JP2861441B2 - 高電圧回転機コイル - Google Patents

高電圧回転機コイル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、大型の発電機や電動
機などの主として固定子鉄心のスロットに収納して用い
られる高電圧回転機コイル、ことにその絶縁構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】最近の電力需要は空調負荷の増加等を反
映して毎日あるいは時間毎の変動が大きくなる傾向にあ
り、これに伴って電力を供給する発電機も負荷の変動に
対応して起動,停止を繰り返し行う経済的運用が一般化
しており、この傾向は中容量の発電機の運用に多く見受
けられる。このような起動,停止の多い発電機の運転を
高電圧回転機コイルの絶縁性能の面から見ると、起動,
停止によるコイル温度の変化に伴ってコイル導体と対地
主絶縁層の熱膨張係数の差によって両者間に熱応力が繰
り返し作用することになり、この熱応力に耐える対地主
絶縁層の耐ヒ−トサイクル性の向上が重要な課題にな
る。
【0003】図5は高電圧回転機コイルの従来構造を示
す断面図であり、高電圧回転機コイルは整形コイル導体
1とこれを密着して包囲する対地主絶縁層4とで構成さ
れる。整形コイル導体1は、導体中の渦電流や表皮効果
による電流の偏りを防ぐために、平角銅線の外側に絶縁
被覆(素線絶縁)を施した素線導体2複数条の整列体
(図の場合2列,11段)として構成され、各素線導体
2はコイルの長手方向に相互に位置を変えるよう転位
(ギッタ−編みまたはレ−ベル転位と呼ぶ)され、かつ
少量の接着樹脂により相互に固着処理(素線固め処理)
される。また、素線導体2が列間を渡ることにより列端
(頭部と呼ぶ)に生じた段差部分には、マイカ粉末を混
合した熱硬化性樹脂例えばエポキシ樹脂の硬化物からな
る頭部詰物3が、例えば素線固め処理時に半硬化状態の
樹脂を段差部分に充填し、ヒ−トプレスを用いて整形,
固化するなどの方法で固着され、整形コイル導体1の断
面が方形に近い形状に整形され、かつ素線導体が相互に
固着して一体化した整形コイル導体が形成される。
【0004】一方、対地主絶縁層4は、その製造方法に
より樹脂含浸タイプとレジンリッチタイプに大別され
る。樹脂含浸タイプの対地主絶縁層は、ポリエステル不
織布,ガラス布,高分子フイルム等の基材にはがしマイ
カまたは集成マイカを貼り合わせたマイカテ−プを整形
コイル導体2の外側に所定の厚みになるよう巻き重ねた
後、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を真空加圧含浸
し、整形用金型を用いて加熱硬化処理することにより整
形コイル導体に一体化してボイド等の欠陥を含まない対
地主絶縁層4が得られる。また、レジンリッチタイプで
は、前記マイカテ−プにあらかじめ熱硬化性樹脂を含浸
して半硬化状態としたプリプレグテ−プを用い、これを
整形コイル導体に巻き付けた後、ヒ−トプレスを用いて
加熱硬化処理することにより対地主絶縁層4が形成され
る。このように構成された高電圧回転機コイルの対地主
絶縁層の表面には図示しない低抵抗の外部コロナ防止層
が設けられ、鉄心のスロットに収納された状態では、整
形コイル導体の対地電圧の殆ど全てが対地主絶縁層に印
加されるが、対地主絶縁層4が整形コイル導体1に密着
し,かつ対地主絶縁層がその内部にボイドなどの欠陥を
含まないよう緻密に形成されることにより、対地主絶縁
層は対地電圧において部分放電を発生せず、したがって
耐電圧性能を長期間安定に保持することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】起動,停止の繰り返し
による温度変化の大きい高電圧回転機コイルにおいて
は、整形コイル導体1と対地主絶縁層4との間に作用す
る熱応力を少なくするために、両者の熱膨張係数をなる
べく近づけるよう対地主絶縁層4の構成材料とその組成
比が配慮されており、例えば、整形コイル導体1の熱膨
張係数1.7×10 -5/°Cに対して、対地主絶縁層の
それを小さいもので1.0×10-5/°C,大きいもの
で1.5×10-5/°Cとしたものが知られている。と
ころが、このように構成された高電圧回転機コイルにつ
いて、回転電機の起動,停止による高電圧回転機コイル
の温度変化を模擬した厳しい条件のヒ−トサイクルを加
え、所定サイクル毎に部分放電−電圧特性,誘電正接−
電圧特性等を測定し、高電圧回転機コイルの絶縁層内で
のボイドなどの欠陥の発生状態を評価した結果、比較的
少ないヒ−トサイクル数で著しい特性低下を生ずること
が判明した。そこで、特性が低下した高電圧回転機コイ
ルを切断して欠陥の発生状況を観察した結果、整形コイ
ル導体1と対地主絶縁層4との接着が剥がれ、図5に示
すように、この部分に大きな空隙9が発生していること
が明らかになり、かつこの状態は長年月運転に供した高
電圧回転機コイルの劣化状態とも一致することが判明し
た。
【0006】このような空隙9が高電圧回転機コイルで
発生すると、運転電圧で部分放電が発生し、運転時間の
経過とともに素線導体の絶縁被覆や対地主絶縁層の部分
放電劣化が徐々に進行し、ついには素線導体間のレヤ−
ショ−トやコイルの地絡事故に発展する事態が予想さ
れ、これが発電機である場合には電力の安定供給に支障
をきたし、また電動機である場合には物の生産に支障を
きたし、いずれも重大な損害を被ることになる。
【0007】この発明の目的は、起動,停止の繰り返し
頻度の高い高圧回転機に使用しても、整形コイル導体と
対地主絶縁層との間に剥離を生じがたい、耐ヒ−トサイ
クル性に優れた高電圧回転機コイルを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明によれば、転位した素線導体の整列体から
なり頭部詰物を有する整形コイル導体と、マイカテ−プ
層を含む熱硬化性樹脂の硬化物からなり,前記成形コイ
ル導体の外周を覆う対地主絶縁層とを有するものにおい
て、前記整形コイル導体と前記対地主絶縁層とに密着す
るよう介装された充填材を含む熱硬化性樹脂の硬化物層
からなる熱膨張緩和層を備え、その熱膨張係数が前記整
形コイル導体のそれより小さく,対地主絶縁層のそれと
同等またはそれ以上の値を有するものとする。
【0009】また、整形コイル導体が長方形断面をも
ち、その長辺側の両側面に熱膨張緩和層が設けられてな
るものとする。
【0010】さらに、熱膨張緩和層が整形コイル導体の
全周面を覆うよう設けられてなるものとし、必要に応じ
て熱膨張緩和層が頭部詰物を兼ねたものとする。
【0011】
【作用】この発明の構成は、ヒ−トサイクルにより対地
主絶縁層が整形コイル導体との界面で剥離する原因が、
コイルの製造過程において素線導体の角の丸みにより整
形コイル導体の表面にできる凹凸部分に樹脂溜まりが生
じ、これが加熱硬化した樹脂層の熱膨張係数が3〜5×
10-5/°Cと整形コイル導体や対地主絶縁層のそれに
比べて大きく、かつこの樹脂層が成形コイル導体の表面
に位置して温度変化が大きいために、この樹脂層との熱
膨張差により整形コイル導体および対地主絶縁層との界
面に熱応力が発生し、その繰り返しにより樹脂層の両側
の接着面に剥離が生じ易くなるという、現象の微視的観
察に基づく知見を基に得られたものである。すなわち、
熱膨張係数が整形コイル導体のそれより小さく,対地主
絶縁層のそれと同等またはそれ以上の値を有する熱膨張
緩和層を整形コイル導体と対地主絶縁層と間に相互に密
着して形成したことにより、整形コイル導体と対地主絶
縁層が剥離する原因となる樹脂層を、熱膨張差の少ない
熱膨張緩和層に置き換えることができるので、コイルの
ヒ−トサイクルによる熱応力を緩和することが可能とな
り、整形コイル導体と対地主絶縁層のヒ−トサイクルに
よる剥離を回避して耐ヒ−トサイクル性を向上する機能
が得られる。
【0012】また、整形コイル導体が長方形断面をも
ち、その長辺側の両側面に熱膨張緩和層を設けるよう構
成すれば、樹脂溜まりの生成原因となる整形コイル導体
表面の凹凸を熱膨張緩和層によって埋め、界面に作用す
る熱応力を効果的に低減する機能が得られる。
【0013】さらに、熱膨張緩和層を整形コイル導体の
全周面を覆うよう設ければ、より確実な剥離防止機能が
得られるとともにに、必要に応じて熱膨張緩和層が頭部
詰物を兼ねるよう構成すれば、整形コイル導体を素線固
めする工程で頭部詰め物および熱膨張緩和層を同時に形
成できる製造工程の合理化機能が得られる。
【0014】
【実施例】以下、この発明を実施例に基づいて説明す
る。図1はこの発明の実施例になる高電圧回転機コイル
を示す断面図であり、以下、従来技術と同じ部分には同
一参照符号を付して重複した説明を省略する。図におい
て、頭部詰め物3を有する素線導体2の整列体からなる
整形コイル導体1と、対地主絶縁層4との間には充填材
粉末を配合したエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物
からなる熱膨張緩和層5が、長方形断面を有する整形コ
イル導体1の長辺側の両側面を覆うよう相互に密着した
状態で形成される。熱膨張緩和層5は、熱硬化性樹脂に
マイカ粉末,シリカ粉末等の無機質充填材を所定の割合
で混合し、これをシ−ト状に圧延し、かつ半硬化状態と
したプリプレグ材を素材とし、この素材には必要に応じ
てガラス繊維等が骨材として配合される。また、プリプ
レグ材の厚みは0.1〜2mmの範囲内にあり、整形コ
イル導体の表面に貼着し押圧すると、整形コイル導体表
面の凹凸によくなじみ、かつヒ−トプレスを用いて硬化
処理した時点ではその熱膨張係数が整形コイル導体のそ
れより小さく,対地主絶縁層のそれと同等またはそれ以
上の値,すなわち1.1〜1.6×10-5/°C程度の
範囲内で対地主絶縁層のそれに対応した所定値になるよ
う充填材の量および種類が選択される。
【0015】熱膨張緩和層の形成方法としては、整形コ
イル導体1の両側面に前記プリプレグ材を貼り付け、例
えば整形コイル導体をコイル固めする工程で貼り付けた
プリプレグ材をヒ−トプレスして整形コイル導体表面に
固着させることにより、図5に示す熱膨張係数が大きい
樹脂溜まり8の部分を熱膨張係数が整形コイル導体およ
び対地主絶縁層のそれに近い熱膨張緩和層5に置き換え
た整形コイル導体1が形成される。したがって、熱膨張
緩和層5が形成された整形コイル導体1の外側に樹脂含
浸タイプまたはレジンリッチタイプの対地主絶縁層4を
形成すれば、従来技術で問題となった樹脂溜まり部分が
あらかじめ熱膨張緩和層5に置き換えられてその表面が
平面化しているので、熱膨張緩和層5と対地主絶縁層4
との間に樹脂溜まりの無い高電圧回転機コイルを得るこ
とができる。なお、熱膨張緩和層と対地主絶縁層の接着
性を高めるために、熱膨張緩和層5の表面はサンドぺ−
パなどを用いてあらかじめ粗面化処理をしておくことが
好ましい。
【0016】図2は実施例になる高電圧回転機コイルの
耐ヒ−トサイクル性試験結果を従来コイルのそれと比較
して示す特性線図であり、供試コイルはいずれも11K
V級で、ガラス基材集成マイカにエポキシ樹脂を真空含
浸した樹脂含浸タイプの対地主絶縁層を持ち、その熱膨
張係数は1.5×10-5/°Cとなるよう構成される。
また、実施例コイルの熱膨張緩和層はその熱膨張係数が
1.6×10-5/°Cとなるようマイカ粉末の配合量を
調整したエポキシ樹脂プリプレグ材を用いて形成した。
一方、ヒ−トサイクル処理は40°Cと160°Cとの
間の温度変化を1日4回繰り返す条件で最長2年間(3
000サイクル)行い、耐ヒ−トサイクル性能の低下を
誘電正接−電圧特性により評価した。図の縦軸は誘電正
接の電圧変化(Δtanδ)がとってあり、その値は部
分放電の電荷量,言い換えればコイル絶縁中の空隙の大
きさに比例すると考えてよい。図において、曲線Bで示
す従来コイルのΔtanδ値はヒ−トサイクル200サ
イクル以下で既に4%にまで増加し、コイル内に大きな
空隙が発生したことを示しているが、曲線Aで示す実施
例コイルは3000サイクル到達時点でもΔtanδの
増加量は極めて僅か(0.5%以下)であり、熱膨張緩
和層を設けたことによる空隙等の欠陥を抑制する効果が
優れていることを如実に物語っている。
【0017】すなわち、従来の技術では図5に示すよう
に、整形コイル導体1と対地主絶縁層4との間に硬化し
た樹脂溜まり8が存在し、その熱膨張係数が大きくコイ
ルの温度変化に伴って整形コイル導体および対地主絶縁
層との間に熱膨張差に基づく大きな熱応力が作用するの
で、ヒ−トサイクルの繰り返しにより界面剥離が急速に
進行し、僅かなヒ−トサイクル数で空隙9が発生する。
これに対して実施例コイルでは、熱膨張緩和層が整形コ
イル導体の凹凸に食い込んで各素線導体2の絶縁被覆に
強固に固着し、かつ両者の熱膨張差が小さいので熱応力
も小さく、これらの相乗効果により先ず整形コイル導体
と熱膨張緩和層との界面のヒ−トサイクルによる剥離が
排除される。
【0018】一方、対地主絶縁層に対しては、樹脂含浸
時に整形コイル導体の凹凸部分を通って余分な樹脂が侵
入して樹脂溜まり8を形成するのを、この部分が既に熱
膨張緩和層5により充填されていることにより回避で
き、かつ対地主絶縁層4をヒ−トプレスして熱膨張緩和
層側に押圧した状態で硬化処理することにより樹脂溜ま
りを一層効果的に排除でき、さらに両者の熱膨張差が小
さく界面に作用する熱応力を低減できるので、これらの
相乗効果により熱膨張緩和層と対地主絶縁層の界面にお
ける空隙の発生をも排除することができる。なお、レジ
ンリッチタイプの対地主絶縁層についても、そのヒ−ト
プレスによる樹脂の硬化工程において、プリプレグ材か
ら整形コイル導体側に滲み出す余分な樹脂量を熱膨張緩
和層が抑えるよう機能するので、樹脂含浸タイプの場合
と同様な作用効果が得られる。なお、熱膨張緩和層はそ
の材料構成が対地主絶縁層のそれに近く、したがってコ
イルの絶縁上は対地主絶縁層の一部として機能して対地
電圧を分担するので、熱膨張緩和層を設けた分対地主絶
縁層の厚みを縮小することが可能であり、さらに部分放
電特性の改善効果を考慮すれば、熱膨張緩和層を含めた
対地主絶縁層の厚みを従来寸法より縮小することが可能
になる。
【0019】図3はこの発明の異なる実施例を示す高電
圧回転機コイルの断面図であり、熱膨張緩和層15が頭
部詰め物3を含む整形コイル導体1の全周を覆うよう設
けられた点が前述の実施例と異なっており、整形コイル
導体の外周をシ−ト状のプリプレグ材で寿司巻き状に包
むか、あるいはテ−プ状のプリプレグ材をテ−ピングす
ることにより、容易に熱膨張緩和層を形成できる利点が
得られる。
【0020】図4はこの発明の他の実施例を示す高電圧
回転機コイルの断面図であり、整形コイル導体の全周を
覆う熱膨張緩和層25が、整形コイル導体1の頭部詰め
物23を兼ねるよう局部的に厚く形成された点が前述の
各実施例と異なっており、プリプレグ材を列端の段差部
分に充填した後、プリプレグ材で全体を包むことによ
り、加工工数の増加を殆ど伴わずに整形コイル導体と一
体化した熱膨張緩和層25を容易に形成することができ
る。ことにこの実施例は、素線導体寸法が小さい高圧誘
導電動機の亀甲型コイル等、段差部分が小さいコイルに
適用して耐ヒ−トサイクル性能を向上することに有効に
利用できる。
【0021】
【発明の効果】この発明は前述のように、熱膨張係数が
整形コイル導体のそれより小さく,対地主絶縁層のそれ
と同等またはそれ以上の値を有する絶縁材からなる熱膨
張緩和層を、整形コイル導体と対地主絶縁層と間に相互
に密着して形成するよう構成した。その結果、整形コイ
ル導体と対地主絶縁層が剥離する原因となる熱膨張係数
が大きい樹脂層を、熱膨張差の少ない熱膨張緩和層に置
き換え、コイルのヒ−トサイクルによる熱応力を緩和す
ることが可能となり、従来技術で解決できなかった整形
コイル導体と対地主絶縁層のヒ−トサイクルによる剥離
を防止して耐ヒ−トサイクル性を向上する効果が得られ
る。したがって、起動,停止の繰り返し頻度の高い高電
圧の発電機や電動機にこの発明になる高電圧回転機コイ
ルを適用した場合、起動,停止によるコイルの温度変化
により部分放電特性が低下することがなく、長期絶縁信
頼性に優れた可使用寿命の長い回転電機を提供できると
ともに、コイル絶縁の部分放電劣化が原因で発生する整
形コイル導体のレヤ−ショ−ト事故や対地主絶縁層の絶
縁破壊事故と、これに伴う電力の供給支障や生産性の低
下,およびこれらに伴う経済的損失をも排除できる利点
が得られる。また、熱膨張緩和層が絶縁材で構成されて
対地電圧の一部分を分担するとともに、部分放電特性が
改善されるので、高電圧回転機コイルの絶縁寸法を従来
より縮小することが可能になる。
【0022】また、整形コイル導体が長方形断面をも
ち、その長辺側の両側面に熱膨張緩和層を設けるよう構
成すれば、樹脂溜まりの発生原因となる整形コイル導体
表面の凹凸を熱膨張緩和層によって重点的に埋めて熱応
力を効果的に低減し、耐ヒ−トサイクル性を向上できる
利点が得られる。
【0023】さらに、熱膨張緩和層を整形コイル導体の
全周面を覆うよう設ければ、より確実な剥離防止機能が
得られるとともにに、必要に応じて熱膨張緩和層が頭部
詰物を兼ねるよう構成すれば、整形コイル導体を素線固
めする工程で頭部詰め物および熱膨張緩和層を同時に形
成できるので、製造工程を合理化できる利点が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例になる高電圧回転機コイルを
示す断面図
【図2】実施例になる高電圧回転機コイルの耐ヒ−トサ
イクル性試験結果を従来コイルのそれと比較して示す特
性線図
【図3】この発明の異なる実施例を示す高電圧回転機コ
イルの断面図
【図4】この発明の他の実施例を示す高電圧回転機コイ
ルの断面図
【図5】高電圧回転機コイルの従来構造を示す断面図
【符号の説明】
1 整形コイル導体 2 素線導体 3 頭部詰物 4 対地主絶縁層 5 熱膨張緩和層 8 樹脂溜まり 9 空隙 15 熱膨張緩和層 23 熱膨張緩和層の頭部詰め物部分 25 頭部詰め物を兼ねた熱膨張緩和層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02K 3/30 - 3/52 H20K 15/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】転位した素線導体の整列体からなり頭部詰
    物を有する整形コイル導体と、マイカテ−プ層を含む熱
    硬化性樹脂の硬化物からなり,前記整形コイル導体の外
    周を覆う対地主絶縁層とを有するものにおいて、前記整
    形コイル導体と前記対地主絶縁層とに密着するよう介装
    された無機質充填材を含む熱硬化性樹脂の硬化物層から
    なる熱膨張緩和層を備え、その熱膨張係数が前記整形コ
    イル導体のそれより小さく,前記対地主絶縁層のそれと
    同等またはそれ以上の値を有することを特徴とする高電
    圧回転機コイル。
  2. 【請求項2】整形コイル導体が長方形断面をもち、その
    長辺側の両側面に熱膨張緩和層が設けられてなることを
    特徴とする請求項1記載の高電圧回転機コイル。
  3. 【請求項3】熱膨張緩和層が成形コイル導体の全周面を
    覆うよう設けられてなることを特徴とする請求項1記載
    の高電圧回転機コイル。
  4. 【請求項4】熱膨張緩和層が頭部詰物を兼ねたことを特
    徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載の高
    電圧回転機コイル。
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