JP2906526B2 - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はロボットやその腕、手首等を駆動するモータ
を正確に制御するためのモータ制御装置に関するもので
ある。
[従来の技術] 従来、ロボット等の位置や速度を正確に制御しなけれ
ばならないモータの制御装置は、モータの異常な動きを
チェックするいくつかの機能を備えている。その機能の
特徴は、サーボ系の状態量が、ある基準値を越えている
かどうかで異常か否かを判定していた。
第3図はこの種の従来のモータ制御装置の構成を示す
ブロック図であり、制御対象のモータ1には速度計用発
電機等の速度検出器2と、回転角に応じたパルス数を発
生する位置検出器3とが結合されている。このうち、位
置検出器3の出力は単位時間当りのパルス数を計数して
速度信号を生成する微分要素4に入力される。一方、モ
ータ1の目的位置を入力すると出発位置からこの目的位
置までの速度指令パターンを演算する速度指令パターン
作成回路5が設けられ、さらに、この速度指令パターン
と微分要素4の出力である速度信号との偏差分を求める
ための加算器6が設けられている。そして、この加算器
6には、積分要素7が接続され、速度偏差信号を積分す
ることによって位置偏差信号を出力すると、位置アンプ
8がこの位置偏差信号を増幅して速度指令を出力するよ
うになっている。続いて、この速度指令が加算器9に加
えられ、ここで速度検出器2の出力と比較されて偏差分
が出力される。この速度偏差分が速度アンプ10で増幅さ
れてモータ1に加えられる。
一方、積分要素7には位置偏差の絶対値を検出する絶
対値化回路11が接続されている。また、この絶対位置偏
差が比較器12に入力され、ここで基準値Aと比較され
て、もし、絶対位置偏差が基準値Aを越えたとき、異常
信号を発生するようになっている。
第5図(a)〜(c)の実線部はこれらの関係を示し
たもので、速度指令パターン作成回路5が同図(c)に
示す速度指令パターンを発生したことにより、モータ1
が速度制御されたとすると、この間に時間遅れがあるこ
とから、速度検出器2の出力、すなわち、速度フィード
バック信号は図面の右側に移動している。
一方、位置検出器3の出力、すなわち、位置フィード
バック信号を微分要素4に入力し、加算器6にてその出
力と速度指令パターンとの偏差を求め、さらに、この偏
差分を積分要素7に入力して積分することは、第5図
(b)に示すように、指令位置を示す信号と位置フィー
ルドバック信号との偏差を求めることの他ならず、結
局、積分要素7から第3図に示す位置偏差信号が出力さ
れる。そして、比較器12は第5図(a)に示すように、
この位置偏差信号と基準値Aとを比較して、位置偏差信
号が基準値Aを越えたとき、異常信号を発生し、電源回
路を遮断してモータ1停止させていた。
次に、伝達関数を模擬することで検出精度を向上させ
る提案が特開平1−120607号公報に開示されているの
で、それを簡単に説明する。
第4図はこの発明の一実施例の構成を示すブロック図
で、図中、第3図と同一符号を付したものはそれぞれ同
一の要素を示している。そして、暴走を検出するための
絶対値化回路11の前段に、制御系の伝達関数、すなわ
ち、加算器6前から位置検出器3までの伝達関数を模擬
する制御系モデル13と、この制御系モデル13の出力と位
置検出器3の位置フィードバック信号との偏差を求めて
絶対値化回路11に加える加算器14とを追加して設けてい
る。この構成により、制御系の伝達関数を模擬すること
により、時間遅れをも見込んで現在のモータ位置を予測
し、予測された位置信号と検出された実際の位置信号と
の偏差が、従来装置よりも値が小さい基準値Bを越えた
か否かにより暴走の有無を判定していた。第5図の点線
部分はこれらの関係を図示したものである。
[発明が解決しようとする課題] ところが、特開平1−120607号では、予測された位置
信号と検出された実際の位置信号との偏差で暴走の有無
を判定しているために、実際に位置が予測された位置信
号と基準値Bだけズレを生じてしまってからしか暴走の
有無を判定できない。また、ロボット等で危険を感じる
のは、位置よりむしろ速度であるにもかかわらず、基準
値Bだけのズレを生じるに至った経過である速度につい
ての異常を検出できないという問題があった。
本願第1の発明は、上記問題点を解決するためになさ
れたもので、位置指令に対する異常な動きを、より迅速
に検知するとともに、これによって、モータを必要以上
に高速回転させることなく、ロボット等の安全性をより
向上させることを目的とする。
また、制御系モデルとして最も簡単なものを用いよう
とすると、とくに過渡応答的にはモデル誤差が生じるた
めに、不必要な異常検出を行うおそれがあり、異常検出
をしないようにするために基準値Bに余裕を持たせ、大
きく設定する必要があった。
本願第2の発明は、上記の問題点を解決するためにな
されたもので、制御系モデルを簡単なもので済ませ、精
密な制御系モデル回路の作成もしくは、CPUのモデル演
算のための負荷を軽減させても、不必要に異常信号を出
さないようにすることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本願第1の発明は、少なくともモータの位置を検出し
て前記モータの位置信号および前記モータの速度信号を
得るとともに、速度指令パターンから求められる位置指
令と前記位置信号との偏差に基づいて速度指令を演算
し、前記速度指令と前記速度信号との偏差が零になるよ
うに前記モータを制御する制御系を有するモータ制御装
置において、前記制御系の特性を模擬することにより前
記速度パターンに対応する前記モータの現在の速度を予
測する制御モデルと、前記予測された現在の速度の速度
信号と検出された前記位置信号から得られた前記速度信
号との偏差が基準値を越えたとき、速度信号信号を発生
する比較器とを備えたものである。
また、本願第2の発明は、前記速度異常信号を発生す
る比較器の一入力値である基準値として、前記予測され
た速度信号の大きさに応じて換えられる値を用いるもの
である。
[作用] 上記手段により、本願第1および第2の発明は、制御
系の伝達関数を制御系モデルにより模擬することによ
り、時間遅れをも見込んで現在のモータ速度を予測し、
予測された速度信号と検出された実際の速度信号との偏
差を監視しているため、必要以上に高速でモータが回転
することを防ぐことができ、危険防止、安全性の向上を
図ることができる。
また、とくに、本願第2の発明は、異常を判断する基
準値が予測された速度指令を比例ゲイン・微分ゲインに
より可変になるようにしてあるため、制御系の伝達関数
の模擬を簡単にでき、精密な模擬回路の作成、あるい
は、CPUのモデル演算負荷の軽減を図ることができる。
[実施例] 本発明を図に示す実施例について説明する。
第1図は本願第1の発明の一実施例の構成を示すブロ
ック図で、図中、第4図と同一の符号を付したものはそ
れぞれ同一の要素を示している。そして、制御系モデル
で模擬するものを位置から速度に換えるため、制御モデ
ル13を加算器6前から速度検出器2までの伝達関数を模
擬する制御モデル13′に変更し、この予測速度と突き合
わせる信号を位置フィードバック信号から速度信号フィ
ードバックに変更し、基準値Bを基準値Cに変更した点
が第4図と異なる。なお、基準値Bの単位は[pulse]
もしくは[m]であったが、基準値Cの単位は[pulse/
sec]もしくは[m/sec]となる。
また、第2図は本願第2の発明の一実施例の構成を示
すブロック図で、図中、第1図と異なるのは、基準値C
に換え、予測速度の値を入力とした比例器15と微分器16
のそれぞれの出力を絶対化回路11′、11″に入力したと
きの和に変更したことである。
ここで、制御系モデル13′は最も簡単なものとして、
Kp(s+Kp)(s+Kpは位置ループゲイン、sはラプラ
ス演算子)を伝達関数として模擬しても良いし、速度ル
ープなどのマイナーループまで特性を考慮しても良い。
また、比較器12での基準値、つまり第1図では基準値
C、第2図では絶対値化回路11′の出力は、速度指令パ
ターンが零のとき、予測速度は零であるため、リミット
サイクル現象で生じるモータの動きで速度異常信号を出
力しない程度に大きくしておく必要がある。
なお、予測速度の大きさに応じて換えられた値とし
て、積分要素を用いたり、微分ゲインを零にしたりして
も本願第2の発明は適用できる。
また、上記実施例では、予測速度と速度フィードバッ
ク信号値を比較したが、サーボ系全体の特性が、速度ル
ープを“1"とした特性に充分近似できる程度に位置ルー
プ特性に比べ速度ループ特性が高ゲインに調整されてい
れば、予測速度と予測速度指令は同じと考えてよいこと
から、予測速度と速度指令とを比較して、本発明を適用
することができる。
また、上記実施例ではモータ1に速度検出器2および
位置検出器3が結合されたものについて説明したが、速
度信号は位置検出器3の出力から容易に換算できるもの
であり、かかる換算装置を付加すれば、速度検出器2を
省略することができる。
また、制御系にフィードフォワート制御を付加した場
合は制御系モデル13にもその指令を入力すれば良い。
[発明の効果] 以上述べたように、本願第1の発明によれば、制御系
の伝達関数を模擬することにより、時間遅れをも見込ん
だ現在のモータ速度を予測し、この予測速度信号と検出
された実際の速度信号との偏差に基づいて暴走を検出し
ているので、従来装置にくらべて必要以上に高速にモー
タを回転させることがなくなり、ロボット等の安全性を
格段に向上させることができるという優れた効果があ
る。
また、本願第2の発明によれば、制御系の伝達関数の
模擬を最も簡単にしても、異常を判断する基準値を可変
にできることから、制御系モデルが誤差をもつ過渡状態
時に基準値を大きくすることで不必要な異常信号を出さ
ないようにできるので、精密な制御系モデル回路の作
成、もしくはCPUのモデル演算のための負荷が軽減でき
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本願第1の発明の一実施例の構成を示すブロッ
ク図、第2図は本願第2の発明の一実施例の構成を示す
ブロック図、第3図、第4図は従来の構成を示すブロッ
ク図、第5図(a),(b),(c)は従来の装置の動
作を説明するための、時間とモータの位置偏差、位置お
よび速度の関係をそれぞれ示す線図である。 1…モータ、2…速度検出器、3…位置検出器、4…微
分器、5…速度指令パターン作成回路、6、9、14、17
…加算器、8…位置アンプ、10…速度アンプ、11、1
1′、11″…絶対値化回路、12…比較器、13、13′…制
御系モデル、15…比例器、16…微分器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05D 3/00 - 3/12 H02P 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともモータの位置を検出して前記モ
    ータの位置信号および前記モータの速度信号を得るとと
    もに、速度指令パターンから求められる位置指令と前記
    位置信号との偏差が零になるように前記モータを制御す
    る制御系を有するモータ制御装置において、 前記制御系の位置ループ及び速度ループの特性を模擬す
    ることにより前記速度パターンに対応する前記モータの
    速度追従遅れを予測する制御モデルと、 前記予測されたは現在の速度の速度信号と検出された前
    記位置信号から得られた前記速度信号との偏差が基準値
    を越えたとき、速度異常信号を発生する比較器とを備え
    たことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 【請求項2】前記速度異常信号を発生する比較器の一入
    力値である基準値として、少なくとも、前記予測された
    速度信号の微分値を加えた値を用いる請求項1記載のモ
    ータ制御装置。
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