JP3727684B2 - 混合物の蒸留分離方法およびこのための装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【技術分野】
本発明は完全にもしくは部分的に充填物が充填されており、積重ねられまたは山積みされた素子中を上昇する蒸気および下降する液体を、蒸発器および凝縮器の間において緊密に接触させ、物質移動の結果として低沸点組成分が塔頂の凝縮器で、高沸点組成分が塔底で得られるようになされている蒸留塔により、混合物を蒸留分離して純粋組成分にする方法に関する。本発明はさらに上記方法を実施するための、液体捕集手段と、再分布手段を具備する蒸留塔から成る装置に関する。
【０００２】
【従来技術】
充填塔は蒸留分離技術において広く使用されている。不規則細片のほかに、分離用充填物として、ラーシッヒリング、ポールリング、セラミックサドル、堆積充填物が使用される。これらは、例えば穿孔金属板、金属繊維織成体、プラスチック材料、セラミック材料から製造される。棚段蒸留塔と比べて、充填塔は、ことに圧力損、構成材料を損傷するおそれのある熱応力、またしばしば投資コストに関して利点を有する。これは、分離されるべき組成物の純度が低い場合にも、高純度を要する用途にも使用されるが、ことに極めて高い純度が要求される場合には、現場においては充填塔を使用するについて依然として抵抗がある。充填塔では、工業的規模において、要求される純度が達成され得ないことがあるからである。そこで棚段塔を使用する必要が再び生じている。
【０００３】
このような場合、充填高さを増加することでは不充分であり、またコストの面でも好ましくない。従って、充填物製造業者は、一般的対策として、液体の反覆捕集および介在分配手段による液体の再分配を推奨する。現在までのところ、充填塔において確実に高純度を達成するには、これが最も信頼し得る対策である。しかしながら、液体捕集装置および分配装置を使用することは、そのコストおよび設計高さの点で不利益である。分配装置の型式と充填塔の直径とに応じて、１から２．５ｍの追加的塔高さが、各中間的液体分配ごと必要となる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
そこで従来技術に置ける課題ないし本発明の目的は、充填物を装填した蒸留塔を使用する場合にも、組成物、すなわち混合物から分離されるべき組成分の充分に高い純度をもたらし得る、混合物蒸留分離方法およびこれを実施する装置を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
しかるに上述した課題ないし目的は、技術分野の項で述べた方法であって、蒸留塔内においてその全横断面にわたり液体細流密度の特別な非均斉分布をもたらすことを特徴とする方法により解決ないし達成され得ることが本発明者らにより見出された。また上述した装置に関する課題ないし目的は、蒸留塔の中核帯域と塔壁帯域における好ましい液体細流密度に対応して、排出細孔（１０）の配列もしくはその直径が決定される再分布手段（９）と液体捕集手段（１１）とを有する蒸留塔から構成されることを特徴とする装置により解決ないし達成される。
【０００６】
【実施例】
本発明による方法および装置の詳細と利点を、添附図面に例示された実施態様に関連して以下においてさらに説明する。
【０００７】
蒸留塔（図１）において混合物ないし組成物を分離する場合、上昇する蒸気と下降する液体は、一般的に、塔の底部に在る蒸発器Ｖと塔の頂部に在る凝縮器Ｋとの中間において、緊密に接触せしめられる。この物質移動の間に、低沸点組成分Ａは蒸気中に蓄積され、高沸点組成分は液体中に蓄積される。前者Ａは塔頂から取出され、後者Ｂ、Ｃは塔底に貯留される。分離効果の質は、蒸気、液体の流路に沿って、蒸留塔内部の全横断面にわたり、いかに両者を均質に分配するか、そしてまたいかに緊密に両者を混合するかに係っている。しかしながら、液体および蒸気の流量は塔の壁面の帯域で増大することが知られており、また充填物の周辺層は抵抗を少くするので隔壁（７）（図２）、すなわち周辺のバイパスにおいて増大する可能性がある。従ってこれらの帯域で液体は物質移動に充分に参加しない。
【０００８】
本発明は、蒸留塔のストリッピング区域（３、４、６）の、すなわち混合物導入部より下方のこれらの帯域において、液体細流密度（液体流動密度）を他の帯域にくらべてことに低く、例えば１０から１００％、ことに２０から５０％にすることにより、上述した障害を除去しようとするものである。他方、塔の精留区域（１、２、５）では、液体細流密度は、例えば１０から１０００％、ことに２０から５０％だけ増大せしめられる。
【０００９】
隔壁蒸留塔を使用する場合には、隔壁（７）の帯域において、その全長にわたり、あるいは部分的に相違する液体流動速度がもたらされる。すなわち、給送区域（２）の混合物給送点から上方および取出し区域（５）の側方取出し点から下方において、液体流動速度は増加し、また給送区域（４）の給送点下方および取出し区域（３）の側方取出し点から上方において、液体流動速度は低下する。
【００１０】
このような液体の特異な非均斉分布は、相違する設計の液体分布手段９（図３）によりもたらされ得る。例えば排出細孔（１０）の数と配列、および／またはその直径は、適当に変えられる。この分配装置は、少くとも塔の上方端部と給送点に設置される。上流液体捕集器（１１）を備えた追加的中間分配装置を使用する場合には、これも追加設定して、対応する液体非均斉分布をもたらすのが好ましい。
【００１１】
液体非均斉分布は、また蒸留塔壁および必要に応じて隔壁に関する設計対策、例えば液体用邪魔板（８）を塔ストリッピング区域中において０．１から２ｍ、ことに０．３から１ｍの高さ間隔を置いて設置することによっても、もたらされ得る。山積み充填物の場合、上記邪魔板は充填物直径の約０．５から３倍、ことに１から１．５倍の寸法で壁面から塔内空間に突出させる。
【００１２】
液体細流密度の特別の非均斉分布をもたらすためのさらに他の手段は、蒸留塔の精留区域におけるジャケットの絶縁層（１２）の厚さと位置を選定して、塔と雰囲気間の温度差に従って、雰囲気温度より高い温度で蒸留塔を稼働させることであって、これにより縁辺帯域における帯域関連液体流がもたらさせる。
【００１３】
塔のストリッピング区域３、４、６において、塔壁面帯域の液体細流密度を、塔外壁の保護加熱器（１３）による蒸発によって低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】蒸留塔の概略図である。
【図２】隔壁を有する蒸留塔の概略図である。
【図３】蒸留塔中における液体捕集および再分配手段の概略図である。
【符号の説明】
Ａ‥‥‥‥‥‥‥‥低沸点組成分
Ｂ、Ｃ‥‥‥‥‥‥高沸点組成分
Ｋ‥‥‥‥‥‥‥‥凝縮器
Ｖ‥‥‥‥‥‥‥‥蒸発器
１、２、５‥‥‥‥精留区域
３、４、６‥‥‥‥ストリッピング区域
２、４‥‥‥‥‥‥給送区域
３、５‥‥‥‥‥‥取出し区域
７‥‥‥‥‥‥‥‥劃壁
８‥‥‥‥‥‥‥‥邪魔板
１２‥‥‥‥‥‥‥絶縁層
１３‥‥‥‥‥‥‥加熱器

Claims (8)

1. 完全にもしくは部分的に充填物が充填されており、積重ねられまたは山積みされた素子中を上昇する蒸気および下降する液体を、蒸発器および凝縮器の間において緊密に接触させ、物質移動の結果として低沸点組成分が塔頂の凝縮器で、高沸点組成分が塔底で得られるようになされている蒸留塔により、混合物を蒸留分離して純粋組成分にする方法であって、
   蒸留塔のストリッピング区域における塔壁帯域において、液体流動速度の低下をもたらし、精留区域における塔壁帯域において、液体流動速度の増加をもたらして、
   蒸留塔内においてその全横断面にわたり液体細流密度の特別な非均斉分布をもたらすことを特徴とする方法。
2. 塔壁および場合により設けられている隔壁の帯域において液体細流密度を調整することを特徴とする、請求項（１）による方法。
3. 隔壁を有する蒸留塔を使用する場合において、その全長にわたりもしくは部分的に、塔壁帯域において相違する液体流速度をもたらし、混合物給送区域の給送点上方および側方取出し区域の取出し点下方において、液体流動速度を増加させ、給送区域の給送点下方および取出し区域の側方取出し点上方において、液体流動速度を低下させることを特徴とする、請求項（１）または請求項（２）による方法。
4. ストリッピング区域において、塔壁帯域の横断面液体細流密度を、他の帯域に比べて１０から１００％低くし、且つ
   精留区域において、塔壁帯域の横断面液体細流密度を、他の帯域に比べて１０から１０００％高くすることを特徴とする、請求項（１）〜（３）のいずれかによる方法。
5. 蒸留塔の中核帯域と塔壁帯域における好ましい液体細流密度に対応して、排出細孔（１０）の配列もしくはその直径が決定される再分布手段（９）と液体捕集手段（１１）とを有する蒸留塔から構成されることを特徴とする、請求項（１）〜（４）のいずれかによる方法を実施するための装置。
6. 不規則に山積みされた充填物がストリッピング区域の塔壁帯域において、低い液体流動速度が好ましい塔内帯域に使用される場合、充填物直径に対して０．５から３倍の寸法で充填物山積体中に突出して、液体を塔壁帯域から充填物山積体の方に変向させる邪魔板（８）が、０．１から２ｍの高さ方向間隔で設けられていることを特徴とする、請求項（５）による装置。
7. 精留区域（１、２、５）における温度が雰囲気温度より高い蒸留塔の場合において、ジャケット上の絶縁層（１２）の厚さおよび位置を選定して、塔の縁辺帯域において、望ましい液体細流密度の増大が達成されるようになされていることを特徴とする、請求項（５）による装置。
8. 塔壁帯域における液体細流密度が、蒸留塔のストリッピング区域（３、５、６）における塔壁に装着された保護電熱器（１３）による液体蒸発で低減されるようになされていることを特徴とする、請求項（５）または請求項（６）による装置。

Images