JP2865511B2 - 製鋼スラグの水和促進および破砕処理方法および装置 - Google Patents

製鋼スラグの水和促進および破砕処理方法および装置

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JP2865511B2
JP2865511B2 JP5035676A JP3567693A JP2865511B2 JP 2865511 B2 JP2865511 B2 JP 2865511B2 JP 5035676 A JP5035676 A JP 5035676A JP 3567693 A JP3567693 A JP 3567693A JP 2865511 B2 JP2865511 B2 JP 2865511B2
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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  • Manufacture Of Iron (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固化した高温の製鋼ス
ラグを多量の冷却水に接触させて水和促進と破砕とを行
う方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、製鋼スラグ処理は、(1)溶融ス
ラグを固化する固化工程、(2)固化したスラグを10
0℃程度まで冷却する冷却工程、(3)磁力選鉱に適し
た粒度に破砕する細粒化工程、(4)磁力選鉱によるス
ラグ/地鉄分別工程、および(5)エージングによる安
定化工程によって行われている。
【0003】例えば、従来の典型的な製鋼スラグ処理に
おいては、上記各工程は具体的には以下のように行われ
る。 (1)固化工程:まずスラグを土場または鉄板上に放流
し、土場の場合で1〜2日間、鉄板上では数十分間放冷
して固化させ、形成された一体の固形塊を上方からスラ
グポット等で打撃して直径数百mm程度に破砕する(一
次破砕)。
【0004】(2)冷却工程:一次破砕塊に散水し例え
ば1時間程度で300℃程度まで冷却(一次冷却)した
後、例えば積載容量30t程度の排滓台車上に排出し、
この台車上で再度散水して通常は十数分程度で100℃
程度まで冷却(二次冷却)し、次に台車から水冷ピット
内に排出して通常は数時間から数十時間放置(ピット冷
却)する。ピット水冷後、乾燥および放冷のためヤード
に移送し貯鉱する。
【0005】ここで、スラグ塊は内部に地鉄が分散して
含有されており、路盤材等に適した製品スラグ組成を得
るためばかりでなく、鉄分を有効に回収しリサイクルす
るためにも、両者を分別する必要がある。そのために
は、スラグ塊を破砕して両者を機械的に分離した後、磁
力選鉱を行うことにより、磁力に反応する鉄分と反応し
ない純然たるスラグ部分とを分別する。ここで、破砕後
のスラグ塊中にも地鉄は残留しており、スラグ塊中の鉄
分をより少なくするには、破砕による細粒化をより促進
する必要がある。
【0006】(3)細粒化工程:上記のヤード貯鉱で十
分に乾燥および冷却された一次破砕塊は、打刻機(「ペ
ッカー」等と通称される)により大きなスラグ塊と鉄塊
とを分離した状態にして、篩分別器(「グリズリー」等
と通称される)にかけ、塊寸法をある程度以下に抑えて
から、ロッドミル等の適当な破砕機により適度な粒度ま
で破砕する(二次破砕)。ヤード貯鉱からこの二次破砕
までの処理に、通常は丸一昼夜(24時間)程度を要す
る。
【0007】(4)分別工程:二次破砕した後、磁力選
鉱により鉄分を除去する。その後、通常は更に乾式ある
いは湿式の磨鉱を行い鉄分品位の向上を図る。磁力選鉱
および磨鉱には通常は60分程度を要する。 (5)エージング工程:エージングヤードに移して保管
し、水和反応を進行させて安定化させた後、路盤材等の
各用途に供する。通常、このエージング期間として12
カ月から36カ月を要する。
【0008】このように、スラグ処理は非常に多くの工
程と多大な時間とを要する上、各処理工程に膨大な敷地
を必要とするという生産効率およびコスト上の問題があ
るばかりでなく、固化から一次冷却(300℃程度)ま
での高温期間には熱間作業を強いられ、その後の破砕、
移送、磁力選鉱の各段階では多量の粉塵発生下での作業
になり、労働環境の観点からも問題があった。
【0009】これに対して、本出願人らは特開昭55−
110703号公報(特公昭58−55093)におい
て、特に上記(2)の冷却時間の短縮および作業環境の
改善および(5)のエージング期間の短縮のために、工
程(1)で得られた一次破砕塊を密閉容器内で散水し、
発生する高圧水蒸気と高温雰囲気を利用してスラグの冷
却と水和反応促進とを行う方法を提案した。
【0010】しかしこの方法では、例え長時間の処理を
しても水和反応促進効果が少ない上、破砕効果は全く得
られないため、上記問題を解消する効果はあまり得られ
なかった。また、特公昭52−44721号公報には、
500℃以上の顕熱を有する転炉滓を水を加えた高圧容
器内の投入して密閉し、転炉滓顕熱により水を高圧蒸気
にとして、高圧蒸気中で3〜15時間の処理を行う方法
が開示されている。
【0011】しかしこの方法は、蒸気雰囲気中で処理す
るためスラグの冷却に長時間を要し、冷却速度が遅いた
め熱衝撃によるスラグ破砕効果が得られないという欠点
があった。そこで更に本出願人は特願平第4−9769
9号において、上記密閉容器内での散水速度および水蒸
気圧力と処理時間との関係を限定することにより、単に
冷却水との接触による水和反応を誘起するだけでなく、
急冷をより有効に利用して破砕効果をも誘起し、破砕の
促進により水和反応をも更に促進する方法を提案した。
この方法によれば、水和反応と破砕とが連鎖反応的に進
行する相乗効果により、上記固化後の(2)冷却工程お
よび(3)細粒化工程が、密閉した容器内で合計数十分
程度で完了するので、生産性および労働環境が飛躍的に
向上する。
【0012】しかし、上記特願平第4−97699号の
方法は、密閉容器内の固化スラグに上方から散布された
冷却水がスラグ塊同士の間を通過し目皿を通って下方へ
排出される方式であるため、容器内で冷却水の偏流によ
り容器内スラグ全体を均一に冷却することが困難である
上、所定温度にまで冷却するために多量の冷却水を必要
とするという欠点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、密閉
容器内で水冷を均一に行い且つ冷却水の必要量を低減で
きる高温製鋼スラグの水和促進および破砕処理方法およ
び装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明に
よれば、固化した高温の製鋼スラグを密閉容器内で多量
の冷却水と接触させることによりスラグの水和促進と破
砕とを行う方法において、固化した高温製鋼スラグを、
上部が開放された中子容器内に収容した状態で圧力容器
内に装入し、該圧力容器を密閉した後、上記スラグに上
方から冷却水を散水して該スラグ全体を該中子容器内に
水没させ、冷却水と高温スラグとの接触により発生した
水蒸気により、該圧力容器内を下記式(1)で規定され
る範囲内の水蒸気圧力(P)と処理時間(T)の関係に
維持することを特徴とする製鋼スラグの水和促進および
破砕処理方法によって達成される。
【0015】 3.50≧P0.6 ×T0.4 ≧1.48 …(1) P≦15,T≦1 但し、P:水蒸気圧力(kg/cm2 )、T:処理時間
(hr) また、上記本発明の方法を実施するための装置は、固化
した高温の製鋼スラグを密閉容器内で多量の冷却水と接
触させることによりスラグの水和促進と破砕とを行う装
置において、[1] 固化した高温製鋼スラグを内部に収容
する、上部が開放された中子容器、[2] 該中子容器を内
部に収容できる圧力容器であって、上部または側部には
該中子容器の搬入・搬出のための密閉可能な出入口と補
助加圧用水蒸気の供給口を、上部には搬入された該中子
容器内のスラグへの上方からの散水手段と余剰水蒸気の
排出口を、および底部には余剰水分の排出口をそれぞれ
有する圧力容器、[3] 上記固化スラグを内部に収容した
上記中子容器を該出入口を通して該圧力容器へ搬入し該
圧力容器から搬出する中子容器搬出入手段、[4] 該圧力
容器の該散水手段に冷却水を供給する手段、[5] 該圧力
容器内にある該中子容器内のスラグが上記供給された冷
却水によって水没したことを検知する手段、[6] 上記水
没が検知された際に上記冷却水の供給を停止する手段、
[7] 該圧力容器内の水蒸気圧力を検知する手段、および
[8] 上記検知された水蒸気圧力と所定処理時間との関係
が下記式(1)を満たすように作動する圧力調整弁と補
助加圧用水蒸気供給手段、を有することを特徴とする製
鋼スラグの水和促進および粉砕処理装置である。
【0016】 3.50≧P0.6 ×T0.4 ≧1.48 …(1) P≦15,T≦1 但し、P:水蒸気圧力(kg/cm2 )、T:処理時間
(hr)
【0017】
【作用】本発明においては、圧力容器内の上部開放型の
中子容器内で固化スラグを水没させて処理するので、ス
ラグ全体が均一に冷却水と接触し、水和反応および破砕
を高い効率で行わせることができる。また、導入された
冷却水は下方に排出されないので、導入量全量がほぼそ
のまま無駄なく処理に用いられ、冷却水量を大幅に低減
することができる。更に、スラグ全体を水没させると、
局部的な高温部分が残らないので、水蒸気爆発の発生を
完全に解消することができる。
【0018】製鋼スラグ中には遊離CaOが存在し、水
と反応して下記式に示す水和反応を起こす。 CaO+H2 O=Ca(OH)2 右辺の反応生成物Ca(OH)2 は左辺のCaOよりも
密度が低いため、この水和反応により膨張が起こる。し
たがってスラグを路盤材等の用途に供するには、この水
和反応を十分に進行させ安定化する必要がある。
【0019】本発明においては水蒸気圧力(P)と処理
時間(T)の関係を式(1)の範囲に限定したことによ
り、スラグの自己破砕を誘起し、それが水和反応を更に
促進する。すなわち、自己破砕によりスラグ中の遊離C
aOとH2 Oとの接触面積が広がり、水和反応に関与す
る両者の絶対量が増加し、結局スラグ全体としての水和
反応の進行が促進される。
【0020】上記水和反応は発熱反応でもあるので、冷
却により平衡は上記式の右辺寄りすなわち水和進行側に
移行するが、スラグ温度が低くなり過ぎると反応速度自
体は遅くなる。本発明において水蒸気を高圧に保持する
ことは、高圧による反応速度向上だけでなく、飽和水蒸
気温度の維持により水和反応に最適なスラグ温度を維持
するという作用もある。
【0021】本発明においては、散水速度は特に限定す
る必要はなく、式(1)の範囲の水蒸気圧力とスラグの
水没状態が維持できる範囲であればよい。圧力容器内部
で発生する水蒸気だけでは規定範囲の水蒸気圧力を維持
できなくなった場合には、冷却水の供給とは別に外部か
ら水蒸気を補給して規定範囲内の圧力を維持することが
できる。
【0022】図1に、本発明による高温製鋼スラグ処理
工程(同図(A))を従来方法の工程(同図(B))と
対比して示す。図中、各工程の典型的な所要時間を工程
名の右に付記した。本発明によれば、従来固化・一次破
砕後から磁力選鉱前までに必要とした一連の工程すなわ
ち一次冷却・二次冷却・ピット冷却・ヤード貯鉱・大塊
地金分離・二次破砕の全工程を、圧力容器内での急水冷
という単一工程で短時間に且つ外囲環境への高温放射お
よび粉塵汚染も無く、効果的に行うことができる。すな
わち、固化・一次破砕後に本発明の処理を行うことによ
り、磁力選鉱工程に適した粒度まで細粒化することがで
きる。
【0023】更に、高圧水蒸気での水和促進により、最
終的なヤードエージングに要する期間を大幅に短縮する
ことができる。以下に、実施例により本発明を更に詳細
に説明する。
【0024】
【実施例】図2に、本発明の方法を実施するための装置
の典型的な配置例を示す。固化した高温製鋼スラグ1を
内部に収容する中子容器2は、上部が開放された容器で
ある。中子容器2の下部(側面下部あるいは底面)に
は、通水口(図示せず)が設けてあり、中子容器2内へ
散布された冷却水は、中子容器2内のスラグに作用した
後、通水口から圧力容器3内へ流出する。圧力容器3内
の水位が中子容器2の底面レベルを超えた時点以降は、
中子容器2および圧力容器3内が同じレベルで水位上昇
する。通水口は中子容器2に開けた孔あるいは目皿の形
で設けることができる。
【0025】中子容器2の通水口は、処理後の水抜きを
容易にする利点もあり、これにより処理後のスラグの乾
燥工程の一部あるいは全部を省略することができる。中
子容器2を内部に収容できる圧力容器3は、上部の密閉
蓋3Aを開放して中子容器2の搬入・搬出を行い、処理
実行時にはこれを閉鎖することにより外部に対して圧力
容器3を密閉した状態にする。圧力容器3の上部にはこ
の密閉扉3Aを介して冷却水18の供給を受ける注水ノ
ズル4が下方に向かって開口している。また圧力容器3
の側面上部には補助加圧用水蒸気の供給口5が設けてあ
る。更に、圧力容器3の上部には余剰水蒸気の排出口6
が、底部には余剰水分の排出口7がそれぞれ設けてあ
る。
【0026】また、固化スラグ1を内部に収容した中子
容器2は、適当なクレーン等の搬出入手段(図示せず)
により、圧力容器3へ搬入し圧力容器から搬出される。
圧力容器3の外側面には内部と連通した連柱管20が張
り出しており、所定の水没水位に対応した連柱管20の
部位に配置した渦流式水位センサー等の検知手段19に
よって、圧力容器内3にある中子容器2内のスラグ1
が、供給された冷却水によって水没したことを検知する
ようになっている。
【0027】そして、上記水没が検知された際には、流
量調整弁13を閉じることにより冷却水の供給を停止す
るようになっている。これは、センサー19からの電気
信号により、手動または自動により行われる。圧力容器
3内の水蒸気圧力(P)は、圧力容器の側面上部に取り
付けた圧力計8によって検知される。
【0028】このようにして検知された水蒸気圧力と所
定処理時間との関係が式(1)を満たすように、圧力過
剰時は圧力調整弁9が作動し、圧力不足時は補助加圧用
水蒸気供給用の流量調整弁10がマニュアルまたは自動
で作動する。注水ノズル4への冷却水は、給水タンク1
1からポンプ12を経て流量調整弁13を介して供給さ
れる。
【0029】余剰の水蒸気(排蒸気)は排出口6からド
レーンタンク14に導かれ、規定水蒸気圧力および処理
時間の関係を満たすように初期設定された圧力調整弁9
を経て蒸気放散塔15から外部環境中へ排出される。な
お、図示はしていないが、圧力容器3の上部に安全弁を
設けると、圧力容器3内圧力の急激な上昇等の緊急時に
容易に対処することができる。
【0030】補助加圧用水蒸気は、適当な工場配管16
等から圧力調整弁17を介し流量調整弁10を通って圧
力容器3内に必要に応じ供給される。図2の装置を用い
て本発明の方法を行う典型的な手順は下記の通りであ
る。固化・一次破砕後の高温製鋼スラグ1を中子容器2
内に例えば高さ1mに充填する。本発明の処理は、固化
した高温スラグの温度が200℃以上であれば効果が得
られる。スラグ充填高さは0.5〜4mとなるようにす
ると、水没前の散水期間の冷却を均一に行う上で有利で
ある。密閉蓋3Aを開放して、上記スラグが充填された
中子容器2を圧力容器3内に装入する。密閉蓋3Aを閉
じて圧力容器3内を密閉状態にした後、ポンプ12と流
量調整弁13を作動させて給水タンク11から注水ノズ
ル4へ冷却水を供給し、圧力容器3内の中子容器2に充
填されたスラグ1に上方から散水する。注入された冷却
水は高温スラグと接触して水蒸気となり圧力容器3内を
高圧化すると共に、スラグ1全体を中子容器2内に水没
させる。その際、処理終了後に中子容器2内に残留する
水分がスラグ1の余熱により実質的に全て蒸発するよう
な合計水量で散水を行うことにより、磁力選鉱等の後工
程のための乾燥処理が省略できる。
【0031】圧力容器3内の圧力は、圧力計8で検知さ
れ、圧力過剰時は圧力調整弁9の作動により、圧力不足
時は補助加圧用水蒸気の流量調整弁10の作動(マニュ
アルまたは自動)により規定範囲内になるように調整さ
れる。例えば、所定処理時間(T0)で処理を完了する
のに要する下限の水蒸気圧力(P0)を式(1)から予
め求めておき、処理中に圧力容器内の水蒸気圧力がこの
下限値以下になったら、補助加圧用水蒸気を供給する。
【0032】処理終了後には、圧力調整弁9を作動させ
て圧力容器3内の圧力を常圧とした後、排水口7の開閉
弁21を開いて残留水を排出する。排出された水は次の
処理のための冷却水として循環使用することができる。
本発明の処理により、圧力容器内で単に散水を行う前記
特願平第4−97699号の技術に比較して、水和反応
が更に促進されて最終的なヤードエージング期間が更に
短縮される上、直ちに磁力選鉱に供することができる粒
度まで細粒化され、また供給された冷却水を圧力容器内
に維持して用いるので冷却水量を大幅に低減することが
できる。
【0033】図3に、本発明の方法により圧力容器内で
スラグを水冷した際にスラグ内を流下する冷却水の偏流
の程度を、前記特開昭55−110703号公報(特公
昭58−55093)の方法における偏流の程度と比較
して示す。図3のグラフは、供給散水密度に対する測定
実績散水密度の対応を示したもので、偏流の無い場合の
理論的な対応関係は図中の直線で表される。上記従来法
(図中●のプロット)では、実績値の対応関係がこの直
線の両側に広い範囲でばらついており、中子容器内のス
ラグ中を通過する冷却水が著しい偏流を起こしているこ
とが分かる。これに対して本発明の方法(図中▲のプロ
ット)によれば、実績値の対応関係が理論的な対応直線
と極めて良い一致を示しており、実質的に偏流が完全に
解消されていることが分かる。
【0034】このように本発明の方法は、冷却水の偏流
を無くしてスラグの水冷処理を行うことができるので、
スラグの水和および破砕の効率を著しく高めることがで
きる。図4に、処理により破砕されたスラグの粒度分布
を、本発明の方法と上記従来法について比較して示す。
同図から、本発明の方法によれば、従来法に比べて細粒
化が著しく促進されていることが分かる。例えば、従来
法では50mm以下にまで破砕された比率は85%に過
ぎず、100mmを超える大塊が5%も残存している。
このような大塊を含むスラグは磁力選鉱工程に直接送り
込むことができないため、図1(B)に示したように大
塊地金分離と二次破砕による細粒化が必要になる。これ
に対し、本発明によれば98%までが50mm以下に破
砕されており、特に、100mmを超える大塊は皆無の
状態になっているので、このまま磁力選鉱工程に直接送
り込むことができる。
【0035】このように水冷中の細粒化が促進されたた
め、水冷中に水和反応に関与するスラグ表面積が大きく
なり、水和反応も促進されている。これにより、最終的
なスラグのヤードエージング期間は、従来12〜36カ
月を要していたのに対して、本発明の方法で処理するこ
とにより、6〜9カ月で十分であった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
密閉容器内で水冷を均一に行い且つ冷却水の必要量を低
減して、高温製鋼スラグの水和促進および破砕処理を行
うことができる。これにより、別個の後処理を要せずに
磁力選鉱工程を直接行うことができ、またヤードエージ
ングの期間も大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高温製鋼スラグ処理の典型的手順
を従来の方法と対比して示すフローチャートである。
【図2】本発明の高温製鋼スラグ処理装置の典型的な配
置例を示す配置図である。
【図3】供給散水密度に対する測定実績散水密度の対応
を示すグラフである。
【図4】水冷処理後のスラグ粒度分布を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…固化した高温の製鋼スラグ 2…中子容器(上部が開放された底付き容器) 3…圧力容器 3A…圧力容器3上部の密閉蓋 4…注水ノズル 5…補助加圧用水蒸気の供給口 6…余剰水蒸気の排出口 7…余剰水分の排出口 8…圧力計 9…圧力調整弁 10…補助加圧用水蒸気供給用の流量調整弁 11…給水タンク 12…ポンプ 13…流量調整弁 14…ドレーンタンク 15…蒸気放散塔 16…工場配管 17…圧力調整弁 18…冷却水 19…水位センサー 20…連柱管 21…残留水排出用開閉弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松尾 慎二 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 柏原 司 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 工藤 俊昭 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 伊美 哲生 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 堀 純啓 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社大分製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭55−110703(JP,A) 特開 昭50−134904(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 5/02 C21B 3/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固化した高温の製鋼スラグを密閉容器内
    で多量の冷却水と接触させることによりスラグの水和促
    進と破砕とを行う方法において、 固化した高温製鋼スラグを、上部が開放された中子容器
    内に収容した状態で圧力容器内に装入し、該圧力容器を
    密閉した後、上記スラグに上方から冷却水を散水して該
    スラグを該中子容器内に水没させ、冷却水と高温スラグ
    との接触により発生した水蒸気により、該圧力容器内を
    下記式(1)で規定される範囲内の水蒸気圧力(P)と
    処理時間(T)の関係に維持することを特徴とする製鋼
    スラグの水和促進および破砕処理方法。 3.50≧P0.6 ×T0.4 ≧1.48 …(1) P≦15,T≦1 但し、P:水蒸気圧力(kg/cm2 )、T:処理時間
    (hr)
  2. 【請求項2】 前記固化した高温スラグの温度が200
    ℃以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記処理終了後に前記中子容器内に残留
    する水分がスラグの余熱により実質的に全て蒸発するよ
    うな合計水量で前記散水を行うことを特徴とする請求項
    1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 所定処理時間(T0)で前記処理を完了
    するのに要する下限の水蒸気圧力(P0)を前記式
    (1)から予め求めておき、前記処理中に前記圧力容器
    内の水蒸気圧力がこの下限値以下になったら、前記冷却
    水とは別に前記圧力容器に水蒸気を供給することを特徴
    とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記処理中に、前記圧力容器の上部から
    余剰の水蒸気を排出し、下部から余剰の水分を排出する
    請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記固化した高温スラグを前記中子容器
    内に高さ0.5〜4mとなるように収容することを特徴
    とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 固化した高温の製鋼スラグを密閉容器内
    で多量の冷却水と接触させることによりスラグの水和促
    進と破砕とを行う装置において、 [1] 固化した高温製鋼スラグを内部に収容する、上部が
    開放された中子容器、 [2] 該中子容器を内部に収容できる圧力容器であって、
    上部または側部には該中子容器の搬入・搬出のための密
    閉可能な出入口と補助加圧用水蒸気の供給口を、上部に
    は搬入された該中子容器内のスラグへの上方からの散水
    手段と余剰水蒸気の排出口を、および底部には余剰水分
    の排出口をそれぞれ有する圧力容器、 [3] 上記固化スラグを内部に収容した上記中子容器を該
    出入口を通して該圧力容器へ搬入し該圧力容器から搬出
    する中子容器搬出入手段、 [4] 該圧力容器の該散水手段に冷却水を供給する手段、 [5] 該圧力容器内にある該中子容器内のスラグが上記供
    給された冷却水によって水没したことを検知する手段、 [6] 上記水没が検知された際に上記冷却水の供給を停止
    する手段、 [7] 該圧力容器内の水蒸気圧力を検知する手段、および [8] 上記検知された水蒸気圧力と所定処理時間との関係
    が下記式(1)を満たすように作動する圧力調整弁と補
    助加圧用水蒸気供給手段、を有することを特徴とする製
    鋼スラグの水和促進および粉砕処理装置。 3.50≧P0.6 ×T0.4 ≧1.48 …(1) P≦15,T≦1 但し、P:水蒸気圧力(kg/cm2 )、T:処理時間
    (hr)
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