JP2905932B2 - 真空断熱式ビア樽 - Google Patents

真空断熱式ビア樽

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、生ビールの保冷用真空断熱式ビア樽に関す
る。
〔従来の技術〕
生ビールは、一般にビア樽と称する金属製容器に充填
されて運搬され、販売時にも、ビア樽に炭酸ガスを圧入
しつつビア樽から直接ジョッキ類に取出される。ところ
で、生ビール出荷時には比較的低温で金属製ビア樽に充
填されるが、その運搬,保管中に大気温度にまで上昇
し、販売時にコイルクーラで瞬間的に冷却するのが通常
の取扱いである。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、生ビールは、その温度が一旦大気温度まで
上昇すると生ビール本来の味と香りが失われるという問
題がある。また、店頭販売時において、コイルクーラを
用いて瞬間冷却を行うこと自体には格別の問題はない
が、コイルクーラは、その構造上、ビア樽からジョッキ
類への注口に到る間の配管が長く、例えば、閉店後開店
までの不使用時には配管中にビールが残存するため、汚
染の問題がある。配管は、一日に少なくとも一回完全に
洗浄を行うことが望ましい。これを惰ったときには、保
健衛生上好ましくない。
本発明の目的は、生ビールの出荷から販売までの運
搬、保管中はもとより、販売後、容器内に残存した生ビ
ールの保冷及び強制冷却が可能なビヤ樽を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明による真空断熱式ビ
ア樽においては、樽内筒と樽外筒を有する真空断熱式ビ
ア樽であって、 樽内筒は、生ビールを充填する容器であり、生ビール
の注入、取出しの口金を有し、 樽外筒は、樽内筒の胴を覆い、上下反転可能であり、
上下端に取手と樽脚とを兼ねる屈曲縁を有し、 樽内筒と樽外筒とは、樽内筒の胴以外の一面を除いて
密閉され、両筒間に真空層を形成するものであり、 樽内筒の露出した一面は、保冷又は強制冷却面となる
ものである。
〔作用〕
本発明のビア樽は、その大部分が樽内外筒からなる二
重容器であり、樽内外筒間は真空断熱されているため保
冷能力は高い。また、一重となる樽内筒の鏡面を断熱マ
ットで保冷し、また、必要により鏡面と断熱マットとの
間に、ドライアイス,氷などの冷剤を充填することによ
り冷却し、あるいは断熱マットを取外して大型冷蔵庫内
に横置き,倒立又は正立姿勢で収容することにより、樽
内筒の鏡面を通して直接内部の生ビールを強制冷却でき
る。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を図によって説明する。第1図
において、本発明のビア樽は、樽内筒1と、樽外筒2と
の組合せからなるものである。
樽内筒1は、口金2を有する有底のステンレス製容器
でステンレス薄板を加工した内筒胴4と内筒上鏡3と内
筒下鏡5とを溶接接合したものであり、内筒胴4は、筒
状をなし、その上下縁に上鏡3と内筒下鏡5とがTIG溶
接で一体に接合されている。実施例では口金2は上鏡3
の中央に装着され、口金2を通して樽内筒1にダウンチ
ューブ13が挿入されている。
樽内筒1の開口を塞ぐ上鏡3は、樽内筒1の外径外に
一定の長さだけ張出して溶接されている。ダウンチュー
ブ13は、樽内筒1内への生ビールの注入並びに送出用管
であり、口金2にフィッテング12で固定されたものであ
る。
樽外筒6は、樽内筒1を覆うものであり、外筒胴8と
外筒下鏡9とを組合せたものである。外筒胴8は、第2
図に示すように上部開口縁に上部取手7を、下部開口縁
に樽脚10を有するが、上下縁はいずれも内側に玉縁状に
屈曲させたもので、その形状は同一のため、上下反転可
能となっており、正立姿勢では上縁が上部取手7,下縁が
樽脚10であるが、倒立姿勢ではその逆となる。
前記樽内筒1を樽外筒6内に収容し、樽内筒1の上部
開口を塞ぐ上鏡3の張り出し縁を外筒胴8の内周面にTI
G溶接により気密に接合し、次いで樽内筒1の底を覆っ
て外筒下鏡9を外筒胴8の内周面にTIG溶接により気密
に溶接して樽内外筒1,8間を気密に封止する。以上の組
立てにおいて溶接順序は重要である。その順序を間違え
ると、本発明のビア樽を組立てることができない。外筒
下鏡9には、バルブ付の吸引ノズル11が取付けられてお
り、バルブを開いて吸引ノズル11を真空ポンプ(図示
略)に接続して樽内外筒間の空間を脱気した後、バルブ
を閉じ、その空間内に真空層を形成させる。実施例で
は、上鏡面を除いて真空断熱容器となる。
ビール工場においては、ビア樽にフィッテング12及び
ダウンチューブ13を組み込んだまま、ビア樽の自動洗浄
及び生ビールの自動充填を行うラインがある。本発明の
真空断熱式ビア樽も、このラインを用いて自動洗浄及び
生ビールの自動充填を行う。生ビールを充填したビア樽
は、施蓋され、冷蔵庫に一旦保管して出荷されるが、出
荷に際し、本発明においては、ビア樽の上鏡上面を断熱
マット14で覆って保温する。ビア樽が正立姿勢で樽内筒
1に充填された生ビールは、樽内外筒間の真空層で断熱
されるため温度上昇は小さい。納入後、店内での保管に
際しては、ビア樽の上鏡上面から断熱マットを取り外
し、ビア樽を倒立姿勢又は横置きとして冷蔵庫内で冷却
すれば、生ビールは上鏡の面に接することになるため、
上鏡を通して効率よく強制冷却できる。
本発明のビア樽は、外筒胴8の上下端は、いずれの側
も取手又は樽脚となるため、上下の区別なく置くことが
できる。生ビールの店頭販売時には、口金が上向きとな
る正立姿勢で、炭酸ガスを圧入しつつダウンチューブ13
を通して生ビールをジョッキ類に取り出すことは従来と
同じである。販売中の保冷は、断熱マット14と上鏡13と
の間に冷剤15を挿入して冷却を行う。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によるときには、生ビールの出荷
から店頭販売中までの間、低温の状態を維持し、生ビー
ル本来の味と香を損なうことなく客に提供することが可
能となり、従来のようにコイルクーラの使用による冷却
が不要のため、極めて衛生的である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による真空断熱式ビア樽の正面断面図、
第2図は正面外形図である。 1……樽内筒、2……口金 3……上鏡、4……内筒胴 5……内筒下鏡、6……樽外筒 7……上部取手、8……外筒胴 9……外筒下鏡、10……樽脚 11……吸引ノズル、12……フィッテング 13……ダウンチューブ、14……断熱マット 15……冷剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 8/00 - 8/22 B65D 81/38

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樽内筒と樽外筒を有する真空断熱式ビア樽
    であって、 樽内筒は、生ビールを充填する容器であり、生ビールの
    注入、取出し用の口金を有し、 樽外筒は、樽内筒の胴を覆い、上下反転可能であり、上
    下端に取手と樽脚とを兼ねる屈曲縁を有し、 樽内筒と樽外筒とは、樽内筒の胴以外の一面を除いて密
    閉され、両筒間に真空層を形成するものであり、 樽内筒の露出した一面は、保冷又は強制冷却面となるも
    のであることを特徴とする真空断熱式ビア樽。
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