JP2870859B2 - 副室式アルコールエンジン - Google Patents

副室式アルコールエンジン

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JP2870859B2
JP2870859B2 JP25227689A JP25227689A JP2870859B2 JP 2870859 B2 JP2870859 B2 JP 2870859B2 JP 25227689 A JP25227689 A JP 25227689A JP 25227689 A JP25227689 A JP 25227689A JP 2870859 B2 JP2870859 B2 JP 2870859B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,主燃焼室と副室とを連絡孔で連通する副
室式アルコールエンジンに関する。
〔従来の技術〕
最近,エンジンから排気される排気ガスによる環境汚
染が問題になり,最近,アルコールエンジンが注目され
るようになっている。アルコールエンジンでは,排気ガ
ス中の炭酸ガス,炭化物の含有量は,ガソリン,軽油等
の燃料に比較して非常に少ないものである。
ところが,アルコール燃料を使うディーゼルエンジン
では,着火性が悪くなるという問題点がある。即ち,ア
ルコールは,ガソリンに比較して気化するための潜熱が
高く,例えば,ガソリンが燃料の0.7%の気化潜熱を要
するのに対し,アルコールが燃料の5%の気化潜熱を要
するものであり,アルコール燃料は気化し難いという性
質を有しているからである。
しかも,燃料噴射ノズルから燃焼室内の圧縮空気中に
噴射されたアルコール燃料は,気化のために圧縮空気及
び燃焼室壁面の温度を低下させて着火を悪化させてい
る。
従来,ピストンのピストンヘッド中央部を突出させて
衝突部を形成し,該衝突部の周囲を凹状のキャビティを
形成し,燃料の衝突噴流を利用した層状吸気機関即ちOS
KA型の燃焼室を持つメタノールエンジンが開示されてい
る(例えば,「内燃機関」Vol.27,No.345,1988年7月,
頁35〜42参照)。該燃焼室を有する内燃機関では,燃料
噴射ノズルの単孔ノズルから噴射された燃料をピストン
ヘッドの突出部に衝突させて円盤状に拡散し,次いでピ
ストンの上昇によって生じるスキッシュ流のため燃料は
キャビティの下方に押し込められながら空気と混合して
混合気を形成するものである。
また,燃料噴射ノズルにおいて,噴口を2段に形成し
たものは,例えば,特開昭53−88413号公報,実開昭63
−202768号公報に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら,上記OSKA型の燃焼室を備えたピストン
を用いたメタノールエンジンでは,部分負荷時に微量燃
料が燃料噴射ノズルから噴射された時,燃料の分散性が
悪く,衝突部でカーボンが堆積するという欠点がある。
ところで,アルコール燃料は,発熱量が約6000Kcal/k
gであり,軽油の発熱量に比較して約2分の1であるた
め,アルコール燃料の燃料噴射量は軽油の燃料噴射量よ
り多く噴射しなければならない。
そこで,アルコール燃料を主体とするエンジンをディ
ーゼルサイクルで燃焼させる場合,気化熱が大きいこ
と,発熱量が小さいこと等により燃焼プロセス,燃焼
室,噴射システム等は,通常のエンジンと異なってい
る。また,アルコールを燃料とするアルコールエンジン
では,部分負荷時の燃焼と高負荷時の燃焼とでは,極め
て異なっている。
アルコール,例えば,メタノール燃料を使用する場合
に,上記のように,アルコールは気化熱が大きいため,
アルコールエンジンでは燃料気化のため圧縮空気の熱が
奪われ,未燃の中間生成物が排出されることが多い。従
って,アルコールエンジンでは,主として,2つの要因を
解決する必要がある。
第1の要因は,エンジンの部分負荷時の低温時に,噴
霧されたアルコール燃料に気化エネルギーを供給するた
め,燃焼室が断熱され且つ燃焼室壁温の温度上昇が速い
ことである。しかるに,断熱エンジンにおいて,部分負
荷時には燃焼室壁がそれほど高温度にならないため,着
火,燃焼が良好にならず,着火ミス,不完全燃焼が発生
し,未燃ガスが発生し易くなる。特に,アルコール燃料
は気化するための潜熱が高いため,エンジンの低速低負
荷時には該燃焼室内壁面は高温度の状態になっていない
ので,該壁面が燃料から気化熱を奪い,気化を促進する
ことができず,気化混合気を成功し難い。その結果,燃
焼も不完全となり,未燃ガス発生の現象は大きく現れ
る。
第2の要因は,エンジンの全負荷時の高温時に,アル
コール燃料によって燃焼室壁体を冷却し,燃焼室の温度
を余り高温にしないことである。しかるに,断熱エンジ
ンにおいて,高負荷時には燃焼室壁が高温となるため,
燃料の着火,燃焼は良好に行われるが,燃焼室が余り高
温になると,吸入効率が低下したり,異常着火燃焼を起
こしたりする。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであ
り,大量のアルコール燃料を気化促進するため,燃料噴
射ノズルとして噴口が多噴孔に形成されたものを使用
し,該多噴孔から噴霧される燃料噴射方向と吸入空気の
流れ方向とが直角方向に交叉することが好ましいことに
着眼し,主燃焼室と高度の断熱構造に構成した副室とを
連通する連絡孔に耐熱性に富んだセラミック材から成る
燃料噴射ノズルを配置し,該燃料噴射ノズルの噴口を連
絡孔の中央部に開口するように設定し,該噴口をノズル
本体の全周に形成した多噴孔に構成して該多噴孔から噴
射した燃料噴霧を連絡孔周囲に均一に分散させて連絡孔
内壁面に到達するように噴射し,しかも燃料噴射ノズル
の噴射タイミングを圧縮行程上死点前に行い,副室への
吸入空気の流入方向と燃料噴射ノズルからの噴霧方向と
を直角状に交叉させ,アルコール燃料と吸入空気との気
化混合を良好に達成して良好な燃焼を行わせて未燃燃料
或いは中間生成物の排出を防止し,副室で主なる燃焼を
行わせてNOXの生成を抑制する副室式アルコールエンジ
ンを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は,上記目的を達成するため,次のように構
成されている。即ち,この発明は,シリンダヘッドに設
けられた断熱構造の副室,前記シリンダヘッド下面とシ
リンダライナで形成した主燃焼室,該主燃焼室と前記副
室とを連通し且つ前記副室に設けられた断熱構造の連絡
孔,及び前記副室の中央部を貫通するノズル本体と前記
ノズル本体の先端に形成された多噴孔の噴口とを有する
燃料噴射ノズルを具備し,前記噴口が前記連絡孔内に位
置すると共に前記ノズル本体の軸心に対して垂直方向に
延びて前記連絡孔の壁面に対向して開口し,前記噴口か
らの噴霧が前記連絡孔から前記副室への吸入空気の流入
方向と直角状に交叉するように前記連絡孔の壁面に向け
て噴射されることから成る副室式アルコールエンジンに
関する。
また,この副室式アルコールエンジンにおいて,前記
燃料噴射ノズルの燃料噴射タイミングが圧縮行程上死点
前に設定されている。
また,前記燃料噴射ノズルを構成する前記ノズル本体
と針弁とが耐熱性に富んだセラミック材料で製作されて
おり,前記ノズル本体に形成された前記多噴孔が多段に
構成されている。
〔作用〕
この発明による副室式アルコールエンジンは,上記の
ように構成され,次のように作用する。この副室式アル
コールエンジンは,燃料噴射ノズルのノズル本体を断熱
構造の副室を貫通させ,前記ノズル本体に形成した多噴
孔を主燃焼室と前記副室を連通する断熱構造の連絡孔の
壁面に対向して開口したので,アルコール燃料は前記連
絡孔の壁面に向けて噴射されて該壁面に衝突し,アルコ
ール燃料が壁面衝突によって衝突拡散作用でアルコール
燃料の微粒化が進み,燃焼までの時間が短くなって燃焼
が促進する。しかも,前記副室は断熱されているので,
燃焼の促進によって副室壁面のセラミックス部が直ちに
高温になり,燃焼雰囲気を良くすることになる。即ち,
エンジンの部分負荷等の低温時でも,燃焼室壁温の温度
上昇が速く,噴霧されたアルコール燃料に気化エネルギ
ーを直ちに且つ十分に供給することができ,また,全負
荷時の高温時に,アルコール燃料によって該壁面は冷却
されて燃焼室の温度を余り高温にしない。
また,燃料噴射ノズルからの噴霧方向は前記副室への
吸入空気の流入方向と直角状に交叉することにより,ア
ルコール燃料のペネトレーションが阻害されることなく
混合気が良好に生成でき,しかも前記噴口を多噴孔に構
成して噴射される燃料噴霧を前記連絡孔周囲に均一に分
散させて連絡孔内壁面に到達するように噴射できる。し
かも,前記燃料噴射ノズルの噴射タイミングを圧縮行程
上死点前に行うので,アルコール燃料流と吸入空気流と
のタイミングが最適となって混合を促進し,しかも前記
副室に吹き込まれる噴霧燃料と吸入空気とは前記燃料噴
射ノズルのノズル本体の回りでスワールが促進され,気
化混合を良好に達成して良好な燃焼を行わせることがで
きる。
また,前記燃料噴射ノズルを構成する前記ノズル本体
と針弁とが耐熱性に富んだセラミック材料で製作されて
いるので,前記燃料噴射ノズル自体の耐久性を向上させ
ることができる。更に,前記ノズル本体に形成された前
記多噴孔が多段に構成されているので,前記連絡孔にお
けるアルコール燃料の噴霧がほぼ均一に分布されると共
に,前記多噴孔の位置を多段にずらして形成されている
ので,前記噴口が折損したり破損することなく,耐久性
を向上できる。
〔実施例〕 以下,図面を参照して,この発明による副室式アルコ
ールエンジンの実施例を説明する。
第1図において,この発明による副室式アルコールエ
ンジンの一実施例が示されている。この副室式アルコー
ルエンジンは,主燃焼室1と該主燃焼室1の上方に配置
された副室2から成る。副室2は,シリンダヘッド3に
形成された穴部9に配置されて断熱構造に構成されてい
る。シリンダヘッド3はガスケットを介してシリンダブ
ロック8に固定されている。シリンダブロック8に形成
したシリンダ29にはシリンダライナ10が嵌合している。
主燃焼室1は,シリンダヘッド3のヘッド下面部,シ
リンダライナ10及びピストン11のピストンヘッド部に囲
まれる領域で形成される。従って,主燃焼室1を形成す
る面,即ち,ヘッド下面部,シリンダライナ10及びピス
トン11のピストンヘッド部は,耐アルコール性に富んだ
セラミック材料で構成することが好ましいものである。
また,主燃焼室1と副室2とを連通する連絡孔16は,シ
リンダヘッド3の下面部に形成され且つ断熱構造に構成
されている。シリンダヘッド3には排気ポート14が形成
され,排気ポート14には排気バルブ13がバルブガイドに
案内されて開閉作動するように配置されている。
また,この断熱アルコールエンジンは,2サイクルエン
ジンとして作動されるものであり,吸気ポート15はシリ
ンダライナ10が嵌合したシリンダブロック8の下部に形
成されている。図示していないが,吸気ポートをシリン
ダヘッドに形成して4サイクルエンジンに構成すること
もできることは勿論である。また,第1図では,グロー
プラグ或いはスパークプラグは,図示されていないが,
混合気を確実に着火させるため,適宜の部位,例えば,
副室2,或いは連絡孔16に配置することもできるものであ
る。
この副室式アルコールエンジにおいて,副室2の断熱
構造に構成する副室ブロック20は,チタン酸アルミニウ
ム,チタン酸カリウム,チタン酸ナトリウム等の低熱伝
導材料から成る断熱部材5,断熱部材5の外周に嵌合した
金属製外筒6,及び断熱部材5の内面に配置した窒化珪素
(Si3N4),炭化珪素(SiC),複合材料等の耐熱性で且
つ耐アルコール性のセラミック材料から成る内壁体7か
ら構成されている。
金属製外筒6は,断熱部材5の外周に焼嵌めによって
嵌合し,副室ブロック20の強度を確保している。更に,
断熱部材5は,ヤング率の小さい上記材料で製作するこ
とによって,内壁体7にかかる爆発時の衝撃を吸収する
緩衝材として機能させることができる。また,連絡孔16
の断熱構造は,副室2の延長として形成され且つ副室2
の断熱構造と同様に構成されている。
この構造において,副室2及び連絡孔16を形成する内
壁体7は,薄肉構造であり且つその外側全面が断熱部材
5で被覆され,金属製外筒6及びシリンダヘッド3には
直接接触していない構造である。従って、副室2及び連
絡孔16は,高度の断熱構造に構成されることになり,副
室2及び連絡孔16内の熱エネルギーは,確実に封じ込め
られる。また,内壁体7を薄肉構造及び外面断熱構造に
構成することによって,内壁体7即ち燃焼室に面する壁
面の熱容量が小さくなり,該内壁体7は流入する吸入空
気とアルコール燃料との混合気の温度,燃焼ガス温度に
追従性が良くなり,燃焼開始によって直ちに高温にな
り,また,噴霧されるアルコール燃料で直ちに冷却され
ることになる。
更に,副室2にはアルコール燃料を噴射する燃料噴射
ノズル4が配置されている。燃料噴射ノズル4は,シリ
ンダヘッド3に遮熱筒23を介在させて固定され,針弁が
内部に配置されたノズル本体19が副室2を構成する断熱
部材5と内壁体7とを貫通することによって,ノズル本
体19が副室2の中央部を貫通して配置される。ノズル本
体19の先端部には,連絡孔16の中央部に開口して連絡孔
16の壁面に向けて燃料を噴射可能な多噴孔の噴口17が形
成されている。噴口17は,連絡孔16内に位置すると共に
ノズル本体19の軸心に対して垂直方向に延びて連絡孔16
の壁面に対向して開口している。
更に,燃料噴射ノズル4の燃料噴射タイミングは,圧
縮行程上死点前に設定されている。また,燃焼が盛んに
なって壁温が高温になると,燃料噴射ノズル4から噴射
されてアルコール燃料が連絡孔16の壁面18に衝突する
と,壁温が300℃以上では,アルコール燃料が弾けて飛
散するので,該燃料噴霧は吸入空気と更に良好に混合す
る。壁温の低い時には,噴射されたアルコール燃料の衝
突エネルギーで十分に吸入空気と良好な混合気を生成す
ることができる。また,連絡孔16に対向するピストン11
のピストンヘッド部には,突出部12が形成されている。
従って,ピストン11が上昇する圧縮行程上死点及びそ
の付近において,連絡孔16の通路は突出部12によって狭
められ,環状通路を形成することとなり,該圧縮行程上
死点前に燃料噴射ノズル4から噴霧されたアルコール燃
料は吸入空気と共に,スキッシュとして良好な混合気を
生成して副室2へ押し込められ,しかも,ノズル本体19
が副室2の中央部を貫通しているので,ノズル本体19の
回りに良好なスワールを形成することになる。そこで,
気化されたアルコール燃料は良好な混合気となって副室
2で主なる燃焼を行い,次いで火炎がスワールとなって
副室2から主燃焼室1へ吹き出され,燃焼温度が低下す
ると共に,燃料当量比は急激に低下して燃焼し,NOXの発
生は抑えられ,燃焼をスムースに行わせ,アルデヒト等
の未燃ガスの発生を防止し,また排気ガスの臭気等の発
生を防止できる。それ故に,この副室式アルコールエン
ジンでは,NOX発生燃焼ゾーンでの燃焼を避ける副室2の
燃焼特性を得ることができ,アルコール燃料を使用する
ので,ガソリン,軽油に比較してスモークの発生は少な
い。
また,この副室式アルコールエンジンにおいて,シリ
ンダブロック8の下部に形成した吸気ポート15から吸入
空気が取り入れて2サイクルで作動し,且つディーゼル
サイクルで作動することができる。この場合に,吸入空
気量を制限すると、副室2内の燃料当量比が大きくする
ことができ,副室2において主なる燃焼を行なせてNOX
の生成を抑制することができる。しかも,副室2での燃
焼に次いで副室2から主燃焼室1へ火炎を吹き出す。そ
こで,たとえ連絡孔16の壁面18に燃料噴射ノズル4から
壁面18に向けて噴射アルコール燃料が付着するようなこ
とがあっても,該付着した燃料は火炎の吹き出す時に燃
焼し且つ反応するので,未燃料或いは中間生成物は排気
行程で排出されることがなく,また,副室2から火炎は
吹き出すことによって燃料当量比は急激に低下し且つ燃
焼温度が低下するので,NOXの生成を一層抑制することが
できる。
次に,この副室式アルコールエンジンに使用される燃
料噴射ノズル4の一例を,第2図及び第3図を参照して
説明する。第2図はこの副室式断熱エンジンに使用され
る燃料噴射ノズル4の一例を示す断面図,及び第3図は
第2図の線A−Aにおける断面図である。
燃料噴射ノズル4は,副室2内に配置されるノズル本
体19及びノズル本体19内を上下動可能な針弁31から構成
されている。このノズル本体19と針弁31は,副室2の燃
焼室内に配置されるため,耐熱性で且つ耐アルコール性
に富んだ窒化珪素,炭化珪素,複合材料等のセラミック
材料で製作されている。更に,ノズル本体19の外面を,
例えば,第1図に示すように,ジルコニアファイバー等
セラミックファイバーから成る断熱材24を配置し,該断
熱材24の外面を窒化珪素,炭化珪素等のセラミック材料
から成る遮熱部材25を化学蒸着(CVD),嵌合等で配置
し,燃料噴射ノズル4を一層耐熱性を向上させることも
できる。燃料噴射ノズル4を,上記の材料で製作すれ
ば,摺動上の問題,水混入の問題,高温上の問題等は何
らトラブルはない。
ノズル本体19の内壁面と針弁31の外面との間には燃料
通路21が形成される。また,ノズル本体19の先端部に
は,燃料の溜まり部となるノズルサック22,及びノズル
サック22に溜まった燃料を外部に噴射するための噴口17
が形成されている。従って,針弁31が燃料噴射ポンプ
(図示せず)の噴射圧を受けてばね力に抗してノズル本
体19に対して上方に移動すると,燃料通路21とノズルサ
ック22とが連通し,それによってアルコール燃料が多噴
孔に形成された噴口17からノズル本体19の外周を囲むよ
うに全周に渡って均一に分散して噴霧されることにな
る。なお,針弁31が,電気的に上下動する電気式燃料噴
射ノズルに構成することもできる。
この副室式アルコールエンジンに使用される燃料噴射
ノズル4は,副室2及び連絡孔16に噴霧がほぼ均一に分
布されるように,噴口17が配置される必要がある。その
ため,ノズル本体19に形成された噴口17の配列は,多噴
孔である程,噴霧は均一に分散されるが,断面同一面上
に多くの噴孔を配列すると,ノズル本体17が,折損した
り,破断する恐れがあり,また,ノズル本体19に噴孔を
形成する穿孔加工が困難になる。燃料噴射ノズル4のノ
ズル本体19に形成した噴口17を,多噴孔に形成するた
め,ノズル本体19の軸方向に位置をずらすと共にノズル
本体19の軸心に対して垂直に延びるように多段に噴孔を
形成することによって達成している。即ち,燃料噴射ノ
ズル4に形成された噴口17は,全周に形成され且つ多段
に形成された多噴孔に形成されている。図では,ノズル
本体19の軸方向に噴孔を2段に形成し(第2図参照),
且つ1段には4個の噴孔を形成している(第3図参
照)。
ノズル本体19に噴孔を形成する穿孔加工では,同一軸
上,即ち断面同一平面上に形成される孔は偶数個である
ことが加工が容易である。例えば,4噴孔,6噴孔,8噴孔,1
0噴孔,12噴孔等は,ワイヤ28をノズル本体19を貫通して
穿孔加工することができ,この場合には,噴孔は互いに
対向状態に形成される。特に,セラミック材料から成る
ノズル本体19に噴孔を形成する穿孔加工において,ワイ
ヤ加工すると,ワイヤ28をノズル本体19に貫通して加工
することができ,噴孔そのものの精度を向上でき,しか
も対称的に噴孔を形成できるので,噴孔の位置を等分に
配列でき,噴霧を均一に行うことができる。
〔発明の効果〕
この発明による副室式アルコールエンジンは,上記の
ように構成されているので,アルコール燃料が連絡孔の
壁面に向けて噴射されて該壁面に衝突することによって
衝突拡散作用でアルコール燃料の微粒化が進み,燃焼ま
での時間が短くなって燃焼が促進され,しかも,前記副
室が断熱されているので,燃焼の促進によって副室壁面
のセラミック部が直ちに高温になり,燃焼雰囲気を良く
することになり,エンジンの部分負荷等の低温時でも,
燃焼室壁温の温度上昇が速く,噴霧されたアルコール燃
料に気化エネルギーを直ちに且つ十分に供給することが
でき,また,全負荷等の高温時には,アルコール燃料に
よって該壁面は冷却され,燃焼室の温度を余り高温にし
ない。
また,燃料噴射ノズルからの噴霧方向は前記副室への
吸入空気の流入方向と直角状に交叉することによって噴
霧燃料のペネトレーションが阻害されることなく,アル
コール燃料と空気との混合が促進され,しかも前記燃料
噴射ノズルの噴射タイミングを圧縮行程上死点前に行う
ので,前記噴口を多噴孔に構成して噴射される燃料噴霧
を前記連絡孔周囲に均一に分散させて連絡孔内壁面を到
達するように噴射し,アルコール燃料と吸入空気との混
合を良好に行い,しかも前記副室に吹き込まれる噴霧燃
料と吸入空気とは前記燃料噴射ノズルのノズル本体の回
りでスワールが促進され,気化混合を良好に達成して良
好な燃焼を行わせることができ,未燃料或いは中間生成
物の排出を防止できる。
しかも,この副室式アルコールエンジンでは,空燃比
を小さくし,燃料当量比を抑制して前記副室で主なる燃
焼を行わせてNOXの生成を抑制することができる。次い
で前記副室から前記主燃焼室へ火炎は吹き出すが,たと
え前記連絡孔の壁面に前記燃料噴射ノズルから壁面に向
けて噴射したアルコール燃料が付着するようなことがあ
っても,該付着した燃料は火炎の吹き出す時に燃焼し且
つ反応するので,未燃焼或いは中間生成物は排気行程で
排出されることがなく,しかも前記副室から火炎は吹き
出すことによって燃料当量比は急激に低下し且つ燃焼温
度が低下するので,NOXの生成を一層抑制することができ
る。
この副室式アルコールエンジンは,前記副室を高度の
断熱構造,具体的には,前記副室を構成する内壁体が薄
肉のセラミック材料から成り,該内壁体の外面を断熱部
材で覆った構造であるから,前記内壁体即ち燃焼室に面
する壁面の熱容量が小さくなり,前記内壁体は燃焼ガス
及びアルコール燃料の温度に追従性が良くなり,部分負
荷等の低温時には前記副室と前記連絡孔との壁面を燃焼
温度に追従して直ちに上昇し,また全負荷等の高温時に
は該壁面をアルコール燃料の温度に追従して適度な温度
に冷却する。従って,燃料噴射ノズルの本体内での気化
を抑制して噴霧を良好に達成でき,噴霧されたアルコー
ル燃料に気化エネルギーを直ちに且つ十分に供給でき,
着火,燃焼が良好に行われ,着火ミス,不完全燃焼が発
生せず,未燃ガスが発生することがない。また,エンジ
ンの全負荷等の高温時に,アルコール燃料によって燃焼
室壁体は直ちに冷却され,燃焼室の温度は余り高温にな
らず最適温度に維持されるので,燃料の着火,燃焼が良
好に行われるが,燃焼室が余り高温になって吸入効率が
低下することはない。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による副室式アルコールエンジンの一
実施例を示す断面図,第2図は第1図の副室式アルコー
ルエンジンに使用する燃料噴射ノズルの一例を示す断面
図,及び第3図は第2図の線A−Aにおける断面図であ
る。 1……主燃焼室,2……副室,3……シリンダヘッド,4……
燃料噴射ノズル,5……断熱部材,6……金属製外筒,7……
内壁体,8……シリンダブロック,10……シリンダライナ,
11……ピストン,16……連絡孔,17……噴口,18……壁面,
19……ノズル本体,31……針弁。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッドに設けられた断熱構造の副
    室,前記シリンダヘッド下面とシリンダライナで形成し
    た主燃焼室,該主燃焼室と前記副室とを連通し且つ前記
    副室に設けられた断熱構造の連絡孔,及び前記副室の中
    央部を貫通するノズル本体と前記ノズル本体の先端に形
    成された多噴孔の噴口とを有する燃料噴射ノズルを具備
    し,前記噴口が前記連絡孔内に位置すると共に前記ノズ
    ル本体の軸心に対して垂直方向に延びて前記連絡孔の壁
    面に対向して開口し,前記噴口からの噴霧が前記連絡孔
    から前記副室への吸入空気の流入方向と直角状に交叉す
    るように前記連絡孔の壁面に向けて噴射されることから
    成る副室式アルコールエンジン。
  2. 【請求項2】前記燃料噴射ノズルの燃料噴射タイミング
    が圧縮行程上死点前に設定されていることから成る請求
    項1に記載の副室式アルコールエンジン。
  3. 【請求項3】前記燃料噴射ノズルを構成する前記ノズル
    本体と針弁とが耐熱性に富んだセラミック材料で製作さ
    れており,前記ノズル本体に形成された前記多噴孔が多
    段に構成されていることから成る請求項1に記載の副室
    式アルコールエンジン。
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