JP2893767B2 - 荷電粒子集束装置 - Google Patents

荷電粒子集束装置

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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H05H7/00Details of devices of the types covered by groups H05H9/00, H05H11/00, H05H13/00
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
この発明は、たとえばイオン注入装置などの、荷電粒
子を発生し、それを利用する装置において荷電粒子を輸
送するのに好適な、荷電粒子集束装置に関する。
【従来の技術】
従来より、第5図に示すような4重極レンズ(または
Qレンズと呼ばれる)が知られている(日本学術振興会
第132委員会編「電子イオンビームハンドブック」第2
版、日刊工業新聞社刊、pp.72−82)。これは、第5図
のように4つの直線状の棒状極子51〜54を、x−y−z
直角座標系におけるx−y平面上に配置したもので、互
いに対向する極子51、52の対には正の電位(またはNの
磁位)を、他の対向する極子53、54の対には負の電位
(またはSの磁位)を与え、これらの対を90゜の角度で
配置している。同様の極子61〜64をz軸方向に比べて2
段、または3段以上の4重極レンズ構成とすることもあ
る。多段構成の場合、z方向に隣接するもの同士で電位
(磁位)を反転させる。 このような電位(磁位)を与えられた極子によって、
極子に囲まれる空間内に、この空間をz方向に進む荷電
粒子に対して強集束と強発散の力を及ぼす場を作る。こ
れにより一種の合成レンズとして荷電粒子に作用させ、
荷電粒子の流れを集束してz軸上の1箇所に集めること
ができる。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記のような4重極レンズで
は、各極子の正・負の電位(またはS・Nの磁位)の微
調整が必要であり、また、元来エネルギーの揃った荷電
粒子の流れをz軸上の1箇所に集めるためのものである
ことからして、エネルギーの揃わない荷電粒子の流れを
遠距離まで輸送したり、z軸近傍に閉じ込めることは不
可能であり、さらに荷電粒子の輸送経路も直線に限られ
る。 この発明は、荷電粒子を遠距離まで輸送することがで
きるとともに、輸送経路も任意の曲線とすることができ
る、荷電粒子集束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明による荷電粒子集
束装置においては、荷電粒子の輸送経路の中心軸に沿っ
て配置された偶数個の実質的に長尺な極子が備えられ、
それらの2個ずつは上記輸送経路の中心軸に対して対称
に配置されて対向しており、この対向関係を保ってこれ
らの長尺の極子が上記輸送経路の中心軸の回りに実質的
に連続螺旋状に半回転以上旋回するようにして配置さ
れ、それぞれの対の極子には同一極性の電位または磁位
が与えられるとともに、隣接する極子対の間では反対極
性の電位または磁位が与えられることが特徴となってい
る。
【作用】
極子は実質的に長尺であって、荷電粒子の輸送経路の
中心軸の回りに実質的に連続螺旋状に半回転以上旋回す
るようにして、輸送経路の中心軸に沿って配置されてい
る。この極子は、輸送経路方向に実質的に長尺であっ
て、偶数個設けられる。この2個ずつが対をなしてお
り、各対を構成する2つの極子は輸送経路の中心軸に対
して対向するようにされている。そしてこの関係を保っ
て上記のように輸送経路の長手方向に連続螺旋状に半回
転以上旋回するよう配置されている。さらに、実質的に
長尺となっているそれらの極子には、対向する対ごとに
異なる電位または磁位が与えられ、それぞれの対をなす
2つの極子は同一極性とされ、隣接する極子対の間では
極性が反対となるようにされる。 したがって、従来の四重極レンズが荷電粒子の進行方
向に行くにしたがって徐々に連続的に螺旋状に半回転以
上旋回していくのと同じになる。 そのため、荷電粒子の輸送経路のある位置を横切る平
面では、荷電粒子は、ある極子対を結ぶ方向に強集束
の、他の極子対を結ぶ方向に強発散の、電気的あるいは
磁気的力を受ける。そして、各極子が輸送経路の方向に
おいて連続螺旋状に旋回するため、これらの力の方向も
荷電粒子が進むにしたがって、輸送経路を横切る平面内
で回転して行くことになる。そしてある距離だけ進んだ
位置では集束方向と発散方向とが逆転する。 その結果、荷電粒子はいつも輸送経路の中心軸の回り
を振動しつつ進むことになり、極子により形成される空
間から外れることがないので、荷電粒子を長い距離輸送
することができる。 また、上記のように連続螺旋状に半回転以上旋回する
よう配置される長尺の極子群を曲げても、荷電粒子はそ
の曲がりに沿って進行することになる。そのため荷電粒
子の輸送経路を任意の曲線とすることもできる。
【実 施 例】
つぎにこの発明の一実施例について図面を参照しなが
ら説明する。第1図において、4本の長尺の棒状極子
1、2、3、4が荷電粒子輸送経路の中心軸(ここでは
z軸)を取り囲むようにして、z軸方向に一定のピッチ
で螺旋状に旋回しながらz軸に沿って配置されている。
z軸に直角なx−y面について見てみると、どのx−y
面でも、z軸を中心として棒状極子1、3が対向してい
るとともに棒状極子2、4が対向している。隣接する極
子1、3の対と極子2、4の対との間はこの実施例では
直角になっているが必ずしも直角である必要はない。 これら4つの長尺棒状極子1〜4は、電界型の場合導
電性の材料からなり、磁界型の場合磁性体材料からなっ
ていて、第2図に示すように対向するもの同士に同極性
の電位または磁位が与えられ、隣接する対の間では反対
極性の電位または磁位が与えられた4重極レンズの構成
となっている。 正の荷電粒子がz軸方向に進むとき、あるx−y面で
第2図のような極子1〜4が構成されていたとすると、
その位置ではo−x方向には強い集束力を、o−y方向
には強い発散力を受ける。ところが極子1〜4が長尺で
あって螺旋状に旋回しているため、荷電粒子がz方向に
進行するにしたがって、その集束力を受ける方向と発散
力を受ける方向が変化していき、第2図のような状態と
なっている位置より1/8ピッチだけ進んだ位置では集束
力はo−y方向に、発散力はo−x方向にと、その力の
方向が逆転する。 このように荷電粒子は4つの棒状極子1〜4内部で常
に力の方向が変化する集束及び発散の力を受けるが、系
全体で力を合成すると粒子が常に集束力を受けるよう各
極子1〜4の電位または磁位の調整を行うことにより、
粒子がいつもz軸の回りを振動しつつ進むようにするこ
とができる。第3図A,B,Cはその荷電粒子の軌跡を示す
もので、第3図Aは棒状極子1、3に+10kV、棒状極子
2、4に−5kVを加えて100keVの1価の正イオンを注入
したときの軌跡を、第3図Bは棒状極子1、3に+16k
V、棒状極子2、4に−8kVを加えて1000keVの1価の正
イオンを注入したときの軌跡を、第3図Cは棒状極子
1、3に+16kV、棒状極子2、4に−8kVを加えて3000k
eVの1価の正イオンを注入したときの軌跡を、それぞれ
示す。なお螺旋のピッチはz方向に16cmとしている。こ
の第3図A,B,Cより、進行する荷電粒子の振動周期は粒
子の持つエネルギーが高いほど大きなものとなることが
分かる。このように荷電粒子が振動しながらも棒状極子
1〜4の囲まれた空間を外れずにZ方向に進行するた
め、4本の棒状極子1〜4で長尺の荷電粒子輸送系の実
現ができたことになる。 また、第3図Dは上記4つの棒状極子1〜4によって
構成される輸送系に対して、勾配をもたせて荷電粒子を
入射したときの粒子軌跡を示したものである。この場
合、極子1、3に+10keV、極子2、4に−10keVを与
え、勾配dx/dz=0.05として100kxVの1価正イオンを入
射している。この第3図Dから、勾配をもたせて荷電粒
子を入射したときでも極子1〜4に囲まれた空間からは
み出すことなく粒子が進行することが分かる。したがっ
て棒状極子1〜4に曲率を与えても荷電粒子はそれに沿
って進行することになり、輸送経路に柔軟性をもたせ任
意の曲線状とすることが可能となる。 第4図A,Bは第2の実施例を示すものである。この第
2の実施例では、棒状極子1〜4のz方向に短く切断
し、それら短い棒状極子1a,1b,…、2a,2b,…、3a,3b,
…、4a,4b,…の各々は直線状とするが、その配置位置を
z軸に進にしたがってすこしずつ旋回させ、且つ棒状極
子1a,1b,…は同電位(磁位)、2a,2b,…は同電位(磁
位)、3a,3b,…は同電位(磁位)、4a,4b,…は同電位
(磁位)として、実質的に第1図の長尺の棒状極子1〜
4の構成と同じものとしている。この場合も、実質的に
第1図と同様の構成となるため、長尺の荷電粒子輸送系
が実現できる。 なお、上記では極子数を4としているが、8としたり
さらに数を増やすことも可能である。また、極子の位置
は対向する対については中心軸から等距離とする必要が
あるが、隣接する対の間では中心軸から同じ距離とする
必要はない。さらに、上記では正の荷電粒子について説
明したが、負の荷電粒子あるいは電子についても適用で
きる。
【発明の効果】
この発明の荷電粒子集束装置によれば、経路が非常に
長く、しかも経路を任意の曲線状とする柔軟性を持った
荷電粒子ビームの輸送系を作ることができる。したがっ
て、この荷電粒子集束装置を用いれば、イオン注入装置
や高エネルギービーム加速器などの小型化、低価格化が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例にかかる荷電粒子集束装置
を示す概念的な斜視図、第2図は第1図の各極子の電
位、または磁位を示す断面図、第3図A,B,C,Dはそれぞ
れ荷電粒子の軌跡を示す図、第4図はこの発明の第2の
実施例にかかる荷電粒子集束装置を示すもので、第4図
Aはz軸方向から見た正面図、第4図Bはx軸方向から
見た側面図、第5図は従来例の概念的な斜視図である。 1、2、3、4……棒状極子。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子の輸送経路の中心軸に沿って配置
    された偶数個の実質的に長尺な極子が備えられ、それら
    の2個ずつは上記輸送経路の中心軸に対して対称に配置
    されて対向しており、この対向関係を保ってこれらの長
    尺の極子が上記輸送経路の中心軸の回りに実質的に連続
    螺旋状に半回転以上旋回するようにして配置され、それ
    ぞれの対の極子には同一極性の電位または磁位が与えら
    れるとともに、隣接する極子対の間では反対極性の電位
    または磁位が与えられることを特徴とする荷電粒子集束
    装置。
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