JP2908816B2 - 同調方法及びqメータ - Google Patents

同調方法及びqメータ

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Description

【発明の詳細な説明】 〈発明の技術分野〉 本発明は自動化Qメータに関する。
〈従来技術とその問題点〉 主にリアクタンス素子である被測定素子(以下DUTと
称する)の品質を表わす良さの指数Qは、永年にわたり
賞用されてきた。抵抗γとインダクタンスlとの直列接
続素子の角周波数ωにおけるQ値がQ=ωl/γであるこ
となどは、電子部品業界において、最も良く知られた関
係式とも言えよう。
近年、特に無線周波(RF)インダクタンスやセラミッ
ク・コンデンサ、誘電体などの評価のため、Q値の大き
な高QDUT(大概Q値が100以上である)の測定が望まれ
ている。さらに、高精度かつ自動測定が望まれている。
Q値の測定をおこなう市販の測定器は、LCRメータと
Qメータの2種類に大別できる。
LCRメータは、横河・ヒューレット・パッカード株式
会社製のHP4285Aなど多数が市販されており、DUTの印加
電圧、電流のベクトル比を測定する装置である。
測定器の構成と動作原理から、測定レンジはDUTのイ
ンピーダンスの絶対値IZIで定まる。Q値はZの実部を
γとすると、高QDUTにおいては、 である。
今測定誤差を|Z|の±0.1%とすると、測定値Qmは、 となる。
(2)式において、分子の|Z|の誤差は、分母の誤差
がはるかに大きいので省略した。
(3)式から、Q=100では誤差が10%にもなること
が容易に推察される。
従って、LCRメーターは比較的高速であるがQ値の測
定を高精度でおこなうのは困難である。一方、Qメータ
では、DUTのリアクタンス分を付加リアクタンスによっ
て共振させることを基本としている。
Qメータは二種類に大別される。一つは共振減衰法で
あり、DUTと付加リアクタンスから成る共振回路の自由
共振における電圧あるいは電流の振幅の減衰率と時間か
らQ値を求める方法である。例えば、共振電圧が2.7183
分の1に減衰するまでの共振周波数のサイクル数をNと
すると、Q=πNである。
この方法では、振幅検出器の構成が複雑で、Nの計数
タイミングが困難であり高周波において、その精度は劣
化する。
第2の方法は共振電圧の上昇比を用いる方法である。
第5図はその原理を示す。DUTZXがインダクタで、付
加の可変容量(以下バリコンと称す)C及び交流電源e
と直列接続される。
DUTのインピーダンスZxをZx=γ+jωlとする。
γは抵抗成分、lはインダクタンス成分、ωは交流電
源eの出力eの角周波数、j2=−1である。バリコンC
を可変して、ωl=1/(ωc)とするとDUTのQ(=ωl
/γ)は次式となる。
但し、VはバリコンCの端子間電圧である。原初的Q
メータでは、交流電源eの出力電圧eを一定とし、バリ
コンCを手動可変し、端子間電圧Vの最大値をアナログ
電圧計で測定指示していた。
従って、人手がかかり遅く測定値も人によりばらつき
という欠点がある。e=一定についても構造上問題があ
り、佐々木、横田により電子技術総合研究所彙報、第34
巻第9号、第767頁乃至第774頁に詳細な解析がなされて
いる。それによれば、Q≧100になるとeの変化が無視
できなくなり、Qの大きいものほど同調点でのeのずれ
は大きくなる。
Qメータの自動化は種々の方法で行われた。バリコン
Cをモータで回転して、電圧Vの振幅のピーク値を表示
させる方法では、上述のeのずれによる誤差の問題は解
決されず、かつモータの回転速度をQ値によって調整し
なければならなかった。高Qではゆっくり回転させない
と測定値が低くなる。さらに、測定に必ずしも必要でな
いバリコンCの値の全範囲を掃引するため、時間がかか
り、従って、出力のピーク値検出も複雑になった。
別の方法として、目黒電波測定器株式会社製のMS−88
27 LQメータでは、第5図のeとVの位相差を検出し
て、同調点において該位相差が90°となるように、ωを
自動制御してVを測定しQを求めている。典型的な測定
速度は140msである。この方法においても、eの変化に
よる誤差の発生が避けられないとともに、一定周波数で
Q値測定は自動化されない。電子部品は、一定周波数で
の測定、使用が多くなり、一定周波数での迅速な測定が
望ましい。
また位相差が90°よりわずかに変化した時の誤差の発
生もわずかに残る。
〈発明の目的〉 したがって、本発明の目的は、所定周波数で、高精
度、高速測定の可能なQメータにより、上記の欠点を解
消することである。
〈発明の概要〉 本発明の一実施例では、まず自動同調方式でQを測定
し、従来のQメータの不便さ、不安定さを改善する。ま
た同調方式として発振周波数を調節して同調をとるので
はなく、バリコンを回転することによって同調をとるた
め周波数を固定したままでQが測定できる。先に述べた
Qメータの構造的な誤差要因についても、DUTの両端の
電圧を測定することで解消することができる。
さらに、本発明の一実施例では、同調点から若干のず
れがあっても補正式により正しくQを測定することがで
きる。このことは、生産現場で、特に高速測定を望む場
合有益であり、ハンドラに接続して高速GO−NOGO自動選
別が行える。
〈発明の実施例〉 第1図は本発明の一実施例の自動化Qメータのブロッ
ク図である。
Qアダプタ100は、信号源102の交流信号を入力し、DU
TZxに印加する。結果として生ずる共振電圧と該印加電
圧はベクトル比検出器(VRD)106に入力されて、それら
のベクトル比が求められる。計算機104はそのベクトル
比に基づいて、バリコンCを可変して同調を確立すると
ともに、Q値を計算し表示する。またはQ値を別の機器
に出力する。
第1図から明らかなように、信号源102の出力は変成
器T1によって一般に降圧されて、交流電圧eが端子Lに
印加される。DUTZXは一端を接地されたバリコンCの一
方の端子Hと端子L間に接続される。バリコンCにはコ
ンデンサC1とC2の直列回路が、C2の一方の端子を接地す
るように、並列接続される。コンデンサC1とC2は容量変
成器(変成比:C1/(C1+C2)≡Kc)として動作し、バ
リコンCの端子間交流電圧VをKcVにするとともに、コ
ンデンサC2に接続された高入力インピーダンスを有する
増幅器A2の入力インピーダンスの影響を軽減する。その
理由を次に説明する。以下において、増幅器A2の入力ア
ドミタンスG2をG2=g+jωC2とする。gは実部、J2
−1、ωは角周波数、C2は入力容量である。増幅器A2
有の入力容量はコンデンサC2に既に含まれていると考え
る。コンデンサC1とC2の直列回路のアドミタンスG12
次式である。
式(5)において、g2<<ω2C2(C1+C2)として、近似
計算をおこなった。gがコンデンサC2の損失係数を大き
くしていないという仮定をしたことになり、実際そのよ
うにできる。損失係数をコンデンサC2とコンデンサC1
C2の結合について比較すると、 となり、kc(<1)倍となり改善される。
従って増幅器A2の測定値に及ぼす誤差は、kcを10以上
に選べば十分無視できる。
増幅器A1の入力インピーダンスは、変成器T1の出力イ
ンピーダンスが小さいので、ほとんど問題にならない。
計算本式104はパルス発生器pGを介してモータ・ドラ
イバMDに制御入力を与え、よってステッピング・モータ
等のモータM1を駆動する。
バリコンCとその並列コンデンサC1、C2との合成容量
をC0とおくと、 となる。
今増幅器A1、A2、A3の電圧増幅度をA1、A2、A3とお
く。増幅器A3の入力がスイッチSにより択一的に増幅器
A1、A2に接続されたときの増幅器A3の出力電圧はそれぞ
れV31、V32であって、以下のように表わされる。
V31=A1A3e≡k31e− (8) V32=kc A2A3V≡k32V− (9) 増幅度A1、A2、A3は、後続するベクトル比検出器VRD
への入力を調整して、|V31|≒|V32|に近くなるよう
にして、検出精度を高めるようにされる。
DUTのQ値が高い場合はA1を大きくするなどの操作が
好ましい。
次に自動同調について説明する。
ベクトル比検出器106は、式(8)、(9)のV31、V
32を入力しそれぞれを直交分解してあるいは一方を基準
として測定し、デジタル化して計算器104へ出力する。
計算機は、ベクトル比V31/V32を計算した後、該ベクト
ル比の実部によりモータM1を制御する。
まず第1図において、 とおく、但し、 なる関係式が成り立っている。
計算機はR(C0)によって、モータM1を制御し、Iよ
り同調(ω2lC0=1)に、 とQが求まる。
R(C0)は、ω2lが一定のときC0に比例し、同調時に
0となる。従ってR(C0)を用いれば同調点を求める制
御が容易である。
第2図に示すように、まずR(C0)を測定し、それを
Rmeasとし、これがRtgt(=0)に等しくなるように負
帰還制御をおこなう。同調システは共振回路である。
C0の比例定数k31ω2l/k32は、ω2lに依存するから、
負帰還ループの他のゲインを該比例定数に合わせて変化
されれば、DUTが異っても同じ収束条件を満すことがで
きる。
第3図に制御アルゴリズムを示す。簡単のためk31/k
32=1、ω2l=kとおいてある。
ステップ300において測定が開始され、ステップ302に
おいて、カウンタiの値を1とする。ステップ304にお
いて、C0=C1におけるR(C1=R1を測定する。ステップ
306ではC1、R1、よりk=(1−R1)/C1を計算する。C
1はモータの回転角より決定される。ステップ308におい
てモータの所要回転量を定める。回転量は容量C0の計算
値C∞とC1との差ΔCで定められる。
R(C∞)=1−kC∞=0 からC∞=1/kである。
従って とΔCが定められる。
ΔCがモータの1ステップで変化する量ε未満であれ
ば、即わち略んど同調が完了していれば、測定は終了し
てよい。ステップ310では、この判断をおこなってい
る。ΔC<εのときはQ=1/Iを表示するステップ318を
経てステップ320で終了する。ΔC≧εでは、カウンタ
iの値をi+1とシ(ステップ312)、ステップ314でバ
リコン容量を変えてC0をΔC変化させて、ステップ314
でR(Ci)=Riを測定して、ステップ308に戻る。
前記の方法では、モータの最小ステップによる分解能
εの制限がある。例えばC0の最大値を500pFを1000ステ
ップで変化させると、1ステップ0.5pFである。第4図
はこの制限を除くため、可変容量ダイオードCvを付加容
量Caと共にバリコンCに並列接続する方法を示す。可変
容量ダイオードCvは減結合抵抗Rdを介してデジタル・ア
ナログ変換器(DAC)401の出力でバイアスされる。DAC4
01の入力は、計算機104で制御されている。
可変容量ダイオードCvの追加により、分解能は1/100
〜1/1000に向上する。
つぎに同調点になく離調した場合の補正計算について
述べる。
式(9)、(10)をもう一度下記すれば、 である。
したがって、 となり、交流電圧eと端子間電圧Vのベクトル比からQ
が求まる。
同調がとれたときはR(C0)=0,Q=1/Iで通常のQメ
ータと同じになる。つまり、ベクトル比検出器106を用
いることで同調がとれなくてもQ測定が可能になる。
ベクトル比検出器を用いているため、RとIの測定の
際に位相誤差の影響がでてくる。同調点においては位相
誤差の影響は0であるが、同調点からずれるに従って位
相誤差の影響が大きくなり、精度が悪下する。
したがって、測定速度は多少おそくても高精度でQを
測定したという目的では、完全にバリコンを同調がとれ
るまで調節し、従来のQメータと同様の測定方法でQを
求めればよい。一方、多少精度は悪くてもよいから高速
で測定したいという目的では、バリコンを適当な位置に
固定しておいて、RとIを測定し先に述べた式によりQ
を求めればよい。バリコンを動かし同調をとる時間がは
ぶけるため、VRDの測定速度でQと測定速度が決まる。
現在使用されているVRDでは30msec程度でQが測定でき
ることになり、従来のQメータでは達成できなかった測
定速度が実現できる。
〈発明の効果〉 本発明の実施例により、周波数固定によるQ値の自動
測定が実現された。制御系が線形であるから、容易に高
速制御できる。バリコンを用いた測定では、100ms〜100
0msでQ値を測定できる。また、バリコンに可変容量ダ
イオードを並列付加して、同調精度を向上させることが
できる。さらに、離調していても、交流電圧eと端子間
電圧Vのベクトル比からQが求まるので、同種DUTの連
続測定では、同調動作を省くこともできるので、さらに
高速となる。従来問題であった交流電圧eの変動による
誤差は、交流電圧eと端子間電圧Vの比を用いる測定の
ため、それを除去できる。
また、交流電圧eと端子間電圧Vの増幅度を適当に選
んで、VRD入力を同程度に選べば、Qの精度はVRDのダイ
ナミックレンジの影響を受けないことになる。
実施例ではDUTをインダクタンスとしてのみ説明した
が、通常のQメータで行えるコンデンサや誘電体の測定
が従来通り行えることは当業者には容易に理解されよ
う。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例のQメータの概略ブロック図
である。 第2図は、第1図のQメータの同調制御を説明するため
の図、第3図は制御アルゴリズムを示すフロー図であ
る。 第4図は、バリコンCによる同調精度をさらに高めるた
めに、可変容量ダイオードCvを付加する本発明の一実施
例を説明するための概略ブロック図である。 第5図はQメータの原理を示すための回路図である。 100:Qアダプタ 102:測定用交流信号源 104:計算機 106:ベクトル比検出器(VRD) A1、A2、A3:増幅器 C:可変容量コンデンサ(バリコン) C1C2:容量変成器を構成するコンデンサ Ca:付加コンデンサ Cv:可変容量ダイオード M1:ステッピング・モータ MD:モータドライバ PG:パルス発生器 S:スイッチ T1:変成器 Zx:被測定素子(DUT)、インダクタの場合はZx=r+j
ωL
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01R 27/26

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インダクタと可変コンデンサとの直列回路
    を交流電圧で駆動し、該交流電圧と前記可変コンデンサ
    端子間電圧とのベクトル比を求め、該ベクトル比の実数
    部が零になるように前記可変コンデンサの容量を自動調
    整するようにした、同調方法。
  2. 【請求項2】前記可変コンデンサの容量が前記ベクトル
    比の実数部に従い、モータ駆動によって自動調整される
    ことを含む請求項1に記載の同調方法。
  3. 【請求項3】前記可変コンデンサに並列に、固定容量コ
    ンデンサと可変容量ダイオードとの直列回路を接続し、
    バイアス手段により前記可変容量ダイオードに印加され
    るバイアス電圧を自動調整して前記可変コンデンサの見
    かけ上の分解能を向上させることを含む請求項2に記載
    の同調方法。
  4. 【請求項4】被測定素子の一端に接続される交流信号源
    と、 前記被測定素子の他端に接続され、該被測定素子と共に
    直列共振回路を構成する可変コンデンサと、 前記交流信号源の出力電圧と前記可変コンデンサの端子
    間電圧とのベクトル比を計算する手段と、 前記ベクトル比に基づいて前記直列共振回路を共振させ
    るのに必要な前記可変コンデンサの容量の変量を決定す
    る計算制御手段と、 前記決定された変量に従って前記可変コンデンサを回転
    駆動して調整する手段と、 前記ベクトル比に基づいて前記被測定素子のQを求める
    手段と、 を備えて成るQメータ。
  5. 【請求項5】前記可変コンデンサの駆動、調整が前記ベ
    クトル比の実数部に従って行われるように前記計算制御
    手段を構成したことを特徴とする請求項4に記載のQメ
    ータ。
  6. 【請求項6】前記可変コンデンサに並列接続された、固
    定容量コンデンサと可変容量ダイオードとの直列接続回
    路と、 前記可変容量ダイオードにバイアス電圧を与えるバイア
    ス手段と、 をさらに備えて成る請求項4または5に記載のQメー
    タ。
  7. 【請求項7】前記ベクトル比を計算する前記手段が、前
    記交流信号源の前記出力電圧を増幅して入力するための
    手段をさらに備えて成ることを特徴とする請求項4、
    5、または6に記載のQメータ。
  8. 【請求項8】前記被測定素子がインダクタであって、該
    インダクタのQ値をQ=(1−R)/Iを用いて求めるよ
    う前記Qを求める手段を構成したことを特徴とする請求
    項4、5、6、または7に記載のQメータ。ここで、R
    およびIはそれぞれ前記ベクトル比の実数部および虚数
    部である。
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