JP2897600B2 - 空気分離装置及び空気分散方法 - Google Patents
空気分離装置及び空気分散方法Info
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- F25J3/00—Processes or apparatus for separating the constituents of gaseous or liquefied gaseous mixtures involving the use of liquefaction or solidification
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- F25J3/04—Processes or apparatus for separating the constituents of gaseous or liquefied gaseous mixtures involving the use of liquefaction or solidification by rectification, i.e. by continuous interchange of heat and material between a vapour stream and a liquid stream for air
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気を圧縮、浄化、冷
却した後に精留塔へ導き、酸素、窒素、アルゴン、その
他のガスに深冷分離する空気分離装置の精留塔として使
用される充填式精留塔に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の空気分離装置の精留塔では、気液
接触による物質移動の手段として多孔板状の精留皿を用
い、100mmから200mmの間隔で棚段状に精留皿
を積み重ねた棚段式精留塔が主流であった。一方で、精
留塔の内径と比べ大きさの非常に小さな充填要素を精留
塔内に不規則に充填した充填式精留塔や、充填物の外径
を精留塔の内径とほぼ一致させ、充填物内に適度な空隙
を持ち、規則的な構造を有した充填物を塔内に充填した
充填式精留塔の利用も古くから研究されてきた。前者の
不規則充填物の例としてラシヒリングやベルサドル等が
挙げられ、後者の規則充填物の例としてステッドマンパ
ッキング等が挙げられる。従来こうした不規則充填物や
規則充填物を塔内に充填した充填式精留塔は、棚段式精
留塔に比べ精留効率が悪い等の理由により空気分離装置
の精留塔としてはあまり用いられていなかった。 【0003】一方で、精留効率が棚段式精留塔と同等も
しくはそれ以上でありかつ、圧力損失が棚段式精留塔や
従来の充填物を充填した充填式精留塔と比べ、格段に低
下できる新しい構造を有した規則充填物を塔内に充填し
た充填式精留塔が、石油化学の分野を中心に多く利用さ
れてきた。既存の棚段式精留塔をこの新しい構造の充填
物を充填した精留塔に置き換えることにより、単位高さ
当りの圧力損失を低減し、結果として精留塔における理
論段数を増加させ、性能を向上させた例が多数報告され
ている。 【0004】近年、空気分離装置の分野においても、新
しい構造を有した規則充填物を精留塔内に充填した充填
式精留塔が利用され始め、精留塔内の圧力損失低減に伴
い原料空気圧縮機の吐出圧力を低下させる試みや、理論
段数増加による空気分離装置の性能向上の試みがなされ
始めた。 【0005】充填式精留塔においては、精留塔内におけ
る液の分散が非常に重要になる。精留塔内の充填物表面
を降下する液に偏りが生じていると、期待される精留効
率向上や圧力損失低減効果が得られなくなる。従来の充
填物と比べ、精留性能を格段に向上できる規則充填物を
利用する精留塔においては、精留塔の水平断面における
均一な液分散が精留性能を左右する重要な要因の一つと
なる。均一な液分散を達成するために、集液装置及び液
分散装置を設置することは、石油化学等の分野で良く知
られており又、集液装置及び液分散装置自体の構造につ
いては種々の構造が提案されている。 【0006】しかしながら、空気分離装置においてはそ
の物性が石油化学の分野のものと大きく異なるため、石
油化学等の分野でこれまで提案されてきた集液装置及び
液分散装置が適切であるか否かは明確では無い。加え
て、集液装置及び液分散装置をどのような間隔で配置す
べきかの指針は全く見当らない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】空気分離装置の精留塔
としては、空気を導入して窒素と酸素の富んだ成分とに
分離する高圧塔、窒素の富んだ成分と酸素の富んだ成分
を導入して製品窒素と製品酸素とに分離する低圧塔、低
圧塔の中部より抜き出したアルゴンを僅かに含む酸素を
導入して、アルゴンに富んだ成分に分離する粗アルゴン
塔、及びその他の濃縮塔として精留塔が用いられる。精
留塔として充填式精留塔を用いた場合、規則充填物の充
填高さは最大40m程度に達する。 【0008】精留塔内における精留は、組成の異なる上
方からの降下液と下方からの上昇ガスとの気液接触に伴
う物質移動により達成される。充填式精留塔の場合、上
方からの降下液は充填物の表面において薄膜を形成しな
がら充填物表面上を流れ落ち、ガス相と向流的に気液接
触し、濡れ壁としての物質移動を利用して精留分離が行
なわれる。充填物の性能向上のためには気液間に充分な
接触面積を与えることが必要である。それは単に充填物
の単位充填容積当りの表面積、すなわち比表面積が単に
大きければ良いことを意味しない。たとえ非常に大きな
比表面積を有する充填物があったとしても、充填物への
上方からの液供給が充填物に対して均一に分散されず、
充填物の全表面において充分な薄膜形成を成しえないな
らば、気液接触面積の増加には役立たず、精留効果の増
加は望めない。 【0009】均一な液分散を達成するために、充填物を
積層した上部空間に液分散装置が設置される。液分散装
置により充填物への均一な液分散が初期的には可能とな
る。しかし、降下液は充填層を通過中に偏流が生じるの
を避けられないため、徐々に単位体積当りの有効な気液
接触面積が低下し、精留効率が低下してしまう。 【0010】近年空気分離装置の充填式精留塔に用いら
れ始めた新しい構造を有する規則充填物の個々の高さは
200mm前後である。精留塔内では個々の規則充填物
を連続的に幾層にも積み重ねて使用される。空気分離装
置の場合、規則充填物の連続した充填高さを10mとす
れば、50個程度の規則充填物を連続的に積み重ねるこ
とになる。しかし連続した充填高さを高くするほど上方
からの下降液の偏流は大きくなるため、単位高さあたり
の精留効率が益々低下する。 【0011】本発明では空気分離装置に用いられる規則
充填物を塔内に充填した充填式精留塔に関して、充填物
を通過する降下液の精留塔の水平断面における偏流を抑
え、精留効率の低下を防止し、充填物の性能を充分引き
出すことを目的とする。 【0012】本発明の他の目的は、連続した充填物の高
さが高くなることに伴う降下液の分散効率の低下を防
ぎ、その結果充填物の精留効率の低下(すなわちHET
Pの増加)を抑えることにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、規則的な構造を有する充填物を塔内に
積層した精留塔を少なくとも1塔具備した空気分離装置
において、前記精留塔には、液を下方に分散落下させる
液分散装置と、該液分散装置の直下に設けられた積層・
規則充填物と、該積層・規則充填物の直下に設けられた
流体用ノズルと、前記積層・規則充填物の高さ方向の途
中に設けられ通過する液を集め下方に分散落下させる集
液・液分散装置とを備えたことを特徴とする。 【0014】 【作用】0.5m以下に集液装置及び分散装置を設置し
ても、これらの装置の効果が得られない。一方、連続し
た充填高さが10mを越えると、HETPが急激に悪化
する。従って、充填高さを0.5m〜10mの範囲とす
れば、精留塔内での降下液の偏流に伴う精留効率の低下
を最小限にとどめることができる。 【0015】 【実施例】図1に規則充填物を塔内に充填した精留塔の
構造例を示す。1は規則的な構造を有した充填物、2は
液分散装置、3は集液装置、4はガス出口ノズル、5は
液入口ノズル、6はガス入口ノズル、7は液出口ノズ
ル、8は規則的な構造を有した充填物の連続した充填高
さである。 【0016】ガスフィ−ドは塔底部に設置されたガス入
口ノズル6を通して塔内に導入される。塔内に導入され
たガスフィ−ドは塔内の圧力差により塔内を上昇し、規
則充填物1にて液相との気液接触により精留が行われ、
最終的には塔頂部に設置されたガス出口ノズル4より製
品ガスとして取り出される。 【0017】一方、液フィ−ドは塔頂部に設置された液
入口ノズル5を通して塔内に導入され、液分散装置2を
通した後、重力差により規則充填物1に導入される。液
分散装置2においては、精留塔の水平断面に対し均一に
液が分散されるよう工夫がなされており、規則充填物1
の上端面では均一に液が分配される。規則充填物1の上
端面に分配された液は、充填物の表面に沿って薄い液膜
を形成し、液膜表面にてガス相との気液接触により精留
されながら下方に降下し、最終的には塔底部の液溜めに
集められ、液出口ノズル7にて製品液として塔外に取り
出される。途中、降下液が規則充填物を通過中に生じた
偏流を矯正するために、集液装置3にて一旦降下液を集
めた後、液分散装置2により再度均一な液の分散を行
い、下方に設置された規則充填物1に引続き導入され
る。 【0018】規則充填物1の個々の高さは200mm程
度である。精留塔内では各々の充填物を幾層にも積み重
ねて用いられ、連続した充填物の高さは図1中の8にて
示される。連続した充填物の上端面と下端面とでは液の
偏流の度合いには差が生じる。 【0019】精留塔内での下降液の偏流の度合いを定量
的に評価するため、以下の定義式を使用する。 【0020】 ここで、 Wi: 精留塔の液及びガスの流れ方向に対
し垂直な断面を、各々の面積が等しくなるよう微小面に
分解し、各々の微小面を通過する単位時間当りの流量。
微小面の1辺の長さは精留塔の内径により異なるが、お
よそ1〜10cmとする。 【0021】Wave: 各々の微小面を通過する単位時
間当りの流量の断面積当りの平均値。 【0022】n: 分割した微小面の個数 すなわち、分散効率が100%に近いほど精留塔の断面
にて均一に液が分散されているといえる。一方、分散効
率が低いほど偏流を起こしているといえる。 【0023】規則充填物の連続した充填高さが増加する
ほど上記分散効率は低下し、単位充填高さ当りの精留効
率は低下する。一般に単位充填高さ当りの精留効率は単
位高さ当りの理論段数(HETP)にて表される。HE
TPは小さいほど、1理論段分の精留を達成するための
充填高さが小さくなるので、精留効率が良いと理解され
る。 【0024】降下液が規則充填物を通過する際に生じる
偏流の度合い、及び精留効率の増減を調査するためのシ
ミュレ−ションを行なった。シミュレ−ション結果を図
2及び図3に示す。 【0025】図2は横軸に連続した充填高さ、縦軸に前
記定義式による分散効率を示し、連続した充填高さが高
くなると分散効率が低下していく様子を示している。図
2によると充填高さが0.6〜0.8m以下にかけては分
散効率はほぼ100%で変化ないが、1m前後を超える
と降下し始める。充填高さ5mにおいて分散効率は95
%程度であるが、充填高さ10mにて78%程度まで低
下し、充填高さを長くするほど益々分散効率は低下する
ことが分かる。 【0026】一方、図3では横軸に図2と同様に連続し
た充填高さをとり、縦軸にHETPをとり、充填物高さ
と精留効率の関係を示した。連続した充填高さが高くな
るとHETPが除々に増加し、充填高さが10mを越え
るとHETPが急激に増加していく様子を示している。
図3によると連続した充填高さが0に近いとき、HET
Pは210mm程度である。充填高さが増加するに従い
僅かづつHETP上昇しているが、充填高さが12m程
度でHETPが急激に増加している。即ち、充填高さが
12m程度で単位充填高さ当りの精留効率が低下するの
が分かる。 【0027】降下液が充填物を通過する際に生じる偏流
に伴う精留効率の低下に対し、図1に示す規則充填物を
塔内に充填した精留塔において、充填物の連続した充填
高さをある範囲に制限して集液装置3及び液分散装置2
を設置し、再度液分散を実施することにより、精留効率
を回復させることが出来る。 【0028】図2では分散効率100%(偏流無し)で
充填物にはいった降下液が、充填高さが増すに従い分散
効率が減少していく様子を示しているが、分散効率が低
下した状態から分散効率を回復させること(例えば充填
高さ10mのとき、分散効率ηm=78%から最大ηm=
100%に近い値に回復させること)により集液装置と
液分散装置を設置目的が達せられる。しかしながら、充
填高さが0.5m以下の場合、分散効率ηmは低下して
おらず、ほぼηm=100%であるため、集液装置と液
分散装置を設置しても回復できる程差が出ていない。従
って、集液装置と液分散装置はその役割を果たさず、設
置が無駄になる。 【0029】下限の値として、シミュレーションでは
0.6〜0.8m以下では分散効率はほぼ100%で変
化はないが、0.6〜0.8mにはあいまいさが含まれ
ているので、0.5mを下限値とするのが妥当である。 【0030】精留塔内に設けられた集液装置及び液分散
装置は、分散効率が少なくとも80%程度を達成出来
る。図2によると分散効率80%となる連続した充填高
さはおよそ10mに相当する。図3より連続した充填高
さが10mを超えると、HETPが急激に悪化し始め
る。従って、連続した充填高さが10mを超えたら集液
装置及び液分散装置を設置すべきである。 【0031】一方、図2より0.5m以下に集液装置及
び液分散装置を設置したとしても、集液装置及び液分散
装置の効果が得られないことが分かる。従って、0.5
m以下の集液装置及び液分散装置の設置は意味が無い。 【0032】 【発明の効果】以上説明のように、本発明は規則的な構
造を有する充填物を塔内に積層充填した精留塔におい
て、連続した規則充填物の充填高さを0.5m以上10
m以下の範囲に制限し、集液装置及び液分散装置を設置
することにより、充填物の性能を有効に高められた充填
式精留塔を用いることを特徴とした空気分離装置を提供
することが出来る。
却した後に精留塔へ導き、酸素、窒素、アルゴン、その
他のガスに深冷分離する空気分離装置の精留塔として使
用される充填式精留塔に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の空気分離装置の精留塔では、気液
接触による物質移動の手段として多孔板状の精留皿を用
い、100mmから200mmの間隔で棚段状に精留皿
を積み重ねた棚段式精留塔が主流であった。一方で、精
留塔の内径と比べ大きさの非常に小さな充填要素を精留
塔内に不規則に充填した充填式精留塔や、充填物の外径
を精留塔の内径とほぼ一致させ、充填物内に適度な空隙
を持ち、規則的な構造を有した充填物を塔内に充填した
充填式精留塔の利用も古くから研究されてきた。前者の
不規則充填物の例としてラシヒリングやベルサドル等が
挙げられ、後者の規則充填物の例としてステッドマンパ
ッキング等が挙げられる。従来こうした不規則充填物や
規則充填物を塔内に充填した充填式精留塔は、棚段式精
留塔に比べ精留効率が悪い等の理由により空気分離装置
の精留塔としてはあまり用いられていなかった。 【0003】一方で、精留効率が棚段式精留塔と同等も
しくはそれ以上でありかつ、圧力損失が棚段式精留塔や
従来の充填物を充填した充填式精留塔と比べ、格段に低
下できる新しい構造を有した規則充填物を塔内に充填し
た充填式精留塔が、石油化学の分野を中心に多く利用さ
れてきた。既存の棚段式精留塔をこの新しい構造の充填
物を充填した精留塔に置き換えることにより、単位高さ
当りの圧力損失を低減し、結果として精留塔における理
論段数を増加させ、性能を向上させた例が多数報告され
ている。 【0004】近年、空気分離装置の分野においても、新
しい構造を有した規則充填物を精留塔内に充填した充填
式精留塔が利用され始め、精留塔内の圧力損失低減に伴
い原料空気圧縮機の吐出圧力を低下させる試みや、理論
段数増加による空気分離装置の性能向上の試みがなされ
始めた。 【0005】充填式精留塔においては、精留塔内におけ
る液の分散が非常に重要になる。精留塔内の充填物表面
を降下する液に偏りが生じていると、期待される精留効
率向上や圧力損失低減効果が得られなくなる。従来の充
填物と比べ、精留性能を格段に向上できる規則充填物を
利用する精留塔においては、精留塔の水平断面における
均一な液分散が精留性能を左右する重要な要因の一つと
なる。均一な液分散を達成するために、集液装置及び液
分散装置を設置することは、石油化学等の分野で良く知
られており又、集液装置及び液分散装置自体の構造につ
いては種々の構造が提案されている。 【0006】しかしながら、空気分離装置においてはそ
の物性が石油化学の分野のものと大きく異なるため、石
油化学等の分野でこれまで提案されてきた集液装置及び
液分散装置が適切であるか否かは明確では無い。加え
て、集液装置及び液分散装置をどのような間隔で配置す
べきかの指針は全く見当らない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】空気分離装置の精留塔
としては、空気を導入して窒素と酸素の富んだ成分とに
分離する高圧塔、窒素の富んだ成分と酸素の富んだ成分
を導入して製品窒素と製品酸素とに分離する低圧塔、低
圧塔の中部より抜き出したアルゴンを僅かに含む酸素を
導入して、アルゴンに富んだ成分に分離する粗アルゴン
塔、及びその他の濃縮塔として精留塔が用いられる。精
留塔として充填式精留塔を用いた場合、規則充填物の充
填高さは最大40m程度に達する。 【0008】精留塔内における精留は、組成の異なる上
方からの降下液と下方からの上昇ガスとの気液接触に伴
う物質移動により達成される。充填式精留塔の場合、上
方からの降下液は充填物の表面において薄膜を形成しな
がら充填物表面上を流れ落ち、ガス相と向流的に気液接
触し、濡れ壁としての物質移動を利用して精留分離が行
なわれる。充填物の性能向上のためには気液間に充分な
接触面積を与えることが必要である。それは単に充填物
の単位充填容積当りの表面積、すなわち比表面積が単に
大きければ良いことを意味しない。たとえ非常に大きな
比表面積を有する充填物があったとしても、充填物への
上方からの液供給が充填物に対して均一に分散されず、
充填物の全表面において充分な薄膜形成を成しえないな
らば、気液接触面積の増加には役立たず、精留効果の増
加は望めない。 【0009】均一な液分散を達成するために、充填物を
積層した上部空間に液分散装置が設置される。液分散装
置により充填物への均一な液分散が初期的には可能とな
る。しかし、降下液は充填層を通過中に偏流が生じるの
を避けられないため、徐々に単位体積当りの有効な気液
接触面積が低下し、精留効率が低下してしまう。 【0010】近年空気分離装置の充填式精留塔に用いら
れ始めた新しい構造を有する規則充填物の個々の高さは
200mm前後である。精留塔内では個々の規則充填物
を連続的に幾層にも積み重ねて使用される。空気分離装
置の場合、規則充填物の連続した充填高さを10mとす
れば、50個程度の規則充填物を連続的に積み重ねるこ
とになる。しかし連続した充填高さを高くするほど上方
からの下降液の偏流は大きくなるため、単位高さあたり
の精留効率が益々低下する。 【0011】本発明では空気分離装置に用いられる規則
充填物を塔内に充填した充填式精留塔に関して、充填物
を通過する降下液の精留塔の水平断面における偏流を抑
え、精留効率の低下を防止し、充填物の性能を充分引き
出すことを目的とする。 【0012】本発明の他の目的は、連続した充填物の高
さが高くなることに伴う降下液の分散効率の低下を防
ぎ、その結果充填物の精留効率の低下(すなわちHET
Pの増加)を抑えることにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、規則的な構造を有する充填物を塔内に
積層した精留塔を少なくとも1塔具備した空気分離装置
において、前記精留塔には、液を下方に分散落下させる
液分散装置と、該液分散装置の直下に設けられた積層・
規則充填物と、該積層・規則充填物の直下に設けられた
流体用ノズルと、前記積層・規則充填物の高さ方向の途
中に設けられ通過する液を集め下方に分散落下させる集
液・液分散装置とを備えたことを特徴とする。 【0014】 【作用】0.5m以下に集液装置及び分散装置を設置し
ても、これらの装置の効果が得られない。一方、連続し
た充填高さが10mを越えると、HETPが急激に悪化
する。従って、充填高さを0.5m〜10mの範囲とす
れば、精留塔内での降下液の偏流に伴う精留効率の低下
を最小限にとどめることができる。 【0015】 【実施例】図1に規則充填物を塔内に充填した精留塔の
構造例を示す。1は規則的な構造を有した充填物、2は
液分散装置、3は集液装置、4はガス出口ノズル、5は
液入口ノズル、6はガス入口ノズル、7は液出口ノズ
ル、8は規則的な構造を有した充填物の連続した充填高
さである。 【0016】ガスフィ−ドは塔底部に設置されたガス入
口ノズル6を通して塔内に導入される。塔内に導入され
たガスフィ−ドは塔内の圧力差により塔内を上昇し、規
則充填物1にて液相との気液接触により精留が行われ、
最終的には塔頂部に設置されたガス出口ノズル4より製
品ガスとして取り出される。 【0017】一方、液フィ−ドは塔頂部に設置された液
入口ノズル5を通して塔内に導入され、液分散装置2を
通した後、重力差により規則充填物1に導入される。液
分散装置2においては、精留塔の水平断面に対し均一に
液が分散されるよう工夫がなされており、規則充填物1
の上端面では均一に液が分配される。規則充填物1の上
端面に分配された液は、充填物の表面に沿って薄い液膜
を形成し、液膜表面にてガス相との気液接触により精留
されながら下方に降下し、最終的には塔底部の液溜めに
集められ、液出口ノズル7にて製品液として塔外に取り
出される。途中、降下液が規則充填物を通過中に生じた
偏流を矯正するために、集液装置3にて一旦降下液を集
めた後、液分散装置2により再度均一な液の分散を行
い、下方に設置された規則充填物1に引続き導入され
る。 【0018】規則充填物1の個々の高さは200mm程
度である。精留塔内では各々の充填物を幾層にも積み重
ねて用いられ、連続した充填物の高さは図1中の8にて
示される。連続した充填物の上端面と下端面とでは液の
偏流の度合いには差が生じる。 【0019】精留塔内での下降液の偏流の度合いを定量
的に評価するため、以下の定義式を使用する。 【0020】 ここで、 Wi: 精留塔の液及びガスの流れ方向に対
し垂直な断面を、各々の面積が等しくなるよう微小面に
分解し、各々の微小面を通過する単位時間当りの流量。
微小面の1辺の長さは精留塔の内径により異なるが、お
よそ1〜10cmとする。 【0021】Wave: 各々の微小面を通過する単位時
間当りの流量の断面積当りの平均値。 【0022】n: 分割した微小面の個数 すなわち、分散効率が100%に近いほど精留塔の断面
にて均一に液が分散されているといえる。一方、分散効
率が低いほど偏流を起こしているといえる。 【0023】規則充填物の連続した充填高さが増加する
ほど上記分散効率は低下し、単位充填高さ当りの精留効
率は低下する。一般に単位充填高さ当りの精留効率は単
位高さ当りの理論段数(HETP)にて表される。HE
TPは小さいほど、1理論段分の精留を達成するための
充填高さが小さくなるので、精留効率が良いと理解され
る。 【0024】降下液が規則充填物を通過する際に生じる
偏流の度合い、及び精留効率の増減を調査するためのシ
ミュレ−ションを行なった。シミュレ−ション結果を図
2及び図3に示す。 【0025】図2は横軸に連続した充填高さ、縦軸に前
記定義式による分散効率を示し、連続した充填高さが高
くなると分散効率が低下していく様子を示している。図
2によると充填高さが0.6〜0.8m以下にかけては分
散効率はほぼ100%で変化ないが、1m前後を超える
と降下し始める。充填高さ5mにおいて分散効率は95
%程度であるが、充填高さ10mにて78%程度まで低
下し、充填高さを長くするほど益々分散効率は低下する
ことが分かる。 【0026】一方、図3では横軸に図2と同様に連続し
た充填高さをとり、縦軸にHETPをとり、充填物高さ
と精留効率の関係を示した。連続した充填高さが高くな
るとHETPが除々に増加し、充填高さが10mを越え
るとHETPが急激に増加していく様子を示している。
図3によると連続した充填高さが0に近いとき、HET
Pは210mm程度である。充填高さが増加するに従い
僅かづつHETP上昇しているが、充填高さが12m程
度でHETPが急激に増加している。即ち、充填高さが
12m程度で単位充填高さ当りの精留効率が低下するの
が分かる。 【0027】降下液が充填物を通過する際に生じる偏流
に伴う精留効率の低下に対し、図1に示す規則充填物を
塔内に充填した精留塔において、充填物の連続した充填
高さをある範囲に制限して集液装置3及び液分散装置2
を設置し、再度液分散を実施することにより、精留効率
を回復させることが出来る。 【0028】図2では分散効率100%(偏流無し)で
充填物にはいった降下液が、充填高さが増すに従い分散
効率が減少していく様子を示しているが、分散効率が低
下した状態から分散効率を回復させること(例えば充填
高さ10mのとき、分散効率ηm=78%から最大ηm=
100%に近い値に回復させること)により集液装置と
液分散装置を設置目的が達せられる。しかしながら、充
填高さが0.5m以下の場合、分散効率ηmは低下して
おらず、ほぼηm=100%であるため、集液装置と液
分散装置を設置しても回復できる程差が出ていない。従
って、集液装置と液分散装置はその役割を果たさず、設
置が無駄になる。 【0029】下限の値として、シミュレーションでは
0.6〜0.8m以下では分散効率はほぼ100%で変
化はないが、0.6〜0.8mにはあいまいさが含まれ
ているので、0.5mを下限値とするのが妥当である。 【0030】精留塔内に設けられた集液装置及び液分散
装置は、分散効率が少なくとも80%程度を達成出来
る。図2によると分散効率80%となる連続した充填高
さはおよそ10mに相当する。図3より連続した充填高
さが10mを超えると、HETPが急激に悪化し始め
る。従って、連続した充填高さが10mを超えたら集液
装置及び液分散装置を設置すべきである。 【0031】一方、図2より0.5m以下に集液装置及
び液分散装置を設置したとしても、集液装置及び液分散
装置の効果が得られないことが分かる。従って、0.5
m以下の集液装置及び液分散装置の設置は意味が無い。 【0032】 【発明の効果】以上説明のように、本発明は規則的な構
造を有する充填物を塔内に積層充填した精留塔におい
て、連続した規則充填物の充填高さを0.5m以上10
m以下の範囲に制限し、集液装置及び液分散装置を設置
することにより、充填物の性能を有効に高められた充填
式精留塔を用いることを特徴とした空気分離装置を提供
することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】規則的な構造を有する充填物を塔内に充填した
精留塔の構造図である。 【図2】規則的な構造を有する充填物の連続した充填高
さと分散効率との関係を示す図である。 【図3】規則的な構造を有する充填物の連続した充填高
さと、精留効率を表わすHETPとの関係を示す図であ
る。 【符号の説明】 1…規則的な構造を有した充填物、2…液分散装置、3
…集液装置、4…ガス出口ノズル、5…液入口ノズル、
6…ガス入口ノズル、7…液出口ノズル、8…規則的な
構造を有した充填物の連続した充填高さ、A…集液装置
及び液分散装置を設置した際の分散効率
精留塔の構造図である。 【図2】規則的な構造を有する充填物の連続した充填高
さと分散効率との関係を示す図である。 【図3】規則的な構造を有する充填物の連続した充填高
さと、精留効率を表わすHETPとの関係を示す図であ
る。 【符号の説明】 1…規則的な構造を有した充填物、2…液分散装置、3
…集液装置、4…ガス出口ノズル、5…液入口ノズル、
6…ガス入口ノズル、7…液出口ノズル、8…規則的な
構造を有した充填物の連続した充填高さ、A…集液装置
及び液分散装置を設置した際の分散効率
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
F25J 3/04
F25J 3/02
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】規則的な構造を有する充填物を塔内に積層
した精留塔を少なくとも1塔具備した空気分離装置にお
いて、 前記精留塔には、液を下方に分散落下させる液分散装置
と、該液分散装置の直下に設けられた積層・規則充填物
と、該積層・規則充填物の直下に設けられた流体用ノズ
ルと、前記積層・規則充填物の高さ方向の途中に設けら
れ通過する液を集め下方に分散落下させる集液・液分散
装置とを備えた、 ことを特徴とする空気分離装置。 【請求項2】規則的な構造を有する充填物を塔内に積層
した精留塔を少なくとも1塔具備した空気分離装置にお
いて、 前記精留塔には、液を下方に分散落下させる液分散装置
と、該液分散装置の直下に設けられた積層・規則充填物
と、該積層・規則充填物の直下に設けられた流体用ノズ
ルと、前記積層・規則充填物の高さ方向の途中に設けら
れ通過する液を集め下方に分散落下させる集液・液分散
装置とを備え、 前記集液・液分散装置は、前記積層・規則充填物の高さ
が0.5m以上10mの範囲毎に少なくとも1個所設け
られている、 ことを特徴とする空気分離装置。【請求項3】 規則的な構造を有する充填物を塔内に積層
した精留塔を少なくとも1塔具備した空気分離装置にお
いて、 前記精留塔には、液を下方に分散落下させる液分散装置
と、該液分散装置の直下に設けられた積層・規則充填物
と、該積層・規則充填物の直下に設けられた流体用ノズ
ルが配置され、 前記積層・規則充填物の高さ方向の途中の異なる位置に
おいて、通過する液を集め下方に分散落下させる集液・
液分散装置がそれぞれ設けられ、集液・液分散を繰り返
すことを特徴とする空気分離装置。【請求項4】 規則的な構造を有する充填物を塔内に積層
した精留塔を少なくとも1塔具備した空気分離装置にお
いて、 前記精留塔には、液を下方に分散落下させる液分散装置
と、該液分散装置の直下に設けられた積層・規則充填物
と、該積層・規則充填物の直下に設けられた流体用ノズ
ルが配置され、 前記積層・規則充填物の高さ方向の途中の異なる位置で
あって該積層・規則充填物の高さが0.5m以上10m
の範囲毎に少なくとも1個所、通過する液を集め下方に
分散落下させる集液・液分散装置がそれぞれ設けられ、
集液・液分散を繰り返すことを特徴とする空気分離装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5157315A JP2897600B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 空気分離装置及び空気分散方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5157315A JP2897600B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 空気分離装置及び空気分散方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22121894A Division JPH07151461A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 空気分離装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0735472A JPH0735472A (ja) | 1995-02-07 |
JP2897600B2 true JP2897600B2 (ja) | 1999-05-31 |
Family
ID=15647006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5157315A Expired - Lifetime JP2897600B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 空気分離装置及び空気分散方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2897600B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5857357A (en) * | 1997-07-18 | 1999-01-12 | Praxair Technology, Inc. | Column configuration and method for argon production |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69119731T2 (de) * | 1990-12-17 | 1996-11-14 | Air Liquide | Luftdistillationskolonne mit einer Well-cross Packung |
-
1993
- 1993-06-28 JP JP5157315A patent/JP2897600B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0735472A (ja) | 1995-02-07 |
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