JP2905507B2 - 粒子分級方法及びその装置 - Google Patents

粒子分級方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は上昇流粒子分級方法及びその装置に関す
る。
従来の技術 上昇流粒子分級方法は、いわゆる沈降分級法の一種で
あり、流体中に分散している粒子の沈降速度υは、静止
流体の場合、 として与えられる。
ここでDは粒子の直径、ρ及びρはそれぞれ粒子及
び分級用分散媒の密度、ηは分級用分散媒の粘度、gは
重力の加速度である。
このことから一定の粒子の沈降速度υは粒子と分級用
分散媒との密度差ρ−ρに比例し、分級用分散媒の粘
度に反比例し、粒子の直径の2乗に比例して沈降するこ
とがわかる。
ところで前記上昇流粒子分級法では、上部の円筒形部
に連設する下部の逆円錐形部を有する分級管に粒子分散
液を装入し、逆円錐形部の下部から分級用分散媒を流入
して上昇させ、その上昇速度と等しい沈降速度をもつ粒
子を境にして、大粒子は沈降し、小粒子は上昇して分級
される。
発明が解決しようとする課題 このようなことから、この上昇流粒子分級方法におい
ては、所定の粒径以下の粒子群を分級するにはその沈降
速度以下の流速をもって分級用分散媒を流入しなければ
ならないため、その流入時間は長時間にわたり多量の分
級用分散媒を必要とし、このようにして分級管から溢流
した分級用分散媒から粒子を回収するに当っては、この
多量の分級用分散媒の処理が必要になるという問題があ
る。
そこでこの発明の目的は、前記のような従来の上昇流
粒子分級方法のもつ問題を解決し、流入する分級用分散
媒の量を低減して処理時間を短縮し、分級用分散媒の全
体の量を低減してその処理を容易にすることのできる分
級方法及びその装置を提供することである。
課題を解決するための手段 この発明は、前記のような目的を達成するために、従
来形式の分級管に粒子分散液を装入したうえ、その下部
から分級用分散媒を流入して上昇させ、上部から被分級
粒子を含む液を溢流させるに際し、分級管の下部に超音
波を作用させるものである。
さらにこの発明は前記のような分級方法を実施するた
めに、分級管の下部の逆円錐形部に超音波を作用させる
超音波発生器を設けている。
そしてその分級管にあっては、逆円錐形部の長さが円
筒形部の直径の1ないし12倍の間にあり、その内径は円
筒形部の外径の1/5以下となっている。
作用 分級管内に粒子分散液を装入したうえ、同分級管の下
部の逆円錐形部の下部からポンプにより分級用分散媒を
一定の流速で流入して、該分級管内を上昇させ、それと
同時に超音波発生器によって、逆円錐形部に超音波を作
用させ、この分級管において所定の粒子の分級を行った
後、上部の円筒形部から残りの被分級粒子を含む液を溢
流させることとなる。
実施例 第1図に示すこの発明の実施例において、1は分級管
を示し、この分級管1は上部の円筒形部2と、これに連
設する下部の逆円錐形部3とをもっている。逆円錐形部
3の下端には分級用分散媒供給口5が設けられ、この分
散媒供給口5には定量ポンプ4により配管6を介して分
級用分散媒が供給され、円筒形部分2の上端には溢流口
7が設けられ、この溢流口7に配管8が連結されてい
る。そしてこの配管8の出口は図示しない次段階の直径
がより大きい円筒形部を有する分級管の逆円錐形部の分
級用分散媒供給口に連結され、このようにして粒度区分
に応じて順次直径が大きくなっている分級管をもつもの
を複数個配置することとなる。
前記のような分級装置は従来のものと変るところがな
いが、この発明の分級装置にあっては、逆円錐形部3の
下部に超音波を作用する超音波発生器10が設けられ、こ
の超音波発生器10は内部に液体が収納された水槽11を形
成し、この水槽11内にさらに超音波伝達用補助水槽12が
収容され、この補助水槽12内に分級用分散媒供給口5を
含む逆円錐形部3が収容されている。
前記のものにおいて、円筒形部2の内径をD、逆円錐
形部3の長さをL、供給口5の内径をdとすると、これ
ら相互の関係は、L=(1〜12)D、d<1/5Dとなるの
が好ましい。この場合、円筒形部2の長さは特に関係な
く、逆円錐形部3の長さLが前記より短いと分級精度が
劣化し、また長くとも効果がなく、供給口5を前記のよ
うにすることにより、分級操作時に堆積しない等のこと
がわかった。また超音波発生器10の出力は30〜200Wとす
るのがよく、その中でどのような出力とするかは、分級
管1の大きさによって決まり、また水槽12内における逆
円錐形部3の長さは逆円錐形部3全体の長さの約2/3以
下とするのがよいが超音波発生器10の出力及び分級管の
大きさ等によってその範囲内から選択される。
前記のような分級装置によって分級作業を行うに当っ
ては、分級管1内に粒子分散液を装入したうえ、逆円錐
形部3の分級用分散媒供給口5からポンプ4により、配
管6を介して分級用分散媒を一定速度で流入させるとと
もに、超音波発生器10で発生した超音波を水槽11,12中
の水を介して逆円錐形部に作用させる。このようにして
超音波の作用下に分散媒は分級管1内を上昇し、この間
分散媒の流速より大きな沈降速度を有する粒子は勿論、
それより小さな沈降速度のものであっても特定範囲内の
粒子が分級され、このようにして同一流速すなわち同一
流量の分散媒により、従来のものが分級した粒度以上の
粒子を分級することとなる。
この場合被分級粒は、染料、化粧品用素材、薬剤、鉱
物、セラミックスまたは合成ダイヤモンドからなり、そ
の粒径は40μm以下、好ましくは20μm以下の粒径を有
するのがよい。
発明の効果 この発明は前記のように、従来形式の分級管に粒子分
級液を装入したうえ、その下部から分級用分散媒を流入
して上昇させ、上部から被分級粒子を含む液を溢流させ
るに際し、分級管の下部に超音波を作用させるので、同
一流量の分級用分散媒を適用することにより従来分級す
ることができた以上の粒度の粒子の分級が可能となり、
このことによって分級時間を短縮して、分級用分散媒の
量及び粒子分散液から分級粒子を回収する際の処理量を
低減し、このようにして分級用分散媒が低減されること
から、分級された高濃度分級液がえられ、全体として分
級経費を大きく、節約できる等の効果がある。
実験例 前記のような実施例を使用して行った実験例につき説
明する。
分級試料は11μm以下の粒子よりなる合成ダイヤモン
ドであり、分級管1は、円筒形部2の内径D=5cm、同
長さl=5cm、逆円錐形部3の長さL=45cm、同分級用
分散媒供給口5の内経d=1mmとした。
(1)第1実験例 前記試料約2gを分級管1に入れて0.05%のメタリン酸
ナトリウム水溶液を、ポンプ4によって分級管1内に流
入させ、超音波を作用させない場合と、させた場合とで
分級を行い、その際の分級用分散媒の流入量と、溢出粒
子の最大径との相関関係を求めた。その結果は第2図に
おいて、作用させない場合については曲線A、作用させ
た場合については曲線Bにみられるとおりである。
Aの場合の分級分散媒の流入量V1=0.41D2であり、B
の場合はV2=0.28D2であるから、超音波を作用させたこ
とによる分級用分散媒の減少割合は、V2/V1≒0.68とい
うことになり、約2/3に低減されたことがわかる。
(2)第2実験例 試料2g、分級用分散媒の流入量を6ml/minで分級し、
分級管1内に残存した1μm以下の粒子の減少情況を調
べた。その結果は超音波を作用させた場合は、7時間で
1μm以下の粒子はなくなり、作用させなかった場合に
粒子がなくなるのに要した時間は17時間であった。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例の概略説明図、第2図はこの
発明と従来例とにおける分級用分散媒の流入量と、溢出
粒子の最大径との相関関係を示すグラフである。 1……分級管、2……円筒形部 3……逆円錐形部、4……ポンプ 5……分級用分散媒供給口 6……配管、7……溢流口 8……配管、10……超音波発生器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上部の円筒形部に連設する下部の逆円錐形
    部を有する分級管に粒子分散液を装入し、逆円錐形部の
    下部から分級用分散媒を流入して上昇させ、円筒形部の
    上部から被分級粒子を含む液を溢流させる粒子分級方法
    において、分級時に逆円錐形部に超音波を作用させるこ
    とを特徴とする粒子分級方法。
  2. 【請求項2】上部の円筒形部に下部の逆円錐形部を連設
    し、円筒形部の上部に被分級粒子含有液の溢流口を、逆
    円錐形部の下部に分級用分散媒の流入口を具えた分級管
    を有する粒子分級装置において、前記逆円錐形部に超音
    波を作用させる超音波発生器を設けたことを特徴とする
    粒子分級装置。
  3. 【請求項3】分級管は、逆円錐形部の長さが円筒形部の
    直径の1ないし12倍の間にあり、逆円錐形部の内径が円
    筒形部の外径の1/5以下である請求項2に記載の粒子分
    級装置。
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