JP2861967B2 - 動ベクトル検出装置 - Google Patents

動ベクトル検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動ベクトル検出装置
に関し、特に動画像を圧縮符号化する動き補償フレーム
間予測符号化装置における動ベクトル検出装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動き補償フレーム間予測
符号化装置における動ベクトルの検出は、入力画像信号
をmライン×n画素毎にブロック化し、各ブロック毎に
前フレーム若しくは次フレームの同一位置のブロックを
中心に(一例として水平方向に±31画素、垂直方向に
±31ラインの範囲において)ブロックマッチングを実
行することにより、複数の候補ベクトルに対して評価を
行い、最適なベクトルを検出している。
【0003】各候補ベクトルの評価方法としては、ブロ
ック単位で入力画像と局部復号画素との誤差の差分絶対
値和若しくは誤差電力を計算し、最小となる局部復号画
素を示すベクトルを最適ベクトルとする方法などが一般
に採用されている。従ってこの誤差を計算するために、
多大な演算を必要としている。
【0004】また、この演算量を削減するため、動ベク
トル検出範囲内の全てのベクトルに対して試行せず、代
表的なベクトルのみを試行する方法,多段階的に最適ベ
クトルを決定する方法,更にブロック内の全ての画素に
対して誤差を求めず、1/4程度に画素を間引くことも
一般的に行われている。
【0005】これ等動ベクトル検出に対する演算量削減
を目的とした従来例としては、以下の例がある。その第
1は、符号化対象のブロックをサブブロックに分割しサ
ブブロック毎に動ベクトルを検出し、これ等の動ベクト
ルから当該ブロックの動ベクトルを計算する、特開平6
−70308号公報に開示の技術である。
【0006】第2は、符号化対象のブロックに対して画
素間引きを行ったブロックを対象にマッチング演算を行
い、演算値の小さいブロックを選択し、この候補ブロッ
クに対して間引かれた画素を含めて再度詳細なマッチン
グを行い最適ベクトルを求める、特開平4−26629
2号公報に開示の技術である。
【0007】また、動ベクトルの検出は多大な演算量を
要するため、動画像符号化を実時間で実行するために
は、符号化対象ブロック毎の演算量を削減する以外に
も、動ベクトルを求めるブロックそのものを削減するこ
とが提案されている。
【0008】この例としては、ブロックの水平方向の奇
数番目に対して動ベクトルを検出し、偶数番目のブロッ
クに対しては、前後のブロックの動ベクトルの値から動
ベクトルを決定する、特開平1−265684号公報の
技術が挙げられる。
【0009】いずれにしても、動ベクトルを正確に決定
するためには、符号化対象ブロック内の全画素を探索範
囲内の画素とブロックマッチングする必要があるため、
動ベクトルの探索範囲を広げることに伴い、動ベクトル
検出のための演算量は指数関数的に増加する。
【0010】ITU−T勧告H.261及びH.262
(ISO/IEC標準MPEG2)等では、動ベクトル
の取り得る範囲を大きく規定しているため、これを符号
化装置で実現するためには、非常に大規模な動ベクトル
検出回路が必要となる。
【0011】一例として、動ベクトルの探索範囲を水平
方向,垂直方向共に±63とした場合の、単純な総当た
りによる最適ベクトルの検出に要する演算量を示す。先
ず、1回の試行に対しては、動ベクトルを検出する単位
であるマクロブロックの大きさを16ライン×16画素
とすると、入力画像と局部復号画像の各画素間の減算及
び絶対値の計算を256回、各画素単位の差分絶対値を
加算するのに255回の演算を要する。
【0012】更に、この試行を全探索範囲に対して行う
ため、(63×2+1)×(63×2+1)で16,1
29回分の試行の演算及び試行結果の比較を16,12
8回必要とする。このため、画像符号化装置において、
広範囲での動ベクトル検出を実時間で実現するために
は、何等かの工夫が必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において
は、H.261及びH.262(MPEG2)に規定さ
れている様な広範囲における動ベクトルを検出する回路
を構成すると、回路が大規模化かつ複雑化する。その理
由は、動ベクトル検出のための演算量が動ベクトルの探
索範囲に応じて指数的に(2乗に比例して)増加するか
らである。
【0014】動画像符号化装置として実時間で処理する
ためには、何等かの方法で演算量を減少させるか、演算
器を複数用意して並列的に処理を行う必要がある。符号
化対象ブロックをサブブロックに分割して別々に動ベク
トルを求め、その結果からそのブロックの動ベクトルを
計算する方法では、サブブロックへの分割方法によって
計算される動ベクトルの精度が異なる可能性があり、奇
数ラインと偶数ラインにサブブロックを分割した場合、
インタレース画像ではフィールド間で動きが大きい時に
は合成された動ベクトルが最適になるとは限らない。
【0015】また、奇数ブロックのみ動ベクトルを求
め、偶数ブロックに対しては前後のブロックの動ベクト
ルから計算する方法では、奇数ブロックと偶数ブロック
の間で画像の動きが不連続な場合、最適なベクトルが得
られるとは限らない。
【0016】本発明の目的は、動ベクトル検出の処理が
本来必要とする演算量の削減を、回路の複雑化を最小限
にとどめて実現し、尚かつその演算量の大幅な削減によ
って、各対象ブロック毎の動ベクトル検出処理を高速化
するようにした動ベクトル検出装置を提供することであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、入力さ
れたディジタル画像データをmライン×n画素のブロッ
クに分割し、当該ブロック単位で動ベクトルを検出する
動画像符号化装置における動ベクトル検出装置であっ
て、動ベクトルの探索範囲の局部復号画像データを格納
し、アドレス入力により格納データを出力しかつデータ
入力によるアドレスを出力する記憶手段と、前記記憶手
段とのデータの転送を制御する手段と、動ベクトル検出
対象の入力画像ブロックデータを保持し、その特定領域
を検出して前記記憶手段に対してその領域に該当するア
ドレスを検索せしめ、得られたアドレスから概略動ベク
トルを決定する手段と、概略動ベクトルが示す範囲の局
部復号画像データと入力画像ブロックデータとの間でブ
ロックマッチングを行い最適動ベクトルを決定する手段
を有することを特徴とする動ベクトル検出装置が得られ
る。
【0018】更に、本発明によれば、前記概略動ベクト
ルが示す範囲の局部復号画像データと入力画像ブロック
データとの間でのブロックマッチングによる最適動ベク
トルを決定する手段の代りに、概略動ベクトル群の有効
なベクトルから加重平均により最適動ベクトルを決定す
る手段を設けたことを特徴とする動ベクトル検出装置が
得られる。
【0019】そして、前記記憶手段によって検索される
特定領域の画像データに対して、前記記憶手段が有する
ビットマスク機能によりデータの上位から数ビット分だ
けを有効検索データビットに指定し、かつ前記記憶手段
により検索されるデータに対して±1の演算を施すこと
を特徴とする。
【0020】また、前記記憶手段により検索された最初
の画像データのアドレス情報に基づき、以後のデータの
前記記憶手段における検索開始アドレスを制限すること
を特徴とし、また、動ベクトル検出対象の入力画像ブロ
ックデータにおける特定領域の検出において、当該画像
ブロックデータの各隣接画素間における差分絶対値を求
め、予め設定された値よりもこの値が大きい場合に、そ
の画素対とその周辺画素を特定領域と見なすことを特徴
とする。
【0021】本発明においては、動ベクトル検出対象ブ
ロックに対応した探索範囲の局部復号画像を、データ転
送制御部によりフレームメモリから連想記憶メモリと称
されるCAM(Content Addressable Memory)上へ転送
する。次にデータ検索制御部において、動ベクトル検出
対象ブロック中の特定画素領域を切り出し、この領域の
画素の格納アドレスをCAMを使用して求め、求められ
たアドレスから概略動ベクトルを計算する。この概略動
ベクトルで示された領域に関して、CAMから予測画像
を読出し、動ベクトル検出対象ブロックの各画素に対す
る詳細なブロックマッチングを評価値演算部で実行し、
その評価値から最適な動ベクトルを決定する。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0023】先ず、図2を参照すると、図2は動き補償
フレーム間予測符号化方式を取る動画像符号化装置の一
般的な構成である。この構成は、直交変換と組合わせた
ハイブリッド符号化装置の代表的な例であり、H.26
1及びH.262(MPEG2)等の国際標準符号化方
式に準拠した符号化装置の基本的ブロック図である。
【0024】図2において、201はディジタル化され
た入力画像データ、202はブロック判定部、203は
フレーム内/フレーム間切替え部、204は直交変換
部、205は量子化部、206はエントロピー符号化
部、207は逆量子化部、208は逆直交変換部、20
9は加算部、210はフレームメモリ、211は動き補
償予測部、212は動ベクトル検出部、213は減算
部、214は画像符号化データである。
【0025】次に図1を参照すると、図1は本発明の動
ベクトル検出方式の構成に関して詳細に表した図であ
り、図2における動ベクトル検出部212の内部の構成
を示している。
【0026】図1において、101は連想記憶メモリ若
しくはCAMと呼ばれる記憶装置、102はデータ転送
制御部、103はデータ検索制御部、104は評価値演
算部である。
【0027】次に、本発明の実施の形態の動作につい
て、先ず、図2を参照して動画像符号化処理に関して説
明する。
【0028】予めmライン×n画素のブロックに分割さ
れたディジタル入力画像データ201は、動ベクトル検
出部212に入力され、フレームメモリ210から読出
された前フレーム若しくは次フレームの局部復号画像デ
ータと比較することにより、当該ブロック毎の画像の動
き量を動ベクトルとして検出される。
【0029】フレームメモリ210から読出された局部
復号画像データは、動ベクトル検出部212から出力さ
れる動ベクトルに基づき、動き補償予測部211におい
て動きを補償されて予測画像データとなり、減算部21
3においてフレーム間差分画像データが得られる。
【0030】ブロック判定部202では、入力画像デー
タ201と減算部213からのフレーム間差分画像デー
タとを比較し、ブロック内の電力和等の基準に基づいて
最適なデータを選択する様フレーム内/フレーム間切替
え部203を制御し、その中のスイッチSW1とSW2
を連動して切替える。
【0031】スイッチSW1で選択された画像データ
は、直交変換部204で直交変換され、量子化部205
で量子化される。量子化部205から出力される量子化
インデックスはエントロピー符号化部206において、
動ベクトル検出部212から出力される動ベクトルと共
に符号化され、最終的な画像符号化データ214として
出力される。
【0032】尚、動ベクトルを符号化するか否かに関し
ては、ブロック判定部202からの制御信号によって制
御され、フレーム間予測符号化を選択した時のみ動ベク
トルも符号化される。
【0033】他方で、量子化部205から出力される量
子化インデックスは、逆量子化部207にて元の変換係
数値に戻され、逆直交変換部208で逆変換される。こ
の逆変換データは、加算部209にてスイッチSW2で
選択された画像データと加算され、局部復号画像データ
としてフレームメモリ210に格納され、次の符号化ル
ープ処理の際に利用される。
【0034】更に、本発明に関連する動ベクトル検出部
における動作について、図1を参照して詳細に説明す
る。
【0035】mライン×n画素のブロックに分割された
ディジタル入力画像データは、先ずデータ検索制御部1
03に格納される。この時同時にフレームメモリから読
出された前フレーム若しくは次フレームの局部復号画像
データは、データ転送制御部102の制御に基づき、連
想記憶メモリ若しくはCAMと呼ばれる記憶装置101
に格納される。
【0036】記憶装置101は、通常の記憶装置と異な
り、アドレスを指定してデータを読み書きできるだけで
なく、逆にデータを指定してそのデータが格納されてい
るアドレスを読出せる機能を持つ。
【0037】従って、データ検索制御部103は当該ブ
ロック内の特定データを記憶装置101に対して入力
し、その結果得られたアドレスから概略動ベクトルを計
算により求める。更にこの概略動ベクトルに基づいてデ
ータ転送制御部102は、その周辺の領域を記憶装置1
01から読出し、評価値演算部104へと転送する。
【0038】評価値演算部104においては、記憶装置
101から読出されたデータと当該ブロックとの間で全
画素に対するブロックマッチングを逐次行い、各マッチ
ング結果を比較して最適な動ベクトルを決定し、その動
ベクトルを動き補償予測部に通知する。
【0039】次に本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する。本発明の実施例の1つとして、動
ベクトルの探索範囲を水平,垂直方向共に±15画素と
し、入力画像データのブロックの大きさをH.261及
びH.262で規定されているマクロブロックと呼ばれ
る、16ライン×16画素の大きさにおける例を図1を
参照して説明する。
【0040】CAM101の容量としては、アドレス空
間が(15×2+16)×(15×2+16)で2,1
16ワード以上、データのビット幅は8ビットのCAM
を準備する。また、データ転送制御部102としては、
2,116ワード×8ビット以上の転送制御能力を持つ
DMA(Direct Memory Access)コントローラを準備す
る。
【0041】データ検索制御部103は、図4にその具
体例を示す如く、入力画像データを保持するための25
6ワード×8ビットのRAM(Random Access Memory)
402及びレジスタファイル408と、入力画像内のエ
ッジ領域を検出するための8ビットの減算器405及び
絶対値変換器406と、レジスタ403,404と、比
較器407と、これ等の制御をなすコントローラ409
とから構成される。尚、セレクタ104はRAM402
のリード制御信号の選択をなすものである。
【0042】評価値演算部104は、図7に示す如く、
入力画像データとCAM101からの読出した画像デー
タの差分演算を行う減算器503、差分結果の絶対値変
換器504、各画素の差分絶対値の累積加算器504、
各マッチング試行結果を保持するレジスタ503,50
4,506,508、各マッチング試行結果を比較する
比較演算器509、及びこれ等の制御をなすコントロー
ラ510から構成される。
【0043】次に、本発明の実施例の動作について図面
を参照して詳細に説明する。図1のデータ検索制御部1
03の動作について図5のフローチャートを参照する。
データ検索制御部103には、動ベクトルの検出対象で
ある入力画像マクロブロックデータ(図3の左側の30
1)が入力され(ステップS1)、このデータは256
ワード×8ビットのRAM402に保持される。保持さ
れた入力画像データは、順次隣接する画素同士での差分
を取って絶対値化される(ステップS3〜S6)。この
差分及び絶対値の算出はレジスタ403,404、減算
器405、絶対値変換器406にてなされる。
【0044】そして、この絶対値は比較器407にて予
め設定された値と比較される(ステップS7)。この設
定値を超えた差分絶対値を持つ画素の組が検出される
と、この処理は中止され、その画素の組の位置と値が記
憶される。この処理は、入力画像マクロブロック301
のデータ内における、画像のエッジ部分(図3の左側の
303)の抽出に相当する。
【0045】この処理と並行して、フレームメモリから
当該マクロブロック301の動ベクトルの探索対象範囲
にあたる局部復号画像データ(図3の302)が、デー
タ転送制御部102内のDMAコントローラにより、C
AM101へと転送される。当該マクロブロック301
のデータとこのCAM101内へ転送されるデータの画
像フレームにおける位置関係は、図3に示す様に、当該
マクロブロック301を中心に水平,垂直方向に夫々±
15の広がりを持つ局部復号画像データが格納される。
この場合、CAM101は通常のRAMと同様のアドレ
スを指定してデータを書込むRAMモードで動作する。
【0046】このCAM101へのデータ転送が終了し
た時点で(ステップS8)、データ検索制御部103は
CAM101をデータを入力してその格納アドレスを検
索するCAMモードへと切換えて(ステップS9)、エ
ッジ検出処理で求めたマクロブロック301のデータ内
のエッジ部分303を含むその周囲の6画素について、
順次CAM101のデータ入力として入力し、そのデー
タと一致したデータのアドレス中で最小のアドレスを検
索結果として受取る(ステップS10)。尚、この6画
素の例は図6に示している。
【0047】ここで、エッジ部分を含む6画素分に対し
て順次CAM101で検索する理由は、入力画像データ
中のノイズ等に基づく偽似的なエッジとのミスマッチを
防止するためであり、真のエッジ部分を検出している場
合には、周囲の画素との相関が高くなることを利用して
いる。
【0048】CAM101においてCAMモードで検索
された6点の画素のアドレスは、データ検索制御部10
3において元のマクロブロックデータの位置を示すアド
レスとの比較演算により、概略動ベクトル(図3の30
4)としてその方向と大きさに変換される(ステップS
11)。そして求められた6個の概略動ベクトルは、相
互に夫々のなす角度と大きさとが比較され(ステップS
14)、4個以上のベクトルの相互の差異が予め規定し
た値以下に収まっている場合は(ステップS15)、C
AM101による概略検索が成功したと判定する。
【0049】逆に、ステップ15において4個以上の概
略動ベクトルの相互の差異が規定値以上であれば、ミス
マッチを起こしたと判定してこの検索結果を棄却し、再
度データ検索部103におけるエッジ部分の検出処理と
CAM101における概略動ベクトルの検索を繰返す。
この繰返し処理による試行を3回実行しても概略検索が
成功しない場合には(ステップS2)、当該探索範囲内
に動ベクトルが含まれていないと判定し、評価値演算部
104を経由して動き補償予測部に判定結果を通知する
(ステップS18)。
【0050】データ検索制御部103は、概略検索が成
功した場合には、CAM101をRAMモードに戻し、
各概略動ベクトルの差異の大きさに応じて、CAM10
1に格納されている局部復号画像データ中の絞り込まれ
た範囲のデータ(図3の305)について(ステップS
16)、データ転送制御部102のDMAコントローラ
を用い、評価値演算部104へ転送する(ステップS1
7)。
【0051】具体的には、図3に示す様に、概略動ベク
トル6個のうち有効な(相互の差が規定値以内の)ベク
トルで、最も離れた2つのベクトルが示す範囲に±4画
素分広げた範囲のデータを転送する。例えば、4個以上
の概略動ベクトルが完全に一致した場合には、この範囲
は図3の右側の点線で示すブロック305の如く、4×
2+16で24ライン×24画素の範囲まで絞り込まれ
たことに相当し、ブロックマッチングの繰返し回数は±
15画素時の961回から±4画素時の81回まで減少
する。
【0052】評価値演算部104の動作が図8のフロー
チャートに示されており、この評価演算部104は、転
送された絞り込み後の探索範囲の局部復号画像データ
(図3の305)と、データ検索制御部103に保持さ
れている入力画像マクロブロックデータ(図3の30
1)との間で逐次通常のブロックマッチングを実行する
(ステップS21,S22)。
【0053】すなわち、局部復号画像データとマクロブ
ロックデータの各画素間の差分の絶対値を求め(ステッ
プS23,S24)、これを256画素対分累積加算し
(ステップS25,S26)、その結果をレジスタに保
持しておき(ステップS27)、局部復号画像データを
1画素分ずらして同様の演算を、絞り込み後の探索範囲
の回数分だけ繰返す(ステップS28〜S31)。
【0054】そして、各ブロックマッチングの結果を得
る度に前回のマッチング結果と比較して(ステップS3
2)、差分絶対値和が最少となった時の局部復号画像デ
ータのアドレスから、最適動ベクトルを計算し(ステッ
プS33〜S37)、動き補償予測部に通知する(ステ
ップS38)。
【0055】また、この評価値演算処理は繰返し演算が
多いため、処理時間を短縮するためには、差分絶対値の
演算回路を最大256個並列に配置し、更に加算器群と
保持レジスタ群を設けることにより、パイプライン処理
化することによって処理のスループットを高めることが
可能である。
【0056】次に、本発明の第2の実施例について、図
1を参照して説明する。
【0057】図1において、評価値演算部104を省略
し、6点の概略動ベクトルを用いて最適ベクトルを決定
する。すなわち、第1の実施例において、CAM101
から得られた概略動ベクトル6個に関して、相互の差異
を計算し4個以上の概略動ベクトルのなす角度と大きさ
が規定値以下に収まっていた場合、この有効な動ベクト
ルの加重平均を演算する機能を、データ検索制御部10
3に付加する。従って、概略動ベクトルから探索範囲の
絞り込みを行い、通常のブロックマッチングにより最適
ベクトルを求める処理は不要となる。
【0058】また、ミスマッチ判定時の処理は、第1の
実施例と同様に、3回まで概略動ベクトルを検索して処
理を打切る。
【0059】この第2の実施例における最適動ベクトル
は、データ検索制御部103で求められた有効な概略動
ベクトルにおける加重平均値であり、これを動き補償予
測部へ通知する。
【0060】更に第3の実施例について、図1を参照し
て説明する。図1のデータ検索制御部103において、
CAM101で検索するエッジ部分を含む6点の画素デ
ータに関し、CAM101が持つビットマスク機能を用
いて、8ビットデータ中の上位5〜7ビットのみを有効
ビットに指定する処理を付加する。
【0061】すなわち、一般のCAMにおいては、CA
Mモードで動作させた場合、ビットマスクで指定された
有効ビットがマッチするデータを検索し、それらのマッ
チしたデータの中で最小のアドレス位置を出力する機能
を有している。しかし、入力画像データと局部復号画像
データが完全に一致するとは限らず、8ビット全てを有
効とした場合、データがヒットしなくなる可能性が高く
なる。
【0062】従って、CAM101に対してデータ検索
制御部103から検索有効ビットを上位5〜7ビットに
限定するよう制御すれば、データがヒットする可能性を
高められる。これはCAM101を用いたあいまい検索
を行っていることに相当し、マッチング対象のビット数
を減少させるとデータのヒット率は高められる一方、ま
たミスヒットによる概略動ベクトルの分散も大きくなり
絞り込みの範囲は広がる。
【0063】また、この第3の実施例においては、CA
M101に対するビットマスクを指定すると同時に、デ
ータ検索制御部103において、CAM101へ入力す
るエッジ部分を含む各画素データに対して±1の演算を
実行する回路を追加する必要がある。
【0064】例えば、「00110111」というデー
タに対して上位6ビットでのあいまい検索を行う場合、
単純に検索した時には「001101××」のデータと
マッチするため「00110100」に対してはマッチ
するが、「00111000」とはマッチしない。
【0065】この様なマッチングのアンバランスを防止
するため、CAM101にデータ入力を行う前に、±1
の演算を実行してからデータ検索を行う。この場合は、
当然ながら各データに対して2回検索を行うこととな
り、求められる概略動ベクトルも12個に増加するた
め、絞り込み範囲を決定する論理も変更する必要があ
る。
【0066】しかし、画像のエッジ部分というコントラ
ストの高い領域を検索させるため、決定論理も第1の実
施例の拡張で有効なベクトルの数を4から8へ変更し、
各ベクトルの差囲の規定値を大きく取ればよい。
【0067】更に、第4の実施例について、図1を参照
して説明する。第3の実施例において、CAM101に
対し検索データを入力して検索されたアドレスの結果に
基づき、CAM101上の検索空間を制限する機能を付
加する。すなわち、CAM101の内部の検索回路を変
更し、指定されたアドレス以降のデータのみを検索する
ように変更し、尚かつデータ検索制御回路103におい
て最初に指定したデータの検索結果のアドレスに基づ
き、以降の5点の画素データに対する検索開始アドレス
を指定し、不要なアドレス空間におけるデータとのミス
マッチを防止する機能を追加する。
【0068】これは一般のCAMにおいては、データの
検索をアドレスの小さい順から開始して最初にマッチし
たデータの格納アドレスを出力する動作を行うため、最
初のデータがマッチしたアドレスより小さいアドレス空
間のデータとのミスマッチの可能性を減少させるためで
ある。
【0069】
【発明の効果】第1の効果は、CAMを使用して動ベク
トル検出の全探索範囲の中から概略動ベクトルを検出
し、その結果に基づいて最適ベクトルを検出する。これ
により、最適動ベクトル検出のための演算量を削減で
き、回路規模を縮少できる。
【0070】その理由は、CAMは通常のシングルボー
トRAMと比較して約2倍程度の回路規模で構成でき、
尚かつ動ベクトル検出回路には探索範囲の局部復号画像
データを格納するためのメモリが必要であり、このメモ
リとしてCAMを併用できるからである。
【0071】第2の効果は、最適動ベクトル検出のため
の演算量が大幅に削減できる。これにより1マクロブロ
ック当りの演算時間が短縮でき、広範囲の動ベクトルが
規定されているH.261,H.262等の動画像符号
化装置を実時間で動作する様に構成可能である。
【0072】その理由は、CAMを使用した概略動ベク
トル検出による2段階検出方式を実現できるため、ブロ
ックマッチングに要する演算量及び演算時間の大幅な削
減が可能だからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動ベクトル検出装置の一実施の形態を
示す図である。
【図2】動画像のハイブリッド符号化方式による符号化
装置の基本ブロックを示す図である。
【図3】本発明の動ベクトル検出装置の動作を示す図で
ある。
【図4】図1のデータ検索制御部103のブロック図で
ある。
【図5】図1のデータ検索制御部103の動作を示すフ
ローチャートである。
【図6】エッジ部分を含む周囲6画素の例を示す図であ
る。
【図7】図1の評価値演算部104のブロック図であ
る。
【図8】図1の評価値演算部104の動作を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
101 CAM 102 データ転送制御部 103 データ検索制御部 104 評価値演算部 201 入力画像データ 202 ブロック判定部 203 フレーム内/フレーム間切替え部 204 直交変換部 205 量子化部 206 エントロピー符号化部 207 逆量子化部 208 逆直交変換部 209 加算部 210 フレームメモリ 211 動き補償予測部 212 動きベクトル検出部 213 減算部 214 画像符号化データ 301 動ベクトル検出対象の入力画像マクロブロック
データ 302 動ベクトル探索範囲の局部復号画像データ 303 CAMで検索する入力画像のエッジ部分 304 CAMで検索された概略動ベクトル 305 CAM検索で絞り込んだ探索範囲の局部復号画
像データ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力されたディジタル画像データをmラ
    イン×n画素のブロックに分割し、当該ブロック単位で
    動ベクトルを検出する動画像符号化装置における動ベク
    トル検出装置であって、動ベクトルの探索範囲の局部復
    号画像データを格納し、アドレス入力により格納データ
    を出力しかつデータ入力によるアドレスを出力する記憶
    手段と、前記記憶手段とのデータの転送を制御する手段
    と、動ベクトル検出対象の入力画像ブロックデータを保
    持し、その特定領域を検出して前記記憶手段に対してそ
    の領域に該当するアドレスを検索せしめ、得られたアド
    レスから概略動ベクトルを決定する手段と、概略動ベク
    トルが示す範囲の局部復号画像データと入力画像ブロッ
    クデータとの間でブロックマッチングを行い最適動ベク
    トルを決定する手段を有することを特徴とする動ベクト
    ル検出装置。
  2. 【請求項2】 前記概略動ベクトルが示す範囲の局部復
    号画像データと入力画像ブロックデータとの間でのブロ
    ックマッチングによる最適動ベクトルを決定する手段の
    代りに、概略動ベクトル群の有効なベクトルから加重平
    均により最適動ベクトルを決定する手段を設けたことを
    特徴とする請求項1記載の動ベクトル検出装置。
  3. 【請求項3】 前記記憶手段によって検索される特定領
    域の画像データに対して、前記記憶手段が有するビット
    マスク機能によりデータの上位から数ビット分だけを有
    効検索データビットに指定し、かつ前記記憶手段により
    検索されるデータに対して±1の演算を施すことを特徴
    とする請求項1記載の動ベクトル検出装置。
  4. 【請求項4】 前記記憶手段により検索された最初の画
    像データのアドレス情報に基づき、以後のデータの前記
    記憶手段における検索開始アドレスを制限することを特
    徴とする請求項3記載の動ベクトル検出装置。
  5. 【請求項5】 動ベクトル検出対象の入力画像ブロック
    データにおける特定領域の検出において、当該画像ブロ
    ックデータの各隣接画素間における差分絶対値を求め、
    予め設定された値よりもこの値が大きい場合に、その画
    素対とその周辺画素を特定領域と見なすことを特徴とす
    る請求項1〜4いずれか記載の動ベクトル検出装置。
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