JPH06163199A - 高周波四重極加速装置 - Google Patents
高周波四重極加速装置Info
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- JPH06163199A JPH06163199A JP30714492A JP30714492A JPH06163199A JP H06163199 A JPH06163199 A JP H06163199A JP 30714492 A JP30714492 A JP 30714492A JP 30714492 A JP30714492 A JP 30714492A JP H06163199 A JPH06163199 A JP H06163199A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 筐体内に共振回路を構成して,電力損失に係
る熱歪みの影響を少なくして電極固定精度の確保を容易
にした高周波四重極電極加速装置を提供する。 【構成】 四重極電極1,2,3,4が筐体16内壁に
近い位置に配置されるので,これを支持する第1及び第
2の金属台18,19の筐体内壁からの距離は短く,熱
歪みの影響が少なく,冷却構造を簡易に構成することが
できる。第1及び第2の金属台18,19には,それぞ
れ第1及び第2の金属板20,21が接続され,各金属
板20,21は所定間隔で近接配置されるので,板面間
の静電容量によりコンデンサを構成し,第1の金属台1
8及び第2の金属板21は筐体に直結されてインダクタ
を構成する。筐体16内に共振回路を構成するに際して
も,四重極電極の配置位置が筐体内壁の近接位置である
ので,大きな容量のコンデンサ及びインダクタを空間的
にまとめて構築することができ,装置の小型化が可能に
なる。
る熱歪みの影響を少なくして電極固定精度の確保を容易
にした高周波四重極電極加速装置を提供する。 【構成】 四重極電極1,2,3,4が筐体16内壁に
近い位置に配置されるので,これを支持する第1及び第
2の金属台18,19の筐体内壁からの距離は短く,熱
歪みの影響が少なく,冷却構造を簡易に構成することが
できる。第1及び第2の金属台18,19には,それぞ
れ第1及び第2の金属板20,21が接続され,各金属
板20,21は所定間隔で近接配置されるので,板面間
の静電容量によりコンデンサを構成し,第1の金属台1
8及び第2の金属板21は筐体に直結されてインダクタ
を構成する。筐体16内に共振回路を構成するに際して
も,四重極電極の配置位置が筐体内壁の近接位置である
ので,大きな容量のコンデンサ及びインダクタを空間的
にまとめて構築することができ,装置の小型化が可能に
なる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,荷電粒子加速器に係
り,詳しくは半導体プロセス技術,医療等における高エ
ネルギー荷電粒子ビームを用いた物性,組成分析,表面
改質,イオン注入等に利用することのできる高周波四重
極加速装置に関する。
り,詳しくは半導体プロセス技術,医療等における高エ
ネルギー荷電粒子ビームを用いた物性,組成分析,表面
改質,イオン注入等に利用することのできる高周波四重
極加速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば,イオン注入,材料分析等を行う
ための高エネルギーのイオンビームを得るために,高周
波電界を利用した加速器として4個のベイン電極(四重
極電極)からなり,該ベイン電極を収容する真空容器自
身が共振空洞を兼ねた高周波四重極の加速器が用いられ
る。この高周波四重極(RFQ:Radio Frequency Quad
rupole)加速器(以下RFQと呼称する)の従来例構成
について,以下に示す。図13に示すRFQ30では,
筐体5の中心軸方向に四重極電極を形成する電極1,
2,3,4を配設して構成されている。各電極1,2,
3,4は向き合った面が凹凸状に波打った形状に形成さ
れており,図14(a)(b)に示すように,互いに向
かい合った電極では凹凸形状が同位相に形成されてお
り,互いに隣合った電極では凹凸形状が逆位相に形成さ
れている。このように形成された四重極電極を収容する
筐体5の内部に形成される空洞に,図15に示すように
筐体5に設けられた入力カプラ11から所定周波数の高
周波電力を印加すると,空洞内にTE210 モードの共振
周波数が励起される。このとき,互いに向かい合った電
極には同電位,互いに隣合った電極には逆電位が発生す
る。このため,4個の電極1,2,3,4が向かい合う
中心軸付近では四重極電界が発生する。同図における9
は電界,10は磁界をそれぞれ示している。上記四重極
電界において,電極1,2,3,4の凹凸形状が及ぼす
影響について,図16(a)(b)に基づいて説明す
る。図16(a)は四重極電極の垂直断面,図16
(b)は水平断面に相当する。TE210 モードでは電極
1,3がプラスのとき,電極2,4はマイナスであり,
前者がマイナスのとき,後者はプラスとなる。このよう
な条件に加えて電極1,2,3,4の凹凸形状が垂直,
水平に180度ずれて形成されていることから,例え
ば,電極1,3がプラス,電極2,4がマイナスのと
き,中心軸上に軸方向の電界が生じることになる。矢印
6,7,8はその電界の方向を示している。電極1,
2,3,4の電圧極性が逆になったときは,この電界の
方向も逆になる。いま,同図における左方向から中心軸
に沿って四重極電極の中に入射されたイオンが常に左右
方向への加速電界を受けるような速度及び位相をもつ
と,電極1,2,3,4の凹凸形状の部分を通過する毎
に加速され,単調にエネルギーが増加する。他方,最初
に減速を受けるような位相で入ってきたイオンも,次の
加速電界のときに後続のイオンの中に徐々にバンチング
されていき,後は単調に加速される。また,軸に直交す
る平面に存在する強い高周波電界によって垂直,水平方
向には強い収束力が生じているため,非常に高い透過率
でイオンを加速させることができる。上記RFQ30で
は,筐体5は電極1,2,3,4と共に高周波の空洞共
振器を構成しており,その共振周波数は筐体5の幾何学
的な寸法で決まってしまうため,重いイオンを加速する
加速器を構成するためには,巨大な直径を有する筐体に
しなければならず工業的には非現実的なものとなる。そ
こで,図17に示すように,コンデンサとインダクタと
からなる共振回路12を外部に設けて,任意のイオン種
を加速するに必要な周波数の高周波電力をRFQ30に
供給し,空洞共振器を励振して四重極電極に高周波電位
を発生させることがなされる。ところが,上記のように
外部に共振回路を設けた場合,高周波電力を供給するた
めのケーブル部分でのロスによりQ値の低下をまねき,
同軸ケーブルでは浮遊容量の発生,空中配線では外部擾
乱を受けやすいなどの問題点が発生する。そこで,前記
問題点を解決するために,加速空洞(筐体)内にインダ
クタ及びコンデンサの成分を形成したRFQの構成が様
々に提案されている。例えば,図18〜図20に示すR
FQ31は,本願発明者らによって提案がなされたもの
で,筐体60内壁の対向する側面から,それぞれ対向側
に派生させた平板電極61,62,64,65を中心軸
に平行に互いに近接させて配置することにより,比較的
大きな静電容量が得られると共に,各平板電極61,6
2,64,65と筐体60とによってインダクタを構成
して,低い周波数での共振を可能にしている。この構成
によって重いイオンの加速を行うことができる実用的な
サイズのRFQを実現させている。
ための高エネルギーのイオンビームを得るために,高周
波電界を利用した加速器として4個のベイン電極(四重
極電極)からなり,該ベイン電極を収容する真空容器自
身が共振空洞を兼ねた高周波四重極の加速器が用いられ
る。この高周波四重極(RFQ:Radio Frequency Quad
rupole)加速器(以下RFQと呼称する)の従来例構成
について,以下に示す。図13に示すRFQ30では,
筐体5の中心軸方向に四重極電極を形成する電極1,
2,3,4を配設して構成されている。各電極1,2,
3,4は向き合った面が凹凸状に波打った形状に形成さ
れており,図14(a)(b)に示すように,互いに向
かい合った電極では凹凸形状が同位相に形成されてお
り,互いに隣合った電極では凹凸形状が逆位相に形成さ
れている。このように形成された四重極電極を収容する
筐体5の内部に形成される空洞に,図15に示すように
筐体5に設けられた入力カプラ11から所定周波数の高
周波電力を印加すると,空洞内にTE210 モードの共振
周波数が励起される。このとき,互いに向かい合った電
極には同電位,互いに隣合った電極には逆電位が発生す
る。このため,4個の電極1,2,3,4が向かい合う
中心軸付近では四重極電界が発生する。同図における9
は電界,10は磁界をそれぞれ示している。上記四重極
電界において,電極1,2,3,4の凹凸形状が及ぼす
影響について,図16(a)(b)に基づいて説明す
る。図16(a)は四重極電極の垂直断面,図16
(b)は水平断面に相当する。TE210 モードでは電極
1,3がプラスのとき,電極2,4はマイナスであり,
前者がマイナスのとき,後者はプラスとなる。このよう
な条件に加えて電極1,2,3,4の凹凸形状が垂直,
水平に180度ずれて形成されていることから,例え
ば,電極1,3がプラス,電極2,4がマイナスのと
き,中心軸上に軸方向の電界が生じることになる。矢印
6,7,8はその電界の方向を示している。電極1,
2,3,4の電圧極性が逆になったときは,この電界の
方向も逆になる。いま,同図における左方向から中心軸
に沿って四重極電極の中に入射されたイオンが常に左右
方向への加速電界を受けるような速度及び位相をもつ
と,電極1,2,3,4の凹凸形状の部分を通過する毎
に加速され,単調にエネルギーが増加する。他方,最初
に減速を受けるような位相で入ってきたイオンも,次の
加速電界のときに後続のイオンの中に徐々にバンチング
されていき,後は単調に加速される。また,軸に直交す
る平面に存在する強い高周波電界によって垂直,水平方
向には強い収束力が生じているため,非常に高い透過率
でイオンを加速させることができる。上記RFQ30で
は,筐体5は電極1,2,3,4と共に高周波の空洞共
振器を構成しており,その共振周波数は筐体5の幾何学
的な寸法で決まってしまうため,重いイオンを加速する
加速器を構成するためには,巨大な直径を有する筐体に
しなければならず工業的には非現実的なものとなる。そ
こで,図17に示すように,コンデンサとインダクタと
からなる共振回路12を外部に設けて,任意のイオン種
を加速するに必要な周波数の高周波電力をRFQ30に
供給し,空洞共振器を励振して四重極電極に高周波電位
を発生させることがなされる。ところが,上記のように
外部に共振回路を設けた場合,高周波電力を供給するた
めのケーブル部分でのロスによりQ値の低下をまねき,
同軸ケーブルでは浮遊容量の発生,空中配線では外部擾
乱を受けやすいなどの問題点が発生する。そこで,前記
問題点を解決するために,加速空洞(筐体)内にインダ
クタ及びコンデンサの成分を形成したRFQの構成が様
々に提案されている。例えば,図18〜図20に示すR
FQ31は,本願発明者らによって提案がなされたもの
で,筐体60内壁の対向する側面から,それぞれ対向側
に派生させた平板電極61,62,64,65を中心軸
に平行に互いに近接させて配置することにより,比較的
大きな静電容量が得られると共に,各平板電極61,6
2,64,65と筐体60とによってインダクタを構成
して,低い周波数での共振を可能にしている。この構成
によって重いイオンの加速を行うことができる実用的な
サイズのRFQを実現させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】RFQでは,通常数k
W〜数十kWの高周波電力が供給され,四重極電極間に
高電圧を発生させる。これらの電力は,その大部分が装
置を構成する加速管壁で熱となり損失となる。このた
め,電力投入により加速管の構造体が熱歪みを生じる結
果,四重極電極の固定精度が悪化する問題点が生じる。
電極配置が設計位置からずれると,加速するイオンビー
ムに与える収束力,加速力の低下をまねき,輸送効率の
悪化の他,ビームエミッタンスやエネルギー分散の増大
などの悪影響が生じる。上記のごとき加速装置構造体の
熱歪みによる四重極電極の固定精度の低下を防ぐため
に,水冷構造が採用されるが,従来構造になるRFQ
は,上記従来例に示したように一般に筐体の中心軸位置
に四重極電極が配置され,これを支持する支持体(従来
例に示したRFQ31では平板電極61,62,64,
65に相当する)の半径方向距離が長くなって熱歪みに
よる影響を受けやすいため,電極間の位置精度を損なう
ことになりやすく,そのため,筐体だけでなく前記支持
体にも水冷構造を設置することを要し,複雑な機械加工
を必要とする問題点があった。また,四重極電極の固定
精度は通常数十ミクロン以下の高精度に調整することを
要するが,従来構造では複雑且つ重量のある構造体とな
ってしまうため,四重極電極間隔の調整作業に多大な労
力を要する問題点もあった。本発明は上記問題点に鑑み
て創案されたもので,共振空洞を形成する筐体内にコン
デンサ及びインダクタを構成することができるRFQに
おいて,電力損失に係る熱歪みの影響を少なくする構造
と,電極固定精度の確保を容易にした構造とを備えた高
周波四重極電極加速装置を提供することを目的とする。
W〜数十kWの高周波電力が供給され,四重極電極間に
高電圧を発生させる。これらの電力は,その大部分が装
置を構成する加速管壁で熱となり損失となる。このた
め,電力投入により加速管の構造体が熱歪みを生じる結
果,四重極電極の固定精度が悪化する問題点が生じる。
電極配置が設計位置からずれると,加速するイオンビー
ムに与える収束力,加速力の低下をまねき,輸送効率の
悪化の他,ビームエミッタンスやエネルギー分散の増大
などの悪影響が生じる。上記のごとき加速装置構造体の
熱歪みによる四重極電極の固定精度の低下を防ぐため
に,水冷構造が採用されるが,従来構造になるRFQ
は,上記従来例に示したように一般に筐体の中心軸位置
に四重極電極が配置され,これを支持する支持体(従来
例に示したRFQ31では平板電極61,62,64,
65に相当する)の半径方向距離が長くなって熱歪みに
よる影響を受けやすいため,電極間の位置精度を損なう
ことになりやすく,そのため,筐体だけでなく前記支持
体にも水冷構造を設置することを要し,複雑な機械加工
を必要とする問題点があった。また,四重極電極の固定
精度は通常数十ミクロン以下の高精度に調整することを
要するが,従来構造では複雑且つ重量のある構造体とな
ってしまうため,四重極電極間隔の調整作業に多大な労
力を要する問題点もあった。本発明は上記問題点に鑑み
て創案されたもので,共振空洞を形成する筐体内にコン
デンサ及びインダクタを構成することができるRFQに
おいて,電力損失に係る熱歪みの影響を少なくする構造
と,電極固定精度の確保を容易にした構造とを備えた高
周波四重極電極加速装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用する手段は,相対向する2対の電極が十
字方向に配置された四重極電極を筒状の筐体内部の軸方
向に配設し,コンデンサ及びインダクタを具備してなる
共振回路から前記四重極電極に高周波電力を供給し,四
重極電極間を通過させる荷電粒子を任意の速度に加速す
る高周波四重極加速装置において,前記四重極電極の一
方向に対向配置された電極を支持する複数の第1の金属
台と,前記四重極電極の他方向に対向配置された電極を
支持する複数の第2の金属台とを,前記筐体の軸心から
半径方向に偏心した位置に前記軸方向に所定間隔で配置
すると共に,前記第1の金属台に直結された第2の金属
板と,前記第2の金属台に導電性弾性材からなる高周波
コンタクトを介して接続された第2の金属板とを,前記
第1の金属台と第2の金属台との配列方向に所定の間隔
で前記筐体の軸方向に配設して前記コンデンサを構成
し,前記第1の金属台及び第2の金属板を前記筐体に直
結させて前記第1の金属板及び第2の金属板と筐体とで
前記インダクタを構成したことを特徴とする高周波四重
極加速装置として構成される。また,上記高周波四重極
加速装置は,第1及び第2の金属台の配置列を筐体の軸
方向に複数列で配設して,各金属台列のそれぞれに四重
極電極を配して構成することができる。更に,上記高周
波四重極加速装置は,第2の金属板を高周波コンタクト
の弾性接触の可能範囲で板面方向に移動可能に構成する
ことができる。更に,上記高周波四重極加速装置は,第
1及び第2の金属板の対向位置に複数の開口部を設けて
構成することができる。
に本発明が採用する手段は,相対向する2対の電極が十
字方向に配置された四重極電極を筒状の筐体内部の軸方
向に配設し,コンデンサ及びインダクタを具備してなる
共振回路から前記四重極電極に高周波電力を供給し,四
重極電極間を通過させる荷電粒子を任意の速度に加速す
る高周波四重極加速装置において,前記四重極電極の一
方向に対向配置された電極を支持する複数の第1の金属
台と,前記四重極電極の他方向に対向配置された電極を
支持する複数の第2の金属台とを,前記筐体の軸心から
半径方向に偏心した位置に前記軸方向に所定間隔で配置
すると共に,前記第1の金属台に直結された第2の金属
板と,前記第2の金属台に導電性弾性材からなる高周波
コンタクトを介して接続された第2の金属板とを,前記
第1の金属台と第2の金属台との配列方向に所定の間隔
で前記筐体の軸方向に配設して前記コンデンサを構成
し,前記第1の金属台及び第2の金属板を前記筐体に直
結させて前記第1の金属板及び第2の金属板と筐体とで
前記インダクタを構成したことを特徴とする高周波四重
極加速装置として構成される。また,上記高周波四重極
加速装置は,第1及び第2の金属台の配置列を筐体の軸
方向に複数列で配設して,各金属台列のそれぞれに四重
極電極を配して構成することができる。更に,上記高周
波四重極加速装置は,第2の金属板を高周波コンタクト
の弾性接触の可能範囲で板面方向に移動可能に構成する
ことができる。更に,上記高周波四重極加速装置は,第
1及び第2の金属板の対向位置に複数の開口部を設けて
構成することができる。
【0005】
【作用】本発明になる高周波四重極電極加速装置では,
四重極電極が筐体の軸心から半径方向に偏心した位置に
配置される。即ち,四重極電極は筐体内壁に近い位置に
配置されるので,これを支持する第1及び第2の金属台
の筐体内壁からの距離は短く,従って,電力損失による
熱歪みの影響が少なく,更に,冷却構造を簡易に構成す
ることができる。前記第1の金属台及び第2の金属台に
は,それぞれ第1の金属板及び第2の金属板が接続さ
れ,各金属板は所定間隔で近接配置されるので,板面間
の静電容量によりコンデンサを構成することができる。
また,第1の金属台及び第2の金属板は筐体に直結され
て,第1の金属台,第1の金属板,第2の金属板,筐体
を周回するインダクタを構成する。このように筐体内に
共振回路を構成するに際しても,四重極電極の配置位置
が筐体内壁の近接位置であるので,大きな容量のコンデ
ンサ及びインダクタを空間的にまとめて構築することが
でき,装置の小型化が可能になる。このように筐体内部
にコンデンサとインダクタとによる共振回路を構成要素
を最小限に抑えて構成されるので,筐体内に共振回路を
構成した高周波四重極加速装置の優れた特性を発揮させ
得ると共に,小型化,高精度化をなし,熱歪みの影響の
少ない高周波四重極加速装置が実現される。また,四重
極電極を支持する第1及び第2の金属台の配置列を複数
列に設け,複数の四重極電極を構成することにより,加
速する荷電粒子ビーム軸を複数に形成することができ,
1軸では限界のある加速電流値を増大させることを可能
にすると共に,異なる複数種のイオンをそれぞれ任意の
エネルギーに加速することもできる。更に,第2の金属
板を移動可能に構成することにより,第1の金属板との
対面面積が可変構造となるので,板面間の静電容量が変
化して共振回路の容量分が可変となり,加速装置の共振
周波数を変化させることができる。更に,対面する第1
の金属板と第2の金属板に,それぞれ相対向する開口部
を設けておくことにより,前記第2の金属板の移動構造
を実施する場合に,開口部の位置ずれによる板面間の対
面実効面積の変化が大きくなり,共振周波数の変化幅を
拡大できる作用をなす。
四重極電極が筐体の軸心から半径方向に偏心した位置に
配置される。即ち,四重極電極は筐体内壁に近い位置に
配置されるので,これを支持する第1及び第2の金属台
の筐体内壁からの距離は短く,従って,電力損失による
熱歪みの影響が少なく,更に,冷却構造を簡易に構成す
ることができる。前記第1の金属台及び第2の金属台に
は,それぞれ第1の金属板及び第2の金属板が接続さ
れ,各金属板は所定間隔で近接配置されるので,板面間
の静電容量によりコンデンサを構成することができる。
また,第1の金属台及び第2の金属板は筐体に直結され
て,第1の金属台,第1の金属板,第2の金属板,筐体
を周回するインダクタを構成する。このように筐体内に
共振回路を構成するに際しても,四重極電極の配置位置
が筐体内壁の近接位置であるので,大きな容量のコンデ
ンサ及びインダクタを空間的にまとめて構築することが
でき,装置の小型化が可能になる。このように筐体内部
にコンデンサとインダクタとによる共振回路を構成要素
を最小限に抑えて構成されるので,筐体内に共振回路を
構成した高周波四重極加速装置の優れた特性を発揮させ
得ると共に,小型化,高精度化をなし,熱歪みの影響の
少ない高周波四重極加速装置が実現される。また,四重
極電極を支持する第1及び第2の金属台の配置列を複数
列に設け,複数の四重極電極を構成することにより,加
速する荷電粒子ビーム軸を複数に形成することができ,
1軸では限界のある加速電流値を増大させることを可能
にすると共に,異なる複数種のイオンをそれぞれ任意の
エネルギーに加速することもできる。更に,第2の金属
板を移動可能に構成することにより,第1の金属板との
対面面積が可変構造となるので,板面間の静電容量が変
化して共振回路の容量分が可変となり,加速装置の共振
周波数を変化させることができる。更に,対面する第1
の金属板と第2の金属板に,それぞれ相対向する開口部
を設けておくことにより,前記第2の金属板の移動構造
を実施する場合に,開口部の位置ずれによる板面間の対
面実効面積の変化が大きくなり,共振周波数の変化幅を
拡大できる作用をなす。
【0006】
【実施例】以下,添付図面を参照して,本発明を具体化
した実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,
以下の実施例は本発明を具体化した一例であって,本発
明の技術的範囲を限定するものではない。ここに,図1
は本発明の第1実施例に係るRFQの構成を示す側面図
で,内部構造を示すために筐体の半面を除いた状態で示
している。図2は筐体内部の各構成要素の配置構造を示
す斜視図,図3は高周波コンタクトの各種実施態様を示
す正面図,図4は図1におけるA−A線矢視断面図,図
5は図1におけるB−B線矢視断面図,図6,図7は本
発明の第2実施例に係るRFQの構成を示す断面図,図
8,図9は本発明の第3実施例に係るRFQの構成を示
す断面図,図10は第2実施例及び第3実施例の実施態
様を示す模式図,図11は本発明の第4実施例に係るR
FQの構成を示す断面図,図12は第4実施例構成にお
ける金属板の実施態様を示す斜視図である。尚,各実施
例に共通する要素には同一の符号を付し,同一要素であ
りながら形状が異なる場合,あるいは複数で構成されて
いる場合には,添符号を付して区分させている。図1に
おいて,RFQ15は,共振空洞を構成する筐体16の
中心軸14から偏心した位置に四重極電極1,2,3,
4が中心軸16方向に配置されている。この四重極電極
1,2,3,4は,台座17上に交互に配置された第1
の金属台18と第2の金属台19とによって支持されて
いる。また,第1の金属台18には筐体16の直径方向
に配置される第1の金属板20が取り付けられ,第2の
金属台19には同じく筐体16の直径方向に配置される
第2の金属板21が高周波コンタクト22を介して接続
されている。これら四重極電極1,2,3,4と,第1
の金属台18及び第2の金属台19と,第1の金属板2
0及び第2の金属板21との配置構造は,図2,図3,
図4に明確に示される。図2において,筐体16の内壁
面の軸方向に固定される台座17上に,第1の金属台1
8と第2の金属台19とが交互に配列される。第1の金
属台18は台座17上に直結され,第2の金属台19は
台座17との間にアルミナ等からなる絶縁板23を介し
て取り付けられている。前記第1の金属台18には四重
極電極を構成する電極1,3が直結され,前記第2の金
属台19には電極2,4が直結されている。また,第1
の金属台18には第1の金属板20が直結され,この第
1の金属板20の両側に所定の間隔を設けて第2の金属
板21,21が配置され,各第2の金属板21,21の
上端は筐体16の内壁面に固定される上台座24で連結
され,下端は高周波コンタクト22,22を介して第2
の金属台19に接続されている。この配置構造は,図
4,図5により明確に示される。
した実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,
以下の実施例は本発明を具体化した一例であって,本発
明の技術的範囲を限定するものではない。ここに,図1
は本発明の第1実施例に係るRFQの構成を示す側面図
で,内部構造を示すために筐体の半面を除いた状態で示
している。図2は筐体内部の各構成要素の配置構造を示
す斜視図,図3は高周波コンタクトの各種実施態様を示
す正面図,図4は図1におけるA−A線矢視断面図,図
5は図1におけるB−B線矢視断面図,図6,図7は本
発明の第2実施例に係るRFQの構成を示す断面図,図
8,図9は本発明の第3実施例に係るRFQの構成を示
す断面図,図10は第2実施例及び第3実施例の実施態
様を示す模式図,図11は本発明の第4実施例に係るR
FQの構成を示す断面図,図12は第4実施例構成にお
ける金属板の実施態様を示す斜視図である。尚,各実施
例に共通する要素には同一の符号を付し,同一要素であ
りながら形状が異なる場合,あるいは複数で構成されて
いる場合には,添符号を付して区分させている。図1に
おいて,RFQ15は,共振空洞を構成する筐体16の
中心軸14から偏心した位置に四重極電極1,2,3,
4が中心軸16方向に配置されている。この四重極電極
1,2,3,4は,台座17上に交互に配置された第1
の金属台18と第2の金属台19とによって支持されて
いる。また,第1の金属台18には筐体16の直径方向
に配置される第1の金属板20が取り付けられ,第2の
金属台19には同じく筐体16の直径方向に配置される
第2の金属板21が高周波コンタクト22を介して接続
されている。これら四重極電極1,2,3,4と,第1
の金属台18及び第2の金属台19と,第1の金属板2
0及び第2の金属板21との配置構造は,図2,図3,
図4に明確に示される。図2において,筐体16の内壁
面の軸方向に固定される台座17上に,第1の金属台1
8と第2の金属台19とが交互に配列される。第1の金
属台18は台座17上に直結され,第2の金属台19は
台座17との間にアルミナ等からなる絶縁板23を介し
て取り付けられている。前記第1の金属台18には四重
極電極を構成する電極1,3が直結され,前記第2の金
属台19には電極2,4が直結されている。また,第1
の金属台18には第1の金属板20が直結され,この第
1の金属板20の両側に所定の間隔を設けて第2の金属
板21,21が配置され,各第2の金属板21,21の
上端は筐体16の内壁面に固定される上台座24で連結
され,下端は高周波コンタクト22,22を介して第2
の金属台19に接続されている。この配置構造は,図
4,図5により明確に示される。
【0007】図4は第1の金属台18位置(図1のA−
A線)の断面,図5は第2の金属台19位置(図1のB
−B線)の断面図で,各構成要素の接続関係が明確に示
されている。ここで,高周波コンタクト22は,ベリリ
ューム銅などの弾力性に優れ,且つ導電性に優れた材質
により形成され,第2の金属台19と第2の金属板2
1,21との間隔寸法の歪みを有効に吸収して,電気的
に安定して第2の金属台19と第2の金属板21,21
との間を接続する。従って,加速装置の電力損失による
熱歪みが生じた場合にも,歪みによる誤差を吸収するこ
とができる。この高周波コンタクト22は,図3(a)
(b)(c)に示すような形状に形成することもでき
る。上記構成により,第1の金属板20と第2の金属板
21とが対面する実効面積によってコンデンサが構成さ
れ,台座17を介して筐体16に接続される第1の金属
台18及び第1の金属板20と,上台座24を介して筐
体16に接続される第2の金属板21とによりインダク
タが構成されて,共振空洞を形成する筐体16の内部に
共振回路が形成される。このように共振回路が形成され
た筐体16に所定周波数の高周波電力を供給することに
より,TE110 モードに似た共振モードで励起されるの
で,四重極電極1,2,3,4が相対向する中心位置の
ビーム軸25に入射される荷電粒子ビームを有効に加速
させることができる。上記モードの電磁界のうち,磁界
成分がイオンビームに対して発散力を与えないように図
1の第1の金属板20と第2の金属板21の両端部には
四重極電極1,2,3,4と反対側に切込みを設けてい
る。このような加速装置においては,供給される高周波
電力による熱歪みの発生が避けられず,四重極電極の位
置精度に影響が生じるため,熱歪みの影響の少ない構造
と冷却の容易な構造とが要求される。上記実施例構成
は,この要求を満たすことができるもので,四重極電極
の固定位置を高精度に保つための支持構造に加え,冷却
のための水冷チャネルを簡易に構成することができる。
即ち,筐体16内に配置される各構成要素は,台座17
を組立ベースとして構築され,この台座17と,第1の
金属台18及び第2の金属台19とが高精度な機械加工
によって形成されるので,ビーム軸25を中心軸として
精度よく組み立てることができる。また,四重極電極
1,2,3,4を支持する第1の金属台18と第2の金
属台19とが配置される位置は,筐体16のに固定され
た台座17上であるので,支持体の距離が短いため,温
度変化による変形の度合いは少なく,四重極電極1,
2,3,4の支持精度を確保することができる。更に,
台座17に水冷チャネルを設けることにより,電力損失
による発熱源となる四重極電極周辺の発熱を効率よく冷
却することができる。筐体16の内壁に隣接する至近位
置にある台座17に至る冷却水路の構築は簡易に設置す
ることができる。従って,台座17に設けられる水冷チ
ャネルに,温度調整された冷却水を常時流すことによ
り,熱歪みは抑制され,四重極電極の位置精度を保つこ
とができる。
A線)の断面,図5は第2の金属台19位置(図1のB
−B線)の断面図で,各構成要素の接続関係が明確に示
されている。ここで,高周波コンタクト22は,ベリリ
ューム銅などの弾力性に優れ,且つ導電性に優れた材質
により形成され,第2の金属台19と第2の金属板2
1,21との間隔寸法の歪みを有効に吸収して,電気的
に安定して第2の金属台19と第2の金属板21,21
との間を接続する。従って,加速装置の電力損失による
熱歪みが生じた場合にも,歪みによる誤差を吸収するこ
とができる。この高周波コンタクト22は,図3(a)
(b)(c)に示すような形状に形成することもでき
る。上記構成により,第1の金属板20と第2の金属板
21とが対面する実効面積によってコンデンサが構成さ
れ,台座17を介して筐体16に接続される第1の金属
台18及び第1の金属板20と,上台座24を介して筐
体16に接続される第2の金属板21とによりインダク
タが構成されて,共振空洞を形成する筐体16の内部に
共振回路が形成される。このように共振回路が形成され
た筐体16に所定周波数の高周波電力を供給することに
より,TE110 モードに似た共振モードで励起されるの
で,四重極電極1,2,3,4が相対向する中心位置の
ビーム軸25に入射される荷電粒子ビームを有効に加速
させることができる。上記モードの電磁界のうち,磁界
成分がイオンビームに対して発散力を与えないように図
1の第1の金属板20と第2の金属板21の両端部には
四重極電極1,2,3,4と反対側に切込みを設けてい
る。このような加速装置においては,供給される高周波
電力による熱歪みの発生が避けられず,四重極電極の位
置精度に影響が生じるため,熱歪みの影響の少ない構造
と冷却の容易な構造とが要求される。上記実施例構成
は,この要求を満たすことができるもので,四重極電極
の固定位置を高精度に保つための支持構造に加え,冷却
のための水冷チャネルを簡易に構成することができる。
即ち,筐体16内に配置される各構成要素は,台座17
を組立ベースとして構築され,この台座17と,第1の
金属台18及び第2の金属台19とが高精度な機械加工
によって形成されるので,ビーム軸25を中心軸として
精度よく組み立てることができる。また,四重極電極
1,2,3,4を支持する第1の金属台18と第2の金
属台19とが配置される位置は,筐体16のに固定され
た台座17上であるので,支持体の距離が短いため,温
度変化による変形の度合いは少なく,四重極電極1,
2,3,4の支持精度を確保することができる。更に,
台座17に水冷チャネルを設けることにより,電力損失
による発熱源となる四重極電極周辺の発熱を効率よく冷
却することができる。筐体16の内壁に隣接する至近位
置にある台座17に至る冷却水路の構築は簡易に設置す
ることができる。従って,台座17に設けられる水冷チ
ャネルに,温度調整された冷却水を常時流すことによ
り,熱歪みは抑制され,四重極電極の位置精度を保つこ
とができる。
【0008】図6,図7は本発明の第2実施例の構成を
示すもので,図6は図1のA−A線矢視断面,即ち図
4,図6は図1のB−B線矢視断面,即ち図5に相当す
るものと理解されたい。尚,後述する第3実施例の構成
を示す図8,図9,更に第4実施例の構成を示す図10
においても,各断面図は同様位置に相当するものと理解
されたい。第2実施例の構成は,加速するイオンビーム
のビーム軸を複数に設定することを目的とする。イオン
加速器では,加速するイオン電流を増大させると,イオ
ン間の空間電荷効果によりビームが発散するため,加速
電流量に限界がある。そこで,大電流を得るために,ビ
ーム軸を加速装置内に複数軸で構成することにより,容
易に電流量を増加させることが可能となる。図6及び図
7において,第1の金属台18aと第2の金属台19a
には,それぞれ2組の四重極電極1a〜4aと1b〜4
bとが配置され,それぞれにビーム軸25aと25bと
が形成されている。ビーム軸を複数に構成する構造は,
図8及び図9に示す第3実施例のように,矩形形状の筐
体16aの内部に横配列することによっても構成するこ
ともできる。また,第2実施例の構成と,第3実施例の
構成とを組み合わせて,ビーム軸を縦横配列することも
できる。
示すもので,図6は図1のA−A線矢視断面,即ち図
4,図6は図1のB−B線矢視断面,即ち図5に相当す
るものと理解されたい。尚,後述する第3実施例の構成
を示す図8,図9,更に第4実施例の構成を示す図10
においても,各断面図は同様位置に相当するものと理解
されたい。第2実施例の構成は,加速するイオンビーム
のビーム軸を複数に設定することを目的とする。イオン
加速器では,加速するイオン電流を増大させると,イオ
ン間の空間電荷効果によりビームが発散するため,加速
電流量に限界がある。そこで,大電流を得るために,ビ
ーム軸を加速装置内に複数軸で構成することにより,容
易に電流量を増加させることが可能となる。図6及び図
7において,第1の金属台18aと第2の金属台19a
には,それぞれ2組の四重極電極1a〜4aと1b〜4
bとが配置され,それぞれにビーム軸25aと25bと
が形成されている。ビーム軸を複数に構成する構造は,
図8及び図9に示す第3実施例のように,矩形形状の筐
体16aの内部に横配列することによっても構成するこ
ともできる。また,第2実施例の構成と,第3実施例の
構成とを組み合わせて,ビーム軸を縦横配列することも
できる。
【0009】上記第2実施例及び第3実施例による複数
の加速ビーム軸が形成される構成は,各ビーム軸で異な
るイオンもしくは同一イオンをそれぞれ任意のエネルギ
ーに加速することができる加速装置として構成すること
ができる。例えば,図10に示すように,高周波四重極
加速装置29に3軸の加速ビーム軸25a,25b,2
5cが形成されるよう四重極電極(図示せず)を配置し
て,3種類のイオン源36a,36b,36cからそれ
ぞれビーム軸25a,25b,25cに異なる種類のイ
オンを入射する。加速された各イオンは,ターゲット3
7に入射される。このとき,各四重極電極の電極間に印
加される高周波電圧が一定である条件で,各イオンに対
して目標の最終エネルギーに加速されるように,電極に
形成された波打形状を設計,加工する。具体的な適用例
として,上記ターゲット37が半導体集積回路の基板で
あるとき,イオンを表面浅く打ち込む処理と表面深く打
ち込む処理とを1台の加速装置を用いて行うことができ
る。図11は本発明の第4実施例の構成を示すもので,
本実施例の目的は,共振回路のコンデンサを構成する第
1の金属板20bと第2の金属板21bとが対面する実
効面積を変化させて,加速装置の共振周波数を可変構造
とするものである。共振周波数の変化と共に,入射させ
るイオンのエネルギーを所定の関係で変化させることに
より,加速するイオンの最終エネルギーを変化させるこ
とができるので,例えば,本加速装置をイオン注入の目
的に使用する場合において,イオン注入の深さを変える
ことができる効果が得られる。図11において,矩形形
状に形成された筐体16bの胴部を可撓性の金属体26
で形成し,図11(a)から図11(b)及び図11
(c)から図11(d)に示すように,筐体16bの縦
方向寸法を変化させることにより,筐体16bの下面3
3に台座17及び第1の金属台18を介して取り付けら
れている第1の金属板20bと,筐体16bの上面34
に上台座24を介して取り付けられている第2の金属板
21bとの対面面積を変化させることができる。この構
成により,第1の金属板20bと第2の金属板21bと
により構成されているコンデンサの容量が変化するの
で,加速装置の共振周波数を変化させることができる。
上記共振周波数の変化構造において,図12(a)に示
すように第1の金属板20bと第2の金属板21bと
に,それぞれ複数の開口部27,28を設けることによ
り,図12(b)及び図12(c)に示すように,各開
口部27,28の位置ずれによって第1の金属板20b
と第2の金属板21bとの対面面積の変化が大きくな
り,共振周波数の変化幅を拡大させることができる。ま
た,開口部27,28を設けることにより,真空排気さ
れる筐体内の第1の金属板20bと第2の金属板21b
との間の真空度を向上させる効果もある。
の加速ビーム軸が形成される構成は,各ビーム軸で異な
るイオンもしくは同一イオンをそれぞれ任意のエネルギ
ーに加速することができる加速装置として構成すること
ができる。例えば,図10に示すように,高周波四重極
加速装置29に3軸の加速ビーム軸25a,25b,2
5cが形成されるよう四重極電極(図示せず)を配置し
て,3種類のイオン源36a,36b,36cからそれ
ぞれビーム軸25a,25b,25cに異なる種類のイ
オンを入射する。加速された各イオンは,ターゲット3
7に入射される。このとき,各四重極電極の電極間に印
加される高周波電圧が一定である条件で,各イオンに対
して目標の最終エネルギーに加速されるように,電極に
形成された波打形状を設計,加工する。具体的な適用例
として,上記ターゲット37が半導体集積回路の基板で
あるとき,イオンを表面浅く打ち込む処理と表面深く打
ち込む処理とを1台の加速装置を用いて行うことができ
る。図11は本発明の第4実施例の構成を示すもので,
本実施例の目的は,共振回路のコンデンサを構成する第
1の金属板20bと第2の金属板21bとが対面する実
効面積を変化させて,加速装置の共振周波数を可変構造
とするものである。共振周波数の変化と共に,入射させ
るイオンのエネルギーを所定の関係で変化させることに
より,加速するイオンの最終エネルギーを変化させるこ
とができるので,例えば,本加速装置をイオン注入の目
的に使用する場合において,イオン注入の深さを変える
ことができる効果が得られる。図11において,矩形形
状に形成された筐体16bの胴部を可撓性の金属体26
で形成し,図11(a)から図11(b)及び図11
(c)から図11(d)に示すように,筐体16bの縦
方向寸法を変化させることにより,筐体16bの下面3
3に台座17及び第1の金属台18を介して取り付けら
れている第1の金属板20bと,筐体16bの上面34
に上台座24を介して取り付けられている第2の金属板
21bとの対面面積を変化させることができる。この構
成により,第1の金属板20bと第2の金属板21bと
により構成されているコンデンサの容量が変化するの
で,加速装置の共振周波数を変化させることができる。
上記共振周波数の変化構造において,図12(a)に示
すように第1の金属板20bと第2の金属板21bと
に,それぞれ複数の開口部27,28を設けることによ
り,図12(b)及び図12(c)に示すように,各開
口部27,28の位置ずれによって第1の金属板20b
と第2の金属板21bとの対面面積の変化が大きくな
り,共振周波数の変化幅を拡大させることができる。ま
た,開口部27,28を設けることにより,真空排気さ
れる筐体内の第1の金属板20bと第2の金属板21b
との間の真空度を向上させる効果もある。
【0010】
【発明の効果】以上の説明の通り本発明による高周波四
重極電極加速装置では,四重極電極が筐体の軸心から半
径方向に偏心した位置に配置され,四重極電極は筐体内
壁に近い位置に配置されるので,これを支持する第1及
び第2の金属台の筐体内壁からの距離は短く,従って電
力損失による熱歪みの影響が少なく,更に,冷却構造を
簡易に構成することができる。前記第1の金属台及び第
2の金属台には,それぞれ第1の金属板及び第2の金属
板が接続され,各金属板は所定間隔で近接配置されるの
で,板面間の静電容量によりコンデンサを構成すること
ができる。また,第1の金属台及び第2の金属板は筐体
に直結されて,第1の金属台,第1の金属板,第2の金
属板,筐体を周回するインダクタを構成する。このよう
に筐体内部に空間的にまとまりよくコンデンサとインダ
クタとによる共振回路が構成されるので,筐体内に共振
回路を構成した高周波四重極加速装置の特質を有効に発
揮させることができると共に,構成要素を最小限に抑え
た小型化,高精度化をなし,熱歪みの影響の少ない高周
波四重極加速装置が実現される。
重極電極加速装置では,四重極電極が筐体の軸心から半
径方向に偏心した位置に配置され,四重極電極は筐体内
壁に近い位置に配置されるので,これを支持する第1及
び第2の金属台の筐体内壁からの距離は短く,従って電
力損失による熱歪みの影響が少なく,更に,冷却構造を
簡易に構成することができる。前記第1の金属台及び第
2の金属台には,それぞれ第1の金属板及び第2の金属
板が接続され,各金属板は所定間隔で近接配置されるの
で,板面間の静電容量によりコンデンサを構成すること
ができる。また,第1の金属台及び第2の金属板は筐体
に直結されて,第1の金属台,第1の金属板,第2の金
属板,筐体を周回するインダクタを構成する。このよう
に筐体内部に空間的にまとまりよくコンデンサとインダ
クタとによる共振回路が構成されるので,筐体内に共振
回路を構成した高周波四重極加速装置の特質を有効に発
揮させることができると共に,構成要素を最小限に抑え
た小型化,高精度化をなし,熱歪みの影響の少ない高周
波四重極加速装置が実現される。
【図1】 本発明の第1実施例に係る高周波四重極加速
装置の構成を示す側面図。
装置の構成を示す側面図。
【図2】 第1実施例に係る筐体内部の各構成要素の配
置構造を示す斜視図。
置構造を示す斜視図。
【図3】 高周波コンタクトの各種実施態様を示す正面
図。
図。
【図4】 図1におけるA−A線矢視断面図。
【図5】 図1におけるB−B線矢視断面図。
【図6】 本発明の第2実施例に係るRFQの構成を示
す断面図。
す断面図。
【図7】 本発明の第2実施例に係るRFQの構成を示
す断面図。
す断面図。
【図8】 本発明の第3実施例に係るRFQの構成を示
す断面図。
す断面図。
【図9】 本発明の第3実施例に係るRFQの構成を示
す断面図。
す断面図。
【図10】 第2及び第3実施例の実施態様を示す模式
図。
図。
【図11】 本発明の第4実施例に係るRFQの構成を
示す断面図。
示す断面図。
【図12】 第4実施例構成における金属板の実施態様
を示す斜視図。
を示す斜視図。
【図13】 従来例に係る高周波四重極加速装置の構成
を示す斜視図。
を示す斜視図。
【図14】 四重極電極の構造及び位置関係を示す断面
で示す模式図。
で示す模式図。
【図15】 四重極電極を備えた従来例加速空洞内での
TE210 モードの共振周波数の励起の様子を示す説明
図。
TE210 モードの共振周波数の励起の様子を示す説明
図。
【図16】 四重極電極の凹凸形状の作用を説明するも
ので,垂直断面図(a)と水平断面図(b)。
ので,垂直断面図(a)と水平断面図(b)。
【図17】 従来例のRFQにおける外部共振回路の接
続を示す接続回路図。
続を示す接続回路図。
【図18】 筐体内に共振回路を構成したRFQの従来
例構造の側面図。
例構造の側面図。
【図19】 同上のC−C′線矢視断面図
【図20】 同上の筐体内構成を示す部分斜視図。
1,2,3,4,1a,2a,3a,4a,1b,2
b,3b,4b……四重極電極 14……中心軸 15……高周波四重極加速装置(RFQ) 16,16a,16b……筐体 18……第1の金属台 19……第2の金属台 20……第1の金属板 21……第2の金属板 22……高周波コンタクト 25……ビーム軸 26……可撓性金属体 27,28……開口部
b,3b,4b……四重極電極 14……中心軸 15……高周波四重極加速装置(RFQ) 16,16a,16b……筐体 18……第1の金属台 19……第2の金属台 20……第1の金属板 21……第2の金属板 22……高周波コンタクト 25……ビーム軸 26……可撓性金属体 27,28……開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 敏司 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 今中 博文 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 寺田 充夫 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式会社神戸製鋼所神戸本社内
Claims (4)
- 【請求項1】 相対向する2対の電極が十字方向に配置
された四重極電極を筒状の筐体内部の軸方向に配設し,
コンデンサ及びインダクタを具備してなる共振回路から
前記四重極電極に高周波電力を供給し,四重極電極間を
通過させる荷電粒子を任意の速度に加速する高周波四重
極加速装置において,前記四重極電極の一方向に対向配
置された電極を支持する複数の第1の金属台と,前記四
重極電極の他方向に対向配置された電極を支持する複数
の第2の金属台とを,前記筐体の軸心から半径方向に偏
心した位置に前記軸方向に所定間隔で配置すると共に,
前記第1の金属台に直結された第1の金属板と,前記第
2の金属台に導電性弾性材からなる高周波コンタクトを
介して接続された第2の金属板とを,前記第1の金属台
と第2の金属台との配列方向に所定の間隔で前記筐体の
軸方向に配設して前記コンデンサを構成し,前記第1の
金属台及び第2の金属板を前記筐体に直結させて前記第
1の金属板及び第2の金属板と筐体とで前記インダクタ
を構成したことを特徴とする高周波四重極加速装置。 - 【請求項2】 上記第1及び第2の金属台の配置列を筐
体の軸方向に複数列で配設して,各金属台列のそれぞれ
に四重極電極を配した請求項1記載の高周波四重極加速
装置。 - 【請求項3】 上記第2の金属板を高周波コンタクトの
弾性接触の可能範囲で板面方向に移動可能に構成した請
求項1記載の高周波四重極加速装置。 - 【請求項4】 上記第1及び第2の金属板の対向位置に
複数の開口部を設けた請求項1及び請求項3記載の高周
波四重極加速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30714492A JPH06163199A (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 高周波四重極加速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30714492A JPH06163199A (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 高周波四重極加速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06163199A true JPH06163199A (ja) | 1994-06-10 |
Family
ID=17965567
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30714492A Pending JPH06163199A (ja) | 1992-11-17 | 1992-11-17 | 高周波四重極加速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06163199A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08330099A (ja) * | 1995-05-30 | 1996-12-13 | Hitachi Ltd | エネルギー可変型高周波四重極加速器およびイオン打込み装置 |
-
1992
- 1992-11-17 JP JP30714492A patent/JPH06163199A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08330099A (ja) * | 1995-05-30 | 1996-12-13 | Hitachi Ltd | エネルギー可変型高周波四重極加速器およびイオン打込み装置 |
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