JP2907694B2 - 核燃料ペレットの製造方法 - Google Patents
核燃料ペレットの製造方法Info
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Description
燃料ペレットの製造方法に関する。
レットが用いられる。この核燃料ペレットは、直径が数
ミリ程度、高さが直径と同程度の寸法を有するもので、
これをステンレス鋼などの被覆管の内部に多数積み重ね
ることによって、燃料棒を形成する。
核物質が分裂すると、気体状の核分裂生成物(FPガ
ス)が生成される。このFPガスは、核燃料ペレットを
膨脹させるため、炉内における燃料の寿命を制限する要
因となる。従って、このFPガスの影響を抑制するた
め、ペレット中に予め多数の微小なガス溜め用空洞(以
下、ポアと呼ぶ)を設けておくことが必要である。この
ポアは、例えば数十ないし数百μmの大きさを有するも
のであるが、このようなポアをペレット中に形成するこ
とにより、上記したFPガスによる核燃料ペレットの膨
脹を抑制することができる。このようなポアを持つペレ
ットは、密度が低くなるため、一般に低密度ペレットと
呼ばれている。
ては、その密度制御が必要不可欠となるが、その密度制
御方法にはいくつかの方法がある。このうち最も一般的
であり既に実用化されている方法は、球状に調製した有
機物を原料粉末に添加して圧粉体に成形し、この圧粉体
を約800℃の還元性雰囲気中で脱脂して、圧粉体中に
ポアを形成させ、焼結を行うことにより圧粉体を焼き固
める方法である。この方法に用いる密度降下剤として
は、原料粉末と反応しない物質であること、脱脂工
程において十分除去ができるものであること、所定の
形状、大きさに調整が可能であること、水分、ガスの
吸着を起こしにくいこと、凝集を起こしにくいもので
あること、等の条件が要求される。このような5つの条
件を満足するものとしては、例えばポリエチレン、芳香
族カルボン酸、クリセリン−トリヒドロキシ−ステアラ
ート等の高級脂肪酸や、シュウ酸ジアミンなどがあり、
実用的にあるいは試験的に使用されている。また、本出
願人による先の出願(特開平5−1812611)に記
載したように、耐熱性を有する結晶セルロースを密度降
下剤として用いるのが効果的である。
ットを製造する場合、従来は、図5に示すように、均一
に粉砕混合した原料粉末に粉末結合強化用のバインダー
を添加して所定の粒径に造粒したのち密度降下剤を添加
して密度制御を行い、しかるのち成型、焼結等の工程を
行うようになっていた。
工程によると、密度降下剤は造粒された顆粒状粉末(以
下、造粒粉末という)に比べて比重が極めて小さいた
め、図6に示すように、密度降下剤の添加後の工程での
粉末取扱中に造粒粉末11と密度降下剤12とが分離し
てしまう。この状態で成型を行うと、各成型圧粉体中に
含有される密度降下剤の量にばらつきが生じ、その結
果、図7(a)及び(b)に示すように、焼結後のペレ
ット間の密度と寸法のばらつきが大きくなる。なお、こ
の図でNは母数、nはサンプル数を示す。
トの密度及び寸法を所定の許容範囲内に収めることが困
難であり、焼結ペレットの全数について密度及び寸法の
選別を行う必要が生じ、製品収率を大きく低下させる原
因となっていた。
なされたものであり、ペレット間の密度及び寸法のばら
つきを低減することができる核燃料ペレットの製造方法
を得ることを目的とする。
る核燃料ペレットの製造方法は、(i) 核燃料原料粉末
に、核燃料ペレット中に多数の微小なガス溜め用空洞で
あるポアを形成させるための密度降下剤を添加して混合
する工程と、(ii)この添加混合工程により得られた混合
体を所定の粒度に造粒する工程と、(iii) この造粒工程
により得られた造粒体を所定形状に成形し焼結する成形
焼結工程と、を含むことを特徴とするものである。請求
項2記載の発明に係る核燃料ペレットの製造方法は、請
求項1において、核燃料ペレットの理論密度が85%で
あることを特徴とする。
の製造方法は、請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン酸化物であることを特徴とするものであ
る。
の製造方法は、請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン炭化物であることを特徴とするものであ
る。
の製造方法は、請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン窒化物であることを特徴とするものであ
る。
の製造方法は、請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン酸化物とプルトニウム酸化物との混合物
であることを特徴とするものである。
の製造方法は、請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン炭化物とプルトニウム炭化物との混合物
であることを特徴とするものである。
の製造方法は、請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン窒化物とプルトニウム窒化物との混合物
であることを特徴とするものである。
造粒工程後の混合粉体においては、密度降下剤が造粒粉
末の内外に均一に分散され混合粉末全体の密度分布が均
質化される。このため、これを成型・焼結して製造され
る焼結ペレット間の密度及び寸法のばらつきが少なくな
る。
る。
降下剤の添加を造粒工程の前に行い、密度降下剤を造粒
粉末の内外に均一に分散させたうえで成型及び焼結を行
う点にある。
セルロースを用いる。この結晶セルロースは、熱分解温
度が約350℃と高く、また所定の大きさの球状に調製
することが容易で、しかも水分等の吸着や凝集を起こし
にくいという条件(従来例で記載したI〜Mの条件)を
すべて満足するものである。
た密度85%T.D(理論密度)の核燃料ペレットの製
造工程の一例を表したものである。この図に示すよう
に、二酸化ウラン(UO2 )の粉末と、混合酸化物(M
OX)の粉末とを混合して粉砕した後、これに密度降下
剤とバインダーを添加する。ここで、密度降下剤として
は上記した結晶セルロースを用い、バインダーとしては
ステアリン酸亜鉛を用いる。ここでバインダーとは、粉
末の結合を良くするための糊の役割を果たすものであ
り、量産時においてはグリーンペレット段階以前におけ
る取扱い強度の向上のため必要なものである。
を添加混合した状態においては、その混合粉体は、図2
に示すような状態となる。この図に示すように、密度降
下剤としての結晶セルロース12は、造粒粉末11の間
のみならず、造粒粉末11内にも含まれ、粉体全体にわ
たって均一に分散されることとなる。
進む。この造粒工程は、粗成形、破砕(解砕)、分級の
3つの工程からなる。次に、これに潤滑剤としてステア
リン酸亜鉛を添加した後、混合及び円柱状に成形を行
う。この成形工程により、いわゆるグリーンペレットと
言われるペレットが形成される。
程を行う。この脱脂は、アルゴンと水素の混合ガス雰囲
気下において約800℃以上の温度で行われる。この脱
脂工程により、密度降下剤は熱分解及び蒸発が行われ除
去される。次に、アルゴンと水素の混合ガス雰囲気下に
おいて約1700℃で約2時間焼結を行い、更に、約8
00℃の高温真空中において脱ガスを行う。最後に、成
形されたペレットの外周を研削して最終的な焼結ペレッ
トが完成する。なお、焼結後のペレットの外径精度が極
めてよい場合には、この研削工程を省略してもよい。
ては所定の粒度に球状化したものを用いている。この粒
度は、ペレット中に存在させる空洞の所望する大きさで
変えている。
料粉末との混合比は、原料粉末の特性(焼結のしやす
さ)や製品ペレットの密度によって異なるが、85%T
Dのペレットを製造する場合には約2wt%である。
成原子(U,PU,O)を結晶構造どおりに隙間なく詰
めた場合の密度)を100%TDとした場合のペレット
密度であり、例えば、高速増殖炉「もんじゅ」の場合は
85%TDが仕様となっている。
施例における製造方法により製造した核燃料ペレットの
密度分布及び寸法分布の一例を表したものである。この
図に示すように、造粒工程前に密度降下剤(結晶セルロ
ースを)添加混合することにより、製品としての核燃料
ペレットの密度分布及び寸法分布の範囲が極めて狭く、
ほとんどのペレットが規格内に納まっていることが判
る。従って、製品の歩留まりが極めて高い。
セルロースを用いた場合について説明したが、これに限
るものではなく、ポリエチレン、芳香族カルボン酸、ク
リセリン−トリヒドロキシ−ステアラート等の高級脂肪
酸、あるいはシュウ酸ジアミン等を用いてもよい。
原料粉末の造粒工程前に密度降下剤を添加することとし
たので、造粒工程後の混合粉体においては、造粒粉末の
内外に密度降下剤が均一に分散され、混合粉末全体の密
度分布が均質化される。このため、これを成型・焼結し
て製造される焼結ペレット間の密度及び寸法のばらつき
が少なくなり、製品の収率が大幅に向上するという効果
がある。
造方法を示す工程図である。
状態を示す図である。
密度分布及び寸法分布を示す図である。
である。
の状態を示す図である。
の密度分布及び寸法分布を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 核燃料原料粉末に、核燃料ペレット中に
多数の微小なガス溜め用空洞であるポアを形成させるた
めの密度降下剤、およびバインダー粉末を添加して混合
する工程と、 この添加混合工程により得られた混合体を溶液非存在下
で所定の粒度に造粒する工程と、 この造粒工程により得られた造粒体を所定形状に成形し
焼結する成形焼結工程と、 を含むことを特徴とする核燃料ペレットの製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、核燃料ペレットの理
論密度が85%であることを特徴とする核燃料ペレット
の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン酸化物であることを特徴とする核燃料ペ
レットの製造方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン炭化物であることを特徴とする核燃料ペ
レットの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン窒化物であることを特徴とする核燃料ペ
レットの製造方法。 - 【請求項6】 請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン酸化物とプルトニウム酸化物との混合物
であることを特徴とする核燃料ペレットの製造方法。 - 【請求項7】 請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン炭化物とプルトニウム炭化物との混合物
であることを特徴とする核燃料ペレットの製造方法。 - 【請求項8】 請求項1又は2において、前記核燃料原
料粉末はウラン窒化物とプルトニウム窒化物との混合物
であることを特徴とする核燃料ペレットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5224659A JP2907694B2 (ja) | 1993-09-09 | 1993-09-09 | 核燃料ペレットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5224659A JP2907694B2 (ja) | 1993-09-09 | 1993-09-09 | 核燃料ペレットの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0777591A JPH0777591A (ja) | 1995-03-20 |
JP2907694B2 true JP2907694B2 (ja) | 1999-06-21 |
Family
ID=16817197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2907694B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DK1081716T3 (da) * | 1999-09-06 | 2004-09-13 | Europ Economic Community | Fremgangsmåde til fremstilling af kernekraftsbrændselspellets af MOX-typen |
FR2860638A1 (fr) * | 2003-10-06 | 2005-04-08 | Commissariat Energie Atomique | Procede de fabrication de pastilles d'un combustible nucleaire a base d'oxyde mixte (u,pu) o2 ou (u,th)o2 |
-
1993
- 1993-09-09 JP JP5224659A patent/JP2907694B2/ja not_active Expired - Fee Related
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