JP2904008B2 - インク転写型記録装置 - Google Patents

インク転写型記録装置

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JP2904008B2
JP2904008B2 JP12377694A JP12377694A JP2904008B2 JP 2904008 B2 JP2904008 B2 JP 2904008B2 JP 12377694 A JP12377694 A JP 12377694A JP 12377694 A JP12377694 A JP 12377694A JP 2904008 B2 JP2904008 B2 JP 2904008B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プリンタ、複写機、
ファクシミリ等の画像記録装置であって、特に、インク
像担持体上に選択的に形成されたインク像を、当該イン
ク像担持体から記録媒体上に転写付着させて画像を記録
するインク転写型の記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のインク転写型記録装置と
しては、例えば、図10に示すように、表面に多数のイ
ンク孔が形成された回転ドラム100をその下端がイン
ク槽101内のインク102に浸漬されるように配置
し、この回転ドラム100の周囲にその回転方向に沿っ
て、それぞれ回転ドラム100の表面に付着した余剰イ
ンク102を掻き取るブレード103と、回転ドラム1
00表面に形成されたインク孔内のインク102を画像
信号に応じて帯電させるための記録ヘッド104と、こ
の記録ヘッド104によって帯電されたインク102を
記録媒体105上に転写付着させる転写手段106とを
配置してなるものが知られている(特開昭58−114
973号公報、実開昭63−63427号公報)。
【0003】上記のように構成されたインク転写型記録
装置においては、回転ドラム100が回転すると、その
表面に多数形成されたインク孔内にインク102が保持
されるとともに、回転ドラム100の外周面に付着した
余分なインク102がブレード103によって掻き取ら
れ、回転ドラム100表面のインク孔内にインク102
が充填される。一方、上記記録ヘッド104としては、
例えば、図10に示すように、特開昭59−19085
4号公報に開示されたイオン流ヘッドを用いることがで
き、この記録ヘッド104には画像データに対応した画
像信号が付与され、上記記録ヘッド104からは画像デ
ータに対応したイオン流が上記回転ドラム100上に選
択的に付与され、回転ドラム100上のインク102に
は画像データに応じて選択的に電荷が付与される。つま
り、上記回転ドラム100の表面に多数形成されたイン
ク孔内のインク102は、記録ヘッド104から画像デ
ータに応じて放出されるイオン流により電荷が付与さ
れ、画像データに応じて帯電される。その後、電荷が付
与されたインク102は、回転ドラム100と転写手段
106の間に搬送される記録媒体105上に、両者の間
に形成された静電界により選択的に転写付着され、記録
媒体105上にインク102からなる画像が記録される
ようになっている。
【0004】また、上記インク転写型の記録装置として
は、インク保持機能を有するフィルム状シートを使用し
たものも提案されている。すなわち、このインク保持機
能を有するフィルム状シートを使用したインク転写型の
記録方法としては、図11に示すように、微細孔を有す
るフィルム110をインク槽111内に浸漬することに
よりインク112を付与し、このフィルム110の微細
孔内にインク112を供給した後、画像信号に応じて発
熱を行なう発熱素子113を接触させて上記微細孔内に
保持されたインク112を加熱し、その加熱によるイン
ク112の熱膨張ないしインク112の気化によるエネ
ルギーによって、インク112をフィルム110の微細
孔から記録媒体114側へ吐出飛翔させて画像の記録を
行なうものも知られている(特開昭61−164836
号公報)。
【0005】さらに、フィルム状シートを使用した他の
インク転写型の記録方法としては、図10に示すイオン
流記録ヘッド104を用い、図12に示すように、微細
孔を有するフィルム120をインク槽121内に浸漬す
ることによりインク122を付与して、このフィルム1
20の微細孔にインク122を供給した後、イオン流記
録ヘッド104によって画像信号に応じて選択的にイオ
ン流を付与し、このイオン流によって帯電されたインク
122を電界を用いてフィルム120の微細孔から記録
媒体123側へ飛翔させて記録を行なうものも知られて
いる(特開平2−217249号公報)。
【0006】これらのインク転写型の記録装置及び方法
によれば、インクを回転ドラム若しくはフィルム上に微
細なドット状に分割された状態で保持することができる
ため、同じくインクを用いて画像の記録を行なう方式で
あって、インク滴を画像データに応じて選択的に吐出飛
翔させて画像記録を行なうインクジェット記録方式等に
比較して、画像情報に対応してドット化したインク滴を
突出させるための多数のノズル等が不要となり、装置の
構成を大幅に簡略化することができるという特徴を有し
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の場合には、次のような問題点を有している。す
なわち、上記提案に係るインク転写型の記録装置及び方
法の場合には、いずれも微細孔を用いてインクを保持す
るものであるため、回転ドラムまたはフィルム上のイン
クは微小な量に分割されており、画像の記録動作が終了
した後に回転ドラムまたはフィルム上に残ったインク
は、そのまま放置するとインクの溶媒等が気化して乾燥
固化し、次の画像記録が不可能となるため、回転ドラム
またはフィルム上に残ったインクを画像の記録動作が終
了した後に全て回収する必要がある。そのため、上記提
案に係るインク転写型の記録装置及び方法の場合には、
画像の記録動作が終了した後に、回転ドラムまたはフィ
ルム上に残ったインクを回収するインク回収装置が必要
になるとともに、回収時には回転ドラム又はベルトをイ
ンクタンクから引き上げる必要があるため、インクタン
クをリトラクトさせるためのリトラクト装置も必要にな
り、装置の構成が複雑化及びコスト高となるという問題
点があった。
【0008】また、上記提案に係るインク転写型の記録
装置及び方法の場合には、インク回収装置やリトラクト
装置を設けたとしても、装置の電源が突然切れたときに
は、インクの回収等が不可能となり、装置の記録動作の
復帰が不可能となるという問題点を有している。さら
に、上記提案に係るインク転写型の記録装置及び方法に
おいては、水性又は油性のインクを用いているため、記
録媒体として普通紙を用いた場合にはインクのにじみが
発生し、良質の画像が得られないため、専用の特殊紙を
必要とするという問題点もあった。
【0009】そこで、この発明は、上記従来技術の問題
点を解決するためになされたもので、その目的とすると
ころは、インク転写型の記録装置であって装置の構成が
簡単であり、しかもインクが乾燥固化する虞れがなく、
インク回収装置やリトラクト装置更には装置の電源が突
然切れたときの対策が不要であって、この点からも装置
の構成の簡略化及び低コスト化が可能であり、普通紙に
も高画質の画像記録が可能なインク転写型記録装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題は、
この発明の請求項第1項に記載されたインク転写型記録
装置では、加熱により溶融状態を呈するホットメルトイ
ンクを収容するインクタンクと、前記インクタンクに付
設された前記インクタンク内のホットメルトインクを加
熱した溶融状態とする加熱手段と、前記インクタンク内
のホットメルトインクを保持しながら回動するインク像
担持体と、前記インク像担持体を加熱して当該インク像
担持体に保持されたインクを溶融状態に維持するインク
像担持体加熱手段と、前記インク像担持体に保持された
ホットメルトインクに画像情報に対応したイオン流を照
射することによりホットメルトインクを選択的に帯電さ
せるイオン流書き込みヘッドと、前記イオン流書き込み
ヘッドによるイオン流書き込み位置より前記インク像担
持体の回動方向下流側において当該インク像担持体と対
向する部位に前記イオン流書き込みヘッドにより帯電さ
れたあるいは帯電されなかったホットメルトインクのう
ち一方を静電的に転写媒体上に転写する転写手段を備え
るように構成することによって達成される。
【0011】さらに、この発明の請求項第2項に記載さ
れたインク転写型記録装置は、前記インク像担持体の所
定部分が前記インクタンク内のホットメルトインクと接
触する状態で前記インク像担持体と前記インクタンクと
を配設するとともに、前記加熱手段の加熱によりホット
メルトインクが溶融状態となったことを検知する第1の
検知手段と、前記第1の検知手段の検知信号に基づいて
前記インク像担持体の回動を制御するインク像担持体制
御手段とを備えるように構成されている。
【0012】また更に、この発明の請求項第3項に記載
されたインク転写型記録装置は、前記インク像担持体に
保持されたホットメルトインクの溶融状態を検知する第
2の検知手段と、前記第2の検知手段に基づき前記イオ
ン流書き込みヘッドの書き込みタイミングを制御する書
き込み制御手段を備えるように構成されている。
【0013】さらに、この発明の請求項第4項に記載さ
れたインク転写型記録装置は、前記インク像担持体をホ
ットメルトインクが分散して保持される構造に形成する
ように構成されている。
【0014】また、この発明の請求項第5項に記載され
たインク転写型記録装置は、前記インク像担持体を加熱
し前記インク像担持体上に保持されたホットメルトイン
クを少なくとも転写手段配設位置まで溶融状態にて搬送
せしめるインク像担持体加熱手段を備えるように構成さ
れている。
【0015】さらに又、この発明の請求項第6項に記載
されたインク転写型記録装置は、加熱手段あるいは前記
インク像担持体加熱手段による前記インクタンク内のホ
ットメルトインク加熱温度あるいは前記インク像担持体
の加熱温度を前記転写手段による転写媒体へのホットメ
ルトインク転写後の固化時間に基づき制御する制御手段
を備えるように構成されている。
【0016】上記ホットメルトインクとしては、例え
ば、ワックスに顔料を添加したタイプのホットメルトイ
ンクが用いられる。このインクの融点は、70度Cであ
った。また、このホットメルトインクに界面活性剤を添
加することにより、溶融時のインクの抵抗値を106
109 Ωcmとした。
【0017】なお、上記ホットメルトインクとしては、
上記したもの以外にも、例えば、直鎖ポリエチレンを主
成分とし、着色剤として各色染料、酸化防止剤、粘度調
整剤等を添加して作成したものが用いられ、示差熱分析
の結果、このインクの融点は102度Cであり、溶融時
の表面張力は26dyne/cm(120度C)であっ
た。また、このホットメルトインクの体積抵抗率は、1
3 〜1010Ωcmであり、また融点近傍で109 Ωc
m以下、粘度が50cp以下、表面張力が50dyne
/cm以下であることが望ましい。
【0018】また、上記ホットメルトインクとしては、
普通紙や紙以外のフィルム等への定着性を向上させたも
のとして、例えば、ポリエチレンワックス54部、油溶
性染料1部、炭化水素樹脂45部を混合したものを用い
てもよく、このインクの軟化点は85度C、融点は90
度C、溶融時の表面張力は40dyne/cm以下(1
40度C)であった。
【0019】さらに、上記ホットメルトインクとして
は、普通紙や紙以外のフィルム等への定着性を向上さ
せ、高画質化を可能としたものとして、例えば、ベヘン
酸ベースで、融点が65度C、90度Cでも安定で、ケ
トンとしては、ステアロン15%、色材3%、可塑材2
%を混合したものが用いられ、80〜90度Cで良好な
画像が得られる。
【0020】
【作用】この発明の請求項第1項に係るインク転写型記
録装置では、加熱により溶融状態を呈するホットメルト
インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクに
付設された前記インクタンク内のホットメルトインクを
加熱し溶融状態とする加熱手段と、前記インクタンク内
のホットメルトインクを保持しながら回動するインク像
担持体と、前記インク像担持体に保持されたホットメル
トインクに画像情報に対応したイオン流を照射すること
によりホットメルトインクを選択的に帯電させるイオン
流書き込みヘッドと、前記イオン流書き込みヘッドによ
るイオン流書き込み位置より前記インク像担持体の回動
方向下流側において当該インク像担持体と対向する部位
に前記イオン流書き込みヘッドにより帯電されたあるい
は帯電されなかったホットメルトインクのうち一方を静
電的に転写媒体上に転写する転写手段を備えるように構
成されているので、インク像担持体上に担持されるイン
クは、加熱により溶融状態を呈するホットメルトインク
であるので、インク転写型の記録装置であって装置の構
成が簡単であり、しかもインクを放置してもインクが乾
燥固化する虞れがなく、インク回収装置やリトラクト装
置更には装置の電源が突然切れたときの対策が不要であ
って、この点からも装置の構成の簡略化及び低コスト化
が可能であり、普通紙にも高画質の画像記録が可能なイ
ンク転写型記録装置を提供することができる。
【0021】
【実施例】以下にこの発明を図示の実施例に基づいて説
明する。
【0022】図1はこの発明に係るインク転写型記録装
置の一実施例を示すものである。
【0023】この実施例に係るインク転写型記録装置
は、図1に示すように、表面にインク14を保持しうる
多数のインク保持孔が形成された絶縁性のインク像担持
体ドラム10と、このインク像担持体ドラム10の周囲
に対向配置され、画像情報に応じたイオン流によりイン
ク像担持体ドラム10のインク保持孔に保持されたイン
ク14を選択的に帯電するためのイオン流書き込みヘッ
ド20と、インク像担持体ドラム10の周囲に対向配置
されてインク保持孔内の帯電インク14を記録媒体34
上に転写させる転写手段30とで主要部が構成されてい
る。
【0024】上記インク像担持体ドラム10としては、
例えば、アルミニウム製ドラムの表面に30μmの厚さ
にポリイミド樹脂をコーティングしたものが用いられ、
このインク像担持体ドラム10の表面には、図2及び図
3に示すように、エッチング等の手段によって例えば1
2個/mmのピッチで直径30μm、深さ15μmの断
面が碗状の多数のインク保持孔12、12…が全面に形
成されている。そして、上記インク像担持体ドラム10
は、その下端部がインクタンク16に収容されているホ
ットメルトインク14中に浸漬されるように配置されて
いるとともに、図示しない駆動手段によって矢印方向に
沿って所定の回転速度で回転駆動されるようになってい
る。このように構成したインク像担持体ドラム10の周
囲には、ドラムの回転方向に沿って順次インク保持孔1
2、12…のみにインク14を保持すべくドラム10表
面に付着した余剰のインク14を掻き取るブレード18
と、イオン流書き込みヘッド20および転写手段30が
配置されている。
【0025】上記イオン流書き込みヘッド20は、図4
に示すように、放電ワイヤー22とこの放電ワイヤー2
2を包囲するシールド24から成るイオン発生器21
と、このイオン発生器21のシールド24に形成された
空気導入路26にむかって圧縮空気を供給する空気供給
部23と、シールド24の放電ワイヤー22に関して空
気導入路26と対向する位置に形成されるイオン排出路
28の対向する一壁に絶縁性基板25をもって取り付け
られる多数の制御電極27、27…と、イオン排出路2
8の他の壁に形成されるアース電極29とで構成されて
いる。この実施例では、上記制御電極27、27…の電
極ピッチが、インク像担持体ドラム10上のインク保持
孔12、12…と同じピッチの12本/mmに設定され
ている。上記放電ワイヤー22は、コロナ発生用高圧電
源1のプラス側に接続されるとともに、シールド24は
アースされている。また、制御電極27、27…は、ス
イッチング素子2を介して制御用の低圧電源3のプラス
側に接続されるとともに、アース電極29はシールド2
4を介してアースされている。
【0026】そして、このように構成されるイオン流書
き込みヘッド20は、放電ワイヤー22にコロナ発生用
高圧電源1により高電圧を印加し、放電ワイヤー22と
シールド24との間に生じるコロナ放電によって発生す
るイオンを空気供給部23から供給される空気流によっ
てイオン排出路28へ導き、このイオン排出路28にお
けるイオン流の通過を画像データに応じて電圧が印加さ
れる制御電極27、27…により形成される電界の有無
によって制御し、イオン排出路28からイオン流を画像
データに応じて選択的に放出するものである。このイオ
ン流書き込みヘッド20のイオン排出路28から画像デ
ータに応じて選択的に放出されるイオン流によって、イ
ンク像担持体ドラム10上のインク保持孔12、12…
内に保持されたインク14に選択的に電荷を付与するこ
とによりインクを帯電させ、転写パターン像を形成する
ようになっている。なお、イオン流書き込みヘッド20
は、インク像担持体ドラム10と非接触状態となってお
り、具体的には、イオン流書き込みヘッド20は、イン
ク像担持体ドラム10と0.3mm乃至1mmの間隔を
おいて配置されている。
【0027】なお、この発明の場合には、インク像担持
体ドラム10の表面に必ずしもインク保持孔12、12
…を設ける必要はないが、インク保持孔12、12…を
設けることによりインク14が画素単位毎に分離されや
すくなり、シャープな画像が得られるようになる。その
ため、この実施例ではインク像担持体ドラム10の表面
にインク保持孔12、12…を設けている。また、上記
インク保持孔12、12…間のピッチは、図5(a)
(b)に示すように、規則的または不規則的に配列する
ことができ、インク保持孔12、12…間のピッチを規
則的に配列した場合には、図5(a)に示すように、イ
オン流束ピッチLと同じか又はその整数分の1とするこ
とができる。また、インク保持孔12、12…間のピッ
チを不規則にした場合には、図5(b)に示すように、
インク保持孔12、12…間のピッチをイオン流束ピッ
チLの数分の1以下にする必要があり、この場合には縦
横いずれのピッチ内においてもインク保持孔12、12
…の孔数をほぼ等しくする必要がある。
【0028】また、上記転写手段30は、インク像担持
体ドラム10と対向するように配置されるとともに、イ
ンク像担持体ドラム10と0.2mm〜1mmの間隔を
隔てて保持されるか、又は図示しないバネ等の押圧手段
によってインク像担持体ドラム10の表面に圧接される
転写ロール32を備えており、この転写ロール32に
は、図示しないバイアス電源によって所定のバイアス電
圧が印加されるようになっている。そして、上記転写ロ
ール32に印加されるバイアス電圧によって、当該転写
ロール32とインク像担持体ドラム10との間に搬送さ
れる記録媒体34上にインク保持孔12、12…内のイ
ンク14を静電吸引して転写パターン像を転写付着させ
ることによって、記録媒体34上に画像の記録を行なう
ようになっている。上記転写ロール32とインク像担持
体ドラム10の間隔は、バイアス電圧の大小によって決
定され、転写ロール32とインク像担持体ドラム10を
接触させた場合には、インク像担持体ドラム10の熱が
記録媒体34及び転写ロール32に伝わって温度が上昇
するため、インク14が転写された後でもすぐにインク
14が固化しなくなるため、インク像のにじみが発生し
やすくなるので、転写ロール32とインク像担持体ドラ
ム10との間にギャップを形成したほうが有利である
が、その分バイアス電圧を高くする必要がある。なお、
上記転写手段30とインク像担持体ドラム10との間隔
を0.2mmに設定した場合には、例えば、バイアス電
圧が数100Vとなり、この間隔を1mmに設定した場
合には、バイアス電圧が数kVとなる。
【0029】ところで、この実施例では、前述したよう
に、インクタンク16内に収容されてインク像担持体ド
ラム10の表面に塗布されるインクとして、室温では適
当な固さの固体であって、加熱により溶融状態を呈する
ホットメルトインク14を使用するように構成されてい
る。
【0030】すなわち、上記ホットメルトインク14と
しては、例えば、ワックスに顔料を添加したタイプのホ
ットメルトインクを用いている。このインク14の融点
は、70度Cであった。また、このホットメルトインク
14に界面活性剤を添加することにより、溶融時のイン
クの抵抗値を106 〜109 Ωcmとした。
【0031】また、上記ホットメルトインク14は、図
6に示すように、その抵抗値が温度に応じて変化し、こ
のホットメルトインク14は、その抵抗値が変化すると
イオン流書き込みヘッド20から照射されるイオン流に
よって画像情報に応じて選択的に帯電する際に、帯電性
が変化してしまう。そのため、上記ホットメルトインク
14は、図6に示すように、温度変化に対して抵抗値の
変化分が小さい安定した温度領域であって、しかもある
程度の抵抗値を有する温度領域(図示例では、80〜1
00度C)で使用するのが望ましい。
【0032】そして、上記ホットメルトインク14を収
容したインクタンク16には、図1に示すように、当該
ホットメルトインク14を80度Cないし100度Cに
加熱するためのヒーター17が設けられており、このヒ
ーター17によりホットメルトインク14を加熱するこ
とによって、ホットメルトインク14を固体状態から液
体状態に変化させるようになっている。上記インクタン
ク16内に収容された液体状態のホットメルトインク1
4は、当該インクタンク16内に浸漬されたインク像担
持体10の表面に塗布される。なお、上記ヒーター17
としては、インクタンク16内のインク像担持体ドラム
10の近傍に、当該インク像担持体ドラム10の曲率に
略等しい曲率を有する湾曲状の平面ヒーターを用いても
よく、こうした場合には、インクタンク16内のインク
像担持体ドラム10の近傍に位置するホットメルトイン
ク14を効率良く加熱することができ、記録開始までの
要する時間を短くすることができる。
【0033】また、上記インクタンク16の内部には、
ホットメルトインク14の温度を検知し、前記ヒーター
17の加熱によりホットメルトインク14が溶融状態と
なったことを検知する第1の検知手段としての温度セン
サー40が配置されている。この温度センサー40は、
当該温度センサー40の検知信号に基づいて前記インク
像担持ドラム10の回動を制御するインク像担持体制御
手段41に接続されている。このインク像担持体制御手
段41は、温度センサー40からの検知信号に基づいて
ホットメルトインク14が溶融状態となったことを検知
すると、インク像担持ドラム10の回動を開始するよう
に構成されている。
【0034】さらに、上記インク像担持ドラム10の内
部には、当該インク像担持ドラム10の表面を所定の温
度(例えば、80度C以上)に加熱し、インク像担持ド
ラム10の表面に担持されたホットメルトインク14が
再び固化するのを防止するためのヒーター42が内蔵さ
れているとともに、このインク像担持ドラム10の表面
温度を検知することによりホットメルトインク14の溶
融状態を検知する第2の検知手段としての温度センサー
43が設けられている。この温度センサー43は、前記
イオン流書き込みヘッド20の書き込みタイミングを制
御する書き込み制御手段44に接続されている。そし
て、この書き込み制御手段44は、インク像担持ドラム
10の表面温度を温度センサー43によって検知し、当
該インク像担持ドラム10の表面温度が所定の温度に達
した場合には、イオン流書き込みヘッド20の書き込み
タイミングを制御するようになっている。このとき、上
記インク像担持ドラム10の表面温度は、あまり高すぎ
ると、転写されたインク14が記録媒体34上で固化す
るのに時間がかかり、インク14が記録媒体34の繊維
に浸透して画像ににじみが発生しやすくなるので、イン
クの融点に対しあまり高くしない方が望ましい。
【0035】また、上記インクタンク16内のヒーター
17あるいは前記インク像担持ドラム加熱用のヒーター
42による前記インクタンク16内のホットメルトイン
ク加熱温度あるいは前記インク像担持ドラム10の加熱
温度を、前記転写手段30による転写媒体34へのホッ
トメルトインク転写後の固化時間に基づき制御する制御
手段45を備えるように構成されている。
【0036】なお、この実施例に係るインク転写型記録
装置は、前記インク像担持ドラム10に保持されたホッ
トメルトインクをクリーニングするクリーニング手段を
有しないように構成されている。
【0037】以上の構成において、この実施例に係るイ
ンク転写型記録装置では、次のようにして画像の記録が
行われる。すなわち、このインク転写型記録装置では、
図1に示すように、インクタンク16内に収容されたホ
ットメルトインク14をヒーター17によって80度C
ないし100度Cに加熱し、ホットメルトインク14を
固体状態から液体状態に変化させる。そして、上記イン
クタンク16内で液体状態となったホットメルトインク
14は、矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動される
インク像担持体10の表面に塗布されるとともに、当該
インク像担持体10の表面に多数形成されたインク保持
孔12、12…内に充填される。このインク像担持体1
0の表面に塗布されたホットメルトインク14は、余剰
のインク14がブレード18によって掻き取られ、イン
ク像担持体10の表面には、インク保持孔12、12…
内にのみホットメルトインク14が充填された状態に担
持される。また、上記インク像担持体10の表面温度
は、ヒーター42によって80度C以上(80度C〜9
0度C)の温度に維持されるようになっている。
【0038】その後、上記インク像担持体10のインク
保持孔12、12…内に保持されたホットメルトインク
14は、図7に示すように、イオン流書き込みヘッド2
0を通過する際に、このイオン流書き込みヘッド20か
ら画像情報に応じて選択的に照射されるイオン流によっ
て帯電され、次の転写手段30側に移動する。そして、
上記イオン流書き込みヘッド20によって帯電されたイ
ンク保持孔12、12…内のインク14は、図7に示す
ように、転写手段30を通過する際に、転写ロール32
に印加されたバイアス電圧によって形成される静電界に
より転写ロール32側に吸引され、当該転写ロール32
とインク像担持ドラム10との間に挿通される記録媒体
34上に転写され、転写ロール32の押圧力が相まって
記録媒体34上にドットパターン上のインクからなる転
写パターン像が転写され、画像の記録が行われる。
【0039】このように、上記インク転写型記録装置に
おいては、記録動作がすべて終了した後にも、インク像
担持ドラム10のインク保持孔12、12…内には転写
領域からインクタンク16に渡る転写されなかったイン
ク14、およびインクタンク16から転写領域に渡る使
用されなかったインク14が残っており、ヒーター17
の電源切断によりドラム10の温度が低下しインクは固
化するが、再使用する場合にはヒーター17に通電して
インク14を再度液体化すれば、油性、又は水性インク
のように溶媒が揮発して乾燥してしまうようなことがな
く、何ら問題なく再度使用可能であった。
【0040】そのため、この実施例では、インク転写型
の記録装置であって装置の構成が簡単であり、しかもイ
ンクが乾燥固化する虞れがなく、インク回収装置やリト
ラクト装置更には装置の電源が突然切れたときの対策が
不要であって、この点からも装置の構成の簡略化及び低
コスト化が可能であり、普通紙にも高画質の画像記録が
可能なインク転写型記録装置を提供することができる。
【0041】上記のような装置を用い、記録媒体34と
して複写機用の用紙を用いて記録を行ったところ、イン
ク14のにじみのない良好な画像が得られた。さらに記
録を行った後一昼夜放置した後、再び同じ動作を繰り返
したが、前回同様良好な画像が得られた。更に1週間放
置後、同様の動作を繰り返したが何ら問題は発生しなか
った。
【0042】図8はこの発明の他の実施例を示すもので
あり、前記実施例と同一の部分には同一の符号を付して
説明すると、この実施例では、インク像担持ドラムの代
わりにインク搬送ベルトを用いている。このインク像担
持ベルト50としては、図9に示すように、厚さ50μ
mのポリイミドフィルムにイオン流書き込みヘッド20
の記録電極27、27…のピッチと同じ12個/mmの
ピッチで縦横に直径30μmのインク保持孔51、51
…を開口したものが用いられている。また、上記インク
像担持ベルト50は、インク搬送ドラムの場合と同じよ
うにインクタンク16内でベルト50上のインク保持孔
12、12…にインク14を供給したのち、ベルト50
の両側に配置されたブレード51により余分なインク1
4を除去し、イオン流書き込みヘッド20により選択的
に電荷を付与する。さらに、転写の位置においては、ベ
ルト50と転写ロール32との間に挿入された記録媒体
34に対し、インク像担持ベルト50の反対側にはヒー
ター52が押し当てられており、インク14はヒーター
52により100度Cに加熱されて液体状態となると同
時に転写ロール32とヒーター52の間に設定された押
圧力とバイアス電界により記録媒体34に転写される。
【0043】また、上記のような装置を用い、記録媒体
34として複写機用の用紙を用いて記録を行ったとこ
ろ、インク14のにじみのない良好な画像が得られた。
さらに記録を行った後一昼夜放置した後、再び同じ動作
を繰り返したが、前回同様良好な画像が得られた。更に
1週間放置後、同様の動作を繰り返したが何ら問題は発
生しなかった。
【0044】その他の構成及び作用については、前記実
施例と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
【発明の効果】この発明は、以上の構成及び作用よりな
るもので、インク転写型の記録装置であって装置の構成
が簡単であり、しかもインクが乾燥固化する虞れがな
く、インク回収装置やリトラクト装置更には装置の電源
が突然切れたときの対策が不要であって、この点からも
装置の構成の簡略化及び低コスト化が可能であり、普通
紙にも高画質の画像記録が可能なインク転写型記録装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明に係るインク転写型記録装置
の一実施例を示す構成図である。
【図2】 図2はインク像担持ドラムの表面に形成され
たインク保持孔を示す平面図である。
【図3】 図3はインク像担持ドラムの表面に形成され
たインク保持孔を示す断面図である。
【図4】 図4はイオン流書き込みヘッドを示す断面図
である。
【図5】 図5(a)(b)はインク像担持ドラムの表
面に形成されたインク保持孔をそれぞれ示す平面図であ
る。
【図6】 図6はホットメルトインクの温度と抵抗値と
の関係を示すグラフである。
【図7】 図7(a)(b)はインク像担持ドラムの表
面に形成されたインク保持孔内のインクの転写状態をそ
れぞれ示す断面図である。
【図8】 図8はこの発明の他の実施例を示す構成図で
ある。
【図9】 図9はこの発明の他の実施例に使用されるイ
ンク担持フィルムを示す断面図である。
【図10】 図10は従来のインク転写型記録装置を示
す構成図である。
【図11】 図11は従来の他のインク転写型記録装置
を示す構成図である。
【図12】 図12は従来のさらに他のインク転写型記
録装置を示す構成図である。
【符号の説明】
10 インク像担持ドラム、14 ホットメルトイン
ク、16 インクタンク、17 ヒーター、20 イオ
ン流書き込みヘッド、30 転写手段、34 記録媒
体。
フロントページの続き (72)発明者 丸山 のり子 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 安東 滋仁 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 小寺 哲郎 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 足立 康二 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 丸山 和雄 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−89068(JP,A) 特開 平7−40534(JP,A) 特開 平2−217249(JP,A) 実開 昭63−63427(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/385 B41J 2/015 B41J 2/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱により溶融状態を呈するホットメル
    トインクを収容するインクタンクと、 前記インクタンクに付設された前記インクタンク内のホ
    ットメルトインクを加熱した溶融状態とする加熱手段
    と、 前記インクタンク内のホットメルトインクを保持しなが
    ら回動するインク像担持体と、前記インク像担持体を加熱して当該インク像担持体に保
    持されたインクを溶融状態に維持するインク像担持体加
    熱手段と、 前記インク像担持体に保持されたホットメルトインクに
    画像情報に対応したイオン流を照射することによりホッ
    トメルトインクを選択的に帯電させるイオン流書き込み
    ヘッドと、 前記イオン流書き込みヘッドによるイオン流書き込み位
    置より前記インク像担持体の回動方向下流側において当
    該インク像担持体と対向する部位に前記イオン流書き込
    みヘッドにより帯電されたあるいは帯電されなかったホ
    ットメルトインクのうち一方を静電的に転写媒体上に転
    写する転写手段を備えたことを特徴とするインク転写型
    記録装置。
  2. 【請求項2】 前記インク像担持体の所定部分が前記イ
    ンクタンク内のホットメルトインクと接触する状態で前
    記インク像担持体と前記インクタンクとを配設するとと
    もに、前記加熱手段の加熱によりホットメルトインクが
    溶融状態となったことを検知する第1の検知手段と、前
    記第1の検知手段の検知信号に基づいて前記インク像担
    持体の回動を制御するインク像担持体制御手段とを備え
    たことを特徴とする請求項第1項記載のインク転写型記
    録装置。
  3. 【請求項3】 前記インク像担持体に保持されたホット
    メルトインクの溶融状態を検知する第2の検知手段と、
    前記第2の検知手段に基づき前記イオン流書き込みヘッ
    ドの書き込みタイミングを制御する書き込み制御手段を
    備えたことを特徴とする請求項第1項記載のインク転写
    型記録装置。
  4. 【請求項4】 前記インク像担持体をホットメルトイン
    クが分散して保持される構造に形成したことを特徴とす
    る請求項第1項記載のインク転写型記録装置。
  5. 【請求項5】 前記インク像担持体を加熱し前記インク
    像担持体上に保持されたホットメルトインクを少なくと
    も転写手段配設位置まで溶融状態にて搬送せしめるイン
    ク像担持体加熱手段を備えたことを特徴とする請求項第
    1項記載のインク転写型記録装置。
  6. 【請求項6】 加熱手段あるいは前記インク像担持体加
    熱手段による前記インクタンク内のホットメルトインク
    加熱温度あるいは前記インク像担持体の加熱温度を前記
    転写手段による転写媒体へのホットメルトインク転写後
    の固化時間に基づき制御する制御手段を備えたことを特
    徴とする請求項第1項記載のインク転写型記録装置。
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