JP2895534B2 - 蒸気滅菌器とその運転方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明に係る蒸気滅菌器とその運転方法は、病院や
各種研究所に於いて、細菌、ウイルス等が付着した各種
物品を滅菌処理する場合に利用する。

（従来の技術） 病院や各種研究所に於いては、患者用衣服、実験器
具、排泄物等、細菌やウイルスが付着した物品を再使用
したり、或は一般生活ゾーンに取り出すのに先立ち、こ
の様な物品や排泄物を滅菌処理しなければならない。

この為従来から、第２図に示す様な蒸気滅菌器によ
り、上述の様な物品の滅菌処理を行なっている。

この第２図に於いて１は、内部に被滅菌物を収納自在
に内筒、２は、この内筒１の周囲を囲む外筒、３は、こ
の外筒２の内面と上記内筒１の外面との間に設けられた
加熱ジャケット、４は、上記内筒１の内側に高温高圧の
水蒸気を送り込み自在な第一の給蒸管、５は、この第一
の給蒸管の途中に設けた第一の給蒸弁、６は、上記加熱
ジャケット３の内側に高温高圧の水蒸気を送り込み自在
な第二の給蒸管、７は、この第二の給蒸管６の途中に設
けた第二の給蒸弁、８は、上記内筒１の底部に溜まった
ドレンを排出する為の第一のドレン管、10は、上記加熱
ジャケット３の底部に溜まったドレンを排出する為の第
二のドレン管である。

第一、第二のドレン管８、10の下流側端部は、図示し
ないキルタンクに接続して、このキルタンク内で、ドレ
ン中に混入した細菌やウイルスの滅菌処理を行なう様に
している。

又、上記第一のドレン管８の途中から分岐した排気管
12の途中には、水封式の真空ポンプ13を設けて、前記内
筒１内の気体を排出自在としている。そして、この真空
ポンプ13から水と共に排出される気体も、前記キルタン
クに送り込む様にしている。

上述の様に構成される蒸気滅菌器により、患者用衣服
や実験器具等の被滅菌物の滅菌処理を行なう場合、先
ず、前記第二の給蒸弁７を開けて加熱ジャケット３内に
高温高圧の水蒸気を送り込むと共に、上記内筒１内に被
滅菌物を収納する。

その後、上記第一の給蒸弁５を開けて内筒１内に高温
高圧の水蒸気を送り込み、この内筒１内に収納された被
滅菌物の滅菌処理を行なう。

第二の給蒸管６から送り込まれた水蒸気が加熱ジャケ
ット３内で凝縮する事により発生し、この加熱ジャケッ
ト３の底部に溜まったドレンは、第二のドレン管10を通
じて、第一の給蒸管４から送り込まれた水蒸気が内筒１
内で凝縮する事により発生し、この内筒１の底部に溜ま
ったドレンは、第一のドレン管８を通じて、それぞれキ
ルタンクに排出され、ドレン内に混入した細菌やウイル
スを滅菌処理してから、下水等の排水施設に排出する様
にしている。

内筒１内に高温高圧の水蒸気を送り込む事で、内筒１
内に収納された被滅菌物の滅菌処理を行なったならば、
第二の給蒸管６を通じての加熱ジャケット３内への水蒸
気送り込みを継続したまま真空ポンプ13を運転し、内筒
１内を負圧にして、水蒸気による滅菌処理によって濡れ
た被滅菌物を乾燥してから、この被滅菌物を内筒１から
取り出す。

（発明が解決しようとする課題） ところで、内筒１から排出されるドレン中には、被滅
菌物に付着していた細菌やウイルスが混入する為、この
ドレンをそのまま下水等の排水施設に排出する事は危険
であり、この為前述の様に、上記ドレンをキルタンク中
で滅菌処理してから、排水施設に排出する様にしてい
る。

ところが、ウイルスによっては、キルタンクに付属の
フイルタを通過するものが出現する可能性があり、キル
タンク内での滅菌処理では確実に滅菌処理出来ない可能
性を否定出来ず、二次感染の防止を図る為には、ドレン
の滅菌をより確実に行なえる様にする事が望まれてい
る。

本発明の蒸気滅菌器とその運転方法は、上述の様な事
情に鑑みて考えられたものである。

（課題を解決する為の手段） 本発明の蒸気滅菌器とその運転方法の内、蒸気滅菌器
は、前述した従来の蒸気滅菌器と同様に、内部に被滅菌
物を収納自在な内筒と、この内筒の周囲を囲む外筒と、
この外筒の内面と上記内筒の外面との間に設けられた加
熱ジャケットと、上記内筒の内側に高温高圧の水蒸気を
送り込み自在な第一の給蒸管と、この第一の給蒸管の途
中に設けた第一の給蒸弁と、上記加熱ジャケットの内側
に高温高圧の水蒸気を送り込み自在な第二の給蒸管と、
この第二の給蒸管の途中に設けた第二の給蒸弁と、上記
加熱ジャケットの底部に溜まったドレンを排出する為の
第二のドレン管と、この第二のドレン管の途中に設けた
第二のドレン弁とから構成されている。

更に、上記第二の給蒸管の下流側端部を、上記外筒の
上部に接続すると共に、この第二の給蒸管の一部で、上
記下流側端部と上記第二の給蒸弁との間に位置する中間
部分を、上記加熱ジャケットの下方に配置し、上記内筒
の底部に上端部を接続し、途中に第三のドレン弁を設け
た第三のドレン管の下端部を、上記中間部分に接続して
いる。

又、運転方法の発明は、上記第二の給蒸弁を開けて加
熱ジャケット内に高温高圧の水蒸気を送り込むと共に、
上記内筒内に被滅菌物を収納した後、上記第一の給蒸弁
を開けて内筒内に高温高圧の水蒸気を送り込み、その後
第二の給蒸弁を閉じ、それ迄閉じていた第三のドレン弁
を開いて、内筒の底部に溜まったドレンを第三のドレン
管と第二の給蒸管とを通じて加熱ジャケット内に送り込
み、この加熱ジャケットの底部に接続した第二のドレン
管を通じて排出する。

（作用） 上述の様に構成される本発明の蒸気滅菌器とその運転
方法によれば、内筒の底部に溜まったドレンは、第三の
ドレン管と第二の給蒸管を通じて加熱ジャケットの上部
に送り込まれ、この加熱ジャケットを流下してから、第
二のドレン管を通じて排出される。

この間、内筒から送り出されたドレンは、再加熱され
て高温に曝され続け、このドレンに混入した細菌やウイ
ルスが滅菌される。

（実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ、本発明を更に詳し
く説明する。

第１図は本発明の蒸気滅菌器の実施例を示す回路図で
ある。

この第１図に於いて１は、内部に被滅菌物を収納自在
な内筒、２は、この内筒１の周囲を囲む外筒、３は、こ
の外筒２の内面と上記内筒１の外面との間に設けられた
加熱ジャケット、４は、上記内筒１の内側に高温高圧の
水蒸気を送り込み自在な第一の給蒸管、５は、この第一
の給蒸管４の途中に設けた第一の給蒸弁、６は、上記加
熱ジャケット３の内側に高温高圧の水蒸気を送り込み自
在な第二の給蒸管、７は、この第二の給蒸管６の途中に
設けた第二の給蒸弁、８は、上記内筒１の底部に溜まっ
たドレンを排出する為の第一のドレン管、９は、この第
一のドレン管８の途中に設けた第一のドレン弁、10は、
上記加熱ジャケット３の底部に溜まったドレンを排出す
る為の第二のドレン管、11は、この第二のドレン管10の
途中に設けた第二のドレン弁である。

第一、第二のドレン管８、10の下流側端部は、図示し
ないキルタンクに接続して、このキルタンク内で、ドレ
ン中に混入した細菌やウイルスの滅菌処理を行なう様に
している。

又、上記第一のドレン管８の途中から分岐した排気管
12の途中には、水封式の真空ポンプ13を設けて、前記内
筒１内の気体を排出自在としている。そして、この真空
ポンプ13から水と共に排出される気体も、前記キルタン
クに送り込む様にしている。

更に、上記第二の給蒸管６の下流側端部を、上記外筒
２の上面に接続すると共に、この第二の給蒸管６の一部
で、上記下流側端部と上記第二の給蒸弁７との間に位置
する中間部分を、上記加熱ジャケット３の下方に配置し
ている。

そして、上記内筒１の底部に上端部を接続し、途中に
第三のドレン弁14を設けた第三のドレン管15の下端部
を、上記中間部分に接続している。

上述の様に構成される蒸気滅菌器を運転する場合、先
ず第二の給蒸弁７を開けて、加熱ジャケット３内に高温
高圧の水蒸気を送り込むと共に、内筒１内に被滅菌物を
収納する。

その後、第一のドレン弁９の閉じた状態で、上記第一
の給蒸弁５を開けて内筒１内に高温高圧の水蒸気を送り
込み、この内筒１内に収納された被滅菌物の滅菌処理を
行なう。この際、必要に応じて、加熱ジャケット３内の
温度を、内筒１内の温度よりも高くすれば、内筒１の底
部に溜まったドレンが蒸発し、内筒１内に充満した水蒸
気の量をより多くして、被滅菌物の滅菌処理の効率を向
上させる事が出来る。

所定時間の滅菌処理を完了したならば、それ迄開いて
いた第二の給蒸弁７を閉じ、第三のドレン弁14を開いた
状態とする。第一の給蒸弁５は、閉じても、或は開いた
ままの状態でも、何れでも良い。

この結果、加熱ジャケット３内には新たな水蒸気の送
り込みが行なわれなくなり、この加熱ジャケット３内の
水蒸気が凝縮する事により加熱ジャケット３内の圧力が
低下する。そして、加熱ジャケット３内の圧力が低下す
る事に伴ない、内筒１の底部に溜まったドレンが、第三
のドレン管15と第二の給蒸管６とを通じて加熱ジャケッ
ト３内に送り込まれる。そしてこのドレンは、上記加熱
ジャケット３内を流下し、この加熱ジャケット３の底部
に接続した第二のドレン管10を通じて排出される。

この間に、内筒１から送り出されたドレンは、加熱ジ
ャケット３内で高温に曝され続け、このドレンに混入し
た細菌やウイルスが滅菌される。

第二のドレン管10から排出されたドレンは、更にキル
タンクで滅菌処理を受けてから、下水等の排水施設に排
出される為、ドレン中に混入した細菌やウイルスの滅菌
処理は、確実なものとなる。

（発明の効果） 本発明の蒸気滅菌器とその運転方法は、以上に述べた
通り構成され作用する為、ドレン中に混入した細菌やウ
イルスの滅菌処理を確実に行なう事が出来、二次感染の
危険性をより少なくする事が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の、第２図は従来の、それぞれ蒸気滅菌
器を示す回路図である。 1:内筒、2:外筒、3:加熱ジャケット、4:第一の給蒸管、
5:第一の給蒸弁、6:第二の給蒸管、7:第二の給蒸弁、8:
第一のドレン管、9:第一のドレン弁、10:第二のドレン
管、11:第二のドレン弁、12:排気管、13:真空ポンプ、1
4:第三のドレン弁、15:第三のドレン管。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に被滅菌物を収納自在な内筒と、この
   内筒の周囲を囲む外筒と、この外筒の内面と上記内筒の
   外面との間に設けられた加熱ジャケットと、上記内筒の
   内側に高温高圧の水蒸気を送り込み自在な第一の給蒸管
   と、この第一の給蒸管の途中に設けた第一の給蒸弁と、
   上記加熱ジャケットの内側に高温高圧の水蒸気を送り込
   み自在な第二の給蒸管と、この第二の給蒸管の途中に設
   けた第二の給蒸弁と、上記加熱ジャケットの底部に溜ま
   ったドレンを排出する為の第二のドレン管と、この第二
   のドレン管の途中に設けた第二のドレン弁とから成り、
   上記第二の給蒸管の下流側端部を、上記外筒の上部に接
   続すると共に、この第二の給蒸管の一部で、上記下流側
   端部と上記第二の給蒸弁との間に位置する中間部分を、
   上記加熱ジャケットの下方に配置し、上記内筒の底部に
   上端部を接続し、途中に第三のドレン弁を設けた第三の
   ドレン管の下端部を、上記中間部分に接続した蒸気滅菌
   器。
2. 【請求項２】内部に被滅菌物を収納自在な内筒と、この
   内筒の周囲を囲む外筒と、この外筒の内面と上記内筒の
   外面との間に設けられた加熱ジャケットと、上記内筒の
   内側に高温高圧の水蒸気を送り込み自在な第一の給蒸管
   と、この第一の給蒸管の途中に設けた第一の給蒸弁と、
   上記加熱ジャケットの内側に高温高圧の水蒸気を送り込
   み自在な第二の給蒸管と、この第二の給蒸管の途中に設
   けた第二の給蒸弁と、上記加熱ジャケットの底部に溜ま
   ったドレンを排出する為の第二のドレン管と、この第二
   のドレン管の途中に設けた第二のドレン弁とから成り、
   上記第二の給蒸管の下流側端部を、上記外筒の上部に接
   続すると共に、この第二の給蒸管の一部で、上記下流側
   端部と上記第二の給蒸弁との間に位置する中間部分を、
   上記加熱ジャケットの下方に配置し、上記内筒の底部に
   上端部を接続し、途中に第三のドレン弁を設けた第三の
   ドレン管の下端部を、上記中間部分に接続した蒸気滅菌
   器の運転方法であって、上記第二の給蒸弁を開けて加熱
   ジャケット内に高温高圧の水蒸気を送り込むと共に、上
   記内筒内に被滅菌物を収納した後、上記第一の給蒸弁を
   開けて内筒内に高温高圧の水蒸気を送り込み、その後第
   二の給蒸弁を閉じ、それ迄閉じていた第三のドレン弁を
   開いて、内筒の底部に溜まったドレンを第三のドレン管
   と第二の給蒸管とを通じて加熱ジャケット内に送り込
   み、この加熱ジャケットの底部に接続した第二のドレン
   管を通じて排出する、蒸気滅菌器の運転方法。