE、クランク角度CCRNKおよ
びデューティ比に相当するD−VSVの1デューティ周期
当たりの開弁時間(以下、デューティ開弁時間と記す)
(t_dpg)を読み取り、本ルーチンを終了する。一方、
ステップ620でD−VSVのオンのタイミングでないと判別
されたときは、ステップ780でディレイ制御中フラグexd
pgdlyが1(on)か0(off)か、すなわちディレイ制御
中か否かを判別し、その判別結果がYESのときはステッ
プ790へ進み、NOのときは図10のステップ755へ進む。ス
テップ790では今回周期カウンタectevp2がディレイ時間
dpgdlyに達したか否かを判別し、その判別結果がYESの
ときはステップ750へ進み、D−VSVを開弁する時期を設
定するD−VSVの駆動処理を実行する。ステップ790の判
別結果がNOのときは図10のステップ755へ進む。次に、
図9のステップ750の処理により実行されるD−VSVをオ
ンオフする処理を説明する。
図10は図9のステップ750の詳細処理手順を示し、本
発明の一実施例に係るD−VSV制御の処理手順を示すフ
ローチャートである。まず、図9のパージ率制御のステ
ップ740で遅延時間dpgd1y=0のとき、またはステップ7
90で今回周期のカウンタectevp2が遅延時間dpgdlyに達
したとき、ステップ751では図8Bのステップ522で算出さ
れたデューティ比DPGが0か否かを判別し、その判別結
果がYESすなわちパージ制御中でないときはステップ754
へ進み、NOのときすなわちパージ制御中のときはステッ
プ752へ進み、D−VSVへの通電をオンにする(ステップ
752)。次いで、ステップ753において、D−VSV通電終
了時刻TDPGを次式により求め、図9のステップ760へ進
む。
TDPG←DPG+TIMER ここで、TIMERは、パージ制御ルーチンの実行周期ご
とにインクリメントされるカウンタの値である。
一方、図9のパージ率制御のステップ620の判別結果
がNOのとき、すなわちデューティ周期の切り換わり時で
ないと判定され、かつステップ780でNOと判別される
か、またはステップ780でYESと判別された後ステップ79
0でNOと判別された場合に実行される図10のステップ755
ではD−VSVを閉弁する処理を実行する。すなわち、現
在のTIMERの値がD−VSV通電終了時刻TDPGに一致するか
否かを判定し、一致しない場合は図9のステップ760へ
進み、一致する場合にはステップ754へ進む。またステ
ップ751の判別結果がYESのときは、ステップ754へ進
む。ステップ754ではD−VSVへの通電をオフにして図9
のステップ760へ進む。以上で、パージ制御ルーチンの
処理は完了する。ここで上述した本発明の実施例による
パージ制御と従来技術によるパージ制御との相違点につ
いて図13と図14を参照しつつ以下に説明する。
図13は機関の所定条件下におけるD−VSVの駆動タイ
ミングの説明図であり、上段(a)は本発明の実施例に
よるD−VSVの駆動タイミングを示す図であり、中段
(b)は吸気行程中の気筒の番号を示す図であり、下段
(c)は従来技術によるD−VSVの駆動タイミングを示
す図である。図13の下段(c)に示されるように気筒#
1の吸気行程とD−VSVの駆動タイミングとが同期して
いることが判る。この場合、パージガスが主として気筒
#1に吸引され、気筒#1の空燃比はリッチとなり、気
筒#4の空燃比はリーンとなり、パージガスが各気筒へ
均等に分配されない。一方、本発明の実施例によれば図
13の上段(a)に示されるようにD−VSVのデューティ
周期の2周期毎に遅延時間dpgdlyを設けてD−VSVの駆
動開始タイミング(D−VSVのonタイミング)をデュー
ティ周期の開始(周期のゼロ点)から遅らせているの
で、パージガスが気筒#1のみならず気筒#4にも吸引
される。すなわち、パージガスが各気筒へ均等に分配さ
れ、空燃比変動が抑制される。次に空燃比変動について
説明する。
図14は従来技術と本発明のパージ制御による空燃比変
動の差異を示す図である。縦軸は空燃比(A/F)を示
す。横軸において、吸気気筒1と示すのは従来技術のパ
ージ制御により、気筒1の吸気タイミングとD−VSVの
開弁タイミングとが一致した場合を示し、順に吸気気筒
3、4、2と示すのは同様に気筒3、4、2の吸気タイ
ミングとD−VSVの開弁タイミングとがそれぞれ同期し
た場合を示し、そして吸気気筒1〜4と示すのは本発明
のパージ制御により各気筒1〜4の吸気タイミングとD
−VSVの開弁タイミングとが同期しない場合を示す。図1
4から判るように、特に従来技術の吸気気筒1と示す例
では、#4の気筒がリーンとなり、#1の気筒がリッチ
となることが判る。従来技術の吸気気筒2と示す例で
も、#4の気筒がリーンとなり、#1の気筒がリッチと
なることが判る。従来技術の吸気気筒3と示す例では#
1および#4の気筒ともに空燃比は略理論空燃比14.6近
傍であり良好であるが、従来技術の吸気気筒4と示す例
では#1の気筒の空燃比は略理論空燃比14.6近傍であり
良好であるが、#4の気筒が空燃比はリッチとなること
が判る。これに対して、本発明の吸気気筒1〜4と示す
例では#1の気筒の空燃比は略理論空燃比14.6近傍であ
り良好であり、#4の気筒の空燃比も従来技術の例と比
して空燃比の変動量は小さく、リッチまたはリーンとな
らないことが判る。次に、図9で説明した遅延時間設定
処理について詳細に説明する。
図15は図9のステップ630の詳細処理手順を示すフロ
ーチャートである。本発明の第1実施例のフローチャー
トは図9のフローチャートにおいてステップ630の処理
を図15に示すフローチャート630−1に置き換えたもの
である。この第1実施例による遅延時間設定処理は、運
転状態検出手段(機関回転数検出手段)Aによりクラン
ク角センサ47の出力信号から算出される機関回転数に応
じてデューティ周期の2周期毎に遅延時間を設定する。
先ず、ステップ631では今回処理周期のデューティ開弁
時間(t_dpg)が所定値kdpgh(例えば、デューティ比80
%に相当する開弁時間)より小さいか否かを判別し、そ
の判別結果がYESのときはステップ632へ進み、今回の処
理周期の遅延時間dpgdly=0か否かを判別しdpgdly=0
のときはステップ633へ進み、dpgdly≠0のときはステ
ップ639へ進み遅延時間dpgdlyを0とする。ステップ631
の判別結果がNOのときはステップ639へ進み次回の処理
周期の遅延時間dpgdlyを0とする。
ステップ633では予めROMに格納した機関回転数NEに対
する次回の処理周期の遅延時間dpgdlyのマップから本発
明の回転数検出手段により算出された今回処理周期のNE
に対する遅延時間dpgdlyを算出する。このマップではD
−VSVの基本となる基本デューティ周期T(=100msec)
と特定気筒の吸気行程とが同期する機関回線数領域N1と
N2において、機関回転数領域N1では遅延時間dpgdlyを基
本デューティ周期Tの1/2(=50msec)、機関回転数領
域N2では遅延時間dpgdlyを基本デューティ周期Tの1/4
(=25msec)に設定する。このように、N1では基本デュ
ーティ周期Tの開始から基本デューティ周期Tの1/2遅
らせた後にD−VSVをオンにし、N2では基本デューティ
周期Tの1/4遅らせた後にD−VSVをオンにする。その結
果、機関回転数領域N1では機関の1燃焼サイクル毎に交
互に#1気筒または#4気筒の吸気行程時にD−VSVが
オンされ、機関回転数領域N2では機関の2燃焼サイクル
毎に交互に#1気筒または#4気筒の吸気行程時にD−
VSVがオンされ、パージガスの気筒分配が均等化され、
空燃比の変動が抑制される。このように本発明は、ステ
ップ631によりデューティ比に応じて、例えばデューテ
ィ比が極めて大きい(80%以上)ときデューティ周期内
に開弁時間が確保できるように遅延時間を設定する。ま
た、デューティ比が極めて大きいときには、パージガス
の間欠流の発生が少ないので、遅延時間を設定しなくて
もD−VSVを周期の開始時点で開弁することができる。
従って、この場合、複雑なデューティ制御をする必要が
なくなる。更に、パージガスの流量も安定する。
次いでステップ637では遅延時間dpgdlyが所定値以下
か否か、すなわち今回の周期Tから今回のデューティ開
弁時間(t_dpg)と安定したパージガスの流量を確保す
るために必要なD−VSVのオフ時間である遅延時間ガー
ド値kpgvとを減算(T−(t_dpg)−kpgv)し、遅延時
間dpgdlyがdpgdly≦T−(t_dpg)−kpgvか否かを判別
し、その判別結果がYESのときはステップ740へ進み、NO
のときはステップ638へ進み、ステップ638で遅延時間dp
gdlyとして(T−(t_dpg)−kpgv)を設定する。この
ように本発明は、ステップ637と638により閉弁時期に基
づいて遅延時間を設定するので、D−VSVを確実に開閉
できるとともに所定量のパージガスを過不足することな
く吸気通路へ供給することができる。また、D−VSVの
開閉が一つの周期内で確実に終わるようにするので次の
周期の開閉制御の遅延時間の計算及び開閉制御に悪影響
を及ぼさない。
図16は図9のステップ630の他の詳細処理手順を示す
フローチャートである。本発明の第2実施例のフローチ
ャートは図9のフローチャートにおいてステップ630の
処理を図16に示すフローチャート630−2に置き換えた
ものである。この第2実施例は、機関回転数NEの領域を
デューティ比に応じた遅延時間dpgdlyを設定する処理手
順を示すものである。まず、ステップ632では今回処理
周期の遅延時間dpgdlyが0か否かを判別し、dpgdly=0
のときはステップ642へ進み、dpgdly≠0のときはステ
ップ647へ進む。ステップ642では予めROMに格納したマ
ップに基づき、機関回転数NEに応じた回転領域0〜4を
決定する。次いでステップ645では予めROMに格納したマ
ップに基づき、上記各回転領域0〜4とデューティ比に
応じて次回の処理周期の遅延時間dpgdlyを算出する。こ
れにより機関回転数のみならずデューティ比も考慮され
る。すなわち、デューティ比が大のときはデューティ比
が小のときと比して遅延時間を設けなくても気筒分配が
均等化されるので、デューティが所定値より大きくなる
に従い遅延時間を徐々に小さく設定している。本発明
は、図16に示すフローチャートを実行することにより、
機関回転数とD−VSVのデューティ周期が略同期する機
関の回転領域1、3でデューティ周期毎にパージガスが
流入する気筒が特定されないようにD−VSVの開弁開始
時期を遅延させている。その結果、パージガスの気筒分
配が均等化され、空燃比の変動が抑制される。
次に、図17〜図20を参照しつつ本発明の第3実施例に
係る周期切換手段Dを備えた遅延時間設定の処理手順に
ついて説明する。
図17は本発明の第3実施例に係る遅延時間設定の処理
手順を示す概略フローチャートである。本発明の第3実
施例のフローチャートは図9のフローチャートにおいて
ステップ620と630の処理を本図に示すフローチャートに
おけるステップ620−1と630−3の処理に置き換えたも
のである。この第3実施例では、ステップ620−1によ
りD−VSVのデューティ周期を2つの周期、例えば100ms
ecと67msecに交互に切換え、ステップ630−3によりそ
れぞれの周期に応じた遅延時間dpgdlyを設定する。なお
図17以降の図において同一ステップ番号の処理内容は同
一の処理内容を示すものとする。従って図17におけるス
テップ610、740、750、760、770、780及び790の処理の
説明は省略する。
先ず、ステップ620−1を説明する。ステップ651では
D−VSVを駆動するタイミングか否かを判別し、その判
別結果がYESのときはステップ656へ進み、NOのときはス
テップ780へ進む。ステップ656ではデューティ周期を設
定し、次いでステップ660では周期に応じた今回のデュ
ーティ開弁時間(t_dpg)を算出する。すなわち、周期
T=100msecのときはデューティ開弁時間(t_dpg)=DP
Gとし、周期T=67msecのときはデューティ開弁時間(t
_dpg)=DPG*67/100とする。従ってデューティ開弁時
間(t_dpg)の単位は、msecとなる。次いでステップ630
−3、すなわちステップ661〜663では、デューティ比に
対応する遅延時間dpgdlyを以下のように算出する。先ず
ステップ661では2つのデューティ周期が何れが選択さ
れているかを示すフラグexevp2がexevp2=1(T=67ms
ec)かexevp2=0(T=1006msec)かを判別し、exevp2
=1のときはステップ662へ進み機関回転数に応じて周
期T=67msecに対応する遅延時間dpgdlyを設定し、exev
p2=0のときはステップ663へ進み機関回転数に応じて
周期T=100msecに対応する遅延時間dpgdlyを設定す
る。この設定は、例えば図16で説明したマップに基づい
て行う。このように本発明による同期切換手段は、図17
に示すフローチャートにおけるステップ620−1と630−
3の処理を実行することにより遂行される。これにより
機関回転数とD−VSVのデューティ周期が略同期する機
関の回転領域でデューティ周期に応じた遅延時間を設定
し、パージガスを吸気通路内に供給するので、気筒が特
定化されないようにD−VSVの開弁開始時期を遅延させ
ることができる。その結果、パージガスの気筒分配が均
等化され、空燃比の変動が抑制される。次に、ステップ
620−1におけるステップ651と657の処理を詳細に説明
する。
図18は図17のステップ651の詳細処理手順を示すフロ
ーチャートである。先ず、ステップ652では2つのデュ
ーティ周期の何れが選択されているかを示すデューティ
周期識別フラグexevp2がexevp2=0(T=100msec)かe
xevp2=1(T=67msec)かを判別し、exevp2=0のと
きはステップ653へ進みデューティ周期T=100msecに設
定し、exevp2=1のときはステップ654へ進みデューテ
ィ周期T=67msecに設定する。次いでステップ655では
今回周期のカウンタectevp2がTに達したか否かを判別
し、その判別結果がYESのときはステップ655aへ進み今
回周期のカウンタectevp2をクリアしステップ656へ進
む。ステップ655の判別結果がNOのときは図9のステッ
プ780へ進む。
図19は図17のステップ656の詳細処理手順を示すフロ
ーチャートである。先ず、ステップ657ではデューティ
比DPGとデューティ比に対してパージガスの流量特性が
悪化するデューティ比下限設定値KDPG(例えば10%)と
を比較し、すなわちDPG≦KDPGか否かを判別し、DPG≦KD
PGのときはステップ658へ進みデューティ周期識別フラ
グexevp2=0(T=100msecを示す)とし、DPG>KDPGの
ときはステップ659へ進みexevp2=1(T=67msecを示
す)とする。なお、前記デューティ比下限設定値KDPGの
代わりに上限設定値K′DPG(例えば80%)を設けて、
パージガス流量特性が悪化する高いデューティ比(80%
以上)付近でも、デューティ比に応じてデューティ識別
フラグを設定してもよい。また、上限値、下限値の両方
に対してデューティ識別フラグを設定してもよい。
図20は2つのデューティ周期のデューティ比と流量の
関係を示す図である。デューティ周期a(100msec)の
方がデューティ周期b(67msec)と比して流量特性が0
%及び100%付近において良好であり直線性が良いこと
が示されている。このように、デューティ周期bで下限
値また上限値を越えるような場合には、強制的に流量特
性の良いデューティ周期aに切り換えることで流量特性
を確保することができる。
図21は本発明の第4実施例に係る図9のステップ630
の詳細処理手順を示すフローチャートである。図21のフ
ローチャート630−4は図15のフローチャート630−1に
おけるステップ633をステップ634〜636に置き換えたも
のであり、D−VSVの開弁時期を遅延させる遅延時間を
設定する際、デューティ比に応じて最適な遅延時間を設
定する処理を示すものである。以下ステップ634〜636の
処理を説明する。先ず、ステップ634で前回周期におけ
るD−VSVの開弁時間(t_dpgo)の中心タイミングdpgxo
=(t_dpgo)/2を算出し、ステップ635で今回周期にお
けるD−VSVの開弁時間の中心タイミングdpgx=dpgxo+
dpgdlyを算出し、ステップ636で今回周期におけるD−V
SVの開弁開始(D−VSVonタイミング)から開弁終了
(D−VSVoffタイミング)までの開弁時間の中心タイミ
ングdpgxから今回周期におけるD−VSVの開弁時間(t_d
pg)の1/2を減算して今回の開弁時期dpgdly=dpgx−(t
_dpg)/2を算出する。このように本発明は、図21のフロ
ーチャート630−4の処理を実行することにより遂行さ
れる。これにより、特に加減速時のデューティ比が急変
する過渡時に、開弁時間の中央を基準として開弁時間を
可変する(例えば、開弁時間を広げる)ことで、パージ
ガスが流入する吸気行程の気筒を分散することができ、
すなわちD−VSVの開弁直後にパージされたパージガス
が気筒へ到達する直前に吸気弁を閉じる気筒に対しても
パージガスを流入させやすくしてパージガスの気筒分散
を促進し、空燃比の変動を抑制する。
図22はデューティ周期の開弁時間の中心タイミングに
基づく遅延処理の説明図でり、(a)はデューティ周期
の2周期毎に開弁開始時期が遅延されることを示す図で
あり、(b)は図21のステップ634〜636の説明図であ
る。図22の(a)から遅延時間は2周期毎に設定され、
かつデューティ周期の中心タイミングに基づいて設定さ
れていることが判る。図22の(b)からデューティ比が
20%から40%に変化したときにデューティ周期の開弁時
間の中心タイミングに基づいて遅延時間が短くなってい
ることが判る。
図23は本発明の第5実施例に係る遅延時間設定の詳細
処理手順を示すフローチャートである。図23に示す本発
明に係る第5実施例のフローチャートは図9のフローチ
ャートにおいてステップ630と790の処理を図23に示すフ
ローチャート630−5と790−1に置き換えたものであ
る。この本発明の第5実施例は、特定気筒の吸気タイミ
ングとD−VSVのデューティ周期とが同期するときを検
出し(均一分配判断手段)、このときにのみ遅延時間を
設定しようとするものである。先ず、フローチャート63
0−5におけるステップ630におけるステップ691では、
遅延時間の最大値(kectevp)を次式から算出する。
kectevp=T−(t_dpg)−(kpgv) ここで、Tはデューティ周期、(t_dpg)はデューテ
ィ比に相当するD−VSVの1デューティ周期当たりの開
弁時間(デューティ開弁時間)、kpgvは遅延時間ガード
値を示す。次いでステップ692では今回のD−VSVの開弁
時期が上記同期した場合の#1気筒または#4気筒の吸
気行程か否かを今回のクランク角度から判断し、その判
断結果がYESのときはステップ770へ進みディレイ制御中
を示すフラグexdpgdlyを1(on)にセットし本ルーチン
を終了する。その判断結果がNOのときはステップ750へ
進み、遅延時間dpgdlyを設けずにD−VSVを開弁する。
一方、フローチャート790−1におけるステップ791では
今回のD−VSVの開弁時期が上記同期した場合の#1気
筒または#4気筒の吸気行程か否かを今回のクランク角
度から判断し、その判断結果がYESのときはステップ795
へ進み、NOのときはステップ750へ進み、D−VSVを開弁
する。ステップ795では、今回周期のカウンタのカウン
ト値ectevp2が遅延時間の最大値kectevpに達したか否か
を判別し、その判別結果がYESのときはステップ750へ進
み、D−VSVを開弁する。その判別結果がNOのときは図1
0のステップ755へ進む。このように本発明は、D−VSV
の次回周期に吸気行程となる気筒が今回周期の開弁時期
に吸気行程である気筒と異なるように遅延時間を設定す
るので、パージガスの気筒分配が均等化され、空燃比の
変動が抑制される。
図24は本発明の第6実施例に係る遅延時間設定の詳細
処理手順を示すフローチャートである。図24に示す本発
明の第6実施例のフローチャートは図9のフローチャー
トにおいて630、761及び790の処理を図24に示すフロー
チャート630−6、761−1及び790−2に置き換えたも
のである。本発明の第6実施例は、特定気筒の吸気タイ
ミングとD−VSVのデューティ周期とが同期するときを
検出し、このとき遅延時間をクランク各360゜CAに設定
して機関の1/2燃焼サイクルシフトさせてD−VSVを開弁
するよう制御するものである。これにより特定気筒の吸
気タイミングとD−VSVのデューティ周期とが同期した
ときに、その特定気筒例えば#4の気筒と360゜CAシフ
トした#1の気筒が吸気行程のときに交互にD−VSVを
開弁するように制御され、パージガスの気筒分配が均等
化される。先ず、フローチャート630−6におけるステ
ップ691では、図23で説明したように遅延時間の最大値
(kectevp)を算出する。次いでステップ710では、後述
するステップ764で記憶した前回のD−VSV開弁開始時の
クランク角度を360゜CAシフトしたクランク角度Xを算
出する。つまり前回D−VSV開弁開始時に吸気行程であ
った気筒、例えば#4に対して360゜CA遅れて吸気行程
となる気筒#1を算出する。次いでステップ720では今
回のクランク角CCRNKがX゜CAであるか否かを判別し、
その判別結果がYESのときはステップ750へ進み、D−VS
Vを開弁し、その判別結果がNOのときはステップ770へ進
み、ディレイ制御中を示すフラグexdpgdlyを1(on)に
セットし本ルーチンを終了する。
その後フローチャート761−1では、今回のクランク
角度を記憶し(ステップ764)、今回のデューティ開弁
時間(t_dpg)を記憶し(ステップ765)、今回の機関回
転数NEを記憶する(ステップ766)。一方、フローチャ
ート790−2におけるステップ793では今回のクランク角
CCRNKがX゜CAであるか否かを判別し、その判別結果がY
ESのときはステップ750へ進みD−VSVを開弁し、その判
別結果がNOのときはステップ795へ進み、今回周期のカ
ウンタのカウント値ectevp2が遅延時間の最大値kectevp
に達したか否かを判別し、その判別結果がYESのときは
ステップ750へ進み、NOのときは図10のステップ755へ進
む。
図25は図24のステップ710に係る詳細処理手順を示す
フローチャートである。図25に示すフローチャート710
−1の処理はパージガスの流れに対応する応答性を考慮
して加減速時におけるパージガスの気筒分配を均等化す
るよう制御するものである。先ず、ステップ711では機
関回転数NEが前回NE+25(RPM)の計算値であるneu以上
か否かを判別し、NE≧neuのときはステップ713へ進み、
NE<neuのときはステップ712へ進み、さらにステップ71
2では機関回転数NEが前回NE−25(RPM)の計算値である
ned以下か否かを判別し、NE≦nedのときはステップ715
へ進み、NE>nedのときはステップ714へ進む。ステップ
713、714及び715では、ステップ764で記憶した前回のD
−VSV開弁開始時のクランク角度に対し、順に(360−
α)゜CA、360゜CA、(360+β(β>0))゜CAだけそ
れぞれシフトしたクランク角度Xを算出する。
図26は本発明の第7実施例に係る遅延時間設定の詳細
処理手順を示すフローチャートである。図26に示す本発
明の第7実施例のフローチャートは図24と同様に図9の
フローチャートにおいて630、761及び790の処理を図26
に示すフローチャート630−7、761−1及び790−2に
置き換えたものである。本発明の第7実施例は、今回の
D−VSVの開弁時に吸気行程となる気筒が前回のD−VSV
の開弁時に吸気行程であった気筒と同一のときに遅延時
間を設定し、同一でないときは遅延時間を0に設定する
よう制御するものである。これによりパージガスの気筒
分配が均一化される。図26に示すフローチャートは、図
24のステップ710と720を図26のステップ730に置き換
え、図24のステップ793を図26のステップ794に置き換え
たものである。従ってステップ730と794のみを以下に説
明する。ステップ730ではD−VSVの開弁時に吸気行程と
なる今回の気筒が前回のD−VSVの開弁時に吸気行程で
あった気筒と同一であるか否かを判別し、その判別結果
がYESのときはステップ770へ進み、ディレイ制御中を示
すフラグexdpgdlyを1(on)にセットし本ルーチンを終
了し、ステップ730の判別結果がNOのときはステップ750
へ進み、D−VSVを開弁する。一方、ステップ794でも同
様にD−VSVの開弁時に吸気行程となる今回の気筒が前
回のD−VSVの開弁時に吸気行程であった気筒と同一で
あるか否かを判別し、その判別結果がYESのときはステ
ップ795へ進み、今回周期のカウンタのカウント値ectev
p2が遅延時間の最大値kectevpに達したか否かを判別
し、その判別結果がYESのときはステップ750へ進み、NO
のときは図10のステップ755へ進む。
図27は本発明の第8実施例に係る遅延時間設定の詳細
処理手順を示すフローチャートである。図27に示す本発
明の第8実施例のフローチャートは図9のフローチャー
トにおいてステップ630の処理を図27に示すフローチャ
ート630−8に置き換えたものである。本発明の第8実
施例は、機関回転数に応じて遅延時間を設定する際、加
減速時の回転変動があっても最適な遅延時間を設定する
ものである。つまり、複数の回転領域の各々に対して設
定される遅延時間を算出した時の機関回転数からそのデ
ューティ周期の終了時に至るまでの機関回転数を算出
し、前回の回転数と今回の回転数の差から今回デューテ
ィ周期に対応する機関回転数を算出するものである。こ
れにより今回のデューティ周期の中央の回転数を予測し
てその予測した回転数に基づいて遅延時間が設定される
ので加減速時にも好適な遅延時間の設定が可能となる。
次にフローチャート630−8の具体的処理について以下
に説明する。
先ず、ステップ632では今回の処理周期の遅延時間dpg
dly=0か否かを判別し、dpgdly=0のときはステップ6
43へ進み、dpgdly≠0のときはステップ647に進み次回
の処理周期の遅延時間dpgdly=0としてステップ740へ
進む。ステップ643では今回の機関回転数NEと前回の機
関回転数onNEとから今回のデューティ周期の中央の予測
機関回転数tneを次式から算出する。
tne=NE−(onNE−NE)/2 次に、ステップ644では予めROMに格納したマップに基
づいてステップ644で算出された予測機関回転数tneに対
応する回転領域1、2、3又は4を算出する。ステップ
645では予めROMに格納したマップに基づいてステップ64
4で算出された回転領域とデューティ比に応じた遅延時
間dpgdlyを算出し、ステップ740へ進む。
以上説明してきた実施例では、内燃機関の運転状態に
関わらずディーティ周期内に、遅延時間を設定するパー
ジ制御(遅延時間有りのパターン)と遅延時間を設定し
ないパージ制御(遅延時間無しのパターン)とを交互に
実行するディーティ制御の例を示したが、本発明はこれ
に限定されるものではない。すなわち、遅延時間の有り
無しのパターンの設定は、例えば、内燃機関の運転状態
(機関の回転数、負荷、吸入空気量、スロットル開度、
冷却水温、バッテリ電圧、空燃比センサの出力値など)
あるいはキャニスタの状態、燃料タンクの状態、パージ
ガス濃度等に応じて、遅延時間を有りにするか無しにす
るかを決定するマップを予めROMに複数記憶しておき、
機関の運転状態あるいはキャニスタの状態、燃料タンク
の状態、パージガス濃度等に応じて、その複数のマップ
を切り換えるかあるいは複数のマップを同時に使用する
などして行ってもよい。例えば、機関の負荷に基づいて
遅延時間の有り無しを決定する第1マップと機関の水温
に基づいて遅延時間の有り無しを決定する第2マップを
設け、機関の負荷状態に応じて第1マップから遅延時間
の有り無しを決定するとともに、機関の水温に応じて、
例えば水温が低い機関始動時のみ第1マップの他に第2
マップを用いて遅延時間の有り無しを決定するよう制御
してもよい。
また、上記実施例では、機関の回転数に応じて遅延時
間(の長さ)を設定したが、本発明はこれに限定される
ものではなく機関の回転数以外の前述した機関の運転状
態あるいはキャニスタの状態、燃料タンクの状態、パー
ジガス濃度等に応じて、遅延時間を算出する主マップ
と、遅延時間の補正値を算出する補助マップを設けて遅
延時間を設定してもよい。例えば、予測した機関の負荷
(負荷予測手段)に基づいて遅延時間を算出する主マッ
プと機関の水温に基づいて遅延時間の補正値を算出する
補助マップを設け、機関の負荷状態に応じて主マップか
ら遅延時間を算出するとともに、機関の水温に応じて、
例えば水温が低い機関始動時にのみ補助マップを用いて
遅延時間を補正するよう制御してもよい。
さらに、上記実施例はD−VSVすなわちパージ制御弁4
1の複数の周期を67msecから100msecの二つwo交互に切り
換える制御を例として説明したが、本発明はこれに限定
されるものではない。例えば、3つ以上の複数の周期を
切り換えたり、交互ではなく、一つの同じ周期を複数回
(例えば2回から3回)繰り返した後別の周期に切り換
えるなど、切り換えパターンを、機関の運転状態あるい
はキャニスタの状態、燃料タンクの状態、パージガス濃
度等に応じて変更してもよい。このパターンは予め実験
等によって求め、適宜設定することができること言うま
でもない。
図28は本発明の第9実施例に係る遅延時間設定の詳細
処理手順を示すフローチャートである。図28に示す本発
明の第9実施例のフローチャートは図27のフローチャー
トにおいてステップ645の後に遅延時間を補正するステ
ップ646を追加したものである。この第9実施例は、遅
延時間を機関の加速時には減少させ、減速時には増加さ
せるよう補正するものである。ステップ646ではステッ
プ645で算出した遅延時間dpgdlyと今回の機関回転数NE
と前回の機関回転数onNEとからdpgdly*onNE/NEを算出
して新たな遅延時間dpgdlyを算出する。これにより遅延
時間dpgdlyは前回の回転数に比して今回の回転数が高く
なる増速時には小となるように補正され、前回の回転数
に比して今回の回転数が低くなる減速時には大となるよ
うに補正される。
図29は本発明の第9実施例による遅延処理の説明図で
ある。図29に示すように遅延時間dpgdlyは前回の回転数
に比して今回の回転数が高くなる増速時に小となるよう
に補正されることが判る。
図30は本発明の遅延処理による第1デューティ周期を
用いたときの空燃比変動を示す図である。図30は機関回
転数1800RPMでデューティ周期64msecのときにおいて、
D−VSVをデューティ周期の2周期毎に遅延時間を8、1
6、24、32、40msecと変えたときの空燃比の変動を測定
した実験結果を示す。また64msec周期毎の時刻t1、t2、
t3、t4に気筒#4が吸気行程にある場合を示す。図30に
示す実験結果から、気筒#1の空燃比はデューティ周期
の2周期毎の遅延時間に影響されないが、気筒#4の空
燃比はデューティ周期の2周期毎の遅延時間を32msecと
した場合に最も空燃比の変動を小さくできることが判っ
た。
図31は本発明の遅延処理による第2デューティ周期を
用いたときの空燃比変動を示す図である。図31は機関回
転数1800RPMでデューティ周期100msecのときにおいて、
D−VSVをデューティ周期の2周期毎に遅延時間を8、1
6、24、32、40、48、56、64msecと変えたときの空燃比
の変動を測定した実験結果を示す。また100msec周期毎
の時刻t1、t2、t3、t4で気筒#4が吸気行程にある場合
を示す。図31に示す実験結果から、気筒#1の空燃比は
デューティ周期の2周期毎の遅延時間に影響されない
が、気筒#4の空燃比はデューティ周期の2周期毎の遅
延時間を0又は64msecとした場合に最も空燃比の変動を
小さくできることが判った。
次に、本発明の第10実施例〜第14実施例による他の運
転状態検出手段Aについて以下に説明する。
図32は本発明の第10実施例の運転状態検出処理による
遅延時間設定ルーチン1のフローチャートである。第10
実施例は、遅延時間を算出するための運転状態検出手段
として第1実施例における機関回転数を用いる代わりに
クランク角度を用いるものであり、回転数から算出する
より精度よく遅延時間を設定すべきクランク角度が算出
できる。また、図32以降に示すフローチャートの処理ル
ーチンは、所定の時間間隔(例えば1ms)ごとに発生す
るタイマー割り込みにより起動される。
先ず、ステップ801ではデューティ比DPGがkdpg80(デ
ューティ比80%)以下か否かを判別し、その判別結果が
YESのときはパージ間欠流が大きいと判断しステップ802
へ進み、NOのときはパージ間欠流が小さく実質的に連続
流と判断しステップ811、812へ進み、遅延制御を中断す
る。ステップ802では遅延時間(オンディレイ時間)dpg
dlyが0か否かを判別し、dpgdly≠0のときはステップ8
03へ進み、dpgdly=0のときはステップ811へ進む。ス
テップ803では最適クランク角度ccrnkbstと現在のクラ
ンク角ccrnkとの角度差ccrnkaを次式から算出する。
ccrnka=ccrnkbst−ccrnk ここで、最適クランク角ccrnkbstとはD−VSVの前回
デューティ周期において開弁開始時期のクランク角に対
して360゜CAずれたクランク角をいう。すなわち、機関
の燃焼サイクルとD−VSVのデューティ周期が同期しパ
ージガスが特定気筒に連続的に吸引されることを防止す
るため、D−VSVの次回のデューティ周期では今回のデ
ューティ周期のパージガスを吸引した気筒と反対位相に
ある気筒へパージガスを吸引させればよい。このため、
D−VSVの今回開弁開始時期のクランク角を前回開弁開
始時期のクランク角に対して360゜CAずらし、気筒分配
を最適とする。また、上記最適クランク角は、D−VSV
の前回デューティ周期において開弁開始時期のクランク
角に対して360゜CAずれたクランク角に限定されるもの
ではなく、120゜CA、180゜CA等適宜選択可能である。
ステップ804では、ステップ803で算出した角度差ccrn
kaが特性範囲kcrnk180(例えば、180゜CA)内(ccrnka
≦±kcrnk180)か否かを判別する。この判別結果がYES
(ccrnka≦±kcrnk180)の最適クランク角に近いときは
ステップ811へ進み、NOの最適クランク角に対しずれの
大きいときはステップ805へ進む。ステップ805では角度
差がccrnka≧0か否かを判別し、ccrnka≧0の最適クラ
ンク角まで到達していないとき(ccrnk<ccrnkbst)は
ステップ807へ進み、ccrnka<0のすでに最適クランク
角を通過したとき(ccrnk<ccrnkbst)はステップ806へ
進む。ステップ806では次回のD−VSVのデューティ周期
における目標となるクランク角度差ccrnkaを次式から算
出し、ステップ807へ進む。すなわち、ccrnk<ccrnkbst
のときは、D−VSVの今回のデューティ周期での開弁開
始時期を最適クランク角度ccrnkbst以前とする遅延時間
を設定し、ccrnk>ccrnkbstのときに、すでにD−VSVの
今回のデューティ周期での開弁開始時期は最適クランク
角ccrnkbstを越えているので次回のデューティ周期で開
弁するときの遅延時間を設定する。
ccrnka=ccrnka+720 次いでステップ807では、次式に基づき遅延時間dpgdl
yを算出する。
dpgdly=(ccrnka*ctcrnk)/180 ここで、ctcrnkは、180゜CA間隔時間でmsの単位で示
される。
次に、ステップ808ではステップ807で算出された遅延
時間dpgdlyが遅延時間ガード値以内か否かを判別し、そ
の判別結果がYESのときはステップ810へ進み、NOのとき
はステップ809へ進む。この遅延時間ガード値は、T−
(t_dpg)−kdpgvから算出する。ここで、Tはデューテ
ィ周期、t_dpgは今回処理周期の開弁時間、kdpgvはD−
VSVを確実に閉弁完了可能とするに要する所定の閉弁時
間をそれぞれ示す。ステップ809では遅延時間dpgdlyを
ガード値に更新しステップ810へ進む。ステップ810では
遅延時間dpgdlyが0か否かを判別し、その判別結果がYE
Sのときはステップ811へ進み、NOのときは本ルーチンを
終了する。ステップ811では遅延制御を中断するため、
現在のクランク角度ccrankに対する次回の最適クランク
角ccrnkbstを次式から算出する。
ccrnkbst=ccrnk+360(゜CA) 次いでステップ812では遅延時間dpgdlyを0にクリア
ーする。
図33は図32のフローチャートにおけるステップ803の
処理を示す図である。先ず、ステップ821では現在のク
ランク角ccrnkが基準のクランク角かまたは基準のクラ
ンク角に対し4気筒機関で180゜CA、6気筒機関で120゜
CAの整数倍、すなわちccrnk=N*180゜CA(N=0,1,2
…)であるか否かを判別する。この判別結果がYESのと
きはステップ822へ進みctcrnkをctcrnkaとし、NOのとき
はステップ823でctcrnkaを0にクリアーする。このctcr
nkaはタイマー割り込みで1ms毎にインクリメントされ、
180゜CA毎にステップ822でctcrnkを更新後ステップ823
でクリアーされる。
図34は本発明の第10実施例の補足説明図である。図34
において、横軸は時間を示し、縦軸はクランク角度(゜
CA)およびD−VSVのオンオフ状態を示す。図34に示す
ようにD−VSVの第1回目および第3回目のデューティ
周期ではデューティ周期の開始(周期のゼロ点)から開
弁を開始し、第2回目のデューティ周期では開始から遅
延時間のdpgly経過後、好ましくはccrnkbstのクランク
角に開弁開始する。
図35は本発明の第11実施例の運転状態検出処理による
遅延時間設定ルーチン2のフローチャートである。図32
と図35を比較すると判るように、図35に示す遅延時間設
定ルーチンはクランク角crnkを吸気弁の開弁時期を検出
するバルブタイミング角vvtに変更した点のみが異な
る。この変更は、クランク角センサによりクランク角度
を検出する代わりに吸気弁のカム軸に取り付けたカムセ
ンサにより機関の回転位置、すなわちバルブタイミング
角vvtを検出することにより行う。これにより吸気弁の
開弁時期をクランク角センサに基づくより精度よく検出
できる。つまりクランク軸とカム軸はタイミングチェー
ン等で連動され、チェーンの伸び等が生じるので、クラ
ンク角センサよりカムセンサの方が吸気弁の開弁開始時
期を基準にしてより正確に機関の回転位置(バルブタイ
ミング角vvt)を検出できる。
図36は図35のフローチャートにおけるステップ903の
処理を示す図である。先ず、ステップ921では現在のバ
ルブタイミング角cvvtが基準角かまたは基準角に対し4
気筒機関で180゜vvt、6気筒機関で120゜vvtの整数倍、
すなわちcvvt=N*180゜vvt(N=0,1,2…)であるか
否かを判別する。この判別結果がYESのときはステップ9
22へ進みctvvtを(ctvvt+ctvvta)/2とし、NOのときは
ステップ923でctvvtaを0にクリアーする。このctvvta
はタイマー割り込みで1ms毎にインクリメントされ、180
゜vvt毎にステップ922でctvvtを更新後ステップ923でク
リアーされる。
図37は本発明の第12実施例の運転状態検出処理による
遅延時間設定ルーチン3のフローチャートである。第12
実施例は、遅延時間を算出するための運転状態検出手段
として第1実施例の機関回転数、第10実施例のクランク
角度または第11実施例の吸気弁のバルブタイミングを用
いる代わりに燃料噴射間隔時間を用いるものである。つ
まり、デューティ周期内の燃料噴射回数から吸気ベスト
回数、すなわちデューティ周期内における各気筒に対す
る燃料噴射の最適噴射回数を求め、上記吸気ベスト回数
とD−VSVのデューティ周期開始時に於ける今回吸気回
数とのずれ、および燃料噴射間隔時間に基づいて遅延時
間dpglyを算出するものである。
上記吸気ベスト回数は、今回駆動周期における開弁に
よりパージされたパージガスを吸引する今回吸気気筒に
対して反対位相(クランク角に換算して360゜CAずれた
位相)にある次回吸気気筒へ次回駆動周期における開弁
によりパージされたパージガスが吸引されるようにする
吸気回数であり、後述するように今回駆動周期の吸気回
数に0.5回(クランク角に換算して360゜CA)を加算して
求められる。以下に、この燃料噴射間隔時間に基づく遅
延時間設定ルーチンを図37のフローチャートを用いて説
明する。本ルーチンはD−VSVの駆動周期毎に実行され
る。また、上記反対位相は、D−VSVの前回デューティ
周期において開弁開始時期のクランク角に対して360゜C
Aずれたクランク角に限定されるものでなく、120゜CA、
180゜CA等適宜選択可能である。
先ず、ステップ1001ではデューティ比DPGがkdpg80
(デューティ比80%)以下か否かを判別し、その判別結
果がYESのときはパージ間欠流が大きいと判断しステッ
プ1002へ進み、NOのときはパージ間欠流が小さいと判断
しステップ1011、1012へ進み、遅延制御を中断する。ス
テップ1002では遅延時間(オンディレイ時間)dpgdlyが
0か否かを判別し、dpgdly≠0のときはステップ1003へ
進み、dpgdly=0のときはステップ1011へ進む。ステッ
プ1003では吸気回数cn、すなわちデューティ周期内にお
ける1つの気筒への燃料噴射の回数を次式から算出す
る。
cn=デューティ周期/ctinj/4 ここで、ctinjは4気筒機関であればクランク角180゜
CAに相当する燃料噴射間隔時間を示す。
ステップ1004では、吸気回数cnがD−VSVをオンとす
る吸気ベスト(最適噴射)回数cnbstに近いか否かを次
式により判断する。
cnbst+0.25≧cn≧cnbst−0.1 ここで、1/4吸気回数は0.25は、cn<cnbstのとき1気
筒分のずれがあるか否かを判断するための比較値であ
り、1/10吸気回数0.1はcn<cnbstのとき1気筒分のずれ
がなくてもに遅延時間を設定できるので0.25より小さい
比較値としている。
ステップ1004で吸気回数cnがcnbstに近いか否かを判
別し、その判別結果がYESのときは、ステップ1011へ進
み、NOのときはステップ1005へ進む。ステップ1005では
吸気回数cnと吸気ベスト回数cnbstとを比較し、cnbst≧
cnのときはステップ1007へ進み、cnbst<cnのときはス
テップ1006へ進む。ステップ1006では次式を算出する。
cnbst=cnbst+1 次いでステップ1007では、次式に基づき遅延時間dpgd
lyを算出する。
dpgdly=(cnbst−cn)*ctinj*4 ここで、ctinj*4は機関がクランク角に換算して720
゜CA回転するに要する時間に相当する。
次に、ステップ1008ではステップ1007で算出された遅
延時間dpgdlyが遅延時間ガード値以内か否を判別し、そ
の判別結果がYESのときはステップ1010へ進み、NOのと
きはステップ1009へ進む。この遅延時間ガード値は、T
−(t_dpg)−kdpgvから算出する。ここで、Tはデュー
ティ周期、t_dpgは今回処理周期の開弁時間、kdpgvはD
−VSVを確実に閉弁完了可能とするに要する所定の閉弁
時間をそれぞれ示す。ステップ1009では遅延時間dpgdly
をガード値に更新しステップ1010へ進む。ステップ1010
では遅延時間dpgdlyが0か否かを判別し、その判別結果
がYESのときはステップ1011へ進み、NOのときは本ルー
チンを終了する。ステップ1011では遅延制御を中断する
ため、吸気ベスト回数cnbstを次式から算出し、次いで
ステップ1012では遅延時間dpgdlyを0にクリアーする。
cnbst=(デューティ周期/ctinj/4)+0.5 ここで、0.5は機関クランク角に換算して360゜CAに相
当する。
図38は図37のフローチャートにおける燃料噴射間隔時
間の計算処理を示すフローチャートである。先ず、ステ
ップ1021では現在の燃料噴射間隔時間ctinjが当該気筒
の噴射時期か否かを判別する。この判別結果がYESのと
きはステップ1022へ進みctinjを(ctinj+ctinja)/2と
し、NOのときはステップ923でctinjaを0にクリアーす
る。このctinjaはタイマー割り込みで1ms毎にインクリ
メントされ、噴射時期毎にステップ1022でctinjを変更
後ステップ1023でクリアーされる。
図39は燃料噴射タイミングとオンディレイ時間との関
係の説明図である。図39において、横軸は時間を示し、
縦軸は噴射時期およびD−VSVのオンオフ状態を示す。
図39に示すようにD−VSVの第1回目のデューティ周期
ではデューティ周期の開始(周期のゼロ点)から開弁を
開始し、第2回目のデューティ周期ではデューティ周期
の開始から遅延時間dpgdly経過後に開弁開始する。
図40は本発明の第13実施例の運転状態検出処理による
遅延時間設定ルーチン4のフローチャートであり、図41
は点火間隔時間の測定例を示す図である。図40に示すル
ーチンはD−VSVの駆動周期毎に実行される。図37に対
し図40を、図38に対し図41を比較すると判るように、図
40および図41に示す遅延時間設定ルーチンは、燃料噴射
間隔時間ctinjを点火間隔時間ctspkに変更した点が異な
るだけであり同様な制御を行うものである。つまり、点
火回数から吸気ベスト回数、すなわちデューティ周期内
における各気筒に対する最適点火回数を求め、上記吸気
ベスト回数とD−VSVのデューティ周期開始時に於ける
今回吸気回数とのずれ、および点火間隔時間に基づいて
遅延時間dpgdlyを算出するものである。この制御によれ
ば、点火時期検出により点火時期が進角側になるときは
遅延時間を短く設定される。すなわち、機関の負荷状態
が高負荷から軽負荷に変化するとき、吸気管内の負圧は
高くなり、スロットル弁が閉じ吸気とパージガスの流速
が遅くなりパージガスの気筒への到達時間が長くなる
が、これを見込んで遅延時間は短く設定する。他の制御
は第12実施例と同様なので説明は省略する。
図42は本発明の運転状態検出手段として吸気管内圧力
を検出する第14実施例を示す図である。第14実施例は、
遅延時間を算出するための運転状態検出手段として第1
実施例の機関回転数、第10実施例のクランク角度、第11
実施例の吸気弁のバルブタイミング、第12実施例の燃料
噴射時間間隔または第13実施例の点火時間間隔を用いる
代わりに、吸気管内圧力の脈動から一回当たり振幅する
のに要する時間、すなわち振幅時間ctpmを計測するな
ど、吸気管の圧力状態から吸気弁の開閉周期を検出する
ものであって、第12実施例の燃料噴射時間間隔または第
13実施例の点火時間間隔を振幅時間ctpmに置き換えたも
のである。
以上説明した図32のフローチャートにおけるステップ
801、図35のフローチャートにおけるステップ901、図37
のフローチャートにおけるステップ1001、図40のフロー
チャートにおけるステップ1101の処理(遅延制御中断手
段)は、デューティ比が80%以上のパージガスの間欠流
の度合いが小さい実質的に連続流のときは気筒分配が良
好なので遅延時間を設けないように制御する。これによ
りCPUによる処理の負担を軽減できる。
また、キャニスタ内の活性炭による蒸発燃料の吸着量
の少ないとき(例えばパージ実行時間が所定時間を経過
したとき)や、燃料タンク内でベーパが発生し難い条件
下(低温時など)のときには、燃料噴射量に対するパー
ジガス量の比率が少ないのでパージガスの気筒分配が不
均一であっても内燃機関の空燃比変動を引き起こすまで
には至らないので、遅延時間を設けないよう制御する。
これによりCPUによる処理の負担を軽減できる。
次に、本発明の第15実施例による遅延時間補正手段D
について以下に説明する。第15実施例は吸気管内のパー
ジガスの移動速度を考慮して、遅延時間dpgdlyを補正す
るものであって、例えば、機関負荷の変化を吸気管内の
圧力変化から検出し、この圧力変化に応じて例えば減速
時には吸気管内の負圧が大きくなりパージガスの吸気管
内の流速が遅くなるので遅延時間dpgdlyを減量補正する
ものである。
図43は本発明の第15実施例による遅延時間補正処理の
フローチャートである。先ず、ステップ1201では吸気管
内の圧力変化Δpmに対する遅延時間補正係数tkpmを予め
ROM62に格納したマップから算出する。この遅延時間補
正係数は実験で求めて決定するが、減速度が大きい程1
より小さく、加速度が大きい程1より大きく設定され、
したがって遅延時間は減速度が大きい程短く設定され
る。次いで、ステップ1202では遅延時間dpgdlyに遅延時
間補正係数tkpmを乗算してdpgdlyを更新する。
図44は吸気管内圧力変化Δpmの測定例を示す図であ
る。先ず、ステップ1211では吸気管内圧力変化Δpmを判
定する時期か否かを判別し、その判別結果がYESのとき
はステップ1212へ進み、NOのときは本ルーチンを終了す
る。ステップ1212では今回処理周期の吸気管内圧力pmか
ら吸気管内圧力の平均値(なまし値)pmsmを減算し(pm
−pmsm)、その減算結果をΔpmとする。ステップ1213で
は吸気管内圧力の平均値pmsmを次式から算出する。
pmsm=(Δpm/4)+pmsm ステップ1212で算出される吸気管内圧力変化Δpmは、
今回処理周期の吸気管内圧力pmが吸気管内圧力の平均値
pmsmからどれだけずれているかを示す。
なお、前述した負荷の変化(圧力の変化)から遅延時
間dpgdlyを補正する代わりに、スロットル開度の変化、
吸気管内の流速の変化、1回転当たりの吸入空気量の大
きさなど、パージガスの吸気管内での移動速度に影響を
与えるパラメータに基づいて遅延時間dpgdlyを補正して
もよい。
以上説明したように、本発明による多気筒内燃機関の
蒸発燃料処理装置によれば、運転状態検出手段により検
出された機関の運転状態、例えば機関の回転数とパージ
制御弁の駆動周期が略同期する回転数領域において、駆
動周期毎に連続的に特定気筒にパージガスが流入しない
ように遅延時間設定手段により設定された遅延時間に従
ってパージ制御弁の開弁開始時期を遅延させるので、急
激なパージガス量の変化の発生を抑制することができ、
パージガスの気筒分配が均等化され機関の空燃比の変動
が抑制され、排気の浄化性が向上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、デューティ比が小のとき(パージベーパ量が
少ないとき)は不必要に遅延時間を設定することなく、
一方、デューティ比が大のとき(間欠流が少ないとき)
は駆動周期内に確実にパージ制御弁を開弁できる。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、パージ制御弁41の駆動周期における開弁時間
の終了時期に基づいて遅延時間を設定するので、駆動周
期内に確実にパージ制御弁を開閉できるとともに設定さ
れたパージガスを過不足することなく吸気通路内へ供給
できる。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、パージガスの移動速度を検出する移動速度検
出手段により、例えば吸気管内の圧力変化を検出するこ
とにより、検出した圧力変化から機関の過渡状態を検出
し、加速時はパージガスの空気管内の流速が速くなるの
で遅延時間を長く設定し、減速時はパージガスの流速が
遅くなるので遅延時間を短く設定するので、機関の過渡
時におけるパージガスの吸気管内の移動時間が最適に制
御され、ひいてはパージガスの気筒分配が向上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、周期切換手段によりパージ制御弁を駆動する
複数の駆動周期を所定の順序で切り換えて、各駆動周期
に応じた遅延時間を設定するので、パージガスの気筒分
配が均等化され機関の空燃比の変動が抑制され、排気の
浄化性が向上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、パージ制御弁の開弁開始から開弁終了までの
開弁時間中における中央を基準として遅延時間を設定す
るので、過渡時におけるパージガスの気筒分散を促進
し、機関の空燃比の変動が抑制され、排気の浄化性が向
上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、気筒検出手段によりパージ制御弁の今回駆動
周期の開弁時間中に吸気行程である気筒を検出し、その
検出した気筒が次回駆動周期に吸気行程とならないよう
に遅延時間を設定するので、パージガスの気筒分配が均
等化され機関の空燃比の変動が抑制され、排気の浄化性
が向上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、負荷予測手段により、今回の駆動周期におけ
る機関の負荷の変化から次回の駆動周期における機関の
負荷を予測して予測した負荷に基づいて遅延時間を設定
するので、特に加減速時のパージガスの気筒分配が均等
化され機関の空燃比の変動が抑制され、排気の浄化性が
向上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、回転数予測手段により、今回の駆動周期にお
ける機関の回転数の変化から次回の駆動周期における機
関の回転数を予測して予測した回転数に基づいて遅延時
間を設定するので、特に加減速時のパージガス浄化性が
向上する。
また本発明による多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
によれば、内燃機関へのパージガスの供給に起因した機
関の空燃比変動を生じない条件下、例えばデューティが
80%以上のパージガスの間欠流の度合いが小さい実質的
に連続流のときには、気筒分配は良好となるので、遅延
制御中断手段により遅延時間の設定を中断することによ
り、CPUの負荷を軽減できる。

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料タンクから発生する蒸発燃料を貯蔵す
    るキャニスタと、該キャニスタと機関の吸気通路とを連
    通するパージ通路と、該パージ通路内に設けられ所定の
    駆動周期で開閉することで該キャニスタから該機関の吸
    気通路内に吸引されるパージガスの量を制御するパージ
    制御弁と、を備えた多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置
    において、 前記機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、 前記運転状態に応じて前記パージ制御弁の駆動周期にお
    ける開弁開始時期を該駆動周期の開始から遅延させる遅
    延時間を設定する遅延時間設定手段と、 前記遅延時間に従って前記パージ制御弁を駆動するパー
    ジ制御弁駆動手段と、を備えたことを特徴とする多気筒
    内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】前記運転状態検出手段は、前記機関の吸気
    弁の開閉周期を検出し、検出した該吸気弁の開閉周期と
    前記パージ制御弁の駆動周期とから前記パージガスが前
    記機関の各気筒へ均一に分配されるか否かを判断する均
    一分配判断手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記均一分配判断手段により
    前記パージガスが各気筒へ不均一に分配されると判断さ
    れたとき、気筒分配が均一となるように前記遅延時間を
    設定する請求の範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃
    料処理装置。
  3. 【請求項3】前記運転状態検出手段は、前記機関の回転
    数を検出する回転数検出手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記回転数検出手段により検
    出された回転数に応じて前記遅延時間を設定する請求の
    範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  4. 【請求項4】前記遅延時間設定手段により設定された遅
    延時間を補正する遅延時間補正手段を備え、 前記遅延時間補正手段は、前記パージ制御弁の駆動周期
    における開弁時間を定めるデューティ比に応じて遅延時
    間を補正する請求の範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸
    発燃料処理装置。
  5. 【請求項5】前記遅延時間設定手段により設定された遅
    延時間を補正する遅延時間補正手段を備え、 前記遅延時間補正手段は、前記パージ制御弁の駆動周期
    における開弁時間の終了時期に基づいて前記遅延時間を
    補正する請求の範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃
    料処理装置。
  6. 【請求項6】前記遅延時間設定手段は、前記機関の吸気
    通路内におけるパージガスの移動速度を検出する移動速
    度検出手段を備え、該移動速度に応じて前記遅延時間を
    設定する請求の範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃
    料処理装置。
  7. 【請求項7】前記遅延時間設定手段により設定された遅
    延時間を補正する遅延時間補正手段を備え、 前記遅延時間補正手段は、前記パージ制御弁を駆動する
    駆動周期を複数設け、所定の順序でその複数の駆動周期
    を切り換える周期切換手段を備え、 前記周期切換手段により切り換えられた駆動周期に応じ
    て前記遅延時間を補正する請求の範囲1に記載の多気筒
    内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  8. 【請求項8】前記遅延時間設定手段により設定された遅
    延時間を補正する遅延時間補正手段を備え、 前記遅延時間補正手段は、前記駆動周期における前記パ
    ージ制御弁の開弁開始から開弁終了までの開弁時間中に
    おける中央を基準として前記遅延時間を補正する請求の
    範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  9. 【請求項9】前記運転状態験出手段は、前記パージ制御
    弁の今回駆動周期の開弁時間中に吸気行程である今回吸
    気気筒を検出する気筒検出手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記パージ制御弁の次回駆動
    周期に吸気行程となる次回吸気気筒が前記気筒検出手段
    により検出された前記今回吸気気筒と異なるように前記
    遅延時間を設定する請求の範囲1に記載の多気筒内燃機
    関の蒸発燃料処理装置。
  10. 【請求項10】前記遅延時間設定手段により設定された
    遅延時間を補正する遅延時間補正手段を備え、 前記遅延時間補正手段は、前記パージ制御弁の今回の駆
    動周期の際に今回の駆動周期に連続する次回の駆動周期
    における内燃機関の負荷を予測する負荷予測手段を備
    え、 前記負荷予測手段により予測された次回の駆動周期の負
    荷に基づいて遅延時間を補正する請求の範囲1に記載の
    多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  11. 【請求項11】前記遅延時間設定手段により設定された
    遅延時間を補正する遅延時間補正手段を備え、 前記遅延時間補正手段は、前記パージ制御弁の今回の駆
    動周期の際に今回の駆動周期に連続する次回の駆動周期
    における内燃機関の回転数を予測する回転数予測手段を
    備え、 前記回転数予測手段により予測された次回の駆動周期の
    回転数に基づいて遅延時間を補正する請求の範囲1に記
    載の多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  12. 【請求項12】前記運転状態検出手段は、前記パージ制
    御弁の駆動周期毎の開弁開始時期におけるクランク角を
    検出するクランク角検出手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記クランク角検出手段によ
    り検出された今回駆動周期の第1クランク角から、次回
    駆動周期の開弁開始時期が該第1クランク角と異なる第
    2クランク角にくるように前記遅延時間を設定する請求
    の範囲1に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  13. 【請求項13】前記運転状態検出手段は、前記パージ制
    御弁の駆動周期毎の開弁開始時期における吸気弁のバル
    ブタイミング角を検出するバルブタイミング角検出手段
    を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記バルブタイミング角検出
    手段により検出された今回駆動周期の第1バルブタイミ
    ング角から、次回駆動周期の開弁開始時期が該第1バル
    ブタイミング角と異なる第2バルブタイミング角にくる
    ように前記遅延時間を設定する請求の範囲1に記載の多
    気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  14. 【請求項14】前記運転状態検出手段は、前記パージ制
    御弁の今回駆動周期における燃料噴射の回数から今回駆
    動周期の機関の吸気回数を算出し、該吸気回数と吸気ベ
    スト回数との差を算出する吸気回数算出手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記吸気回数算出手段により
    算出された前記吸気回数と吸気ベスト回数とから、今回
    駆動周期の開弁開始時期にパージされたパージガスを吸
    引する今回吸気気筒と次回駆動周期の開弁開始時期にパ
    ージされるパージガスを吸引する次回吸気気筒とが異な
    るように前記遅延時間を設定する請求の範囲1に記載の
    多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  15. 【請求項15】前記運転状態検出手段は、前記パージ制
    御弁の今回駆動周期における点火の回数から今回駆動周
    期の機関の吸気回数を算出し、該吸気回数と吸気ベスト
    回数との差を算出する吸気回数算出手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記吸気回数算出手段により
    算出された前記吸気回数と吸気ベスト回数とから、今回
    駆動周期の開弁開始時期にパージされたパージガスを吸
    引する今回吸気気筒と次回駆動周期の開弁開始時期にパ
    ージされるパージガスを吸引する次回吸気気筒とが異な
    るように前記遅延時間を設定する請求の範囲1に記載の
    多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  16. 【請求項16】前記運転状態検出手段は、機関の吸気管
    内における圧力の脈動から今回駆動周期の機関の吸気回
    数を算出し、該吸気回数と吸気ベスト回数との差を算出
    する吸気回数算出手段を備え、 前記遅延時間設定手段は、前記吸気回数算出手段により
    算出された前記吸気回数と吸気ベスト回数とから、今回
    駆動周期の開弁開始時期にパージされたパージガスを吸
    引する今回吸気気筒と次回駆動周期の開弁開始時期にパ
    ージされるパージガスを吸引する次回吸気気筒とが異な
    るように前記遅延時間を設定する請求の範囲1に記載の
    多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  17. 【請求項17】前記内燃機関へ前記パージガスを供給す
    ることにより該機関が空燃比変動を生じない条件下で、
    前記遅延時間設定手段による遅延時間の設定を中断する
    遅延制御中断手段を備えた請求の範囲1乃至16の何れか
    1項に記載の多気筒内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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