JP2874955B2 - 超電導発電機用Nb▲下3▼Sn超電導線の製造方法 - Google Patents

超電導発電機用Nb▲下3▼Sn超電導線の製造方法

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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、超電導発電機用マグネットに利用されるNb
3Sn超電導線の製造方法に関する。
「従来の技術」 超電導線においては量子磁束線の運動などに起因して
発熱を生じる場合があり、このような場合に超電導線に
部分的に常電導の芽が発生し、超電導線の全体が常電導
状態に転位するおそれがある。そこで従来、このような
磁気的不安定性および常電導転位などを防止して超電導
線を安定化するために、以下に記載する技術が採用され
ている。
超電導体をCuなどの良導電性の安定化母材の内部に埋
設する。特に、安定化母材を高純度のCuから形成する。
超電導体を数μm〜数十μmの径のフィラメント状に
極細化する。
多心線をツイスト加工する。
編組や成形撚線の構造を採用する。
金属間化合物系の超電導体は極めて硬く、脆いので、
機械歪が加わると超電導特性が劣化する傾向があり、こ
のため超電導線に補強材を添設して機械歪が加わること
を阻止する。
以上のような背景のもとに、研究開発が進められてい
るが、従来、金属基地の内部に無数の極細の超電導繊維
を配列した構造の超電導線を製造する方法としてインサ
イチュ法が知られている。
このインサイチュ法によりNb3Sn系の超電導線を製造
するには、所定成分のCu−Nb−Sn合金あるいはCu−Nb合
金を溶製し、CuあるいはCu−Sn合金基地の内部にNbの樹
枝状晶が分散した組織を有し、しかも加工性が高い第10
図に示すインサイチュ合金1を作成する。
次にこのインサイチュ合金1に線引加工を施し、第11
図に示すようにNbの繊維が多数密接して金属基地内に分
散配列されたインサイチュロッド2を作成する。続いて
前記インサイチュロッド2の外周面にSnのメッキ層2aを
形成して第12図に示す素線3を作成する。
次に素線3をSnの溶融温度より若干低い温度で長時間
熱処理する。この熱処理によってメッキ層2aをインサイ
チュロッド2の内部側に拡散させて消失させる。そして
更に、500℃以上に加熱する拡散熱処理を施してSnを素
線3の内部のNbの繊維と反応させることにより、Nb3Sn
超電導繊維を生成させることができ、これによって第13
図に示す構造のNb3Sn超電導線5を得ることができる。
「発明が解決しようとする課題」 前記超電導線5の製造方法にあっては、メッキ層2aの
Snを素線3の外周部側から内部側に拡散させるので、拡
散熱処理を長時間にわたり十分に施した場合であっても
Snが素線3の中心部側まで十分に拡散されない問題があ
った。この結果、超電導線5の中心部側にNb3Snの生成
していない未反応領域が生じるために、臨界電流密度の
低下が生じる問題があった。
また、メッキ層2aをインサイチュロッド2の外周面に
形成しているので、メッキ層2aが溶け落ちないようにSn
の融点より若干低い温度に長時間加熱する熱処理を施す
必要があって、熱処理時間が長くなる問題があった。
また、前記の方法で製造された超電導線5は超電導発
電機などの交流用として用いた場合、電磁気的に不安定
な問題があった。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、
従来より短い熱処理時間でもって十分な量のNb3Sn超電
導繊維を生成させることができるとともにその超電導繊
維の径が小さく電磁気的に安定性が高く、臨界電流密度
の高いNb3Sn超電導線を提供することを目的とする。
「課題を解決するための手段」 本発明は前記課題を解決するために、Nbの樹脂状晶を
CuあるいはCu合金からなる基地の内部に分散してなるイ
ンサイチュ合金を用い、このインサイチュ合金を線引加
工してCuあるいはCu合金からなる基地の内部にNbの繊維
を分散させたインサイチュロッドを形成し、このインサ
イチュロッドを1本以上CuあるいはCu合金からなる管体
に挿入し更に縮径加工を施して1次複合線を形成すると
ともに、この1次複合線にSnの被覆層を形成して被覆複
合線を形成し、次いでこの被覆複合線を複数本集合して
TaあるいはNbの管体に挿入し、更に、CuあるいはCu合金
からなる管体に挿入して縮径加工する処理を1回以上行
い、Nbフィラメントが分散された圧密インサイチュ部を
CuあるいはCu合金からなる圧密層で覆ったものをSnの境
界層で区分した構造を有する圧密部を有する2次複合線
を得るとともに、この2次複合線に拡散熱処理を施して
被覆層のSnを基地の内部側に拡散させ、Nb3Sn超電導繊
維を生成させるものである。
「作用」 Snの被覆層をインサイチュロッドの外面に形成した被
覆複合線を複数本集合して縮径した後に拡散熱処理を施
すので、Nbの極細繊維が分散された圧密インサイチュ部
をCuあるいはCu合金からなる圧密層で覆ったものをSnの
境界層で区分した構造を実現することで被覆層のSnとNb
の極細繊維との距離が近くなり、Snの拡散距離が短くな
る。従ってSnとNbの反応効率が向上してNb3Snの生成効
率が向上する。また、Nbの繊維を有するインサイチュロ
ッドを更に複数本集合して縮径した後に加工するので、
Nbの繊維を十分に小さな径まで加工することができ、十
分に小さな径の超電導繊維が得られ、磁気的安定性が向
上する。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
第1図ないし第9図は、本発明方法の一実施例を示す
もので、本発明方法を実施して超電導線を製造するに
は、まず、従来方法にも用いられている第10図に示すイ
ンサイチュ合金1と同等の第1図に示すインサイチュ合
金9を作成し、これを鍛造、圧延あるいは引抜などによ
り線引加工して第2図に示すインサイチュロッド10を作
成する。このインサイチュロッド10は、CuあるいはCu合
金からなる基地の内部にNbの繊維を分散させた構造のも
のであり、この状態でNbの繊維は直径数μm〜数十μm
程度の大きさになっている。なお、前記Cu合金に添加す
る合金元素としては、Sn,Ti,Al,Mn,Ag,BeあるいはFe,C
o,Niなどといった磁性元素などを例示することができ
る。
次に前記インサイチュロッド10に、第3図に示すよう
にCuあるいはCu合金からなる管体11を被せ、次いで鍛造
加工などの塑性加工を施し、縮径して第4図に示す1次
複合線12を得る。
続いてこの1次複合線12の外周にSnメッキ層などの被
覆層13を形成して第5図に示す被覆複合線14を作成す
る。なお、前記被覆層13はSnテープの巻き付けやSn箔の
巻き付けにより形成しても良い。
被覆複合線14を得たならば、これを第6図に示すよう
に複数本集合し、TaあるいはNbからなる管体15に挿入す
るとともに、更に管体15を無酸素銅などの純銅からなる
管体16に挿入し、次いで縮径加工を施して第7図に示す
2次複合線17を得る。
この2次複合線17は、被覆複合線14を圧密して得られ
た中心部の圧密部18と、この圧密部18の外方に設けられ
た拡散防止層19と、拡散防止層19の外方に設けられた安
定化層20とから構成されている。そして、前記圧密部18
の内部構造は、第8図に示すようになっている。即ち、
インサイチュロッド10を圧密して形成された圧密インサ
イチュ部21と、この圧密インサイチュ部21を囲んで設け
られた圧密層22と、隣接する圧密層22を仕切る境界層23
とから構成されている。
前記圧密インサイチュ部21は、インサイチュロッド10
を圧密して形成されているので、CuあるいはCu合金から
なる基地の内部に極細のNbの繊維を分散させてなる構造
になっている。インサイチュ部21のNbの繊維は、インサ
イチュロッド10の内部に分散されたNbの繊維よりも遥か
に細径の1μm以下のNb繊維が分散されている。前記圧
密層22は、管体11を圧密して形成されているので、Cuあ
るいはCu合金から構成されている。また、境界層23は、
1次複合線12の周面に形成したSnの被覆層13を圧密変形
して形成されたものである。
前記管体15は、後工程で行う拡散熱処理時に、管体16
側に不要な元素が拡散することを防止して管体16の汚染
を防止するために設けるものであり、その構成材料とし
ては融点が800℃以上の金属材料であって、Cuに対する
反応性の低いTaやNbが好適に用いられる。
続いて前述の2次複合線17を500〜650℃で数十時間〜
数百時間加熱する拡散熱処理を行う。この拡散熱処理に
よって境界層23のSnが圧密層22の内部側に拡散し始め、
Snが圧密インサイチュ部21に到達するとNbの繊維と反応
してNb3Sn超電導繊維が生成する。
以上のような拡散反応を進行させてNb3Sn超電導繊維
を生成させることで第9図に示す構造のNb3Sn超電導線2
5を得ることができる。
この超電導線25にあっては、Nb3Sn超電導繊維を金属
基地内に分散してなる超電導部26を拡散防止層19と安定
化層20で覆ってなる構成になっている。
前記のようにSnが拡散する場合、2次複合線17の圧密
インサイチュ部21においては、第8図に示すように、Nb
の極細繊維の外周側にSnの境界層23が形成されているの
で、Snの拡散距離を従来よりも小さくすることができ
る。従ってNbの極細繊維とSnが十分に反応する結果、Nb
3Sn超電導繊維の生成率を十分に高めることができる。
なお、Snが拡散する場合、圧密インサイチュ部26の外
周に設けた拡散防止層19が安定化層20側へのSnの拡散を
防止するので安定化層20のSnによる汚染が防止される。
なお、安定化層20にSnが拡散するようでは、極低温に冷
却した場合に安定化層20の電気抵抗が上昇するので好ま
しくない。
この超電導線25は液体ヘリウムなどの冷媒によって極
低温に冷却して使用する。超電導線25においては外周部
に設けた安定化層20に対するSnの汚染が防止されている
ので、安定化層20の極低温における電気抵抗は十分に低
い値になり、超電導線25の安定性は十分に高いものとな
る。また、万が一超電導線25が常電導転移した場合で
も、安定化層20を備えているので、安定化層20を電流路
として使用することができ、超電導線25の焼損を防止で
きる。
更に、超電導線25の外周部に安定化層20を複合した構
造になっているので、外方に新たに安定化材を添設する
必要があった従来の超電導線に比較してよりコンパクト
な構造にすることができる。そして、超電導線25はその
内部に安定化層20と拡散防止層19を備えているので、こ
れらが補強材的な役割を発揮し、従来の超電導線よりも
機械強度が高くなっている。
また、直径数μm〜数十μmのNbの繊維を有する第2
図に示すインサイチュロッド10を複数本集合し、縮径加
工を施し、更に複数本集合して縮径加工して2次複合線
17を得、この2次複合線17を基にNb3Snの超電導繊維を
生成させているので、超電導繊維を従来よりも更に極細
径にすることができる。従って超電導線25は、基地の内
部に従来よりも極細の超電導繊維を有するので超電導特
性に優れるとともに、電磁気的安定性にも優れる。
「実施例」 Cu−30wt%Nb合金(直径50mmのインゴット)を誘導加
熱溶解法によって作成し、この合金を鍛造加工して直径
15mmのインサイチュロッドを得た。次にこのインサイチ
ュロッドに外径17mm、内径16mmの純銅の管体を被せ、線
引加工して直径1.0mmの1次複合線を得た。
次にこの1次複合線に、電気メッキにより厚さ30μm
のSnの被覆層を形成し、被覆複合線を得た。
続いて被覆複合線を37本束ね、外径8.5mm、内径7.5mm
のTaからなる管体に挿入し、更に全体を外径15mm、内径
9mmの銅の管体に挿入し、縮径加工を施して直径1.0mmの
安定化銅つきの2次複合線を得た。
次いでこの2次複合線を600℃で10日間加熱し、Nbの
極細繊維とSnを反応させて極細の超電導繊維を生成させ
てNb3Sn超電導線を製造した。なお、前記熱処理を行う
雰囲気は、Arガス、N2ガスなどの不活性ガス雰囲気ある
いは真空雰囲気とした。
以上説明したように製造されたNb3Sn超電導線の臨界
電流密度(Jc)を10Tの磁場中において測定したとこ
ろ、線材全体において、 Jc=約450A/mm2の優秀な値を示した。
また、得られた超電導線の組織観察を行ったところ、
インサイチュ超電導部のNbの極細の繊維は十分に反応し
てNb3Snとなっていることが判明した。更に、得られたN
b3Sn超電導線においては、直径0.05μm以下で直径0.01
μm以上の超電導繊維が主体となっていた。
更に比較のために、第10図ないし第13図に示す従来方
法でNb3Sn超電導線を製造した。
このNb3Sn超電導線の臨界電流密度を10Tの磁場中にお
いて測定したところ、 Jc=約270A/mm2であった。
また、このNb3Sn超電導線においては、直径0.5μm以
下で0.1μm以上の超電導繊維が主体となっていた。
「発明の効果」 以上説明したように本発明によれば、内部にインサイ
チュロッドを複合し、外周部にSnの被覆層を形成した被
覆複合線を複数本集合し、縮径して2次複合線を形成し
てから拡散熱処理を行い、Nbの極細繊維が分散された圧
密インサイチュ部をCuあるいはCu合金からなる圧密層で
覆ったものをSnの境界層で区分した構造を有する圧密部
を有する構造とすることにより、Snの境界層とインサイ
チュロッド内のNbの繊維とを接近した状態にしてからSn
の拡散を行うので、境界層のSnとNbの極細繊維との間の
拡散距離を小さくすることができる。従って拡散熱処理
によりNbの極細繊維とSnを十分に反応させることがで
き、十分に高い生成効率でNb3Sn超電導繊維を生成させ
ることができる。
更に、直径数μm〜数十μmのNbの繊維を有するイン
サイチュロッドを複数本集合し、更に縮径する処理を行
ってNbの極細繊維を有する2次複合線を形成し、この2
次複合線に拡散熱処理することで超電導線を製造するの
で、Nbの極細繊維を十分に小さな径に加工することがで
きる。従って得られた超電導線は金属基地内に、従来よ
りも径の小さな極細のNb3Sn超電導繊維を有するので、
電磁気的安定性に優れ、超電導発電機用として好ましい
特徴を有する。
また、拡散防止層でSnの被膜層から隔離した状態の安
定化層を超電導線の外周部に設けるので、拡散熱処理時
のSnの拡散によって安定化層を汚染させてしまうことが
なく、極低温時の安定化層の電気抵抗を低く維持するこ
とができ、超電導特性の安定化の面で優れた超電導発電
機用超電導線を得ることができる。
更にまた、超電導線の外周部に安定化材を複合するの
で、外部に別途に安定化材を添設する必要があった従来
の超電導線に比較し、小型軽量化した超電導線を得るこ
とができ、安定化材と拡散防止層が補強材ともなるの
で、機械強度の高い超電導発電機用に優れた超電導線を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第9図は本発明方法の一例を説明するため
のもので、第1図はインサイチュ合金の断面図、第2図
はインサイチュロッドの断面図、第3図はインサイチュ
ロッドと管体の複合状態を示す断面図、第4図は1次複
合線を示す断面図、第5図は被覆複合線の断面図、第6
図は被覆複合線の集合状態を示す断面図、第7図は2次
複合線の断面図、第8図はインサイチュ圧密部を示す断
面図、第9図はNb3Sn超電導線の断面図、第10図ないし
第13図は従来方法を説明するためのもので、第10図はイ
ンサイチュ合金の断面図、第11図はインサイチュロッド
の断面図、第12図は被覆複合線の断面図、第13図は従来
のNb3Sn超電導線の断面図である。 1,9……インサイチュ合金、10……インサイチュロッ
ド、11……管体、12……1次複合線、13……被覆層、14
……被覆複合線、15……管体、16……管体、17……2次
複合線、19……拡散防止層、20……安定化層、21……圧
密インサイチュ部、23……境界層、25……超電導線、26
……インサイチュ超電導部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 優 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 後藤 謙次 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−243745(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 13/00 565 H01B 12/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Nbの樹脂状晶をCuあるいはCu合金からなる
    基地の内部に分散してなるインサイチュ合金を用い、こ
    のインサイチュ合金を線引加工してCuあるいはCu合金か
    らなる基地の内部にNbの繊維を分散させたインサイチュ
    ロッドを形成し、このインサイチュロッドを1本以上Cu
    あるいはCu合金からなる管体に挿入し更に縮径加工を施
    して1次複合線を形成するとともに、この1次複合線に
    Snの被覆層を形成して被覆複合線を形成し、次いでこの
    被覆複合線を複数本集合してTaあるいはNbの管体に挿入
    し、次に、CuあるいはCu合金からなる管体に挿入して縮
    径加工する処理を1回以上行い、Nbの極細繊維が分散さ
    れた圧密インサイチュ部をCuあるいはCu合金からなる圧
    密層で覆ったものをSnの境界層で区分した構造を有する
    圧密部を有する2次複合線を得るとともに、この2次複
    合線に拡散熱処理を施して境界層のSnを圧密層の内部側
    のNbフィラメントに拡散させ、Nb3Snの超電導繊維を生
    成させることを特徴とする超電導発電機用Nb3Sn超電導
    線の製造方法。
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