JP2892262B2 - 紙葉類搬送用ベルト - Google Patents
紙葉類搬送用ベルトInfo
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- JP2892262B2 JP2892262B2 JP5274293A JP27429393A JP2892262B2 JP 2892262 B2 JP2892262 B2 JP 2892262B2 JP 5274293 A JP5274293 A JP 5274293A JP 27429393 A JP27429393 A JP 27429393A JP 2892262 B2 JP2892262 B2 JP 2892262B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙葉類搬送用ベルトの
改良に関し、特に摩擦係数の安定化対策に関するもので
ある。
改良に関し、特に摩擦係数の安定化対策に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、ATM(automated teller mac
hine)やCD(cash dispenser)等の現金預金支払機、
自動改札機等においては、図10に示すように、紙幣や
切符等の紙葉類aを複数のプーリb,b,…に巻き掛け
られた紙葉類搬送用ベルトc,dの間に挟んだ状態で多
方向に搬送することが行われている。このように紙葉類
aをベルトc,dで多方向に搬送する場合、搬送方向が
変わる変換箇所eでは、プーリbに対する巻付け長さが
プーリbに接触しているベルトcと接触していないベル
トdとで異なってくる。つまり、ベルト厚;2t、プー
リ半径;R、ベルト巻付け角;θとすると、プーリbに
接触しているベルトcの巻付け長さは(R+t)θとな
り、プーリbに接触していないベルトdの巻付け長さは
(R+3t)θとなって、両者の間に2tθの差が生ず
る。
hine)やCD(cash dispenser)等の現金預金支払機、
自動改札機等においては、図10に示すように、紙幣や
切符等の紙葉類aを複数のプーリb,b,…に巻き掛け
られた紙葉類搬送用ベルトc,dの間に挟んだ状態で多
方向に搬送することが行われている。このように紙葉類
aをベルトc,dで多方向に搬送する場合、搬送方向が
変わる変換箇所eでは、プーリbに対する巻付け長さが
プーリbに接触しているベルトcと接触していないベル
トdとで異なってくる。つまり、ベルト厚;2t、プー
リ半径;R、ベルト巻付け角;θとすると、プーリbに
接触しているベルトcの巻付け長さは(R+t)θとな
り、プーリbに接触していないベルトdの巻付け長さは
(R+3t)θとなって、両者の間に2tθの差が生ず
る。
【0003】この差は、駆動プーリとガイドプーリとの
プーリ間隔が長ければその間で吸収することが可能であ
るが、コンパクト化や高速化が要求されるATM等で
は、プーリ間隔を長く確保することができないのが現状
である。
プーリ間隔が長ければその間で吸収することが可能であ
るが、コンパクト化や高速化が要求されるATM等で
は、プーリ間隔を長く確保することができないのが現状
である。
【0004】したがって、ベルトc,dのベルト搬送面
間で滑りが与えられず、両者が完全に密着した状態でプ
ーリbを通過すると、上記巻付け長さの差に起因してプ
ーリbに接触していないベルトdに2tθの弛み部分f
が生じ、ベルト走行が不安定になる等の不具合が起きて
ベルトdがプーリbから外れるおそれがある。
間で滑りが与えられず、両者が完全に密着した状態でプ
ーリbを通過すると、上記巻付け長さの差に起因してプ
ーリbに接触していないベルトdに2tθの弛み部分f
が生じ、ベルト走行が不安定になる等の不具合が起きて
ベルトdがプーリbから外れるおそれがある。
【0005】また、ベルト搬送面間で滑りが起こるとし
ても、ベルトc,d間の摩擦係数が高いため、発熱して
ベルトc,dが早期に摩耗したり異音が発生して紙葉類
aの搬送に支障をきたすこととなる。
ても、ベルトc,d間の摩擦係数が高いため、発熱して
ベルトc,dが早期に摩耗したり異音が発生して紙葉類
aの搬送に支障をきたすこととなる。
【0006】そこで、例えば特公昭61―56140号
公報(以下、従来例1という)に開示されているよう
に、ニトリルゴムもしくはスチレンブタジエンゴムから
なる保形ゴム層にポリエステルからなる帆布を埋設する
とともに、該帆布を紙葉類が搬送されるベルト搬送面に
部分的に露出させたり、あるいは特公昭59―2468
4号公報や特開昭63―242848号公報(以下、従
来例2,3という)に開示されているように、帆布をそ
の緯糸と経糸とによって形成される凹凸形状がベルト搬
送面に現われるように保形ゴム層のベルト搬送面側に埋
設し、これによりベルト搬送面の摩擦係数を低減してベ
ルト搬送面間に滑りを与え、巻付け長さに起因するベル
トの弛みをなくして搬送をスムーズに行うようにした紙
葉類搬送用ベルトが提案されている。
公報(以下、従来例1という)に開示されているよう
に、ニトリルゴムもしくはスチレンブタジエンゴムから
なる保形ゴム層にポリエステルからなる帆布を埋設する
とともに、該帆布を紙葉類が搬送されるベルト搬送面に
部分的に露出させたり、あるいは特公昭59―2468
4号公報や特開昭63―242848号公報(以下、従
来例2,3という)に開示されているように、帆布をそ
の緯糸と経糸とによって形成される凹凸形状がベルト搬
送面に現われるように保形ゴム層のベルト搬送面側に埋
設し、これによりベルト搬送面の摩擦係数を低減してベ
ルト搬送面間に滑りを与え、巻付け長さに起因するベル
トの弛みをなくして搬送をスムーズに行うようにした紙
葉類搬送用ベルトが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の前者
の従来例1においては、保形ゴム層としてニトリルゴム
もしくはスチレンブタジエンゴムを用いているためにゴ
ム落ちの問題があり、搬送する紙葉類への汚染、ゴム落
ちしたゴム粉による粘着、搬送システム機内への汚染等
の問題となる。また、一般に、ポリエステル帆布は、そ
のままではゴムと接着しにくく、単にベルト搬送面に部
分的に露出しただけでは、ゴム落ちが起こる際に接着不
十分により帆布全体が露出してしまうことになる。しか
し、従来例1にはこれら接着処理等の対策については何
ら開示されていない。さらに、ニトリルゴムやスチレン
ブタジエンゴムは、室温時に比べ、例えば−5℃のよう
な低温時には硬くなり、ベルトの起動トルクを増大させ
てしまう。そのため、駆動モータ容量の増大等の問題が
発生する。
の従来例1においては、保形ゴム層としてニトリルゴム
もしくはスチレンブタジエンゴムを用いているためにゴ
ム落ちの問題があり、搬送する紙葉類への汚染、ゴム落
ちしたゴム粉による粘着、搬送システム機内への汚染等
の問題となる。また、一般に、ポリエステル帆布は、そ
のままではゴムと接着しにくく、単にベルト搬送面に部
分的に露出しただけでは、ゴム落ちが起こる際に接着不
十分により帆布全体が露出してしまうことになる。しか
し、従来例1にはこれら接着処理等の対策については何
ら開示されていない。さらに、ニトリルゴムやスチレン
ブタジエンゴムは、室温時に比べ、例えば−5℃のよう
な低温時には硬くなり、ベルトの起動トルクを増大させ
てしまう。そのため、駆動モータ容量の増大等の問題が
発生する。
【0008】一方、後者の従来例2,3においては、帆
布上に薄い被覆層を形成しているが、紙葉類との摩擦
や、前述の巻付け長さの差を解消するためにベルト間が
滑ると、上記被覆層が容易に剥がれてしまい、帆布自体
が露出して被覆層がある場合に比べて摩擦係数が大きく
変化してしまう。このように摩擦係数が大きく変化する
と、被覆層を有する使用初期に比べて搬送能力が低下す
るという問題が発生する。しかし、予めベルトの摩擦係
数を見込んで搬送システムを設計することは非常に難し
いことである。
布上に薄い被覆層を形成しているが、紙葉類との摩擦
や、前述の巻付け長さの差を解消するためにベルト間が
滑ると、上記被覆層が容易に剥がれてしまい、帆布自体
が露出して被覆層がある場合に比べて摩擦係数が大きく
変化してしまう。このように摩擦係数が大きく変化する
と、被覆層を有する使用初期に比べて搬送能力が低下す
るという問題が発生する。しかし、予めベルトの摩擦係
数を見込んで搬送システムを設計することは非常に難し
いことである。
【0009】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、帆布を保形ゴム層に
適正に埋設することにより、ベルト搬送面の摩擦係数を
安定させんとすることにある。
であり、その目的とするところは、帆布を保形ゴム層に
適正に埋設することにより、ベルト搬送面の摩擦係数を
安定させんとすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、紙葉類を挟んだ状態で多方向に搬送する
紙葉類搬送用ベルトを対象とし、次のような解決手段を
講じた。
め、本発明は、紙葉類を挟んだ状態で多方向に搬送する
紙葉類搬送用ベルトを対象とし、次のような解決手段を
講じた。
【0011】すなわち、本発明の第1の解決手段は、紙
葉類搬送用ベルトを保形ゴム層と、該保形ゴム層に埋設
された編物もしくは織物からなる帆布とで構成する。さ
らに、該帆布を上記紙葉類が搬送されるベルト搬送面に
部分的に露出させる。この場合、該露出部分の糸目をベ
ルト幅方向に配向させることなくベルト周方向にのみ配
向させたことを特徴とする。
葉類搬送用ベルトを保形ゴム層と、該保形ゴム層に埋設
された編物もしくは織物からなる帆布とで構成する。さ
らに、該帆布を上記紙葉類が搬送されるベルト搬送面に
部分的に露出させる。この場合、該露出部分の糸目をベ
ルト幅方向に配向させることなくベルト周方向にのみ配
向させたことを特徴とする。
【0012】本発明の第2の解決手段は、第1の解決手
段において、保形ゴム層をミラブルウレタンゴムにした
ことを特徴とする。
段において、保形ゴム層をミラブルウレタンゴムにした
ことを特徴とする。
【0013】本発明の第3の解決手段は、第1の解決手
段において、保形ゴム層をイソプレンゴム及び/又はエ
チレンプロピレンゴムにしたことを特徴とする。
段において、保形ゴム層をイソプレンゴム及び/又はエ
チレンプロピレンゴムにしたことを特徴とする。
【0014】本発明の第4の解決手段は、第1の解決手
段において、帆布を構成する糸をポリウレタン糸の周り
をポリアミド糸もしくはポリエステル糸で覆ったカバー
リング糸で構成したことを特徴とする。
段において、帆布を構成する糸をポリウレタン糸の周り
をポリアミド糸もしくはポリエステル糸で覆ったカバー
リング糸で構成したことを特徴とする。
【0015】本発明の第5の解決手段は、第4の解決手
段において、ポリウレタン糸の太さを2.22テクスに
し、ポリアミド糸もしくはポリエステル糸の太さを6.
67〜13.33テクスにしたことを特徴とする。
段において、ポリウレタン糸の太さを2.22テクスに
し、ポリアミド糸もしくはポリエステル糸の太さを6.
67〜13.33テクスにしたことを特徴とする。
【0016】
【作用】上記の構成により、本発明の第1の解決手段で
は、帆布がベルト搬送面に部分的に露出していることか
ら、紙葉類とベルト搬送面との摩擦係数が搬送に支障な
き程度に確保され、かつベルト間の摩擦係数が低減し、
さらには摩擦係数の経時変化が少なくなる。また、紙葉
類と保形ゴム層との接触面積が減り、紙葉類の汚染が少
なくなる。
は、帆布がベルト搬送面に部分的に露出していることか
ら、紙葉類とベルト搬送面との摩擦係数が搬送に支障な
き程度に確保され、かつベルト間の摩擦係数が低減し、
さらには摩擦係数の経時変化が少なくなる。また、紙葉
類と保形ゴム層との接触面積が減り、紙葉類の汚染が少
なくなる。
【0017】さらに、帆布の露出部分の糸目がベルト幅
方向に配向せしめられることなくベルト周方向にのみ配
向せしめられていることから、ベルト間の摩擦係数がよ
り安定し、かつ摩擦係数の経時変化がより少なくなる。
方向に配向せしめられることなくベルト周方向にのみ配
向せしめられていることから、ベルト間の摩擦係数がよ
り安定し、かつ摩擦係数の経時変化がより少なくなる。
【0018】本発明の第2の解決手段では、保形ゴム層
を構成するミラブルウレタンゴムの性質により、ベルト
からのゴム落ちが少なくなり、搬送システム機内の汚染
が低減する。
を構成するミラブルウレタンゴムの性質により、ベルト
からのゴム落ちが少なくなり、搬送システム機内の汚染
が低減する。
【0019】本発明の第3の解決手段では、保形ゴム層
を構成するイソプレンゴム及び/又はエチレンプロピレ
ンゴムの性質により、低温時にベルトが硬くならず、起
動トルクが少なくて済む。
を構成するイソプレンゴム及び/又はエチレンプロピレ
ンゴムの性質により、低温時にベルトが硬くならず、起
動トルクが少なくて済む。
【0020】本発明の第4の解決手段では、ポリウレタ
ン糸の周りをポリアミド糸もしくはポリエステル糸で覆
ったカバーリング糸により帆布が構成されていることか
ら、ベルト成形時に帆布を伸張した状態で金型にセット
した際、糸目(編み目、織り目)の乱れが少なくなり、
ベルト成形後に帆布の露出状態が均一になる。その結
果、摩擦係数が一定となり、紙葉類の走行安定性が増
す。
ン糸の周りをポリアミド糸もしくはポリエステル糸で覆
ったカバーリング糸により帆布が構成されていることか
ら、ベルト成形時に帆布を伸張した状態で金型にセット
した際、糸目(編み目、織り目)の乱れが少なくなり、
ベルト成形後に帆布の露出状態が均一になる。その結
果、摩擦係数が一定となり、紙葉類の走行安定性が増
す。
【0021】本発明の第5の解決手段では、帆布を構成
するカバーリング糸の心線であるポリウレタン糸の太さ
が2.22テクスに、その周りを覆うポリアミド糸もし
くはポリエステル糸の太さが6.67〜13.33テク
スにそれぞれ設定されていることから、帆布がベルトの
性能に悪影響を及ぼさない。
するカバーリング糸の心線であるポリウレタン糸の太さ
が2.22テクスに、その周りを覆うポリアミド糸もし
くはポリエステル糸の太さが6.67〜13.33テク
スにそれぞれ設定されていることから、帆布がベルトの
性能に悪影響を及ぼさない。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
する。
【0023】図1および図2は本発明の実施例に係る紙
葉類搬送用ベルト1を示す。該ベルト1はベルト本体を
構成する保形ゴム層2を備えてなり、該保形ゴム層2に
よってベルト1の形状保持や張力維持等を行っている。
この保形ゴム層2には、編物もしくは織物からなる帆布
3が埋設されている。また、本発明の特徴として、該帆
布3は、紙葉類a(図10参照)が搬送されるベルト搬
送面1a側(図で上側)に偏って埋設され、該ベルト搬
送面1aに部分的に露出されている。また、この帆布3
の露出部分の糸3aの糸目はベルト幅方向に配向せしめ
られることなくベルト周方向にのみ配向せしめられてい
る。
葉類搬送用ベルト1を示す。該ベルト1はベルト本体を
構成する保形ゴム層2を備えてなり、該保形ゴム層2に
よってベルト1の形状保持や張力維持等を行っている。
この保形ゴム層2には、編物もしくは織物からなる帆布
3が埋設されている。また、本発明の特徴として、該帆
布3は、紙葉類a(図10参照)が搬送されるベルト搬
送面1a側(図で上側)に偏って埋設され、該ベルト搬
送面1aに部分的に露出されている。また、この帆布3
の露出部分の糸3aの糸目はベルト幅方向に配向せしめ
られることなくベルト周方向にのみ配向せしめられてい
る。
【0024】そして、上述の如く構成されたベルト1
は、例えば図10に示すようにレイアウトされた搬送装
置の3つのプーリb,b,bと4つのプーリb,b,…
とにベルト搬送面1aを外側に向けてそれぞれ巻き掛け
られ、両ベルト1,1が接触するV字形状部分において
紙葉類aを挟んで多方向に搬送するようになされてい
る。
は、例えば図10に示すようにレイアウトされた搬送装
置の3つのプーリb,b,bと4つのプーリb,b,…
とにベルト搬送面1aを外側に向けてそれぞれ巻き掛け
られ、両ベルト1,1が接触するV字形状部分において
紙葉類aを挟んで多方向に搬送するようになされてい
る。
【0025】上記保形ゴム層2は、ミラブルウレタンゴ
ム、イソプレンゴムおよびエチレンプロピレンゴム等の
合成ゴムのなかから使用条件や使用環境等により適宜選
定する。例えばゴム面等からのゴム落ちによる搬送シス
テム機内の汚染やプーリとの粘着を避ける場合には、ミ
ラブルウレタンゴムを用いる。さらに、低温時で使用す
る際の起動トルクの増加を避けて低温性を求めるのなら
ば、イソプレンゴムおよびエチレンプロピレンゴムを単
独であるいは両者をプレンドして用いる。また、ベルト
の強度を求めるためにクロロプレンゴムを用いてもよ
い。
ム、イソプレンゴムおよびエチレンプロピレンゴム等の
合成ゴムのなかから使用条件や使用環境等により適宜選
定する。例えばゴム面等からのゴム落ちによる搬送シス
テム機内の汚染やプーリとの粘着を避ける場合には、ミ
ラブルウレタンゴムを用いる。さらに、低温時で使用す
る際の起動トルクの増加を避けて低温性を求めるのなら
ば、イソプレンゴムおよびエチレンプロピレンゴムを単
独であるいは両者をプレンドして用いる。また、ベルト
の強度を求めるためにクロロプレンゴムを用いてもよ
い。
【0026】上記帆布3を構成する糸3aとしては、ポ
リウレタン糸の周りをポリアミド糸もしくはポリエステ
ル糸で覆ったカバーリング糸を用いる。その糸3aを構
成する心線としてのポリウレタン糸の太さとしては、
2.22テクス(tex)(20D(デニール))程度
が好ましく、また、それを覆うポリアミド糸もしくはポ
リエステル糸の太さとしては、6.67テクス(te
x)(60D(デニール))〜13.33テクス(te
x)(120D(デニール))程度が好ましい。外側の
糸の太さを6.67〜13.33テクスに設定したの
は、6.67テクス未満ではベルトとしての強度が低く
なるからであり、一方、13.33テクスを超えると帆
布3が異物として作用するからである。また、外側の糸
をポリアミド糸にするかポリエステル糸にするかは、ゴ
ムの加硫条件や接着性等によって適宜選定すればよい。
なお、帆布3の表面は、エポキシ樹脂、レゾルシン・ホ
ルマリン・ゴムラテックス(RFL)等で処理を行うこ
とが望ましく、さらに保形ゴム層2との接着力を向上さ
せるために保形ゴム層2と同じ未加硫ゴムを溶かしたゴ
ム糊にディッピングした後、乾燥させてもよい。また、
帆布3は所定の伸びが確保し得るものであれば編物でも
織物でもよい。
リウレタン糸の周りをポリアミド糸もしくはポリエステ
ル糸で覆ったカバーリング糸を用いる。その糸3aを構
成する心線としてのポリウレタン糸の太さとしては、
2.22テクス(tex)(20D(デニール))程度
が好ましく、また、それを覆うポリアミド糸もしくはポ
リエステル糸の太さとしては、6.67テクス(te
x)(60D(デニール))〜13.33テクス(te
x)(120D(デニール))程度が好ましい。外側の
糸の太さを6.67〜13.33テクスに設定したの
は、6.67テクス未満ではベルトとしての強度が低く
なるからであり、一方、13.33テクスを超えると帆
布3が異物として作用するからである。また、外側の糸
をポリアミド糸にするかポリエステル糸にするかは、ゴ
ムの加硫条件や接着性等によって適宜選定すればよい。
なお、帆布3の表面は、エポキシ樹脂、レゾルシン・ホ
ルマリン・ゴムラテックス(RFL)等で処理を行うこ
とが望ましく、さらに保形ゴム層2との接着力を向上さ
せるために保形ゴム層2と同じ未加硫ゴムを溶かしたゴ
ム糊にディッピングした後、乾燥させてもよい。また、
帆布3は所定の伸びが確保し得るものであれば編物でも
織物でもよい。
【0027】上記帆布3をベルト搬送面1aに部分的に
露出させ、該露出部分の糸3aの糸目をベルト周方向に
配向させる要領について、図3に示すような平編みの編
物を例に挙げて説明することとする。この平編みの編物
を表面から見ると、主として図3矢印W1 にて示すウェ
ル方向に向いている糸3a部分が表面側に出てきてお
り、主として図3矢印C1 にて示すコース方向に向いて
いる糸3a部分が裏側に出ている。この図3の表面側を
ベルト成形時に金型面側なるように配置して成形する
と、図4矢印W2 にて示すベルト周方向に帆布3の糸目
が配向しかつこの糸目がベルト搬送面1aに部分的に露
出するようにすることができるのである(露出部分を実
線にて示す)。逆に、図3の裏面側をベルト成形時に金
型面側になるように配置して成形すると、図4矢印C2
にて示すベルト幅方向に帆布3の糸目が配向しかつこの
糸目がベルト搬送面1aに部分的に露出するようになる
(破線にて示す部分が露出することになる)。また、編
み状態や金型にセットする際の伸張率、加硫条件等によ
って帆布3の露出状態の変量が調節可能であり、ベルト
周方向(矢印W2 方向)、幅方向(矢印C2 方向)また
は両方の方向に露出させることもできる。
露出させ、該露出部分の糸3aの糸目をベルト周方向に
配向させる要領について、図3に示すような平編みの編
物を例に挙げて説明することとする。この平編みの編物
を表面から見ると、主として図3矢印W1 にて示すウェ
ル方向に向いている糸3a部分が表面側に出てきてお
り、主として図3矢印C1 にて示すコース方向に向いて
いる糸3a部分が裏側に出ている。この図3の表面側を
ベルト成形時に金型面側なるように配置して成形する
と、図4矢印W2 にて示すベルト周方向に帆布3の糸目
が配向しかつこの糸目がベルト搬送面1aに部分的に露
出するようにすることができるのである(露出部分を実
線にて示す)。逆に、図3の裏面側をベルト成形時に金
型面側になるように配置して成形すると、図4矢印C2
にて示すベルト幅方向に帆布3の糸目が配向しかつこの
糸目がベルト搬送面1aに部分的に露出するようになる
(破線にて示す部分が露出することになる)。また、編
み状態や金型にセットする際の伸張率、加硫条件等によ
って帆布3の露出状態の変量が調節可能であり、ベルト
周方向(矢印W2 方向)、幅方向(矢印C2 方向)また
は両方の方向に露出させることもできる。
【0028】このように、帆布3をベルト搬送面1aに
部分的に露出させていることから、紙葉類aとベルト搬
送面1aとの摩擦係数を搬送に支障をきたさない程度に
確保することができ、かつベルト1,1間の摩擦係数を
低減することができ、さらには摩擦係数の経時変化を少
なくすることができる。また、紙葉類aと保形ゴム層2
との接触面積を減少させることができて紙葉類aの汚染
を少なくすることができる。
部分的に露出させていることから、紙葉類aとベルト搬
送面1aとの摩擦係数を搬送に支障をきたさない程度に
確保することができ、かつベルト1,1間の摩擦係数を
低減することができ、さらには摩擦係数の経時変化を少
なくすることができる。また、紙葉類aと保形ゴム層2
との接触面積を減少させることができて紙葉類aの汚染
を少なくすることができる。
【0029】さらに、帆布3の露出部分の糸3aの糸目
をベルト幅方向に配向させることなくベルト周方向にの
み配向させていることから、ベルト1,1間の摩擦係数
をより安定させることができ、かつ摩擦係数の経時変化
をより少なくすることができる。
をベルト幅方向に配向させることなくベルト周方向にの
み配向させていることから、ベルト1,1間の摩擦係数
をより安定させることができ、かつ摩擦係数の経時変化
をより少なくすることができる。
【0030】また、保形ゴム層2をミラブルウレタンゴ
ムで構成することにより、そのゴムの性質によってベル
トからのゴム落ちを少なくし得て搬送システム機内の汚
染を低減することができる。また、保形ゴム層2をイソ
プレンゴム及び/又はエチレンプロピレンゴムで構成す
ることにより、そのゴムの性質によって低温時における
ベルトの硬化を防止し得て起動トルクの増大化を避ける
ことができる。
ムで構成することにより、そのゴムの性質によってベル
トからのゴム落ちを少なくし得て搬送システム機内の汚
染を低減することができる。また、保形ゴム層2をイソ
プレンゴム及び/又はエチレンプロピレンゴムで構成す
ることにより、そのゴムの性質によって低温時における
ベルトの硬化を防止し得て起動トルクの増大化を避ける
ことができる。
【0031】さらにまた、ポリウレタン糸の周りをポリ
アミド糸もしくはポリエステル糸で覆ったカバーリング
糸により帆布3を構成していることから、ベルト成形時
に帆布3を伸張した状態で金型にセットした際、糸目
(編み目、織り目)の乱れを少なくすることができ、ベ
ルト成形後に帆布3の露出状態を均一にすることができ
る。その結果、摩擦係数を一定にすることができて紙葉
類aの走行安定性を増大させることができる。また、帆
布3を構成するカバーリング糸の心線であるポリウレタ
ン糸の太さを2.22テクスに、その周りを覆うポリア
ミド糸もしくはポリエステル糸の太さを6.67〜1
3.33テクスにそれぞれ設定していることから、帆布
3がベルトの性能に悪影響を及ぼすことを避けることが
できる。
アミド糸もしくはポリエステル糸で覆ったカバーリング
糸により帆布3を構成していることから、ベルト成形時
に帆布3を伸張した状態で金型にセットした際、糸目
(編み目、織り目)の乱れを少なくすることができ、ベ
ルト成形後に帆布3の露出状態を均一にすることができ
る。その結果、摩擦係数を一定にすることができて紙葉
類aの走行安定性を増大させることができる。また、帆
布3を構成するカバーリング糸の心線であるポリウレタ
ン糸の太さを2.22テクスに、その周りを覆うポリア
ミド糸もしくはポリエステル糸の太さを6.67〜1
3.33テクスにそれぞれ設定していることから、帆布
3がベルトの性能に悪影響を及ぼすことを避けることが
できる。
【0032】次に、本発明例を比較例と共に具体的に説
明する。
明する。
【0033】(本発明例1) 帆布として2.22テクス(20D)のポリウレタン糸
の周りを7.78テクス(70D)のポリエステル糸で
覆ったカバーリング糸を用い、14ゲージの横編機にて
編んだ編物を用いた。エポキシ樹脂(商品名 デコナー
ルEX−521ナガセ化成(株)製)と、硬化剤(商品
名 キュアゾール2E4MZ−CN四国化成工業(株)
製)とをメチルエチルケトン(MEK)に5重量%とな
るように溶かし、この溶液に上記帆布3をディッピング
した後、乾燥することにより接着処理を行った。
の周りを7.78テクス(70D)のポリエステル糸で
覆ったカバーリング糸を用い、14ゲージの横編機にて
編んだ編物を用いた。エポキシ樹脂(商品名 デコナー
ルEX−521ナガセ化成(株)製)と、硬化剤(商品
名 キュアゾール2E4MZ−CN四国化成工業(株)
製)とをメチルエチルケトン(MEK)に5重量%とな
るように溶かし、この溶液に上記帆布3をディッピング
した後、乾燥することにより接着処理を行った。
【0034】金型に上記接着処理を行った帆布を被せ、
その上に0.6mm厚にシーティングを行った未加硫の
ミラブルウレタンゴムシートを2重回被せた後、160
℃で20分間、圧搾加硫を行った。冷却後、金型より取
り出し、ミラブルウレタンゴム側を研磨加工および幅切
りすることにより、厚み0.8mmの平ベルトを作成し
た。なお、帆布面側がベルト搬送面側となるようにし
た。このとき、帆布がベルト搬送面に部分的に露出し、
かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に配向することな
くベルト周方向にのみ配向している。
その上に0.6mm厚にシーティングを行った未加硫の
ミラブルウレタンゴムシートを2重回被せた後、160
℃で20分間、圧搾加硫を行った。冷却後、金型より取
り出し、ミラブルウレタンゴム側を研磨加工および幅切
りすることにより、厚み0.8mmの平ベルトを作成し
た。なお、帆布面側がベルト搬送面側となるようにし
た。このとき、帆布がベルト搬送面に部分的に露出し、
かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に配向することな
くベルト周方向にのみ配向している。
【0035】(本発明例2) 帆布として2.22テクス(20D)のポリウレタン糸
の周りを11.11テクス(100D)のポリアミド糸
で覆ったカバーリング糸を用い、14ゲージの横編機に
て編んだ編物を用いた。この帆布をレゾルシン・ホルマ
リン・ゴムラテックス(RFL)溶液にディッピングし
た後、乾燥することにより接着処理を行った。
の周りを11.11テクス(100D)のポリアミド糸
で覆ったカバーリング糸を用い、14ゲージの横編機に
て編んだ編物を用いた。この帆布をレゾルシン・ホルマ
リン・ゴムラテックス(RFL)溶液にディッピングし
た後、乾燥することにより接着処理を行った。
【0036】金型に上記接着処理を行った帆布を被せ、
その上に0.6mm厚にシーティングを行った未加硫の
エチレンプロピレンゴムシートを2重回被せた後、15
0℃で22分間、圧搾加硫を行った。冷却後、金型より
取り出し、エチレンプロピレンゴム側を研磨加工および
幅切りすることにより、厚み0.8mmの平ベルトを作
成した。なお、帆布面側がベルト搬送面側となるように
した。このとき、帆布がベルト搬送面に部分的に露出
し、かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に配向 するこ
となくベルト周方向にのみ配向している。
その上に0.6mm厚にシーティングを行った未加硫の
エチレンプロピレンゴムシートを2重回被せた後、15
0℃で22分間、圧搾加硫を行った。冷却後、金型より
取り出し、エチレンプロピレンゴム側を研磨加工および
幅切りすることにより、厚み0.8mmの平ベルトを作
成した。なお、帆布面側がベルト搬送面側となるように
した。このとき、帆布がベルト搬送面に部分的に露出
し、かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に配向 するこ
となくベルト周方向にのみ配向している。
【0037】(本発明例3) 帆布として本発明例2に示した編物を用いた。
【0038】金型に上記帆布を被せ、その上に0.6m
m厚にシーティングを行った未加硫のイソプレンゴムと
エチレンプロピレンゴムとをブレンドしたゴムシートを
2重回被せた後、150℃で20分間、圧搾加硫を行っ
た。冷却後、金型より取り出し、ゴム側を研磨加工およ
び幅切りすることにより、厚み0.8mmの平ベルトを
作成した。なお、帆布面側がベルト搬送面側となるよう
にした。このとき、帆布がベルト搬送面に部分的に露出
し、かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に配向するこ
となくベルト周方向にのみ配向している。
m厚にシーティングを行った未加硫のイソプレンゴムと
エチレンプロピレンゴムとをブレンドしたゴムシートを
2重回被せた後、150℃で20分間、圧搾加硫を行っ
た。冷却後、金型より取り出し、ゴム側を研磨加工およ
び幅切りすることにより、厚み0.8mmの平ベルトを
作成した。なお、帆布面側がベルト搬送面側となるよう
にした。このとき、帆布がベルト搬送面に部分的に露出
し、かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に配向するこ
となくベルト周方向にのみ配向している。
【0039】(比較例1) 帆布として本発明例1に示した編物を用いた。さらに、
帆布を未加硫のミラブルウレタンゴムを溶かした溶液に
ディッピングした後、乾燥したものを用いた。
帆布を未加硫のミラブルウレタンゴムを溶かした溶液に
ディッピングした後、乾燥したものを用いた。
【0040】金型に上記帆布を被せ、その上に0.3m
m厚にシーティングを行った未加硫のミラブルウレタン
ゴムシートを1重回被せ、さらにその上に0.5mm厚
にシーティングを行った別の未加硫のミラブルウレタン
ゴムシートを2重回被せた。この際、0.3mm厚のシ
ートの方が粘度が低くなるようにセットした。その後、
150℃で5分間、低圧で加硫を行った後、160℃で
18分間、圧搾加硫を行った。冷却後、金型より取り出
し、ミラブルウレタンゴム側を研磨加工および幅切りす
ることにより、厚み0.8mmの平ベルトを作成した。
なお、帆布面側がベルト搬送面側となるようにした。こ
のベルトは、ベルト搬送面側で帆布面上に20〜30μ
m程の薄いミラブルウレタンの被膜層があり、帆布によ
り凹凸を形成している。
m厚にシーティングを行った未加硫のミラブルウレタン
ゴムシートを1重回被せ、さらにその上に0.5mm厚
にシーティングを行った別の未加硫のミラブルウレタン
ゴムシートを2重回被せた。この際、0.3mm厚のシ
ートの方が粘度が低くなるようにセットした。その後、
150℃で5分間、低圧で加硫を行った後、160℃で
18分間、圧搾加硫を行った。冷却後、金型より取り出
し、ミラブルウレタンゴム側を研磨加工および幅切りす
ることにより、厚み0.8mmの平ベルトを作成した。
なお、帆布面側がベルト搬送面側となるようにした。こ
のベルトは、ベルト搬送面側で帆布面上に20〜30μ
m程の薄いミラブルウレタンの被膜層があり、帆布によ
り凹凸を形成している。
【0041】本発明例1〜3と比較例1の各ベルトにつ
いて比較実験を行った。まず、ベルト搬送面の摩擦係数
をHEIDON−14型表面性試験機(新東科学(株)
製)を用い、印加荷重100gで測定を行った。その結
果を表1に示す。
いて比較実験を行った。まず、ベルト搬送面の摩擦係数
をHEIDON−14型表面性試験機(新東科学(株)
製)を用い、印加荷重100gで測定を行った。その結
果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示すように、本発明例1〜3は比較
例1と比べ、対紙幣においては摩擦係数が高く、対ベル
トにおいては摩擦係数が低いことが判る。このように、
対紙幣において摩擦係数が高いことにより搬送性がよ
く、また、対ベルトにおいて摩擦係数が低いことにより
ベルト間の滑りが発生しやすいので、発熱やバタツキ等
の異常の発生が減る。
例1と比べ、対紙幣においては摩擦係数が高く、対ベル
トにおいては摩擦係数が低いことが判る。このように、
対紙幣において摩擦係数が高いことにより搬送性がよ
く、また、対ベルトにおいて摩擦係数が低いことにより
ベルト間の滑りが発生しやすいので、発熱やバタツキ等
の異常の発生が減る。
【0044】次に、図5に示すような試験機を用い、動
的な摩擦係数の変化を評価した。
的な摩擦係数の変化を評価した。
【0045】プーリとして直径40mmの平プーリ10
を用い、その表面にPPC用紙を貼り付けたものを用い
た。ベルト1の一端をロードセル11に接続し、中程を
上記平プーリ10にベルト搬送面が接するように掛け渡
すとともに、他端にウェイト12を接続して荷重がベル
ト1に0.85〜0.9MPa程かかるように設定し
た。平プーリ10を回転させ、そのときの荷重をロード
セル11で検出し、次の式により摩擦係数を算出した。
その結果を図8に示す。
を用い、その表面にPPC用紙を貼り付けたものを用い
た。ベルト1の一端をロードセル11に接続し、中程を
上記平プーリ10にベルト搬送面が接するように掛け渡
すとともに、他端にウェイト12を接続して荷重がベル
ト1に0.85〜0.9MPa程かかるように設定し
た。平プーリ10を回転させ、そのときの荷重をロード
セル11で検出し、次の式により摩擦係数を算出した。
その結果を図8に示す。
【0046】 μ´=(2/π)ln(T2 /T1 ) μ´:摩擦係数 T1 :印加荷重 T2 測定荷重 図8から明らかなように、比較例1では、初期に0.7
2程あった摩擦係数が直ぐに0.5以下に下がってお
り、ベルト搬送面側の帆布上の薄い被覆層が摩擦係数の
低下と共になくなり、帆布が露出している。また、落ち
た被覆層のゴムがプーリ面上に付着し、PPC用紙が少
し黒くなっている。一方、本発明例1〜3では、摩擦係
数の経時変化が小さく、また、プーリ上のゴムの付着も
ほとんどなかった。このことは、紙葉類へのゴムの付着
もほとんどないといえよう。
2程あった摩擦係数が直ぐに0.5以下に下がってお
り、ベルト搬送面側の帆布上の薄い被覆層が摩擦係数の
低下と共になくなり、帆布が露出している。また、落ち
た被覆層のゴムがプーリ面上に付着し、PPC用紙が少
し黒くなっている。一方、本発明例1〜3では、摩擦係
数の経時変化が小さく、また、プーリ上のゴムの付着も
ほとんどなかった。このことは、紙葉類へのゴムの付着
もほとんどないといえよう。
【0047】本発明例1〜3において、摩擦係数の経時
変化が小さいので、ベルトをセットした後の紙葉類の搬
送性の変化がほとんどなく、最初にセットした条件その
ままで使用可能である。一方、比較例1のように摩擦係
数の経時変化が大きいと、ベルトをセットした後の搬送
性がベルトを使用するに従い大きく変化するために、最
初にセットした条件のままで使用すると搬送性が低下
し、ひいては搬送不能となる。
変化が小さいので、ベルトをセットした後の紙葉類の搬
送性の変化がほとんどなく、最初にセットした条件その
ままで使用可能である。一方、比較例1のように摩擦係
数の経時変化が大きいと、ベルトをセットした後の搬送
性がベルトを使用するに従い大きく変化するために、最
初にセットした条件のままで使用すると搬送性が低下
し、ひいては搬送不能となる。
【0048】本発明例2,3において、イソプレンゴム
及び/又はエチレンプロピレンゴムを用いたが、この場
合、ベルトの低温時の起動トルクが改善される。図6に
示すような装置を用いてベルトの起動トルクを測定し
た。駆動プーリ13および従動プーリ14として共に直
径30mmのクラウンプーリを用い、各ベルト1を5%
伸張を行った状態でモータ15の起動トルクをトルクメ
ータ16で測定した。測定結果を表2に示す。図7に示
すように、起動トルクTは、ベルトを付けた時(実線に
て示す)の起動時の最大トルクT1 と、ベルトを付けな
い時(破線にて示す)の起動時の最大トルクT2 (糸の
ロストルク)との差 T=T1 −T2 とした。
及び/又はエチレンプロピレンゴムを用いたが、この場
合、ベルトの低温時の起動トルクが改善される。図6に
示すような装置を用いてベルトの起動トルクを測定し
た。駆動プーリ13および従動プーリ14として共に直
径30mmのクラウンプーリを用い、各ベルト1を5%
伸張を行った状態でモータ15の起動トルクをトルクメ
ータ16で測定した。測定結果を表2に示す。図7に示
すように、起動トルクTは、ベルトを付けた時(実線に
て示す)の起動時の最大トルクT1 と、ベルトを付けな
い時(破線にて示す)の起動時の最大トルクT2 (糸の
ロストルク)との差 T=T1 −T2 とした。
【0049】
【表2】
【0050】表2に示すように、本発明例2,3におい
ては、比較例1と比べて低温時での起動トルクの増加が
1.2倍以下と小さく、その結果として、低温時の起動
を考えた際のモータ容量を小さくすることができ、装置
の小型化や消費電力の低減化を図ることができる。この
ように、低温性改善としては、イソプレンゴムおよびエ
チレンプロピレンゴムを単独でもしくはブレンドして用
いるとよい。
ては、比較例1と比べて低温時での起動トルクの増加が
1.2倍以下と小さく、その結果として、低温時の起動
を考えた際のモータ容量を小さくすることができ、装置
の小型化や消費電力の低減化を図ることができる。この
ように、低温性改善としては、イソプレンゴムおよびエ
チレンプロピレンゴムを単独でもしくはブレンドして用
いるとよい。
【0051】(比較例2) 帆布として本発明例1に示した編物を用い、本発明例1
のような方法において加硫条件を変えることにより、帆
布がベルト搬送面に部分的に露出し、かつ該露出部分の
糸目がベルト周方向および幅方向に配向したベルトを試
作した。
のような方法において加硫条件を変えることにより、帆
布がベルト搬送面に部分的に露出し、かつ該露出部分の
糸目がベルト周方向および幅方向に配向したベルトを試
作した。
【0052】本発明例1と比較例2の各ベルトについて
比較実験を行った。図5に示すような試験機を用いて前
記と同様に動的な摩擦係数を測定した。測定結果を図9
に示す。
比較実験を行った。図5に示すような試験機を用いて前
記と同様に動的な摩擦係数を測定した。測定結果を図9
に示す。
【0053】図9に示すように、比較例2では摩擦係数
は安定しているが、全体的に低く、搬送能力としては不
足してしまう。また、比較例2では、帆布の露出状態と
してベルトの幅方向に部分的に露出させているため、本
発明例1のようなベルトの周方向に部分的に露出させた
ものと比較すると、図5に示すような試験機を用いて同
様に試験を行うと、プーリ面への粘着が多少発生し、ま
た、紙葉類を2本のベルトで挟んで搬送した際に挟持力
が小さく、紙葉類がベルトの幅方向に落ち易かった。こ
のように、紙葉類を安定して搬送するためには、摩擦係
数が0.4〜0.5程度が適当である。以上の結果をま
とめると表3のようになる。
は安定しているが、全体的に低く、搬送能力としては不
足してしまう。また、比較例2では、帆布の露出状態と
してベルトの幅方向に部分的に露出させているため、本
発明例1のようなベルトの周方向に部分的に露出させた
ものと比較すると、図5に示すような試験機を用いて同
様に試験を行うと、プーリ面への粘着が多少発生し、ま
た、紙葉類を2本のベルトで挟んで搬送した際に挟持力
が小さく、紙葉類がベルトの幅方向に落ち易かった。こ
のように、紙葉類を安定して搬送するためには、摩擦係
数が0.4〜0.5程度が適当である。以上の結果をま
とめると表3のようになる。
【0054】
【表3】
【0055】(比較例3) 帆布として6.67テクス(60D)のポリエステルの
仮寄糸を用い、本発明例1と同様にベルトを試作した。
仮寄糸を用い、本発明例1と同様にベルトを試作した。
【0056】比較例3において、帆布を金型にセットし
た際に編み目の粗密現象が起こり、ベルトを成形した後
では編み目の直進性の乱れとして現れる。そのため、搬
送中に紙葉類の蛇行が起こるなど搬送性が不安定とな
る。一方、本発明例1では、帆布を金型にセットした際
に編み目の粗密現象はほとんどなく、紙葉類の搬送性も
よい。
た際に編み目の粗密現象が起こり、ベルトを成形した後
では編み目の直進性の乱れとして現れる。そのため、搬
送中に紙葉類の蛇行が起こるなど搬送性が不安定とな
る。一方、本発明例1では、帆布を金型にセットした際
に編み目の粗密現象はほとんどなく、紙葉類の搬送性も
よい。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る本
発明によれば、保形ゴム層に埋設された帆布をベルト搬
送面に部分的に露出させ、かつ該露出部分の糸目をベル
ト幅方向に配向させることなくベルト周方向にのみ配向
させたので、紙葉類とベルト搬送面との摩擦係数を搬送
に支障なき程度に確保することができ、かつベルト間の
摩擦係数を低減することができ、さらには摩擦係数の経
時変化を少なくすることができる。また、紙葉類と保形
ゴム層との接触面積を減らせて紙葉類の汚染を少なくす
ることができる。さらに、帆布の露出部分の糸目の配向
によってベルト間の摩擦係数をより安定させることがで
き、かつ摩擦係数の経時変化をより少なくすることがで
きる。
発明によれば、保形ゴム層に埋設された帆布をベルト搬
送面に部分的に露出させ、かつ該露出部分の糸目をベル
ト幅方向に配向させることなくベルト周方向にのみ配向
させたので、紙葉類とベルト搬送面との摩擦係数を搬送
に支障なき程度に確保することができ、かつベルト間の
摩擦係数を低減することができ、さらには摩擦係数の経
時変化を少なくすることができる。また、紙葉類と保形
ゴム層との接触面積を減らせて紙葉類の汚染を少なくす
ることができる。さらに、帆布の露出部分の糸目の配向
によってベルト間の摩擦係数をより安定させることがで
き、かつ摩擦係数の経時変化をより少なくすることがで
きる。
【0058】請求項2に係る本発明によれば、保形ゴム
層をミラブルウレタンゴムで構成したので、ベルトから
のゴム落ちを少なくして機内汚染を低減することができ
る。
層をミラブルウレタンゴムで構成したので、ベルトから
のゴム落ちを少なくして機内汚染を低減することができ
る。
【0059】請求項3に係る本発明によれば、保形ゴム
層をイソプレンゴム及び/又はエチレンプロピレンゴム
で構成したので、低温時におけるベルトの硬化をなくし
て起動トルクの増大化を避けることができる。
層をイソプレンゴム及び/又はエチレンプロピレンゴム
で構成したので、低温時におけるベルトの硬化をなくし
て起動トルクの増大化を避けることができる。
【0060】請求項4に係る本発明によれば、ポリウレ
タン糸の周りをポリアミド糸もしくはポリエステル糸で
覆ったカバーリング糸で帆布を構成したので、ベルト成
形時において帆布の糸目の乱れを少なくしてベルト成形
後に帆布の露出状態を均一にすることができ、摩擦係数
を一定にして紙葉類の走行安定性を増すことができる。
タン糸の周りをポリアミド糸もしくはポリエステル糸で
覆ったカバーリング糸で帆布を構成したので、ベルト成
形時において帆布の糸目の乱れを少なくしてベルト成形
後に帆布の露出状態を均一にすることができ、摩擦係数
を一定にして紙葉類の走行安定性を増すことができる。
【0061】請求項5に係る本発明によれば、帆布を構
成するカバーリング糸の心線であるポリウレタン糸の太
さを2.22テクスに、その周りを覆うポリアミド糸も
しくはポリエステル糸の太さを6.67〜13.33テ
クスにそれぞれ設定したので、帆布がベルトの性能に悪
影響を及ぼすことを回避できる。
成するカバーリング糸の心線であるポリウレタン糸の太
さを2.22テクスに、その周りを覆うポリアミド糸も
しくはポリエステル糸の太さを6.67〜13.33テ
クスにそれぞれ設定したので、帆布がベルトの性能に悪
影響を及ぼすことを回避できる。
【図1】紙葉類搬送用ベルトの斜視図である。
【図2】紙葉類搬送用ベルトの断面図である。
【図3】帆布の表面図である。
【図4】帆布を構成する糸の保形ゴム層からの露出部分
を示す平面図である。
を示す平面図である。
【図5】摩擦係数の測定要領を説明する説明図である。
【図6】ベルトの起動トルクの測定要領を説明する説明
図である。
図である。
【図7】起動トルクの変動特性を示す特性図である。
【図8】本発明例1〜3および比較例1のベルトの動的
摩擦係数の測定結果を示すデータ図である。
摩擦係数の測定結果を示すデータ図である。
【図9】本発明例1および比較例2のベルトの動的摩擦
係数の測定結果を示すデータ図である。
係数の測定結果を示すデータ図である。
【図10】紙葉類搬送ベルトの走行中における弛みを説
明する説明図である。
明する説明図である。
1 紙葉類搬送用ベルト 1a ベルト搬送面 2 保形ゴム層 3 帆布 3a 糸 a 紙葉類
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−144664(JP,A) 特開 平5−254685(JP,A) 特開 昭59−136729(JP,A) 特開 昭57−205520(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65H 5/02
Claims (5)
- 【請求項1】 紙葉類を挟んだ状態で多方向に搬送する
紙葉類搬送用ベルトであって、 保形ゴム層と、該保形ゴム層に埋設された編物もしくは
織物からなる帆布とで構成され、 該帆布は、上記紙葉類が搬送されるベルト搬送面に部分
的に露出され、かつ該露出部分の糸目がベルト幅方向に
配向せしめられることなくベルト周方向にのみ配向せし
められていることを特徴とする紙葉類搬送用ベルト。 - 【請求項2】 保形ゴム層が、ミラブルウレタンゴムで
あることを特徴とする請求項1記載の紙葉類搬送用ベル
ト。 - 【請求項3】 保形ゴム層が、イソプレンゴム及び/又
はエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする請求
項1記載の紙葉類搬送用ベルト。 - 【請求項4】 帆布を構成する糸が、ポリウレタン糸の
周りをポリアミド糸もしくはポリエステル糸で覆ったカ
バーリング糸であることを特徴とする請求項1記載の紙
葉類搬送用ベルト。 - 【請求項5】 ポリウレタン糸の太さが2.22テクス
であり、ポリアミド糸もしくはポリエステル糸の太さが
6.67〜13.33テクスであることを特徴とする請
求項4記載の紙葉類搬送用ベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5274293A JP2892262B2 (ja) | 1993-11-02 | 1993-11-02 | 紙葉類搬送用ベルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5274293A JP2892262B2 (ja) | 1993-11-02 | 1993-11-02 | 紙葉類搬送用ベルト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07125866A JPH07125866A (ja) | 1995-05-16 |
JP2892262B2 true JP2892262B2 (ja) | 1999-05-17 |
Family
ID=17539630
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5274293A Expired - Fee Related JP2892262B2 (ja) | 1993-11-02 | 1993-11-02 | 紙葉類搬送用ベルト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2892262B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5727683B2 (ja) * | 2013-03-21 | 2015-06-03 | バンドー化学株式会社 | 摩擦伝動ベルト |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54144664A (en) * | 1978-04-28 | 1979-11-12 | Hitachi Ltd | Paper conveying belt conveyor |
JPS57205520A (en) * | 1981-06-05 | 1982-12-16 | Teijin Ltd | Conjugate fiber |
CA1232006A (en) * | 1983-01-13 | 1988-01-26 | Larry D. Goettsch | Electrically conductive document transport belt |
JP2673759B2 (ja) * | 1992-03-17 | 1997-11-05 | ニッタ株式会社 | 無端ベルト |
-
1993
- 1993-11-02 JP JP5274293A patent/JP2892262B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07125866A (ja) | 1995-05-16 |
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