JP2861057B2 - アルカリ二次電池 - Google Patents

アルカリ二次電池

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JP2861057B2
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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、カドミウム電極を備えた急速充電可能なア
ルカリ二次電池に関するものである。
従来の技術とその課題 現在一般的に用いられている二次電池は、主として鉛
電池およびニッケル−カドミウム電池である。特にニッ
ケル−カドミウム電池は、鉛電池に比べて高率放電での
性能が優れていることや長寿命であるなどの理由で広く
用いられている。しかし一方では、近年の電子機器の小
形化および軽量化にともなって短時間で充電が完了する
二次電池の開発や、エネルギー密度の高い二次電池の開
発が望まれている。
従来の密閉形ニッケル−カドミウム電池の充電時間の
短縮や高容量化には次のような問題がある。
まず充電時間の短縮については次のようである。
ニッケル−カドミウム電池は、負極板に正極板中の水
酸化ニッケルに相当するよりも過剰の充電可能な活物
質、いわゆるリザーブ用の水酸化カドミウムを保持させ
ることによって密閉化できることが知られている。つま
り過充電領域では負極板からの水素ガス発生よりも正極
板からの酸素ガス発生が先に生じ、この酸素ガスが下記
の(1)式に示す反応にしたがって負極板で吸収され
る。
O2+2H2O+4e→40H- (1) この際、電池内のガス圧力は、酸素の分圧の増加とと
もに上昇するが、ガス圧力が電池の安全弁の作動圧以下
であれば負極板からの水素ガスの発生はなく、熱が発生
するだけである。
このことは、過充電時の充電電流の大きさを、負極板
の酸素ガス吸収性能に相当する値よりも小さくしなけれ
ば電池の密閉性が保持できないことを意味する。
二次電池の充電方式には、大きく分けて定電流充電方
式と、これよりも充電の制御が簡単な定電圧充電方式の
2つの方式がある。密閉形ニッケル−カドミウム電池
は、鉛電池で一般的な定電圧充電方式を適用することが
困難なため、通常定電流で充電される。その理由は、密
閉形ニッケル−カドミウム電池の充電終期の電圧上昇が
およそ100〜150mVでしかなく、しかも温度が高い場合
や、正極活物質のエージングが生じた場合にはその電圧
上昇がさらに小さくなるためである。
これらのことから密閉形ニッケル−カドミウム電池の
充電は定電流方式でなければならず、さらにその電流値
は、負極板の酸素ガス吸収性能に相当する値よりも小さ
くしなければならないことがわかる。つまり、密閉形ニ
ッケル−カドミウム電池を急速充電するには、負極板の
酸素ガス吸収性能を向上させなければならない。この酸
素ガス吸収の速度定数は、酸素ガスの分圧に比例するこ
とから、急速充電は、安全弁の作動圧を高くできる円筒
形の電池が角形のものよりも適している。しかしこの場
合でも、およそ1CAでの充電が限度である。
なお、充電時に負極板から水素ガスが発生した場合に
は、次に示す不都合が生じる。水素ガスは、正極板で極
めて僅かに吸収されるだけで、そのほとんどが電池内に
残るために、酸素ガスの分圧は水素ガスが蓄積するにし
たがって低下する。そして内圧が安全弁の作動圧に達す
ると、電池内部のガスは外に流出する。このことは、電
解液量が減少することを意味し、やがて容量低下が生ず
ることを意味する。
次に密閉形ニッケル−カドミウム電池の高容量化につ
いては以下のようである。
密閉形ニッケル−カドミウム電池の高容量化を妨げて
いる原因は、主としてカドミウム負極板にある。カドミ
ウム負極板は、正極活物質との充放電に関与する活物質
以外に、リザーブ用の水酸化カドミウム,充電不能の水
酸化カドミウムおよびプリチャージの金属カドミウムを
含んでいる。特にこれらのうちで電池の高容量化を妨げ
ているのは、リザーブ用の水酸化カドミウムである。
リザーブ用の水酸化カドミウムは、既に述べたように
電池の密閉性を保持するためのものである。その量は、
主として正極板におけるニッケル支持体の酸化に消費さ
れる酸素量,セパレーターの酸化に消費される酸素量お
よび過充電領域での電池内部に蓄積する酸素量を補償す
る量以上であることが必要である。一般的にその量はセ
パレータの材質,電池の形状および電池の使用条件によ
って異なるが、正極活物質の理論容量の40〜100%とす
るのが通常である。つまり、電池容量に関与しないこの
多量のリザーブ用水酸化カドミウムは、電池容量の観点
からは好ましくないが、電池の密閉性を保持するために
必要であった。
最近、ニッケル−カドミウム電池における以上の問題
点を解決する提案(特願昭62-83582号(特開昭63-25006
8号))がなされている。これは、水素過電圧が大きく
且つリザーブ用の水酸化カドミウムをほとんど有しない
カドミウム負極板を備えた電池に関するものであり、負
極板の水素ガス発生に至る電位変化に基づく充電終期の
電圧立ち上がりを検出して充電を制御することによっ
て、温度補正を必要としない急速充電を可能にするもの
である。また、その後の提案(特願昭63-13345号)で
は、負極板に水酸化ニッケル粉末あるいは酸化ニッケル
粉末を添加することによって負極板の充電効率を高め、
充放電サイクルにおける放電容量の推移を先の提案にお
けるものよりも高める試みがなされている。
そしてこれらの提案によって従来1時間程度であった
電池の充電に要する時間は、15分間程度に短縮された
が、これををさらに短縮するためには電池のサイクル寿
命に関して解決しなければならない問題点があった。す
なわち、充電電流が例えば5CAを越えるような極めて大
きい場合は、電流分布のエッヂ効果によって極板の周縁
部の分極が大きくなり、これによって満充電の状態に近
づくにしたがって負極板からは水素ガスが、正極板から
は酸素ガスが発生しやすくなる。発生した酸素ガスは、
負極板で還元されることが可能であるが、実際には電池
内で処理されない水素ガスが電池内に蓄積することによ
って負極板での酸素の吸収は妨げられ、結局は電池内の
ガス圧力が安全弁の作動圧に達してガスが電池系外に放
出される。これによって電解液の減少が生じ電池のサイ
クル寿命が劣化する。つまり、この種類の電池を極めて
大きな電流で充電した場合、寿命が尽きる原因は、いわ
ゆるドライアップによる内部抵抗の増加に起因する。
以上のことからわかるように、5CAを越えるような大
電流で充電した場合の電池のサイクル寿命を向上するこ
とが課題であった。
課題を解決するための手段 本発明は、先述の特願昭62-83582号や特願昭63-13345
号で提案されたアルカリ二次電池に関わるものであり、
以下の特徴を有する。
すなわち、カドミウム負極板と正極板とパラジウムを
担持した第3電極とを備え、負極板中の水酸化カドミウ
ムの理論容量が正極板中の放電状態にある活物質の理論
容量以下であり、さらにパラジウムを担持した第3電極
が正極板と電気的に絶縁されていることを特徴とする。
作用 本発明は、パラジウムが有する触媒作用によって下記
の(2)式に示す反応にしたがい水素と酸素とが反応し
て水に変化することに着目したものであり、この現象を
利用することによって、リザーブ用の水酸化カドミウム
をほとんど有しないカドミウム負極板を備え、負極板の
水素ガス発生に至る電位変化に基づく電池の充電電圧の
立ち上がりが充電終期に現れる電池の超急速充電でのサ
イクル寿命が向上することを見出だしたことに基づくも
のである。
O2+2H2→2H2O (2) つまり、超急速充電で負極板から発生した水素ガス
が、パラジウムを担持した第3電極で正極板から発生し
た酸素ガスと反応して水に戻ることによって電池内に水
素ガスは蓄積しない。これによって負極板での酸素ガス
の吸収が効率よく進み電解液の減少を防ぐことができ
る。
なお、パラジウムを担持した第3電極は、負極板およ
び正極板とは電気的に絶縁していることが必要である。
その理由は、次のようである。
第3電極が負極板と電気的につながっている場合に
は、(1)式に示した負極板で生じる酸素ガス吸収の反
応が第3電極でも生じるために酸素ガスの還元が促進さ
れる半面、パラジウムの水素過電圧が極めて小さいため
に、第3電極の電位がカドミウム負極板の電位に引張ら
れることによって水素ガスの発生サイトになる。つまり
大電流充電した場合には、第3電極からの水素ガス発生
が主として起こるために負極板の充電が妨げられ、充電
不足になるとともに電解液の著しい減少が生じる。
一方、第3電極が正極板と接続されている場合には、
パラジウムの酸化が生じるためその触媒作用が失われや
すい。
したがってパラジウムを担持した第3電極は、正極板
および負極板とは電気的に絶縁していることが必要であ
る。
またパラジウム上での水素の酸化反応は、水素と酸素
との直接の反応であることから、反応の効率を高めるた
めには、第3電極が電解液で濡れず、また広い表面積を
有していることが望ましい。このことから第3電極は撥
水性であり、また平板状であることが望ましい。なお、
第3電極に撥水性をもたせる一般的な方法としたは、P.
T.F.E(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂
を用いる方法がある。
実施例 以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
本発明の効果は、リザーブ用の水酸化カドミウムをほ
とんど有しないカドミウム負極板を備え、負極板の水素
ガス発生に至る電位変化に基づく電池の充電電圧の立ち
上がりが充電終期に現れるアルカリ二次電池を超急速充
電した際のサイクル寿命が向上することである。
そこで以下の実施例ではパラジウムを担持した第3電
極を備えた電池とそうでない電池との充放電サイクルに
おける性能の比較を行った。
本発明の電池に使用できる正極活物質は、水酸化ニッ
ケルおよび酸化銀であるが、一般的であるのは水酸化ニ
ッケルであるのでニッケル−カドミウム電池を例に説明
する。
[電池A](本発明実施例) 酸化カドミウム粉末50重量部と金属カドミウム粉末50
重量部と水酸化ニッケル粉末5重量部と長さ1mmのポリ
プロピレン製の短繊維0.1重量部とを1.5wt%のポリビニ
ルアルコールを含むエチレングリコール30mlで混合して
ペースト状にする。このペーストを厚さ10μmの銅めっ
きした穿孔鋼板に塗着し、さらに乾燥および加圧を行っ
て酸化カドミウムの理論容量が960mAhで寸法が2.9×14
×52mmの負極板を製作した。
一方、正極板は次のようにして製作した。
多孔度が約80%の焼結式ニッケル基板に、コバルトの
含有率が8%の硝酸コバルトと硝酸ニッケルとの混合水
溶液[PH=2,比重1.5(20℃)]を含浸した後、比重1.2
00(20℃)の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、さらに
湯洗および乾燥を行った。この操作を繰り返して理論容
量が400mAhで寸法が1.4×14×52mmの正極板2枚を製作
した。
さらにパラジウムを含む第3電極は次のように製作し
た。
パラジウムの粉末100重量部と60%のP.T.F.E(ポリテ
トラフルオロエチレン)のディスパージョン25重量部と
プロピレングリコール100重量部とを混合した後、200℃
で真空乾燥を行い、さらに窒素雰囲気中340℃で熱処理
を行ってシート状とした。次にこのシートを厚み約30μ
mのニッケル箔とともにプレスした後3mm×3mmの寸法に
切断し、厚み約0.3mmの第3電極を製作した。
次に先の負極板1枚をポリサルフォン製の不織布に包
んだ後、正極板2枚と交互に積層し、さらに電解液とし
て比重1.250(20℃)の水酸化カリウム水溶液2.4mlを用
いて、公称容量が700mAhのニッケル−カドミウム電池A
を製作した。
第3電極は、電池上部の蓋の内面に正・負極板と絶縁
した状態で取り付けた。また、負極板中の酸化カドミウ
ムは、電解液と接すると水酸化カドミウムに変化するた
め、その反応に必要な量の水を余分に加えた。電池の外
径寸法は67×16.5×8mmであり、また電池には0.1kg/cm2
で作動する安全弁を取付けた。
なお、この電池の負極板はリザーブ用の水酸化カドミ
ウムをほとんど有していない。つまり、負極板中の水酸
化カドミウムの重量は、正極中の水酸化ニッケルの重量
の約0.95倍[2.73(g/Ah)/2.88(g/Ah)]であり、電
池の充電終期の端子電圧は負極板の水素ガス発生に至る
電位変化に基づき急激に上昇する。
[電池B](比較例) 先の電池Aにおける第3電極を取り除いた以外は、全
て電池Aと同様にして比較例のニッケル−カドミウム電
池Bを製作した。
次にそれぞれの電池を20℃において最大8CAの電流で
1.93Vの定電圧充電を10分間行った後、0.2CAの電流で1V
まで放電するという充放電サイクル試験を行い、放電容
量の推移と電池の重量変化を測定した。1サイクル目の
放電容量を100とした場合のサイクルの経過にともなう
放電容量の推移および電池の重量減少量を第1図に示
す。
第1図から本発明の電池Aは、比較例の電池Bに比べ
て長寿命であることがわかる。これらの電池の寿命が尽
きた原因は、電解液の減少に起因するいわゆるドライア
ップによって電池の内部抵抗が高まり、大電流での充電
ができなくなったことによるものである。つまり電池の
重量減少量からわかるように本発明の電池では、パラジ
ウムを担持した第3電極を備えることによって、電池内
で発生した水素ガスと酸素ガスとが反応して水に戻るこ
と、また電池内の酸素分圧を高くでき負極板での酸素ガ
ス吸収反応が効率的に進むこと等から電解液の減少が抑
制される。これらのことからわかるように本発明の電池
は、電解液の減少量が少なく長寿命である。
以上ニッケル−カドミウム電池を例に本発明を説明し
たが、本発明は正極板が酸化銀電極である酸化銀−カド
ミウムアルカリ二次電池にも同様に適用することができ
る。つまり、負極板中の水酸化カドミウムの重量を正極
板中の銀の重量の1.36倍以下とし、さらにパラジウムを
負持した第3電極を備えることによって、先のニッケル
−カドミウム電池におけるのと同様の効果が酸化銀−カ
ドミウムアルカリ二次電池においても得ることができ
る。
発明の効果 以上述べたように、本発明はリザーブ用の水酸化カド
ミウムをほとんど有しないカドミウム負極板を備え、負
極板の水素ガス発生に至る電位変化を電池の充電電圧の
変化として検出して急速充電を可能にした電池のサイク
ル寿命を向上する。また本発明によって、より超急速充
電に適した電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、パラジウムを担持した第3電極を備えた本発
明の電池と、比較例の電池との充放電サイクル試験での
性能を比較した図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化ニッケル正極板とカドミウム負極板
    とパラジウムを担持した第3電極とを備えたアルカリ二
    次電池であって、前記第3電極が正極板および負極板と
    電気的に絶縁しているとともに、負極板中の水酸化カド
    ミウムの重量が、正極板中の水酸化ニッケルの重量の0.
    95倍以下であることを特徴とするニッケル−カドミウム
    アルカリ二次電池。
  2. 【請求項2】酸化銀正極板とカドミウム負極板とパラジ
    ウムを担持した第3電極とを備えたアルカリ二次電池で
    あって、絶縁第3電極が正極板および負極板と電気的に
    絶縁しているとともに、負極板中の水酸化カドミウムの
    重量が、正極板中の銀の重量の1.36倍以下であることを
    特徴とする酸化銀−カドミウムアルカリ二次電池。
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