JP2881926B2 - 紫外線用色消レンズ - Google Patents

紫外線用色消レンズ

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JP2881926B2 JP6514090A JP6514090A JP2881926B2 JP 2881926 B2 JP2881926 B2 JP 2881926B2 JP 6514090 A JP6514090 A JP 6514090A JP 6514090 A JP6514090 A JP 6514090A JP 2881926 B2 JP2881926 B2 JP 2881926B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光学用色消レンズに関し、特に紫外線リソ
グラフィー等に使用することができる縮小投影露光装置
(ステッパー)、例えば、XeCl、KrF等のエキシマレー
ザー・ステッパーに利用することができる光学用色消レ
ンズに関する。
〔従来の技術〕
これまで、半導体製造におけるフォトリソグラフィー
用に、超高圧水銀灯を光源としたステッパーが使用され
ている。しかしながら、近年LSIの高集積化が進み、従
来のステッパーで用いられている超高圧水銀灯のg線
(436nm)やi線(365nm)の解像度では、不十分となっ
た。
そこで解像度を上げるために、より波長の短いXeCl、
KrF等のエキシマレーザー光を光源とするステッパーの
開発が進展している。ところが、これらのステッパーで
望まれる解像度を得るためには、色収差を除去する必要
がある。現在エキシマレーザーでは、この色収差を除去
するために、2つの方法が提案されている。
1つの方法は、光源のレーザー光を狭帯域化して色収
差を許容限度内に抑える方法であり、もう1つの方法
は、色消レンズを光学系に用いることにより色収差を補
正する方法である。
レーザー光の半値幅(線幅)を狭くすること(狭帯域
化)によって色収差を許容限度内に抑える第一の方法の
場合、エタロン、プリズム、インジェクション・ロッキ
ング等の素子や方式を用いて、レーザー光の線幅を0.00
3〜0.005nmに狭帯域化している。しかし、狭帯域化によ
っていくつかの問題が発生する。例えば、素子による損
失に伴うレーザー出力の低下を補うために、レーザーを
大出力化しなければならず、そのためにレーザー発生装
置自体も大型化せざるを得ない。また、スペックルパタ
ーンが発生しやすくなるとか、照射面積を大きくとるこ
とが困難である等の問題も発生する。
一方、色消レンズを光学系に用いることによって色収
差を補正する第二の方法の場合、エキシマレーザー光を
効率よく透過する材料が限定されるという問題がある。
色消レンズとするためには、分散の異なる2種類の光学
材料が必要であり、従来より高純度シリカガラスとフッ
化カルシウム単結晶(ホタル石)との組合せが提案され
ている。また、チタン、鉄等の遷移元素の酸化物、ラン
タン、セリウム、ユーロピウム等の希土類元素の酸化物
等を添加した合成石英ガラスのレンズと、無添加の合成
石英ガラスのレンズとの組合わせで、両者の分散能の違
いを利用した色消レンズが提案されている(特開昭63−
6512号公報等)。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、ホタル石をレンズのような光学材料と
して用いる場合、ガラスと比較して種々の欠点がある。
まず、ホタル石は硬度が低くて傷が付きやすく、また単
結晶であるためにへき開があり、滑らかなレンズ表面を
出すのが困難であり、そのために光学研磨が容易ではな
い。また、水に対して若干の溶解性があり、耐久性に劣
り、その上、機械的強度も劣る。さらに大口径化も困難
である。
このように、ホタル石は、光学材料として考えた場合
に数々の欠点を持ち合わせているために、これを用いて
直径100mm以上の大口径光学レンズを作製することは、
極めて困難である。
このような理由から、現在、光学系に色消レンズを搭
載したエキシマレーザー・ステッパーは実用段階に達し
ていない。
一方、遷移元素や希土類元素の酸化物を含む合成石英
ガラス製のレンズの場合、これらの添加物は紫外線吸収
の原因となり、透過率の低下や蛍光の発生をもたらす。
このため、これらの添加物は紫外線用色消レンズ用とし
て不都合であり、むしろできるだけ除去するのが好まし
い。
従って、本発明の目的は、上記問題点のない新規な紫
外線用色消レンズを提供することである。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、二酸化
ゲルマニウム及び酸化硼素の添加量を調節することによ
って、石英ガラスの屈折率と分散を自由に変化させるこ
とが可能であること、及びかかる石英ガラスは光学材料
としてホタル石や遷移元素酸化物等を含有する石英ガラ
スに見られる上述の欠点がなく、さらに高純度石英ガラ
スと組み合わせることにより大口径かつ高精度の色消レ
ンズを作製することが可能となることを発見し、本発明
に到達した。
すなわち、本発明の第一の実施例による紫外線用色消
レンズは、(A)純度99.9%以上の高純度石英ガラス、
又は純度99.9%以上のフッ素含有高純度石英ガラス、及
び(B)シリコン及びゲルマニウムのアルコキシドを加
水分解して得た粉末を焼結してなる二酸化ゲルマニウム
を含有する石英ガラスから構成されていることを特徴と
する。
また、本発明の第二の実施例による紫外線用色消レン
ズは、(A)純度99.9%以上の高純度石英ガラス、又は
純度99.9%以上のフッ素含有高純度石英ガラス、及び
(B)シリコン、ゲルマニウム及びホウ素のアルコキシ
ドを加水分解して得た粉末を焼結してなる二酸化ゲルマ
ニウム及び酸化硼素を含有する石英ガラスから構成され
ていることを特徴とする。
上記紫外線用色消レンズは、いずれも300nmより短い
波長の紫外線を効率よく透過することができ、エキシマ
レーザー縮小投影露光装置の光学系に利用し得る。
本発明を以下詳細に説明する。
一般に、色消レンズを構成するためには、分散の異な
る2種類の材料からなるレンズを組み合わせる必要があ
る。本発明者らは、高純度石英ガラス又はフッ素含有高
純度石英ガラスと組み合わせるガラスとして、二酸化ゲ
ルマニウム単独、又は二酸化ゲルマニウム及び酸化硼素
を含有する石英ガラスが適していることを見出した。
そこで、本発明の第一の実施例では、紫外線用色消レ
ンズを、二酸化ゲルマニウム含有石英ガラスにより作製
されたレンズと、高純度石英ガラス又はフッ素含有高純
度石英ガラスより作製されたレンズから構成する。
また本発明の第二の実施例では、紫外線用色消レンズ
を、二酸化ゲルマニウム及び酸化硼素を含有する石英ガ
ラスにより作製されたレンズと、高純度石英ガラス又は
フッ素含有高純度石英ガラスにより作製されたレンズか
ら構成する。
まず、第一及び第二の実施例において使用する高純度
石英ガラス又はフッ素含有高純度石英ガラスについて、
以下に説明する。
本発明の目的を達成するためには、高純度石英ガラス
の純度は99.9モル%以上である必要があり、またフッ素
含有高純度石英ガラスの純度はSiO2とFをあわせて99.9
モル%以上である必要がある。特に紫外線の吸収を避け
るために、遷移元素や希土類元素の不純物は数百ppm以
下、好ましくは数十ppm以下、さらに好ましくは数ppm以
下で、例えば不純物としてチタンを考えた場合、濃度は
1ppm以下でなければならない。
なお、フッ素含有高純度石英ガラスを用いる場合、フ
ッ素含有量は、屈折率の観点から多い方が好ましいが、
透過率に悪影響を及ぼさない程度がよい。具体的にはフ
ッ素含有量は2〜4モル%程度がよい。
このような高純度石英ガラス及びフッ素含有高純度石
英ガラスの原料となる石英ガラス粉末には特に限定はな
く、湿式法によって得られたシリカゲルから得られた石
英ガラス粉末、気相法によって得られた石英ガラス粉末
等、何れのものも使用することができる。また、石英ガ
ラス粉末は非晶質でも結晶質でもよい。その平均粒度は
特に限定されないが、反応性および取り扱いの容易さと
いう観点から0.01〜500μm程度とするのが好ましく、
より好ましくは0.5〜250μm、特に1〜50μmである。
なお無水石英ガラス(OH基含有量が1ppm以下のもの)を
得る場合には石英ガラス粉末は微細であるのが好まし
く、特に1〜10μmであるのが好ましい。さらに、原料
粉末の純度は得られるガラスの均質性および透光性の観
点から99.9%以上であり、好ましくは99.95%以上であ
る。
高純度石英ガラス塊を製造するには、たとえばSiCl4
を酸水素炎によって火炎加水分解し、堆積させる気相ベ
ルヌイ法や、あるいは粉末成型体をホットプレスや熱間
等方圧プレスにかける方法などが適用可能である。
ホットプレス(HP)の条件は、たとえば以下の通りで
ある。粉末成型体を石英結晶粉末等の充填粉末に埋め込
み、それを1100℃以上、好ましくは1200〜1650℃の温
度、5MPa以上、好ましくは10〜100MPaの圧力で押す。HP
の雰囲気は1Pa以下の減圧下、もしくはAr、He等の不活
性ガスとするのが好ましい。
熱間等方圧プレス(HIP)の条件は、たとえば以下の
通りである。シリカ粉末を石英ガラスのカプセルに封じ
込める。そのカプセルを黒鉛粉末や窒化ホウ素粉末等の
上記のカプセルと反応しにくい充填粉末に埋め込んでHI
P装置に入れる。HIP温度は1100℃以上、好ましくは1200
〜2000℃、圧力は5MPa以上、好ましくは10〜200MPaであ
る。なお圧力媒体ガスとしてAr等の不活性ガスを用い
る。
また上記HP及びHIPは単独で行うほか、HPとHIPを併用
することもできる。HP/HIP処理をする場合、1100℃、好
ましくは1200〜2000℃で、5MPa以上、好ましくは10〜10
0MPaでHPをし、得られた石英ガラスをHIP装置に入れ、
温度1200℃以上、好ましくは1400〜2000℃、圧力1MPa以
上、好ましくは10〜200MPaでHIP処理をする。
フッ素添加石英ガラスは、たとえば以下のような方法
で製造することができる。ケイ素のアルコキシドまたは
SiCl4の加水分解によって得られる高純度シリカ粉末を
湿式成型する。その成型体をたとえば石英ガラス製のフ
ランジの中に入れ、酸素雰囲気中で室温から800℃まで
上昇する温度範囲で有機物などを燃焼処理し、その後、
続けて5〜30%Cl2を含むCl2とHeの混合ガス中で脱−OH
処理をする。その後続けて1500℃でSiF4のみ、あるいは
SiF4とHeの混合ガス中で焼結し、Fを石英ガラス中に添
加する。ガラス中のFの濃度はSiF4の分圧によって調整
することが可能である。
次に、第一実施例において使用する二酸化ゲルマニウ
ムを含有する石英ガラスについて、説明する。
一般に、石英ガラス系に二酸化ゲルマニウムを添加す
ると、屈折率及び分散がともに高くなる。例えば石英ガ
ラスに13.5モル%の二酸化ゲルマニウムを添加すると、
波長248nmの光に対する屈折率は1.5406となり、無添加
のものよりも2.1%増加する。
ここで、色消レンズ用ガラスの重要なパラメータであ
るアッベ数を考える。アッベ数は、一般には、ヘリウム
の与えるd線(587.6nm)に対する屈折率(nd)から1
を引き、その数を水素の与えるF線(486.1nm)とC線
(656.3nm)に対するnd屈折率(nF,nC)の差で割った
もの((nd−1)/(nF−nC)で与えられる。しかし、
ここでは248.2nmに対する屈折率から1を引き、それを2
48.2nmにおける分散で割ったものと定義する。
13.5モル%の二酸化ゲルマニウムを含有する石英ガラ
スの場合、無添加石英ガラスと二酸化ゲルマニウム含有
石英ガラスとのアッベ数比ν(SiO2)/ν(Ge−SiO2
は1.12となり、また3.9モル%のフッ素含有石英ガラス
と二酸化ゲルマニウム含有石英ガラスとのアッベ数比ν
(F−SiO2)/ν(Ge−SiO2)は1.13となる。
色消レンズを構成する時は、大きいアッベ数を持つガ
ラスからなる凸レンズと、小さいアッベ数を持つガラス
からなる凹レンズを組み合わせる。従って、無添加石英
ガラス又はフッ素含有石英ガラスを凸レンズ、二酸化ゲ
ルマニウム含有石英ガラスを凹レンズとして、色消レン
ズを構成する。
一般に、アッベ数比が大きくなればなるほと、広い波
長範囲にわたって、色消が可能となるので、二酸化ゲル
マニウムの添加量は多いほど望ましい。しかしながら、
二酸化ゲルマニウムを過剰に添加すると、ガラス化せず
に不透明化するという問題が生ずるだけでなく、紫外線
の透過率が低下するという問題も生ずる。従って、二酸
化ゲルマニウムの添加量は50モル%以下が好ましい。さ
らに好ましい二酸化ゲルマニウムの添加量は5〜14モル
%である。これらの範囲内であれば、二酸化ゲルマニウ
ムの添加は紫外線吸収の原因とはならず、紫外線透過率
の低下はほとんどない。
次に、第二実施例において使用する二酸化ゲルマニウ
ム及び酸化硼素を含む石英ガラスについて説明する。
石英ガラス系に二酸化ゲルマニウムを添加すると、屈
折率及び分散がともに高くなり、また酸化硼素を添加す
ることにより、屈折率は下がり、分散は高くなる。例え
ば石英ガラスに5モル%の二酸化ゲルマニウム及び10モ
ル%の酸化硼素を添加した場合、248nmの波長の光に対
する屈折率は、無添加のものよりも0.4%増加し、無添
加石英ガラスとの分散比(ΔGe−B−SiO2/ΔSiO2)は
1.12となる。またアッベ数比ν(SiO2)/ν(Ge−B−
SiO2)は1.11となる。従って、無添加石英ガラス又はフ
ッ素含有石英ガラスを凸レンズ、二酸化ゲルマニウム及
び酸化硼素添加石英ガラスを凹レンズとして色消レンズ
を構成することができる。
上述の通り、アッベ数の比の絶対値が大きくなればな
るほど、色消効果が増大するので、二酸化ゲルマニウム
及び酸化硼素の添加量は多いほど望ましい。しかしなが
ら、二酸化ゲルマニウムを過剰に添加すると、使用する
エキシマレーザー光の遠紫外の波長域において充分な透
過率を得ることが困難となる。そのため、二酸化ゲルマ
ニウムの添加量は好ましくは1〜30モル%、より好まし
くは10〜15モル%である。また酸化硼素を適量添加する
ことにより、一層均質な二酸化ゲルマニウム添加石英ガ
ラスが得られ、かつ遠紫外での透過率は低下しない。酸
化硼素の添加量は好ましくは5〜30モル%、より好まし
くは、7〜14モル%である。
次に、二酸化ゲルマニウム又はそれと酸化硼素を含有
する石英ガラスの製造方法について説明する。
出発原料としてシリコンテトラエキシドやゲルマニウ
ムテトラエトキシド等のシリコン及びゲルマニウムのア
ルコキシドを用い、これらを加水分解して、二酸化ゲル
マニウム含有石英ガラス粉末を得、この粉末を金型プレ
スや冷間等方圧プレス等で成型した後に焼結することに
よって、完全もしくは部分的にガラス化させる。このと
き300nmより短い波長の紫外線を効率よく透過するガラ
スを作製するためには、焼結時の雰囲気は酸化雰囲気で
なければならず、ヘリウムと酸素が1:1の雰囲気が好ま
しい。これに酸素雰囲気中で熱間等方圧プレスを施し、
高温高圧下で完全な無気泡ガラスとする。焼結の温度は
1200〜1400℃が適当である。また、高温高圧処理の温度
及び圧力は、1300℃以上、50MPa以上が好ましい。この
方法によれば、ガラスの大型化が可能であるのみなら
ず、光学ガラスに対して重要な問題である脈裡や歪など
が存在せず、かつ、光学的均質性に優れたガラスが得ら
れる。
一方、二酸化ゲルマニウム及び酸化硼素添加石英ガラ
スの場合も以下の方法により製造することができる。す
なわち、出発原料として、珪素、硼素のアルコキシド、
又は四塩化珪素、三塩化硼素、塩化ゲルマニウム等の塩
化物等を用い、これらを加水分解して二酸化ゲルマニウ
ム及び酸化硼素を含有する石英ガラス粉末を得、この粉
末を金型プレスや冷間等方圧プレス等で成形した後に、
ヘリウムガス又はヘリウム−酸素混合ガス雰囲気で焼結
することによって、完全もしくは部分的にガラス化し、
これをホットプレスあるいは熱間等方圧プレスを用い
て、高温高圧下で完全な無気泡ガラスとする。焼結の温
度は1200〜1700℃が適当である。また、高温高圧処理の
温度及び圧力については、ホットプレスの場合、温度13
00℃以上及び圧力10MPa以上であり、熱間等方圧プレス
の場合、温度1300℃以上、及び圧力50MPa以上であるの
が好ましい。この方法の場合も同様に、ガラスの大型化
が可能であるのみならず、脈裡や歪などが存在せず、か
つ、光学的均質に優れたガラスが得られる。
本発明のもう1つの特徴は、二酸化ゲルマニウム含有
石英ガラス又は二酸化ゲルマニウム・酸化硼素含有石英
ガラスを用いた紫外線用色消レンズを、エキシマレーザ
ー・ステッパーの縮小投影光学系に利用することにあ
る。例えばKrFエキシマレーザーから発するレーザー光
は通常0.7nmの半値幅(線幅)を有する。現在のステッ
パーで、この線幅のレーザー光を用い、石英ガラスだけ
で光学系レンズを構成して縮小投影露光を行った場合、
色収差による焦点距離のズレは数十μmにも達し、鮮明
な像を得ることはできない。このためレーザー光の狭帯
域化によって色収差を抑制することも考えられるが、前
述のような問題がある。
本発明の色消レンズを用いれば、このような問題を本
質的に解決することができる。すなわち、光学系のレン
ズで色収差の補正ができるため、レーザー光の線幅の極
端な狭帯域化は不要となる。
また、本発明のガラス材からなる光学レンズの加工は
ホタル石に比べて格段に容易である。すなわち、ホタル
石よりもはるかに硬度が高く、研磨中に傷が発生しにく
いために、研磨は従来どおり通常の光学レンズ研磨用の
研磨砂を用いて実施することができる上、その際の寸法
精度も高めることができる。
〔実施例〕 第1図に3枚のレンズを用いた色消レンズの例を示
す。前述の通り、大きいアッベ数を持つガラスからなる
凸レンズ1、3と、小さいアッベ数を持つガラスからな
る凹レンズ2を組み合わせる。従って、無添加石英ガラ
ス又はフッ素含有石英ガラスにより凸レンズ1、3を形
成し、二酸化ゲルマニウム(又は二酸化ゲルマニウム・
酸化硼素)含有石英ガラスにより凹レンズ2を形成し、
両者を組み合わせて色消レンズを構成する。
なお各レンズの形状、組合せ、枚数などに限定がない
のは勿論である。
本発明を、以下の実施例によりさらに詳細に説明す
る。しかし、本発明は、これら実施例に限定されるもの
ではない。
参考例1〜6 高純度石英ガラスは、ベルヌイ法により作製されたイ
ンゴットから適当な所を選び出すことにより得た。ま
た、フッ素添加石英ガラスは、ガラス粉末の成型体を、
四フッ化珪素ガス雰囲気中、1500℃で焼結することによ
り得た。
二酸化ゲルマニウム含有石英ガラスは、シリコン及び
ゲルマニウムのアルコキシドとして、それぞれテトラエ
トキシシラン及びゲルマニウムテトラエトキシドを用
い、これらを加水分解することにより得られた粉末を、
ヘリウムガス雰囲気中、1500℃で焼結し、続いて1000℃
で24時間アニールすることにより得た。
二酸化ゲルマニウム及び酸化硼素を含有する石英ガラ
スは、シリコン、ゲルマニウム及び硼素のアルコキシド
として、それぞれテトラエトキシシラン、ゲルマニウム
テトラエトキシド及びトリメトキシボランを用い、これ
らを加水分解することにより得られた粉末を、ヘリウム
ガス雰囲気中、1500℃で焼結し、続いて1000℃で24時間
アニールすることにより得た。
上記の方法により得たガラス塊は、それぞれ高純度石
英ガラス(純度:99.99%以上)、フッ素含有石英ガラス
(フッ素含有量:3.9モル%)、二酸化ゲルマニウム含有
石英ガラス(二酸化ゲルマニウム含有量:3.9モル%、4.
1モル%、13.5モル%)、及び二酸化ゲルマニウム及び
酸化硼素を含有する石英ガラス(二酸化ゲルマニウム含
有量:4.7モル%、酸化硼素含有量:9.7モル%)で、直径
130mm及び厚さ30mmの形状を有していた。
上記ガラス塊の各々の光学的均質性を、レーザー干渉
計を用いて測定した。また、各々のガラスでプリズムを
作製し、紫外域での屈折率を精密分光光度計で測定し
た。この結果を第1表に示す。
高純度石英ガラス、フッ素含有高純度石英ガラス、二
酸化ゲルマニウム含有石英ガラス、及び二酸化ゲルマニ
ウム・酸化硼素含有石英ガラスの光学的均質度を表す値
であるΔnは、いずれも3.0×10-6以下であり、光学レ
ンズとして満足できる特性であることがわかった。ま
た、二酸化ゲルマニウム含有石英ガラスは、二酸化ゲル
マニウムの添加に伴って屈折率及び分散のどちらもとも
に増加した。
実施例1〜7、比較例1 参考例1、2と同じ方法により得た高純度石英ガラス
(純度:99.99%以上)及びフッ素含有石英ガラス(フッ
素含有量:3.9モル%)を用いて、第1図に示す凸レンズ
1、3を作製し、また参考例3〜6と同じ方法により得
た二酸化ゲルマニウム含有石英ガラス(二酸化ゲルマニ
ウム含有量:4.1モル%、7.0モル%、13.5モル%)及び
二酸化ゲルマニウム及び酸化硼素を含有する石英ガラス
(二酸化ゲルマニウム含有量:4.7モル%、酸化硼素含有
量:9.7モル%)を用いて、凹レンズ2を作製した。次
に、これらを組み合わせて、第1図に示す構成のトリプ
レットレンズを作製した。各レンズの作製は、まず荒摺
り皿と研磨砂を用いて所定の寸法形状に仕上げた後、さ
らに微細な研磨砂による砂かけを施し、さらに酸化セリ
ウムで精密研磨する工程により行った。その後、心取り
機を用いて、光軸の位置を求め、心取り作業を行った。
寸法が公差範囲内にあることを検査し、レンズ光学部品
とした。
この作業は、通常の光学レンズ作製手順と同様であ
り、ホタル石の加工ほど複雑な工程を必要とせず、ま
た、部品にはホタル石によく見られる残存研磨キズが認
められなかった。
この色消レンズを用いて、線幅の異なるKrFエキシマ
レーザー光を集光させた場合に発生する縦色収差を算出
した。その結果を第2表に示す。比較例として無添加の
石英ガラスからなるレンズで同様のトリプレットレンズ
を構成した単色レンズ系の色収差も示す。
第2表の結果から、二酸化ゲルマニウム又は二酸化ゲ
ルマニウムと酸化硼素を含有する石英ガラスを用いた色
消レンズは、単色レンズ系に比べて色収差が小さく、優
れた色収差補正効果を持つことがわかる。
〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように、本発明の紫外線用色
消レンズは、光学的均質性が高く、優れた色収差補正効
果を有し、耐久性にも優れている。その上、ホタル石を
用いたものと比較して、加工が容易であり、高精度の研
磨仕上げができ、大口径化が可能である等の数々の利点
を有している。従って、エキシマレーザー・ステッパー
の光学系など、紫外線を利用した光学器械に広く利用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の色消レンズの構成例を示す断面図で
ある。 1、3……凸レンズ 2……凹レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬川 英明 神奈川県横浜市緑区たちばな台2丁目7 番3号 (72)発明者 本多 啓志 神奈川県座間市相武台2丁目207番1号 (56)参考文献 特開 昭63−6512(JP,A) 特開 昭60−81031(JP,A) 特開 昭60−42239(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04 G02B 1/00 - 3/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)純度99.9%以上の高純度石英ガラ
    ス、又は純度99.9%以上のフッ素含有高純度石英ガラ
    ス、及び (B)シリコン及びゲルマニウムのアルコキシドを加水
    分解して得た粉末を焼結してなる二酸化ゲルマニウムを
    含有する石英ガラス から構成されていることを特徴とする紫外線用色消レン
    ズ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の紫外線用色消レンズにお
    いて、前記二酸化ゲルマニウム含有石英ガラスは熱間等
    方圧プレス又はホットプレスにより形成され、3.0×10
    -6以下の光学的均質性Δnを有することを特徴とする紫
    外線用色消レンズ。
  3. 【請求項3】(A)純度99.9%以上の高純度石英ガラ
    ス、又は純度99.9%以上のフッ素含有高純度石英ガラ
    ス、及び (B)シリコン、ゲルマニウム及びホウ素のアルコキシ
    ドを加水分解して得た粉末を焼結してなる二酸化ゲルマ
    ニウム及び酸化硼素を含有する石英ガラス から構成されていることを特徴とする紫外線用色消レン
    ズ。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の紫外線用色消レンズにお
    いて、前記二酸化ゲルマニウム及び酸化硼素を含有する
    石英ガラスは熱間等方圧プレス又はホットプレスにより
    形成され、3.0×10-6以下の光学的均質性Δnを有する
    ことを特徴とする紫外線用色消レンズ。
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