JP2895859B2 - Ｆｍステレオ受信機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は、FMステレオ受信機の改良に関するもので、
特にステレオマルチプレックス回路の出力信号レベルを
制御して見掛け上のチャンネル間セパレーションを向上
させることの出来るFMステレオ受信機に関する。

（ロ）従来の技術 FMステレオ放送信号を受信する場合、通常はFM検波回
路を用いて前記放送信号をFM検波し、ステレオマルチプ
レックス回路を用いて検波出力信号を左右ステレオ信号
（Ｌ）及び（Ｒ）に分離し、低周波増幅回路で増幅した
後、左右スピーカに印加している。また、左右スピーカ
とともに、FM検波出力信号中に含まれるステレオ和信号
（Ｌ＋Ｒ）又は分離された左右ステレオ信号を加算して
作られるステレオ和信号（Ｌ＋Ｒ）が印加されるセンタ
ースピーカを用いる３チャンネルシステムや、前記セン
タースピーカとともにFM検波出力信号中に含まれるステ
レオ差信号（Ｌ−Ｒ）又は分離された左右ステレオ信号
を減算して作られるステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）が印加さ
れるリアスピーカを用いる４チャンネルシステム等も従
来提案されている。しかして、その様なチャンネルの拡
張を行なうと、音の定位や広がりを向上させることが出
来る。

（ハ）発明が解決しようとする課題 しかしながら、上述の如くチャンネルの拡張を行なっ
ただけでは、未だ不十分であり、ステレオ効果をより増
大させるシステムが希求されていた。

（ニ）課題を解決するための手段 本発明は、上述の点に鑑み成されたもので、左右ステ
レオ信号の比に応じた左ステレオ信号（Ｌ）と右ステレ
オ信号（Ｒ）との比に応じた第１制御信号を発生する第
１比較回路と、前記第１制御信号を左優勢信号と右優勢
信号に分離する第１分離回路と、ステレオ和信号（Ｌ＋
Ｒ）とステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）との比に応じた第２制
御信号を発生する第２比較回路と、前記第２制御信号を
和優勢信号と差優勢信号に分離する第２分離回路と、前
記左右優勢信号と和差優勢信号とを用いて、ステレオマ
ルチプレックス回路の出力信号レベルを制御する第１レ
ベル制御回路と、前記第２制御信号のレベルを検出する
レベル検出回路と、該レベル検出回路の出力信号に応じ
て、前記差優勢信号のレベルを制御する第２レベル制御
回路とを備える点を特徴とする。

（ホ）作用 本発明に依れば、第１及び第２比較回路から得られる
第１及び第２制御信号を用いて、左右ステレオ信号とス
テレオ和差信号とのうちのどの信号が優勢であるかを判
別することが出来る。そして、前記判別の結果に基づき
ステレオマルチプレックス回路の出力信号のレベル制御
を行なっているので、左右スピーカ、センタースピー
カ、及びリアスピーカに方向性が強調された信号を印加
することが出来る。更に、第２制御信号のレベルを検出
し、差優勢信号のレベルを制御しているので、異常な変
調による誤った方向性強調を防止し得る。

（ヘ）実施例 第１図は、本発明の一実施例を示す回路図で、（１）
はFMステレオ放送信号を受信する為のアンテナ、（２）
は該アンテナ（１）に受信されたRF信号を増幅するRF増
幅回路、（３）は増幅されたRF信号と局部発振回路
（４）の出力信号とを混合し、IF信号を作成する混合回
路、（５）は前記IF信号を増幅するIF増幅回路、（６）
は増幅されたIF信号を検波するFM検波回路、（７）は該
FM検波回路（６）の出力信号中に含まれるステレオ和信
号（Ｌ＋Ｒ）及びステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）から左右ス
テレオ信号（Ｌ）及び（Ｒ）を分離するステレオマルチ
プレックス回路、（８）乃至（11）は前記ステレオマル
チプレックス回路（７）の出力信号をそれぞれ整流する
第１乃至第４整流回路、（12）は前記第１及び第２整流
回路（８）及び（９）の比をとる第１比較回路、（13）
は前記第３及び第４整流回路（10）及び（11）の比をと
る第２比較回路、（14）及び（15）は前記第１及び第２
比較回路（12）及び（13）の出力端に接続された第１及
び第２時定数回路、（16）は前記第１時定数回路（14）
の出力信号を左優勢信号及び右優勢信号に分離する第１
分離回路、（17）は前記第２時定数回路（15）の出力信
号を和優勢信号及び差優勢信号に分離する第２分離回
路、（18）は前記第１及び第２分離回路（16）及び（1
7）の出力信号に応じて第１乃至第４出力信号を発生す
る方向制御回路、（19）乃至（22）は該方向制御回路
（18）の第１乃至第４出力信号に応じて、ステレオマル
チプレックス回路（７）の出力信号を減衰する第１乃至
第４減衰回路、（23）は第２比較回路（13）の出力信号
を半波整流する第５整流回路、（24）は平滑時のアタッ
ク及びリカバリを定める第３時定数回路、及び（25）は
前記時定数回路（24）の出力に応じて第２分離回路（1
7）の出力差優勢信号をレベル制御する第２レベル制御
回路である。尚、方向制御回路（18）及び第１乃至第４
減衰回路（19）乃至（22）は、第１レベル制御回路を構
成している。

アンテナ（１）に受信されたFMステレオ信号は、従来
のFMステレオ受信機と同様、RF増幅され、IF信号に変換
され、FM検波される。そして、ステレオマルチプレック
ス回路（７）において、FM検波回路（６）の出力信号中
に含まれるステレオ和信号（Ｌ＋Ｒ）とステレオ差信号
（Ｌ−Ｒ）とから左右ステレオ信号（Ｌ）及び（Ｒ）が
分離される。その為、前記ステレオマルチプレックス回
路（７）の出力端に、左右ステレオ信号（Ｌ）、
（Ｒ）、ステレオ和信号（Ｌ＋Ｒ）及びステレオ差信号
（Ｌ−Ｒ）をそれぞれ発生することが出来る。前記ステ
レオマルチプレックス回路（７）の出力端に得られる各
信号は、第１乃至第４整流回路（８）乃至（11）で整流
され、それぞれ第１及び第２比較回路（12）及び（13）
に印加される。第１比較回路（12）からは、左右ステレ
オ信号（Ｌ）及び（Ｒ）のレベル比に応じた出力信号が
発生し、第２比較回路（13）からはステレオ和差信号
（Ｌ＋Ｒ）及び（Ｌ−Ｒ）のレベル比に応じた出力信号
が発生する。前記第１及び第２比較回路（12）及び（1
3）の詳細については、特願昭63-180516号に詳述されて
いるので省略する。

第１及び第２比較回路（12）及び（13）から発生する
第１及び第２制御信号は、それぞれ第１及び第２時定数
回路（14）及び（15）を介して第１及び第２分離回路
（16）及び（17）に印加される。前記第１分離回路（1
6）は、前記第１制御信号を、左優勢信号と右優勢信号
に分離し、前記第２分離回路（17）は前記第２制御信号
を、和優勢信号と差優勢信号に分離する。第２図（イ）
は、前記第１制御信号を、（ロ）は左優勢信号を、
（ハ）は右優勢信号を、（ニ）は和優勢信号を、（ホ）
は差優勢信号をそれぞれ示す。第１及び第２分離回路
（16）及び（17）の出力信号は、方向制御回路（18）に
印加され、該方向制御回路（18）はステレオマルチプレ
ックス回路（７）の出力信号中の１つの信号を強調する
為の第１乃至第４出力信号を発生し、第１乃至第４減衰
回路（19）乃至（22）を駆動して残りの３つの信号の減
衰を行なう。例えば、第１及び第２分離回路（16）及び
（17）の出力信号のうち、左優勢信号のみが発生したな
らば、方向制御回路（18）の第２乃至第３出力信号に応
じて、右ステレオ信号（Ｒ）、ステレオ和信号（Ｌ＋
Ｒ）及びステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）が所定量減衰され、
左ステレオ信号（Ｌ）の強調が行なわれる。

ところで、通常のFMステレオ放送においては、放送局
におけるエンコード時に、ステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）を
意識的に強調する場合がある。その様なステレオ差信号
が強調されたFMステレオ放送信号を受信し、方向性強調
を行なうと、前方に定位すべき信号が急激に後方に定位
してしまい、聴取者に違和感を与えるという問題があ
る。本発明においては、前記問題を解消する為、第５整
流回路（23）、第３時定数回路（24）及び第２レベル制
御回路（25）を配置している。以下にその動作を詳述す
る。

第２比較回路（13）の出力信号は、第２図（ニ）に示
す如く、ステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）が優勢な場合正の値
となり、ステレオ和信号（Ｌ＋Ｒ）が優勢な場合負の値
となる。しかして、第５図整流回路（23）は前記正の値
の出力信号を整流し、第３時定数回路（24）を介してレ
ベル制御回路（25）に印加する。ステレオ差信号（Ｌ−
Ｒ）が強調されていない信号の場合、第５整流回路（2
3）の出力信号が所定レベル以下となり、第２レベル制
御回路（25）はレベル制御動作に入らない。その為、第
２分離回路（17）から発生する差優勢信号は、そのまま
のレベルで方向制御回路（18）に印加される。

一方、ステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）が強調された信号が
受信された場合、第２比較回路（13）の正出力信号のレ
ベルが大になり、第５整流回路（23）の出力信号レベル
が大になり、第２レベル制御回路（25）が動作を開始す
る。その為、第５レベル制御回路（23）の出力信号レベ
ルに応じて、第２レベル制御回路（25）が動作し、第２
分離回路（17）のレベル制御が行なわれる。その結果、
差優勢信号は、第２図（ヘ）に一点鎖線で示す如く変化
し、その信号が方向制御回路（18）に印加されるので、
音が異常に後方に定位するという状態が防止される。
尚、第２レベル制御回路（25）をスイッチで構成し、第
５整流回路（23）の出力信号レベルが所定値以上となっ
たとき、前記スイッチを開き、差優勢信号の伝送を停止
させてもよい。

（ト）発明の効果 以上述べた如く、本発明に依れば、受信信号の状態に
応じて方向性強調を行なうことが出来るので、見掛け上
のセパレーションを向上させることが出来、臨場感を高
めることが出来る。特に、ステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）が
異常に優勢なとき、そのレベルを低下させる様にしてい
るので、放送局において異常な強調が行なわれたとして
も、異和感の生じない受信を行なうことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す回路図、第２図
（イ）乃至（ヘ）は本発明の説明に供する為の特性図で
ある。 （６）……FM検波回路、（７）……ステレオマルチプレ
ックス回路、（12），（13）……比較回路、（16），
（17）……分離回路、（18）……方向制御回路、（1
9）．（20），（21），（22）……減衰回路、（23）…
…整流回路、（25）……レベル制御回路。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】FMステレオ放送信号を受信する為のFMステ
   レオ受信機であって、 左ステレオ信号（Ｌ）と右ステレオ信号（Ｒ）との比に
   応じた第１制御信号を発生する第１比較回路と、 前記第１制御信号を左優勢信号と右優勢信号に分離する
   第１分離回路と、 ステレオ和信号（Ｌ＋Ｒ）とステレオ差信号（Ｌ−Ｒ）
   との比に応じた第２制御信号を発生する第２比較回路
   と、 前記第２制御信号を和優勢信号と差優勢信号に分離する
   第２分離回路と、 前記左右優勢信号と和差優勢信号とを用いて、ステレオ
   マルチプレックス回路の出力信号レベルを制御する第１
   レベル制御回路と、 前記第２制御信号のレベルを検出するレベル検出手段
   と、 該レベル検出手段の出力信号に応じて、前記差優勢信号
   のレベルを制御する第２レベル制御回路と、 を備えることを特徴とするFMステレオ受信機。
2. 【請求項２】前記第２レベル制御回路は、可変抵抗手段
   を含み、前記レベル検出手段の出力信号レベルに応じて
   前記可変抵抗手段の抵抗値が変化する様にしたことを特
   徴とする請求項第１項記載のFMステレオ受信機。
3. 【請求項３】前記第２レベル制御回路は、スイッチを含
   み、前記レベル検出手段の所定レベル以上の出力信号に
   応じて前記スイッチを制御し、優勢信号の伝送を停止す
   ることを特徴とする請求項第１項記載のFMステレオ受信
   機。