JP2600307B2 - カドミウム負極板およびその負極板を用いたアルカリ二次電池 - Google Patents

カドミウム負極板およびその負極板を用いたアルカリ二次電池

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はカドミウム負極板と、その負極板を用いたア
ルカリ二次電池に関するものである。
従来の技術とその課題 現在、二次電池としては、主として鉛電池およびニッ
ケル−カドミウム電池が用いられているが、特にニッケ
ル−カドミウム電池は、高率放電での特性が良好である
ことや、鉛電池に比べて寿命が長いなどの理由によって
需要が急増している。また一方では、近年の電子機器の
小型化、軽量化などに伴って、高容量化や充電時間の短
縮が二次電池に対して要求されている。
カドミウム負極板を用いた従来のアルカリ二次電池に
は次のような問題がある。それはカドミウム負極板に関
するもので、充放電反応に関与しない水酸化カドミウム
を多く有していることである。つまり、水酸化カドミウ
ムの水素ガス発生までの充電効率は、通常90%程度であ
り、残り約10%の水酸化カドミウムは何等役に立つこと
もなく不要な体積を占めている。さらにニッケル−カド
ミウム電池を例にとると、電池の密閉状態を保つため
に、負極板内に正極板の容量の20%以上のいわゆるリザ
ーブの水酸化カドミウムが必要であった。このリザーブ
の水酸化カドミウムは正極活物質の保持体である金属ニ
ッケルの活物質化や電池内の空間体積を補償するもので
あり、放電容量には寄与しない。これらの水酸化カドミ
ウムを有していることが、カドミウム負極板および電池
の高容量化を妨げている一因である。
また、従来のニッケル−カドミウム電池は、電池の密
閉状態を保つために定電流で充電した場合には電流を約
1CA以下に抑えなければならないという問題を有してい
る。これは、充電電流を1CA以上に大きくした場合に
は、過充電領域において正極板から発生した全ての酸素
ガスを負極板で吸収することができずに、結局は安全弁
が作動して電解液の減少を起こし、容量低下と寿命特性
の劣化を起こすためである。そこで、特願昭62−83582
号や特願昭63−13345号で提案されているように、充電
時における負極板の水素発生にいたる過程の電位変化を
充電電圧の変化として検出して充電制御を容易にし、か
つ急速充電を可能にする試みがあるが、負極板の充電効
率の点で不十分である。
課題を解決するための手段 本発明はカドミウム負極板と、その負極板を備えたア
ルカリ二次電池に関するものであって、アルカリ電解液
が水酸化リチウムを含み、該負極板は酸化第二鉄(Fe2O
3)を全カドミウム量に対し0.25重量%以上20重量%以
下含有することを特徴とするものである。
作用 カドミウム負極板の充電効率について検討した結果、
負極活物質中に酸化第二鉄を含有させることによって充
電効率が高くなることがわかった。
例えば、水酸化カドミウムあるいは酸化カドミウムと
金属カドミウムとを活物質の主体とするカドミウム負極
板を、酸化カドミウムあるいは水酸化カドミウムの理論
容量を基準として1CAの電流で充電した際の水素ガスが
発生するまでの充電効率は約93%であるが、酸化第二鉄
を全カドミウム量に対し1重量%含有する場合には充電
効率が98%以上に向上する。さらにこのような充電効率
を高める効果は一過性ではなく、充放電サイクルにおい
て持続することがわかった。
加えて、本発明になる負極板は、アルカリ電解液に水
酸化リチウムを含んでいるため、負極板中の鉄化合物が
アルカリ電解液に溶解して正極板に移動し、正極板の充
電効率が低下する不都合を解消できる。
すなわち、本発明になるアルカリ二次電池用負極板
は、負極の充電効率が高いとともに正極の充電効率を低
下させないという極めて優れた作用効果を奏する。
そしてこのような充電効率の優れた負極板を用いて、
その負極板の充電時の水素発生にいたる電位変化を端子
電圧の変化として検出すれば充電制御が容易であり、そ
の時点で定電圧に設定すれば過充電領域では電流が小さ
くなるために、急速充電が可能でしかも電解液の減量の
ないアルカリ二次電池となる。
実施例 以下本発明を好適な実施例を用いて詳細に説明する。
本発明の目的は、充電効率の優れたカドミウム負極板
を得ることであり、またそれを電池に適用することであ
る。従って、まず最初にカドミウム負極板について述べ
る。
[実施例1] 酸化カドミウム粉末240mgと金属カドミウム粉末210mg
と配合量を0〜84mgの範囲で変えた酸化第二鉄とを混合
してから、230kg/cm2の圧力で加圧成形して、全カドミ
ウムの理論容量が200mAhの錠剤とした。さらにこの錠剤
を20メッシュのニッケル網で包んで負極板とした。これ
を負極板群(イ)とする。
[実施例2] 水酸化カドミウム粉末273mgと金属カドミウム粉末210
mgと配合量を0〜84mgの範囲で変えた酸化第二鉄とを混
合した後、実施例1と同様にして、理論容量が200mAhの
錠剤形負極板とした。これを負極板群(ロ)とする。
なお、全カドミウム量とはカドミウム負極板に含まれ
るCd原子の総量である。
これらの負極板を比重1.250(20℃)の水酸化カドミ
ウム水溶液中で、対極にニッケル平板2枚を用いて、配
合時における酸化カドミウム粉末あるいは水酸化カドミ
ウム粉末の理論容量を基準として1CA(100mA)の電流で
充放電を繰り返し、下記の式(1)から充電効率を求め
た。
その結果を第1図に示す。同図から全カドミウム量に
対する酸化第二鉄の含有率が0.25重量%以上20重量%以
下の範囲で充電効率の向上が認められる。特に含有率が
1重量%以上15重量%以下の範囲では充電効率が98%以
上と極めて高く、充電できない不活性な水酸化カドミウ
ムが減少していることを示している。
なお、酸化第二鉄の含有率を20重量%よりも高くする
ことは可能であるが、カドミウム活物質の理論容量密度
の低下が大きくなるため、その含有率は20重量%以下で
あることが望ましいと考えられる。
以上のことから全カドミウムに対する酸化第二鉄の含
有率は、0.25重量%以上20重量%以下が適しているとい
える。
以下に実施例で用いた各原料の性状を示す。
<酸化カドミウム粉末> アトマイズ法によって製作した平均粒子径1μmのも
の <水酸化カドミウム粉末> 上記の酸化カドミウム粉末を精製水中に浸漬して水和
させたもの <金属カドミウム粉末> 電気化学的な置換法によって製作した平均粒子径2μ
mのもの <酸化第二鉄> 市販の試薬 次に以上の実施例で説明した極めて高い充電効率を有
する本発明のカドミウム負極板を用いた電池の評価を行
った。
本発明のカドミウム負極板はリザーブの水酸化カドミ
ウムを必要とする従来のニッケル−カドミウム電池に使
用できる他に、これよりも高容量化と充電時間の短縮が
可能であるリザーブの水酸化カドミウムを有しない電池
に使用した場合にその効果がより明確である。それは、
本発明のカドミウム負極板の充電効率が優れていること
に起因する。従って以下の実施例ではリザーブの水酸化
カドミウムを有しない電池を例にして説明する。
本発明のアルカリ電池に使用できる正極活物質は水酸
化ニッケル,二酸化マンガンおよび酸化銀である。これ
らのうち一般的に多く用いられている活物質は水酸化ニ
ッケルであるので、ニッケル−カドミウム電池を中心に
して説明する。
本発明に用いるカドミウム負極板は、基本的に以下に
示す集電体を用いて製造することができる。すなわち、
ニッケルや銅やカドミウムの網,エクスパンデッドメタ
ル,穿孔板あるいは集電体と活物質保持体を兼ねる三次
元構造の金属発泡体や金属繊維のマットである。
また、鉄にニッケルメッキしたものや、鉄あるいはニ
ッケルに銅メッキしたもの、さらに鉄,ニッケルあるい
は銅にカドミウムメッキしたものも使用できる。
[実施例3] 酸化カドミウム粉末60重量部と金属カドミウム粉末40
重量部と酸化第二鉄2重量部と長さ1mmのポリプロピレ
ン製の短繊維0.1重量部とを1.5重量%のポリビニルアル
コールを含むエチレグリコール30mlで混合してペースト
状にする。このペーストをニッケルメッキ(5μm)し
た穿孔鋼板に塗着し、次いで乾燥、加圧して酸化カドミ
ウムの理論容量が960mAhで寸法が2.9×14×52(mm)の
負極板を製作した。
一方、正極板は次の方法で製作した。
多孔度が約80%の焼結式ニッケル基板に、ニッケルと
コバルトとの合計に対するコバルトの含有率が8モル%
の硝酸コバルトと硝酸ニッケルとの混合水溶液[PH=
2、比重1.50(20℃)]を含浸した後、比重1.200(20
℃)の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、湯洗、乾燥す
る。この操作を繰り返して、水酸化ニッケルと水酸化コ
バルトの理論容量の合計が400mAhで寸法が1.4×14×52m
mの正極板を製作した。
次に負極板1枚を厚さ0.2mmのポリアミドの不織布に
包んだ後に正極板2枚の間にはさみ、電解液として1
当り15gの水酸化リチウムを含む比重1.250(20℃)の水
酸化カリウム水溶液2.4mlを用いて、公称容量が700mAh
の合成樹脂製の電槽を用いたニッケル−カドミウム電池
(A)を製作した。外形寸法は67×16.5×8(mm)であ
り、0.1kg/cm2で作動する安全弁を付けている。また、
この電池の負極板中の酸化カドミウムは電解液を入れる
と以下の式(2)に示す反応によって水を消費するた
め、その消費分に相当する水を余分に注入した。
CdO+H2O→Cd(OH) ……(2) [実施例4] 水酸化カドミウム粉末68.5重量部と金属カドミウム粉
末40重量部と酸化第二鉄2重量部と長さ1mmのポリプロ
ピレン製の短繊維0.1重量部とを1.5重量%のポリビニル
アルコールを含むエチレングリコール30mlで混合してペ
ースト状にする。このペーストを銅メッキ(5μm)し
た穿孔鋼板に塗着し、次いで乾燥,加圧して水酸化カド
ミウムの理論容量が960mAhで寸法が2.9×14×52(mm)
の負極板を製作した。
次に上記の負極板と実施例3で用いたのと同じ正極板
とで実施例3と同様な構成の公称容量が700mAhの角形ニ
ッケル−カドミウム電池(B)を製作した。
[実施例5] 実施例3における負極板の集電体すなわちニッケルメ
ッキした穿孔鋼板のかわりにカドミウムメッキ(5μ
m)した穿孔鋼板を用いた以外は全て実施例3と同様に
して公称容量700mAhの角形ニッケル−カドミウム電池
(C)を製作した。
[比較例1] 実施例3における負極板の配合から酸化第二鉄を削除
した以外は全て実施例3と同様にして公称容量700mAhの
角形ニッケル−カドミウム電池(D)を製作した。
以上のようにして製作した電池(A),(B),
(C)および(D)を20℃において最大電流3CAの電流
で1.90Vの定電圧充電を30分間行った後、0.2CAの電流で
0.5Vまで放電するという充放電サイクルを250回行っ
た。1サイクル目の放電容量を100とした場合の各サイ
クルにおける容量保持率を第2図に示す。同図から本発
明の電池(A),(B),および(C)は比較電池
(D)よりも容量保持率が明らかに高いことがわかる。
この原因は本発明の電池の負極活物質の充電効率が極め
て高く、3CAのような大きな電流であっても充電終期の
負極電位の立ち上がりまでの充電電気量が多いためであ
り、また充電効率のサイクルにおける低下がほとんどな
いためである。
なお、電池(A),(B),(C)および(D)の負
極板中の水酸化カドミウムの含有量は重量比で正極中の
水酸化ニッケルの約0.95倍[2.73(g/Ah)/2.88(g/A
h)]となっている。また負極板の製作に用いた酸化カ
ドミウム等の原料の性状は先の錠剤形負極板の実施例で
用いたものと同様である。
以上のように、本発明の電池は、定電圧制御という簡
便な充電方法で超急速充電が可能であり、容量保持率が
優れている。
なお、充電方法は、最大電流を規制して定電圧充電す
る方法を適用したがこの方法は、従来のニッケル−カド
ミウム電池で用いられている定電流で充電した後、充電
電圧がガス吸収によって低下するのを検出して充電を打
切る方法やガス吸収による発熱を検出して充電を打切る
方法のような複雑な充電システムではない。また本発明
の特徴のひとつは従来ニッケル−カドミウム電池ではそ
の適用が困難であった定電圧充電方式が容易に行えるこ
とである。すなわち従来のニッケル−カドミウム電池で
は充電過程の電圧と充電終期の電圧との差が高々150〜2
00mVと少なかったため、定電圧充電方式が適用できなか
ったが、本発明による電池の場合にはその差が0.2CA以
上の電流で400mV以上にも達するために充電電圧の変化
を検出することが容易である。この場合、定電流で充電
して、充電電圧の上昇を検出してから電流を下げてもよ
いし、定電圧で充電してもよい。なお、従来の焼結式極
板を用いた公称容量が700mAhの円筒形ニッケル−カドミ
ウム電池(AAサイズ)を最大電流3CAの電流で1.9Vの定
電圧充電を30分間行ったところ、安全弁が作動して液漏
れが発生した。このことは従来の電池の充電電圧が1.9V
に達しないために電池が過充電されたことによるもので
ある。
このように本発明の電池では、充電終期の負極板の電
位変化を大きくすることが有利であり、集電体の表面
は、基本的に水素発生の過電圧が大きい銅あるいはカド
ミウムであるもの、例えば銅やカドミウムの網,エクス
パンデッドメタル,穿孔板あるいは集電体と活物質保持
体を兼ねる三次元構造の金属発泡体や金属繊維のマット
等、さらに材質としては鉄あるいはニッケルに銅あるい
はカドミウムメッキしたものが適している。しかし、水
素発生の過電圧が小さいニッケルの集電体であっても、
活物質にニッケル粉末等の水素過電圧の小さい物質を少
なくすることによって、例えば5重量%以下にすれば集
電体として用いることができる。
以上の本発明実施例では、正極活物質として水酸化ニ
ッケルを用いて説明したが、活物質として二酸化マンガ
ンを用いてもニッケル−カドミウム電池と同様な効果が
現れる。以下に、本発明を二酸化マンガン−カドミウム
電池に適用した場合について好適な実施例を用いて説明
する。
[実施例6] 金属カドミウム粉末100重量部と、酸化第二鉄2重量
部と長さ1mmのポリプロピレン製の短繊維0.1重量部とを
1.5重量%のポリビニルアルコールを含むエチレングリ
コール30mlで混合してペースト状にする。このペースト
を銅のエクスパンデッドメタルに塗着し、次いで乾燥,
加圧して金属カドミウムの容量が800mAhで寸法が2.9×1
4×52(mm)の負極板を製作した。
一方、正極板は次の方法で製作した。
二酸化マンガン(γ−MnO2)80重量部とグラファイト
10重量部とを60重量%のポリテトラフルオロエチレンの
水性ディスパージョン30mlで混練した後、ローラーでシ
ート状にし、20メッシュのニッケル網に両面からさらに
加圧して理論容量が200mAh,寸法が1.4×14×52(mm)の
正極板を製作した。
次に先の負極板1枚を厚さ0.2mmのポリビニルアルコ
ール製の不織布で包んだ後、正極板2枚の間にはさみ、
電解液として1当り15gの水酸化リチウムを含む比重
1.350(20℃)の水酸化カリウム水溶液を2.7ml用い、公
称容量が240mAhで合成樹脂電槽を用いた角形二酸化マン
ガン−カドミウム電池(E)を製作した。この電池は外
径寸法が67×16.5×8(mm)であり、0.1kg/cm2で作動
する安全弁を有している。
[比較例2] 実施例6の負極板の配合から酸化第二鉄を削除した以
外は全て実施例6と同様にして比較例の角形二酸化マン
ガン−カドミウム電池(F)を製作した。以上のように
して製作した電池(E)および(F)を0.2Cの電流で10
0mAh放電し、次いで同じ電流で1.6Vまで充電するという
条件で充放電したときの容量推移の結果を第3図に示し
た。
同図から充電効率が優れ、かつ充電効率のサイクルに
おける低下がほとんどない負極板を有する本発明の電池
(E)は、比較電池(F)に比べて明らかに容量低下が
小さく、100サイクルを経過してもほとんど容量が低下
していないことがわかる。
なお、これらの電池のリザーブ用水酸化カドミウムは
ほとんど含まれていない状態となっている。つまり、負
極板に含まれる水酸化カドミウムの含有量は重量比で常
に正極活物質の二酸化マンガンの約0.84倍[2.73(g/A
h)/2.34(g/Ah)]となっている。
以上にニッケル−カドミウム電池および二酸化マンガ
ン−カドミウム電池を例にとって説明したが、正極活物
質として酸化銀を用いても充電制御が容易な酸化銀−カ
ドミウム電池を得ることができる。
[実施例7] 金属カドミウム粉末100重量部と酸化第二鉄2重量部
と長さ1mmのポリプロピレン製の短繊維0.1重量部とを1.
5重量%のポリビニルアルコールを含むエチレングリコ
ール30mlで混合してペースト状にする。このペーストを
カドミウムメッキ(5μm)した銅のエクスパンデッド
メタルに塗着し、次いで乾燥,加圧して金属カドミウム
の理論容量が1000mAhで寸法が3×14×52(mm)の負極
板を製作した。
一方、正極板は以下の方法で製作した。
活物質である酸化銀粉末と集電体である銀のエクスパ
ンデッドメタルとを常法によって加圧焼結したものを水
酸化カリウム水溶液中で電界酸化した後水洗,乾燥して
理論容量が500mAhで寸法が1.3×14×52(mm)の正極板
を製作した。
次に先の負極板1枚を厚さ0.02mmのセロファンで4重
に巻いた後に正極板2枚の間にはさみ、電界液として1
当り15gの水酸化リチウムを含む比重1.250(20℃)の
水酸化カリウム水溶液3mlを用いて公称容量が500mAhの
角形酸化銀−カドミウム電池(G)を製作した。外径寸
法は67×16.5×8(mm)であり、電槽は合成樹脂製のも
のを用いた。また0.5kg/cm2の圧力で作動する安全弁を
取り付けている。
[比較例3] 実施例7の負極板の配合から酸化第二鉄を削除した以
外は全て実施例7と同様にして角形酸化銀−カドミウム
電池(H)を製作した。
なお、これらの電池のリザーブ用水酸化カドミウム
は、ほとんどない状態であり、負極板に含まれる水酸化
カドミウムの含有量は重量比で常に正極活物質の銀の約
1.4倍[2.73(g/Ah)/2.01(g/Ah)]となっている。
以上のようにして製作した電池(G)および(H)を
20℃で0.2CAの電流で300mAh放電した後に、同じ電流で
充電するという操作を繰り返した時の充電電圧特性を第
4図に示した。
同図から本発明の酸化銀−カドミウム電池(G)の充
電終期の電圧上昇は、比較電池(H)よりも遅くに起き
ており、その充電効率はほぼ100%である。この2つの
電池の電圧上昇の時期が異なるのは負極板の充電効率に
基づくものであり、本発明の電池は優れた容量保持率を
有することが明らかである。
以上の実施例で本発明のカドミウム負極板および電池
の特性について説明した。
本発明のカドミウム負極板の集電体としては、各実施
例で説明したように、その表面がニッケル,銅あるいは
カドミウムであればよい。つまり、その素材としてはニ
ッケル,銅,カドミウムの他に鉄の表面にニッケル,銅
あるいはカドミウムの層を有するものや、ニッケルの表
面に銅あるいはカドミウムの層を有するもの、さらに銅
の表面にカドミウムの層を有するものである。
またその形状としてはエクスパンデッドメタル,網,
穿孔板,発泡体あるいは繊維マットが使用できる。
なお、電池の実施例で水酸化リチウムを含む電解液を
用いたのは以下の理由による。すなわち、負極板中の鉄
化合物は、アルカリ電解液に溶解して正極板に移動し、
特に正極活物質が水酸化ニッケルである場合には、充電
時の酸素ガス発生の過電圧が低下して、正極活物質の充
電効率が低下するという不都合が生じる。しかし水酸化
リチウムを含有するアルカリ電解液を用いることによっ
てこのような不都合が解消できることから、鉄化合物を
含む負極板を備えた電池の電解液は、水酸化リチウムを
含有することが望ましく、特にその量は、電解液1当
り10g以上30g以下であることが望ましい。
発明の効果 以上に述べたように本発明のカドミウム負極板は充電
効率が極めて高いために、不活性な水酸化カドミウムを
ほとんど有していない。従って従来のカドミウム負極板
に比べて実質的な容量密度は高くなる。そして、負極板
中の鉄化合物がアルカリ電解液に溶解して正極板に移動
し、正極板の充電効率が低下する不都合をアルカリ電解
液が水酸化リチウムを含むことによって解消できる。
また、これを用いたアルカリ二次電池では正・負極活
物質の量比を調節することによって充電制御が容易で、
かつ1CA以上の大電流による超急速充電が可能である。
また、この電池にはリザーブ用の水酸化カドミウムがほ
とんど必要でないために高容量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のカドミウム負極板において、酸化第
二鉄の含有率と充電効率との関係について示した図。第
2図は、本発明のニッケル−カドミウム電池と比較のた
めの電池の充放電サイクルにおける容量保持率を示した
図。第3図は本発明の二酸化マンガン−カドミウム電池
の比較のための電池との充放電サイクルにおける容量保
持率を示した図。第4図は本発明の酸化銀−カドミウム
電池と比較のための電池との充電特性を示した図。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ電解液が水酸化リチウムを含んで
    なるアルカリ二次電池用の負極板であって、全カドミウ
    ム量に対し0.25重量%以上20重量%以下の酸化第二鉄を
    含有することを特徴とするカドミウム負極板。
  2. 【請求項2】水酸化ニッケル、二酸化マンガンあるいは
    酸化銀のいずれかを活物質の主体とする正極板と、請求
    項1記載のカドミウム負極板とを備えたことを特徴とす
    るアルカリ二次電池。
JP63177691A 1988-07-15 1988-07-15 カドミウム負極板およびその負極板を用いたアルカリ二次電池 Expired - Lifetime JP2600307B2 (ja)

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Citations (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5098641A (ja) * 1973-12-29 1975-08-05
JPS5546287A (en) * 1978-09-28 1980-03-31 Sanyo Electric Co Ltd Closed-type alkaline accumulator

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0227657A (ja) 1990-01-30

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