JP2866280B2 - 局部加圧式射出成形機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、局部加圧式射出成形機
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、局部加圧式射出成形機において
は、エジェクタピンの先端をキャビティに臨ませ、加圧
ピンの先端を成形品の加工部に臨ませ、エジェクタピン
を前進させることによって成形品を突き落とし、加圧ピ
ンを前進させることによって成形品に対して加工を施す
ことができるようになっている。

【０００３】図２は従来の局部加圧式射出成形機の断面
図である。図において、１１は固定側取付板であり、該
固定側取付板１１を介して固定金型１２が図示しない固
定プラテンに取り付けられる。そして、図示しない射出
装置の射出ノズルは可塑化移動工程において前進し、射
出ノズルの先端が固定金型１２のスプルーブッシュ１３
に接触させられる。

【０００４】一方、図示しない可動プラテンは、図示し
ない型締装置によって進退（図の左右方向に移動）させ
られ、可動金型１４を固定金型１２に接離させるように
なっている。そのため、前記可動金型１４は可動側取付
板１５及び図示しないスペーサブロックを介して可動プ
ラテンに取り付けられる。そして、射出ノズルから射出
された樹脂は、スプルー１８からランナ１９を通り、ゲ
ート２０を介して固定金型１２と可動金型１４の間に形
成されたキャビティ２１に充填（じゅうてん）される。

【０００５】前記射出工程が完了すると、続いて保圧工
程に入りキャビティ２１内の樹脂圧が保持されるととも
に樹脂の冷却が開始され、一定時間後に可動金型１４側
に図示しない成形品を残した状態で両金型１２，１４が
開かれ、エジェクタ装置によって成形品が突き落とされ
る。そのため、スプルーロックピン２５及びエジェクタ
ピン２６が配設される。前記スプルーロックピン２５は
前記スプルー１８と対向して配設され、型開き時に成形
品を保持して可動金型１４側に残す。また、前記エジェ
クタピン２６は、キャビティ２１やランナ１９などに先
端を臨ませて配設され、型開き後に成形品を可動金型１
４から分離させて突き落とす。

【０００６】前記スプルーロックピン２５及びエジェク
タピン２６は、可動金型１４を貫通して後方（図におけ
る左方）に延び、後端に形成されたヘッド部はエジェク
タプレート５１，５２によって狭持され固定される。そ
して、該エジェクタプレート５１にロッド２３が当接す
ることができるようになっており、該ロッド２３が前進
するのに伴い前記スプルーロックピン２５及びエジェク
タピン２６が前進させられる。

【０００７】ところで、前記保圧工程中において成形品
に対して加工を施すために加圧ピン３５が配設される。
該加圧ピン３５は、キャビティ２１、ゲート２０等の所
定箇所に先端を臨ませて必要な数だけ配設され、前記可
動金型１４及びエジェクタプレート５１，５２を貫通し
て後方に延び、後端に形成されたヘッド部は加圧プレー
ト３６，３７によって挟持され固定される。

【０００８】該加圧プレート３６，３７は、前記可動側
取付板１５に対して接離自在に配設され、２本の加圧シ
リンダ４１によって進退させられる。すなわち、該加圧
シリンダ４１のピストンロッド４２がクロスロッド５３
に固定され、該クロスロッド５３に加圧ロッド５４が固
定される。そして、該加圧ロッド５４は可動側取付板１
５を貫通して前記加圧プレート３６に当接することがで
きるようになっており、前記加圧シリンダ４１を作動さ
せることによって加圧ピン３５を突き出すことができ
る。

【０００９】前記加圧シリンダ４１に供給される油圧
は、図示しない比例減圧弁又はサーボ弁によって制御さ
れる。該比例減圧弁又はサーボ弁を電気的に制御するこ
とによって、前記加圧ピン３５を振動させながら徐々に
前進させて成形品の加工部の樹脂にパルス状の加圧力を
加えて励振（変位）させ、成形品に対して所定の加工を
施すことができる。

【００１０】ところで、前記比例減圧弁又はサーボ弁を
使用して加圧ピン３５を前進させても、樹脂を励振させ
ることができない。また、加圧力によって樹脂を励振さ
せるためには反力が必要であり、前記加圧ピン３５を加
工部から強制的に後退させなければならない。そのた
め、加圧プレート３７と可動金型１４の間に４本のリタ
ーンピン３８を包囲する応答性の高いリターンスプリン
グ４０が配設される。そして、前記加圧ピン３５及びリ
ターンピン３８は共に後端にヘッド部を形成しており、
該ヘッド部が加圧プレート３６，３７によって挟持され
固定される。この場合、４個のリターンスプリング４０
を均等に配列することによって、加圧プレート３６，３
７を傾けずに平行に前進させることができ、スムーズな
動作を得ることができる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の局部加圧式射出成形機においては、加圧シリンダ４
１に供給される油圧を比例減圧弁又はサーボ弁によって
制御することにより加圧ピン３５を進退させるようにな
っているため、加圧ピン３５の速度や位置などの精度を
向上させることができない。

【００１２】また、加圧ピン３５を振動させるために加
圧プレート３７と可動金型１４の間に応答性の高いリタ
ーンスプリング４０を配設する必要があるだけでなく、
加圧ピン３５のストロークを制限するために機械的な図
示しないストッパや位置検出器などを配設する必要があ
り、構造が大型化するとともに複雑になってしまう。本
発明は、前記局部加圧式射出成形機の問題点を解決し
て、加圧ピンの速度や位置などの精度を向上させること
ができ、構造を小型化し簡素化することができる局部加
圧式射出成形機を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】そのために、本発明の局
部加圧式射出成形機においては、固定金型と、該固定金
型と接離自在に配設され、両者間にキャビティを形成す
る可動金型と、該可動金型を貫通して延び、先端をキャ
ビティに臨ませた加圧ピンと、該加圧ピンを前進させる
駆動手段とを有する。

【００１４】そして、該駆動手段は、モータと、該モー
タによって発生させられた回転運動を直線運動に変換す
る直線運動発生装置と、前記モータの動作パターンを設
定する設定器とを備える。

【００１５】

【作用】本発明によれば、前記のように局部加圧式射出
成形機は、固定金型と、該固定金型と接離自在に配設さ
れ、両者間にキャビティを形成する可動金型と、該可動
金型を貫通して延び、先端をキャビティに臨ませた加圧
ピンと、該加圧ピンを前進させる駆動手段とを有する。

【００１６】そして、該駆動手段は、モータと、該モー
タによって発生させられた回転運動を直線運動に変換す
る直線運動発生装置と、前記モータの動作パターンを設
定する設定器とを備える。したがって、前記モータが駆
動され、該モータによって発生させられた回転運動が直
線運動発生装置によって直線運動に変換され、加圧ピン
に伝達される。そして、該加圧ピンを振動させながら徐
々に前進させて成形品の加工部の樹脂にパルス状の加圧
力を加えて励振させ、成形品に対して所定の加工を施す
ことができる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。図１は本発明の実施例を示す局
部加圧式射出成形機の概略図である。図において、１１
は固定側取付板であり、該固定側取付板１１を介して固
定金型１２が図示しない固定プラテンに取り付けられ
る。そして、図示しない射出装置の射出ノズルは可塑化
移動工程において前進し、射出ノズルの先端が固定金型
１２のスプルーブッシュ１３に接触させられる。

【００１８】一方、図示しない可動プラテンは、図示し
ない型締装置によって進退（図の左右方向に移動）させ
られ、可動金型１４を固定金型１２に接離させるように
なっている。そのため、前記可動金型１４は可動側取付
板１５及び図示しないスペーサブロックを介して可動プ
ラテンに取り付けられる。そして、射出ノズルから射出
された樹脂は、スプルー１８からランナ１９を通り、ゲ
ート２０を介して固定金型１２と可動金型１４の間に形
成されたキャビティ２１に充填される。

【００１９】前記射出工程が完了すると、続いて保圧工
程に入りキャビティ２１内の樹脂圧が保持されるととも
に樹脂の冷却が開始され、一定時間後に可動金型１４側
に図示しない成形品を残した状態で両金型１２，１４が
開かれ、エジェクタ装置によって成形品が突き落とされ
る。そのため、スプルーロックピン２５及びエジェクタ
ピン２６が配設される。前記スプルーロックピン２５は
前記スプルー１８と対向して配設され、型開き時に成形
品を保持して可動金型１４側に残す。また、前記エジェ
クタピン２６は、キャビティ２１やランナ１９などに先
端を臨ませて配設され、型開き後に成形品を可動金型１
４から分離させて突き落とす。

【００２０】前記スプルーロックピン２５及びエジェク
タピン２６は、可動金型１４を貫通して後方（図におけ
る左方）に延び、後端に形成されたヘッド部はエジェク
タプレート５１，５２によって狭持され固定される。そ
して、該エジェクタプレート５１にロッド２３が当接す
ることができるようになっており、該ロッド２３が前進
するのに伴い前記スプルーロックピン２５及びエジェク
タピン２６が前進させられる。

【００２１】ところで、前記保圧工程中において成形品
に対して加工を施すために加圧ピン３５が配設される。
該加圧ピン３５は、キャビティ２１、ゲート２０等の所
定箇所に先端を臨ませて必要な数だけ配設され、前記可
動金型１４及びエジェクタプレート５１，５２を貫通し
て後方に延び、後方に配設された駆動手段としての駆動
装置６１によって進退させられる。そして、該駆動装置
６１によって前記加圧ピン３５を振動させながら徐々に
前進させて成形品の加工部の樹脂にパルス状の加圧力を
加えて励振（変位）させ、成形品に対して所定の加工を
施すことができる。

【００２２】前記駆動装置６１はサーボモータ６３、該
サーボモータ６３によって発生させられた回転運動を直
線運動に変換する直線運動発生装置６４、及び前記サー
ボモータ６３と直線運動発生装置６４の間に配設され、
回転運動を伝達する伝動装置６５から成る。なお、前記
サーボモータ６３のほかにステッピングモータを使用す
ることもできる。

【００２３】本実施例において、前記直線運動発生装置
６４は、前記加圧ピン３５の後端部に配設されたボール
ナット６７、及び前記加圧ピン３５の後端に形成された
スプライン部６９から成る。そして、該スプライン部６
９は局部加圧式射出成形機のケース６８とスプライン連
結され、前記加圧ピン３５が回転するのを阻止する。な
お、該スプライン部６９に代えてキーを使用することも
できる。

【００２４】また、前記伝動装置６５は、前記サーボモ
ータ６３の回転軸に固定されたプーリ７１、前記ボール
ナット６７の外周に固定されたプーリ７２、及び該プー
リ７２と前記プーリ７１の間に張設されたベルト７３か
ら成る。なお、前記直線運動発生装置６４としてラック
アンドピニオンを使用することもでき、前記伝動装置６
５としてチェーンを使用することもできる。

【００２５】前記サーボモータ６３によって発生させら
れた回転は、プーリ７１、ベルト７３及びプーリ７２を
介してボールナット６７に伝達され、該ボールナット６
７によって回転運動が直線運動に変換される。なお、前
記加圧ピン３５の後端部には前記ボールナット６７と螺
合（らごう）する図示しないボールねじが形成される。

【００２６】また、前記加圧ピン３５には軸方向荷重検
出器７８が内蔵され、該軸方向荷重検出器７８によって
検出された圧力信号が比較器８１に送られる。該比較器
８１は前記圧力信号と設定器８２による圧力設定値を比
較し、サーボアンプ８４に対して偏差信号を出力する。
前記設定器８２には加圧ピン３５の動作パターンが、加
圧ピン３５の軸方向荷重、速度、位置等によって設定さ
れている。そして、前記サーボアンプ８４は偏差信号に
基づいて圧力指令信号を発生させ、該圧力指令信号をサ
ーボモータ６３に対して出力する。このように、サーボ
モータ６３の圧力制御を行うことができる。

【００２７】さらに、前記サーボモータ６３にはエンコ
ーダ９１が配設され、該エンコーダ９１によって前記加
圧ピン３５の速度又は位置を検出することができる。そ
して、前記エンコーダ９１によって検出された速度信号
又は位置信号が比較器９２に送られる。該比較器９２は
前記速度信号又は位置信号と設定器８２による速度設定
値又は位置設定値を比較し、サーボアンプ８４に対して
偏差信号を出力する。そして、該サーボアンプ８４は偏
差信号に基づいて速度指令信号又は位置指令信号を発生
させ、該速度指令信号又は位置指令信号をサーボモータ
６３に対して出力する。このように、サーボモータ６３
の速度制御又は位置制御を行うことができ、制御性を向
上させることができる。

【００２８】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形すること
が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するもの
ではない。

【００２９】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば局部加圧式射出成形機は、固定金型と、該固定金型
と接離自在に配設され、両者間にキャビティを形成する
可動金型と、該可動金型を貫通して延び、先端をキャビ
ティに臨ませた加圧ピンと、該加圧ピンを前進させる駆
動手段とを有する。

【００３０】そして、該駆動手段は、モータと、該モー
タによって発生させられた回転運動を直線運動に変換す
る直線運動発生装置と、前記モータの動作パターンを設
定する設定器とを備える。したがって、加圧ピンの速度
や位置を検出してモータを制御することによって、加圧
ピンの速度や位置などの精度を向上させることができ
る。

【００３１】また、加圧ピンを振動させるために応答性
の高いリターンスプリングを配設する必要がなく、加圧
ピンのストロークを制限するために機械的なストッパや
位置検出器などを配設する必要がないので構造を小型化
し簡素化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す局部加圧式射出成形機の
概略図である。

【図２】従来の局部加圧式射出成形機の断面図である。

【符号の説明】

１２ 固定金型 １４ 可動金型 ２１ キャビティ ３５ 加圧ピン ６１ 駆動装置 ６３ サーボモータ ６４ 直線運動発生装置 ８２ 設定器

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−369517（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−228969（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−81122（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B29C 45/56 - 45/57,45/17,45/37 - 45/38,45/76 - 45/77

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）固定金型と、（ｂ）該固定金型と
   接離自在に配設され、両者間にキャビティを形成する可
   動金型と、（ｃ）該可動金型を貫通して延び、先端をキ
   ャビティに臨ませた加圧ピンと、（ｄ）該加圧ピンを前
   進させる駆動手段とを有するとともに、（ｅ）該駆動手
   段は、モータと、該モータによって発生させられた回転
   運動を直線運動に変換する直線運動発生装置と、前記モ
   ータの動作パターンを設定する設定器とを備えることを
   特徴とする局部加圧式射出成形機。