JP2897781B2 - 血液中の白血球およびヘモグロビンの測定用試薬 - Google Patents

血液中の白血球およびヘモグロビンの測定用試薬

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、血液試料中の白血球およびヘモグロビンを
測定する為の試薬に関するものである。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
血液試料中の白血球数およびヘモグロビンを測定する
ことは、白血病や貧血症等の臨床診断にとって極めて重
要である。
まず、白血球数の測定は、顕微鏡観察による視算法が
基本の方法となっている。しかし、視算法ではTurk液等
で赤血球を溶血させ白血球を染色した後、計算板上の白
血球を顕微鏡で一個一個確認しながら数えるため、非常
に手間と時間が必要である。
ところで、血液試料中の白血球数の測定においては、
自動血液分析装置による方法も広く行われている。通
常、自動血液分析装置による白血球数の測定(計数)
は、まず血液試料に界面活性剤等を含む赤血球溶解剤を
添加することにより、選択的に血液試料中の赤血球を溶
解させ、主として白血球のみが残った白血球測定用試料
を作製し、次に白血球測定用試料を、自動血液分析装置
内の検出部に設けられた細い通路または細孔を通過さ
せ、このとき、一個一個の白血球に対応して検出部で発
生される電気的または光学的信号を検出することにより
なされる。
さらに、近年では、赤血球溶解剤を改良することによ
り、白血球の変形を極力少なくし、得られる信号強度の
差によって白血球を顆粒球、単球、リンパ球などのクラ
スに分類し、カウントする装置も実現されている。この
自動血液分析装置を用いれば、上記の視算法よりも遥か
に簡便に白血球を分類・計数することができる。
一方、ヘモグロビンの測定は、通常シアンメトヘモグ
ロビン法を用いておこなわれる。シアンメトヘモグロビ
ン法は血液試料にノニオン性界面活性剤等を含む赤血球
溶解剤を添加し、赤血球中に含まれるヘモグロビンを溶
出し、次に溶出したヘモグロビンをフエリシアン化カリ
ウムなどの酸化剤の作用によって酸化し、メトヘモグロ
ビンとする、最後にシアンイオンを添加することによっ
てメトヘモグロビンをシアンメトヘモグロビン(HiCN)
とすることによって安定なヘモグロビン測定用試料を作
製する。作製されたヘモグロビン測定用試料の特定波長
の吸光度を測定する方法によってヘモグロビン濃度を測
定する。この方法は国際標準法として認められている。
この方法で作製した試料は非常に安定な物質であるが、
酸化剤をもちいてヘモグロビンの酸化を行うため、酸化
が終了するまでに、十数分を必要とする。このため、自
動血液分析装置においては、赤血球溶血剤の組成を改良
することにより酸化に必要な時間を短縮し、数十秒で反
応を終了させ、ヘモグロビン測定を可能にしている。さ
らに、同時に白血球の測定も可能である。ところが、シ
アンメトヘモグロビン法では毒物であるシアンを用いて
いるため、試薬の取扱に危険が伴い、さらに、測定後の
廃液は、次亜塩素酸ナトリウムなどを用いてシアンを分
解した後に廃棄する必要があり、廃液処理に煩わしさが
ある。
そのため、赤血球をノニオン性界面活性剤のみで溶解
し、ヘモグロビンをメトヘモグロビンに酸化することな
くオキシヘモグロビン(HbO2)に転化させ、特定波長の
吸光度を測定する方法(オキシヘモグロビン法)も行わ
れるようになってきている。オキシヘモグロビン法で
は、シアンを使用しないため、試薬の取扱に危険もな
く、廃液処理に煩わしさもない。
しかし、オキシヘモグロビン法においては、メトヘモ
グロビン含量の高い血液試料は正しく測定できないとい
う問題を有する。これは、メトヘモグロビンがオキシヘ
モグロビンに転化しないためである。
例として表1に血液試料の、メトヘモグロビン含量を
変化させた場合のオキシヘモグロビン法と本発明の実施
例1との測定結果の比較データを示す。オキシヘモグロ
ビン法ではメトヘモグロビン含量が増加するにしたがっ
てヘモグロビン値が低下する。
この問題を解決する方法として、大城らによって、中
性緩衝液(pH7.2)中にドデシル硫酸ナトリウムまた
は、等量でラウリル硫酸ナトリウム(SLS)(アニオン
性界面活性剤)およびトリトンX−100(ノニオン性界
面活性剤)を含有してなるヘモグロビン測定用試薬が、
クリニカル・バイオケミストリー(Clin.Biochem.)15
巻83(1982)に教示されている。この方法では赤血球を
SLS並びにトリトンX−100の働きで溶解し、溶出したヘ
モグロビンをSLSの働きでメトヘモグロビンとすると同
時にSLSヘモグロビンに転化する。この方法では、メト
ヘモグロビンの影響を受けることなく、血液中のヘモグ
ロビン濃度を測定でき、しかも、シアンを含まないので
廃液処理の煩わしさもない。しかし、この方法では、ヘ
モグロビン測定と同時に白血球を測定することができな
い。また、日本国特許公開公報昭61−148369「シアニド
を含まないヘモグロビン試薬」において、イオン性界面
活性剤を使ってヘモグロビンを測定する試薬が公開され
ているが、この試薬でもヘモグロビン測定と同時に白血
球を測定することができない。
以上のように、従来の技術では、シアンを含まない試
薬で、ヘモグロビン測定と同時に白血球を測定するこ
と、さらに、メトヘモグロビン含量の高い血液試料のヘ
モグロビンを正しく測定することはできなかった。
本発明者はこれらの問題を解決するための試薬を特願
平1−275280として先に出願している。これは赤血球溶
解剤として使用するカチオン性界面活性剤、ノニオン性
界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは酸化剤の種類、
濃度を厳密に規定することにより、ほとんど瞬時にヘモ
グロビンの溶出、メト化を行いヘモグロビン測定を可能
とし、さらに同時に白血球の測定をも可能とする試薬で
ある。しかし、この試薬では、メトヘモグロビンを安定
化する成分を含まないために、表2の比較例4に示すよ
うに測定試料作製後ヘモグロビン値が経時的に僅かに変
化するという問題がある。
これは、全自動タイプの試料調製並びに測定を自動的
に行う装置では試料調製後測定までの時間が短く、且つ
厳密に規定されるため問題とはならず先の発明の効果を
否定するものではない。
一方、現在市場では、測定装置のコストを下げるため
に、試料作製を人が行い測定のみ装置が行う、半自動タ
イプの装置も使用されている。
半自動タイプの装置では試料作製後、測定までの時間
が不規則であり、通常試料作製から測定まで数分〜数十
分のバラツキがある。
これらの装置に使用するためには、試料作製直後より
少なくとも数十分の間ヘモグロビン値を安定化する必要
がある。
以上のように、従来の技術では、シアンを含まない試
薬で、ヘモグロビンと同時に白血球を測定し、さらに、
メトヘモグロビン含量の高い血液試料のヘモグロビンを
正しく測定し、且つ長時間安定なヘモグロビン測定用試
料を得ることはできなかった。
〔課題を解決するための手段および作用〕
上述の上述技術における問題点を解決するために本発
明者は鋭意研究の結果、以下のような試薬を創製するに
至った。
すなわち、以下の条件を満たす、血液中の白血球の算
定及びヘモグロビン濃度を測定するための試薬であっ
て、シアンを含まずに、ヘモグロビンを長時間安定に保
つことを特徴とする試薬である。
i)血液中の赤血球を溶血し、ヘモグロビンを酸化させ
うる濃度の四級アンモニウム塩(構造a)あるいは、ピ
リジニウム塩(構造b)の組成物よりなる群の中から選
ばれたカチオン系界面活性剤の少なくとも1種類を含む
こと。
R1:C8〜C20アルキル基、アルケニル基、又はアルキニ
ル基、 R2〜R4:C1〜C8アルキル基、アルケニル基、又はアルキ
ニル基、 X-:陰イオン基、 n:7〜19の整数、 X-:陰イオン基、 ii)構造c〜eを有するカチオン、ノニオン、両性界面
活性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を
含むこと。
R1:C8〜C20アルキル基、アルケニル基、又はアルキニ
ル基、 R2〜R3:C1〜C8アルキル基、アルケニル基、又はアルキ
ニル基、 X-:陰イオン基、 構造d R1−R2−(CH2CH2O)n−H R1:C8〜C20アルキル基、アルケニル基、又はアルキニ
ル基、 R2:O、 又はCOO、 n:10〜50の整数 R1:C8〜C20アルキル基、 R2〜R3:C1〜C8アルキル基、アルケニル基、又はアルキ
ニル基、 iii)構造f)に示すヘモグロビン安定化剤よりなる群
の中から選ばれた少なくとも1種類を含み、その濃度が
f)に示す濃度であること。
f)イミダゾール及びその誘導体、濃度0.001〜20g/l R1、R2:−Hあるいは−C1〜C4の低級アルキル基、 R3:−Hあるいは−C1〜C4の低級アルキル基あるいはフ
エニル基、 iv)pHの範囲が3.0〜9.0の溶液であること。
v)前記第四級アンモニウム塩総濃度が、0.1〜15.0g/l
の範囲にあること。
vi)前記ピリジニウム塩総濃度が、0.1〜15.0g/lの範囲
にあること。
vii)前記ノニオン性界面活性剤総濃度が、0.1〜15.0g/
lの範囲にあること。
viii)前記両性界面活性剤総濃度が、0.1〜15.0g/lの範
囲にあること。
ix)前記カチオン性界面活性剤総濃度が、0.1〜15.0g/l
の範囲にあること。
上記試薬中の成分a)〜e)を適宜組み合わせること
により、白血球を例えばリンパ球;単球、好酸球、好塩
基球;好中球など2つあるいは3つに分画することもで
きる。
一般に、ヘモグロビンの測定は前述したように赤血球
中のヘモグロビンを適当な赤血球溶解剤の作用によって
溶出し、溶出したヘモグロビン中のヘム鉄を赤血球溶解
剤並びに溶液中の酸素の作用または、適当な酸化剤の作
用によって酸化し、生成したメトヘモグロビンにシアン
イオン等の従来のメトヘモグロビン安定化剤を作用させ
ることにより安定化し、安定化したヘモグロビン試料の
吸光度を測定することによって行われる。しかしなが
ら、この従来のメトヘモグロビン安定化剤の存在は、前
述した廃液処理問題の原因ともなっている。メトヘモグ
ロビン安定化剤を含まないメトヘモグロビンは前述した
シアンメトヘモグロビン、オキシヘモグロビンなどに比
べ経時的に不安定であり、且つ溶液のpHによって吸光度
が変化するなどの理由によってヘモグロビンの測定には
使用されていなかった。本発明者らは、先に、上述した
ようなメトヘモグロビン安定化剤を含まずに、メトヘモ
グロビンを安定化するために特願平1−275280の試薬を
創製した。この試薬ではます、主に4級アンモニウム塩
あるいは、ピリジニウム塩の作用によって血液試料中の
赤血球を選択的に溶解し、赤血球中のヘモグロビンを溶
出させる。溶出したヘモグロビンはほとんど瞬時に変性
(立体構造の変化)を生じ、試薬中に溶存している酸素
によりヘモグロビン中のヘム鉄は2価3価に酸化されメ
トヘモグロビンとなる。
単一種類のカチオン性界面活性剤を作用させた場合
は、上述の方法で作成したメトヘモグロビンと同様の問
題があるが、この試薬では、さらに、カチオン、ノニオ
ン、両性界面活性剤などを適当量添加することによって
ヘモグロビンの変性の程度を調整し、安定なメトヘモグ
ロビンを得ることができる。さらにpHの影響は後述する
ように緩衝剤を添加することによって解決される。メト
ヘモグロビンか安定化する作用機構は明確にはなってい
ないが恐らく、分子構造の異なる複数の界面活性剤をヘ
モグロビンに作用させることにより、メトヘモグロビン
への変性(立体構造の変化)の程度を一定の水準で固定
する作用があると考えられる。特願平1−275280の試薬
では白血球も破壊されることなく残るため白血球数の測
定も可能である。
本発明の試薬では、さらにメトヘモグロビンを安定に
するために前述のヘモグロビン安定化剤を添加してい
る。ヘモグロビン安定化剤の効果は、表2に示す。
本発明のヘモグロビン安定化剤の作用機構は明確にな
っていないが、恐らくヘモグロビン安定化剤の分子構造
中にある、窒素原子の孤立電子対がメトヘモグロビン中
のヘム鉄にキレート結合し、結果としてメトヘモグロビ
ンを安定化しているものと考える。
本試薬では、さらに厳密に界面活性剤濃度を規定する
ことにより、白血球を2つあるいは3つに分画すること
が可能である。
本発明の試薬の組成物を次に示す。
組成例1 濃度範囲 ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(四級アン
モニウム塩) 0.1〜15.0g ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(両性界面活性
剤) 0.1〜15.0g 4−フエニルイミダゾール 0.001〜2.0g リン酸緩衝剤 1/15〜1/60M 塩化ナトリウム 1.0〜10.0g 精製水 1 組成例2 濃度範囲 ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド(四級ア
ンモニウム塩) 0.1〜12.0g ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル(ノニオン
性界面活性剤) 0.1〜12.0g 4−フエニルイミダゾール 0.001〜2.0g リン酸緩衝剤 1/15〜1/60M 塩化ナトリウム 1.0〜10.0g 精製水 1 組成例3 濃度範囲 ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(四級アン
モニウム塩) 0.3〜10.0g セチルトリメチルアンモニウムクロライド(四級アンモ
ニウム塩) 0.01〜2.0g 4−フエニルイミダゾール 0.001〜2.0g リン酸緩衝剤 1/15〜1/60M 塩化ナトリウム 1.0〜10.0g 精製水 1 組成例1〜3は、四級アンモニウム塩と両性界面活性
剤等の界面活性剤との作用で赤血球を溶血し溶出したヘ
モグロビンをメト化し安定化し、さらに4−フエニルイ
ミダゾールの作用によって長時間安定化させたものであ
る。
組成例1では四級アンモニウム塩と両性界面活性剤の
組み合わせで、白血球の測定を可能にしたものであり、
組成例2では四級アンモニウム塩とノニオン性界面活性
剤の組み合わせで、白血球を少なくとも2つの分画でき
るとうにしたものであり、組成例3では2種類の四級ア
ンモニウム塩を組み合わせることにより白血球を少なく
とも3つに分画できるようにしたものである。
特許請求の範囲で記載されている四級アンモニウム塩
の総濃度とは、組成例3の場合には、ラウリルトリメチ
ルアンモニウムクロライドの濃度とセチルトリメチルア
ンモニウムクロライドの濃度を加えた0.31〜12.0gの濃
度範囲のことを意味する。
組成例4 濃度範囲 ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド1.0〜10.0g ポチオキシエチレンノニルフエニルエーテル1.0〜10.0g イミダゾール 0.3〜20.0g リン酸緩衝剤 1/15〜1/60M 塩化ナトリウム 1.0〜10.0g 精製水 1 両性界面活性剤によってヘモグロビンをメト化し、安
定化させ、さらにヘモグロビン安定化剤の作用によって
長時間ヘモグロビンを安定化させたものである。
なお、四級アンモニウム塩並びに各界面活性剤の濃度
を調整することにより、白血球を2つ以上の集団に分画
することも可能である。組成例1〜4において、リン酸
緩衝剤は溶液のpHを3.0〜9.0の範囲内の任意のpHに調整
するためのものであり、その他のクエン酸、マレイン
酸、トリスなどの適当な緩衝剤であればいずれの緩衝剤
を用いてもよくリン酸に限定されるものではない。さら
に、好ましいpH範囲は5.0〜8.0である。pHが3.0以下に
なると、白血球へのダメージが大きくなり白血球測定が
困難となる。また、pHが9.0以上になるとヘモグロビン
の経時安定性が悪くなる。塩化ナトリウムは電気伝導度
を自動血液分析装置にて測定できるレベルに調整するた
めのものであり、水溶液中でイオンに解離するような無
機塩あるいは有機塩であればいずれでもよい。
特許請求の範囲に示されている各成分の濃度は、他の
希釈液等を必要とせず、試薬の中に血液を加えるだけで
測定できるような状態の時の濃度を示しているが、希釈
液と溶解試薬を一定の比率で混合してヘモグロビンや白
血球を測定するような従来からある装置に使用する場合
には、装置の混合比率にあわせて、各界面活性剤等の成
分濃度を変えることも可能である。その場合には、特許
請求の範囲に示されている各成分の濃度は、希釈液と溶
解試薬を混合した液における濃度を表す。
本発明によると、 i)ヘモグロビンと白血球の測定が1つの試料で可能で
あり、 ii)メトヘモグロビン含量の高い血液試料も測定でき、 iii)シアンを含まないので、廃液処理の煩わしさもな
く、 iv)ヘモグロビンが長時間安定な試薬が供給できる。
さらにこの試薬を自動血液分析装置に用いた場合、ヘ
モグロビン測定用試料作成部と白血球測定用試料作製部
を別々に持つ必要がなくなる為、装置が簡単でコストも
安くなる。
〔実施例〕
下記組成の試薬を調製し、表2に示すヘモグロビン安
定化剤を添加した場合の効果を示す。
濃度 ラウリルトリチルアンモニウムクロライド 1.25g ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1.00g マレイン酸緩衝液 1/50M (pH6.3) 塩化ナトリウム 適量 (電気伝導度を13付近に調製) 精製水 1 表2のヘモグロビン変化量並びに変化率は次式にて算出
した。
ヘモグロビン変化量= 試料作製後30分のヘモグロビン測定値 −試料作製後20秒のヘモグロビン測定値 ヘモグロビン変化率= (ヘモグロビン変化量/試料作製後20秒 のヘモグロビン測定値)×100 測定装置は全てF−800(東亜医用電子株式会社製)を
もちいた。
表2の比較例1はシアンメトヘモグロビン法(国際標
準法)を用いて測定した場合のものであり、ヘモグロビ
ンの酸化に時間がかかるために表2に示すようにヘモグ
ロビン値が試料作成後20秒から30分までの間に大きく変
化している。比較例2は、自動血液分析装置に用いられ
ている、自動化シアンメトヘモグロビン法であり、変化
量は十分小さい。
比較例3は上記の組成のうちラウリルジメチルアミノ
酢酸ベタインを除いて、単一の界面活性剤(ラウリルト
リメチルアンモニウムクロライド)でメトヘモグロビン
とした場合のヘモグロビン測定例を示す。メトヘモグロ
ビンが安定化されていないために、ヘモグロビン値は試
料作成後20秒から30分の間に大きく変化する。
比較例3の組成にさらに両性界面活性剤であるラウリ
ルジメチルアミノ酢酸ベタインを加えた比較例4(特願
平1−275280の組成物)では変化量は比較例3に比べ減
少する。
さらに本発明の試薬であるヘモグロビン安定化剤を添
加した組成(実施例1〜4)では、変化量は比較例4に
比べさらに減少している。
第1図に、従来法〔F−800(東亜医用電子株式会社
製)にて測定〕による白血球数測定結果と実施例1の試
薬による白血球数測定結果との相関図を示す。
相関計数γ=1.000、回帰直線y=1.001x+0.331と非常
に高い相関を示している。
第2図に、従来法〔シアンメトモグロビン法(国際標
準法)〕によるヘモグロビン値測定結果と実施例1の試
薬によるヘモグロビン値測定結果との相関図を示す。
相関計数γ=0.998、回帰直線y=1.013x+0.095と非常
に高い相関を示している。
表1に示すようにメトヘモグロビン量が増えたため
に、オキシヘモグロビン法によるヘモグロビン測定値が
低下した場合でも実施例1の試薬によるヘモグロビン測
定値は変化がみられず一定の値を示す。
実施例5 下記組成の試薬を調製した。
濃度 ラウリルトリチルアンモニウムクロライド 1.50g セチルトリチルアンモニウムクロライド 0.40g リン酸緩衝液 1/25M (pH6.0) 塩化ナトリウム 適量 (電気伝導度を13付近に調製) 4−フエニルイミダゾール 100mg 精製水 1 実施例6 下記組成の試薬を調製した。
濃度 ラウリルトリチルアンモニウムクロライド 3.20g セチルトリチルアンモニウムクロライド 0.20g リン酸緩衝液 1/25M (pH6.0) 塩化ナトリウム 適量 (電気伝導度を13付近に調製) 4−フエニルイミダゾール 100mg 精製水 1 第3〜5図にそれぞれ実施例1,5,6の試薬を使った時
の白血球粒度分布を示す。第3〜5図において、縦軸は
血球の相対度数を表し、横軸は自動血液分析装置によっ
て血球を測定したときに得られる血球信号の相対強度
(すなわち血球の大きさ)を表す。実施例1の試薬を用
いた場合には、第3図に示すように白血球は単峰の粒度
分布を示す。実施例5の試薬を用いた場合には、第4図
に示すように白血球は領域Aと領域Bの2つに分かれた
粒度分布を示す。領域Aはリンパ球の集団であり、領域
Bはリンパ球以外の白血球の集団である。実施例6の試
薬を用いた場合には、第5図に示すように白血球は領域
A、領域Cと領域Dの3つに分かれた粒度分布を示す。
領域Aはリンパ球の集団、領域Cは単球、好酸球、好塩
基球の集団、領域Dは好中球の集団である。
〔発明の効果〕
以上より本発明の試薬によれば、従来と同じ測定量が
えられる上に、 i)ヘモグロビンと白血球の測定が1つの試料で可能で
あり、しかも白血球を分画することもできる。
ii)メトヘモグロビン含量の高い血液試料も正しく測定
できる。
iii)シアン等の毒物を含まないので、廃液処理の必要
が無くなる。
iv)ヘモグロビンが長時間安定な試薬が供給できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来法〔F−800(東亜医用電子株式会社
製)にて測定〕による白血球数測定結果と実施例1の試
薬による白血球数測定結果との相関図である。 第2図は、従来法〔シアンメトモグロビン法(国際標準
法)〕によるヘモグロビン値測定結果と実施例1の試薬
によるヘモグロビン値測定結果との相関図である。 第3〜5図はそれぞれ実施例1,5,6の試薬を使った時の
白血球粒度分布絵を示すグラフである。 第3〜5図において、縦軸は血球の相対度数を表し、横
軸は自動血液分析装置によって血球を測定したときに得
られる血球信号の相対強度(すなわち血球の大きさ)を
表す。 第3図において白血球は単峰の粒度分布を示す。 第4図に示す白血球は領域Aと領域Bの2つに分かれた
粒度分布を示す。領域Aはリンパ球の集団であり、領域
Bはリンパ球以外の白血球の集団である。 第5図に示す白血球は領域A、領域Cと領域Dの3つに
分かれた粒度分布を示す。領域Aはリンパ球の集団、領
域Cは単球、好酸球、好塩基球の集団、領域Dは好中球
の集団である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/72 G01N 33/49 G01N 33/50 BIOSIS CAS JICST

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の条件を満たす、血液中の白血球の算
    定およびヘモグロビン濃度を同時測定するための試薬で
    あって、シアンを含まずにヘモグロビンを長時間安定に
    保つことを特徴とする試薬。 i)血液中の赤血球を溶血し、ヘモグロビンを酸化させ
    うる濃度の四級アンモニウム塩(構造a)あるいは、ピ
    リジニウム塩(構造b)の組成物よりなる群の中から選
    ばれたカチオン系界面活性剤の少なくとも1種類を含む
    こと。 R1:C8〜C20アルキル基、アルケニル基、又はアルキニ
    ル基、 R2〜R4:C1〜C8アルキル基、アルケニル基、又はアルキ
    ニル基、 X-:陰イオン基、 n:7〜19の整数、 X-:陰イオン基、 ii)構造c〜eを有するカチオン、ノニオン、両性界面
    活性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を
    含むこと。 R1:C8〜C20アルキル基、アルケニル基、又はアルキニ
    ル基、 R2〜R3:C1〜C8アルキル基、アルケニル基、又はアルキ
    ニル基、 X-:陰イオン基、 構造d R1−R2−(CH2CH2O)n−H R1:C8〜C20アルキル基、アルケニル基、又はアルキニ
    ル基、 R2:O、 又はCOO、 n:10〜50の整数 R1:C8〜C20アルキル基、 R2〜R3:C1〜C8アルキル基、アルケニル基、又はアルキ
    ニル基、 iii)構造f)に示すヘモグロビン安定化剤よりなる群
    の中から選ばれた少なくとも1種類を含み、その濃度が
    f)に示す濃度であること。 f)イミダゾール及びその誘導体、濃度0.001〜20g/l R1、R2:−Hあるいは−C1〜C4の低級アルキル基、 R3:−Hあるいは−C1〜C4の低級アルキル基あるいはフ
    エニル基、 iv)pHの範囲が3.0〜9.0の溶液であること。 v)前記四級アンモニウム塩総濃度が、0.1〜15.0g/lの
    範囲にあること。 vi)前記ピリジニウム塩総濃度が、0.1〜15.0g/lの範囲
    にあること。 vii)前記ノニオン性界面活性剤総濃度が、0.1〜15.0g/
    lの範囲にあること。 viii)前記両性界面活性剤総濃度が、0.1〜15.0g/lの範
    囲にあること。 ix)前記カチオン性界面活性剤総濃度が、0.1〜15.0g/l
    の範囲にあること。
  2. 【請求項2】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも2種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲にあり、白血球を少なくと
    も2つに分画することができる請求項1の試薬。
  3. 【請求項3】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲にあり、ノニオン性界面活
    性剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種類を含み、
    ノニオン性界面活性剤の総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲に
    あり、白血球を少なくとも2つに分画することができる
    請求項1の試薬。
  4. 【請求項4】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲にあり、両性界面活性剤よ
    りなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を含み、両
    性界面活性剤の総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲にあり、白
    血球を少なくとも2つに分画することができる請求項1
    の試薬。
  5. 【請求項5】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲にあり、カチオン性界面活
    性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を含
    み、カチオン性界面活性剤の総濃度が0.1〜5.0g/lの範
    囲にあり、白血球を少なくとも2つに分画することがで
    きる請求項1の試薬。
  6. 【請求項6】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が0.1〜12.0g/lの範囲にあり、ピリジニウム塩よ
    りなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を含み、ピ
    リジニウム塩の総濃度が0.3〜10.0g/lの範囲にあり、白
    血球を少なくとも2つに分画することができる請求項1
    の試薬。
  7. 【請求項7】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも2種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が2.2〜5.0g/lの範囲にあり、白血球を3つに分
    画することができる請求項1の試薬。
  8. 【請求項8】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が3.0〜12.0g/lの範囲にあり、ノニオン性界面活
    性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を含
    み、ノニオン性界面活性剤の総濃度が1.0〜12.0g/lの範
    囲にあり、白血球を3つに分画することができる請求項
    1の試薬。
  9. 【請求項9】四級アンモニウム塩よりなる群の中から選
    ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩の
    総濃度が1.0〜10.0g/lの範囲にあり、両性界面活性剤よ
    りなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を含み、両
    性界面活性剤の総濃度が0.1〜10.0g/lの範囲にあり、白
    血球を3つに分画することができる請求項1の試薬。
  10. 【請求項10】四級アンモニウム塩よりなる群の中から
    選ばれた少なくとも1種類を含み、四級アンモニウム塩
    の総濃度が1.0〜10.0g/lの範囲にあり、ピリジニウム塩
    よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種類を含み、
    ピリジニウム塩の総濃度が1.0〜5.0g/lの範囲にあり、
    白血球を3つに分画することができる請求項1の試薬。
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