JP2868851B2 - ガス封止形避雷器 - Google Patents

ガス封止形避雷器

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、雷サージ等から通信機器類を保護するため
に絶縁外囲器を金属電極で封止して成るガス放電形の避
雷器に関するものである。
[従来の技術] この種の避雷器は、放電電極材料として絶縁外囲器と
熱膨張率の等しい商品名コバールが主に用いられてい
る。最近は安価な42Ni−Feが用いれることもある。コバ
ールは、主成分が重量比で約29%のNiと約17%のCoと約
54%のFeとから構成され、熱膨張係数が5.1〜5.5×10-6
(/℃)を示すものである。
[発明が解決しようとする課題] 前記コバールを用いると、持続的な交流波に対して、
放電熱が非常に高まって早期に電極が高温となり、ロウ
付け部分からオープン破壊を起こし易いものであった。
これに代えてCuを金属電極として用いた場合は、Cuの
熱膨張係数が大きいために、アルミナ等のセラミック外
囲器と封着接合を行なうときに封着個所に残留応力が残
り、この残留応力によるリークを防止するために電極形
状に制約を受けるものであった。また、プリント基板等
へ実装するためにはリード線をスポット溶接で接合する
必要があるが、Cu電極への直接スポット溶接は困難であ
る等の問題点があった。
さらに、本出願人は、実公昭64−5835号公報にて、叙
述と共通の趣旨からコバール電極に高仕事関数のCu放電
面がCuロー付け或いはメッキしたものを開示している。
しかしながら、直径約10mm程度の金属電極に数mm程度
の小さな電極面をCuロー付けすることは、実際には非常
に高度な作業技術を必要とするうえ、熟練作業者であっ
ても慎重に作業しなければならず、手間と時間とが掛る
ものであった。同様に狭い個所への部分Cuメッキするこ
とも作業負担の大きいもので、いずれにしても非常に高
価とならざるを得ないことが分った。また、コバール電
極は腐食に弱く、装置類の装着部分での接触不良を招来
し易いものでもあった。
しかして本発明は、諸般の欠点を一掃するために開発
されたものであって、放電熱を良好に放熱し、簡単に製
造できるようにした避雷器の提供を、その目的とするも
のである。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するための本発明請求項1に係るガス
封止形避雷器は、金属電極が層構成されていることにあ
る。この場合の金属電極は、内部側で銅又は銅を主体と
する放電面層と、この放電面層の外側に密着され放電面
層よりも熱膨張係数の小さな芯材層と、この芯材層の外
側に密着されこの芯材層よりも熱膨張係数の大きな表面
層とを備えるものである。
また、請求項2に係る多極構造のガス封止形避雷器
は、金属電極のうちの中間電極が、両側で銅又は銅を主
体とする各放電面層と、この各放電面層の間に密着され
放電面層よりも熱膨張係数の小さな芯材層とを備えて層
構成されているものである。
[作用] 封着時の残留応力は、熱膨張係数の小さな芯材層と大
きな銅材とが重なり合うことで、銅材には残留応力が無
い状態で封着される。リード線等は放電面層以外の層、
殊に芯材層の介在によって良好にスポット溶接される。
放電に際しては、放電面層に銅材が用いられているの
で、持続波に対する温度上昇が押えられ、以って長時間
継続放電が行なわれる。その際、両側に高い熱膨張係数
の金属層が張り合せられているで、熱に伴なう湾曲変化
等が防止されている。
多極構造の場合にも、中間の金属電極の芯材層へリー
ド線をスポット溶接することができるうえ、両側の放電
面層で良好に温度上昇が押えられる。
[実施例] 図面第1図は本発明の請求項1に係るガス封止形避雷
器の一実施例を示す断面図であり、避雷器としては釦型
の2極構造を図示する。
図中1はセラミック等の絶縁外囲器1、2はその開口
端部に設けられるメタライズ層、3はロー材層、4はこ
れら2,3を介して封着される端部電極としての金属電極
であり、斯る構成は公知である。
しかして、金属電極4は、内部側でCu又はCuを主体と
する放電面層5と、この放電面層5の外側に密着される
芯材層6と、この芯材層6の外側に密着される表面層7
とを備えるクラッド材から構成されている。
ここで、芯材層6としてはCu放電面層5よりも熱膨張
係数の小さな素材が選択される。商品名インバーは、36
%のNiとFeを主成分とし、熱膨張係数が0.5〜2.0と低い
ので芯材として好適である。
表面層7としては芯材層6よりも熱膨張率の大きな素
材が選択される。例えば、NiやSUS304の如きステンレス
等を用いることができる。Niは熱膨張係数が12.8×10-6
(/℃)と高く、Cuの熱膨張係数16.7×10-6(/℃)に
略近似しているので、良好な積層構造体として用いるこ
とができる。
上記金属電極4はプレス等で三層構成でき、これを所
望の電極形状として用いることができる。各層5〜7を
Cu:インバー:Niとしたときの板厚比は、約0.7:4:0.3前
後とすることが望ましい。
(実験例1) 本発明に係るクラッド電極避雷器をBとし、従来のコ
バール電極避雷器をAとし、これらに600V×1Aの負荷を
6秒間一回通電し、5秒毎に赤外線温度測定装置で測定
した場合を表1に示した。
従来のコバール電極避雷器Aでは、電極中心部の最高
温度が5秒で約240℃に達するのに対し、本発明の避雷
器Bでは、5秒で約140℃に到達するに過ぎないもので
あった。両者には約100℃に温度差があらわれた。
(実験例2) 600V×1Aを連続通電し、5秒毎に赤外線温度測定装置
で測定した場合を表2に示した。
従来のコバール電極避雷器Aでは、15秒経過時点で約
1000℃に達し、15秒から20秒通電の間に開放破壊するも
のであった。これに対して、クラッド電極避雷器Bで
は、15秒経過時点で約250℃であり、180秒経過後約800
℃で飽和温度に到達するものの、330秒通電しても放電
がまだ継続しているものであった。
以上の通り、上記金属電極4が避雷器用電極材料とし
て有効であることが分った。
次に、図面第2図は本発明の請求項2に係るガス封止
形避雷器を3極構造とした一実施例を示す断面図であ
り、同一符合は同等部分を示す。
中間電極8にクラッド材を用いる場合には、内部側と
なる両面にCuまたはCuを主成分とする放電面層9,9が設
けられ、中心にはインバー10を設けることができる。こ
の場合の放電面層9,9と芯材層10との板厚比としては、
約0.5:4:0.5程度で実施可能である。これによって、中
間電極8においても前述と同様に両面から放熱が行なわ
れる。
上記実施例において、クラッド材の層5〜7としてC
u:インバー:Ni、或いは同層9,10としてCu:インバー:Cu
を例示したが、これに限定する趣旨ではなく、同等な熱
膨張係数のものを選択することを妨げない。また、クラ
ッド材のプレス成形を前提として説明したが、他の層形
成も実施可能であり、層構成も3層に限定する趣旨では
ない。例えば、層5,6,7または9,10,9との間に緩傾向の
熱膨張係数の金属層を設けることも実施可能である。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、持続波に対して
の放電熱上昇を押えることができ、長時間放電を可能と
して通信機器類を有効に保護することができる。しか
も、金属電極製造のための格別な技術を不要にでき、熱
膨張係数を絶縁外囲器と近似させることによって既存の
生産ラインを変更することなく組立封着することがで
き、リード線をスポット溶接できるうえ、対触性も向上
させることができた。
また、多極構造においては、中間の金属電極部位から
の放電発熱を押えることができる。
【図面の簡単な説明】
図面第1図は本発明に係るガス封止形避雷器の一実施例
を示す断面図、第2図は3極構造を示す同断面図であ
る。 1……絶縁外囲器、4,8……金属電極、 5,9……放電面層、6,10……芯材層、 7……表面層。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−43988(JP,A) 特開 平6−68950(JP,A) 特開 平7−335368(JP,A) 特開 平7−29666(JP,A) 実開 昭59−5896(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01T 4/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁外囲器を金属電極で封止して成るガス
    封止形避雷器において、 上記金属電極が、内部側で銅又は銅を主体とする放電面
    層と、この放電面層の外側に密着され放電面層よりも熱
    膨張係数の小さな芯材層と、この芯材層の外側に密着さ
    れこの芯材層よりも熱膨張係数の大きな表面層とを備え
    て層構成されていることを特徴とするガス封止形避雷
    器。
  2. 【請求項2】絶縁外囲器を金属電極で封止して成る多極
    構造のガス封止形避雷器において、 上記金属電極のうちの中間電極は、両側が銅又は銅を主
    体とする各放電面層と、この各放電面層の間に密着され
    放電面層よりも熱膨張係数の小さな芯材層とを備えて層
    構成されていることを特徴とする多極構造のガス封止形
    避雷器。
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