JP2907032B2 - 厚鋼板の圧延方法 - Google Patents

厚鋼板の圧延方法

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JP2907032B2
JP2907032B2 JP6283767A JP28376794A JP2907032B2 JP 2907032 B2 JP2907032 B2 JP 2907032B2 JP 6283767 A JP6283767 A JP 6283767A JP 28376794 A JP28376794 A JP 28376794A JP 2907032 B2 JP2907032 B2 JP 2907032B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、幅出し圧延を伴う厚鋼
板の圧延において、幅出し圧延後成品の平面形状の矩形
化を図る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に厚鋼板の圧延においては、幅出し
圧延により圧延材を所定の幅とした後、仕上げ圧延によ
り所定の厚みとするが、幅出し圧延後成品の平面形状を
矩形とするために、圧延中に種々の工夫がなされる。そ
の方法の一つとして、例えばエッジャー法がある。この
方法は、圧延中に竪ロールによる幅圧下を行って圧延材
の平面形状を制御するものであり、特公昭61−34886 号
公報等にその考え方が示されている。この方法による
と、幅出し比や仕上げ延伸比によりエッジング量を決定
することにより、圧延後鋼板の平面形状を矩形に近づけ
ることができる。
【0003】しかし、ここで問題となるのは、エッジン
グ前の圧延材の幅分布の安定性である。エッジング前の
圧延材の幅分布が安定していなければ、すなわち幅出し
比や仕上げ延伸比が同一であってもエッジング前の圧延
材の幅分布が異なっていれば、目標とするエッジングの
効果が得られないのは言うまでもない。例えば、幅分布
が板中央部で大きくなっている場合を考えた場合、エッ
ジングによって板中央部での板端部の厚みがボトム部お
よびトップ部における板端部の厚みと比較して厚くな
り、それぞれの部位で断面形状が不揃いとなる。したが
って、次いでこれを圧延するときに材料の流れが不均一
となり、上述のような幅分布の場合には、板中央部が張
り出してしまい、エッジング前の幅分布と同様になって
しまうのである。
【0004】このように、特に幅出し圧延後のエッジン
グにおいては、エッジング前の圧延材の幅分布の安定性
が圧延後の成品の幅分布の安定性に大きく影響するた
め、これが大きな問題となる。もちろん幅出し圧延後の
圧延材の幅分布が安定していることの必要性は、エッジ
ャー法を用いない場合も同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、幅出
し圧延後の圧延材の幅分布を安定させ、これにより幅出
し圧延後成品の幅分布を安定させることであり、従来技
術と組み合わせることにより、幅出し圧延後成品の平面
形状の矩形化を従来以上に高精度に行うことのできる技
術の開発にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】幅出し圧延後の圧延材の
幅分布、すなわち幅出し圧延中の圧延材の長さ方向の幅
分布が不安定となる原因としては、第一に、幅出し圧延
中の予定圧延荷重のばらつき、第二に圧延ロールの摩耗
が挙げられる。
【0007】本発明の方法では、まず幅出し圧延中の予
定圧延荷重を圧延材の寸法によって規制してそのばらつ
きをなくすと共に、圧延ロールの摩耗によりさらにその
予定圧延荷重を変更することにより幅出し圧延後の圧延
材の幅分布を安定させる。
【0008】ここに、本発明の要旨とするところは、幅
出し圧延を伴う厚鋼板の圧延において、前記幅出し圧延
の最終パスの2パス前の幅出し圧延終了時における鋼板
の幅l 0 実測値に基づいて、前記最終パスの1パス前の
幅出し圧延における圧下量決定する方法であり、例え
ば幅出し圧延の最終パスの2パス前における鋼板の幅l 0
が小さい時は、幅出し圧延の最終パスの1パス前の圧下
を小さくし、前記鋼板の幅l 0 が大きくなるに従い幅出
し圧延の最終パスの1パス前の圧下量を大きくしていく
ことを特徴とする厚鋼板の圧延方法である。
【0009】すなわち、幅出し最終パス時の実績圧延荷
重を予定圧延荷重に極力近づけるため、通常幅出し最終
パスにて実施する板幅精度確保のための圧下量変更を、
幅出し最終パスの1パス前に行うことを特徴とする厚鋼
板の圧延方法である。
【0010】本発明は、具体的には、幅出し圧延を伴う
厚鋼板の圧延において、前記幅出し圧延の最終パスの2
パス前の幅出し圧延終了時における鋼板の厚t 0 、幅l 0
よび長さw 0 を測定し、目標とする幅l 1 に幅出し圧延を完
了した後の予想板厚t 1 を求めるとともに、測定した前記
幅l 0 に基づいて、予め設定されている前記最終パスの圧
延荷重を確保するために必要な圧下量Δt 1 を計算で求
め、前記最終パスの1パス前の幅出し圧延における圧下
量Δt 0 を、t 0 − (Δt 1 +t 1 ) とすることを特徴とする厚
鋼板の圧延方法である。
【0011】これらの本発明の好適態様によれば、圧延
ロールの摩耗量が大きくなるに従い幅出し圧延の最終パ
ス時の圧延荷重を小さくしていくように補正することも
有効である。
【0012】
【作用】次に、添付図面を参照しながら、本発明におい
て圧延材の幅方向の寸法、つまり圧延方向における幅分
布によって予定圧延荷重を規制する方法を示す。第1図
は、幅出し圧延の荷重の違いによる圧延材の長さ分布の
違いを模式的に示したものである。
【0013】図1 (a)は、幅出し圧延荷重が大きい場合
を示すものであるが、この場合は、圧延ロール1のたわ
みが大きく、圧延材2は左右両端ほど長く伸ばされ、そ
の結果、圧延材の長さ分布は中央が小さいものとなる。
一方、図1 (b)は、幅出し圧延荷重が小さい場合を示す
ものであり、この場合は、圧延ロール1のたわみは小さ
く、圧延材2の長さ分布は中央が大きいものとなる。
【0014】このように、幅出し圧延中の圧延荷重は幅
出し圧延後の圧延材の幅分布に大きく影響するため、圧
延前後の寸法が同一の材料であれば、基本的にはこれを
一定とすることが望ましい。ただし、一定圧延荷重で
も、幅出し圧延中の圧延材の幅が小さければ圧延ロール
のたわみは大きく、幅が大きければ圧延ロールのたわみ
は小さいため、幅出し圧延中の圧延材の幅に応じて、予
定圧延荷重を変化させる必要がある。
【0015】図2は、幅出し圧延中の圧延材の幅(li)と
幅出し圧延最終パスの予定圧延荷重(Pi)の関係を示す例
である。幅出し圧延中の圧延材の幅が相対的に小さい場
合は幅出し圧延中の予定圧延荷重を小さく設定し、逆に
圧延材の幅が相対的に大きい場合は幅出し圧延中の予定
圧延荷重を大きく設定している。このような予定圧延荷
重の規制により、幅出し圧延中の圧延ロールのたわみ量
が制御され、幅出し圧延後に安定した圧延材の幅分布が
得られる。
【0016】この図2のような関係は、圧延荷重とロー
ルのたわみ量との関係より予め実験により求めておき、
圧延材の幅が決まったら、それに応じた最終パスの予定
圧延荷重をその関係から求め、そのとき得られた予定圧
延荷重で幅出し圧延を行うのである。
【0017】あるいは上記の予定圧延荷重は分割モデル
や有限要素法にもとづいて計算により求めてもよい。次
に、圧延ロールの摩耗による予定圧延荷重の補正につい
て説明する。
【0018】図3は、圧延ロールの摩耗有無による圧延
材の長さ分布の違いを模式的に示したものである。図3
(a)は、圧延ロール1の摩耗δ1 が小さい場合、図3
(b)は、圧延ロール1の摩耗δ2 が大きい場合である。
いずれの場合も、圧延材2の長さ分布は板中央部が小さ
くなる。
【0019】これらからも分かるように、圧延ロールの
摩耗が大きいと、圧延荷重が大きな場合と同様の効果、
すなわち圧延材の板中央部の長さが小さくなる。よっ
て、幅出し圧延後の圧延材の幅分布を安定させるために
は、圧延ロールの摩耗量に応じて幅出し圧延中の予定圧
延荷重を変更する必要がある。圧延ロールの摩耗量は、
直接オンラインで測定してもよいが、圧延実績を基に予
測しても精度上問題ない。
【0020】この圧延ロールの摩耗量予測方法に関して
は、例えば特開平3−161106号公報に示される方法を用
いる。この方法によると、圧延材と圧延ロールの接触お
よび圧延ロール同士の接触による圧延ロールの摩耗を高
精度に予測可能である。
【0021】また、特開平3−161106号公報に開示する
方法では、圧延ロールの摩耗量のロール胴長方向分布が
得られるが、これを基に、本発明では圧延ロール胴長方
向端部の摩耗量と、胴長方向中央の摩耗量の差を用いて
もよい。
【0022】図4は、その圧延ロール摩耗量により、前
記の圧延中の材料の幅により決定した幅出し圧延最終パ
スの予定圧延荷重を変更する例を示したものである。圧
延ロールの摩耗量が大きくなるにつれて予定圧延荷重を
小さくすることにより、圧延ロールの摩耗による幅出し
圧延中の圧延材の長さ分布の変化を抑制することができ
る。
【0023】図2の場合と同様にこの場合にも、ロール
たわみ量およびロール摩耗量と圧延材の形状との関係に
より予め図4の関係式を求めておき、例えばロール摩耗
の大、中、小に応じて、最終パスの予定圧延荷重を決定
する。
【0024】これまで述べてきたように、幅出し圧延後
の圧延材の幅分布を安定させるには幅出し圧延中の圧延
荷重を規制すればよい。ところが、幅出し圧延中の全て
のパスについて圧延荷重を規制することは大きく圧延能
率の低下につながるため、これは好ましくない。
【0025】よって、本発明にあっては圧延荷重の規制
は、効果の最も大きい幅出し圧延最終パスに限って行う
ものとするのである。しかし、幅出し圧延最終パスの圧
下量は、板幅精度を支配する重要なものであるため予定
圧延荷重を実現する目的のみによりこれを決定すること
はできない。
【0026】つまり、幅出し圧延最終パスの圧下量は、
例えば特開昭62−137114号公報に示されるように、圧延
機の入り側および出側のうちの少なくとも一方の側に幅
・長さ計を設置し、幅出し圧延最終直近パスにおいて測
定した圧延材の長さに基づいて幅出し圧延後の板厚を補
正する。
【0027】そこで、この方法による幅出し圧延最終パ
スの厚み制御と、上述の本発明による幅出し圧延最終パ
スの圧延荷重制御との干渉を防ぐため、本発明の好適態
様では、幅出し圧延最終の2パス前圧延後に圧延材の長
w 0 を測定し、幅出し圧延後の予想板厚t 1 を計算した
後、幅出し圧延最終パスの予定圧延荷重を実現するため
の幅出し圧延最終パスの圧下量Δt 1 を計算し、その残り
の圧下量、すなわち幅出し圧延最終2パス前圧延後の厚
t 0 と幅出し圧延最終パス開始前の厚み (Δt 1 +t 1 )
{t 0 − (Δt 1 +t 1 ) }を幅出し圧延最終1パス前に圧
下するパススケジュールとするのがよい。
【0028】すなわち、幅出し圧延最終の2パス前圧延
後の幅出し圧延途中の鋼板の厚t0、幅l0、長さw0を測定
し、目標とする幅:l1に幅出し圧延を完了した後の目標
(予想) 板厚:t1を求め、次に幅出し圧延最終パスで、
幅出し圧延途中の鋼板の幅l0に応じて、あらかじめ設定
されている目標圧延荷重を確保するために必要な圧下
量:Δt1を計算で求め、幅出し圧延最終1パス前にΔt0
〔Δt0=t0− (Δt1+t1) 〕の圧下量をとるのである。
次に、本発明の作用効果について実施例を参照しながら
さらに具体的に説明する。
【0029】
【実施例】本例で用いた圧延機の概要を表1に、圧延材
の概要を表2に、幅出し圧延中の圧延材の板幅により設
定する幅出し圧延最終パスの予定圧延荷重を図5に、そ
して圧延ロールの摩耗量による幅出し圧延最終パスの予
定圧延荷重変更の方法を図6にそれぞれまとめて示す。
【0030】ここに、図5および図6は、圧延材の幅
(ロールたわみ量) およびロール摩耗量と圧延材の最終
パスの予定圧延荷重との関係についてそれぞれ予め求め
たグラフである。
【0031】表3は、本例の結果を示したものである
が、本発明の方法を用いることにより、仕上げ圧延後の
成品の板幅分布は従来の方法を用いた場合よりも約20%
向上することが分かる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表3において、例1は幅出し圧延途中の圧
延材の幅により、図5の予定圧延荷重にしたがって幅出
し圧延最終パスの荷重を規制した例である。この場合は
ロール摩耗を考慮していない。
【0036】例2は圧延ロールの摩耗量に応じて図6の
予定圧延荷重にしたがって幅出し圧延最終パスの荷重を
規制した例である。0.2 mmのロール摩耗毎に圧延荷重を
100トンだけ変更した。
【0037】なお、例1、例2において最終圧延パスで
の予定圧延荷重を確保すべく最終パスの1パス前の圧下
量Δt0を前述の式:Δt0=t0− (Δt1+t1) にしたがっ
て制御した。例3は例1および例2の規制を同時に実施
した例である。このときの圧延荷重は下記で求めること
ができる。
【0038】従来法は、特にこのような規制を行わずに
圧延した例である。なお、各ロール摩耗量毎に圧延した
各100 枚の成品サイズ別構成比率は全て同一とした。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、幅出し圧延を伴う厚鋼板の圧延において、幅出し圧
延途中の圧延材の幅方向寸法に応じて幅出し圧延最終パ
スの予定圧延荷重を規制し、さらに圧延ロールの形状に
応じて同じく幅出し圧延最終パスの予定圧延荷重規制を
変更するのであって、幅出し圧延後成品の平面形状の矩
形化が効果的に実現できる。特に従来例と比較して本発
明によれば幅分布のバラツキが32mm→29mm、32mm→25m
m、平均で9.3 %〜22%も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) は、圧延荷重が大きい場合の幅出し圧
延後の製品形状の説明図であり、図1(b) は、圧延荷重
が小さい場合の幅出し圧延後の製品形状の説明図であ
る。
【図2】圧延荷重が変わる場合の幅出し圧延中の圧延材
の幅と予定荷重との関係を示すグラフである。
【図3】図3(a) は、圧延ロール摩耗が小さい場合の幅
出し圧延後の製品形状の説明図であり、図3(b) は、圧
延ロールの摩耗が大きい場合の幅出し圧延後の製品形状
の説明図である。
【図4】圧延ロールの摩耗が変わる場合の幅出し圧延中
の圧延材の幅と予定荷重との関係を示すグラフである。
【図5】圧延荷重が変わる場合の幅出し圧延中の圧延材
の幅と予定荷重との関係を示すグラフである。
【図6】圧延ロールの摩耗が変わる場合の幅出し圧延中
の圧延材の幅と予定荷重との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/38 B21B 37/16 B21B 37/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 幅出し圧延を伴う厚鋼板の圧延におい
    て、前記幅出し圧延の最終パスの2パス前の幅出し圧延
    終了時における鋼板の幅(l0)の実測値に基づいて、前記
    最終パスの1パス前の幅出し圧延における圧下量を決定
    することを特徴とする厚鋼板の圧延方法。
  2. 【請求項2】 幅出し圧延を伴う厚鋼板の圧延におい
    て、前記幅出し圧延の最終パスの2パス前の幅出し圧延
    終了時における鋼板の厚(t0 ) 、幅(l0)および長さ(w0)
    を測定し、目標とする幅(l1)に幅出し圧延を完了した後
    の予想板厚(t1)を求めるとともに、測定した前記幅(l0)
    に基づいて、予め設定されている前記最終パスの圧延荷
    重を確保するために必要な圧下量 (Δt1) を計算で求
    め、前記最終パスの1パス前の幅出し圧延における圧下
    量(Δt0)を、Δt0=t0− (Δt1+t1) とすることを特
    徴とする厚鋼板の圧延方法。
  3. 【請求項3】 前記幅出し圧延に用いる圧延ロールの摩
    耗量が大きくなるに従い前記最終パスの圧延荷重を小さ
    くなるように補正することを特徴とする請求項1または
    請求項2記載の厚鋼板の圧延方法。
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