JP2835951B2 - エネルギー可変型rfq加速装置およびイオン打込み装置 - Google Patents

エネルギー可変型rfq加速装置およびイオン打込み装置

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JP2835951B2 JP8197147A JP19714796A JP2835951B2 JP 2835951 B2 JP2835951 B2 JP 2835951B2 JP 8197147 A JP8197147 A JP 8197147A JP 19714796 A JP19714796 A JP 19714796A JP 2835951 B2 JP2835951 B2 JP 2835951B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MeV領域までの
高エネルギーイオン打込み装置などに利用されるエネル
ギー可変型RFQ加速装置に係り、特に、さまざまなア
プリケーションに対応できるように広範囲のエネルギー
を任意に選択でき長時間の連続運転も可能なRFQ加速
装置およびそれを応用したイオン打込み装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エネルギー可変型RFQ加速(Radio F
requency Quadrupole Accelerator)装置すなわち高周
波四重極加速装置としては、特開平 4−006800号公報,
特開平5−021199号公報,特開平5−082298号公報,特開
平5−159899号公報に記載されているインダクタンス可
変型(L可変型)と、特開昭60−115199号公報,特開平 3
−179699公報,特開平 5−307999号公報,特開平 5−32
6193号公報に記載されている容量可変型(C可変型)とが
ある。L可変型RFQ加速装置の代表的な例を、図9
(特開平 5−021199号),図10(特開平 5−082298号),
図11(特開平特開平 5−159899号)に示す。
【0003】図9は、従来のL可変型RFQ加速装置の
一例を示す正断面図である。四重極電極2a,2b,2
c,2dに電圧を発生させるため、共通導体21,22
がそれぞれ四重極電極2b,2cに接続され、共通導体
21,22にはそれぞれ平行導体11,12が接続され
ている。平行導体11,12は、可動短絡板7で一まと
めに接続されている。可動短絡板7は、ソケット10を
介して平行導体11,12により支えられて、RFQ電
極に近づく方向にまたはRFQ電極から遠ざかる方向に
移動できる。四重極電極2a,2b,2c,2dの電気
容量と平行導体11,12および可動短絡板7で形成さ
れるワンターンコイルのインダクタンスで高周波共振を
成立させ、四重極電極2a,2b,2c,2d間に高周
波高電圧を発生させる。四重極電極2a,2cおよび2
b,2dは、電極固定枠3,4にそれぞれ固定されてお
り、それぞれの電極固定枠3,4は、絶縁碍子などの絶
縁ブロック15を介して、真空容器1の床面に敷設した
ベース14に固定されている。四重極電極2a,2b,
2c,2dとこれに接続されたワンターンコイルとは、
真空容器内1に設置してある。この場合、真空容器1の
壁は、メインの高周波共振回路の電流パスにはなってい
ない。
【0004】図12は、図9に示した従来のエネルギー
可変型RFQ加速装置の要部のみを簡略表示する正断面
図である。すなわち、図9の回路を簡略化すると、図1
2に示すような回路構成になる。
【0005】図13は、図12のL可変型RFQ加速装
置の変形例(特開平 7−131477号公報)を示す正断面図で
ある。図13に示すL可変型RFQ加速装置は、図12
に示したコイルの摺動部に用いているソケット10の代
わりに、耐久性のあるベローズを採用し、さらに磁場の
戻りを利用し、四重極電極2a,2b,2c,2dの電
気容量,平行導体11,13,可動短絡板7の上半分で
形成されるワンターンコイルと、四重極電極2a,2
b,2c,2dの電気容量,平行導体12,13,可動
短絡板7の下半分で形成されるワンターンコイルという
2個のワンターンコイルを配置してあり、電力利用効率
が良い省電力型のL可変型RFQ加速装置となってい
る。
【0006】図10は、従来のL可変型RFQ加速装置
の他の例を示す正断面図である。四重極電極のうち対向
電極対2a,2bおよび2c,2dは、電極固定枠3お
よび4でそれぞれ固定され、伸縮ベローズ23,24内
に移動可能に設けられた支持軸25,26により支持さ
れている。ベース14と電極固定枠3,4とは、導電性
の伸縮ベローズ23,24により短絡されている。支持
軸25,26は、大気側に設けられた伸縮駆動機構によ
り駆動され、上下に移動する。図10の従来例は、電極
固定枠3,4,伸縮ベローズ23,24,ベース14の
うち、隣同士の伸縮ベローズ23,24間の部分で形成
されるインダクタンスとRFQ電極間の容量とで高周波
に共振する。ベローズを伸縮させると、インダクタンス
が変わって、共振周波数も変化する。この従来例も、図
12(図9)の場合と同様、RFQ電極および可変コイル
で構成された共振器を真空容器の中に収めた構造であ
る。
【0007】図11は、従来のL可変型RFQ加速装置
の別の例の正断面図である。この従来例は、4ヴェイン
型RFQ加速空洞を改良したエネルギー可変型RFQ加
速装置である。空洞すなわち真空容器1内には、4枚の
電極(4ヴェイン)2e,2f,2g,2hにより仕切ら
れた4つのチャンバ27があり、チャンバ27内のそれ
ぞれには、4ヴェインと長さがほぼ等しい可動短絡板7
が配置されている。駆動装置28に接続された支持棒9
により可動短絡板7を移動させ、タンク内の共振周波数
を調整し、加速エネルギーを変化させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】共振回路に流れる高周
波電流の最大値Iは、静電容量をCとし、電極間の電圧
をVとすると、 I=2πfCV で与えられる。したがって、共振回路に流れる高周波電
流の最大値Iを低減して省電力型のRFQ加速装置を実
現するには、静電容量Cが小さい方が望ましい。
【0009】C可変型の場合は、上記特開平 5−326193
号公報に記載のように、容量可変機構が滑らかであると
いう利点はあるが、四重極電極に近接する位置に複数の
金属板を配置してコンデンサを構成しており、この金属
板による並列容量の分だけコンデンサの静電容量Cが大
きくなり、高周波電流の最大値Iが大きくなるので、電
力効率の改善については問題があった。また、金属板に
よる並列容量の分が大きくなるほど、C可変型としての
エネルギー可変範囲が狭くなるという問題もあった。
【0010】これに対して、L可変型RFQ加速装置
は、同一のRFQ電極を使用して共振周波数fが同一の
場合、C可変型に比べて少ない電流で同じ加速電圧が得
られるので、省電力型といえる。
【0011】しかし、従来のL可変型RFQ加速装置に
は、以下のような問題があった。図9,図12,図13
の例は、加速エネルギーが固定されていた従来のRFQ
加速装置と比較すると、エネルギー可変にした点では優
れているが、RFQ加速装置をコンパクト化すること
と、多重共振を避けることについての配慮がなされてい
ない。
【0012】これらの従来例は、加速器一式をそっくり
真空容器内に収めた構造なので、加速器と真空容器壁と
の間には、絶縁距離以上のスペースを確保する必要があ
り、装置をコンパクトにするには限界があった。また、
確保された絶縁距離以上のスペースが、真空容器内で多
重共振を引き起こす原因となり、高周波損失部分による
過熱が発生し、電力利用効率が悪くなるという問題があ
った。さらに、RFQ電極の支持に絶縁物を使用してい
るため、大電力投入の際に絶縁物が誘導加熱され、電力
損失が起き、長時間の連続運転が困難であるという問題
もあった。
【0013】図10の従来技術も、加速エネルギーが固
定されていた従来のRFQ加速装置と比較すると、エネ
ルギー可変にした点では優れているが、エネルギー可変
範囲の広さについては考慮していない。電極固定枠3,
4,伸縮ベローズ23,24,隣同士の伸縮ベローズ2
3,24間のベース14でワンターンコイルを形成して
あり、ベローズを伸縮させれば、コイルの断面積を変え
てインダクタンスを変化させることはできるが、コイル
の長さすなわちビーム進行方向に直角な方向の長さを変
えられないために、インダクタンスの可変範囲が制限さ
れ、可変範囲を広くとれなかった。さらに、ベース14
に載った加速器を真空容器1内に収めた構造であるか
ら、上記従来例と同様に、加速器と真空容器壁との間に
は絶縁距離以上のスペースを確保する必要があり、加速
装置全体が巨大となり、多重共振が生ずる問題があっ
た。
【0014】上記図11の従来技術は、加速器と真空容
器壁との間にスペースがなく、多重共振を起こさないと
いう点では優れているが、装置全体としてコンパクトに
する考慮がなされていない。空洞内には4個のコイルが
あるため、真空容器の断面積が大きくなり、低周波数で
動作させる場合には、特に巨大化する。
【0015】なお、特開平 4−006800号公報は、本発明
の適用対象とはタイプが異なる同軸型(SC型:split-c
oaxial)RFQ加速装置のエネルギー可変構造を提案し
ている。この装置においては、ステムおよびその駆動機
構が真空容器外で直交する少なくとも2方向に突出して
配置されており、装置全体をコンパクト化しようという
配慮がほとんど無かった。また、4枚のヴェインの対称
性にも問題があった。
【0016】本発明の目的は、電力効率が良くエネルギ
ー可変範囲が広くコンパクトで長時間の安定した連続運
転も可能なエネルギー可変型RFQ加速装置を提供する
ことである。
【0017】本発明の他の目的は、低エネルギー領域か
ら高エネルギー領域までを広い範囲をカバーでき、例え
ば半導体工場で使用可能なほどコンパクトで省電力型の
エネルギー可変型RFQ加速装置を備えたイオン打込み
装置などを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、真空容器と、対向面を波打たせた第1お
よび第2の四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なく
とも2個配置され前記第1の四重極電極を取り付けられ
た第1の電極固定枠と、前記真空容器の一方の側壁に側
面を固定され前記第1の電極固定枠と交互に前記イオン
ビーム軸方向に少なくとも2個配置され前記第2の四重
極電極を取り付けられた第2の電極固定枠と、前記第1
の電極固定枠を真空容器の上壁,下壁に対して固定する
第1の電極固定枠支持部材と、前記第2の電極固定枠の
他の側面を前記真空容器の他方の側壁に対して固定し前
記真空容器内の空間を上下にほぼ二分する第2の電極固
定枠支持部材と、前記第2の電極固定枠支持部材および
前記真空容器の上壁または下壁に高周波的に接触しつつ
左右方向にそれぞれ移動可能な第1および第2の可動短
絡板と、前記上下の空間の少なくとも一方に配置され外
部からのエネルギーを送り込む一次結合コイルとからな
り、前記真空容器の上壁の一部と第1の電極固定枠支持
部材と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠
支持部材と第1の可動短絡板とが、第1の二次結合コイ
ルを形成し、前記真空容器の下壁の一部と第1の電極固
定枠支持部材と第1および第2の電極固定枠と第2の電
極固定枠支持部材と第2の可動短絡板とが、第2の二次
結合コイルを形成するエネルギー可変型RFQ加速装置
を提案する。
【0019】本発明は、また、上記目的を達成するため
に、真空容器と、対向面を波打たせた第1および第2の
四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なくとも2個配
置され前記第1の四重極電極を取り付けられた第1の電
極固定枠と、前記第1の電極固定枠と交互に前記イオン
ビーム軸方向に少なくとも2個配置され前記第2の四重
極電極を取り付けられた第2の電極固定枠と、前記第1
の電極固定枠を左右のほぼ中心で真空容器の上壁に対し
て固定する第1の電極固定枠支持部材と、前記第2の電
極固定枠を左右のほぼ中心で真空容器の下壁に対して固
定する第2の電極固定枠支持部材と、前記第1および第
2の電極固定枠支持部材により左右にほぼ二分された前
記真空容器の上壁および下壁に高周波的に接触しつつ左
右方向にそれぞれ移動可能な第1および第2の可動短絡
板と、前記左右の空間の少なくとも一方に配置され外部
からのエネルギーを送り込む一次結合コイルとからな
り、前記真空容器の上壁の一部と第1の電極固定枠支持
部材と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠
支持部材と前記真空容器の下壁の一部と第1の可動短絡
板とが、第1の二次結合コイルを形成し、前記真空容器
の下壁の一部と第2の電極固定枠支持部材と第2および
第1の電極固定枠と第1の電極固定枠支持部材と前記真
空容器の上壁の一部と第2の可動短絡板とが、第2の二
次結合コイルを形成するエネルギー可変型RFQ加速装
置を提案する。
【0020】本発明は、さらに、上記目的を達成するた
めに、真空容器と、対向面を波打たせた第1および第2
の四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なくとも2個
配置され前記第1の四重極電極を取り付けられた第1の
電極固定枠と、前記真空容器の上壁から上面を離し前記
第1の電極固定枠と交互に前記イオンビーム軸方向に少
なくとも2個配置され前記第2の四重極電極を取り付け
られた第2の電極固定枠と、前記第1の電極固定枠を真
空容器の左右側壁に対して固定する第1の電極固定枠支
持部材と、前記第2の電極固定枠の下面を前記真空容器
の下壁に対して固定し前記真空容器内の空間を左右にほ
ぼ二分する第2の電極固定枠支持部材と、前記第2の電
極固定枠支持部材および前記真空容器の右壁または左壁
にそれぞれ高周波的に接触しつつ上下方向に移動可能な
第1および第2の可動短絡板と、前記左右の空間の少な
くとも一方に配置され外部からのエネルギーを送り込む
一次結合コイルとからなり、前記真空容器の右壁の一部
と第1の電極固定枠支持部材と第1および第2の電極固
定枠と第2の電極固定枠支持部材と第1の可動短絡板と
が、第1の二次結合コイルを形成し、前記真空容器の左
壁の一部と第1の電極固定枠支持部材と第1および第2
の電極固定枠と第2の電極固定枠支持部材と第2の可動
短絡板とが、第2の二次結合コイルを形成するエネルギ
ー可変型RFQ加速装置を提案する。
【0021】本発明は、上記目的を達成するために、真
空容器と、対向面を波打たせた第1および第2の四重極
電極と、イオンビーム軸方向に少なくとも2個配置され
前記第1の四重極電極を取り付けられた第1の電極固定
枠と、前記真空容器の一方の側壁に固定され前記第1の
電極固定枠と交互に前記イオンビーム軸方向に少なくと
も2個配置され前記第2の四重極電極を取り付けられた
第2の電極固定枠と、前記第1の電極固定枠を真空容器
の下壁に対して固定する第1の電極固定枠支持部材と、
前記真空容器の上壁および下壁に高周波的に接触しつつ
左右方向に移動可能な可動短絡板と、前記真空容器内に
配置され外部からのエネルギーを送り込む一次結合コイ
ルとからなり、前記真空容器の上壁の一部と可動短絡板
と真空容器の下壁の一部と第1の電極固定枠支持部材と
第1および第2の電極固定枠とが、二次結合コイルを形
成するエネルギー可変型RFQ加速装置を提案する。
【0022】いずれのエネルギー可変型RFQ加速装置
も、コイルの可動短絡板のイオンビーム軸方向の長さを
連続的または離散的に変化させる手段を備えることがで
き、可動短絡板は、弾性力,空気圧,水圧,油圧,磁性
力などにより十分な接触圧を確保する高周波接触子を真
空容器壁などの接触対象との間に備えている。
【0023】いずれのエネルギー可変型RFQ加速装置
も、四重極電極の代わりに、六極以上の偶数極を持つよ
うにしてもよい。
【0024】本発明は、上記他の目的を達成するため
に、イオンビームを発生させるイオン源と、前記イオン
源から引き出されたイオンビームを質量分離する質量分
離器と、前記質量分離器からのイオンビームを収束する
収束レンズ系と、前記収束レンズ系からのイオンビーム
を更に加速するエネルギー可変型RFQ加速装置と、前
記エネルギー可変型RFQ加速装置からのイオンビーム
を偏向させる偏向器と、前記偏向器からのイオンビーム
を処理対象の材料に打ち込むイオン打込み室とを備えた
イオン打込み装置において、上記いずれかのエネルギー
可変型RFQ加速装置を前記収束レンズ系からのイオン
ビームを更に加速するRFQ加速装置として設置したイ
オン打込み装置を提案する。
【0025】本発明は、また、上記他の目的を達成する
ために、上記いずれかのエネルギー可変型RFQ加速装
置を前段加速器として設置した円形加速器を提案する。
【0026】本発明においては、可変インダクタンスの
ワンターンコイルを2個以下とし、しかも、ワンターン
コイルを真空容器壁の少なくとも一部を利用して形成し
たので、イオンビーム加速器と真空容器壁との間のスペ
ースが削減され、RFQ加速装置の寸法を小さく抑える
ことが可能となる。
【0027】イオンビーム加速器と真空容器壁との間の
スペースが削減されたので、真空容器内で多重共振が生
ずることがなくり、高周波損失部分による過熱が発生せ
ず、電力利用効率が上がる。また、熱歪に弱いセラミッ
クスなどの絶縁物を共振器内から排除できるため、絶縁
物の誘導加熱による電力損失がなくなり、長時間安定に
連続運転できるエネルギー可変型RFQ加速装置が得ら
れる。
【0028】ワンターンコイルを2個以下とすることに
よるイオンビーム加速特性への影響を検討する。ワンタ
ーンコイルを2個以下としたために、メインのRF共振
回路を形成するワンターンコイルのインダクタンスと比
較すると、RFQ電極を固定する電極固定枠のインダク
タンスは無視できるほどに小さいので、電極固定枠の両
端に発生する電圧分は、RFQ電極間の電圧に比べて、
充分無視できる。したがって、イオンビーム加速特性に
は全く影響しない。この検討結果は、図12,図13な
どに示した従来のRFQ加速装置による実験結果からも
明らかとなっている。
【0029】コイルの断面に垂直な方向が高周波四重極
電極の長手方向となるようにコイルを配置するととも
に、コイルの断面積を変化させる可動短絡板を付加する
ことにより、コイル長とコイル断面積を広範に変えられ
るので、エネルギー可変範囲が拡がり、1台のRFQ加
速装置で低エネルギー領域から高エネルギー領域までを
カバーできる。
【0030】したがって、特に、設置スペースの関係か
ら装置寸法の制約が厳しい半導体製造工場の大量生産工
程用として大電流MeVのイオンビームを発生するイオ
ン打込み装置を実現できるばかりでなく、金属,セラミ
ックスなどの材料表層を短時間で改質する大量生産用イ
オン処理装置を実現できる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、図1〜図8を参照して、本
発明によるエネルギー可変型RFQ加速装置の実施例と
この加速装置を応用したイオン打込み装置の実施例とを
説明する。
【0032】《実施例1》図1は、本発明によるエネル
ギー可変型RFQ加速装置の実施例1の構成を示す正断
面図であり、図2は、図1のX−Xに沿う側断面図であ
り、図3は、図1のZ−Zに沿う平断面図である。四重
極電極2a,2cは、電極固定枠3に取り付けられ、四
重極電極2b,2dは、電極固定枠4に取り付けられ、
所定の精度で組立てられている。電極固定枠3は、電極
固定枠支持部材5a,5bにより、真空容器1の上壁,
下壁に固定されている。電極固定枠4自体は、真空容器
1の左側壁に固定されており、電極固定枠4の支持部材
6は、真空容器1の右側壁に固定されている。電極固定
枠3および4は、それぞれのビーム軸方向に、最低2個
は必要である。本実施例では、組立て精度を高めるた
め、それぞれ6個ずつ、合計12個の電極固定枠3,4
を用いている。電極固定枠3および4は、ビーム軸方向
に交互に配置する。
【0033】電極固定枠支持部材5a,5b,6は、純
抵抗分を下げる目的で、ビーム軸方向に板状になってお
り、また、磁束が通過できるように、両端では、真空容
器1との間に隙間を形成してある。電極固定枠支持部材
6は、真空容器1内を上下2つに大きく分けている。可
動短絡板7a,7bは、駆動軸9a,9bにより、図1
で左右方向にそれぞれ移動できる。可動短絡板7a,7
bの上下接触部は、高周波接触子8により、真空容器1
の壁および電極固定枠支持部材6に確実に接触してい
る。高周波接触子8は、ばね状部品またはエアシリンダ
などにより、十分な接触圧を確保している。高周波接触
子8の接触圧は、ばねによる弾性力や空気圧の他に、水
圧,油圧,磁性力などにより確保してもよい。
【0034】実施例1では、図1の下側から一次結合コ
イル31により、下段二次コイルに高周波を結合させて
いる。上側に一次結合コイル31を配置しても、効果は
同様である。この構造により、磁束32の戻り磁束33
を利用し、電圧を効率良く発生できる。各部品は、無酸
素銅で製造し、電極固定枠3,4,電極固定枠支持部材
5a,5b,6,可動短絡板7a,7bは、30μm程
度の銀メッキを施してある。
【0035】可動短絡板7a,7bは、図1〜図3には
分割の状況が現れていないが、四重極電極の長手方向に
それぞれ四分割構造となっており、回路の共振周波数を
大きく変えるときは、1枚から4枚の範囲で枚数を増減
すれば、コイルの実質的長さを調整できる。この枚数の
増減と、駆動軸9a,9bによる可動短絡板7a,7b
の移動とを組み合わせれば、広い周波数範囲におよぶ高
周波に共振できることになる。
【0036】《実施例2》図4は、本発明によるエネル
ギー可変型RFQ加速装置の実施例2の構成を示す正断
面図であり、図5は、図4のY−Yに沿う側断面図であ
る。四重極電極2a,2cは、電極固定枠3に取り付け
られ、四重極電極2b,2dは、電極固定枠4に取り付
けられ、所定の精度で組立てられている。電極固定枠3
は、電極固定枠支持部材5により、真空容器1の上壁に
固定されている。電極固定枠4は、電極固定枠支持部材
6により、真空容器1の下壁に固定されている。電極固
定枠3および4は、それぞれビーム軸方向に、最低2個
は必要である。組立て精度を高めるため、それぞれ6
個、合計12個の電極固定枠3,4を用いている。電極
固定枠3および4は、ビーム軸方向に交互に配置する。
【0037】電極固定枠支持部材5,6は、純抵抗分を
下げる目的で、ビーム軸方向に板状になっており、ま
た、磁束が通過できるように、両端では、真空容器1と
の間に隙間を形成してある。電極固定枠支持部材5,6
は、それぞれ、電極固定枠3,4からの6本の導電板を
途中で合わせた形の板状であることが望ましい。6本の
導電板を途中で板状に合わせずに、棒状のまま真空容器
1の上壁,下壁に固定してもよい。ただし、このとき
は、共振周波数が変わるので、注意を要する。電極固定
枠支持部材5,6は、真空容器1内を左右に大きく2つ
に分けている。可動短絡板7c,7dは、駆動軸9c,
9dにより、それぞれ図4の左右方向に移動できる。可
動短絡板7c,7dの上下の接触部は、高周波接触子8
により、真空容器1の上壁,下壁に確実に接触してい
る。高周波接触子8は、ばね状部品またはエアシリンダ
などによって、十分な接触圧を確保している。可動短絡
板7c,7dは、実施例1の場合と同様に、それぞれビ
ーム軸方向に長さを変更できる。最大長は、電極固定枠
支持部材5,6の最端部程度までである。
【0038】実施例2では、図4の下側から一次結合コ
イル31により、左側二次コイルに高周波を結合させて
いる。上側に一次結合コイル31を配置しても、右側に
一次結合コイル31を配置しても、効果は同様である。
この構造により、磁束32の戻り磁束33を利用して、
電圧を効率良く発生できる。
【0039】《実施例3》図6は、本発明によるエネル
ギー可変型RFQ加速装置の実施例3の構成を示す正断
面図である。実施例3は、基本的には、図1の実施例1
を時計方向に90度回転させたものと同様の構成である
が、電極固定枠4の一端が真空容器1から離れている点
が異なる。電極固定枠支持部材6を重力方向に立てたた
め、電極固定枠4の支持が一方だけで済むようになっ
た。したがって、RFQ電極上部の高周波回路特性が変
わる。その結果、図1の実施例1では不都合な共振点が
発生することはあり得るが、実施例3ではそのような共
振点が発生するおそれを回避できる。また、上部に真空
容器1のふたを配置できるので、メインテナンス作業上
も有利となる。
【0040】《実施例4》図7は、本発明によるエネル
ギー可変型RFQ加速装置の実施例4の構成を示す側断
面図である。実施例4は、ワンターンコイルの個数が1
個の場合であり、本発明の考え方に基づいて、上記図1
2に示した従来の回路構成をコンパクト化した実施例で
ある。実施例4では、磁場の戻り磁束を電圧発生に利用
していないので、電力効率は少し低下するが、同一周波
数の場合、断面積が確実に小さくなり、図1の実施例1
と比較して、装置寸法を 約0.7倍に小さくできる利点
がある。この実施例4は、低エネルギー加速装置への応
用に適した構造である。
【0041】《実施例5》図8は、本発明の応用装置と
してのイオン打込み装置の系統構成の一例を示す模式図
である。実施例5のイオン打込み装置において、イオン
源101から出射したイオンビームは、質量分離器10
2により偏向される。イオン源101は、マイクロ波放
電型,フィラメント型などの正イオン源であり、引出し
電極に20〜60kV程度の電圧を印加してイオンビー
ムを引出す。質量分離器102は、扇型電磁石であり、
大電流を通過させるために、磁極間のギャップ長(ビー
ムの通過領域)を60mm以上に広くとってある。質量
分離されたイオンビームは、三段型の磁気四重極レンズ
103で収束された後、RFQ加速装置104に入射す
る。
【0042】RFQ加速装置104は、例えば、図1に
示した本発明による実施例1のエネルギー可変型高周波
四重極加速装置である。この場合は、最大出力100k
Wの高周波電源(10〜30MHz)106により、RF
Q電極間に加速電圧を発生させた。加速ビームは、偏向
器108を通過して、打込み室105内に設置されたシ
リコン半導体ウエハやチタンなどの金属材料に、イオン
として打込まれる。
【0043】実施例1から実施例4のいずれのエネルギ
ー可変型RFQ加速装置も、図8のイオン打込み装置用
のコンパクトなRFQ加速装置として使用できる。本発
明によれば、数百keVから数MeVまでの任意の広い
エネルギー範囲で、ミリアンペアオーダの大電流のイオ
ンを長時間に亘り安定してターゲットに打込めるように
なる。特に、導電性の電極固定枠支持部材を用いて、ワ
ンターンコイルの一部を兼ねさせているので、従来問題
であったRFQ加速装置内の絶縁碍子による電力損失が
なくなり、真空度の劣化もなく、低電力で運転できる効
果がある。したがって、長時間安定な性能を保つ大電流
かつ高エネルギーのイオン打込み装置が得られる。
【0044】なお、本発明は、シンクロトロンなどの円
形加速器用の前段加速器としても、十分に利用可能であ
る。また、本発明は、ここで説明した四重極電極のRF
Q加速装置の代わりに、六極以上の偶数極を持つ多重極
電極のRFQ加速装置に適用しても、同様の効果をもた
らす。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、四重極電極に加速電圧
を発生させるため、電極固定枠,導電性の電極固定枠支
持部材,真空容器の内壁の一部,可動短絡板で形成され
るワンターンコイルのインダクタンスとRFQ電極自身
の持つ静電容量とにより所定の高周波の共振回路を形成
し、エネルギー可変型RFQ加速装置とし、可動短絡板
を左右に移動させて共振周波数を変化させ、真空容器の
内壁の一部を回路として使用してワンターンコイルとす
る構成を採用したので、RFQ加速装置内に従来設置さ
れていた絶縁碍子による電力損失や真空度の劣化がなく
なり、数百keVから数MeVまでの任意の広いエネル
ギー範囲で長時間安定して連続運転できる大電流高エネ
ルギーのイオン打込み装置が得られる。
【0046】また、エネルギー可変型の高エネルギーイ
オン打込み装置に適用すると、1ミリアンペア以上の桁
の大電流領域で数百keVから数MeVまでの任意の広
いエネルギーのイオンビームを長時間に亘り安定して発
生できるコンパクトでエネルギー可変型の高エネルギー
イオン打込み装置を提供できる。
【0047】より具体的には、装置寸法上の制約が特に
厳しい半導体製造工場などの大量生産工程において、大
電流でMeVクラスのイオンビームを利用できるように
するばかりではなく、金属,セラミックスなどの材料表
層を短時間で改質可能な大量生産用イオン処理装置を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエネルギー可変型RFQ加速装置
の実施例1の構成を示す正断面図である。
【図2】図1のエネルギー可変型RFQ加速装置の実施
例1のX−Xに沿う側断面図である。
【図3】図1のエネルギー可変型RFQ加速装置の実施
例1のZ−Zに沿う平断面図である。
【図4】本発明によるエネルギー可変型RFQ加速装置
の実施例2の構成を示す正断面図である。
【図5】図4のエネルギー可変型RFQ加速装置の実施
例2のY−Yに沿う側断面図である。
【図6】本発明によるエネルギー可変型RFQ加速装置
の実施例3の構成を示す正断面図である。
【図7】本発明によるエネルギー可変型RFQ加速装置
の実施例4の構成を示す正断面図である。
【図8】本発明の応用装置としてのイオン打込み装置の
系統構成の一例を示す模式図である。
【図9】従来のエネルギー可変型RFQ加速装置の一例
を示す正断面図である。
【図10】従来のエネルギー可変型RFQ加速装置の側
断面図である。
【図11】従来のエネルギー可変型RFQ加速装置の側
断面図である。
【図12】図9に示した従来のエネルギー可変型RFQ
加速装置の要部のみを簡略表示する正断面図である。
【図13】図12の従来のエネルギー可変型RFQ加速
装置の変形例を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2a〜2d 四重極電極(4ロッド) 2e〜2h 四重極電極(4ヴェイン) 3,4 電極固定枠 5,6 電極固定枠3,4の導電性支持部材 7a〜7d 可動短絡板 8 高周波接触子 9a〜9d 駆動軸 10 ソケット 11 平行導体 12 平行導体 14 ベース 15 絶縁ブロック 23 伸縮べローズ 24 伸縮べローズ 25 支持軸 26 支持軸 27 チャンバ 28 駆動装置 31 一次結合コイル 32 磁束(手前から紙面に向う方向) 33 磁束(紙面から手前に向う方向) 101 イオン源 102 質量分離器 103 磁気四重極レンズ 104 RFQ加速装置 105 打込み室 106 高周波電源 108 偏向器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 登木口 克己 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 電力・電機開発 本部内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05H 9/00 - 9/04 H01J 37/04 H01J 37/317

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、対向面を波打たせた第1お
    よび第2の四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なく
    とも2個配置され前記第1の四重極電極を取り付けられ
    た第1の電極固定枠と、前記真空容器の一方の側壁に側
    面を固定され前記第1の電極固定枠と交互に前記イオン
    ビーム軸方向に少なくとも2個配置され前記第2の四重
    極電極を取り付けられた第2の電極固定枠と、前記第1
    の電極固定枠を真空容器の上壁,下壁に対して固定する
    第1の電極固定枠支持部材と、前記第2の電極固定枠の
    他の側面を前記真空容器の他方の側壁に対して固定し前
    記真空容器内の空間を上下にほぼ二分する第2の電極固
    定枠支持部材と、前記第2の電極固定枠支持部材および
    前記真空容器の上壁または下壁に高周波的に接触しつつ
    左右方向にそれぞれ移動可能な第1および第2の可動短
    絡板と、前記上下の空間の少なくとも一方に配置され外
    部からのエネルギーを送り込む一次結合コイルとからな
    り、 前記真空容器の上壁の一部と第1の電極固定枠支持部材
    と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠支持
    部材と第1の可動短絡板とが、第1の二次結合コイルを
    形成し、 前記真空容器の下壁の一部と第1の電極固定枠支持部材
    と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠支持
    部材と第2の可動短絡板とが、第2の二次結合コイルを
    形成するエネルギー可変型RFQ加速装置。
  2. 【請求項2】 真空容器と、対向面を波打たせた第1お
    よび第2の四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なく
    とも2個配置され前記第1の四重極電極を取り付けられ
    た第1の電極固定枠と、前記第1の電極固定枠と交互に
    前記イオンビーム軸方向に少なくとも2個配置され前記
    第2の四重極電極を取り付けられた第2の電極固定枠
    と、前記第1の電極固定枠を左右のほぼ中心で真空容器
    の上壁に対して固定する第1の電極固定枠支持部材と、
    前記第2の電極固定枠を左右のほぼ中心で真空容器の下
    壁に対して固定する第2の電極固定枠支持部材と、前記
    第1および第2の電極固定枠支持部材により左右にほぼ
    二分された前記真空容器の上壁および下壁に高周波的に
    接触しつつ左右方向にそれぞれ移動可能な第1および第
    2の可動短絡板と、前記左右の空間の少なくとも一方に
    配置され外部からのエネルギーを送り込む一次結合コイ
    ルとからなり、 前記真空容器の上壁の一部と第1の電極固定枠支持部材
    と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠支持
    部材と前記真空容器の下壁の一部と第1の可動短絡板と
    が、第1の二次結合コイルを形成し、 前記真空容器の下壁の一部と第2の電極固定枠支持部材
    と第2および第1の電極固定枠と第1の電極固定枠支持
    部材と前記真空容器の上壁の一部と第2の可動短絡板と
    が、第2の二次結合コイルを形成するエネルギー可変型
    RFQ加速装置。
  3. 【請求項3】 真空容器と、対向面を波打たせた第1お
    よび第2の四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なく
    とも2個配置され前記第1の四重極電極を取り付けられ
    た第1の電極固定枠と、前記真空容器の上壁から上面を
    離し前記第1の電極固定枠と交互に前記イオンビーム軸
    方向に少なくとも2個配置され前記第2の四重極電極を
    取り付けられた第2の電極固定枠と、前記第1の電極固
    定枠を真空容器の左右側壁に対して固定する第1の電極
    固定枠支持部材と、前記第2の電極固定枠の下面を前記
    真空容器の下壁に対して固定し前記真空容器内の空間を
    左右にほぼ二分する第2の電極固定枠支持部材と、前記
    第2の電極固定枠支持部材および前記真空容器の右壁ま
    たは左壁にそれぞれ高周波的に接触しつつ上下方向に移
    動可能な第1および第2の可動短絡板と、前記左右の空
    間の少なくとも一方に配置され外部からのエネルギーを
    送り込む一次結合コイルとからなり、 前記真空容器の右壁の一部と第1の電極固定枠支持部材
    と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠支持
    部材と第1の可動短絡板とが、第1の二次結合コイルを
    形成し、 前記真空容器の左壁の一部と第1の電極固定枠支持部材
    と第1および第2の電極固定枠と第2の電極固定枠支持
    部材と第2の可動短絡板とが、第2の二次結合コイルを
    形成するエネルギー可変型RFQ加速装置。
  4. 【請求項4】 真空容器と、対向面を波打たせた第1お
    よび第2の四重極電極と、イオンビーム軸方向に少なく
    とも2個配置され前記第1の四重極電極を取り付けられ
    た第1の電極固定枠と、前記真空容器の一方の側壁に固
    定され前記第1の電極固定枠と交互に前記イオンビーム
    軸方向に少なくとも2個配置され前記第2の四重極電極
    を取り付けられた第2の電極固定枠と、前記第1の電極
    固定枠を真空容器の下壁に対して固定する第1の電極固
    定枠支持部材と、前記真空容器の上壁および下壁に高周
    波的に接触しつつ左右方向に移動可能な可動短絡板と、
    前記真空容器内に配置され外部からのエネルギーを送り
    込む一次結合コイルとからなり、 前記真空容器の上壁の一部と可動短絡板と真空容器の下
    壁の一部と第1の電極固定枠支持部材と第1および第2
    の電極固定枠とが、二次結合コイルを形成するエネルギ
    ー可変型RFQ加速装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか一項に記載
    のエネルギー可変型RFQ加速装置において、 前記コイルの可動短絡板のイオンビーム軸方向の長さを
    連続的または離散的に変化させる手段を備えたことを特
    徴とするエネルギー可変型RFQ加速装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか一項に記載
    のエネルギー可変型RFQ加速装置において、 前記可動短絡板は、弾性力,空気圧,水圧,油圧,磁性
    力などにより十分な接触圧を確保する高周波接触子を真
    空容器壁などの接触対象との間に備えたことを特徴とす
    るエネルギー可変型RFQ加速装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか一項に記載
    のエネルギー可変型RFQ加速装置において、 前記四重極電極の代わりに、六極以上の偶数極を持つこ
    とを特徴とする多重極電極のエネルギー可変型RFQ加
    速装置。
  8. 【請求項8】 イオンビームを発生させるイオン源と、
    前記イオン源から引き出されたイオンビームを質量分離
    する質量分離器と、前記質量分離器からのイオンビーム
    を収束する収束レンズ系と、前記収束レンズ系からのイ
    オンビームを更に加速するRFQ加速装置と、前記エネ
    ルギー可変型RFQ加速装置からのイオンビームを偏向
    させる偏向器と、前記偏向器からのイオンビームを処理
    対象の材料に打ち込むイオン打込み室とを備えたイオン
    打込み装置において、 請求項1ないし7のいずれか一項に記載のエネルギー可
    変型RFQ加速装置を前記収束レンズ系からのイオンビ
    ームを更に加速するRFQ加速装置として設置したこと
    を特徴とするイオン打込み装置。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし6のいずれか一項に記載
    のエネルギー可変型RFQ加速装置を前段加速器として
    設置したことを特徴とする円形加速器。
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