JP2886808B2 - コイル梱包用治具およびその製造方法 - Google Patents

コイル梱包用治具およびその製造方法

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JP2886808B2
JP2886808B2 JP24474495A JP24474495A JP2886808B2 JP 2886808 B2 JP2886808 B2 JP 2886808B2 JP 24474495 A JP24474495 A JP 24474495A JP 24474495 A JP24474495 A JP 24474495A JP 2886808 B2 JP2886808 B2 JP 2886808B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺帯状体コイル
を梱包する際、コイルの外周隅部およびコイル端面部に
装着され、コイルを保護するために用いられるコイル梱
包用治具およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】長尺帯状体コイル、たとえば鋼帯などの
コイル製品は、製品を完全な状態で需要家に届けるため
に梱包を行って出荷される。梱包は、需要家との話し合
いによってその最終仕様が決定され、厳密には千差万別
の様式で行われているけれども、大略的には一般的な梱
包に用いられる標準梱包と、主として輸出用梱包に用い
られる重梱包とに区分される。
【0003】図5は、コイル製品の重梱包後の荷姿を示
す斜視図である。重梱包は、大略的に次のようにして行
われる。 (1)コイル製品1の内外周面および端面を、包装紙2
を用いて紙梱包する。 (2)コイル製品1の内外周隅部に、紙製の外周コーナ
ライナ3aおよび内径コーナライナ3bをそれぞれ包装
紙2の上に装着する。 (3)コイル製品1の内外周面および両端面を、鋼製の
外周板4aおよびドーナツ板4bでそれぞれ外囲する。 (4)コイル製品1の外周隅部に、外周リング5と呼ば
れる梱包治具を外周板4aおよびドーナツ板4bの上か
ら装着する。 (5)コイル製品1の内径隅部に、内径リング6と呼ば
れる梱包治具を外周板4aおよびドーナツ板4bの上か
ら装着する。 (6)コイル製品1の外周面に結束フープ7を巻掛けて
外周板4aおよび外周リング5の上から締付け、コイル
製品1を周方向に結束する。 (7)コイル製品1の外周面とその中心孔とに結束フー
プ7を巻掛けて、外周板4a、ドーナツ板4b、外周リ
ング5および内径リング6の上から締付け、コイル製品
1を軸線方向に結束する。
【0004】このように、重梱包の工程数は非常に多
く、重梱包作業には、多大な労力と時間とが必要であ
る。
【0005】図6は、従来から用いられている外周リン
グの構成を簡略化して示す斜視図である。外周リング5
は、大略的に周方向の一個所で分断されるリング状の形
状を有しており、外周リング5の軸線9方向に延びる外
周部5aと、半径方向内方側に延びて波形に褶曲した内
向きフランジ部5bとが屈曲部5cを介してL字状に連
なっている。屈曲部5cには、周方向に間隔をあけて複
数個の水抜き孔8が設けられている。外周部5aの軸線
9方向長さは、たとえば100mmであり、内向きフラ
ンジ部5bの半径方向長さは、たとえば60mmであ
る。このため外周リング5は、コイル製品1の外周隅部
に容易に装着することができ、かつ外周隅部を保護する
ことができる。また屈曲部5cに設けられた水抜き孔8
は、コイル製品1の結露によって生じる結露水を外部に
排出することができる。なお外周リング5の装着は、コ
イル製品1の端面部のドーナツ板4b上に前記内向きフ
ランジ部5bが当接し、コイル製品1の外周面の外周板
4a上に前記外周部5aが当接するように行われる。
【0006】外周リング5の成形加工は、切板状金属製
板材に板幅方向の曲げ加工を行って、L形断面材を成形
し、L形断面材の一辺を波形に成形し、L形断面材の一
辺の見かけの長さを短くして、全体形状を大略的にリン
グ状に成形することによって行われる。
【0007】ドーナツ板4bは、コイル製品1の端面部
を外囲するドーナツ状円形鋼板であり、その外径および
内径はコイル製品1の外径および内径とほぼ等しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにコイル製
品1は重梱包によって保護されており、最も荷傷みの生
じ易い内外周隅部の包装紙2の破損が、外周リング5な
どの梱包治具によって防止されている。しかしながら、
前記重梱包には梱包作業の工程数が非常に多く、梱包作
業能率が極めて低いという問題がある。このため、輸出
出荷の集中する時期には梱包ネックとなり、荷揃いの遅
れのために輸出出荷に支障を来す恐れがある。
【0009】また、前述のようにコイル製品1の端面部
においては、ドーナツ板4bの上から外周リング5の波
形に褶曲した内向きフランジ部5bが装着されるので、
内向きフランジ部5bは波の谷ではドーナツ板4bと当
接し、波の山では波形の波高さ分だけドーナツ板4bよ
りも突出する。したがって、荷役設備の不備な港湾にお
いて荷役作業を行う場合、たとえば1本のワイヤを複数
のコイルの中心孔に通して、複数のコイルを同時に吊上
げる荷役作業を行う場合などには、前記内向きフランジ
部5bの波の山に他のコイルが引掛かり、内向きフラン
ジ部5bがめくれたり、破損したりする問題が頻発す
る。前記内向きフランジ部5b、すなわち外周リング5
の破損は、コイル製品1の荷傷みの発生をもたらすばか
りでなく、包装紙2を破損して防錆力の低下をもたらす
ので、前記問題の解決は従来から強く要望されている。
【0010】本発明の目的は、荷役時に破損しにくく、
コイル製品を確実に保護することが可能で、かつ重梱包
作業の工程数を低減して、重梱包作業の能率を向上する
ことができるコイル梱包用治具およびその製造方法を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、長尺帯状体コ
イルの外周隅部に装着して用いられ、大略的に周方向の
一個所で分断されるリング状の形状を有し、軸線方向に
延びる外周部と半径方向内方側に延びて波形に褶曲した
内向きフランジ部とが屈曲部を介してL字状に連なり、
屈曲部に複数の水抜き孔が周方向に間隔をあけて設けら
れている金属製のコイル梱包用治具において、内向きフ
ランジ部は、長尺帯状体コイルの端面部の半径方向肉厚
と一致するように延び、半径方向内方寄りに形成される
波形成形部と、半径方向外方寄りに波形成形部よりも半
径方向長さが短くなるように形成される非波形成形部と
から成り、波形成形部の波形の波周期および波高さは半
径方向内方に向かうにつれて波周期が小さくなり、かつ
波高さが高くなるように形成され、非波形成形部の半径
方向全長には、波形成形に伴って発生するしわが形成さ
れることを特徴とするコイル梱包用治具である。本発明
に従えば、内向きフランジ部は半径方向外方寄りに非波
形成形部を有しており、かつ半径方向内方寄りに波形成
形部を有しているので、内向きフランジ部は長尺帯状体
コイルの端面部を広範囲にわたって覆うことができる。
これによって、前記内向きフランジ部と外周部とが屈曲
部を介してL字状に連なって一体的に構成されるコイル
梱包用治具は、長尺帯状体コイルの端面部全域および外
周面隅部を一体的に覆うことができるので、荷役時にコ
イル製品がコイル梱包用治具の継目に引掛かって生ずる
コイル梱包用治具のめくれや、破損を防止することがで
きる。また、内向きフランジ部の波形成形部の波周期お
よび波高さは、半径方向内方に向かうにつれて波周期が
小さくなりかつ波高さが高くなるように形成されてお
り、さらに非波形成形部には波形成形に伴って発生する
しわが形成されているので、内向きフランジ部の強度お
よび衝撃吸収能が従来から用いられているドーナツ板よ
りも大幅に高くなり、荷役中に衝突等によって破損する
恐れがなくなる。さらに、前記コイル梱包用治具を長尺
帯状体コイルの梱包時に装着することによって、外周面
隅部を覆う外周リングおよび端面部全域を覆うドーナツ
板をそれぞれ別々に装着する必要がなくなるので、前記
重梱包作業の工程数が減少し、重梱包作業の能率が向上
する。
【0012】また本発明は、長尺帯状体コイルの外周隅
部に装着して用いられ、大略的に周方向の一個所で分断
されるリング状の形状を有し、軸線方向に延びる外周部
と半径方向内方側に延びて波形に褶曲した内向きフラン
ジ部とが屈曲部を介してL字状に連なり、屈曲部に複数
の水抜き孔が周方向に間隔をあけて設けられている金属
製のコイル梱包用治具の製造方法において、水抜き孔の
形成された切板状金属製板材に板幅方向の曲げ加工を行
ってL形断面材を成形して、L形断面材の一辺の幅を長
尺帯状体コイルの端面部の半径方向肉厚と一致するよう
に形成し、L形断面材の一辺の板幅端部側にL形断面材
の屈曲部から板幅方向に間隔をあけて波形を、屈曲部か
ら遠ざかるにつれて波高さが高くかつ波周期が小さくな
るように成形し、さらに屈曲部と波形成形部との間隔が
波形成形部の板幅方向長さよりも短くなるように波形を
成形し、屈曲部と波形成形部との間の幅方向全長に波形
の成形に伴う周方向長さの縮み代を吸収するようにしわ
を形成して、波形を成形した側が半径方向内方側に延
び、かつ長尺帯状体コイルの端面部の半径方向肉厚と一
致するように内向きフランジ部を形成し、波形を成形し
ない側が周方向および軸線方向に延び、かつ長尺帯状体
コイルの外周面隅部を覆う外周部を形成するように全体
形状をリング状に成形することを特徴とするコイル梱包
用治具の製造方法である。本発明に従えば、波形の成形
はL形断面材の一辺の板幅端部寄りにL形断面材の屈曲
部から板幅方向に間隔をあけて行われるので、半径方向
内方側へ延びる内向きフランジ部の成形可能範囲を拡大
することができる。また、長尺帯状体コイルの端面部全
域および外周面隅部を一体的に覆うコイル梱包用治具
を、内向きフランジ部の波形が屈曲部から遠ざかるにつ
れて波高さが高くかつ波周期が小さくなるように成形す
ることによって、さらに屈曲部と波形成形部との間の幅
方向全長に波形の成形に伴う周方向長さの縮み代を吸収
するようにしわを形成することによって一体で成形加工
することができるので、コイル梱包用治具の製造を極め
て効率的に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるコイル梱包用治具の構成を簡略化して示す斜視図で
ある。コイル梱包用治具15は、長尺帯状体コイルであ
る鋼帯などのコイル製品20の外周面隅部20aおよび
端面部20bに装着される。コイル梱包用治具15の形
状は、大略的にリング状であり、周方向の一個所で分断
されている。コイル梱包用治具15は、軸線16方向に
延びる外周部17と、半径方向内方側に延びる内向きフ
ランジ部18とを含む。コイル梱包用治具15の断面形
状は、軸線16を含む仮想平面内において大略的にL字
状であり、外周部17と内向きフランジ部18とは、屈
曲部19を介して大略的にL字状に一体的に連なってい
る。前記屈曲部19には、複数の水抜き孔21が周方向
に等間隔をあけて設けられている。
【0014】前記内向きフランジ部18は、コイル製品
20の端面部20bの全域を覆うように、半径方向内方
側に長く延びて形成されており、波形に褶曲している波
形成形部18aと、波形に成形されていない非波形成形
部18bとから構成されている。前記波形成形部18a
は、内向きフランジ部18の半径方向内方側に屈曲部1
9から間隔をあけて非波形成形部18bを介して形成さ
れており、非波形成形部18bは、屈曲部19に隣接し
て内向きフランジ部18の半径方向外方側に形成されて
いる。なお、非波形成形部18bには、半径方向内方側
における波形成形に伴うしわが発生する。
【0015】このように、前記内向きフランジ部18
は、コイル製品20の端面部20bの全域を覆うように
形成されているので、コイル製品20の梱包時に従来か
ら用いられている前記外周リング5および前記ドーナツ
板4bを、それぞれ別々にコイル製品20の端面部20
bに装着する必要がなくなる。このため前記重梱包作業
の工程数が減少し、重梱包作業の能率が向上する。
【0016】コイル梱包用治具15の素材としては、金
属製板材、特に鋼板およびめっき鋼板を用いることが好
ましい。これは、鋼板およびめっき鋼板を用いた場合に
は、板厚が薄くてもコイル梱包用治具15の強度を高く
することができるので、荷役中におけるコイル梱包用治
具15の破損を防止することができるからである。前記
水抜き孔21は、コイル製品20の結露によって生じる
結露水を外部に排出することができる。
【0017】図2は、図1に示す波形成形部の領域Aの
構成を簡略化して示す斜視図である。波形成形部18a
における波形の波高さおよび波周期は、半径方向位置に
よって異なっており、半径方向最内方の波高さH2およ
び波周期P2は、半径方向外方寄りの波高さH1および
波周期P1に比べて、波高さが高く、かつ波周期が短く
なっている。これは、波形成形部18aにおける見かけ
の円周方向の長さが、半径方向内方に向かうほど短くな
ることによるものである。このように、内向きフランジ
部18には波形が成形されているので、内向きフランジ
部18の強度、剛性および衝撃吸収能が従来から用いら
れている前記ドーナツ板4bよりも大幅に高くなり、荷
役中に衝突等によって破損する恐れがなくなる。
【0018】コイル梱包用治具15は、次のようにして
製造される。第1ステップでは、水抜き孔21の形成さ
れた切板状金属製板材、たとえば亜鉛めっき鋼板切板に
板幅方向の曲げ加工を行って、L形断面材を成形する。
前記L形断面材の成形は、複数の成形ロールによって順
次行われる。L形断面材の成形に際しては、L形断面材
の一辺の板幅がコイル製品20の端面部20bの半径方
向肉厚(以後、「端面肉厚」と略称することがある)と
一致するようにL形断面材の屈曲部の板幅方向位置が設
定される。第2ステップでは、L形断面材の一辺の板幅
端部側にL形断面材の屈曲部から間隔をあけて波形が成
形される。
【0019】図3は本発明にかかわる波形成形スタンド
の構成を簡略化して示す正面図であり、図4は波形成形
時の状況を簡略化して示す平面模式図である。波形成形
スタンドには、上中下3本の波付ロール、すなわち中波
付ロール24a、下波付ロール24b、上波付ロール2
4c(以後、「波付ロール24」と総称することがあ
る)が設けられており、L形断面材23に波形を成形す
る。L形断面材23は、板幅が前記端面肉厚と一致する
ように設定されている一辺23aと、一辺23aとのな
す角度がほぼ直角に成形されている他辺23bとから成
る。L形断面材23の一辺23aは、中波付ロール24
aと下波付ロール24b間にほぼ水平に通板されて、波
形を成形される。
【0020】中波付ロール24aは外周面に波形歯を形
成した水平ロールであり、中波付ロール24aの前記L
形断面材23の他辺23bを臨む一端部側(以後、「非
駆動側」と表すことがある)が、上下方向に圧下調整変
位可能に設置されている。前記波形歯は、中波付ロール
24aの非駆動側一端部から間隔をあけて他端部側(以
後、「駆動側」と表すことがある)に向けて軸線方向に
平行に形成されており、中波付ロール24aの非駆動側
一端部寄りの外周面には、波形歯が形成されていない。
また、中波付ロール24aの駆動側には平歯車26が設
けられており、中波付ロール24aの非駆動側には、ロ
ール軸および軸受がともに設けられていない。このた
め、L形断面材23の他辺23bは、中波付ロール24
aの非駆動側を自在に通過することができる。下波付ロ
ール24bの構成は、非駆動側にロール軸および軸受が
設けられている点を除いて、中波付ロール24aと同一
である。上波付ロール24cは、外周面全長にわたって
波形歯を形成した水平ロールである。上波付ロール24
cの非駆動側には圧下調整手段27が設けられており、
駆動側他端部には平歯車26が設けられている。各波付
ロール24a,24b,24cに設けられている平歯車
26は相互に噛合っており、下波付ロール24bの駆動
側に設けられている駆動モータ28によって回転駆動さ
れる。
【0021】波形成形時、中波付ロール24aと下波付
ロール24bとの波形歯間隙は、軸線方向に同一ではな
く、上波付ロール24cに設けられている圧下調整手段
27によって駆動側の波形歯間隙G1が、非駆動側の波
形歯間隙G2よりも小さくなるように設定される。これ
によって、前記L形断面材23の一辺23aに成形され
る波形は、前記波付ロール24の駆動側において非駆動
側よりも波高さが高く、かつ波周期が小さく成形される
ので、駆動側の見掛けの長さが大幅に短くなり、L形断
面材23は、波付ロール24の出側において矢符25方
向に弯曲する。このため、波形を成形したL形断面材2
3の一辺23aが半径方向内方側に延び、かつコイル製
品20の端面部20b全域を覆う前記内向きフランジ部
18を形成し、波形を成形しないL形断面材23の他辺
23bが、周方向および軸線方向に延びる前記外周部1
7を形成するように全体形状がリング状に成形される。
【0022】また、前記波付ロール24の非駆動側一端
部寄りの外周面に波形歯が形成されていないのは、
(a)前記波付ロール24の波形歯が形成されていない
部分は、L形断面材23がリング状に成形されるときに
は内向きフランジ部18の半径方向最外方近辺に当接す
るので、リング状に成形するために必要な見掛けの円周
方向長さの縮み代が内向きフランジ部18の半径方向内
方寄りの部分に比べて極めて小さい。このため内向きフ
ランジ部18の半径方向最外方近辺では、強制的に波形
を成形しなくても半径方向内方側の波形成形にともなっ
て発生するしわによって、前記縮み代を吸収することが
でき、L形断面材23を支障なくリング状に成形するこ
とができること、(b)不必要な部分に波形歯が形成さ
れていない波付ロール24は、外周面全長に亘って波形
歯が形成されている波付ロールと比べて、波形歯のロー
ル軸線方向形成長さが同一の場合には、内向きフランジ
部18の半径方向成形長さを、波形歯が形成されていな
い部分の長さ相当分だけ長くすることが可能であり、内
向きフランジ部18の成形可能範囲を拡大することがで
きること、(c)内向きフランジ部18の成形可能範囲
の拡大を波付ロール24の波形歯のロール軸線方向形成
長さを長くすることによって行う場合には、外周面全長
に亘って波形歯が形成された波付ロールは、不必要な部
分に波形歯が形成されていない波付ロール24に比べて
波形歯の歯の高さを高くする必要があるので、波付ロー
ルおよび設備の大型化を招くこと、などの理由によるも
のである。
【0023】このように第2ステップでは、L形断面材
23の一辺23aの板幅端部側にL形断面材23の屈曲
部から間隔をあけて波形が成形されるので、コイル製品
20の端面部20bを全域にわたって覆うことのできる
内向きフランジ部18を確実に成形することができる。
また、コイル製品20の端面部20b全域および外周面
隅部20aを、一体的に覆うコイル梱包用治具15を一
体成形によって成形加工することができるので、コイル
梱包用治具15の製造を極めて効率的に行うことができ
る。
【0024】
【実施例】亜鉛めっき鋼板切板を出発材料として、前記
製造方法によって成形加工を行い、中間体であるL形断
面材23を経て、前記コイル梱包用治具15を効率的に
製造することができた。各寸法は、以下のとおりであ
る。
【0025】亜鉛めっき鋼板切板;板厚:0.5mm、
板幅:300mm、長さ:3300mm L形断面材(図3参照);L形断面材23の一辺23a
の板幅:200mm、L形断面材23の他辺23bの板
幅:100mm コイル梱包用治具(図1参照);外径:910mm、外
周部17の軸線方向長さL1:100mm、内向きフラ
ンジ部18の内径:510mm、内向きフランジ部18
の半径方向長さR1:200mm、非波形成形部18b
の半径方向長さR2:35mm、波形成形部の半径方向
長さR3:165mm
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、コイル梱
包用治具は、長尺帯状体コイルの端面部全域および外周
面隅部を一体的に覆うことができるので、荷役時におけ
るコイル梱包用治具のめくれや破損が防止され、長尺帯
状体コイルを確実に保護することができる。また、端面
部を覆うコイル梱包用治具の内向きフランジ部には波形
と、波形の成形に伴って発生するしわとが形成されてい
るので、端面部を覆うコイル梱包用治具の強度および衝
撃吸収能が高くなる。したがって荷役時における衝突等
による破損の恐れがなくなる。さらに、長尺帯状体コイ
ルの梱包時に外周リングおよびドーナツ板をそれぞれ別
々に装着する必要がなくなるので、重梱包作業の工程数
が減少し、重梱包作業の能率が向上する。
【0027】また本発明によれば、L形断面材の一辺に
屈曲部から板幅方向に間隔をあけて波形が成形されるの
で、半径方向内方側へ延びる内向きフランジ部の成形可
能範囲を拡大することができる。また、一体成形によっ
てコイル梱包用治具の製造を極めて効率的に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるコイル梱包用治具
の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図2】図1に示す波形成形部の領域Aの構成を簡略化
して示す斜視図である。
【図3】本発明にかかわる波形成形スタンドの構成を簡
略化して示す正面図である。
【図4】波形成形時の状況を簡略化して示す平面模式図
である。
【図5】コイル製品の重梱包後の荷姿を示す斜視図であ
る。
【図6】従来から用いられている外周リングの構成を簡
略化して示す斜視図である。
【符号の説明】
4a 外周板 4b ドーナツ板 5 外周リング 15 コイル梱包用治具 17 外周部 18 内向きフランジ部 18a 波形成形部 18b 非波形成形部 20 コイル製品 20a コイル製品の外周面隅部 20b コイル製品の端面部 21 水抜き孔 24 波付ロール 24a 中波付ロール 24b 下波付ロール 24c 上波付ロール
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65B 13/00 - 13/34 B65B 27/00 - 27/12 B21D 13/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺帯状体コイルの外周隅部に装着して
    用いられ、大略的に周方向の一個所で分断されるリング
    状の形状を有し、軸線方向に延びる外周部と半径方向内
    方側に延びて波形に褶曲した内向きフランジ部とが屈曲
    部を介してL字状に連なり、屈曲部に複数の水抜き孔が
    周方向に間隔をあけて設けられている金属製のコイル梱
    包用治具において、 内向きフランジ部は、長尺帯状体コイルの端面部の半径
    方向肉厚と一致するように延び、半径方向内方寄りに形
    成される波形成形部と、半径方向外方寄りに波形成形部
    よりも半径方向長さが短くなるように形成される非波形
    成形部とから成り、波形成形部の波形の波周期および波
    高さは半径方向内方に向かうにつれて波周期が小さくな
    り、かつ波高さが高くなるように形成され、非波形成形
    部の半径方向全長には、波形成形に伴って発生するしわ
    が形成されることを特徴とするコイル梱包用治具。
  2. 【請求項2】 長尺帯状体コイルの外周隅部に装着して
    用いられ、大略的に周方向の一個所で分断されるリング
    状の形状を有し、軸線方向に延びる外周部と半径方向内
    方側に延びて波形に褶曲した内向きフランジ部とが屈曲
    部を介してL字状に連なり、屈曲部に複数の水抜き孔が
    周方向に間隔をあけて設けられている金属製のコイル梱
    包用治具の製造方法において、 水抜き孔の形成された切板状金属製板材に板幅方向の曲
    げ加工を行ってL形断面材を成形して、L形断面材の一
    辺の幅を長尺帯状体コイルの端面部の半径方向肉厚と一
    致するように形成し、 L形断面材の一辺の板幅端部側にL形断面材の屈曲部か
    ら板幅方向に間隔をあけて波形を、屈曲部から遠ざかる
    につれて波高さが高くかつ波周期が小さくなるように成
    形し、さらに屈曲部と波形成形部との間隔が波形成形部
    の板幅方向長さよりも短くなるように波形を成形し、屈
    曲部と波形成形部との間の幅方向全長に波形の成形に伴
    う周方向長さの縮み代を吸収するようにしわを形成し
    て、波形を成形した側が半径方向内方側に延び、かつ長
    尺帯状体コイルの端面部の半径方向肉厚と一致するよう
    に内向きフランジ部を形成し、波形を成形しない側が周
    方向および軸線方向に延び、かつ長尺帯状体コイルの外
    周面隅部を覆う外周部を形成するように全体形状をリン
    グ状に成形することを特徴とするコイル梱包用治具の製
    造方法。
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