JP2886810B2 - 高強度アルミニウム合金成形体の製法 - Google Patents

高強度アルミニウム合金成形体の製法

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JP2886810B2 JP7268763A JP26876395A JP2886810B2 JP 2886810 B2 JP2886810 B2 JP 2886810B2 JP 7268763 A JP7268763 A JP 7268763A JP 26876395 A JP26876395 A JP 26876395A JP 2886810 B2 JP2886810 B2 JP 2886810B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高強度と延性に優れ
たアルミニウム合金成形体の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来アルミニウム合金には、Al-Cu
系、Al-Si系、Al-Mg系、Al-Cu-Si系、Al-
Cu-Mg系、Al-Zn-Mg系、Al-Zn-Mg-Cu系など
の種々の成分系の合金が知られており、いずれの系のも
のにおいても軽量で耐食性に優れていることから、それ
らの個々の材料特性に応じて、車両、船舶、航空機など
の機械構造部材用として、または、建築用外装材、サッ
シ、屋根葺材、LNGタンク用構造材などとして広く使
用されている。ところが、従来のアルミニウム合金は、
Fe系の材料に比較して一般に強度が低いという欠点が
ある。例えば、従来のこの種のアルミニウム合金におい
て最高の強度を有する7075系(Al-Zn-Mg-Cu
系)のアルミニウム合金であっても、引張強度600M
Pa、伸びが11%程度であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、急冷凝固法によ
って製造された非晶質のアルミニウム合金粉末を原料と
する固化成形体が知られており、この固化成形体は、高
強度ではあるものの、伸びが3%程度と低く、更には、
シャルピー衝撃値も0.4kgfm/cm2以下と低く、
脆いので、実用的には無理があった。
【0004】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、高強度であって、しかも伸びに優れたアルミニウ
ム合金成形体を得ることができる製法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、Alに添加することにより準
結晶相を形成可能な2種以上の元素とAlを具備する原
料粉末あるいは溶製簿合金に、5〜100時間、メカニ
カルアロイング処理を施し、Al相と準結晶相の2相、
あるいは、Al固溶体相と準結晶相の2相を主体とする
合金粉末を得、このアルミニウム合金粉末に300〜4
50℃で0.5〜4時間、10〜800MPaの圧力で
加圧成形することを特徴とする。請求項2記載の発明は
前記課題を解決するために、Alに添加することにより
準結晶相を形成可能な2種以上の元素とAlを具備する
原料粉末あるいは溶製簿合金に、5〜100時間、メカ
ニカルアロイング処理を施し、Al相と準結晶相の2
相、あるいは、Al固溶体相と準結晶相の2相を主体と
する合金粉末を得、このアルミニウム合金粉末に150
〜450℃で0.5〜3時間加熱後冷却する熱処理を施
し、Al相と準結晶相の2相、あるいはAl固溶体相と
準結晶相の2相を主体とする合金粉末を得た後、この合
金粉末に300〜450℃で0.5〜4時間、10〜8
00MPaの圧力で加圧成形することを特徴とする。
【0006】請求項記載の発明は前記課題を解決する
ために、Alに添加することにより準結晶相を形成可能
な2種以上の元素とAlを具備する原料粉末あるいは溶
製簿合金に、5〜100時間、メカニカルアロイング処
理を施し、Al相と準結晶相の2相、あるいは、Al固
溶体相と準結晶相の2相を主体とする合金粉末を得、こ
のアルミニウム合金粉末を300〜450℃で押出比5
〜30、押出圧100〜1500MPaで押出成形する
ことを特徴とする。請求項記載の発明は前記課題を解
決するために、Alに添加することにより準結晶相を形
成可能な2種以上の元素とAlを具備する原料粉末ある
いは溶製簿合金に、5〜100時間、メカニカルアロイ
ング処理を施し、Al相と準結晶相の2相、あるいは、
Al固溶体相と準結晶相の2相を主体とする合金粉末を
得、このアルミニウム合金粉末に150〜450℃で
0.5〜3時間加熱後冷却する熱処理を施し、Al相と
準結晶相の2相、あるいはAl固溶体相と準結晶相の2
相を主体とする合金粉末を得た後、このアルミニウム合
金粉末を300〜450℃で押出比5〜30、押出圧1
00〜1500MPaで押出成形することを特徴とする
請求項記載の発明は前記課題を解決するために、請求
1〜4のいずれかに記載の準結晶相を生成する2種以
上の元素として、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、W、Pd、Ce、
La、Nd、Smの中から選択される2種以上の元素を
用いるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本願発明製法にあっては、Al
(アルミニウム)に添加して合金化することにより、正
20面体準結晶相、正10角形準結晶相を形成する元素
として、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(ク
ロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバル
ト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Y(イットリウ
ム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo
(モリブデン)、Pd(パラジウム)、W(タングステ
ン)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Nd(ネ
オジム)、Sm(サマリウム)の中から選択される2種
以上の元素と、Alとを含む原料粉末あるいは溶製母合
金を出発材料として用いる。
【0008】なお、前記各元素の組み合わせとして具体
的には、Al(Mn,Cr,V,Fe,Mo,W,Nd,P
d)(Mn,Fe,Co,Ni,Cu)なる組成の中から選
択される3元系以上の組成、更に具体的には、Al(M
n,Cr)(Ni,Co,Cu)、AlV(Mn,Fe,C
o,Ni,Cu)、AlFe(Mn,Ni,Co,Cu,)、
AlMo(Mn,Fe,Co,Ni,Cu)、AlW(N
i,Co)、AlNb(Mn,Ni)、AlPd(Mn,
Fe,Co,Ni)、AlCrCe(Co,Ni)、Al
CrNdNi、AlMn(Ce,La,Y,Nd)(Co,
Ni)、AlVCe(Ni,Co)、AlMo(Ce,
Y)(Co,Ni)、AlW(Ce,Sm)(Cu,F
e)、AlCrCe(Ti,Zr)、AlCrCeCo
(Ti,Zr)なる組成系を用いることができる。
【0009】また、前記の組成系において具体的な元素
配合比として、Al93Mn5Ni2、Al96Mn3Ni1
Al93Mn5Co2、Al97Mn2Co1、Al86.5Mn3
Cu0.5、Al95Cr3Ni2、Al94Cr5Co1、Al
94Cr5Cu1、Al944Mn2、Al944Fe2、Al
944Co2、Al944Ni2、Al935Cu2、Al95
Fe3Mn2、Al96Fe3Ni1、Al96.5Fe3
0.5、Al97Fe2Cu1、Al97Mo2Mn1、Al95
Mo3Fe2、Al95Mo3Co2、Al94Mo5Ni1、A
94Mo5Cu1、Al953Ni2、Al963Co1、A
95Nb3Mn2、Al97Nb2Ni1、Al94Pd4
2、Al94Pd5Fe1、Al94Pd5Co1、Al94
5Ni1、Al94.5Cr3Ce1Co1.5、Al94Cr3
1Co2、Al94Cr3Ce1Ni2、Al93Cr3Nd1
Ni2、Al93Mn5Ce1Co1、Al94Mn4La1Ni
1、Al92Mn61Ni1、Al96Mn2.5Nd1
0.5、Al944Ce1Ni1、Al944Ce1Co1
Al94Mo4Ce1Co1、Al96Mo2.51Ni0.5、A
943Ce1Cu2、Al972Sm0.5Fe0.5、Al95
Cr3Ce1Ti1、Al95Cr3Ce1Zr1、Al92.5
3Ce1Co1.5Ti2、Al92.5Cr3Ce1Co1.5
2などを用いることができる。
【0010】前記原料粉末は、前記各元素の単独元素粉
末の混合物でも良いし、前記各元素の合金粉末、あるい
は前記各元素の化合物粉末などを適宜混合したものを用
いても良い。また、溶製母合金とは、前記各元素の単独
元素粉末の混合物、前記各元素の合金粉末、または、前
記各元素の化合物粉末のいずれか1つ以上を適宜混合し
たものをアーク溶解などで溶製した母合金を示す。
【0011】次に前記原料粉末あるいは母合金を用意し
たならば、これをメカニカルアロイング法にて以下に説
明するように処理する。メカニカルアロイング法とは、
ボールミルに鋼球などのボールとともに原料を封入し、
ボールミルを回転駆動することでボールミル内のボール
を高速で衝突させ、このボールにより原料を強力に粉砕
攪拌混合し、原料中の固くて脆い成分は粉砕し、原料中
の軟質成分は展延し、展延した成分中に固くて脆い成分
の粉砕物を均一分散させるとともに、加工硬化が進行し
た圧着粉末集合体を更に破壊するなどの圧着と分離処理
を繰り返し行うミリング処理を行うことで、機械的に合
金化を行う方法として知られるものである。
【0012】本願発明方法では、図1(A)に示すステ
ンレス鋼製あるいはめのう製の蓋付のポット1に溶製母
合金2とボール3…を挿入するか、図1(B)に示す蓋
付のポット4に必要な組成になるように調合した原料粉
末5とボール3…を投入して密閉し、ポット1あるいは
ポット4を図2(A)または図2(B)に示すように回
転軸6を中心としてポット1あるいはポット4を矢印方
向に回転自在に保持する遊星ミリング装置7にセット
し、ポット1あるいはポット4を回転駆動することでミ
リングし、ポット1、4内で鋼球を高速で衝突させて溶
製母合金2あるいは原料粉末を粉砕攪拌混合してメカニ
カルアロイング処理を行う。また、前記ポット1、4を
用いてメカニカルアロイング処理を行う場合は、ポット
1、4の内部を真空引きして減圧雰囲気とした後にAr
ガス等の不活性ガスを満たして不用な酸化反応や還元反
応が生じないようにすることが好ましい。なお、メカニ
カルアロイング処理に用いるポットとして、ポットの内
部に腕状の攪拌棒を設けたアトライタと称される高エネ
ルギー乾式縦型ボールミルを使用し、攪拌棒を回転させ
ることでボールミル内の鋼球を高速衝突させて合金化を
行っても良いのは勿論である。
【0013】前記のメカニカルアロイング処理は、好ま
しくは、5〜100時間行うものとする。処理時間が5
時間未満では、準結晶相が析出しないために高強度が得
られなくなり、処理時間が100時間を超えると、準結
晶相が消失して金属間化合物相が析出するため、脆化し
て伸びが無くなり、結果的に強度の低下を招くので好ま
しくない。このメカニカルアロイング処理により、原料
粉末あるいは母合金中の各成分が充分に機械的に粉砕攪
拌混合される結果、Al相と準結晶相の2相からなる高
強度アルミニウム合金粉末、あるいは、Al固溶体相と
準結晶相の2相からなる高強度アルミニウム合金粉末を
得ることができる。また、前記粉末を得たならば、この
粉末を150〜450℃で0.5〜3時間加熱後冷却す
る熱処理を施すことで、Al相と準結晶相の2相からな
る高強度アルミニウム合金粉末、あるいは、Al固溶体
相と準結晶相の2相からなる高強度アルミニウム合金粉
末を得ることができる。
【0014】次に、前記メカニカルアロイング処理のみ
により得られた高強度アルミニウム合金粉末、あるい
は、メカニカルアロイング処理と熱処理とにより得られ
た高強度アルミニウム合金粉末を用い、これを400〜
450℃で0.5〜4時間、圧力10〜800MPaで
所望の形状にホットプレス法により固化成形する。これ
により、強度が高く、伸びの面でも優れたアルミニウム
合金成形体を得ることができる。このホットプレスの際
に、処理温度が300℃未満あるいは処理時間が0.5
時間未満であると、拡散が不十分で固化が不完全になる
ために、脆く、伸びが無く、強度が低いものしか得られ
ない。また、処理温度が450℃より高温、あるいは処
理時間が4時間より長時間であると、金属間化合物相が
析出するために、脆化して伸びが無くなり、結果的に強
度の低下を招く。更に、プレス圧力が10MPa未満で
あると、拡散が不十分で固化が不完全であるために、脆
く、伸びが無く、強度が低くなる。逆に800MPaよ
り高圧であると、準結晶相が破壊され消失し、金属間化
合物が析出するために脆化して伸びが無くなり、結果的
に強度低下を招く。
【0015】次に、前記メカニカルアロイング処理のみ
により得られた高強度アルミニウム合金粉末、あるい
は、メカニカルアロイング処理と熱処理とにより得られ
た高強度アルミニウム合金粉末を用い、これを300〜
600℃で押出比5〜30で押出固化成形することによ
っても強度が高く、伸びの面でも優れたアルミニウム合
金成形体を得ることができる。この押出成形の際に、処
理温度が300℃未満あるいは押出比が5未満である
と、拡散が不十分で固化が不完全であるために、脆く、
伸びが無く、強度が低いものが得られてしまう。また、
処理温度が450℃を超えるか、あるいは、押出比が3
0より大きくなると、金属間化合物相が析出するために
脆化して伸びが無くなり、結果的に強度の低下を招くこ
とになる。また、押出圧が100MPa未満であると、
材料を押し出すことができずに加工ができない。また、
押出圧が1500MPaより高圧であると、準結晶相が
破壊され、金属間化合物相が析出するので、脆化して伸
びが無くなり、強度が低下する。
【0016】
【実施例】以下、本願発明を更に理解し易くするために
実施例について説明するが、以下の実施例は、本願発明
の一態様を示すものであり、この発明を限定するもので
はないので、本願発明の範囲で任意に変更可能である。
Al92Mn6Ni2なる組成の母合金(アーク溶解により
溶製したもの)30gとステンレス球(15φ)20個
を、内径30〜150mm、深さ100〜150mmの
ステンレス製の図1(A)に示す蓋付ポット1に投入
し、内部を1×10-4Torrに真空引きした後、ポット内
部をArガスに置換し、図2に示す遊星ミリング装置7
にて6時間ミリングし、メカニカルアロイング処理を施
してアルミニウム合金粉末を得た。また、母合金500
gとステンレス球(20φ)40個を、内径500m
m、深さ450mmのステンレス製ポットに投入して同
じようにメカニカルアロイング処理を施してアルミニウ
ム合金粉末を得た。ミリング後の粉末の組織観察を行っ
たところ、いずれの粉末試料もAl相と正20面体準結
晶相からなる2相組織であることを確認できた。
【0017】次に、前記メカニカルアロイング処理済み
のAl94.5Cr3Ce1Co1.5なる組成の粉末(Al相
と準結晶相の2相からなるもの)を22μm以下に分級
し、外径45mm、内径35mm、長さ100mmのA
l管の中に封入した。このAl管を300℃(573
K)にて押出比5、押出速度5mm/s、押出圧800
MPaで押出加工を行った。本工程において得られたア
ルミニウム合金成形体の機械的特性は引張強度620M
Paであり、塑性伸びは10%、ビッカース硬度は18
5であった。
【0018】次に、前記と同等の製法により種々の組成
のアルミニウム合金成形体試料を作成し、それぞれの試
料について引張強度(MPa)と伸び(%)とビッカー
ス硬さを測定した結果を以下の表1、2、3にそれぞれ
示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】次に、前記と同等の製法で得られた種々の
組成のアルミニウム合金成形体の伸びと引張強度の関係
を図3に示す。図3において、No.1〜3はアモルフ
ァス粉末の押出し材試料であり、試料1の組成はAl88
Ni10Ce2、試料2の組成はAl88Ni102、試料3
の組成はAl88Ni8La2Fe2である。No.4〜11
は本発明プロセスによる合金であり、試料4の組成はA
944Fe1Co1、試料5の組成はAl934Cu3
試料6の組成はAl95Mo2Co3、試料7の組成はAl
95Nb3Mn1Co1、試料8の組成はAl94Pd4Mn1
Fe1、試料9の組成はAl96Mn2Ni2、試料10の
組成はAl94Cr4Cu2、試料11の組成はAl96Mn
2Cr1Cu1である。符号A〜Fは従来のAl合金であ
り、試料AはJIS 2024T81材、試料BはJI
S 5154材、試料CはJIS 7075材、試料D
はJIS6063材、試料EはJIS 3003材、試
料FはJIS 1100材である。
【0023】次に図4に、前記と同等の製法で得られた
Al94.5Cr3Ce1Co1.5なる組成のアルミニウム合
金成形体試料のメカニカルアロイング処理時間(=ミリ
ング時間=ポットを回転させる時間)と相変態の関係を
示す。図4に示す結果から、ミリングを行わない試料
(ミリング時間0時間の試料)は、Al13Cr2なる組
成の金属間化合物が析出し、準結晶相が析出していない
のに対し、6時間あるいは12時間ミリングした試料で
は、準結晶相の存在を示すピークが現れるとともに金属
間化合物の存在を示すピークが消失している。
【0024】次に図5に、先の試料と同じ組成の試料に
ついて、96時間ミリングした試料を用い、熱処理温度
の試料組織に対する影響を調べた結果を示す。図5に示
す結果から、280℃で熱処理した試料では準結晶相の
存在を示すピークのみが見られ、金属間化合物の存在を
示すピークが見られないのに対し、熱処理温度を460
℃、540℃と高くするほど金属間化合物の生成割合が
高くなることが判明した。
【0025】次に、Al94.5Cr3Ce1Co1.5なる組
成になるように配合した原料を用い、この原料を3、1
5、102時間それぞれ図1と図2に示す遊星ミリング
装置でミリングして得た各々のアルミニウム合金粉末試
料を300℃、押出比5、押出圧800MPaで押出成
形した試料の引張強度(MPa)と伸び(%)とビッカ
ース硬度の測定結果と組織の状態を以下の表4にまとめ
て示す。
【0026】
【表4】
【0027】表4に示す結果から、メカニカルアロイン
グ処理の時間を5〜100時間に設定することが好まし
いことが明らかになった。次に、Al93Mn5Ni2なる
組成になるように配合した原料を用い、この原料を先の
例と同等の方法で80時間ミリングして得た各々のアル
ミニウム合金粉末試料を310℃、押出比7、押出圧5
00MPaで押出成形した試料を50℃と300℃と5
00℃で1.5時間熱処理した場合の引張強度(MP
a)と伸び(%)とビッカース硬度の測定結果と組織の
状態を以下の表5にまとめて示す。
【0028】
【表5】
【0029】表5に示す結果から、メカニカルアロイン
グ処理後の熱処理温度を150〜450℃に設定するこ
とが好ましいことが明らかになった。次に、Al944
Co2なる組成になるように配合した原料を用い、この
原料を先の例と同等の方法で90時間ミリングして得た
各々のアルミニウム合金粉末試料を320℃、押出比1
0、押出圧力700MPaで押出成形した試料を250
℃で0.2時間、1.5時間、6.0時間それぞれ熱処理
した場合の引張強度(MPa)と伸び(%)とビッカー
ス硬度の測定結果と組織の状態を以下の表6にまとめて
示す。
【0030】
【表6】
【0031】表6に示す結果から、メカニカルアロイン
グ処理後の熱処理時間を0.5〜3時間に設定すること
が好ましいことが明らかになった。次に、Al94Cr3
Ce1Ni2なる組成になるように配合した原料を用い、
この原料を先の例と同等の方法で10時間ミリングして
得た各々のアルミニウム合金粉末試料を200℃、35
0℃、500℃で、ホットプレス圧力50MPaでホッ
トプレス成形した試料の引張強度(MPa)と伸び
(%)とビッカース硬度の測定結果と組織の状態を以下
の表7にまとめて示す。
【0032】
【表7】
【0033】表7に示す結果から、メカニカルアロイン
グ処理後のホットプレス温度を300〜450℃に設定
することが好ましいことが明らかになった。次に、Al
97Mn2Co1なる組成になるように配合した原料を用
い、この原料を先の例と同等の方法で12時間ミリング
して得た各々のアルミニウム合金粉末試料を380℃
で、ホットプレス圧力80MPaで0.2時間、1.5時
間、6.0時間それぞれホットプレス成形した試料の引
張強度(MPa)と伸び(%)とビッカース硬度の測定
結果と組織の状態を以下の表8にまとめて示す。
【0034】
【表8】
【0035】表8に示す結果から、メカニカルアロイン
グ処理後のホットプレス時間を0.5〜4時間に設定す
ることが好ましいことが明らかになった。次に、Al94
Mn4Ce1Ni1なる組成になるように配合した原料を
用い、この原料を先の例と同等の方法で15時間ミリン
グして得た各々のアルミニウム合金粉末試料を400℃
で、ホットプレス圧力5MPa、100MPa、100
0MPaで1.5時間それぞれホットプレス成形した試
料の引張強度(MPa)と伸び(%)とビッカース硬度
の測定結果と組織の状態を以下の表9にまとめて示す。
【0036】
【表9】
【0037】表9に示す結果から、メカニカルアロイン
グ処理後のホットプレス圧力を10〜800MPaに設
定することが好ましいことが明らかになった。次に、A
935Cu2なる組成になるように配合した原料を用
い、この原料を先の例と同等の方法で70時間ミリング
して得た各々のアルミニウム合金粉末試料を200℃、
370℃、500℃で、押出比5、押出圧800MPa
でホットプレス成形した試料の引張強度(MPa)と伸
び(%)とビッカース硬度の測定結果と組織の状態を以
下の表10にまとめて示す。
【0038】
【表10】
【0039】表10に示す結果から、メカニカルアロイ
ング処理後の押出温度を300〜450℃に設定するこ
とが好ましいことが明らかになった。次に、Al94Pd
5Fe1なる組成になるように配合した原料を用い、この
原料を先の例と同等の方法で20時間ミリングして得た
各々のアルミニウム合金粉末試料を310℃で、押出圧
110MPaで押出比3、20、40でそれぞれ押出成
形した試料の引張強度(MPa)と伸び(%)とビッカ
ース硬度の測定結果と組織の状態を以下の表11にまと
めて示す。
【0040】
【表11】
【0041】表11に示す結果から、メカニカルアロイ
ング処理後の押出比を5〜30に設定することが好まし
いことが明らかになった。次に、Al95Cr3Ce1Ti
1なる組成になるように配合した原料を用い、この原料
を先の例と同等の方法で15時間ミリングして得た各々
のアルミニウム合金粉末試料を370℃、押出比10、
押出圧力30、110、2000でそれぞれ押出成形し
た試料の引張強度(MPa)と伸び(%)とビッカース
硬度の測定結果と組織の状態を以下の表12にまとめて
示す。
【0042】
【表12】
【0043】表12に示す結果から、メカニカルアロイ
ング処理後の押出圧を100〜1500MPaに設定す
ることが好ましいことが明らかになった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、Alに添
加することにより準結晶相を形成可能な2種以上の元素
とAlを具備する原料粉末あるいは溶製簿合金に、5〜
100時間、メカニカルアロイング処理を施し、Al相
と準結晶相の2相、あるいは、Al固溶体相と準結晶相
の2相を主体とする合金粉末を得るので、準結晶相を有
し高強度で伸びに優れたアルミニウム合金粉末を得るこ
とができる。そして、このアルミニウム合金粉末を利用
し、300〜450℃で0.5〜4時間、10〜800
MPaの圧力で加圧成形することで、高強度でかつ伸び
に優れたアルミニウム合金成形体を得ることができる。
【0045】次に本願発明は、先に記載のアルミニウム
合金粉末を300〜600℃で押出比5〜30、押出圧
100〜1500MPaで押出成形することで、高強度
でかつ伸びに優れたアルミニウム合金成形体を得ること
ができる。更に、アルミニウム合金成形体を製造する場
合に、先に記載の準結晶相を生成する2種以上の元素と
して、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Y、Zr、Nb、Mo、W、Pd、Ce、La、N
d、Smの中から選択される2種以上の元素を用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明製法に用いるポットを示すもの
で、図1(A)はポットに母合金とボールを封入した状
態を示す図、図1(B)はポットに原料粉末とボールを
封入した状態を示す図である。
【図2】図2は遊星ボールミリング装置の概略構成を示
すもので、図2(A)は側面図、図2(B)は平面図で
ある。
【図3】図3は従来のAl合金試料と本願発明製法によ
る押出材試料の引張強度と伸びを比較して示した図であ
る。
【図4】図4はAl94.5Cr3Ce1Co1.5なる組成の
試料のミリング時間による組織変化を示す図である。
【図5】図5はAl94.5Cr3Ce1Co1.5なる組成の
試料のミリング後の熱処理による組織変化を示す図であ
る。
【符号の説明】
1、4…ポット、2…母合金、3…ボール、5…原料粉
末、6…回転軸、7…遊星ミリング装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/04 C22F 1/04 A (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住 宅11―806 (72)発明者 堀尾 裕磨 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (56)参考文献 特開 平7−48601(JP,A) 粉体および粉末治金,Vol.42,N o.10(1995)(平成7年10月15日発 行),PP.1202−1206 粉体および粉末治金,Vol.42,N o.2(1995),PP.215−219 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 3/14 B22F 1/00 B22F 9/02 C22C 1/04 C22C 21/00 C22F 1/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alに添加することにより準結晶相を形
    成可能な2種以上の元素とAlを具備する原料粉末ある
    いは溶製簿合金に、5〜100時間、メカニカルアロイ
    ング処理を施し、Al相と準結晶相の2相、あるいは、
    Al固溶体相と準結晶相の2相を主体とする合金粉末を
    、このアルミニウム合金粉末に300〜450℃で
    0.5〜4時間、10〜800MPaの圧力で加圧成形
    することを特徴とする高強度アルミニウム合金成形体の
    製法。
  2. 【請求項2】 Alに添加することにより準結晶相を形
    成可能な2種以上の元素とAlを具備する原料粉末ある
    いは溶製簿合金に、5〜100時間、メカニカルアロイ
    ング処理を施し、Al相と準結晶相の2相、あるいは、
    Al固溶体相と準結晶相の2相を主体とする合金粉末を
    得、このアルミニウム合金粉末に150〜450℃で
    0.5〜3時間加熱後冷却する熱処理を施し、Al相と
    準結晶相の2相、あるいはAl固溶体相と準結晶相の2
    相を主体とする合金粉末を得た後、この合金粉末に30
    0〜450℃で0.5〜4時間、10〜800MPaの
    圧力で加圧成形することを特徴とする高強度アルミニウ
    ム合金成形体の製法。
  3. 【請求項3】 Alに添加することにより準結晶相を形
    成可能な2種以上の元素とAlを具備する原料粉末ある
    いは溶製簿合金に、5〜100時間、メカニカルアロイ
    ング処理を施し、Al相と準結晶相の2相、あるいは、
    Al固溶体相と準結晶相の2相を主体とする合金粉末を
    得、このアルミニウム合金粉末を300〜450℃で押
    出比5〜30、押出圧100〜1500MPaで押出成
    形することを特徴とする高強度アルミニウム合金成形体
    の製法。
  4. 【請求項4】 Alに添加することにより準結晶相を形
    成可能な2種以上の元素とAlを具備する原料粉末ある
    いは溶製簿合金に、5〜100時間、メカニカルアロイ
    ング処理を施し、Al相と準結晶相の2相、あるいは、
    Al固溶体相と準結晶相の2相を主体とする合金粉末を
    得、このアルミニウム合金粉末に150〜450℃で
    0.5〜3時間加熱後冷却する熱処理を施し、Al相と
    準結晶相の2相、あるいはAl固溶体相と準結晶相の2
    相を主体とする合金粉末を得た後、このアルミニウム合
    金粉末を300〜450℃で押出比5〜30、押出圧1
    00〜1500MPaで押出成形することを特徴とする
    高強度アルミニウム合金成形体の製法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の準結晶
    相を生成する2種以上の元素として、Ti、V、Cr、
    Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、M
    o、W、Pd、Ce、La、Nd、Smの中から選択さ
    れる2種以上の元素を用いることを特徴とする高強度ア
    ルミニウム合金成形体の製法。
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粉体および粉末治金,Vol.42,No.10(1995)(平成7年10月15日発行),PP.1202−1206
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