JP3382752B2 - 湿式分級装置及び湿式分級方法 - Google Patents

湿式分級装置及び湿式分級方法

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JP3382752B2
JP3382752B2 JP14081595A JP14081595A JP3382752B2 JP 3382752 B2 JP3382752 B2 JP 3382752B2 JP 14081595 A JP14081595 A JP 14081595A JP 14081595 A JP14081595 A JP 14081595A JP 3382752 B2 JP3382752 B2 JP 3382752B2
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  • Separation Of Solids By Using Liquids Or Pneumatic Power (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重量による沈降を利用
して液体中で固体粒子を分ける、いわゆる湿式分級のた
めの装置及び方法であって、より詳細には、極めてシャ
ープな分布が得られる湿式分級装置及び湿式分級方法に
関する。
【0002】具体的には、質的に一様であるが大きさの
異なる粒子を、その大きさについて分けるための装置及
び方法であり、例えばガラス製や合成樹脂製で直径が数
マイクロメートル前後のある値に正確にそろった球形ビ
ーズを生産する工程などに利用される。また、このよう
にして分級されたビーズは、液晶表示パネルのギャップ
制御材、標準粒子、分析用充填材、診断薬の担体、各種
標識材等に用いられる。
【0003】
【従来の技術】湿式分級のプロセスには、上昇流を利用
するもの、水平流を利用するもの、単なる静置によるも
のなどがあり、特に分離の精度において優れているのは
上昇流を利用するものである。
【0004】上昇流を利用する湿式分級の基本形を図
、図に示す。
【0005】すなわち、図は、処理液の流入口62が
装置本体61の下部に、細粒子を含むスラリーの流出口
63が装置本体61の上部に、スラリーの供給口64が
装置本体61の中程に、それぞれ設けられた構造のもの
である。また、図は、処理液の流入口72が装置本体
71の下部近傍に、細粒子を含むスラリーの流出口73
が装置本体71の上部に、スラリーの供給口74が装置
本体71の中程に、粗粒子を含むスラリーを排出する流
出口75が装置本体71の下部に、それぞれ設けられた
構造のものである。
【0006】供給口64,74から供給されるスラリー
(以下、必要に応じて供給スラリーという)は、装置の
滞留スラリーよりも高密度の場合が多い。そのため、供
給スラリーを装置内の処理液に良く分散させるために、
供給口64,74は装置本体61,71の上端近傍に設
けられていることが多い。
【0007】装置本体61,71内に供給されたスラリ
ーの個々の粒子の沈降速度は、それらの粒径に依存し、
粗い粒子ほど速く沈降する。つまり、処理液の上昇速度
との比較において、より速く沈降する成分(粗い粒子)
は下へ、そうでない粒子(細かい粒子)は上へ移動す
る。そして、下へ移動した粗い粒子は、図に示すよう
に、ケーキ65として装置本体61の底に沈むか、図
に示すように、粗い粒子を含むスラリーとして、流出口
75から流出する。
【0008】図に示すプロセスは連続式といえるもの
であって、特公昭47−33571号公報にはこのタイ
プの湿式分級装置が記載されている。こうした連続式プ
ロセスは、沈降速度が比較的大である粗い粒子に適用す
る場合、小さな装置で大量の粒子を処理できるという利
点がある。
【0009】しかし、このような連続式プロセスのもの
では、一般に流出口75から流出する粗い粒子のスラリ
ーの中に、細粒子の一部が混入し易いといった問題があ
る。この原因としては、供給口74から装置本体71内
に流入する高濃度のスラリーが作る部分的な下降流や、
細粒子が凝集したまま速やかに沈降することなどによる
ショートパスが考えられる。また、このような連続式プ
ロセスにおいてシャープな分布を得るためには、処理液
とスラリーとの安定したフィードを維持しなければなら
ないが、この点も現実的には難度の高い課題である。
【0010】このような連続式プロセスに対して、分級
の間、粗い粒子を取り出さずに流動させておくバッチプ
ロセスも提案されている。このようなバッチプロセスタ
イプのものとして、例えば特公昭54−20028号公
報に記載された分級装置(これを、従来技術1という)
や、特公昭59−29299号公報に記載された分級装
置(これを、従来技術2という)がある。
【0011】従来技術1の分級装置は、本体の下部に、
多数の小径の孔を有するプレート状の部材を装着し、こ
の部材の下部に、開口総面積が本体の流路断面積より小
さい複数個の縦通孔部を有するブロックを設け、かつこ
のブロックの下部に多数の小径の孔を有するプレート状
の部材を装着し、さらに前記ブロックの各縦通孔部に、
プレート状の部材に設けた孔より多少大きい粒度の支持
部材を流動可能に収納した構造となっている。
【0012】また、従来技術2の分級装置は、複数の格
子筒をそれぞれ間隔を設けて塔長方向に装着し、格子筒
間の壁面に取出口を設けるとともに、下部の集水板に、
塔内樹脂の逆流を防止するためのスリットボールが螺着
された構造となっている。
【0013】バッチプロセスでは、分級の能率を良くす
るために、装置の水平断面積を大きくすることが求めら
れる。そのため、装置自体が大きくなりがちで、1回の
処理量はそれほど多くはないが、沈降速度が特に遅い等
の理由で能率が求められるような場合には、バッチプロ
セスが適当である。
【0014】バッチプロセスにおいては、成分をある域
値より大か小かに単に分けるのではなく、処理液の流速
を少しずつ増やしながら、分劃された粒子群を順次採取
する方法によって、高精度に分級された各級の粒子群を
1つの装置で得られる利点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】一般に、高精度の分級
プロセスを設計するに当たっては、スラリーの一部が底
に沈降してケーキを作ることがないようにするのが望ま
しい。なぜならば、ケーキができると、粗粒子のみなら
ず、たまたま近くにあった細粒子もケーキに取り込まれ
るので、分級の精度と収率とが悪化するからである。
【0016】この点については、従来技術1,2のもの
は、装置底部の全面から処理液を流入するように構成す
ることで、ケーキの生成を防いでいるが、このようなプ
ロセスの実現には固有の困難さがある。
【0017】すなわち、このようなバッチプロセスにお
いては、処理すべきスラリーの大部分(初期においては
全量)を装置内に溜めたまま運転する必要があるため、
スラリーを比較的高濃度で扱うことになる。そのため、
粒子を含んで比重が大きくなったスラリーの下方から、
より比重の小さい処理液を流入させることになり、部分
的な逆流が起こり易いからである。
【0018】この部分的な逆流を防止するため、従来技
術1では、縦通孔部を複数個有するブロックを設け、こ
のブロックの縦通孔部内に支持部材を流動可能に収納し
ている。また、従来技術2では、螺着されたスリットボ
ールを設けている。
【0019】ところで、被分級粒子が細かい場合には、
沈降速度が小さいために処理液の流入速度を遅く設定す
る必要がある。そのため、従来技術1のものでは、支持
部材等も細かくしないと部分的な逆流が起こり易くなる
が、支持部材等を細かくすると、今度は支持部材からコ
ンタミネーションを除去する洗浄作業が大変になるとい
った問題がある。また、従来技術2のものについても同
様に、スリットボールからコンタミネーションを除去す
る洗浄作業が煩雑であるといった問題がある。
【0020】この問題については、被分級粒子自体の内
の粗粒子を従来技術1の支持部材として利用できれば、
コンタミネーションを除去する洗浄作業が不要となるこ
とから、最も合理的な解決方法である。
【0021】本発明はこのような問題点を解決すべく創
案されたもので、その目的は、支持部材やスリットボー
ルといった特別の部材を必要とすることなく(もしく
は、被分級粒子の内の粗粒子を支持部材として使用する
ことにより)、簡単な構造でありながら、極めて高精度
の分級を可能とした湿式分級装置及び湿式分級方法を提
供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の請求項1記載の湿式分級装置は、直立する
筒状部の下端側開口縁から連続して逆円錐形状の鏡板部
が形成されるとともに、この鏡板部の底部に内壁の軸方
向が垂直である処理液の流入口が設けられ、前記筒状部
の上端側に流出口が設けられたものである。また、本発
明の請求項2記載の湿式分級装置は、請求項1記載の湿
式分級装置において、前記鏡板部の底部に接続される前
記流入口の接続部分の内壁の水平断面形状が、その下部
に位置する流入口の内壁の水平断面形状より絞られたノ
ズル形状に形成されたものである。
【0023】また、本発明の請求項3記載の湿式分級装
置は、請求項1又は2記載の湿式分級装置において、前
記筒状部の内部であって前記流入口の上方位置に、処理
液と粉粒体とを混合する混合部が設けられたものであ
る。
【0024】また、本発明の請求項記載の湿式分級方
法は、請求項1,2又は3記載の湿式分級装置におい
て、前記流入口から流入する処理液を一定の流量に保つ
ことにより、前記粉粒体の沈降速度と同速度の上昇流を
作ることによって、所定の域値より小さい粒径の粒子の
みを流出させるものである。
【0025】
【作用】請求項1記載の作用について述べる。
【0026】直立する筒状部の下端側開口縁から連続し
て逆円錐形状の鏡板部を形成する。鏡板部の傾斜角度
は、好ましくは処理液中の粉粒体の安息角をやや上回る
角度に設定する。これにより、鏡板部に沈降した粉粒体
の一部は、鏡板面上を滑り、又は転がって下部の方に移
動することになる。
【0027】請求項2記載の発明の作用について述べ
る。
【0028】鏡板部の底部に接続される流入口の接続部
分の内壁の水平断面形状が、その下部に位置する流入口
の内壁の水平断面形状より絞られたノズル形状に形成す
る。これにより、鏡板部の底部近傍での逆流を防止する
ことが可能となる。
【0029】請求項3記載の発明の作用について述べ
る。
【0030】筒状部の内部であって、流入口の上方位置
に、処理液と粉粒体とを混合する混合部を設ける。これ
により、粒径分布のシャープな分劃を得ることが可能と
なる。
【0031】
【0032】
【0033】請求項記載の発明の作用について述べ
る。
【0034】流入口から流入する処理液を一定の流量に
保つことにより、粉粒体の沈降速度と同速度の上昇流を
作ることによって、粒径分布のシャープな分劃が得られ
るとともに、粒径分布幅の狭い分劃を短時間で得ること
ができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0036】図1は、本発明の湿式分級装置の概略構成
を示しており、請求項1に対応している。
【0037】すなわち、直立する筒状部1の下端側開口
縁1aから連続して逆円錐形状の鏡板部2が形成され、
この鏡板部2の底部2aに処理液の流入口3が設けら
れ、筒状部1の上端1b側に流出口4が設けられたもの
である。そして、鏡板部2の傾斜角度θを、処理液中の
粉粒体の安息角をやや上回る角度となるように設定した
構造となっている。
【0038】つまり、鏡板部2は、粉粒体の一部がその
上に沈降した後、滑り又は転がる部分であるから、その
傾斜角度θは処理液中の粉粒体の安息角よりも大きくす
る必要がある。しかし、傾斜角度θを極端に大きくする
と、水平断面積が相対的に小さくなるので、処理能力が
低下することになる。また、水平断面積が小さくなる
分、装置の高さを高くすることも考えられるが、この場
合、バッチ当たりの処理量は同じになっても、装置の高
さが高くなった分、処理時間がかかることになる。
【0039】そのため、鏡板部2の傾斜角度θを処理液
中の粉粒体の安息角をやや上回る角度となるように設定
することにより、上記諸問題を最小限に抑えるのが適当
である。
【0040】また、筒状部1と鏡板部2との高さの比k
(=H1 /H2 )は、1.0ないし5.0程度が好適で
ある。この範囲よりkの値が大きい(k>5.0)と、
後述する層状構造形成のための必要時間が増大し、また
この範囲よりkの値が小さい(k<1.0)と、一度層
状構造ができた後に回収できる粒子量の、粒子全体に対
する割合が減るので、いずれにしても実用上好ましくな
い。
【0041】ここで、バッチ当たりの仕込量(実体積)
をV、分級装置の容積Wに対する仕込量Vの割合をxと
すると、xが5〜50%の範囲であることが、分級の精
度と能率とに最も優れている。xがこの範囲より小さい
(x<5%)と、能率が著しく低下し、xがこの範囲よ
り大きい(x>50%)と、ケーキの生成等のトラブル
が起こる場合があるからである。
【0042】分級装置の容積Wは、
【0043】
【数1】 W=V/x≒(1/8)(k+1/3)(π・tanθ)・D1 3 ・・・(1) であるが、この(1)式の関係を使い、上述の諸要請と
必要な仕込量Vとから、筒状部1の内径寸法D1 の設計
値を求めることができる。他の部分の寸法は、このD1
の値に基づいて決定することができる。
【0044】流出口4は、本実施例では、筒状部1の上
端1bに水平の鏡板5を接続し、この鏡板5の中央開口
部5aを流出口としたものであり、この流出口4に配管
6が接続されている。
【0045】この配管6の内径D4 は、あまり太くては
ならず、筒状部1の内径D1 の15%以下が目安であ
る。これを超えると精度が悪化するからである。また、
配管6が詰まる程でなければ、細すぎることによる問題
は少ない。
【0046】図2は、本発明の分級装置の他の実施例を
示す概略構成図である。すなわち、筒状部1の上端1b
の全周を堰7として作ったオーバーフロー型のものであ
り、その他の構成は、鏡板5及び配管6を除いて図1に
示すものと全く同様である。また、この変形として、筒
状部1の上端1bの全周ではなく、その一部を堰7とす
る構造も可能である。
【0047】なお、このようなオーバーフロー型では、
筒状部1の上端1bに覆いをして、下液の揮発と外気を
通じての擾乱とを防ぐようにすることが好ましい。
【0048】また、図3に示す分級装置は、粉粒体部分
を高濃度スラリーとして回収するため、筒状部1の上端
1b近傍の側壁に、枝管8を設けた構造を示している。
【0049】また、図4に示す分級装置は、筒状部1の
上端1bと鏡板5との接続部分を湾曲させて曲率半径R
をとった構造を示している。この場合、曲率半径Rは大
きくてはならず、筒状部1の内径D1 の7%以下が一つ
の目安となる。これを超えると、得られる粒径分布のシ
ャープさが悪化するからである。図3及び図4に示す分
級装置において、その他の構造は図1に示すものと全く
同様である。
【0050】流入口3の具体的形状を図5に示す。
【0051】流入口3を単純な形状とする場合、粉粒体
の逆流を防ぐため、流入口3の直径を非常に小さくしな
ければならない。しかし、流入口3をあまり小さくする
と、粉粒体による流入口3の閉塞をはじめ、流路の通り
易さに問題が生じる。そこで、このような問題を解決す
るため、本実施例では、鏡板部2の底部2aに接続され
る流入口3の接続部分3aの内壁の水平断面形状(内径
2 )を、その下部に位置する流入口3の内壁の水平断
面形状(内径D3 )より絞られたノズル形状に形成す
る。これにより、鏡板部2の底部2a近傍での逆流を防
止することが可能となる。
【0052】ここで、流入口3の各内径D2 、D3 、及
びノズルの先端幅(高さ)H3 の値は、以下の条件
(2)、(3)、(4)を満足する値に設定する。
【0053】
【数2】 D2 ≦0.05・Φ1/3 ・(η・ρ)1/9 ・(x・g・ρΔ)-2/9 ・・・(2) D3 ≧1.2D2 ・・・(3) 0≦H3 ≦0.5D2 ・・・(4) ここで、Φ:流入の流束、η:処理液の粘度、ρ:処理
液の密度、x:スラリー濃度(湿潤状態における体積分
率;0〜1)、g:重力加速度、ρΔ:処理液と粒子
(潤滑状態)の密度差である。ただし、これらはMSK
単位による。また、(2)〜(4)式、特に(2)式に
おける係数は、数マイクロメートルのシリカ製ビーズの
水中分級実験(ρΔ=1,200kg/m3 、装置直径
(内径)D 1 =60〜240mm)の結果から数値を得
ている。
【0054】流入の流束Φは、粒子の沈降速度に密接に
関わり、そのオーダーが規定される点に注意を要する。
沈降速度をv、装置の直径(内径)をD1 とすると、
【0055】
【数3】 Φ=(π/4)・v・D1 2 ・・・(5) が釣り合いの条件である。
【0056】沈降速度vは、問題とする粒子自体の無限
希釈沈降速度v0 を基本に、他の粒子の複雑な影響を受
けて決まるものであるが、粒径分布幅が比較的狭い場合
には近似的に次式で表される。
【0057】
【数4】 v=f・v0 ・・・(6) v0 =(g・ρΔ・d2 )/(18・η) ・・・(7) (7)式は、ストークスの沈降速度式である。良好に成
り立つのは、沈降に関するレイノルズ数が2を超えない
範囲である。同じ範囲では、濃度因子fは次の諸式で近
似される。
【0058】
【数5】 f=ε-4.65 (ε≧0.7) ・・・(8) f=6・(1−ε)/ε3 (ε≦0.7) ・・・(9) ε(=1−x)は空隙率であるが、ここでいう濃度xと
して有効なのは、運転中における筒状部1の上端1bの
流出口4近傍におけるものである。これは、仕込濃度よ
りいくらか小さい値となる。
【0059】図6は、本発明の湿式分級装置のさらに他
の実施例を示しており、請求項3に対応している。
【0060】すなわち、図1に示す湿式分級装置におい
て、筒状部1の内部であって、流入口3の上方位置に、
処理液と粉粒体とを混合する混合部10を設けたもので
ある。
【0061】この混合部10の最も簡単な構成は、単純
な水平攪拌翼によるものである。この場合の攪拌翼とし
ては、攪拌力が弱く、処理液の水平方向の移動のみを起
こすような棒状の翼が適当である。
【0062】また、図7は、混合部10のより好適な構
造の一例を示している。すなわち、全体を円筒形状と
し、下端側に流入口11を形成し、上端側に流出口12
を形成して、その内部に攪拌翼13を収納したものであ
る。
【0063】混合部10の流入口11は、流入口3の上
方位置に配置する。また、混合部10の流出口12は、
筒状部1と鏡板部2との継ぎ目1aと略同じ高さに設け
るのが最も好ましい。
【0064】このような円筒形状の混合部10として、
具体的には、攪拌翼13を動力によって強制的に駆動す
る場合と、スタティックミキサーによる場合とがある。
図7は、スタティックミキサーの場合を例示している。
【0065】スタティックミキサーの場合には、積極的
な動力を持たなくても、例えば煙突の中に強い上昇流が
できるのと同じ原理で、上昇流を得ることが可能であ
る。この場合、特に、混合部10の長さは、下端側の流
入口11が鏡板部2の底部2aに接近しすぎて処理液の
流れを塞ぐことのない範囲で長い方が良く、また太い方
が良い。また、エレメントの形状や寸法が粗くなって、
その繰り返し数が少なくなりすぎることは好ましくな
い。さらに、上昇流が確実にスタティックミキサーを通
るように、混合部10の下端部に傘20を設けても良
い。
【0066】スタティックミキサーの寸法上の必要条件
は、ベルヌーイの定理より次の通りである。
【0067】
【数6】 (π/4)・D6 2 =k・(1+NE ・αE )・Φ/2・H4 ・x・ρΔ/ρ)1/2 ・・・(10) ただし、k≧2(望ましくはk≧5)、NE :エレメン
ト数、αE :エレメント当たりの圧力損失係数、Φ:処
理液の流入量の最小値、である。
【0068】スタティックミキサーとしては、沈降によ
る粒子の滞留がないように、全体に滑らかに仕上げら
れ、内部の傾斜角度も全て粒子の安息角度以上であるこ
と、すなわち、エレメントに極端なひねりのない形状で
あることが望ましい。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】また、処理液については、主に粉粒体を分
散させたときの沈降速度と、分散性との観点から選択す
る。
【0073】沈降速度の点からは、密度、粘度ともに低
く、粉粒体を速やかに沈降させ得る液体が望まれること
が多い。このような要求に沿うものとして、常温で液体
の物質のものでは、水の他、多くの有機溶剤(例えば、
ペンタン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、
メタノール、トルエン等)がある。
【0074】また、分散性の点からは、処理液が粉粒体
表面を良く濡れさせることが必要である。実際の選択に
当たっては、このような要求を満たすよう考慮する必要
があり、分散性改良のために界面活性剤等を使用するこ
とも可能である。
【0075】この他にも、処理液が粉粒体を溶かした
り、著しく膨潤させることがないことも、必要な条件で
ある。
【0076】次に、上記各構成の湿式分級装置による分
級方法について説明する。
【0077】すなわち、被分級粉粒体をスラリーとして
装置内部に仕込んだ後、あまり速すぎない一定流速で流
入口3より処理液を流入し続けると、筒状部1において
緩やかな層状構造ができる。ここでいう層状構造とは、
直径の大きい粒子ほどより下の方に、より高い体積分率
で、小さい粒子ほどより上の方に、より低い体積分率
で、秩序立って配置した状態を意味している。
【0078】このような層状構造が出来上がった後、処
理液の流速を少しだけ増やし、それまでの全流出液を回
収すると、細粒径側の分劃が、シャープな分布にて得ら
れる。装置内部に残る粒子は、粒径が粗い方の分劃であ
って、分離はやはりシャープである。
【0079】ここで、流速の変え方と分級の手順とにつ
いて説明する。
【0080】ある一定の流量を保つことによって、所定
の域値より小さい粒径の粒子のみを流出口4から流出さ
せることができるが、この場合、初期においては、最終
流速よりやや遅い流速にて流し、安定した層状構造がで
きるのを待ってから、最終流速まで増速する。仕込濃度
が高いときほど、初期の流速は遅めに設定する必要があ
るが、通常は最終流速の80%程度まで落としておけば
概ね十分である。
【0081】また、層状構造ができあがった後、処理液
の流速を徐々に増やすと、層状構造は少しずつ上方に移
動し、流出口4に達したところで、その流出が起こる。
このようにして、刻々と分劃を分けていくと、狭い粒径
範囲で分劃された粒子群が回収できることになる。この
場合も、回収開始以前にやや遅い流速にて流し、安定な
層状構造ができるのを待ってから回収する必要がある。
【0082】一定の流量を保つ場合も、流速を徐々に増
やす場合も、安定な層状構造ができるまでの時間オーダ
ーは、次の式から求めることができる。
【0083】
【数7】 t=(H・d0 )〔1+ln(d1 /d2 )〕/(2・v・d1 )・・・(11) ただし、t:所要時間、H:分級装置全体の高さ、
0 :中心となる粒子径、v:中心となる粒子径に対応
する沈降速度、d1 :仕込み粒子径分布幅、d2 :粒子
径分布のシャープさ(又は、単一分劃について目的とす
る分布幅)、である。
【0084】処理液の流れ制御には、ポンプ、静水圧利
用等の一般的な方法が利用できる(図6には、ポンプが
図示されている)が、槽内が大きく乱されないよう、流
量を安定に保つことが重要である。
【0085】次に、本発明の湿式分級装置及び湿式分級
方法を用いて、以下の3つの実験を行った。
【0086】〔実験1〕図6に示す形状の分級装置を作
成し、これを使用した。詳細は、図4、図5、図7に従
い、それぞれの寸法は、D1 =480mm、D2 =3m
m、D3 =8mm、D4 =53mm、H1 =320m
m、H2 =320mm、H3 =1mm、R=12mm、
θ=53°で、容量は77リットルである。処理液の供
給は、定量ポンプによって行い、混合部10として、内
径12mmφ、長さ210mm、エレメント数8のスタ
ティックミキサーを用いた。
【0087】常温下、処理液としてペンタン(η=2.
3×10-4Pas・sec、ρ=630kg/m3 )を
用い、ρ=1130kg/m3 (ρΔ=500kg/m
3 )の熱硬化性樹脂ビーズを分級した。粒径は、d=
6.07μmを平均値に、d=5.42μmないしd=
6.80μmに83%が入る分布を持つ、略正規分布の
ものを用いた。仕込量は、見掛けで15.4リットル
(容器容積に対し、20%)、実体積では7.7リット
ルであった。
【0088】流速条件は、200ml/分から600m
l/分まで変化させて分級を行った。その結果、25分
劃のサンプルを得た。各サンプルの平均粒径の範囲は
5.5μmから6.8μmであり、各分劃の分布幅を示
すCV値(変動係数)としては、2.1%から2.6%
までの範囲の良好な値を得た。ただし、CV値の定義
は、CV値=粒径の標準偏差/粒径の平均値である。
【0089】〔実験2〕図6に示す形状の分級装置を作
成し、これを使用した。詳細は、図4、図5、図7に従
い、それぞれの寸法は、D1 =480mm、D2 =3m
m、D3 =8mm、D4 =53mm、H1 =320m
m、H2 =320mm、H3 =1mm、R=12mm、
θ=53°で、容量は77リットルである。処理液の供
給は、定量ポンプによって行い、混合部10として、内
径12mmφ、長さ210mm、エレメント数8のスタ
ティックミキサーを用いた。
【0090】常温下、処理液として水(η=1.0×1
-3Pas・sec、ρ=1,000kg/m3 )を用
い、ρ=2200kg/m3 (ρΔ=1,200kg/
3)のシリカビーズを分級した。粒径は、d=6.1
4μmを平均値に、d=5.32μmないしd=6.9
4μmに86%が入る分布を持つ、略正規分布のものを
用いた。仕込量は、見掛けで15.4リットル(容器容
積に対し、20%)、実体積では7.7リットルであっ
た。
【0091】流速条件は、160ml/分から500m
l/分まで変化させて分級を行った。その結果、18分
劃のサンプルを得た。各サンプルの平均粒径の範囲は
5.6μmから6.7μmであり、各分劃のCV値とし
ては、2.3%から2.7%までの範囲の良好な値を得
た。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の湿式分級装置
は、直立する筒状部の下端側開口縁から連続して逆円錐
形状の鏡板部を形成したので、鏡板部に沈降した粉粒体
の一部は、鏡板面上を滑り又は転がって下部の方に移動
することになる。そのため、この粗い粒子が支持部材の
役目を果たす結果、鏡板部の底部近傍での逆流を防止す
ることができるものである。
【0097】また、本発明の請求項2記載の湿式分級装
置は、鏡板部の底部に接続される流入口の接続部分の内
壁の水平断面形状を、その下部に位置する流入口の内壁
の水平断面形状より絞られたノズル形状に形成したの
で、鏡板部の底部近傍での逆流をさらに効果的に防止す
ることができるものである。
【0098】また、本発明の請求項3記載の湿式分級装
置は、筒状部の内部であって、流入口の上方位置に、処
理液と粉粒体とを混合する混合部を設けた構成としたの
で、粒径分布のシャープな分劃を得ることができるもの
である。
【0099】
【0100】また、本発明の請求項記載の湿式分級方
法は、流入口から流入する処理液を一定の流量に保つこ
とにより、粉粒体の沈降速度と同速度の上昇流を作るこ
とによって、粒径分布のシャープな分劃が得られるとと
もに、粒径分布幅の狭い分劃を短時間で得ることができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に対応した湿式分級装置の概
略構成図である。
【図2】本発明の請求項1に対応した湿式分級装置の他
の実施例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の請求項1に対応した湿式分級装置の他
の実施例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の請求項1に対応した湿式分級装置の他
の実施例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の請求項2に対応した湿式分級装置の流
入口の具体的形状を示す一部拡大断面図である。
【図6】本発明の請求項3に対応した湿式分級装置の概
略構成図である。
【図7】混合部の構造を示す一部拡大断面図である。
【図8】湿式分級装置の基本的構成を示す図である。
【図9】湿式分級装置の基本的構成を示す図である。
【符号の説明】
1 筒状部 2 鏡板部3 流 入口 4 流出口 10 混合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−90054(JP,A) 特開 昭63−80894(JP,A) 特開 平4−310201(JP,A) 特開 昭58−137414(JP,A) 特公 昭30−8901(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03B 1/00 - 13/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量による沈降を利用した湿式の分級装置
    であって、直立する筒状部の下端側開口縁から連続して
    逆円錐状の鏡板部が形成されるとともに、この鏡板部
    の底部に内壁の軸方向が垂直である処理液の流入口が設
    けられ、前記筒状部の上端側に流出口が設けられたこと
    を特徴とする湿式分級装置。
  2. 【請求項2】前記鏡板部の底部に接続される前記流入口
    の接続部分の内壁の水平断面形状が、その下部に位置す
    る流入口の内壁の水平断面形状より絞られたノズル形状
    に形成されたことを特徴とする請求項1記載の湿式分級
    装置。
  3. 【請求項3】前記筒状部の内部であって前記流入口の上
    方位置に、処理液と粉粒体とを混合する混合部が設けら
    れたことを特徴とする請求項1又は2記載の湿式分級装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1,2又は3記載の湿式分級装置に
    おいて、前記流入口から流入する処理液を一定の流量に
    保つことにより、前記粉粒体の沈降速度と同速度の上昇
    流を作ることを特徴とする湿式分級方法。
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