JP2884511B1 - タイワンレンギョウの新規植物成分およびそれを含有する 植物成長阻害剤 - Google Patents

タイワンレンギョウの新規植物成分およびそれを含有する 植物成長阻害剤

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JP2884511B1
JP2884511B1 JP8786698A JP8786698A JP2884511B1 JP 2884511 B1 JP2884511 B1 JP 2884511B1 JP 8786698 A JP8786698 A JP 8786698A JP 8786698 A JP8786698 A JP 8786698A JP 2884511 B1 JP2884511 B1 JP 2884511B1
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俊太郎 平舘
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浩士 箭田
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農林水産省農業環境技術研究所長
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Abstract

【要約】 【構成】本発明は、式(I)および式(II)で示され
る新規化合物に関し、広範囲の植物に対して生育阻害作
用を示し、従って、植物生成阻害剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタイワンレンギョウに含
有され、新規に単離同定された新規化合物およびそれを
有効成分とする植物成長阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】農耕地等においては雑草害を回避するた
めに、現在では多くの合成除草剤が使用されている。ま
た、公園等の緑地においては適切な植生管理を行うため
に、やはり多くの合成化合物が植物成長調節剤として投
入されている。これらの化合物を環境中に投入する際に
は、乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤
剤、安定剤などの合成化合物を添加し、乳剤、油剤、水
和剤、粉剤、水溶剤などの製剤として使用されている。
これらの製剤は、合成化合物の混合物であるため一般に
疎水性が高く、自然環境中では分解されにくい。また、
農薬等の疎水性の高い化合物は、人体においては特定の
臓器に蓄積して障害を引き起こしやすいとされている。
近年、環境や人体に対してより安全性の高い農業用資材
が求められていることから、農薬も疎水性の低い化合物
を有効成分とする製剤が市場に出回るようになってきて
いる。しかし、有効成分の疎水性は低くても、製剤化の
過程で混合される乳化剤、展着剤、安定剤は依然として
疎水性が高く、結局疎水性の高い合成化合物が環境中に
投入される結果を招いている。このような観点から、天
然物由来で疎水性の低い除草剤、植物成長調節剤であっ
て環境に対する負荷が低いものが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、強い植
物成長阻害作用を持っているとされるタイワンレンギョ
ウ(Duranta repens)を材料として用
い、当該植物体内に存在している植物成長阻害物質を単
離・精製し、その化学構造および生物活性を明らかにす
ることによって、新規の化学構造を持った植物成長阻害
剤を提供することに成功した。本発明では、得られた植
物成長阻害物質を用いて、あるいは市販の農薬と混合す
ることによって、環境や人体に対して安全性の高い植物
成長阻害剤を提供することを目的としている。本発明の
後記の化合物(I)および(II)は各種植物に対する
成長阻害活性物質であると同時に、これらの化合物自体
が乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、
安定剤などの機能を備えた物質でもある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明者等
は、タイワンレンギョウを材料として、当該植物体内に
存在する植物成長阻害作用の原因物質を解明すべく鋭意
研究を進めた結果、タイワンレンギョウの抽出物からそ
の原因物質を単離することに成功し、さらにその原因物
質の化学構造は下記式(I)および(II)で表される
新規化合物[Polygalacic acid−3−
glucopyranosido−28−{rhamn
o−pyranosyl−(1→3)−xylopyr
anosyl−(1→4)−[apiofuranos
yl−(1→3)]−rhamnopyranosyl
−(1→2)−arabinopyranosid
e}](I)および[Polygalacic aci
d−3−glucopyranosido−28−{r
hamnopyranosyl−(1→3’)−api
ofuranosyl−(1→4)−rhamnopy
ranosyl−(1→2)−arabinopyra
noside}](II)であり、このものが多くの植
物に対して優れた成長阻害作用を示すことを見いだし、
本発明を完成させたものである。
【化1】
【化2】
【0005】本発明の式(I)および(II)で示され
る化合物は、文献検索の結果新規化合物であり、イヌビ
エ、カラシナ、レタス、シロクローバ等を指標とする各
種植物の幼根の伸長成長を約50〜200μMで50%
阻害する植物成長阻害活性を有する。本発明の式(I)
および(II)で示される化合物は、例えばクマツヅラ
科の植物であるタイワンレンギョウの葉の乾燥粉末から
得ることができる。タイワンレンギョウの葉をメタノー
ル、あるいはメタノールと水の混液等で抽出し、溶媒を
留去後、これを水に懸濁して酢酸エチルと分配し、水画
分は水和したn−ブタノールと分配し、n−ブタノール
画分は活性炭、シリカゲル、化学修飾型シリカゲル、ア
ルミナ、セルロースを担体としてカラムクロマトグラフ
ィー等により分画して本発明の化合物を得ることができ
る。
【0006】本発明の式(I)で示される化合物は、旋
光度[α] 22(MeOH)=−62.8゜(c1.
22)、融点225〜227℃の理化学的性質を有す
る。また赤外線吸収スペクトル νmax(KBr)c
−1は次の通りである。 3437,2935,1736,1720,1638,
1048 精製された化合物の構造は、通常の手法、例えば各種核
磁気共鳴(NMR)スペクトル(H−NMR,13
−NMR,DEPT,13C−H COSY,H−
H COSY,HMBC,HSQC,COLOC,N
OESY,ROESY,NOE差スペクトル、一次元お
よび二次元HOHAHA,J分解スペクトル)および質
量分析法(FAB−MS)により決定できる。本発明の
式(I)で示される化合物の13C−NMRスペクトル
(CDOD)のデータを表1に示す。
【表1】
【0007】また、 本発明の式(II)で示される化
合物は、旋光度[α] 22(MeOH)=−57.4
゜(c1.21)、融点216〜220℃の理化学的性
質を有する。また赤外線吸収スペクトル νmax(K
Br)cm−1は次の通りである。 3402,2936,1736,1720,1638,
1052 精製された化合物の構造は、通常の手法、例えば各種核
磁気共鳴(NMR)スペクトル(H−NMR,13
−NMR,DEPT,13C−H COSY,H−
H COSY,HMBC,HSQC,COLOC,N
OESY,ROESY,NOE差スペクトル、一次元お
よび二次元HOHAHA,J分解スペクトル)および質
量分析法(FAB−MS)により決定できる。本発明の
式(II)で示される化合物の13C−NMR スペク
トル(CDOD)のデータを表2に示す。
【表2】
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の式(I)または(II)
で示される化合物を植物成長阻害剤として使用する場合
は、対象とする植物を限定しない。例えば、ノビエ(タ
イヌビエの総称)、コナギ、アオビユ、アオゲイトウ、
エノコログサ等の水田、畑地、樹園地、湿地等の発生す
る一年生草および多年生草の防除を目的として使用する
ことができる。
【0009】本発明の式(I)または(II)で示され
る化合物は、出芽前及び出芽後にある植物に対して優れ
た成長抑制作用を示すことから、有用植物の植え付け予
定地に予め処理するとか有用植物の植え付け後(有用植
物が樹園地の如く既に定植されている場合を含む)雑草
の発生前期から生育期に処理することにより、本発明植
物成長阻害剤の有する特徴ある生理活性を効果的に発現
させることができる。しかし本発明植物成長阻害剤はこ
のような態様においてのみ使用されねばならないという
ものではなく、例えば本発明植物成長阻害剤は水田用除
草剤としても使用することができるばかりでなく、一般
雑草の成長阻害剤としても使用することができ、例えば
刈り取り跡、休耕田畑、畦畔、農道、水路、牧草造成
地、墓地、公園、道路、運動場、建物の周辺の空き地、
開墾地、線路、森林等の一般雑草の防除の為に使用する
こともできる。この場合、本発明の式(I)または(I
I)で示される化合物の処理時期は、雑草の生育始期に
限定されるものではなく、生育期にある雑草を防除する
ことが可能である。
【0010】本発明の式(I)または(II)で示され
る化合物を植物成長阻害剤として使用する場合、上記の
方法で精製された化合物(式Iまたは式II)に水に溶
解して使用しても良いが、一般的には適当な液体担体に
溶解若しくは分散させ、または適当な粉末担体と混合若
しくは吸着させ、さらに所望の場合は、これらに乳化
剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、安定剤
などを添加し、乳剤、油剤、水和剤、粉剤、水溶剤など
に製剤して使用することができる。
【0011】有効成分の濃度は、一般に乳剤、油剤、水
和剤では1〜20%が適当であり、水和剤、粉剤では2
〜40%が適当である。ただし、使用目的によってこれ
らの濃度は適宜変更することができる。また、乳剤、水
和剤、水溶剤は使用に際して水で10〜1000倍に希
釈して使用する。
【0012】製剤に使用する液体担体として、例えば
水、アルコール類(メタノール、エタノール類)などの
溶剤が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合し
て使用する。
【0013】また、粉末担体としては、タルク、カオリ
ン、ベントナイト、ゼオライト、消石灰、珪藻土、酸性
白土のような鉱物質粉末、さらにアルミナ、シリカゲル
等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して
使用する。
【0014】さらに、展着剤、乳化剤、浸透剤、分散
剤、可溶化剤などとして界面活性剤を使用することがで
き、この場合には、高級アルコールの硫酸エステル、高
級脂肪酸エステル、アルキルアリールスルホン酸エステ
ル、アルキレンオキシド系界面活性剤などが用いられ
る。
【0015】本発明の式(I)または(II)で示され
る化合物を有効成分とする植物成長阻害剤は、各種植物
の成長阻害若しくは枯殺するために、そのまま又は水等
で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で、成長阻害若し
くは枯殺に有効な量を、当該植物に、又は当該植物の発
生若しくは生育が好ましくない場所において、茎葉また
は土壌に処理して使用する。
【0016】本発明の式(I)または(II)で示され
る化合物を有効成分とする植物成長阻害剤の使用量は、
種々の因子、例えば目的、対象植物、雑草又は作物の発
生/生育状況、植物の発育傾向、天候、環境条件、剤
型、施用方法、施用場所、施用時期等により変動する
が、有効成分化合物の施用量を目的に応じて適宜選択す
ればよい。
【0017】本発明の(I)または(II)で示される
化合物を有効成分とする植物成長阻害剤を更に防除対象
草種、防除適期の拡大のために、あるいは薬量の低減を
はかる目的で、他の除草剤、植物成長調整剤などを配合
して使用することも可能である。
【0018】本発明の式(I)および(II)の化合物
の単離・精製および構造決定を実施例によって示す。
【実施例】
実施例1 本発明の式(I)および(II)で示され
る化合物の精製 タイワンレンギョウの乾燥した葉200gをメタノール
にて反復抽出した後、得られた抽出物をロータリーエバ
ポレータを用いてメタノールを留去するとともに濃縮・
乾固し、これを水に懸濁した。懸濁液のpHを2N−H
Clにて2.5とし、これを酢酸エチルと分配した。水
層はさらに水和したn−ブタノールと分配し、n−ブタ
ノール画分を上記同様に濃縮・乾固した後、再び水に懸
濁した。水に懸濁したn−ブタノール画分を、活性炭を
吸着剤とするカラムクロマトグラフィー(クロマトグラ
フ用活性炭素、和光純薬工業(株)製、水を用いて充
填)に付し、カラムを水で洗浄後、メタノールで溶出し
た。メタノールで溶出された画分は、ロータリーエバポ
レータを用いて減圧乾固・濃縮し、30%メタノール/
クロロホルムに溶かした。
【0019】次に、この30%メタノール/クロロホル
ムに溶かした画分は、シリカゲルを吸着剤とするカラム
クロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、和光純薬
工業(株)製、30%メタノール/クロロホルムを用い
て充填)に付し、カラムを30%メタノール/クロロホ
ルムで洗浄後、45%メタノール/クロロホルムで溶出
した。45%メタノール/クロロホルムで溶出した画分
は、ロータリーエバポレータを用いて減圧乾固・濃縮
し、40%メタノール/水に溶かした。次に、この40
%メタノール/水に溶かした画分は、オクタデシルシリ
ル基でシリカゲルを修飾した吸着剤を用いたカラムクロ
マトグラフィー(Bondesil C18、ジーエル
サイエンス(株)製、40%メタノール/水を用いて充
填)に付し、カラムを40%メタノール/水で洗浄後、
55%メタノール/水で溶出した。55%メタノール/
水で溶出した画分は、ロータリーエバポレータを用いて
減圧乾固・濃縮し、50%メタノール/水に溶かした。
【0020】次に、この50%メタノール/水に溶かし
た画分は、オクタデシルシリル基でシリカゲルを修飾し
た吸着剤を充填したカラム(Shim−pack PR
EP−ODS(H)、20mmφ×250mm、島津製
作所製)を用いた分取用の高速液体クロマトグラフィー
に注入し、UV210nmでモニターしながら50%メ
タノール/水で溶出(流速9.9mL min−1)し
た。試料を注入してから58−62分後および50−5
5分後に検出されたピークを集め、ロータリーエバポレ
ータを用いて減圧乾固・濃縮することにより、それぞれ
式(I)および式(II)で示される化合物を固形物と
して得た。式(I)および式(II)で示される化合物
は、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(No.571
5、Silica Gel 60 F−254、厚さ
0.25mm、Merck社製)上でn−ブタノール、
酢酸、水の混液(3:1:1)あるいはピリジン、酢酸
エチル、酢酸、水の混液(5:5:1:3)で展開し、
溶媒を乾燥後、ヨウ素の蒸気によりあるいはジフェニル
アミン・アニリン・リン酸混液を噴霧後加熱することに
よりあるいは5%リンモリブデン酸/エタノール溶液を
噴霧後加熱すること等により、単一のスポットを示し
た。このようにして得られた式(I)および式(II)
で示される上記の化合物は、実施例2および3に従って
構造決定した結果、文献検索により新規の化合物である
ことが判明した。
【0021】 実施例2 本発明の化合物(I)の構造決定 本発明の化合物(I)は、重メタノール中において、複
雑ではあるがトリテルペノイド系サポニンに特徴的な
H−NMRスペクトルを示した。特徴的なシグナルとし
て、化合物(I)は0.7−1.4ppmにシングレッ
トメチル基6個とダブレットメチル基2個が観測され、
また3.1−4.2ppmの領域には糖由来と考えられ
る多数のシグナル、5.4ppmにオレフィンプロトン
のシグナル1個、そして糖のアノマープロトンのシグナ
ル6個(4.43,4.64,4.94,5.12,
5.24,5.68ppm)が認められた。13C−N
MRスペクトルからは合計63個の炭素のシグナルが観
測され、DEPTスペクトルからこれらはメチル炭素8
個、メチレン炭素14個、メチン炭素32個、4級炭素
9個から構成されていることが分かった。また、FAB
−MSの分析結果からM=1354が得られたことか
ら、本発明の化合物(I)の分子量を1354と決定し
た。
【0022】本発明の化合物(I)を、5%乾燥塩酸/
メタノールにより3日間105℃で反応させ、反応生成
物をSep Pak C13(日本ウォーターズ(株)
製)を用いて50%メタノール/水および100%メタ
ノール画分に分画した。100%メタノール画分に含ま
れる化合物の13C−NMR スペクトルは、Poly
galacic acidの文献データと完全に一致し
たことから、本発明の化合物(I)はアグリコン部にP
olygalacic acidを含んでいる配糖体で
あることが明らかになった。本発明の化合物(I)の糖
組成を明らかにするために、本発明の化合物(I)を5
%乾燥塩酸/メタノールにより80℃で15時間反応さ
せてメチル化単糖を得、これを乾固後、定法に従いトリ
メチルシリル化して、ガスクロマトグラフ分析により標
品のトリメチルシリル化糖と保持時間を比較した。標品
のトリメチルシリル化糖と保持時間を比較し、これが一
致するものについてはさらにco−injection
によりピークが完全に一致することを確認した。その結
果、本発明の化合物(I)に含まれる糖は、グルコー
ス、アラビノース、キシロース、アピオース、ラムノー
ス(2分子)であることが確認された。
【0023】本発明の化合物(I)を、熱水(105
℃)中で4日間加水分解し、SepPakC13(日本
ウォーターズ(株)製)を用いて反応生成物からアグリ
コンを含む画分を単離し、このプロサポゲニンの各種N
MRスペクトルを測定したところ、その化学構造は3位
にグルコースの結合したPolygalacic ac
id(3−Gluco−pyranosyl poly
galacic acid)であることが明らかになっ
た。このことは、このプロサポゲニンの構成糖を上記と
同様の方法で調べることによっても確かめられた。本発
明の化合物(I)の糖の結合位置を決定するため、構成
糖の部分メチル化アルジトールアセテート誘導体を調製
した。すなわち、本発明の化合物(I)を定法により完
全メチル化した後、2Mトリフルオロ酢酸中121℃で
1時間加熱分解を行い、これを乾固後、重水素化ホウ素
ナトリウム/1.5M NHOHにより糖の還元末端
を還元し、さらに乾固後、無水酢酸:ピリジン混液
(1:1)によりアセチル化を行った。得られた誘導体
の化学構造は、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析し
た。その結果、末端に位置していたラムノピラノシド、
末端に位置していたアピオフラノシド、末端に位置して
いたグルコピラノシド、C3位が置換されたキシロピラ
ノシド、C2位が置換されたアラビノピラノシド、C3
位および4位が置換されたラムノピラノシドが検出され
た。
【0024】本発明の化合物(I)、アグリコン部のP
olygalacic acid、プロサポゲニンであ
る3−Glucopyranosyl polygal
acic acidの各種NMRスペクトルを比較した
結果、アラビノース、キシロース、アピオース、ラムノ
ース(2分子)はPolygalacic acidの
28位に結合していることが明らかになった。これらの
糖の結合様式については、本発明の化合物(I)の
−NMR,13C−NMR,DEPT,13C−
COSY,H−H COSY,HMBC,HSQ
C,COLOC,NOESY,ROESY,NOE差ス
ペクトル、一次元および二次元HOHAHA,J分解ス
ペクトルを解析することにより、rhamnopyra
nosyl−(1→3)−xylopyranosyl
−(1→4)−[apiofuranosyl−(1→
3)]−rhamnopyranosyl−(1→2)
−arabinopyranoside}の構造を持っ
ていることが明らかになった。
【0025】以上の情報を総合することにより、本発明
の化合物(I)の化学構造は、式(I)で示される、P
olygalacic acid−3−glucopy
ranosido−28−{rhamno−pyran
osyl−(1→3)−xylopyranosyl−
(1→4)−[apiofuranosyl−(1→
3)]−rhamnopyranosyl−(1→2)
−arabinopyranoside}であることが
明らかになった。本発明の式(I)で示される化合物の
13C−NMR スペクトルのデータは表1に示したと
おりである。このようにして得られた式(I)で示され
る上記の化合物は、文献検索により新規の化合物である
ことが判明した。
【0026】実施例3 本発明の化合物(II)の構
造決定 本発明の化合物(II)は、重メタノール中に
おいて、複雑ではあるがトリテルペノイド系サポニンに
特徴的なH−NMRスペクトルを示した。特徴的なシ
グナルとして、化合物(II)は0.7−1.4ppm
にシングレットメチル基6個とダブレットメチル基2個
が観測され、また3.2−4.0ppmの領域には糖由
来と考えられる多数のシグナル、5.4ppmにオレフ
ィンプロトンのシグナル1個、そして糖のアノマープロ
トンのシグナル5個(4.44,4.71,4.94,
5.34,5.72ppm)が認められた。13C−N
MRスペクトルからは合計58個の炭素のシグナルが観
測され、DEPTスペクトルからこれらはメチル炭素8
個、メチレン炭素13個、メチン炭素28個、4級炭素
9個から構成されていることが分かった。また、FAB
−MSの分析結果からM=1222が得られたことか
ら、本発明の化合物(II)の分子量を1222と決定
した。
【0027】本発明の化合物(II)を、5%乾燥塩酸
/メタノールにより3日間105℃で反応させ、反応生
成物をSep Pak C13(日本ウォーターズ
(株)製)を用いて50%メタノール/水および100
%メタノール画分に分画した。100%メタノール画分
に含まれる化合物の13C−NMRスペクトルは、Po
lygalacic acidの文献データと完全に一
致したことから、本発明の化合物(II)はアグリコン
部にPolygalacic acidを含んでいる配
糖体であることが明らかになった。本発明の化合物(I
I)の糖組成を明らかにするために、本発明の化合物
(II)を5%乾燥塩酸/メタノールにより80℃で1
5時間反応させてメチル化単糖を得、これを乾固後、定
法に従いトリメチルシリル化して、ガスクロマトグラフ
分析により標品のトリメチルシリル化糖と保持時間を比
較した。標品のトリメチルシリル化糖と保持時間を比較
し、これが一致するものについてはさらにco−inj
ectionによりピークが完全に一致することを確認
した。その結果、本発明の化合物(II)に含まれる糖
は、グルコース、アラビノース、アピオース、ラムノー
ス(2分子)であることが確認された。
【0028】本発明の化合物(II)を、熱水(105
℃)中で4日間加水分解し、SepPakC13(日本
ウォーターズ(株)製)を用いて反応生成物からアグリ
コンを含む画分を単離し、このプロサポゲニンの各種N
MRスペクトルを測定したところ、その化学構造は3位
にグルコースの結合したPolygalacicaci
d(3−Gluco−pyranosyl polyg
alacic acid)であることが明らかになっ
た。このことは、このプロサポゲニンの構成糖を上記と
同様の方法で調べることによっても確かめられた。本発
明の化合物(II)の糖の結合位置を決定するため、構
成糖の部分メチル化アルジトールアセテート誘導体を調
製した。すなわち、本発明の化合物(II)を定法によ
り完全メチル化した後、2Mトリフルオロ酢酸中121
℃で1時間加熱分解を行い、これを乾固後、重水素化ホ
ウ素ナトリウム/1.5M NHOHにより糖の還元
末端を還元し、さらに乾固後、無水酢酸:ピリジン混液
(1:1)によりアセチル化を行った。得られた誘導体
の化学構造は、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析し
た。その結果、末端に位置していたラムノピラノシド、
C4位が置換されたラムノピラノシド、末端に位置して
いたグルコピラノシド、C2位が置換されたアラビノピ
ラノシド、C3′位が置換されたアピオフラノシドが検
出された。
【0029】本発明の化合物(II)、アグリコン部の
Polygalacic acid、プロサポゲニンで
ある3−Glucopyranosyl polyga
lacic acidの各種NMRスペクトルを比較し
た結果、アラビノース、アピオース、ラムノース(2分
子)はPolygalacic acidの28位に結
合していることが明らかになった。これらの糖の結合様
式については、本発明の化合物(II)のH−NM
R,13C−NMR,DEPT,13C−HCOS
Y,H−H COSY,HMBC,HSQC,CO
LOC,NOESY,ROESY,NOE差スペクト
ル、一次元および二次元HOHAHA,J分解スペクト
ルを解析することにより、rhamnopyranos
yl−(1→3’)−apiofuranosyl−
(1→4)−rhamnopyranosyl−(1→
2)−arabinopyranosideの構造を持
っていることが明らかになった。
【0030】以上の情報を総合することにより、本発明
の化合物(II)の化学構造は、式(II)で示され
る、Polygalacic acid−3−gluc
opyranosido−28−{rhamno−py
ranosyl−(1→3’)−apiofurano
syl−(1→4)−rhamnopyranosyl
−(1→2)arabinopyranoside}で
あることが明らかになった。本発明の式(II)で示さ
れる化合物の13C−NMRスペクトルのデータは表2
に示したとおりである。このようにして得られた式(I
I)で示される上記の化合物は、文献検索により新規の
化合物であることが判明した。
【0031】式(I)および(II)で示される化合物
を用いた植物成長阻害剤 本発明の式(I)および(II)で示される化合物が、
植物成長阻害作用を持つことを裏付ける試験例を以下に
説明する。
【試験例】本発明の式(I)および(II)で示される
化合物を、0.5%寒天中で所定濃度に調製し、これを
管びん(長さ60mm、直径28mm)中に5mL加え
た。寒天がゲル化した後、シロクローバ、レタス、カラ
シナ、アオゲイトウ、アオビユ、イヌビエ、イネの各種
子を5−10個体づつ置床し、明所(5000Lx)で
25−30℃下に4日間保持した後、幼根長および下胚
軸長あるいは草丈を測定した。植物生育阻害活性は、対
照区(無処理)に対する阻害率を百分率で示した。その
結果を表3ないし表16に示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0032】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の化合物(I)
および(II)は、広範囲の植物に対して生育阻害作用
を示し、従って植物成長阻害剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07G 3/00 C07G 3/00 C07J 17/00 C07J 17/00 // A01N 25/04 103 A01N 25/04 103 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07H 15/256 A01G 7/00 604 A01M 21/04 A01N 43/16 A01N 65/00 C07G 3/00 C07J 17/00 A01N 25/04 103 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式Iで示される化合物:
  2. 【請求項2】 タイワンレンギョウ(Duranta
    repens)から抽出され、以下の物性を有する化合
    物:
  3. 【請求項3】 次式IIで示される化合物:
  4. 【請求項4】 タイワンレンギョウ(Duranta
    repens)から抽出され、以下の物性を有する化合
    物;
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の化
    合物を有効成分として含有する植物成長阻害剤。
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