JP2907900B2 - 磁気引外し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、引外し閾値設定レンジを幅広く設定し得る
磁気引外し装置に関し、励磁コイルを保持し、一方が他
方の延長線上に位置し固定空隙によって分離された第１
及び第２の極部を有する固定磁気回路と、固定磁気回路
の内部で褶動できるように搭載された可動芯組立と、第
１の極部と共に第１の可変空隙を決定する極部表面を有
し、動くことによって引外し閾値を変える第１の芯組立
とを備えたものに関する。

（従来の技術及び発明が解決しようとする課題） 上述のような種類の磁気引外し装置は、一般に電流遮
断器に関係があり、特に電線や装置を保護するサーキッ
トブレーカや短絡電流防止装置に関係する。引外し閾値
は、保護すべき装置に適合していなければならず、さら
に引外し装置はこの閾値を調節する機構を含んでいるこ
とが有利である。従来の技術では、調節機構は引外し装
置可動組立の復元力に作用し、又は空隙の長さに作用す
るが、調節能力は限定されており、さらに直線的な調節
はできない。幾つかの適用例では、設定範囲は大きくな
ければならない。これは、閾値は定格電流の１倍から５
倍、あるいはさらにそれよりも大きく変化し得るからで
あり、特に保護すべき電動モータを含む場合はこのよう
なことがあてはまる。従来技術による調節装置では、こ
のような幅広い設定範囲に渡って直線性を保つことはで
きず、さらにこの要求を満たしてはいなかった。

本発明の目的は、良好な操作性に不可欠な簡便さを確
保しつつ、全範囲に渡ってほぼ直線的である幅広い設定
範囲を有した磁気引外し装置を達成することにある。

〔発明の構成〕

本発明による磁気引外し装置は、上述した可動芯組立
が、第１の部分に機械的に結合されさらにこれから磁気
的に絶縁された第２の部分を有し、この第２の部分は第
２の極部とによって第２の可変空隙を決定し、対向して
いる第１及び第２の可変空隙のなかにあるコイルによっ
て発生される磁場によって吸引力が可動芯組立上に作用
し、調節装置が可動芯組立の初期の位置を固定するよう
に配置され、また明確に直線的に引外し閾値を調節する
ように配置されていることを特徴としている。

二つの部分から成り対向する効果をもたらす可動芯組
立（以下、プランジャ芯と称する）を用いることによ
り、調節範囲は極めて大きく拡張され、全ての設定範囲
に渡って直線的であるという要求が満たされる。この二
つのプランジャ芯は機械的に結合されているが、磁気的
には相互に絶縁されており、コイルによって発生し、異
なる通路のリラクタンスに依存し、この異なる空隙の各
々の数値に比例する磁束の分布を決定する。第１のプラ
ンジャ芯は引き外す方向に作用するが、第２のプランジ
ャ芯は反対の方向に作用し、この第２のプランジャ芯の
磁気回路は、第１のプランジャ芯の磁気回路の前に飽和
するように配置されている。引外し閾値は、可動芯組立
の初期の位置を調節することによって変えられ、最小の
閾値、例えば定格電流の三倍の値は、引外す方向に作動
する第１のプランジャ芯のみが可動し得る可動芯組立の
位置に対応している。最大の引外し値、例えば定格電流
の11倍の値の場合には、可動芯組立は、両方のプランジ
ャ芯が可動し、第１の芯の動作の方が優勢になるよう
に、しかし第２のプランジャ芯の動作によって強固に動
かないようにされるよう配列される。ある実施例によれ
ば、磁気回路は励磁コイルがその上に設置されている管
状部を備えており、この管状部は、二つの同軸方向にあ
る極部の部分が、一方が他方の延長線上に確実に位置す
るように、固定空隙によって縦方向を二つの部分に分割
されている。第１の極部は第２の極部よりも小さい内径
を有している。そして第１のプランジャ芯より大きい内
径を有する第２の極部の内側に、第１のプランジャ芯は
褶動自在に搭載されているが、第２のプランジャ芯は、
この第２の極部の内側に褶動自在に搭載されている。磁
気回路の磁束分布は、以下の説明からより明らかにされ
る。しかし、二つのプランジャ芯に関係のある二つの可
変空隙の存在が、幅広い設定範囲の達成をもたらすこと
は容易に理解され得る。

他の実施例によれば、磁気回路は、相互に対向するよ
うに配置され、ブレード芯組立と共に動作する二つのＵ
型部を備えている。

（実施例） 図において、磁気引外し装置は固定磁気回路１、励磁
コイル２、及びコネクティングロッド３に固定され戻し
ばね４によって偏らされた二つのプランジャ芯5,6を有
した可動組立から成っている。このコイル２は、磁気回
路１の一部である第１の極部７及び第２の極部８の周囲
に配置されており、この第１の極部７及び第２の極部８
は同軸円筒状の形状をし、固定された軸方向の空隙９に
よって分離されている。二つの極部7,8は、磁気回路１
の外部のハウジング10に連結されている。第１の極部７
の内径は第２の極部８の内径よりも小さいが、極部7,8
の外径は同一である。

極部7,8の内側には、第２の極部８の内部で微小間隙
をもって褶動自在に搭載された第１のプランジャ芯６を
備えた可動芯11が配列されている。二つのプランジャ芯
5,6は、引外しレバー13と共に動くストライカとして終
端部12が配置されたスライディングロッド３に強固に結
合されている。二つのプランジャ芯5,6は、この芯5,6を
磁気的に絶縁する空隙を作り出すように、縦方向に空間
を開けられており、ロッド３は例えば非磁性材料から成
っている。第１図において、戻しばね４によって下方に
かたよらされた可動芯の位置は、ロッド３によって保持
されている停止ナット14によって決定され、固定された
部分、例えば磁気回路１と協働し合う。この停止は、各
々別に達成される。

磁場の力線は、コイル２を流れる電流によって発生さ
れ、主に三つの異なる通路に沿って分配される。この磁
束の第１の部分15は、二つの極部7,8の間における軸方
向の空隙９を通ってハウジング10を通って閉じる。この
磁束15は、可動芯組立11には作用しない。磁束の第２の
能動的部分16は図の左側に表されており、第１の極部７
と第１のプランジャ芯６との間における空隙17を通り、
さらに第１の極部８とハウジング10を通って閉じる。こ
の第２の磁束16は、第１のプランジャ芯６に吸引力とし
て作用し、第１図において戻しばね４の力に抗して取外
しレバー13が作動する方向における上方に向かわせるこ
とになる。磁束の第３の能動的部分18は、図の右側に表
されており、第２のプランジャ芯５と第２の極部８との
間の第２の空隙19を通って流れる。この第２の磁束18
は、ハウジング10、第１の極部７、第１の極部７及び第
２のプランジャ芯５の間における隙間によって決定され
る固定された半径方向の空隙20を通って閉じる。可動芯
組立11に作用する力は、引外す方向と反対であり、第１
のプランジャ芯６に作用する力とは反対方向である。

第１の空隙17の大きさ及び第２の空隙19の大きさは可
動する芯組立11が動くと変化し、可動芯組立11が引外し
方向の上方に向かって動くときは第１の空隙17は減少
し、第２の空隙19は増加することは容易に理解される。
第１の空隙17は、影響のある空隙表面が増加するよう
に、第１の極部７の斜面21と協働する第１のプランジャ
芯６の円錐台形状の表面によって決定される。

引外し閾値の設定は、以下のようにして調節される。

第３図において、最小の引外し閾値の設定に対応した
位置は、例えば定格電流In（第４図に示す）の３倍で表
される。設定ナット14は、可動組立11が上方の位置に向
かって動き、引外しレバー13に接近するように締められ
る。この位置は、最小の距離ｄ、例えばスライディング
ロッド３の終端部12と引外しレバー13との間の距離によ
って決定される。第３図からわかるように、第１の空隙
17は小さく、殆ど全ての磁束は、第１の極部７及び第１
のプランジャ芯６を経てこの通路を通る。この第２のプ
ランジャ芯５は、対応した極部８から遠く、この通路を
経る磁気漏れは殆ど無視することができる。これによ
り、第２のプランジャ芯５によって一般に発生される反
対の向きの力により、妨害されることのない第１のプラ
ンジャ芯６の強力な吸引力が生じる。この引外し閾値は
低く、主に戻しばね４の力によって決定される。第２図
は、引外し閾値のうちの他方の限界値に対応した設定位
置を示している。調節ナット14は、第２図において、可
動組立11の下方への摺動を可能にするべく緩められる。
この初期の位置において、第１の極部７と第１のプラン
ジャ芯６との間の第１の空隙17は大きい。第１のプラン
ジャ芯６の吸引はそれでも優勢であるが、しかしコイル
２に流れる電流が高い閾値、例えば定格電流の11倍に増
加するときは、この引外し動作がまさに起こる。この取
外し効果は、第１の極部７と第１のプランジャ芯６の断
面よりも小さい横断面をする第２の極部８と第２のプラ
ンジャ芯５とを通過する力線が飽和することによって高
められる。

例えば定格電流値の７倍の引外し閾値に対応した中間
位置は、第１図に示されている。第２のプランジャ芯５
が対向する効果は存在するが、第２図に示された位置に
比べて明らかに少なくなっている。二つのプランジャ芯
5,6の結合した動作により、特に電動モータを保護する
現在の磁気引外し装置に対して、十分に広い設定幅に渡
って殆ど直線的な引外し閾値の調節が可能になる。本発
明による磁気引外し装置は、このような引外し装置の通
常の構造に類似しており、壊れやすく、あるいは不正確
な設定部を提供するものではない。

第６図及び第７図は、本発明による磁気引外し装置に
おける他の実施例を示している。ここで一般的な直方体
の形状をした固定磁気回路21は、相互に対向して配置さ
れ、二つの固定空隙24によって分離された第１のＵ型極
部22と第２のＵ字型極部23とにより構成されている。可
動組立25はこの磁気回路21の内部に位置し、この可動組
立が摺動するとわきの方へ動くブレード26の一方の面の
上に構成されていて、第１の極部22に向かって動く。さ
らにこれに対し、絶縁部28によってブレード26から磁気
的に絶縁され、固定空隙29によって相互に磁気的に絶縁
された二つのプレート27、即ち上述した磁性金属プレー
ト27は、固定空隙24に対向するように配置されている。
固定磁気回路21は励磁導体２を保持し、また可動組立25
のスライディングロッド３の周囲に巻かれたばね４は、
第６図及び第７図において下方の位置に向かって可動組
立をかたよらせる。

この引外し装置の操作は上述したようであり、この説
明によって、第６図に示されている最小の閾値設定位置
における操作は十分に思い起こされる。ブレード26は、
第１の極部22との間に小さい隙間を有し、プレート27に
対向することによる効果は無い。これにより、導体２が
励磁されるとその直後に、可動組立25の強力な吸引力が
生まれ、低い引外し閾値となる。第７図に示された位置
において、プレート27は第２の極部23に接近するように
動き、ブレード26の反発力に合うにもかかわらず、明ら
かにブレード26は第１の極部22の妨げとはならない。

この発明は当然ながら、より詳しく表されている他の
実施例に限られるのではなく代替実施例にまで拡張され
る。即ち、明らかにロッド３は磁性材料から成るが、無
視し得る横断面から成る。ここで、コイル２は磁気回路
において異なる場所に位置してもよく、また回転部は、
空隙がコイルの外部に位置する断面に置き換えられても
よい。

【図面の簡単な説明】

第１図は中間設定閾値をもたらす位置を表した本発明に
よる引外し装置の軸方向の部分的な外観図、第２図及び
第３図は第１図に類似した外観図であって、それぞれ最
大の閾値及び最小の閾値を設定する引外し装置を示した
外観図、第４図は芯の初期の位置からの引外し閾値の変
化曲線を示した説明図、第５図は本発明による引外し装
置の分解図、第６図及び第７図は第２図及び第３図に類
似した外観図であって他の実施例を示した説明図であ
る。 １……固定磁気回路、２……励磁コイル、３……スライ
ディングロッド、４……戻しばね、５……第２のプラン
ジャ芯、６……第１のプランジャ芯、７……第１の極
部、８……第２の極部、９……空隙、10……ハウジン
グ、11……可動芯組立、12……終端部、13……引外しレ
バー、14……停止ナット、15……第１の磁束、16……第
２の磁束、17……第１の空隙、18……第３の磁束、19…
…第２の空隙、20……第３の空隙、21……斜面、22……
第１のＵ型極部、23……第２のＵ型極部、24……固定空
隙、25……可動組立、26……ブレード、27……プレー
ト、28……絶縁部。

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】励磁コイル（２）を保持し、一方が他方の
   延長線上に位置し固定空隙（9,24）によって分離された
   第１の極部（7,22）及び第２の極部（8,23）を有する固
   定磁気回路（1,21）と、 前記固定磁気回路（1,21）の内部に摺動可能なように搭
   載され、前記第１の極部（7,22）と共に第１の可変空隙
   を決定する極面を持つ第１の部分を有し、動くことによ
   って前記第１の可変空隙の大きさを変える可動芯組立
   （11,25）とを備えており、 ここで前記可動芯組立（11,25）は、前記第１の部分
   （6,26）に機械的に結合され、磁気的に絶縁された第２
   の部分（5,27）を有し、 前記第２の部分（5,27）は、前記第２の極部（8,23）と
   共に前記第２の可変空隙（19）を決定し、 前記励磁コイル（２）によって発生する磁場により前記
   第１の可変空隙（17）において前記可動芯組立（11,2
   5）に作用する力と、第２の可変空隙（19）において前
   記可動芯組立（11,25）に作用する力との向きが対向し
   ており、前記可動芯組立（11,25）の初期の位置が調節
   装置（14）によって固定され、前記調節装置（14）を移
   動させると前記第１の可変空隙（17）と前記第２の可変
   空隙（19）とが変化してほぼ直線的に引外し閾値を調節
   するように配置されていることを特徴とする幅広い引外
   し閾値の設定範囲を有する磁気引外し装置。
2. 【請求項２】前記芯組立（11）の前記第１の部分（６）
   及び前記第２の部分（５）は、前記第１の管状極部
   （７）及び前記第２の管状極部（８）の内部に褶動可能
   なように搭載されたプランジャン芯であることを特徴と
   する請求項１記載の磁気引外し装置。
3. 【請求項３】前記芯組立の第１の部分は第１のＵ型極部
   （22）の空隙表面に面して配置されたブレード（26）で
   あり、前記芯組立の第２の部分は前記第１の極部（22）
   に面して配置されたＵ型形状の第２の極部（23）と共働
   する二つのプレート（27）から成ることを特徴とする請
   求項１記載の磁気引外し装置。
4. 【請求項４】前記第１の極部（7,22）の横断面、及び／
   又は前記第１の芯組立部（6,26）の横断面が、前記第２
   の極部（8,23）の横断面及び／又は前記第２の芯組立部
   （5,27）の横断面よりも大きく、さらに前記第１の極部
   （7,22）は前記可動芯組立（11）に引外す方向に吸引力
   を働かせることを特徴とする請求項１ないし３のいずれ
   かに記載の磁気引外し装置。
5. 【請求項５】前記第２のプランジャ芯（５）の直径は、
   前記第１のプランジャ芯（６）の直径よりも小さく、さ
   らに前記第２のプランジャ芯（５）は前記第１のプラン
   ジャ芯（７）の内部で褶動可能なように搭載されている
   ことを特徴とする請求項４記載の磁気引外し装置。
6. 【請求項６】前記第２のプランジャ芯（5,6）は前記極
   部（7,8）の軸方向に延びているスライディングロッド
   （３）に固定され、前記二つの芯（5,6）は縦方向に分
   離され、さらに前記第１のプランジャ芯（６）は前記２
   の極部（５）側に位置しており、前記第２のプランジャ
   芯（５）は前記第１の極部（７）側に位置していること
   を特徴とする請求項記載1,2,4又は５記載の磁気引外し
   装置。
7. 【請求項７】最小の閾値設定位置のときは、前記可動芯
   組立（11,25）は前記第１の可変空隙（17）が最小とな
   る位置、及び前記第２の可変空隙（19）が最大となる位
   置にあり、前記第２のプランジャ芯（５）又は前記プレ
   ート（27）の反対方向の動作は殆ど無視し得るものであ
   ることを特徴とする請求項１から６までのうちのいずれ
   かに記載の磁気引外し装置。
8. 【請求項８】戻しばね（４）が、引外し閾値調節ナット
   （14）によって決定される停止に対して、前記可動芯組
   立（11,25）にバイアスを与えることを特徴とする請求
   項１から７までのうちのいずれかに記載の磁気引外し装
   置。
9. 【請求項９】前記コイル（２）は、外側のハウジング
   （10）によって結合された前記二つの極部（7,8）の周
   囲に位置していることを特徴とする請求項１又は２記載
   の磁気引外し装置。
10. 【請求項１０】前記コイル（２）は、前記第１の極部
    （22）を構成する前記Ｕ型部に位置していることを特徴
    とする請求項３記載の磁気引外し装置。