JP2909794B2 - Rfq線形加速器 - Google Patents

Rfq線形加速器

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JP2909794B2 JP27480693A JP27480693A JP2909794B2 JP 2909794 B2 JP2909794 B2 JP 2909794B2 JP 27480693 A JP27480693 A JP 27480693A JP 27480693 A JP27480693 A JP 27480693A JP 2909794 B2 JP2909794 B2 JP 2909794B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、RFQ(Radio
Frequency Quadrupole)線形加速
器に関し、さらに詳細には、4枚のヴェイン電極間に高
周波電場を発生させることにより、イオンを加速して出
射することができるものであって、複合加速器の初段加
速器や、医療研究あるいは半導体製造などのイオン注入
器に利用することのできるRFQ線形加速器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、イオン・ビームを収束させなが
ら、同時に加速させることができるRFQ線形加速器が
開発された。
【0003】このRFQ線形加速器とは、内部が真空状
態とされた導電性の筒状筐体内に、先端部を長さ方向に
波形状に形成した四重極電極(4枚のヴェイン電極)
を、ビーム加速軸に沿って直交するように対向させると
ともに、相対向するヴェイン電極は山と山、谷と谷とが
向かい合い、互いに90度隔てた隣合うヴェイン電極の
山と谷とが隣合うように配置された構成となっている。
【0004】そして、これら4枚のヴェイン電極におい
て、一方の対向する一対のヴェイン電極と他方の対向す
る一対のヴェイン電極とは、互いの符号が異なるように
高周波電力を与えられ、さらに四重極電極間で囲まれた
中心部にイオン・ビームを入射させると、イオン・ビー
ムは高周波四重極電場によって収束されるとともに加速
されて、高エネルギのイオン・ビームとして筒状筐体か
ら出射されることになる。
【0005】図7および図8には、上記したような従来
のRFQ線形加速器が示されており、所謂、四翼型RF
Q線形加速器と称されるRFQ線形加速器が示されてい
るが、導電性の円筒状空洞100内に、対向する各ヴェ
イン電極102、102および104、104を互いに
90度位相をずらして配置して、この円筒状空洞100
に各ヴェイン電極102、102および104、104
間を電気的に短絡させた空洞共振器を構成し、高周波導
入装置106から供給される高周波電力により、ヴェイ
ン電極102、102および104、104間に高周波
電場を発生させるようになっている。
【0006】図7および図8に示す上記した従来の四翼
型RFQ線形加速器においては、空洞共振器を用いて高
周波電場を発生させているために、電力損失を低く抑え
ることができるという利点を有している。
【0007】ところが、こうした従来の四翼型RFQ線
形加速器を半導体製造用のイオン打ち込みなどに使用す
る場合などには、使用するイオン種や必要なイオン・ビ
ームのエネルギに応じて、低い共振周波数が必要とされ
る場合があるが、このように低い共振周波数が必要な場
合には、空洞共振器のサイズが極めて大きくなってしま
い、スペース的に不利になるという問題点があった。
【0008】また、このように装置全体のサイズが大型
化するため、その製造コストも高価になり、しかも技術
的にも実現困難な問題があった。
【0009】そこで、上記した種々の問題点を解決する
ために、例えば、図9および図10に示すように、円筒
状空洞120の内部に、対向する各ヴェイン電極12
2、122および124、124を分割型に配置した分
割同軸型RFQ線形加速器が提案されている。
【0010】上記した従来の分割同軸型RFQ線形加速
器では、一方の対向する一対のヴェイン電極122、1
22をステム126、126を介してそれぞれ円筒状空
洞120の上下部に支持し、他方の対向する一対のヴェ
イン電極124、124を円筒状空洞120の両方の端
面120a、120aで支持し、高周波導入装置128
から供給される高周波電力により、ヴェイン電極12
2、122および124、124間に高周波電場を発生
させるように構成されている。
【0011】そして、上記した従来の分割同軸型RFQ
線形加速器においては、ヴェイン電極122、122お
よび124、124の間に高周波四重極電場が発生する
と、円筒状空洞120とヴェイン電極122、122を
支えるステム126、126との間にA→B→C→D方
向に高周波電流が流れるようになり、ステム126、1
26およびヴェイン電極122、122および124、
124の周りに磁場が発生するようになる。
【0012】図11は、図9および図10に示した上記
した分割同軸型RFQ線形加速器において、ヴェイン電
極122、122および124、124間の静電容量
(キャパシタンス)をCV、ステム126、126の周
りのインダクタンスをLS、ヴェイン電極122、12
2および124、124の周りのインダクタンスをLT
としたときの等価共振回路を示している。
【0013】図11の等価共振回路より、この空洞共振
器の共振周波数Fは、 F=1/〔2π×{CV(LS+LT)}1/2〕 によって与えられる。
【0014】従って、図9および図10に示した上記し
た分割同軸型RFQ線形加速器にあっては、図7および
図8に示した従来の四翼型RFQ線形加速器と比較する
と、インダクタンスを大きくすることができるので、同
サイズの従来の四翼型RFQ線形加速器よりも共振周波
数を低下させることができるようになるものであって、
空洞共振器のサイズの大型化を抑制することができるも
のであった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の分割同軸型RFQ線形加速器であっては、従来
の四翼型RFQ線形加速器と比較すると共振周波数を低
下させることができるものであったが、例えば、20M
HZ 以下の共振周波数を得ようとすると、空洞共振器の
直径寸法および長さが大きいものになってしまう恐れが
あるという問題点があった。
【0016】本発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、低い共振周波数領域が必要な場合において、従来
の分割同軸型RFQ線形加速器よりさらに小型化が可能
なRFQ線形加速器を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明におけるRFQ線形加速器は、内部が真空状
態とされた導電性の筒状筐体内に、先端部を長さ方向に
波形状に形成した4枚のヴェイン電極を、上記筒状筐体
内のビーム加速軸に沿って直交するように対向させると
ともに、上記4枚のヴェイン電極のうち相対向するヴェ
イン電極は山と山あるいは谷と谷とが向かい合い、かつ
上記4枚のヴェイン電極のうち互いに隣合うヴェイン電
極は山と谷とが隣合うようにして配置し、上記4枚のヴ
ェイン電極の波形状に形成された上記先端部に囲まれた
上記ビーム加速軸領域に入射された荷電粒子を、高周波
電場によって収束および加速して出射するRFQ線形加
速器において、上記筒状筐体内に、上記4枚のヴェイン
電極を上記ビーム加速軸方向に沿って包囲する導電性の
中間筒体を配置し、上記中間筒体を導電性のステムを介
して上記筒状筐体の内側壁に支持するとともに、上記4
枚のヴェイン電極のうち、一方の対向する一対のヴェイ
ン電極を上記中間筒体の内壁面に支持し、かつ他方の対
向する一対のヴェイン電極を上記筒状筐体の上記ビーム
加速軸方向の両端部に支持するようにしたものである。
【0018】
【作用】上記のようにして構成された本発明によるRF
Q線形加速器は、他方の一対のヴェイン電極を内導体と
し中間筒体を外導体とする第一の同軸線路の周りに、中
間筒体を内導体とし筒状筐体を外導体とする第二の同軸
線路が折り返されるように結合した折り返し同軸型の構
造となっており、各ヴェイン電極間で囲まれたビーム加
速軸領域に高周波電場が発生するとともに、ヴェイン電
極を囲むようにして中間筒体の内部に磁場が発生し、こ
の磁場により他方の一対のヴェイン電極および中間筒体
の内部に高周波電流を誘起する。
【0019】上記高周波電流は、筒状筐体の内面、ステ
ムの表面、中間筒体の外面を流れ、中間筒体の周りおよ
びステムの周りに磁場を発生させる。
【0020】従って、本発明による折り返し同軸型構造
を備えたRFQ線形加速器では、従来の分割同軸型RF
Q線形加速器の場合と比較して、他方の一対のヴェイン
電極と中間筒体との間の静電容量、および他方の一対の
ヴェイン電極周りのインダクタンスが付加されたことに
なり、同程度の大きさの従来の分割同軸型RFQ線形加
速器よりもさらに低い共振周波数を得ることができるの
で、小型のRFQ線形加速器を得ることができる。
【0021】
【実施例】以下図面に基づいて、本発明によるRFQ線
形加速器の一実施例を詳細に説明するものとする。
【0022】図1は、本発明によるRFQ線形加速器の
第一の実施例を示す横断面図であり、図2は図1の縦断
面図であり、図3は本発明によるRFQ線形加速器にお
ける等価共振回路図であって、内部が真空状態とされた
導電性の円筒空洞からなる筒状筐体10の内部には、導
電性の中間筒体12が配置され、この中間筒体12がス
テム14、14により筒状筐体10の内側壁に支持され
ている。
【0023】中間筒体12の内部には、先端部を長さ方
向に波形状に形成した4枚のヴェイン電極(四重極電
極)16、16および18、18が、ビーム加速軸に沿
って直交するように対向して配設され、相対向するヴェ
イン電極16、16および18、18は、それぞれ山と
山あるいは谷と谷とが向かい合うとともに、互いに90
度隔てた隣合うヴェイン電極16、16とヴェイン電極
18、18とは、山と谷とが交互に隣合うように配置さ
れた構成とされている。
【0024】そして、これらのヴェイン電極16、16
および18、18のうちで、一方の対向する一対のヴェ
イン電極16、16は中間筒体12の内壁面に電気的に
短絡されて支持されており、他方の対向する一対のヴェ
イン電極18、18は筒状筐体10の軸方向の両方の端
面10aに支持されることにより、空洞共振器が構成さ
れている。
【0025】さらに、筒状筐体10の所定位置には高周
波導入装置20が設置されており、この高周波導入装置
20によって、一方の対向する一対のヴェイン電極1
6、16と他方の対向するヴェイン電極18、18に、
互いの符号が異なるように高周波電力を与えられてい
る。
【0026】ここにおいて、上記したように構成された
RFQ線形加速器は、図上水平方向に配置された左右の
ヴェイン電極18、18を内導体とするとともに中間筒
体12を外導体とする第一の同軸線路の周りに、中間導
体12を内導体とするとともに筒状筐体10を外導体と
する第二の同軸線路が、折り返されるように結合された
構造となっているものであって、以下の説明において
は、このような構造を備えた本発明によるRFQ線形加
速器を、「折り返し同軸型RFQ線形加速器」と称して
説明することとする。
【0027】次に、上記したように構成された折り返し
同軸型RFQ線形加速器の動作原理について説明する。
【0028】まず、各ヴェイン電極16、16および1
8、18間で囲まれたビーム加速軸領域に高周波電場が
発生するとともに、ヴェイン電極18、18を囲むよう
にして、中間筒体12の内部に磁場が発生する。この磁
場は、ヴェイン電極18、18および中間筒体12の内
部に高周波電流を誘起する。
【0029】この高周波電流は、筒状筐体10の内面、
ステム14、14の表面、中間筒体12の外面を流れ、
中間筒体12の周りおよびステム14、14の周りに磁
場を発生させる。
【0030】図3には、本発明による折り返し同軸型R
FQ線形加速器において、各ヴェイン電極16、16お
よび18、18間の静電容量をCV1、左右のヴェイン電
極18、18と中間筒体12との間の静電容量をCV2
ステム14、14の周りのインダクタンスをLS、中間
筒体12の周りのインダクタンスをLT1、左右のヴェイ
ン電極18、18の周りのインダクタンスをLT2とした
ときの等価共振回路が示されている。
【0031】図3の等価共振回路から、本発明による折
り返し同軸型RFQにおける共振周波数Fは、 F=1/〔2π×{(CV1+CV2)(LS+LT1
T2)}1/2〕 によって与えられる。
【0032】従って、本発明による折り返し同軸型RF
Q線形加速器では、従来の分割同軸型RFQ線形加速器
の場合と比較して、ヴェイン電極18、18と中間筒体
12との間の静電容量CV2、およびヴェイン電極18、
18周りのインダクタンスLT2が付加されたことにな
り、低い共振周波数を必要とする場合にも、従来の分割
同軸型RFQ線形加速器と同程度の大きさにおいて、さ
らに共振周波数Fを下げることができるものであり、小
型のRFQ線形加速器を得ることができる。
【0033】図4および図5は、それぞれ本発明による
RFQ線形加速器の第二の実施例を示す横断面図および
縦断面図であり、第一の実施例と同一あるいは相当する
構成に関しては、同一の符号を付して示すことにより、
構成および作用の詳細な説明は省略するものとする。
【0034】この第二の実施例においては、内部が真空
状態とされた導電性の円筒空洞からなる筒状筐体10の
側壁部に、筒状筐体10の内部と連通するように同軸筐
体22が設置されており、筒状筐体10の内部に配置さ
れた導電性の中間筒体12は、ステム14により同軸筐
体22の中心部を通って底壁面に支持されている。
【0035】同軸筐体22の内部には、ステム14の周
囲を囲む可動短絡板24が設けられており、この可動短
絡板24は図示しない駆動装置により作動アーム26を
介して、ステム14の長手方向に摺動自在に設置されて
いる。
【0036】従って、同軸筐体22内の可動短絡板24
を上下に摺動させ、ステム14の電気的長さを変化させ
ることにより、ステム14の周りのインダクタンスLS
が 変化するので、筒状筐体10の共振周波数を可変に
することができる。
【0037】即ち、本発明の第一の実施例であるRFQ
線形加速器の側壁部に、筒状筐体10の内部と連通する
ように同軸筐体22を設置し、この同軸筐体22の内部
にステム14の周囲を囲む可動短絡板24を設け、同軸
筐体22内の可動短絡板24を上下に摺動させ、ステム
14の電気的長さを変化させることにより、ステム14
の周りのインダクタンスLSを変化させるようにしたの
で、筒状筐体1 0の共振周波数を可変することができ
るようになる。
【0038】ここにおいて、上記した第二の実施例によ
るRFQ線形加速器は、ステム14の周りに設置された
同軸筐体22内の可動短絡板24により、ステム14の
電気的長さを変えることで共振周波数を可変することが
できるものであるから、必要な共振周波数に応じて、同
軸筐体22および可動短絡板24の大きさを適宜選択す
れば、任意の共振周波数に可変できるRFQ線形加速器
を得ることができる。
【0039】なお、共振周波数を可変とするための構成
は、上記した第二の実施例に示されたように、筒状筐体
10と連通する同軸筐体22内に可動短絡板24を配置
する構成の他に、筒状筐体10あるいは同軸筐体22内
に、所謂、可動パネルあるいは可動箱などを配設するよ
うな構成としてもよい。
【0040】また、上記第一の実施例においてはステム
14を二本とする一方で、第二実施例においてはステム
14を一本としたが、ステム14の本数や取付位置はこ
れに限定されるものではなく、ステム14の本数および
取付け位置は、筒状筐体10および中間筒体12の容積
や高周波電力の大きさに対応して適宜選択するようにし
てよい。
【0041】さらに、中間筒体12は筒状筐体10の中
心部にある必要はなく、筒状筐体10の中心部より偏心
した位置であってもよい。
【0042】さらにまた、筒状筐体10や中間筒体12
などの断面は円筒形に限らず、角筒形や多角筒形であっ
ても、電気的な作用に差異はないものである。
【0043】図6は、本発明によるRFQ線形加速器を
実機に適用した場合の要部を示す一部破断した斜視図で
あり、内部が真空状態とされた導電性の角筒状空洞から
なる筒状筐体30の内部には、導電性の中間筒体32が
配置され、この中間筒体32の底面が支持ガイシ34、
34を介して筒状筐体30の底面部に支持されていると
ともに、中間筒体32の上部がステム36により筒状筐
体30の上面部に支持されている。
【0044】上記中間筒体32の内部には、先端部を長
さ方向に波形状に形成した4枚のヴェイン電極(四重極
電極)38、38および40、40が、ビーム加速軸に
沿って直交するように配置されている。
【0045】そして、これらのヴェイン電極38、38
および40、40のうちの、一方の対向する一対のヴェ
イン電極38、38は中間筒体32の内壁面に支持さ
れ、他方の対向する一対のヴェイン電極40、40は筒
状筐体30の軸方向の両方の端面30a、30aに支持
されていて、互いに符号の異なる高周波電力が与えられ
るようになされている。
【0046】また、上記ステム36の周囲には、可動短
絡板42が設けられており、この可動短絡板42は図示
しない駆動装置によりステム36に沿って上下に摺動自
在に設置されている。
【0047】そこで、上記筒状筐体30の成形寸法を縦
70cm、横70cm、長さ150cmとし、可動短絡
板40の板厚7.5cmとし、可動短絡板42と中間筒
体32の面との間隔を2cm〜35cmのストローク範
囲で摺動できるように設定したとき、最大の間隔35c
mで16MHzの共振周波数が得られ、最小の間隔2c
mで40MHzの共振周波数が得られた。そして、この
時の荷電粒子の電荷qは最高値で450KeV/qまで
加速することができた。
【0048】このように、図6に示す本発明によるRF
Q線形加速器によれば、可動短絡板42をステム36に
沿って摺動させることにより、共振周波数を16MHz
〜40MHzの範囲で任意に変化させることができる。
【0049】ところで、上記したRFQ線形加速器にお
いては、ステムを片側に付けるなどのことを行ったとき
に、空洞内の電極配置の上下あるいは左右の対称性が崩
れ、そのためにヴェイン電極内の電場の対称性が悪くな
る場合がある。しかしながら、このような場合には、筒
状筐体の前後面から、中間筒体を包むようにしてキャッ
プ状電極を取り付けると、ヴェイン電極内の電場の対称
性をかなり回復することができる。図12乃至図15を
参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0050】図6に示すRFQ線形加速器においては、
筒状筐体30内におけるヴェイン電極38、38および
40、40の配置は上下非対称になっており、このため
共振周波数が高くなると、ヴェイン電極38、38およ
び40、40内の電場の対称性が悪くなる。中間筒体3
2の出口付近で、対称軸からわずかに水平方向にずれた
場所(図11上の破線示す箇所)での電場の計算例を図
13に示す。
【0051】図13において、横軸は垂直方向の位置
(目盛りはメートル)であり、縦軸は電場の水平方向成
分である。本来ならば、中心の部分は破線で示すように
水平になっていなければならないが、図13における計
算例では実線で示すように傾いている。
【0052】ところが、図14乃至図15に示すよう
に、一方の端部を筒状筐体30の軸方向の端面30a、
30aにそれぞれ支持した一対の筒状のキャップ状電極
50、50を、中間筒体32の両端部32aを包むよう
にしてそれぞれ取り付けると、図13において破線で示
すように中心の部分が水平になる。
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0054】内部が真空状態とされた導電性の筒状筐体
内に、先端部を長さ方向に波形状に形成した4枚のヴェ
イン電極を、筒状筐体内のビーム加速軸に沿って直交す
るように対向させるとともに、4枚のヴェイン電極のう
ち相対向するヴェイン電極は山と山あるいは谷と谷とが
向かい合い、かつ4枚のヴェイン電極のうち互いに隣合
うヴェイン電極は山と谷とが隣合うようにして配置し、
4枚のヴェイン電極の波形状に形成された先端部に囲ま
れたビーム加速軸領域に入射された荷電粒子を、高周波
電場によって収束および加速して出射するRFQ線形加
速器において、筒状筐体内に、4枚のヴェイン電極をビ
ーム加速軸方向に沿って包囲する導電性の中間筒体を配
置し、中間筒体を導電性のステムを介して筒状筐体の内
側壁に支持するとともに、4枚のヴェイン電極のうち、
一方の対向する一対のヴェイン電極を中間筒体の内壁面
に支持し、かつ他方の対向する一対のヴェイン電極を筒
状筐体のビーム加速軸方向の両端部に支持するようにし
たので、従来の分割同軸型RFQ線形加速器の場合と比
較して、他方の対向する一対のヴェイン電極と中間筒体
との間の静電容量、および他方の対向する一対のヴェイ
ン電極周りのインダクタンスが付加されたことになる。
【0055】従って、本発明によれば、低い共振周波数
を必要とする場合にも、従来の分割同軸型RFQ線形加
速器と同程度の大きさにおいて、さらに共振周波数を下
げることができるものであり、小型のRFQ線形加速器
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるRFQ線形加速器の第一の実施例
を示す横断面図である。
【図2】図1に示すRFQ線形加速器の縦断面図であ
る。
【図3】本発明によるRFQ線形加速器の等価共振回路
図である。
【図4】本発明によるRFQ線形加速器の第二の実施例
を示す横断面図である。
【図5】図4に示すRFQ線形加速器の縦断面図であ
る。
【図6】本発明によるRFQ線形加速器を実機に適用し
た場合の要部を示す一部を破断した斜視図である。
【図7】従来から使用されている四翼型RFQ加速器の
横断面図である。
【図8】図7に示す四翼型RFQ線形加速器の縦断面図
である。
【図9】従来の分割同軸型RFQ加速器を示す横断面図
である。
【図10】図9の分割同軸型RFQ加速器の縦断面図で
ある。
【図11】従来の分割同軸型RFQ加速器における等価
共振回路図である。
【図12】図6に示すRFQ線形加速器において電場を
計算した位置を示す概略横断面図である。
【図13】図6に示すRFQ線形加速器の図12に示し
た電場を計算した位置における電場分布を示すグラフで
ある。
【図14】図6に示すRFQ線形加速器においてキャッ
プ状電極を取り付けた状態を示す概略横断面図である。
【図15】図6に示すRFQ線形加速器においてキャッ
プ状電極を取り付けた状態を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
10 筒状筐体 10a 端面 12 中間筒体 14 ステム 16 ヴェイン電極 18 ヴェイン電極 20 高周波導入装置 22 同軸筐体 24 可動短絡板 26 作動アーム 32 中間筒体 32a 端部 50 キャップ状電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮沢 佳敏 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 逸見 政武 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 千葉 利哉 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 矢野 安重 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05H 9/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が真空状態とされた導電性の筒状筐
    体内に、先端部を長さ方向に波形状に形成した4枚のヴ
    ェイン電極を、前記筒状筐体内のビーム加速軸に沿って
    直交するように対向させるとともに、前記4枚のヴェイ
    ン電極のうち相対向するヴェイン電極は山と山あるいは
    谷と谷とが向かい合い、かつ前記4枚のヴェイン電極の
    うち互いに隣合うヴェイン電極は山と谷とが隣合うよう
    にして配置し、前記4枚のヴェイン電極の波形状に形成
    された前記先端部に囲まれた前記ビーム加速軸領域に入
    射された荷電粒子を、高周波電場によって収束および加
    速して出射するRFQ線形加速器において、 前記筒状筐体内に、前記4枚のヴェイン電極を前記ビー
    ム加速軸方向に沿って包囲する導電性の中間筒体を配置
    し、前記中間筒体を導電性のステムを介して前記筒状筐
    体の内側壁に支持するとともに、前記4枚のヴェイン電
    極のうち、一方の対向する一対のヴェイン電極を前記中
    間筒体の内壁面に支持し、かつ他方の対向する一対のヴ
    ェイン電極を前記筒状筐体の前記ビーム加速軸方向の両
    端部に支持するようにしたことを特徴とするRFQ線形
    加速器。
  2. 【請求項2】 前記中間筒体を前記筒状筐体の内側壁に
    支持する前記ステムの電気的長さを可変する可変装置を
    備えた請求項1記載のRFQ線形加速器。
  3. 【請求項3】 前記中間筒体の両端部をつつみこむキャ
    ップ状電極を備えた請求項1または2のいずれか1項に
    記載のRFQ線形加速器。
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