JPS6333813B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ラジオ放送などの受信にあたり、直
接の送信波と反射波とを一緒に受信することによ
つて生じるマルチパスを検出するための装置に関
する。

マルチパスが発生していることを検出すること
によつて、ダイバシチアンテナを用いた受信機で
はアンテナを切換えたり、ステレオ放送を受信す
ることができる受信機では左信号と右信号とを分
離する動作を停止するようにして、マルチパスの
発生による受信状態の悪化を防ぐことができる。
このような受信機が自動車に搭載されている場合
には、マルチパスの検出を迅速に行ない、またイ
グニシヨンノイズなどのように自動車から発生さ
れるノイズなどによつて誤検出を生じることを防
ぐ必要がある。

本発明の目的は、マルチパスの発生を迅速かつ
正確に検出することができる装置を提供すること
である。

本発明は、ステレイパイロツト信号の予め定め
た高調波を通過させる第１フイルタと該第１フイ
ルタの通過信号を検波する検波回路を有し該高調
波を検出する第１検出手段と、その高調波よりも
高い周波数信号を通過させる第２フイルタと該第
２フイルタの通過信号を検波する検波回路を有し
該信号を検出する第２検出手段と、前記第１検出
手段出力と前記第１検出手段出力を減算処理する
減算回路と、該減算回路の出力を所定レベルを比
較する比較回路からなり、該比較回路出力により
マルチパスが発生したことを検出するようにした
ことを特徴とするマルチパス検出装置である。

第１図は、本発明の一実施例のブロツク図であ
る。周波数変調（FM）ステレオ放送は、一対の
ダイバシチアンテナ１，２によつて受信される。
このアンテナ１，２からの信号は、切換え回路３
からフロントエンド回路４に与えられて高周波増
幅されるとともに、スーパヘテロダイン受信のた
めに中間周波信号が得られる。フロントエンド回
路４からの出力は、中間周波フイルタ５を介して
中間周波増幅回路６に与えられて増幅される。中
間周波増幅回路６からの出力は、復調・分離回路
７に与えられてステレオ放送の左信号および右信
号に分離される。左信号は、増幅回路８によつて
増幅され、スピーカ９によつて聞くことができ
る。右信号は、増幅回路１０によつて増幅され、
スピーカ１１によつて聞くことができる。

中間周波増幅回路６は、３つの増幅段６ａ，６
ｂ，６ｃを有し、各増幅段６ａ，６ｂ，６ｃから
の信号は、包絡線検波回路１２，１３，１４によ
つて検波される。これらの包絡線検波回路１２，
１３，１４からの出力は、ライン１５で合成さ
れ、ライン１５に導出されてマルチパス検出のた
めに用いられる。切換え回路３は、制御回路１６
によつてそのスイツチング態様が変化される。制
御回路１６は、ライン１７がハイレベルであると
き切換え回路３の切換え動作を繰り返し行ない、
ライン１７がローレベルであるとき切換え動作を
停止する。

第２図は、周波数変調ステレオ放送受信時にお
けるライン１５における信号の周波数スペクトラ
ムを示す。ステレオパイロツト信号Ａは、ステレ
オ放送が行なわれているときに発生され、19kHz
である。０〜19kHzの間に左信号と右信号との和
の信号（Ｌ＋Ｒ）が、参照符１８で示されるよう
に送信される。38kHzの上側および下側には対象
に、参照符１９，２０で示されるように左信号と
右信号の差の信号（Ｌ−Ｒ）がそれぞれ分布され
る。これらの周波数変調放送の周波数は、57kHz
未満である。

フロントエンド回路４からの中間周波信号は、
10.7MHzに定められており、中間周波フイルタ５
の波特性は第３図の曲線２１で示されるとおり
である。この中間周波フイルタ５の希望する理想
的な特性は参照符２２で示される。

本件発明者の実験によれば、マルチパスが発生
していない状態において、周波数変調ステレオ放
送時に右チヤネルだけ5kHzの周波数信号で変調
を行ない。左チヤネルは無変調である場合、ライ
ン１５からは第４図で示される周波数スペクトラ
ムが得られた。ここで、ライン１５における出力
レベルは、アンテナ１，２による受信信号の入力
レベルに比例している。第４図において、ステレ
オパイロツト信号Ａおよび変調信号Ｂ１，Ｂ２，
Ｂ３が得られるのは、中間周波フイルタ５の特性
が第３図に関連して前述したように理想的な特性
２２を有しておらず、特性２１で示されるとおり
だからである。

本件発明者の実験によれば、周波数変調ステレ
オ放送受信時において、マルチパスが発生し、か
つ右信号は5kHzで変調されている場合、第５図
で示される周波数スペクトラムがライン１５にお
いて得られた。ステレオパイロツト信号Ａの高調
波は、参照符Ａ１，Ａ２で示され、5kHzの変調
波Ｂ１の高調波は参照符Ｂ１１，Ｂ１２，Ｂ１
３，Ｂ１４，……で示され、33kHzの信号Ｂ２の
高調波の参照符Ｂ２１にて示され、43kHzの信号
Ｂ３の高調波は参照符Ｂ３１でそれぞれ示され
る。周波数変調ステレオ放送受信時においてマル
チパスが生じたときに必ず得られる信号は、ステ
レオパイロツト信号Ａとその高調波Ａ１，Ａ２，
……である。高調波Ａ１の周波数は38kHzであ
り、高調波Ａ２の周波数は57kHzである。ステレ
オパイロツト信号Ａの高調波Ａ２よりも、もう１
つ高次の高調波は19×3kHzであり、そのレベル
は小さい。

本件発明者の実験によれば、周波数変調ステレ
オ放送受信時において無変調であり、マルチパス
が生じておらず、かつイグニシヨンノイズをかぶ
つたときにおけるライン１５の周波数スペクトラ
ムは第６図に示されている。イグニシヨンノイズ
が生じたときには、周波数全域にわたるスペクト
ラムが得られることが判る。

第５図および第６図を参照して、50kHzにおけ
る信号が得られたときには、マルチパスが生じて
いるか、またはイグニシヨンノイズが生じている
かの少なくともいずれかである。また70kHz以上
の周波数範囲において比較的大きなレベルで信号
が得られたときには、イグニシヨンノイズが生じ
ている。

再び第１図を参照して、ライン１５からの信号
はバンドパスフイルタ２５およびバイパスフイル
タ２６に与えられる。バンドパスフイルタ２５
は、50kHzの周波数を有する信号を波して通過
させる。バイパスフイルタ２６は、70kHz以上の
周波数を有する信号を波して通過させる。バン
ドパスフイルタ２５およびバイパスフイルタ２６
からの信号は、検波回路２７，２８にそれぞれ与
えられて包絡線検波される。検波回路２７，２８
からの出力は、減算回路２９の入力端子３０，３
１にそれぞれ与えられる。減算回路２９は、入力
端子３０の電圧V30と、入力端子３１の電圧V31
との差（＝V30−V31）を有する信号を、出力端
子３２に導出する。この出力端子３２からの信号
は、比較回路３３の一方の入力端子３４に与えら
れる。比較回路３３の他方の入力端子３５には、
基準電圧Vrが与えられる。比較回路３３は、入
力端子３４の電圧が入力端子３５の基準電圧Vr
以上であるとき、出力端子３６にハイレベルの信
号を導出し、その他の場合には出力端子３６はロ
ーレベルのままである。出力端子３６からの信号
は、ライン１７を介して制御回路１６に与えられ
る。

マルチパスが生じておらずしかもイグニシヨン
ノイズが生じていないときには、検波回路２７，
２８からの出力レベルはいずれも低い。したがつ
て減算回路２９の出力端子３２、したがつて比較
回路３３の一方の入力端子３２の電圧は、基準電
圧Vr未満である。そのため出力端子３６、した
がつてライン１７はローレベルである。そのため
切換え回路３は、スイツチング態様を変化しな
い。

マルチパスが発生し、イグニシヨンノイズが生
じていないときには、検波回路２７の出力電圧は
高く、しかるに検波回路２８からの出力のレベル
は低い。したがつて減算回路２９の出力端子３２
から比較回路３３の入力端子３４に与えられる電
圧は、基準電圧Vrを超える。そのため比較回路
３３の出力端子３６からライン１７には、ハイレ
ベルの信号が導出される。制御回路１６は、切換
え回路３の切換え動作を行なう。そのためマルチ
パスが生じないように、アンテナ１または２から
信号がフロントエンド回路４に与えられることに
なる。

マルチパスが生じておらず、イグニシヨンノイ
ズが生じているときには検波回路２７からの出力
レベルが小さく、しかるに検波回路２８からの出
力レベルは大きい。したがつて減算回路２９の出
力端子３２から比較回路３３の入力端子３４に与
えられる信号の電圧は基準電圧Vr未満であり、
出力端子３６、したがつてライン１７はローレベ
ルのままである。

マルチパスが生じており、このとき同時にイグ
ニシヨンノイズを生じている場合において、マル
チパスの発生の程度が著しいときには、減算回路
２９の出力端子３２から比較回路３３の入力端子
３４に与えられる信号の電圧は基準電圧Vrを超
える。そのため比較回路３３の出力端子３６から
ライン１７にはハイレベルの信号が与えられる。

上述の実施例では、マルチパスが生じたときに
は比較回路３３の出力端子３６がハイレベルとな
り、これによつて切換え回路３によつてアンテナ
１，２が切換えて用いられるけれども、本発明の
他の実施例として単一のアンテナからの信号をフ
ロントエンド回路４に与えるようにした周波数変
調ステレオ放送受信機において比較回路３３の出
力端子３６がハイレベルになつたとき復調・分離
回路７の分離動作が休止されるように構成し、こ
れによつてマルチパスの発生時における受信状態
の悪化を防ぐようにしてもよい。

本発明のさらに他の実施例として、マルチパス
の発生時において他の動作が行なわれるようにし
てもよい。

本発明は、周波数変調放送に関連して実施され
るだけでなく、広く一般の通信のために用いるこ
とができる。

以上のように本発明によれば、イグニシヨンノ
イズなどのノイズの発出時に拘らずマルチパスの
発生を迅速かつ正確に検出することができるよう
になる。すなわち本発明では、ステレオパイロツ
ト信号の予め定めた高調波と該高調波よりも高い
周波数信号との関係により、換言すれば自動車の
イグニツシヨンノイズ等の影響も考慮してマルチ
パスを検出したもので、マルチパスの誤検出によ
るマルチパスノイズ処理による悪影響、即ち例え
ばダイバーシテイ受信システムにおける無用なア
ンテナ切り換えによるＳ／Ｎの劣下等を防ぐもの
である。また、マルチパスの強度を自動車のノイ
ズの強度との比較結果によりマルチパス検出を判
断しているため、よりきめの細かい制御が行え
る。即ちダイバーシテイ受信システムを例にあげ
ると、自動車のノイズが強い時には受信状態が悪
いためマルチパスが発生したことを検出してアン
テナを切り換えてもあまり効果がなく、逆にアン
テナ切り換えによる音の変化、Ｓ／Ｎの劣下が目
立つが本発明によれば、このようなことは起こら
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例のブロツク図、第２
図は周波数変調ステレオ放送の周波数スペクトラ
ムを示す図、第３図は中間周波フイルタ５の特性
を示す図、第４図〜第６図は本件発明者の実験に
よる周波数スペクトラムを示す図である。 １，２……アンテナ、３……切換回路、４……
フロントエンド回路、５……中間周波フイルタ、
６……中間周波増幅回路、７……復調・分離回
路、８，１０……増幅回路、９，１１……スピー
カ、１２，１３，１４……包絡線検波回路、２５
……バンドパスフイルタ、２６……ハイパスフイ
ルタ、２７，２８……包絡線検波回路、２９……
減算回路、３３……比較回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ステレオパイロツト信号の予め定めた高調波
   を通過させる第１フイルタと該第１フイルタの通
   過信号を検波する検波回路を有し該高調波を検出
   する第１検出手段と、その高調波よりも高い周波
   数信号を通過させる第２フイルタと該第２フイル
   タの通過信号を検波する検波回路を有し該信号を
   検出する第２検出手段と、前記第１検出手段出力
   と前記第２検出手段出力を減算処理する減算回路
   と、該減算回路の出力を所定レベルを比較する比
   較回路からなり、該比較回路出力によりマルチパ
   スが発生したことを検出するようにしたことを特
   徴とするマルチパス検出装置。