JP2900227B2 - 鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置 - Google Patents

鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置

Info

Publication number
JP2900227B2
JP2900227B2 JP29892594A JP29892594A JP2900227B2 JP 2900227 B2 JP2900227 B2 JP 2900227B2 JP 29892594 A JP29892594 A JP 29892594A JP 29892594 A JP29892594 A JP 29892594A JP 2900227 B2 JP2900227 B2 JP 2900227B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brake
screw
rod
driven clutch
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP29892594A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08133081A (ja
Inventor
護 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankosha Co Ltd
Original Assignee
Sankosha Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankosha Co Ltd filed Critical Sankosha Co Ltd
Priority to JP29892594A priority Critical patent/JP2900227B2/ja
Publication of JPH08133081A publication Critical patent/JPH08133081A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2900227B2 publication Critical patent/JP2900227B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両のブレーキ装
置に適用する車両の制輪子隙間自動調整装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両のブレーキ装置は、電車等に使
用される回生ブレーキのような電気的なものおよび新型
車両に用いられるディスクブレーキを除けば、すべて制
輪子で車輪の前後を挟み付け、車輪と制輪子との間に生
ずる摩擦エネルギを熱エネルギに変換して空気中に放散
することにより制動力を得る構造になっている。図6は
車輪とブレーキ装置との関係を示す正面図であり、図7
は制動力の伝達機構を示した斜視図である。
【0003】図6において1は車輪であり、車軸2の部
分で図示しない軸受を介して台車3に回転自在に支持さ
れているものである。4はレールである。車軸2には車
輪1が両端に取付けられており、これが図示しない左側
にも対照的に設けられる。
【0004】図6および図7において5はブレーキシリ
ンダであり、台車3に取付けられているものである。こ
のブレーキシリンダ5は運転者が操作するブレーキ操作
装置を介して図示しない圧縮空気のタンクに接続されて
おり、運転者がブレーキ操作をすると圧縮空気を受け
て、ブレーキダイヤフラム6の部分から出たロッド7を
突出させるようになっている。
【0005】ロッド7の先端には二又のブラケット8が
取付けられており、このブラケット8には軸9を介して
水平てこ10の一端が取付けられている。水平てこ10
は中央に設けられた孔11に挿通される図示しない軸を
中心にして回動するもので、他端には軸12によってリ
ンク13の一端が軸着されている。このリンク13は両
端が相互に交差する方向の二又になっており、結合され
る軸着方向が変わるようになっている。
【0006】リンク13の他端には、軸14により、ブ
レーキてこ15の上端が軸着されている。ブレーキてこ
15の中間部分には軸16により制輪子17の基部と制
輪子つり18が軸着されている。制輪子17と後述する
もうひとつの制輪子19との間には、所定の隙間を有し
て車輪1が位置する。
【0007】ブレーキてこ15の中間部分にはつなぎ梁
20の一端が、下端部分にはブレーキ梁21の一端が、
それぞれ回動自在に結合している。これらつなぎ梁20
とブレーキ梁21の他端は他側の車輪に対するブレーキ
機構に延びている。ブレーキてこ15の下端には、ブラ
ケット22を介してブレーキ棒23の基端部分が結合し
ている。
【0008】制輪子つり18の軸16より下方部分は延
長され、L字形の駆動てこ24に形成されている。この
駆動てこ24は、軸25によって連結板26の一端に結
合している。連結板26の他端は、軸27により隙間調
整機構28の軸29に結合している。これにより、後述
するようにブレーキの作動時に、軸29は隙間調整機構
28の内部に入り込むことになる。なお、制輪子つり1
8の上端は孔30に挿通される図示しない軸によって台
車3に軸着される。
【0009】ブレーキ棒23は、後述するように外筒3
1に棒32が挿入され、棒32の進退によって全長が変
わるものである。この棒32の先端はブレーキ梁33の
片側の側板34に軸35で軸着されており、他側の側板
36に軸37で下端が軸着されたブレーキてこ38に連
係するようになっている。
【0010】ブレーキ梁33には上端の孔39に挿通さ
れる軸によって台車3に軸着されるブレーキ梁つり40
の下端が結合している。ブレーキてこ38は上端に設け
られた孔41に挿通される軸によって台車3に軸着され
る。ブレーキてこ38の中間部分には、軸42によって
前述の制輪子19の基部が軸着されている。
【0011】このような構成からなるブレーキ装置にお
いて車輪1が回転している走行中に、運転者が車両を停
止させようとしてブレーキ操作装置を操作すると、ブレ
ーキシリンダ5はロッド7を図の右方へ押し出すから水
平てこ10は孔11に挿通される軸を中心にして回動
し、リンク13を図における左方に引く。するとこの動
きはブレーキてこ15に伝えられ、制輪子17を車輪1
側に移動させ、車輪1に圧接させる。制輪子17が車輪
1に圧接すると、ブレーキてこ15は軸16を中心にし
て反時計方向に回動し、ブレーキ棒23を右方に引くこ
とになる。
【0012】ブレーキ棒23が右方に引かれるとブレー
キてこ38は孔41に挿通される軸を中心にして反時計
方向に回動し、制輪子19を車輪1側に移動させ車輪1
に圧接させる。これにより車輪1には制動力が発生す
る。制動力を解除するときにはブレーキシリンダ5をロ
ッド7が引込む方向に作用させれば、上記作用とは逆に
作用して制輪子17,19を車輪1から引き離す。
【0013】鉄道車両は走行を開始すると目的地までの
距離が長く、またその途中においてブレーキ操作を頻繁
に行うことから、摩擦力を発生する車輪1と制輪子1
7,19の摩耗は避けられない。車輪1が摩耗すると外
径寸法が縮小するので安全上好ましくないことから、材
質を選定し、制輪子17,19の方が摩耗するように設
計する。ところでこのようにして制輪子17,19が摩
耗すると、制輪子17,19と車輪1との隙間(距離)
が大きくなるので、ブレーキシリンダ5からの一連の動
き量が増加、伸長しないと制輪子17,19が車輪1に
接しないことになり、十分な制動力が得られないことに
なる。
【0014】これを調整するには、ブレーキ棒23を制
輪子17,19の摩耗に係らしめて短縮させ、制輪子1
7,19と車輪1との隙間を一定範囲に保持させればよ
い。すなわち、ブレーキ棒23を短縮させて制輪子1
7,19を摩耗分だけ追い込むのである。この点に着目
し、発明したものが本出願人によって既に特許出願され
ている(特公昭53−34367号公報参照)。
【0015】この公報に記載されたものは、ブレーキシ
リンダ5によって制輪子17,19が動くとき、制輪子
17,19の摩耗によってブレーキ棒23の動き量が大
きくなって所定値を超えると、別途設けられた主動クラ
ッチと従動クラッチの噛合が1歯分だけ進み、これによ
って、限界まではブレーキ棒23の長さを短縮していく
構造のものである。
【0016】上記特許の技術により、ブレーキがかけら
れるつど制輪子17,19の摩耗が検出され、摩耗した
ときには自動的に隙間調整が行われることになった。こ
れにより、制輪子17,19の摩耗が限界に達するまで
は、いわゆるメンテナンスフリーとなり、従来、隙間調
整に要した保守時間が不要となった。
【0017】この種の技術はさらに改良が進められ、作
動の安定性を向上するものとして実公昭58−9811
号公報に記載されたものが考案され、さらに調節機構を
設けるスペースに制約がある電気機関車用のものとし
て、実公平4−2131号公報に記載されたものが開発
された。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に記載され
た技術は基本的な部分は同一であり、いずれも機能的に
問題があるわけではないが、作用ねじと従動クラッチと
が常時噛合するように付勢される構造であったため、制
輪子が車輪に圧接した後にも加えられるブレーキシリン
ダからの力が隙間調整機構にも加えられて損失となり、
制輪子を車輪に圧接するブレーキ本来の力を減少させる
ことになる問題があった。
【0019】本発明はこの点に鑑みてなされたものであ
り、作用ねじと従動クラッチとは常時噛合しないような
構造にして上記損失を無くすと共に、応答性に優れ、寒
冷地での使用にも耐え、加えて制輪子の交換時等、手作
業で行う調整にも適した鉄道車両の制輪子隙間自動調整
装置を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、車輪を台車に
回転自在に支持し、該台車に取付けたブレーキシリンダ
から進退するロッドの動きをてこを介して車輪の一部に
対向する制輪子に伝達すると共に、該伝達の動きを、ね
じ結合した外筒と棒とにより形成したブレーキ棒を介し
て車輪の他側の制輪子に伝達するようにし、該ブレーキ
棒を制輪子の摩耗に係らしめて短縮させることにより、
制輪子と車輪との隙間を一定範囲に保持するようにした
鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置において、前記ブレ
ーキ棒の外筒に設けた従動歯車を隙間調整機構の主動歯
車により回転させて短縮させる機構中に、相互に噛合す
る歯を刻設した作用ねじおよび従動クラッチを設け、該
従動クラッチを前記ブレーキ棒の外筒に連動して回動す
る軸に刻設した、粗いリードの雄ねじであって、該雄ね
じが前記ブレーキ棒を短縮させる方向に回動したときに
従動クラッチが作用ねじから離れる方向のねじ方向にし
た雄ねじに螺合すると共に、該雄ねじの端部に嵌着した
止め輪により該止め輪に当接した後の移動を規制し、該
従動クラッチと前記ブレーキ棒の外筒を回転させるため
の主動歯車との間に介装した釣合いばねで、該従動クラ
ッチを作用ねじ側に付勢し、前記作用ねじは従動クラッ
チが螺合した雄ねじとはねじの刻設方向が逆で、粗いリ
ードの雄ねじに螺合させると共に、その外周に容易には
回動しないように摩擦材からなる輪を嵌着し、これら従
動クラッチと作用ねじとの間に両者を離す方向に付勢す
る戻しばねを介装したことを特徴とする鉄道車両の制輪
子隙間自動調整装置である。
【0021】
【作用】このような構成としたことにより、鉄道車両の
制動作用にともない隙間調整機構の作用ねじに従動クラ
ッチ側に向けた力が作用したとき、従動クラッチと作用
ねじとの間に介装された両者を離す方向に付勢する戻し
ばねは圧縮されて作用ねじが従動クラッチ側に移動す
る。このとき、作用ねじの外周に嵌着された摩擦材から
なる輪とハウジングとの間の摩擦により、作用ねじは回
動せずに進行する。
【0022】
【0023】作用ねじの歯と従動クラッチの歯が斜面の
部分で当接した状態での作用ねじの移動量が小さいとき
には、作用ねじの移動は歯どおしの滑動で吸収され、従
動クラッチを回動させることはない。次に制動作用の終
了によって、ブレーキシリンダが作動前の状態に戻る
と、作用ねじの歯は従動クラッチの歯に対して先程とは
反対の方向に滑動し、歯どおしの当接が離れたら、作用
ねじは回動をせずにその姿勢で元の位置に復帰する。こ
のように作用するときには従動クラッチは回動しないの
で、ブレーキ棒の長さに変化はなく、したがって隙間調
節は行われないことになる。
【0024】制輪子が摩耗することにより、作用ねじの
移動量が歯の滑動範囲を越えた場合には、両方の歯は滑
動ののち噛合するので、従動クラッチは作用ねじ側から
力が与えられて回動する。従動クラッチが回動するとき
には、釣合いばねを介して主動歯車が一体的に回動す
る。
【0025】主動歯車が回動すると、これに噛合した従
動歯車も回動し、ブレーキ棒の外筒を回動させてこれに
螺合した棒を引き込み、その全長を短縮させる。ブレー
キ棒が短縮しても、制輪子に摩耗が生じていないときに
は、制動力を緩めたときにブレーキ棒は元の長さに復帰
して、制輪子と車輪との間隔に変化を与えることはな
い。制輪子が摩耗すればブレーキ棒の短縮量は大きくな
るので、作用ねじと従動クラッチの歯の噛合は摩耗量に
応じた分だけ進むことになる。ブレーキ棒の短縮量が大
きくなると、制動力を緩めたときの作用ねじの戻りスト
ロークではブレーキ棒は元の長さに復帰できないことに
なる。
【0026】ブレーキ棒が元の長さに復帰できない状態
で次に制動作用が行われると、ブレーキ棒の短縮はその
長さから行われるので、最初から見ればさらに短縮する
ことになる。この状態で制動力が解除されてブレーキ棒
の長さが伸長する側に戻るときには、ブレーキ棒は作用
ねじと従動クラッチの歯の噛合の進んだ分に対応する長
さを差し引いたところまで戻る。よって車輪と制輪子と
の間隔は短縮され、隙間調節が行われることになる。
【0027】制輪子交換時等においてブレーキ棒の長さ
を手動で調整するときには、戻しばねにより作用ねじと
従動クラッチとが常時引き離す方向に付勢されているこ
とにより、ブレーキ棒の外筒を回したとき従動クラッチ
までは回動させることになるが、この従動クラッチとは
常時離れる方向に付勢されている作用ねじを回動させる
ことはない。
【0028】作用ねじは制動作用時に押し込まれる軸に
刻設された雄ねじに螺合しており、一方の従動クラッチ
はその軸が嵌入する主動歯車の筒部に刻設された雄ねじ
に螺合している。そしてこれら二つの雄ねじは相互に逆
方向に刻設された粗いリードの雄ねじであることから、
制輪子の摩耗が少なくブレーキ棒が短縮しないときに、
ブレーキ棒とともにブレーキシリンダからの力を受け
る、作用ねじを螺合した軸は、輪によって回動が抑制さ
れた作用ねじとともに従動クラッチ側に移動する。この
移動量は、従動クラッチと作用ねじの間に介装された戻
しばねが最終的に圧縮される位置(コイルばねである戻
しばねが、隙間なく圧縮された位置)までであり、最終
圧縮位置に達すると、圧縮不能状態となる戻しばねを介
して従動クラッチを押し付けることになる。従動クラッ
チがこの方向の力を受けると、噛合している雄ねじのリ
ードにしたがって回動しながら後退し、作用ねじから
れることになる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図3に
基いて説明する。図1はブレーキ棒23と隙間調整機構
28の結合部分を示す断面図であり、図2はその要部を
拡大した断面図、図3は図1を下方から見た半断面図、
図4は隙間調整機構28の要部を分解状態で示した斜視
図である。図1および図2において43はハウジングで
あってブレーキ棒23と隙間調整機構28の一部を覆っ
ているものである。
【0030】ブレーキ棒23は前述のように先端内周に
雌ねじを刻設した外筒31と、この外筒31に嵌挿さ
れ、外周の雄ねじを雌ねじに螺合させた棒32から概略
構成されている。この構造により、外筒31の回転方向
に応じて棒32は外筒31から突出し、あるいは引っ込
んで、ブレーキ棒23としての全長が延び、あるいは短
縮することになる。
【0031】外筒31には、キー44を介して従動歯車
45が取付けられている。そしてこの従動歯車45に
は、隙間調整機構28側の主動歯車46が噛合してい
る。主動歯車46の内周部は図における左右両方に延
び、それぞれ筒部47,48を形成している。左方に伸
びた筒部47には円錐クラッチ49が軸方向にのみ移動
可能に取付けられている。
【0032】この円錐クラッチ49は、回動しようとし
たときハウジング43の内壁のテーパ状に形成された部
分との間に発生する摩擦力により、筒部47を介して主
動歯車46の回動に規制を加え、車両走行中の振動で隙
間調整機構27が誤作動するのを防止するものである。
このため、円錐クラッチ49と主動歯車46との間には
クラッチばね50が圧縮状態で介装され、円錐クラッチ
49をハウジング43側に押圧するようになっている。
【0033】主動歯車46の内周部から右方に伸びて形
成された筒部48の外周には、ねじの自立条件が成立し
ない粗いリードの雄ねじ51が刻設されており、この雄
ねじ51に環状の従動クラッチ52が螺合している。な
お、「ねじの自立条件が成立しない粗いリードの雄ね
じ」とは、雄ねじの直進動に対して、これに螺合した従
動クラッチ52が容易に回転し得るねじをいう。この実
施例においては、雄ねじ51は左ねじになっている。
【0034】主動歯車46と従動クラッチ52との間に
は、釣合いばね53が圧縮状態で介装されている。この
釣合いばね53は、クラッチばね50に対して4:5程
度の比で強いものである。図2および図4に示されるよ
うに、雄ねじ51の先端外周部分には溝54が形成され
ており、この溝54には止め輪55が嵌着されている。
この止め輪55により、従動クラッチ52の図における
右方への移動量は規制される。
【0035】隙間調整機構28の軸29の図における左
方部分は縮径されており、この縮径部56の一部には、
雄ねじ51と同様の粗いリードの雄ねじ57が刻設され
ており、この雄ねじ57に作用ねじ58が螺合してい
る。なお、この雄ねじ57は先の雄ねじ51とは逆の方
向すなわち右ねじとなっている。
【0036】作用ねじ58の外周には溝59が形成され
ており、この溝59には摩擦材からなる輪60が嵌着さ
れている。この輪60は、ハウジング43の内壁に圧接
しており、軸29によって左方向きの力が与えられたと
き、ハウジング43の内壁との摩擦によって、作用ねじ
58が容易には回動せずに移動するようにするためのも
のである。
【0037】図2から明らかなように、縮径部56は雄
ねじ57より左方に延びており、その部分に、外径寸法
を雄ねじ51の最大径部分と等しいか僅かに大きくした
スリーブ61が嵌着され、先端部においてボルト62
(図2参照)により固着されている。このスリーブ61
と雄ねじ51は、主動歯車46およびその両側に延びた
筒部47,48の内部に移動自在に嵌入している。
【0038】従動クラッチ52と作用ねじ58の対向す
る面には、噛合したとき一方向への回動は強固に伝わ
り、これと反対方向の回動は滑り可能にした形状の歯6
3,64が設けられている。具体的には歯の片側が切り
立っており、他側が傾斜を持った歯である。この歯によ
り、力が切り立った側が接する方向に伝われば回動が強
固に伝わり、傾斜側から伝わったときには、滑りを生じ
て回動が伝わらないことになる。
【0039】従動クラッチ52と作用ねじ58の間に
は、戻しばね65が介装されている。この戻しばね65
は、単に従動クラッチ52と作用ねじ58とを離れる方
向に付勢すればよいので、釣合いばね53やクラッチば
ね50に対してはるかに弱いものである。
【0040】図5は、以上説明した構造部分をブレーキ
梁21に取付ける構造を示している。これを説明する
と、ブレーキ梁21の先端には切欠き66が設けられて
おり、この切欠き66の部分がハウジング43の内部に
入って、ブレーキ棒23の外筒31を跨ぐようになって
いる。ブレーキ梁21には上下に孔67が設けられ、ハ
ウジング43に設けられたねじ孔68に対向していう。
これにより、ブレーキ梁21の先端をハウジング43内
に挿入し、ワッシャ69、プレート70を当て、ボルト
71で締め付けてハウジング43とブレーキ梁21とを
結合することができる。
【0041】作動を説明する。運転者によって制動の操
作が行われ、ブレーキシリンダ5がブレーキてこ15
(図7参照)に、制輪子17が車輪1に圧接する方向の
力を与えると、その力の一部は軸16から駆動てこ24
にも伝達し、連結板26を図における左方に移動させ、
軸29を隙間調整機構28の内部に押し込む。
【0042】軸29にこのような力が作用すると、その
一部に刻設された雄ねじ57に螺合した作用ねじ58に
も、これを同方向に移動させようとする力が作用する。
図2および図4に明確に示したように、作用ねじ58の
外周には摩擦材からなる輪60が嵌着されているから、
この輪60とハウジング43の内壁との摩擦によって、
作用ねじ58は回動せずに軸29とともに図における左
方に移動する。
【0043】作用ねじ58が従動クラッチ52に向けて
進行し、その歯64が従動クラッチ52の歯63に当接
すると、両方の歯64,63が斜面で当接したときには
滑動が生ずるので、作用ねじ58の進行力は輪60とハ
ウジング43の内壁との間の摩擦力に打ち勝って作用ね
じ58を回動させる力に変化する。両方の歯64,63
の頂部どおしが当接したときには、作用ねじ58が従動
クラッチ52を僅かに押圧したのち、斜面の部分で当接
する。
【0044】両方の歯64,63が斜面の部分で当接し
た状態での作用ねじ58の移動量が小さいときには、作
用ねじ58の移動は歯どおしの滑動で吸収され、従動ク
ラッチ52を回動させることはない。次に制動作用の終
了によって、ブレーキシリンダ5が作動前の状態に戻る
と、作用ねじ58の歯64は従動クラッチ52の歯63
に対して先程とは反対の方向に滑動し、歯どうしの当接
が離れたら、作用ねじ58は回動せずにその姿勢で元の
位置に復帰する。このように作用するときには従動クラ
ッチ52は回動しないので、ブレーキ棒23の長さに変
化はなく、したがって隙間調節は行われない。
【0045】制輪子17,19が摩耗することにより、
作用ねじ58の移動量が歯の滑動範囲を越えた場合に
は、両方の歯64,63は滑動ののち噛合するので、従
動クラッチ52は作用ねじ58側から力が与えられて回
動する。従動クラッチ52が回動するときには、釣合い
ばね53を介して主動歯車46が一体的に回動する。
【0046】主動歯車46が回動すると、これに噛合し
た従動歯車45も回動し、ブレーキ棒23の外筒31を
回動させてこれに螺合した棒32を引き込み、その全長
を短縮させる。ブレーキ棒32が短縮しても、制輪子1
7,19に摩耗が生じていないときには、制動力を緩め
たときにブレーキ棒32は元の長さに復帰して、制輪子
17,19と車輪1との間隔に変化を与えることはな
い。制輪子17,19が摩耗すればブレーキ棒32の短
縮量は大きくなるので、作用ねじ58と従動クラッチ5
2の歯64,63の噛合は摩耗量に応じた分だけ進むこ
とになる。ブレーキ棒32の短縮量が大きくなると、制
動力を緩めたときの作用ねじ58の戻りストロークでは
ブレーキ棒32は元の長さに復帰できないことになる。
【0047】ブレーキ棒32が元の長さに復帰できない
状態で次に制動作用が行われると、ブレーキ棒32の短
縮はその長さから行われるので、最初から見ればさらに
短縮することになる。この状態で制動力が解除されてブ
レーキ棒32の長さが伸長する側に戻るときには、ブレ
ーキ棒32は作用ねじ58と従動クラッチ52の歯6
4,63の噛合の進んだ分に対応する長さを差し引いた
ところまで戻る。よって車輪1と制輪子17,19との
間隔は短縮され、隙間調節が行われることになる。
【0048】作用ねじ58は制動作用時に押し込まれる
軸29に刻設された雄ねじ57に螺合しており、一方の
従動クラッチ52はその軸29が嵌入する主動歯車46
の筒部48に刻設された雄ねじ51に螺合している。そ
してこれら二つの雄ねじ57,51は相互に逆方向に刻
設されたねじであることから、何らかの原因で軸28に
非常に大きな力が衝撃的に加わり、これによって作用ね
じ58が急激に大きな力で従動クラッチ52に当接した
とき、軸方向への移動はするが回動はしない作用ねじ5
8に対し、従動クラッチ52は螺合している雄ねじ51
によって回動しながら後退し、作用ねじ58と離れるこ
とになる。これによって軸29側の力が従動クラッチ5
2側に伝達されないため、制動力が正常な状態でブレー
キ棒23に伝わることで、制動力の損失が発生しないこ
とになる。また歯63,64を損壊するようなことがな
い。
【0049】以上は、車両の制輪子17,19が摩耗し
たとき、制輪子17,19と車輪1との隙間を自動的に
調整する作用であったが、この調整は作業者が手作業で
行う場合もある。すなわち、制輪子17,19の摩耗が
限界に達して新品に交換するときに行う初期設定ではブ
レーキ棒23を操作してその全長寸法を一定にする。こ
のための操作は、ブレーキ棒23の外筒31を工具で回
すことにより棒32を進退させる。
【0050】このように手動調整を行うとき、外筒31
の動きは従動歯車45から主動歯車46に伝わり、これ
が従動クラッチ52に伝達される。従来の装置では、従
動クラッチの歯と作用ねじの歯とは常時噛合するように
ばね付勢されていたので、上記のように手動調整のとき
にその前後の部材をすべて一緒に回動させることにな
り、大きな力を必要としたが、本発明のものでは従動ク
ラッチ52と作用ねじ58とを離す方向に戻しばね65
で付勢しているので、回動は従動クラッチ52までとな
り、無駄な力を使わなくて済むことになる。
【0051】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成したこ
とにより、隙間調整機構が作動してブレーキ棒を短縮す
るとき、作用ねじ側からの動きが従動クラッチから主動
歯車、従動歯車に伝えられ、この従動歯車がブレーキ棒
を短縮する方向に回動するので、電車等の作動が速いブ
レーキにおいても作動遅れを生ずることがない。また、
作用ねじと従動クラッチが相互に逆方向に刻設された粗
いリードの雄ねじに螺合していることから、制輪子が車
輪に圧接した後にもブレーキシリンダからの力が作用し
たとき、前述のように従動クラッチが作用ねじから離れ
ることになる。これによりブレーキシリンダが発生する
力が隙間調整機構で費やされることがなく、すべて車輪
の制動に向けられるので、従来は存在した損失を無くす
ことができる。加えて制輪子の交換時等、手作業で行う
調整にも適した鉄道車両の制輪子自動隙間調整装置を得
ることができる。さらに、制動機構に氷雪が付着してブ
レーキ棒の外筒が動きにくい状態になったときにはブレ
ーキ作用が行われないことになるが、ブレーキシリンダ
からの力を受けている隙間調整機構側の軸が作用ねじを
介して従動クラッチを押し、これが雄ねじとともに主動
歯車を回動させることになるから、このようなときでも
ブレーキ機構を作動させることができる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部を示す断面図である。
【図2】図1の中央部分を拡大して示した断面図であ
る。
【図3】図1のうちの隙間調整機構を図1の下方から見
た半断面図である。
【図4】図1のうちの隙間調整機構の内部構造を分解状
態で示す斜視図である。
【図5】図1の外郭部分をブレーキばりに取付ける構造
を示した斜視図である。
【図6】車両の車輪と制動装置部分を示す正面図であ
る。
【図7】制動装置を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 車輪 2 車軸 3 台車 5 ブレーキシリンダ 7 ロッド 17 制輪子 19 制輪子 23 ブレーキ棒 28 隙間調整機構 31 外筒 32 棒 43 ハウジング 45 従動歯車 46 主動歯車 47 筒部 48 筒部 50 クラッチばね 51 雄ねじ 52 従動クラッチ 53 釣合いばね 55 止め輪 57 雄ねじ 58 作用ねじ 59 溝 60 輪 63 歯 64 歯 65 戻しばね

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪を台車に回転自在に支持し、該台車
    に取付けたブレーキシリンダから進退するロッドの動き
    をてこを介して車輪の一部に対向する制輪子に伝達する
    と共に、該伝達の動きを、ねじ結合した外筒と棒とによ
    り形成したブレーキ棒を介して車輪の他側の制輪子に伝
    達するようにし、該ブレーキ棒を制輪子の摩耗に係らし
    めて短縮させることにより、制輪子と車輪との隙間を一
    定範囲に保持するようにした鉄道車両の制輪子隙間自動
    調整装置において、前記ブレーキ棒の外筒に設けた従動
    歯車を隙間調整機構の主動歯車により回転させて短縮さ
    せる機構中に、相互に噛合する歯を刻設した作用ねじお
    よび従動クラッチを設け、該従動クラッチを前記ブレー
    キ棒の外筒に連動して回動する軸に刻設した、粗いリー
    ドの雄ねじであって、該雄ねじが前記ブレーキ棒を短縮
    させる方向に回動したときに従動クラッチが作用ねじか
    ら離れる方向のねじ方向にした雄ねじに螺合すると共
    に、該雄ねじの端部に嵌着した止め輪により該止め輪に
    当接した後の移動を規制し、該従動クラッチと前記ブレ
    ーキ棒の外筒を回転させるための主動歯車との間に介装
    した釣合いばねで、該従動クラッチを作用ねじ側に付勢
    し、前記作用ねじは従動クラッチが螺合した雄ねじとは
    ねじの刻設方向が逆で、粗いリードの雄ねじに螺合させ
    ると共に、その外周に容易には回動しないように摩擦材
    からなる輪を嵌着し、これら従動クラッチと作用ねじと
    の間に両者を離す方向に付勢する戻しばねを介装したこ
    とを特徴とする鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置。
JP29892594A 1994-11-08 1994-11-08 鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置 Expired - Lifetime JP2900227B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29892594A JP2900227B2 (ja) 1994-11-08 1994-11-08 鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29892594A JP2900227B2 (ja) 1994-11-08 1994-11-08 鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08133081A JPH08133081A (ja) 1996-05-28
JP2900227B2 true JP2900227B2 (ja) 1999-06-02

Family

ID=17865967

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29892594A Expired - Lifetime JP2900227B2 (ja) 1994-11-08 1994-11-08 鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2900227B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104455116B (zh) * 2014-11-26 2018-07-06 南京中车浦镇海泰制动设备有限公司 制动器的十字轴平衡机构

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08133081A (ja) 1996-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4711562B2 (ja) 電動式ブレーキ機構を備えたブレーキ装置
US4380276A (en) Slack adjuster for vehicle brakes
EP0030766B1 (en) A brake lever for an s-cam automotive drum brake
US5310026A (en) Electric drum brake
US4478319A (en) Spring-applied brake unit for railway vehicle with manual release arrangement
JP6438327B2 (ja) ブレーキ装置
US3759352A (en) Cycle brake having brake adjusting mechanism
JP4414766B2 (ja) 電動操作可能な摩耗補償調整装置を備えたブレーキ締め付け装置
US4014411A (en) Mechanically actuated disc brake with self adjusting feature
JPS61175330A (ja) レール車両用デイスクブレーキのためのブレーキリンク機構
JP2565304B2 (ja) すきま調整器
JPS6022214B2 (ja) 乗物ブレーキ用自動的弛み調節品
US4006801A (en) Automatic slack adjusters for vehicles
JP2900227B2 (ja) 鉄道車両の制輪子隙間自動調整装置
EP0125487B1 (en) Slack adjuster for a disc brake
JP2900243B2 (ja) 車両の制輪子隙間自動調整装置
JPH081229B2 (ja) ブレーキリギング作動装置
US3589480A (en) Railway disc brake
TWI757089B (zh) 連動煞車系統
JPH0238807B2 (ja)
JPH0245106Y2 (ja)
EP0067287B1 (en) Automatic brake adjusting mechanism
US3593827A (en) Railway vehicle brake rigging and adjusting means
KR950006982Y1 (ko) 자동차 클러치 페달의 자동 유격 조정장치
CN113915264B (zh) 一种制动装置及车辆