JP2860853B2 - 板ガラス成形体の製造法 - Google Patents

板ガラス成形体の製造法

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JP2860853B2
JP2860853B2 JP5934293A JP5934293A JP2860853B2 JP 2860853 B2 JP2860853 B2 JP 2860853B2 JP 5934293 A JP5934293 A JP 5934293A JP 5934293 A JP5934293 A JP 5934293A JP 2860853 B2 JP2860853 B2 JP 2860853B2
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sheet glass
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sheet
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  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築用及び一般産業用
としての板ガラス成形体の製造法に関し、より詳しくは
曲げ部分に継目のない複数の平面により構成される一枚
の板ガラス成形体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、板ガラスは、建築外装用及び内装
用又は一般産業用として、例えば窓、ショーウインド
ウ、壁面材、ドア、パーティション、ディスプレイケー
ス、水槽、家具等の多種の用途において数多く使用され
ている。従来、窓、ショーウインドウ、ディスプレイケ
ース等のコーナー部分は、二枚の板ガラスを金属、木
材、プラスチック等のフレームを用いて所定の角度に結
合し、それぞれの板ガラスとフレームの接合部をシリコ
ーンゴム等のコーキング材及びシーリング材により接着
していた。しかし、該方法では、フレームの存在により
コーナー部分の外観及び透視性が悪く、またコーナー部
分にステンレス製のフレーム等を使用した場合にはコス
トが上昇し経済的にも好ましくないという欠点があっ
た。一方、上記フレームを用いず二枚の板ガラスを突き
合わせて、該突き合わせ部分をシリコーンゴム等のコー
キング材及びシーリング材で接合する方法がある。しか
し、該方法ではコーナー部分の外観及び透視性は改善さ
れず、接合した突き合わせ部分は強度的に弱い。またコ
ーキング材及びシーリング材の耐候性等に限界があるた
めに、一般的に接合部の寿命が比較的短いという欠点も
あった。上記欠点を除去する方法として、一枚の板ガラ
スに熱加工を施して所定の角度を有する曲げ部分を作る
ことが知られている。例えば、所定の角度を有する曲げ
部分を持つ型枠の上部に通常のフロート板ガラスを水平
に載せ、該板ガラス全体を500〜580℃程度に加熱
し、更に曲げ部分については局部的に700〜750℃
程度に加熱して、重力又は他の外力により型枠上に成形
して所定の曲げ部分を作ることが行われている。しか
し、該方法では、その曲げ部分は比較的大きな曲率半径
を有し(例えば、板ガラスの厚さが4mmの場合、曲率
半径は最小で35〜40mm程度である)、窓、水槽、
ショーウインドウ、ディスプレイケース等の用途に使用
した場合には物体が大きく歪んで見えることから好まし
くない。また、板ガラスの曲げ部分付近を相当の範囲に
わたってなまし温度以上の高温にさらすため、成形後の
板ガラスの曲げ部分付近に相当の範囲にわたって歪みが
生じ、平面部分の歪みが大きいという欠点を有してい
た。図6に上記方法により成形した曲げ部分を有する板
ガラスの曲げ方向の断面の一例を示す。曲げ部分B1
おける曲率半径は板ガラスの厚さの約10倍程度であ
り、AB1 及びAB2 部分は平面部分A1 、A2 と曲げ
部分B1 の中間的部分として厚さdの数倍の長さにわた
って生じる歪みのある光学特性の悪い部分であり、ま
た、平面であるA1 及びA2 部分も高温にさらされた結
果、熱加工前の平面性を維持することができず、光学的
透視歪み及び反射歪みがある。
【0003】上記欠点を解消すべく、本発明者は特願平
4-273386号において、板ガラス上の曲げるべき箇所に導
電性材料を用いて折り曲げ線を描き、該折り曲げ線部の
ガラスを該板ガラスの軟化点以上の温度に電気的に加熱
した後、該折り曲げ線に沿って該板ガラスを曲げること
により、曲げ部分に直角な方向における曲面の外周の曲
率半径が著しく小さく、かつ各ガラス平面の光学的透視
歪みが極めて小さい板ガラス成形体を作る方法及び該板
ガラス成形体を特許出願している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記板ガラ
ス成形体の製造法において、折り曲げ線部のガラスを該
板ガラスの軟化点以上の温度に極めて短時間に加熱し得
ると共に、折り曲げ線部の加熱時に板ガラス全体に生じ
る二次元内部応力が極めて小さいところの製造法を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
の直線的曲げ部分を有する、複数の平面部により構成さ
れる一枚の板ガラス成形体を作る方法において、板ガラ
ス上の曲げるべき箇所に導電性材料を用いて折り曲げ線
を描き、ここで該描かれた折り曲げ線はその長手方向に
沿って幅又は厚さが不均一であるか又は断続しており、
次に該折り曲げ線に給電することにより折り曲げ線に沿
ってアーク放電を生じせしめ、該箇所のガラスを該板ガ
ラスの軟化点以上の温度に加熱した後、該折り曲げ線に
沿って該板ガラスを曲げることを特徴とする板ガラス成
形体の製造法である。
【0006】即ち、導電性材料で描いた折り曲げ線に高
電圧で給電すると、電気抵抗によりガラスが加熱され
る。幅又は厚さが小さい箇所又は断点(以下では単に狭
小部と言う)においては電気抵抗が大きいので、狭小部
をまたいでアーク放電が連続して起こる。すると、この
箇所は高温になり、ガラスが溶融して溶融スポットが形
成される。導電性材料は、高温で燃焼、揮発、又はガラ
ス内へ拡散していくので、幅広な(又は厚さが大きい)
折り曲げ線部の上記溶融スポットに接する箇所の導電性
材料の量が減少し、その結果、この箇所でもアーク放電
が生じる。この結果、ついには溶融スポットは互いに連
続して、溶融ラインとなる。該溶融ラインは、700℃
以上の高温となり、ナトリウムイオンを発生し、ガラス
は良好な導電性を示して、電流はガラスの表面部を流れ
るようになる。更に時間の経過と共に折り曲げ線上の導
電性材料は更に逸散し、ガラス表面でのアーク放電は無
くなる。この際、ガラス表面は放熱により温度上昇が妨
げられ、溶融ライン直下の温度がガラス表面より高温と
なる。電流は、より高温で導電性の高い溶融ライン直下
のガラス内部を流れるようになる。その結果、溶融ライ
ン直下のガラス内部はジュール熱により加熱され、溶融
状態となる。この繰返しにより、その下層にも電流が流
れ、加熱が生じる。この結果、電流は折り曲げ線直下の
ガラス厚さ方向の中心部に集中して流れ、ガラスは中心
部が最高温度となる温度分布をとると考えられる。実際
に目で観察したところによると、ガラスが表面から中心
方向に向かって急速に溶融して行くのが見える。現象の
細部はともかく、いずれにせよガラスは折り曲げ線部に
沿って表裏を貫いて極めて局部的に溶融状態となる。上
記の現象は、極めて短時間(例えば数秒〜30秒)で完
了する(例えば、厚さ5mmのガラスにおいて5秒間で
十分であり、10秒間では折り曲げ線部のガラスが重力
により垂れ下がる程である)。従って、ガラス平面方向
への伝熱が少なく、折り曲げ線部近傍は軟化点まで上昇
しない。また、その成形は二枚の板ガラスを、あたかも
溶接するかの如くである。従って、曲げ部分が非常にシ
ャープで、平面部分の平面性が曲げ部分近傍まで極めて
良好な板ガラス成形体を極めて短時間のうちに製造する
ことができる。
【0007】まず、本発明の板ガラス成形体の製造法に
おいて、折り曲げ線を描くために使用する導電性材料と
しては、公知のものを用いることができる。該導電性材
料としては、カーボン、黒鉛又は銀、銅、ニッケル、ク
ロム、炭化ケイ素等が挙げられる。カーボン系の導電性
塗料としては日本黒鉛商事株式会社製バニーハイト(F
−525W−1)等が、また銀系の導電性塗料としては
北陸塗料株式会社製H9100又は藤倉化成株式会社製
D−1230(改)等が挙げられる。これらのうちか
ら、板ガラスの大きさ、厚さ、使用電圧、折り曲げ線の
抵抗、ガラスへの付着性、金属イオンの拡散によるガラ
スの着色等に応じて、適宜選択することができる。カー
ボン又は黒鉛を用いた場合、電力の制御が容易であり、
また加熱工程より後に(例えば折り曲げ工程で)酸素を
吹き付けることによって完全に燃焼除去できるので便宜
である。
【0008】ペースト状の導電性塗料は、スクリーン印
刷法、凸版印刷法、吹き付けあるいは転写を用いて板ガ
ラスの表面上に塗布される。金属又は合金は、金属溶射
法、CVD、あるいはパイロリティク法により施与され
得る。金属溶射法においては、折り曲げ線に対応するス
リットを有するマスクをガラス板上に置き、導電性材料
として上記金属を使用して、該金属を電気アーク又は火
炎により溶融し、圧搾空気でノズルより吹き出させ、板
ガラス表面に溶射して折り曲げ線を描く。上記いずれの
方法においても、描かれた折り曲げ線は板ガラスの表面
上に密着して、かつ予め定められた箇所に正確にプリン
トすることができる。スクリーン印刷法及び金属溶射法
が、正確性及び簡便性の故に好ましい。該折り曲げ線の
数は、製品として要求される板ガラス成形体の曲げ部分
の数と同じであり、一枚の板ガラス上に少なくとも一本
が描かれる。該折り曲げ線を複数描く場合には、所望す
る製品の形状によって互いに平行に、又は非平行に描か
れる。製品の形状の例を図3に示す。
【0009】本発明の折り曲げ線としては、例えば図1
に示すものが挙げられる。図中において寸法はmm単位
である。該折り曲げ線の広い箇所の幅は、板ガラスの厚
さにはあまり依存せず、好ましくは0.5〜5mmであ
り、特に好ましくは1〜3mmである。該広い箇所の幅
が0.5mm未満では、必要な電力による加熱が行えな
いので好ましくない。また、5mmを越えては、軟化点
近傍に加熱される板ガラスの範囲が広すぎ、曲げ部分が
シャープにならず好ましくない。折り曲げ線の狭い箇所
の幅は、好ましくは1mm以下であり、特に好ましくは
0.5mm以下である。該狭い箇所の幅が1mmを越え
てはアーク放電が生じ難くなり好ましくない。折り曲げ
線は、好ましくは0.1〜2mm、特に好ましくは0.
5〜1.0mmの間隔をおいて断続しているものでもよ
い。該間隔が2mmを越えては、アーク放電が生じ難く
なり好ましくない。また、上記折り曲げ線は、幅の広い
箇所と狭い箇所の繰り返し又は断続する箇所の繰り返し
が、好ましくは0.3〜10mmの長さであり、特に好
ましくは1〜3mmの長さの繰り返しパターンである。
該繰り返しが10mmを越えては、加熱に要する時間が
長くなり好ましくなく、0.3mm未満では、正確な形
状で折り曲げ線を作成するのが困難となり好ましくな
い。また、該折り曲げ線の厚みは、導電性材料の種類、
折り曲げ線を描くために使用する方法によって異なる
が、所定温度まで所定時間で安定にガラスを加熱するこ
とができればよく、好ましくは0.1〜数100μmで
あり、例えばスクリーン印刷法では10〜100μm、
溶射法では30〜300μmが好ましい。また、折り曲
げ線は、その厚みを変化させたものでもよい。折り曲げ
線の厚さの大きい箇所の厚さは好ましくは10〜50μ
mであり、小さい箇所の厚さは好ましくは5〜15μm
である。該折り曲げ線の幅は、好ましくは0.5〜5m
mであり、厚さの大きい箇所と小さい箇所の繰返しは、
好ましくは0.3〜10mmの長さの繰り返しパターン
である。例えば、幅が1.0mmであり、厚さが大きい
箇所の厚さが30μm、小さい箇所の厚さが10μmで
あり、厚さの大きい箇所と小さい箇所の繰返しが1mm
の長さである折り曲げ線が挙げられる。
【0010】該折り曲げ線は、板ガラスの片面上、両面
上、片面及び両端面上、あるいは両面と両端面上を結ぶ
ループ状のいずれに描いてもよい。一般的には、板ガラ
スを曲げる際に外側となる面上のみに折り曲げ線が描か
れる。板ガラスが厚い場合には、両面上に折り曲げ線を
描くことが好ましい。
【0011】板ガラス上に描いた折り曲げ線に給電する
方法としては、好ましくは以下に記載した方法が使用さ
れる。即ち、適当な形状の固体電極を板ガラスの端で上
記折り曲げ線に接触させて給電する方法、リチウムイオ
ン等を発生する導電性高温ガスフレームを板ガラスの端
で上記折り曲げ線に接触させ該フレームを通じて給電す
る方法である。上記方法に使用する電源は、一般商用と
して用いられている50又は60Hzの交流電源、10
0KHz〜50MHzの高周波電源又は直流電源が用い
られ、その電圧はアーク放電を生じせしめるために十分
な電圧であり、好ましくは数千ボルト〜2万ボルトであ
り、電流は好ましくは0.5〜2アンペア程度である。
上記の固体電極を使用する方法では、上記いずれの種類
の電源も使用し得るが、導電性高温ガスフレームを使用
する方法では、高周波電源が好ましい。この使用電源の
種類の選定は、上記の折り曲げ線部に給電する方法の種
類のほか、板ガラスの寸法等も考慮して決定される。
【0012】また、温度制御は、電流、電圧、通電時
間、使用する板ガラスの厚さ、寸法、折り曲げ線の広い
箇所及び狭い箇所の幅、断続する折り曲げ線の断続する
箇所の間隔、折り曲げ線の繰返しパターンの長さ、板ガ
ラスの曲げ速度及び最終曲げ角度等を考慮して、好まし
くは電流及び通電時間を制御することで行われる。制御
因子には上記のような多数のパラメーターが含まれるの
で、好ましくはコンピューターコントロールにより温度
制御が行われ、所望する加熱温度を極めて容易に達成す
ることができる。通常、数秒〜30秒間の通電で折り曲
げ線長さ10cm当たり数10〜数100Wの加熱がで
き、これで十分である。従って、上記特願平4-273386号
の方法と比較して加熱時間は1/2〜1/20程度に短
縮された(従来の曲げガラス製造法において、加熱には
20分間も要した)。例えば3mmの厚さの板ガラスの
場合、5秒程度の加熱時間が可能である。本発明の方法
は、厚いガラスの場合において特に有効である。
【0013】上記加熱方法により、板ガラス上に描かれ
た折り曲げ線部が所定の温度に加熱される。該温度は、
折り曲げ線部の板ガラスの温度が板ガラスの軟化点以上
であり、特に好ましくは軟化点〜軟化点プラス140℃
の範囲である。上記範囲を越える温度では、曲げ加工後
の折り曲げ線近傍の平面部に歪みが生じ、また経済性の
面からも好ましくない。ここで板ガラスの軟化点とはガ
ラスが自重で変形する温度をいい、一般にガラスの粘度
が約108 ポイズに相当する。(普通フロートガラスで
は約740℃である)本発明の方法において、板ガラス
の極狭い幅において加熱が起るので、生じる二次元的応
力は小さく、かつ短時間しか続かないので、板ガラスが
割れる恐れは少なくなる。このことは、無限小幅でガラ
スが溶融され、その直ぐ近傍は常温であれば、ガラスは
決して割れないであろうことから理解されよう。
【0014】また、本発明の方法を更に好適に達成する
ためには、上記折り曲げ線部の加熱に先だって、板ガラ
ス全体を好ましくは板ガラスの徐冷点未満の温度、更に
好ましくは板ガラスの徐冷点より0〜200℃低い温
度、特に好ましくは板ガラスの徐冷点より50〜100
℃低い温度で略均一に加熱することが好ましい。このよ
うに比較的低い温度で簡単な均一加熱を行っておくだけ
で、後のアーク放電による極めて局部的な加熱の際に、
板ガラス中に発生する二次元内部応力は極めて小さくな
る。従って、上記の均一加熱により安全に板ガラスの割
れを防止できる。ここで板ガラスの徐冷点とは、一般に
ガラスの粘度が約1013ポイズに想到する温度をいう。
上記の加熱方法としては公知の方法が使用でき、例えば
板ガラス全体を一定温度に制御した電気炉中に挿入して
板ガラスを略均一に加熱する方法等が使用できるため、
加熱を簡便に実施できる。
【0015】本発明の方法において、板ガラスのアーク
放電による加熱は通常空気中で行われるがこれに限られ
ない。
【0016】本発明で使用する板ガラスは、建築用ある
いは一般産業用に使用するもの等である。該板ガラスは
公知の方法によって製造されたものでよいが、本発明の
方法により製造される板ガラス成形体の平面部分に歪み
がないことの必要性から、融解すず金属上で成形された
フロート板ガラスを使用することが好ましい。使用する
板ガラスの板厚、形状、寸法は目的に応じて定められ、
特に制限はない。その組成についても特に制限はなく、
一般に使用されているソーダ石灰ガラス、ほうけい酸ガ
ラス、高強度結晶化ガラス等の種々の軟化点を有する板
ガラスを使用することができる。また、該板ガラスの種
類については、普通板ガラス、磨き板ガラス、形板ガラ
ス等が挙げられる。また、上記板ガラスに熱線反射コー
ト、無反射コート、特定のパターン印刷、表面のエッチ
ング加工等の各種の表面処理を施したものであってもよ
い。
【0017】本発明の方法において、折り曲げ線に沿っ
て平面板ガラスを所定の角度に曲げる方法は、適当に設
計された板ガラス保持機構により行われる。その際、曲
げ速度、曲げ外力及び最終曲げ角度は、該保持機構を通
じて精密に制御される。これにより曲げ部分におけるク
ラックの発生が防止され、かつ曲げ部分の所定の断面形
状及び肉厚が得られる。該板ガラス保持機構としては、
例えばアームに取り付けた板によって板ガラスをサンド
イッチ状にはさんで把持し、動力によってアームを動か
すことにより所定の角度に板ガラスを曲げる装置が挙げ
られる。これにより、隣り合う二の平面間の内角を好ま
しくは60〜160度にする。該曲げ操作は、非常に短
時間の内に完了することができ、通常1〜5分が好まし
い。
【0018】上記の折り曲げ線を描いた導電性材料は、
通常上記の加熱成形後に除去される。導電性材料の成分
の多くは加熱中に徐々に燃焼又は飛散し、成形終了後に
は殆ど残っていないこともある。この点でカーボン系導
電性塗料が好ましい。導電性材料の種類又はその厚みに
よっては、完全に燃焼して除去されずガラス表面に残存
する場合もある。かかる場合には、加熱成形後に酸素を
吹き込んで完全に燃焼して除去するか、あるいはガラス
を冷却後に研磨等の適当な機械的方法又は化学的方法に
よって除去することができる。金属系の導電性材料の場
合には、金属成分がガラス中に拡散していくことが多
い。デザイン上の観点から、完成した板ガラス成形体に
導電性材料による線条を残すことを希望する場合には、
予め所望する色調が現れるような所定の組成を有する導
電性材料を使用して折り曲げ線を描くことができる。
【0019】加熱成形後のガラスは、従来と同様に後処
理され、例えば徐冷又は急冷を施して徐冷品、強化品又
は倍強化品とすることができる。また熱線反射コート、
無反射コート、特定のパターン印刷、表面のエッチング
加工等の各種の表面処理を施すこともできる。
【0020】本発明の方法によって製造された少なくと
も一の直線的曲げ部分を有する、複数の平面部により構
成される一枚の板ガラス成形体において、上記曲げ部分
に直角な方向における曲面の外周の曲率半径が平面部に
おける板ガラスの厚さの1〜4倍であり、好ましくは1
〜3倍である。該曲率半径が板ガラスの厚さの4倍を越
える場合は、曲げ部分において、透視した物体の歪みが
大きくなり好ましくなく、著しい場合には、透視した物
体が拡大して見える。一方、曲率半径が1倍未満では、
コーナー部分の強度が小さく、かつ人間に対する安全性
の面から好ましくない。また、僅かに変形して平坦性を
失っている遷移領域が曲げ部分と平面部の間に存在して
もよく、該遷移領域の幅が好ましくは板ガラスの厚さの
6倍以下であり、特に好ましくは2倍以下である。該幅
が2倍を越える場合は、曲げ部分近傍の平面部において
透視した物体に歪みが生じ好ましくない。該板ガラス成
形体は、その平面部の板ガラス面が実質的に平坦であ
る。例えばフロート板ガラスを使用した板ガラス成形体
の場合には、曲げ加工前の該フロート板ガラスの平面性
をそのまま維持している。
【0021】本発明に従う板ガラス成形体の折り曲げ部
の曲げ方向の断面の例を図2に示す。図中のRが本発明
に従う曲率半径である。点P及びQは曲面が始まる点で
ある。本発明の板ガラス成形体の曲げ点P及びQの外側
に、見掛上は平坦であるが僅かに変形して平坦性を損な
っている光学的特性の比較的悪い部分、即ち遷移領域S
が存在してもよい。従来の曲げ部分を有する板ガラスに
おいては、図6に示したように曲率半径が著しく大き
く、かつ平面部と曲げ部分との境界が明瞭でなく、平面
部から曲げ部分に至る中間に、僅かに変形して平面性を
損なっている遷移領域が相当長さにわたって存在する。
これに比べて、本発明の板ガラス成形体は、顕著に異な
る。
【0022】上記板ガラス成形体は、少なくとも一のコ
ーナー部分を有するものを言い、例えば図3に示すよう
な種々の成形体が挙げられる。
【0023】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。
【0024】
【実施例1】縦横1000mm、厚さ5mmの正方形の
フロート板ガラス(ソーダ石灰ガラス、軟化点740
℃、徐冷点540℃)の中央に、カーボン系の導電性材
料(商標バニーハイトF‐525W‐1、日本黒鉛商事
株式会社製)を使用して、図1のIに示した形状を有す
る折り曲げ線をスクリーン印刷法を用いて20μmの一
定厚さで板ガラスの片面上に描いた。該折り曲げ線の端
部に固体電極を設置した。
【0025】次いでアームに取り付けた板によって板ガ
ラスをサンドイッチ状にはさむ板ガラス保持機構により
板ガラスを把持した後、電気炉中で470℃に均一加熱
した。続いて折り曲げ線に50Hzの交流電流を図4に
示す電力パターンで通電した。通電60秒後(d)に折
り曲げ線部の板ガラスは800℃となった。直ちに、加
熱電力を減少すると共に、上記板ガラス保持機構を用い
て板ガラスを曲げ、約60秒間で二平面部が互いに直角
になった。上記通電60秒の時点において折り曲げ線と
直角方向の線X1 2 に沿う板ガラスの温度分布は図5
に示す通りであった。折り曲げ線Lの左右それぞれ15
mmの点p1 、p2 より外側の範囲は550℃以下であ
った。以上のようにして成形した後、徐冷して板ガラス
成形体を製造した。
【0026】製造された板ガラス成形体の曲げ部分に直
角な方向における曲面の外周の曲率半径は、平面部にお
ける板ガラスの厚さの1.2倍の6mmであり、僅かに
変形して平坦性を失っている遷移領域は折り曲げ線から
直角方向に左右10mm以上の範囲の板ガラス部分には
見られなかった。また、該板ガラス成形体の平面部は、
本発明の方法に使用したフロート板ガラスの元のままの
平面性を維持しており、その光学的透視歪み及び反射歪
みの増大は全く認められなかった。
【0027】以上のように、本発明の方法を使用すると
極めて短時間で折り曲げ線部の板ガラスを狭い範囲で軟
化点以上の温度に加熱することができる。また、製造さ
れた板ガラス成形体の曲げ部分は非常にシャープであ
り、その平面部は歪みがなく非常に透視性のよいもので
あった。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、極めて短時間で折り曲
げ線部の板ガラスを狭い範囲で軟化点以上の温度に加熱
することができる。また、折り曲げ線部の加熱時に生じ
る熱応力が極めて小さいのでガラスの割れを防止でき
る。従って、本発明の方法は、簡便でかつ経済性に優れ
る。また、曲げ部分に直角な方向における曲面の外周の
曲率半径が著しく小さく、かつ平面部の光学的透視歪み
及び反射歪みが極めて小さい、曲げ部分を有する板ガラ
ス成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する折り曲げ線の例であ
る。
【図2】本発明の方法により製造された板ガラス成形体
の曲げ部分の曲げ方向の断面図の一例である。
【図3】本発明の方法により製造された板ガラス成形体
の例である。
【図4】本発明の実施例1において、折り曲げ線部のガ
ラスを加熱した際の電力パターンである。
【図5】本発明の実施例1において、折り曲げ線部のガ
ラスを加熱した時の折り曲げ線と直角方向の板ガラスの
温度分布である。
【図6】従来法により製造された曲げ板ガラスの曲げ方
向の断面図の一例である。
【符号の説明】 R:曲げ部分に直角な方向における曲面の外周の曲率半
径 S:遷移領域 P、Q:曲げ部分の始まり点 d:板ガラスの厚さ G:板ガラス L:折り曲げ線 A1 、A2 :平面部分 AB1 、AB2 :平面部分A1 、A2 と曲げ部分B1
遷移領域 B1 :曲げ部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−25918(JP,A) 特開 昭54−60313(JP,A) 特開 平1−230438(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03B 23/023 C03C 17/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一の直線的曲げ部分を有す
    る、複数の平面部により構成される一枚の板ガラス成形
    体を作る方法において、板ガラス上の曲げるべき箇所に
    導電性材料を用いて折り曲げ線を描き、ここで該描かれ
    た折り曲げ線はその長手方向に沿って幅又は厚さが不均
    一であるか又は断続しており、次に該折り曲げ線に給電
    することにより折り曲げ線に沿ってアーク放電を生じせ
    しめ、該箇所のガラスを該板ガラスの軟化点以上の温度
    に加熱した後、該折り曲げ線に沿って該板ガラスを曲げ
    ることを特徴とする板ガラス成形体の製造法。
  2. 【請求項2】 折り曲げ線の幅が広い箇所の幅が0.5
    〜5mm、狭い箇所の幅が1mm以下である請求項1記
    載の製造法。
  3. 【請求項3】 折り曲げ線が0.1〜2mmの間隔をお
    いて断続するものである請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】 折り曲げ線が長手方向に沿って0.3〜
    10mmの長さの繰り返しパターンより成る請求項1〜
    3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 板ガラス全体を板ガラスの徐冷点未満で
    略均一に加熱した後、折り曲げ線部を上記に従い加熱す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載
    の方法。
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