JP2561035B2 - 高周波四重極加速器 - Google Patents

高周波四重極加速器

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JP2561035B2 JP6167710A JP16771094A JP2561035B2 JP 2561035 B2 JP2561035 B2 JP 2561035B2 JP 6167710 A JP6167710 A JP 6167710A JP 16771094 A JP16771094 A JP 16771094A JP 2561035 B2 JP2561035 B2 JP 2561035B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高周波四重極加速器に係
り、特に、イオン注入装置等に好適な高周波四重極加速
器に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン注入装置等に使用される高周波四
重極(Radio Frequency Quadrupole)加速器は、真空容
器内に設けた四重極電極間に高周波高電圧を発生させる
ことによってイオンの加速を行うものである。前記四重
極電極は、波打った面を有する4本の電極を一つの中心
軸に関して90°の角度間隔で、且つ、該中心軸に前記
波打った面を向けて所定の間隔で平行に配置して形成さ
れる。前記4本の電極の2組の対向電極対の間に高周波
高電圧を発生させると、前記4本の電極の所定の位置関
係、及び前記波打ち状の構造に対応して前記四重極電極
間に所定の電位分布が生ずる。そして、前記電位分布が
生じた結果発生する四重極電極軸方向の電界によってイ
オンが加速される。
【0003】イオン注入装置等には、基板等の注入対象
の所望の深さに所望のイオンを注入するという性能が要
求される。したがってイオン注入装置等に使用される前
記高周波四重極加速器は、所望のイオン種を所望のエネ
ルギーに加速可能でなければならない。そのためには、
この高周波四重極加速器の加速原理(たとえばI. M.Kap
chinskii and V. A. Teplyakov, Pribory i Tekhnika E
ksperimenta, No.2,pp.19−22(1970)参
照)から、四重極電極を形成する前記2組の対向電極対
の間に発生させる高周波高電圧の周波数を変える必要が
ある。
【0004】このように、高周波高電圧の周波数を変え
ることによって所望のイオン種を所望のエネルギーに加
速する構成がこれまでにいくつか提案されている。これ
らの例としては、たとえば特公平5−58240号公報や特表
昭63−502311号公報,特開平1−137549 号公報などがあ
る。上記の例では、四重極電極にインダクタンス手段を
接続して共振回路を形成し、この共振回路に高周波電力
を投入して四重極電極間に高周波高電圧を発生させる。
【0005】また、上記共振回路における高周波電力の
損失を低減するため、四重極電極を支持する支持部材の
少なくとも一部に絶縁体を使用する構成が提案されてい
る。この例としては特開平5−21198号公報がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】高周波四重極加速器を
使用してイオンを加速する場合、四重極電極を形成する
2組の対向電極対の間には通常数十kV程度の高電圧を
発生させる。それゆえ、四重極電極を支持する支持部材
に使用された絶縁体の両端には数十kV程度の高電圧が
印加されることになる。
【0007】ところで、前記支持部材の絶縁体とその両
端の導体との接合部分には、絶縁体・導体・真空の近接
するいわゆる三重点が形成される。前記三重点の絶縁体
と導体との間には微小な間隙が存在する場合が多く、そ
のため、この間隙に電界が集中して前記三重点から電子
が放出され、前記支持部材で放電が生じる(この放電の
機構については、たとえば H. Craig Miller, IEEE Tra
nsactions onElectrical Insulation, Vol.24,No.
5,pp.765−786,1989を参照のこと)。
【0008】上記のように四重極電極の支持部材で放電
が生じると、四重極電極とインダクタンス手段とからな
る共振回路のインピーダンスが不規則に変動するため、
高周波電源からの電力が前記共振回路に入らずに反射さ
れるので、前記共振回路への所定量の高周波電力の安定
投入が不可能となる。その結果四重極電極間に所定の高
周波電圧を安定に発生できなくなるため、イオンの加速
を安定に行うことができなくなり、イオン注入装置等と
して運転の安定性が得られないという第一の問題点があ
った。
【0009】加えて、上記のように四重極電極の支持部
材で放電が生じると、前記共振回路に投入された高周波
電力が上記放電の発生部分で集中的に消費されるため、
前記支持部材に使用した絶縁体が破損する。その結果、
四重極電極の据付け位置が所定の位置から変化して四重
極電極間に所定の電位分布が生じなくなるため、イオン
の加速が不可能になるという第二の問題点があった。
【0010】また、四重極電極に接続されたインダクタ
ンス手段を支持する支持部材においても、同部材に使用
された絶縁体の両端には、前記四重極電極を支持する支
持部材の絶縁体と同等な高電圧が印加されるため、四重
極電極を支持する支持部材についての上記第一の問題点
と同じ問題点があった。
【0011】本発明の目的は、四重極電極間に所定の電
圧を安定に発生できる高周波四重極加速器を提供するこ
とにある。
【0012】本発明の他の目的は、四重極電極間に所定
の電位分布を発生させることのできる高周波四重極加速
器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、波打っ
た面を有する4本の電極を一つの中心軸に関して90°の
角度間隔で、且つ、該中心軸に前記波打った面を向けて
所定の間隔で平行に配置して形成される四重極電極と、
該四重極電極に接続され、この四重極電極と共同して共
振回路を形成するインダクタンス手段と、前記四重極電
極、あるいは前記インダクタンス手段を支持する少なく
とも一部に絶縁体を使用した支持部材とから構成される
高周波四重極加速器において、前記絶縁体に接する導体
は略環状の突起を有し、この略環状の突起を有する導体
と前記絶縁体との接合面が前記略環状の突起の内側に存
在する点にある。
【0014】本発明の他の特徴は、波打った面を有する
4本の電極を一つの中心軸に関して90°の角度間隔
で、且つ、該中心軸に前記波打った面を向けて所定の間
隔で平行に配置して形成される四重極電極と、該四重極
電極に接続され、この四重極電極と共同して共振回路を
形成するインダクタンス手段と、前記四重極電極、ある
いは前記インダクタンス手段を支持する少なくとも一部
に絶縁体を使用した支持部材とから構成される高周波四
重極加速器において、前記絶縁体に接する導体は凹部を
有し、この凹部を有する導体と前記絶縁体との接合面が
前記凹部内に存在する点にある。
【0015】本発明の他の特徴は、波打った面を有する
4本の電極を一つの中心軸に関して90°の角度間隔
で、且つ、該中心軸に前記波打った面を向けて所定の間
隔で平行に配置して形成される四重極電極と、該四重極
電極に接続され、この四重極電極と共同して共振回路を
形成するインダクタンス手段と、前記四重極電極、ある
いは前記インダクタンス手段を支持する少なくとも一部
に絶縁体を使用した支持部材とから構成される高周波四
重極加速器において、前記絶縁体に接する導体は凸部を
有し、該凸部は前記絶縁体内に埋設されている点にあ
る。
【0016】本発明の他の特徴は、波打った面を有する
4本の電極を一つの中心軸に関して90°の角度間隔
で、且つ、該中心軸に前記波打った面を向けて所定の間
隔で平行に配置して形成される四重極電極と,該四重極
電極に接続され、この四重極電極と共同して共振回路を
形成するインダクタンス手段と,前記四重極電極、ある
いは前記インダクタンス手段を支持する少なくとも一部
に絶縁体を使用した支持部材とから構成される高周波四
重極加速器において、前記絶縁体に接する導体は略環状
の突起を有するとともに該略環状の突起の内側に凸部を
有し、この略環状の突起を有する導体と前記絶縁体との
接合面が前記略環状の突起の内側に存在しかつ前記凸部
は前記絶縁体内に埋設されている点にある。
【0017】本発明の他の特徴は、波打った面を有する
4本の電極を一つの中心軸に関して90°の角度間隔
で、且つ、該中心軸に前記波打った面を向けて所定の間
隔で平行に配置して形成される四重極電極と、該四重極
電極に接続され、この四重極電極と共同して共振回路を
形成するインダクタンス手段と、前記四重極電極、ある
いは前記インダクタンス手段を支持する少なくとも一部
に絶縁体を使用した支持部材とから構成される高周波四
重極加速器において、前記絶縁体に接する導体は凹部を
有するとともに該凹部の内側に凸部を有し、前記凹部お
よび凸部を有する導体と前記絶縁体との接合面が前記凹
部内に存在し、且つ、前記凸部は前記絶縁体内に埋設さ
れている点にある。
【0018】
【作用】四重極電極、あるいはインダクタンス手段を支
持する支持部材の絶縁体に接する導体が略環状の突起を
有し、この略環状の突起を有する導体と前記絶縁体との
接合面が前記略環状の突起の内側に存在すると、前記導
体と前記絶縁体との接合部分の三重点に存在する微小な
間隙における電界が緩和されるため、前記三重点からの
電子の放出が抑制され前記支持部材での放電が抑制され
る。
【0019】四重極電極、あるいはインダクタンス手段
を支持する支持部材の絶縁体に接する導体が凹部を有
し、この凹部を有する導体と前記絶縁体との接合面が前
記凹部内に存在すると、前記導体と前記絶縁体との接合
部分の三重点に存在する微小な間隙における電界が緩和
されるため、前記三重点からの電子の放出が抑制され前
記支持部材での放電が抑制される。
【0020】四重極電極、あるいはインダクタンス手段
を支持する支持部材の絶縁体に接する導体が凸部を有
し、この凸部が前記絶縁体内に埋設されていると、前記
導体と前記絶縁体との接合部分の三重点に存在する微小
な間隙における電界が緩和されるため、前記三重点から
の電子の放出が抑制され前記支持部材での放電が抑制さ
れる。
【0021】四重極電極、あるいはインダクタンス手段
を支持する支持部材の絶縁体に接する導体が略環状の突
起を有すると共に、該略環状の突起の内側に凸部を有
し、この略環状の突起を有する導体と前記絶縁体との接
合面が前記略環状の突起の内側に存在し、且つ、前記凸
部が前記絶縁体内に埋設されていると、前記導体と前記
絶縁体との接合部分の三重点に存在する微小な間隙にお
ける電界が緩和されるため、前記三重点からの電子の放
出が抑制され前記支持部材での放電が抑制される。
【0022】四重極電極、あるいはインダクタンス手段
を支持する支持部材の絶縁体に接する導体が凹部を有す
ると共に、該凹部の内側に凸部を有し、前記凹部、及び
凸部を有する導体と前記絶縁体との接合面が前記凹部内
に存在し、且つ、前記凸部が前記絶縁体内に埋設されて
いると、前記導体と前記絶縁体との接合部分の三重点に
存在する微小な間隙における電界が緩和されるため、前
記三重点からの電子の放出が抑制され前記支持部材での
放電が抑制される。
【0023】
【実施例】以下、図示した実施例に基づき本発明を詳細
に説明する。
【0024】図2は本発明に基づく高周波四重極加速器
の一例である。本装置の主要な構成要素は、波打った面
を有する4本の電極を一つの中心軸に関して90°の角
度間隔で、且つ、該中心軸に前記波打った面を向けて所
定の間隔で平行に配置して形成される四重極電極1と、
この四重極電極1に接続され、四重極電極1と共同して
共振回路を形成するインダクタンス手段であるところの
筒状のワンターンコイル2と、前記四重極電極を支持
し、且つ、真空容器6から絶縁する電極支持部材3であ
り、これらはすべて真空容器6内に収納されている。ま
た、本装置のその他の構成要素は、筒状のワンターンコ
イル2の内側に配置された一次コイル5と、一次コイル
5に接続された同軸線路7と、同軸線路7に接続された
インピーダンスマッチング回路8、および高周波電源9
である。同軸線路7の一部と一次コイル5は真空容器6
内に収納されている。
【0025】四重極電極1とその支持構造を図3に示
す。(a)は正面図、(b)は側面図である。四重極電
極1は、第一の対向電極対を形成する電極1A、及び1
Cと第二の対向電極対を形成する電極1B、及び1Dか
らなる。前記第一の対向電極対は電極支持枠4Aによっ
て支持され、該電極支持枠4Aは電極支持部材3により
導体の台座10から支持される。一方、前記第二の対向
電極対は電極支持枠4Bによって支持され、該電極支持
枠4Bは導体のスペーサ41を介して電極支持部材3に
より台座10から支持される。台座10は真空容器6に
固定されている。電極支持部材3の上面図,正面図、及
び下面図を図4に示す。(a)は上面図(b)は正面図
(c)は下面図である。また、電極支持部材3の縦断面
図を図1に示す。
【0026】電極支持部材3は円柱状の碍子31と導体
の上部ブロック32と導体の下部ブロック33とからな
り、上部ブロック32、及び下部ブロック33はそれぞ
れ碍子31の上面、及び下面に接合されている。上部ブ
ロック32、及び下部ブロック33は、碍子31との接
合面の周囲にそれぞれ略環状の突起32A、及び33Aを
有する。略環状の突起32A及び33Aは、それぞれ2
個に等分割して上部ブロック32、及び下部ブロック3
3から分離できる。
【0027】上部ブロック32から分離した略環状の突
起32Aの上面図及び側面図をそれぞれ図5(a)、及
び(c)に、下部ブロック33から分離した略環状の突
起33Aの上面図、及び側面図をそれぞれ図5(c)、
及び(d)に示す。
【0028】略環状の突起32A、及び33Aは、ボル
ト穴34を通してボルト(図示せず)によって上部ブロッ
ク32、及び下部ブロック33にそれぞれ固定される。
【0029】筒状のワンターンコイル2は、上部導体板
21・下部導体板22・可動短絡板23とから形成され
る(図2参照)。上部導体板21はその一端が前記第一
の対向電極対に接続され、下部導体板22はその一端が
前記第二の対向電極対に接続される。上部導体板21お
よび下部導体板22はそれぞれコイル支持部材24によ
って真空容器から支持される。可動短絡板23は上部導
体板21と下部導体板22に接続され、かつ、図2に示
した矢印の方向に摺動動作可能である。
【0030】コイル支持部材24の縦断面図を図6に示
す。コイル支持部材24の構造は電極支持部材3と同様
である。すなわちコイル支持部材24は、円柱状の碍子
241と、碍子241の上面、あるいは下面に接合された
導体の上部ブロック242と導体の下部ブロック243
とからなる。上部ブロック242、及び下部ブロック2
43は、碍子241との接合面の周囲にそれぞれ略環状
の突起242A、及び243Aを有する。略環状の突起
242A、及び243Aは、それぞれ2個に等分割して
上部ブロック242、及び下部ブロック243から分離
できる。
【0031】一次コイル5は、その一端が同軸線路7の
内部導体に接続され、他端が同軸線路7の外部導体に接
続される(図2参照)。同軸線路7は真空容器外に設置
したインピーダンスマッチング回路8を介して高周波電
源9に接続される。また、同軸線路7の外部導体は、短
絡板に摺動可能に接続され、かつ、真空容器6に固定接
続される。
【0032】以上の構成において、高周波電源9からの
電力が同軸線路7を通して一次コイル5に導入される。
ここで、高周波電源9の動作周波数は、筒状のワンター
ンコイル2と四重極電極1とによって形成される共振回
路の共振周波数に同調させている。また、高周波電源9
からの電力が反射されずに前記共振回路に投入されるよ
う、インピーダンスマッチング回路8の回路定数を調整
している。一次コイル5に導入された電力は、一次コイ
ル5と筒状のワンターンコイル2との磁気的結合により
前記共振回路に供給され、該共振回路で共振が生じる。
この共振により、前記共振回路の容量成分を形成する四
重極電極1の2組の対向電極対の間に高周波高電圧が発
生する。そして、四重極電極1を形成する電極1Aから
1Dの所定の位置関係、及び波打ち状の構造に対応して
四重極電極1間に所定の電位分布が生じ、その結果発生
する四重極電極軸方向の電界によって、四重極電極1間
に導入されたイオンが加速される。
【0033】上記のように、電極支持部材3の上部ブロ
ック32、及び下部ブロック33は、碍子31との接合
面の周囲にそれぞれ略環状の突起32A及び33Aを有
するので、上部ブロック32と碍子31との接合部分の
三重点に存在する微小な間隙における電界、及び下部ブ
ロック33と碍子31との接合部分の三重点に存在する
微小な間隙における電界が緩和されるため、前記三重点
からの電子の放出が抑制され、電極支持部材3での放電
が抑制される。
【0034】その結果、筒状のワンターンコイル2と四
重極電極1とによって形成される共振回路のインピーダ
ンスの変動が抑制されるため、前記共振回路へ所定量の
高周波電力が安定に供給される。それゆえ四重極電極間
に所定の電圧が安定に発生され、イオンの加速が安定に
行われる。
【0035】加えて、上記の放電の抑制の結果、該放電
に伴う電極支持部材3での高周波電力の集中的な消費が
抑制されて碍子31の破損が回避されるため、四重極電
極1の据付け位置が変化しないので、四重極電極1間に
所定の電位分布が生じてイオンの加速が行われる。
【0036】なお、本実施例では略環状の突起32A、
及び33Aをそれぞれ上部ブロック32、及び下部ブロ
ック33から分離できるので、碍子31の表面の汚れの
除去等のメインテナンス作業を容易に行うことができ
る。
【0037】電極支持部材3は、図7(a)に示すよう
に、その上部ブロック32、及び下部ブロック33が凸
部を有し、これら凸部が碍子31内に埋設されている構
造にしても、上部ブロック32と碍子31との接合部分
の三重点に存在する微小な間隙における電界、および下
部ブロック33と碍子31との接合部分の三重点に存在
する微小な間隙における電界が緩和されるため、電極支
持部材3での放電が抑制される。
【0038】電極支持部材3は、図7(b)に示すよう
に、上部ブロック32、及び下部ブロック33が碍子3
1との接合面の周囲にそれぞれ略環状の突起32A、及
び33Aを有するとともに、該略環状の突起32A、及
び33Aの内側に凸部を有し、これら凸部が碍子31内
に埋設されている構造にしても、上部ブロック32と碍
子31との接合部分の三重点に存在する微小な間隙にお
ける電界、及び下部ブロック33と碍子31との接合部
分の三重点に存在する微小な間隙における電界が緩和さ
れるため、電極支持部材3での放電が抑制される。
【0039】電極支持部材3は、図7(c)に示すよう
に、上部ブロック32、及び下部ブロック33が凹部を
有し、上部ブロック32と碍子31との接合面および下
部ブロック33と碍子31との接合面が前記凹部の内側
に存在する構造にしても、上部ブロック32と碍子31
との接合部分の三重点に存在する微小な間隙における電
界、及び下部ブロック33と碍子31との接合部分の三
重点に存在する微小な間隙における電界が緩和されるた
め、電極支持部材3での放電が抑制される。
【0040】電極支持部材3は、図7(d)に示すよう
に、上部ブロック32、及び下部ブロック33が凹部を
有するとともに、該凹部の内側に凸部を有し、これら凸
部が碍子31内に埋設されている構造にしても、上部ブ
ロック32と碍子31との接合部分の三重点に存在する
微小な間隙における電界、及び下部ブロック33と碍子
31との接合部分の三重点に存在する微小な間隙におけ
る電界が緩和されるため、電極支持部材3での放電が抑
制される。
【0041】前記のとおり、コイル支持部材24の上部
ブロック242、及び下部ブロック243は、碍子24
1との接合面の周囲に、それぞれ略環状の突起242
A、及び243Aを有するので、電極支持部材3と同様
に、上部ブロック242と碍子241との接合部分の三
重点に存在する微小な間隙における電界、及び下部ブロ
ック243と碍子241との接合部分の三重点に存在す
る微小な間隙における電界が緩和されるため、コイル支
持部材24での放電が抑制される。その結果、筒状のワ
ンターンコイル2と四重極電極1とによって形成される
共振回路のインピーダンスの変動が抑制されるため、前
記共振回路へ所定量の高周波電力が安定に供給される。
それゆえ四重極電極間に所定の電圧が安定に発生され、
イオンの加速が安定に行われる。
【0042】前記のとおり、インダクタンス手段である
ところの筒状のワンターンコイル2は、上部導体板21
・下部導体板22・可動短絡板23とから形成され、上
部導体板21は、その一端が前記第一の対向電極対に接
続され、下部導体板22はその一端が前記第二の対向電
極対に接続され、可動短絡板23は上部導体板21と下
部導体板22に接続され、且つ、図1に示した矢印の方
向に摺動動作可能であるので、可動短絡板23の移動操
作によって筒状のワンターンコイル2の断面積が変わ
る。その結果、筒状のワンターンコイル2の自己インダ
クタンスが変わるため、四重極電極1と筒状のワンター
ンコイル2とからなる共振回路の共振周波数が変わる。
【0043】従って、本高周波四重極加速器で加速され
るイオンの出射エネルギーを可動短絡板23の移動操作
によって容易に変更できる。
【0044】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、四重極電
極、あるいはインダクタンス手段を支持する支持部材で
の放電が抑制されるため、前記四重極電極と前記インダ
クタンス手段とからなる共振回路のインピーダンスの変
動が抑制されるので、高周波電源からの電力が反射され
ずに前記共振回路に所定量安定投入され、したがって前
記四重極電極間に所定の高周波電圧が安定に発生し、そ
の結果、イオンの加速が安定に行われる。
【0045】加えて、前記放電に伴う前記支持部材での
高周波電力の集中的な消費が抑制されるので、前記支持
部材の破損が回避されて前記四重極電極の据付け位置が
変化しないため、前記四重極電極間に所定の電位分布が
生じてイオンの加速が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波四重極加速器に採用される四重
極電極の支持部材を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す高周波四重極加速器の
概略図である。
【図3】本発明の高周波四重極加速器に採用される四重
極電極とその支持構造を示す図である。
【図4】本発明の高周波四重極加速器に採用される四重
極電極の支持部材の正面図,上面図、及び下面図であ
る。
【図5】本発明の高周波四重極加速器に採用される四重
極電極の支持部材の上部ブロック、及び下部ブロックか
ら分離した略環状の突起を示す図である。
【図6】本発明の高周波四重極加速器に採用されるコイ
ル支持部材を示す断面図である。
【図7】本発明の高周波四重極加速器に採用される四重
極電極の支持部材の構造の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…四重極電極、1A〜1D…電極、2…筒状のワンタ
ーンコイル、21…上部導体板、22…下部導体板、2
3…可動短絡板、24…コイル支持部材、3…電極支持
部材、31…碍子、32…上部ブロック、33…下部ブ
ロック、32Aおよび33A…略環状の突起、4Aおよ
び4B…電極支持枠、41…スペーサ、5…一次コイ
ル、6…真空容器、7…同軸線路、8…インピーダンス
マッチング回路、9…高周波電源、10…台座。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波打った面を有する4本の電極を一つの中
    心軸に関して90°の角度間隔で、且つ、該中心軸に前
    記電極の波打った面を向けて所定の間隔で平行に配置し
    て形成される四重極電極と,該四重極電極に接続され、
    この四重極電極と共同して共振回路を形成するインダク
    タンス手段と,前記四重極電極、あるいは前記インダク
    タンス手段を支持する少なくとも一部に絶縁体を使用し
    た支持部材とから構成される高周波四重極加速器におい
    て、 前記支持部材の構成要素である前記絶縁体に接する導体
    は略環状の突起を有し、この略環状の突起を有する導体
    と前記絶縁体との接合面が前記略環状の突起の内側に存
    在することを特徴とする高周波四重極加速器。
  2. 【請求項2】波打った面を有する4本の電極を一つの中
    心軸に関して90°の角度間隔で、且つ、該中心軸に前
    記電極の波打った面を向けて所定の間隔で平行に配置し
    て形成される四重極電極と,該四重極電極に接続され、
    この四重極電極と共同して共振回路を形成するインダク
    タンス手段と,前記四重極電極、あるいは前記インダク
    タンス手段を支持する少なくとも一部に絶縁体を使用し
    た支持部材とから構成される高周波四重極加速器におい
    て、 前記絶縁体に接する導体は凹部を有し、この凹部を有す
    る導体と前記絶縁体との接合面が前記凹部内に存在する
    ことを特徴とする高周波四重極加速器。
  3. 【請求項3】波打った面を有する4本の電極を一つの中
    心軸に関して90°の角度間隔で、且つ、該中心軸に前
    記電極の波打った面を向けて所定の間隔で平行に配置し
    て形成される四重極電極と,該四重極電極に接続され、
    この四重極電極と共同して共振回路を形成するインダク
    タンス手段と,少なくとも一部に絶縁体を使用し前記四
    重極電極あるいは前記インダクタンス手段を支持する支
    持部材とから構成される高周波四重極加速器において、 前記支持部材の構成要素である前記絶縁体に接する導体
    は凸部を有し、該凸部は前記絶縁体内に埋設されている
    ことを特徴とする高周波四重極加速器。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記絶縁体に接しかつ
    略環状の突起を有する前記導体は、前記略環状の突起の
    内側に凸部を有し、該凸部は前記絶縁体内に埋設されて
    いることを特徴とする高周波四重極加速器。
  5. 【請求項5】請求項2において、前記絶縁体に接し、且
    つ、凹部を有する前記導体は、該凹部の内側に凸部を有
    し、該凸部は前記絶縁体内に埋設されていることを特徴
    とする高周波四重極加速器。
  6. 【請求項6】請求項1から5の何れかにおいて、前記四
    重極電極の2組の対向電極に接続され、該四重極電極と
    共同して共振回路を形成する前記インダクタンス手段
    は、その自己インダクタンスが可変であることを特徴と
    する高周波四重極加速器。
  7. 【請求項7】請求項6において、自己インダクタンスが
    可変である前記インダクタンス手段は、筒状のワンター
    ンコイルであり、該筒状のワンターンコイルの断面積、
    あるいは全長が可変であることを特徴とする高周波四重
    極加速器。
  8. 【請求項8】請求項1から7の何れかにおいて、前記四
    重極電極と前記インダクタンス手段とから形成される前
    記共振回路に容量可変のコンデンサを併設したことを特
    徴とする高周波四重極加速器。
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