JP2906242B2 - 車両用無段自動変速機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は車両用無段自動変速機に係り、特に固定プ
ーリ部片と可動プーリ部片との両プーリ部片間の溝幅を
減増させ、両プーリに巻掛けられるベルトの回転半径を
増減させ、変速比を変化させるべく変速制御する車両用
無段自動変速機に関する。

［従来の技術］ 車両において、内燃機関の駆動車輪間に変速機を介在
している。この変速機は、広範囲に変化する車両の走行
条件に合致させて駆動車輪の駆動力と走行速度とを変更
し、内燃機関の性能を十分に発揮させている。変速機に
は、例えば回転軸に固定された固定プーリ部片とこの固
定プーリ部片に接離可能に回転軸に装着された可動プー
リ部片とを有するプーリの両プーリ部片間に形成される
溝幅を油圧により減増することにより駆動側及び被駆動
側プーリに巻掛けられたベルトの回転半径を減増させ動
力を伝達し、変速比（ベルトレシオ）を変更させる車両
用ベルト駆動式無段自動変速機がある。

この車両用無段自動変速機としては、特開昭59−1261
45号公報に開示されるものがある。この公報に開示され
る車両用無段自動変速機の制御装置においては、回転数
が設定回転数域よりも大となった際に減速比制御機構の
減速比をアップシフト側に設定した回転数に変更させる
とともに、回転数が設定回転数域よりも小となった際に
減速比制御機構の減速比をダウンシフト側に設定した回
転数に変更させ、エンジン回転数の増加による加速感と
アクセル踏み込み時のトルクの増加の応答性を改善し、
変速制御によるハンチングを防止している。

［発明が解決しようとする問題点］ ところで、従来の車両用無段自動変速機においては、
無段自動変速機の駆動側の回転軸にエンジン側からトル
クコンバータとオイルポンプと駆動側プーリとクラッチ
とブレーキとを順次配設したものがある。

しかし、この無段自動変速機においては、無段自動変
速機の全長が大となり、大型化して限られた空間である
エンジンルーム内へのレイアウトが困難となり、実用上
不利であるとともに、ベルトの張力の掛かる軸が多重軸
構造となり、多重軸を支持する軸受の配置が面倒となっ
て構成が複雑化し、コストが大となり、経済的に不利で
あるという不都合がある。

また、無段自動変速機の駆動側の回転軸にエンジン側
からトルクコンバータとブレーキとクラッチと駆動側プ
ーリとオイルポンプとを順次配設したものがある。

しかし、上述の無段自動変速機と同様に、無段自動変
速機の全長が大となり、大型化してレイアウトが困難と
なり、実用上不利であるという不都合がある。

［発明の目的］ そこでこの発明の目的は、上述不都合を除去するため
に、無段自動変速機の駆動側の回転軸に正逆転機能を有
しタービン羽根車による正逆転出力可能な流体継手と駆
動用油圧を生成するオイルポンプとタービン羽根車を逆
転出力させるべくステータの回転を止める逆転駆動用ブ
レーキと出力断接クラッチと前記固定プーリ部片と可動
プーリ部片とからなる駆動側プーリとをエンジン側から
順次配設したことにより、無段自動変速機を小型化で
き、無段自動変速機のレイアウトを容易に果たし得る車
両用無段自動変速機を実現するにある。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するためにこの発明は、固定プーリ部
片とこの固定プーリ部片に接離可能に装着された可動プ
ーリ部片との両プーリ部片間の溝幅を減増して前記両プ
ーリに巻掛けられるベルトの回転半径を増減させ変速比
を変化させるべく変速制御する車両用無段自動変速機に
おいて、この無段自動変速機の駆動側の回転軸には正逆
転機能を有しタービン羽根車による正逆転出力可能な流
体継手と、駆動用油圧を生成するオイルポンプと、ター
ビン羽根車を逆転出力させるべくステータの回転を止め
る逆転駆動用ブレーキと、出力断接クラッチと、前記固
定プーリ部片と可動プーリ部片とからなる駆動側プーリ
とをエンジン側から順次配設したことを特徴とする。

［作用］ 上述の如く構成したことにより、無段自動変速機の駆
動側の回転軸にエンジン側から正逆転機能を有しタービ
ン羽根車による正逆転出力可能な流体継手と駆動用油圧
を生成するオイルポンプとタービン羽根車を逆転出力さ
せるべくステータの回転を止める逆転駆動用ブレーキと
出力断接クラッチと駆動側プーリとが順次配設され、無
段自動変速機を小型化し、無段自動変速機のレイアウト
を容易としている。

［実施例］ 以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明す
る。

第１〜５図はこの発明の実施例を示すものである。第
１図において、２は車両用ベルト駆動式無段自動変速
機、４はベルト、６は駆動側プーリ、８は駆動側固定プ
ーリ部片、10は駆動側可動プーリ部片、12は被駆動側プ
ーリ、14は被駆動側固定プーリ部片、16は被駆動側可動
プーリ部片である。

前記駆動側プーリ６は、駆動軸たる入力軸としてトー
ションスプリングを兼ねる回転軸18に固定される駆動側
固定プーリ部片８と、回転軸18の軸方向に移動可能且つ
回転不可能に前記回転軸18に装着された駆動側可動プー
リ部片10とを有する。

また、前記被駆動側プーリ12も、前記駆動側プーリ６
と同様に、被駆動側固定プーリ部片14と被駆動側可動プ
ーリ部片16とを有する。

前記駆動側可動プーリ部片10と被駆動側プーリ部片16
とには、第１、第２ハウジング20、22が夫々装着され、
第１、第２油圧室24、26が夫々形成される。このとき、
被駆動側の第２油圧室26内には、この第２油圧室26の拡
大方向に前記第２ハウジング22を付勢するばね等からな
る付勢手段28を設ける。

前記回転軸18にオイルポンプ30を設け、このオイルポ
ンプ30を前記第１、第２油圧室24、26に図示しないオイ
ル通路によって夫々連通されている。

前記回転軸18には、正逆転機能を有し後述のタービン
羽根車38による正逆転出力可能な流体継手たる例えば３
要素１段型のトルクコンバータ32と、駆動用油圧を生成
する前記オイルポンプ30と、タービン羽根車38を逆転出
力させるべく後述のステータ42の回転を止める逆転駆動
用ブレーキ34と、前後駆動状態と後退駆動状態と中立状
態とに出力を切り換える出力断接クラッチ36と、前記駆
動側固定プーリ部片８と駆動側可動プーリ部片10とから
なる駆動側プーリ６とを図示しないエンジン側から順次
配設すべく構成する。

また、前記トルクコンバータ32の油圧循環方向に沿っ
てポンプ羽根車44と前記ブレーキ34によってトランスミ
ッションケース40に係止されるステータ42とタービン羽
根車38と摩擦を利用した湿式直結クラッチ46とを順次配
設し、この直結クラッチ46をトルクコンバータ32に内蔵
させて設ける。

なお符号48は前記無段自動変速機２のドライブプレー
ト、50はリダクションドライブギヤ、52はリダクション
ドリブンギヤ、54はファイナルドライブギヤ、56はファ
イナルドリブンギヤ、58はデファレンシャルユニットで
ある。

次に作用について説明する。

前記ベルト駆動式無段自動変速機２は、前記オイルポ
ンプ30が回転軸18の駆動に応じて作動し、そのオイルは
無段自動変速機２底部の図示しないオイルパンから吸収
される。このポンプ圧であるライン圧は図示しないライ
ン圧調整弁を経て、前記トルクコンバータ32やその他の
部位に夫々送給される。

また、前記ステータ42が逆転駆動用ブレーキ34によっ
てトランスミッションケース40に固定されていない場合
には、直結クラッチ46が係合あるいは係合可能状態とな
り、オイルがステータ42内を素通りしてタービン羽根車
38の正面側に流入することとなり、第４図に示す如く、
流体カップリングモードとなってノーマル方向（正転）
状態となるものである。

反対に、前記ステータ42がライン圧を供給された逆転
駆動用ブレーキ34によってトランスミッションケース40
に固定された場合には、直結クラッチ46が分離状態にあ
り、オイルがステータ42内において反転してタービン羽
根車38の裏面側に流入することとなり、第５図に示す如
く、トルクコンバータモードとなってリバース方向（逆
転）状態となる。

更に、前記回転軸18からの回転力は、駆動側固定プー
リ部片８と駆動側可動プーリ部片10とからなる駆動側プ
ーリ６と、被駆動側固定プーリ部片14と被駆動側可動プ
ーリ部片16とからなる被駆動側プーリ12との溝幅の増減
あるいは減増によって変速比が無段階に変更され、被駆
動側プーリ12と同軸のリダクションドライブギヤ50を経
てリダクションドリブンギヤ52に伝達される。

そして、このリダクションドリブンギヤ52に伝達され
た回転力は、同軸上に設けたファイナルドライブギヤ54
によりファイナルギヤ56を経て、デファレンシャルユニ
ット58に至り、このデファレンシャルユニット58におい
て分岐された後、図示しない左右両輪を駆動すべく伝達
される。

更にまた、一般的な自動変速機のＰ（パーキング）、
Ｒ（リバース）、Ｎ（ニュートラル）、Ｄ発進（ドライ
ブ発進）、Ｄ巡行（ドライブ巡行）の各シフトポジショ
ンにより前記逆転駆動用ブレーキ34や出力断接クラッチ
36の係合状態は、 となるものである。

これにより、前記無段自動変速機２の回転軸18に正逆
転機能を有する３要素１段型のトルクコンバータ32と駆
動用油圧を生成する前記オイルポンプ30と逆転駆動用ブ
レーキ34と出力断接クラッチ36と前記駆動側固定プーリ
部片８と駆動側可動プーリ部片10とからなる駆動側プー
リ６とをエンジン側から順次配設されることとなり、無
段自動変速機２の全長を小とすることができ、無段自動
変速機２を小型化でき、限られたエンジンルーム内にお
けるレイアウトを容易に果たし得るものである。

また、前記無段自動変速機２の回転軸18からの正逆転
出力が常時トルクコンバータ32のタービン羽根車38を介
して行われることにより、前記出力断接クラッチ36の係
合・分離操作によって駆動あるいは中立状態を選択で
き、使い勝手を向上させることができる。

［発明の効果］ 以上詳細に説明した如くこの発明によれば、無段自動
変速機の駆動側の回転軸に正逆転機能を有しタービン羽
根車による正逆転出力可能な流体継手と駆動用油圧を生
成するオイルポンプとタービン羽根車を逆転出力させる
べくステータの回転を止める逆転駆動用ブレーキと出力
断接クラッチと前記固定プーリ部片と可動プーリ部片と
からなる駆動側プーリとをエンジン側から順次配設した
ので、無段自動変速機の全長を小とすることができ、無
段自動変速機を小型化でき、限られたエンジンルーム内
におけるレイアウトを容易に果たし得る。また、前記無
段自動変速機の回転軸からの正逆転出力が常時流体継手
を介して行われることにより、出力断接クラッチの係合
・分離操作によって駆動あるいは中立状態を選択でき、
使い勝手を向上させ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図はこの発明の実施例を示し、第１図は車両用
無段自動変速機の概略拡大断面図、第２図は車両用無段
自動変速機の拡大断面図、第３図は車両用無段自動変速
機の同軸配置図、第４図はトルクコンバータのポンプ羽
根車とステータとタービン羽根車とのノーマル方向（正
転）状態における作動説明図、第５図はトルクコンバー
タのポンプ羽根車とステータとタービン羽根車とのリバ
ース方向（逆転）状態における作動説明図である。 図において、２は無段自動変速機、４はベルト、６は駆
動側プーリ、８は駆動側固定プーリ部片、10は駆動側可
動プーリ部片、12は被駆動側プーリ、14は被駆動側固定
プーリ部片、16は被駆動側可動プーリ部片、18は回転
軸、20は第１ハウジング、22は第２ハウジング、24は第
１油圧室、26は第２油圧室、28は付勢手段、30はオイル
ポンプ、32はトルクコンバータ、34は逆転駆動用ブレー
キ、36は出力断接クラッチ、38はタービン羽根車、40は
トランスミッションケース、42はステータ、44はポンプ
羽根車、46は湿式直結クラッチ、48はドライブプレー
ト、50はリダクションドライブギヤ、52はリダクション
ドリブンギヤ、54はファイナルドライブギヤ、56はファ
イナルドリブンギヤ、58はデファレンシャルユニットで
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F16H 45/00 F16H 47/06 - 47/08 F16H 61/58

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定プーリ部片とこの固定プーリ部片に接
   離可能に装着された可動プーリ部片との両プーリ部片間
   の溝幅を減増して前記両プーリに巻掛けられるベルトの
   回転半径を増減させ変速比を変化させるべく変速制御す
   る車両用無段自動変速機において、この無段自動変速機
   の駆動側の回転軸には正逆転機能を有しタービン羽根車
   による正逆転出力可能な流体継手と、駆動用油圧を生成
   するオイルポンプと、タービン羽根車を逆転出力させる
   べくステータの回転を止める逆転駆動用ブレーキと、出
   力断接クラッチと、前記固定プーリ部片と可動プーリ部
   片とからなる駆動側プーリとをエンジン側から順次配設
   したことを特徴とする車両用無段自動変速機。